JPH1161357A - 圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板及びその製造方法 - Google Patents

圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板及びその製造方法

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JPH1161357A
JPH1161357A JP9222559A JP22255997A JPH1161357A JP H1161357 A JPH1161357 A JP H1161357A JP 9222559 A JP9222559 A JP 9222559A JP 22255997 A JP22255997 A JP 22255997A JP H1161357 A JPH1161357 A JP H1161357A
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hot
steel sheet
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JP9222559A
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Osamu Kondo
修 近藤
Shigeaki Takagi
重彰 高城
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱延の段階において{110}<001>方
位に高度に集積した集合組織を有する熱延電磁鋼板を得
る。 【解決手段】 この発明の電磁鋼熱延板は、C:0.005
wt%以下、Si:7wt%以下を含有する組成になり、板厚
中心部を含む板厚全体にわたって{110}〈001〉
方位への集積強度がランダム組織のそれの10倍以上で
ある集合組織を有し、板厚が1.5mm 以下であることを特
徴とする。この電磁鋼熱延板の製造方法は、C:0.005
wt%以下、Si:7wt%以下を含有する鋼スラブを、熱間
粗圧延後、圧下率(1パス):30%以上及び圧延終了温
度:600 〜800 ℃の条件下で板厚1.5mm 以下に熱間仕上
げ圧延を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流磁心に用い
られる、圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、使用時の磁化方向に電磁特
性が優れていることが望ましいが、その特性は集合組織
に大きく左右される。好適な集合組織は使用形態によっ
て、即ち、鋼板のいずれの方向を磁化方向として使用す
るかによって異なるが、一部のトランスのように主とし
て圧延と平行な1方向のみが磁化方向となる場合、圧延
方向の結晶方位が〈001〉であるような集合組織が最
適である。このような結晶方位を優先的に成長させ、圧
延方向に磁気特性を良好にした電磁鋼板は、いわゆる方
向性電磁鋼板として広く製造市販されている。
【0003】集合組織は圧延方向の結晶方位とともに、
圧延面に垂直な軸の方向の結晶方位によって規定され
る。現在の方向性電磁鋼板は、圧延面に平行な面が{1
10}であり、{110}〈001〉方位、ないしはゴ
ス(Goss)方位と称される。
【0004】ゴス方位をもつ方向性電磁鋼板は、Fe-Si
の基本成分系にCを0.03〜0.10%程度、さらにインヒビ
タ成分としてMnS やAlN 等を0.01〜0.05%程度添加した
素材に複数回の圧延と焼鈍を繰り返し施し、ゴス方位を
もつ結晶粒を優先的に異常成長、即ち二次再結晶させる
ことによって製造する方法が一般的である。
【0005】そして、この方法では、Cは最終的にゴス
方位が発達するためには必須とされているため鋼中に含
有させるが、鉄損特性向上のため、通常は二次再結晶さ
せる前に脱炭除去する工程が必要となる。
【0006】また、インヒビタは、二次再結晶の際にゴ
ス方位をもつ結晶粒を優先的に異常成長させるため、一
次再結晶における結晶粒成長を抑制することを目的とし
て添加されるが、製品鋼板中に残存すると電磁特性に悪
影響があるので、最終的には焼鈍によって除去しなけれ
ばならない。
【0007】このように従来の製造方法は、電磁特性を
確保するために極めて複雑かつコストのかかる工程を採
用している。
【0008】このため、このような複雑な工程によらず
ゴス方位に強く集積した集合組織が得られれば、産業上
の意義は絶大であるが、これまでの知見では、二次再結
晶の前にゴス方位を強く現出させることは不可能とされ
ていた。
【0009】実際、上記方向性電磁鋼板の製造過程にお
いて、熱間圧延後における鋼板の表層近傍には{11
0}〈001〉方位の結晶粒がある程度存在し、その後
の冷間圧延や脱炭焼鈍等の工程でその方位の相対的な存
在割合は増加するが、そのままで良好な電磁特性が得ら
れるには到底至らない。
【0010】即ち、かかる二次再結晶前の段階での{1
10}〈001〉方位への集積強度は、集合組織の方位
分布関数から求めたランダム方位の場合との比で、高々
5倍程度であり、しかも板厚全体にわたってではない。
【0011】さらに、一般的に熱延鋼板のゴス方位粒
は、鋼板の表層近傍のごくわずかな領域にしか存在せ
ず、板厚全体にわたっては存在していないのが現状であ
る。特に、板厚中心部ではゴス方位粒は全く存在してい
ない。この理由は、ゴス方位粒は圧延の剪断歪による変
形によって形成されるが、板厚中心部はこの剪断歪によ
る変形が無いためである。
【0012】一方、方向性電磁鋼板のように二次再結晶
にはよらない、いわゆる無方向性電磁鋼板の範疇でも、
集合組織の制御により圧延方向の電磁特性を向上させる
試みがなされてきた。
【0013】即ち、特開昭54−110121号公報に開示され
ているように、冷延鋼板を急速昇温してα→γ変態さ
せ、つぎに緩慢に冷却してγ→α変態させることによ
り、圧延面内に{110}面の集積度が上昇する。しか
し、その集積度はランダム方位にくらべて高々5倍程度
であった。
【0014】また、文献(高島稔ら:「材料とプロセ
ス」第5巻(1992年)p.1921)には、Sbを微量添加するこ
とにより、冷間圧延後の{110}〈001〉方位が増
加する旨が記載されている。ただし、これはもともと僅
少であったこの方位を高々ランダム方位の場合の存在割
合程度に回復したにすぎず、本来のゴス方位に集積した
集合組織には遠く及ばない。
【0015】同様に、文献(H.Shimanaka ら: 「Energy
Efficient Electrical Steels」TMS-AIME (1980年)p.1
93) に記載されるAl添加2回冷延法や、文献(塩崎守雄
ら:「材料とプロセス」第5巻(1992年)p.1923)に記載
される中間焼鈍後にスキンパス圧延を追加する方法によ
っても、十分なゴス方位への集積は得られない。しか
も、これらの手法はいずれも工程が煩雑になり、製造コ
ストの上昇をもたらす弱点がある。
【0016】また特開平8 −199242号公報には、ゴス方
位への集積度の高い熱延鋼板の製造方法が開示されてい
るが、この方法は、圧延温度が1300℃以下1000℃超え、
1000℃以下750 ℃以上、750 ℃未満の3つの温度域によ
って圧下率をそれぞれ制御することが必要であるため、
製造上の制約が大きく、製造性に問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、複雑な工
程を経ることなく、熱間圧延の段階で、板厚中心部を含
む板厚全体にわたって{110}〈001〉方位に高度
に集積した集合組織をもつ、圧延方向に磁気特性の優れ
た電磁鋼熱延板及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題、即ち、熱間圧
延によって{110}〈001〉方位に高度に集積した
集合組織を形成するという課題を解決するため、発明者
らが鋭意研究を行った結果、圧延温度と圧下率を制御す
るとともに板厚を制限すること、換言すれば、通常の工
程で採用されているよりも低温かつ1パスで強圧下を行
い、1.5 mm以下の板厚に熱間圧延することによって、熱
間圧延後に板厚中心部を含む板厚全体にわたって{11
0}〈001〉方位に高度に集積した集合組織を形成す
ることがわかった。この発明は、かかる知見に基づくも
のである。
【0019】即ち、この発明の要旨構成は次のとおりで
ある。 1. C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下を含有する組
成になり、板厚中心部を含む板厚全体にわたって{11
0}〈001〉方位への集積強度がランダム組織のそれ
の10倍以上である集合組織を有し、板厚が1.5mm 以下
であることを特徴とする圧延方向に磁気特性の優れた電
磁鋼熱延板。
【0020】2. C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下
を含有し、さらにAl:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以
下、Sb:0.1 wt%以下及びSn:0.1 wt%以下のうちから
選んだ1種又は2種以上を含有する組成になり、板厚中
心部を含む板厚全体にわたって{110}〈001〉方
位への集積強度がランダム組織のそれの10倍以上であ
る集合組織を有し、板厚が1.5mm 以下であることを特徴
とする圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板。
【0021】3. C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下
を含有する鋼スラブを、熱間粗圧延後、圧下率(1パ
ス):30%以上及び圧延終了温度:600 〜800 ℃の条件
下で板厚1.5mm 以下に熱間仕上げ圧延を行うことことを
特徴とする圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板の
製造方法。
【0022】4. C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下
を含有し、さらにAl:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以
下、Sb:0.1 wt%以下及びSn:0.1 wt%以下のうちから
選んだ1種又は2種以上を含有する鋼スラブを、熱間粗
圧延後、圧下率(1パス):30%以上及び圧延終了温
度:600 〜800 ℃の条件下で板厚1.5mm 以下に熱間仕上
げ圧延を行うことを特徴とする圧延方向に磁気特性の優
れた電磁鋼熱延板の製造方法。
【0023】この発明は、熱間圧延のみで、圧延方向に
磁気特性の良好な鋼板を提供でき、大幅なコスト低減を
可能とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下にこの発明を完成させるに至
った経緯を説明する。真空小型溶解炉にて、Si:3.12wt
%、C:0.003 wt%、Mn:0.01wt%、、Al:0.005wt%か
らなる成分の鋼塊50 kg を溶解し、サイジングのために
熱間粗圧延にて板厚5mmにした。この鋼板を1100℃にて
30分間加熱した後、ロール径700 mmφの圧延機にて、周
速800 m/min.、圧下率(1パス)84%、圧延終了温度を
700 ℃にて熱間仕上げ圧延し、板厚0.8 mmの鋼板を製造
し、この鋼板について、集合組織、磁気特性を調査した
結果、{110}〈001〉方位への集積強度がランダ
ム組織のそれの28倍と高く、磁気特性もW15/50 で1.8
W/kg、B50で 1.750Tと、今までにはない優れた磁気
特性を有する鋼板が得られた。
【0025】そして、この知見に基づき、さらに詳細な
研究を行った結果、Si含有鋼を、通常の工程で採用され
ているよりも低温かつ1パスで強圧下を行い、1.5 mm以
下の板厚に熱間仕上げ圧延することによって、熱延板の
{110}〈001〉方位への集積度が顕著に向上する
ことを見出し、この発明を完成させるに至ったのであ
る。尚、この発明では、熱延板の{110}〈001〉
方位への集積度が、上述した熱間仕上げ圧延条件のみに
依存し、その他の熱間圧延条件にはほとんど依存しな
い。
【0026】以下に、この発明の鋼組成、鋼組織及び熱
間仕上げ圧延条件を限定した理由について説明する。
【0027】 (1) 鋼組成 (a) C:0.005 wt%以下 Cは、通常の方向性電磁鋼板を製造する場合には、最終
的にゴス方位が発達するため必須の添加元素であるが、
この発明ではCは不要な成分であり、また、通常工程で
は行う二次再結晶前の脱炭工程も行わないため、少ない
ほど好ましく、よって、0.005 wt%以下とした。 (b) Si:7wt%以下 Siは比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果があ
り、この発明には必須の成分である。しかし、7%を超
えると、加工性が劣化し工業的に生産することが困難と
なる。従って、Siの含有量は7wt%以下の範囲とした。
【0028】(c) C,Si以外の成分については特に限定
しないが、Al, Mn, Sb, Snは、磁気特性をより改善する
効果があるため、これらの成分のうちから選んだ1種又
は2種以上を必要に応じて適宜添加することができる。
但し、これらの成分の含有量は、以下に示す限定理由か
ら、Al:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以下、Sb:0.1 wt
%以下及びSn:0.1 wt%以下の範囲に制限することが好
ましい。
【0029】Al:2.0 wt%以下 Alは、鋼の脱酸並びにAl介在物を粗大化させることによ
る粒成長の促進に寄与するだけでなく、Siと同様、固有
抵抗を高めて鉄損を向上させる上でも有効な成分である
が、Siと同様、フェライトホーマーであり、しかもコス
トの上昇も招くので、その上限を2.0 wt%とした。
【0030】Mn:2.0 wt%以下 Mnは、磁気特性を高める上で有用な成分であるが、含有
量が2.0 wt%を超えるとコストの上昇を招くので、その
上限を2.0 wt%とした。
【0031】Sb:0.1 wt%以下,Sn:0.1 wt%以下 Sb,Snとも、集合組織を改善し、磁気特性を向上させる
のに有用な成分であるが、0.1 wt%を超えるとコストの
上昇を招くので、その上限を0.1 wt%とした。
【0032】(2) 鋼組織:板厚中心部を含む板厚全体に
わたって{110}〈001〉方位への集積強度がラン
ダム組織のそれの10倍以上である集合組織 この発明は、{110}〈001〉方位に集積している
組織を特徴とし、この効果を素材として十分に生かすた
めには、その集積強度が、板厚中心部を含む板厚全体に
わたってランダム組織のそれの10倍以上であることが必
要である。従って、この発明では、鋼組織を、板厚中心
部を含む板厚全体にわたって{110}〈001〉方位
への集積強度がランダム組織のそれの10倍以上である
集合組織に限定した。
【0033】(3) 熱間仕上げ圧延条件 (a) 圧延終了温度:600 〜800 ℃ 図1は上記組成の鋼塊を、最終1パスの圧下率を60%、
仕上げ板厚を1.0 mmの熱間仕上げ圧延を圧延終了温度を
変えて行った種々の鋼板を製造し、各鋼板の板厚中心部
における{110}〈001〉方位への集積強度と圧延
終了温度との関係を示したものである。
【0034】図1から、圧延終了温度は800 ℃以下であ
れば、{110}〈001〉方位の集積強度がランダム
組織のそれの10倍以上であることがわかる。また、圧延
終了温度は600 ℃未満であると、圧延荷重が極端に増し
圧延困難となる。従って、圧延終了温度は600 〜800 ℃
とした。
【0035】(b) 圧下率(1パス):30%以上 図2は、上記組成の鋼塊を、圧延終了温度700 ℃で最終
1パスの圧下率を10〜80%の範囲で変化させて仕上げ板
厚1.0mm の熱間圧延を行った種々の鋼板を製造し、各鋼
板の板厚中心部における{110}〈001〉方位への
集積強度と最終1パスの圧下率との関係を示したもので
ある。
【0036】図2から、1パスの圧下率が30%以上であ
る場合に、{110}〈001〉方位の集積強度がラン
ダム組織のそれの10倍以上になることがわかった。従っ
て、熱間仕上げ圧延における1パスでの圧下率は30%以
上とした。
【0037】(c) 熱延板板厚:1.5mm 以下 図3は、上記組成の鋼塊を最終1パスの圧下率:80%、
圧延終了温度:700 ℃の条件下で熱間圧延を行い、板厚
0.8 〜3.0mm の範囲の種々の鋼板を製造し、各鋼板の板
厚中心部における{110}〈001〉方位への集積強
度と仕上げ板厚との関係を示したものである。
【0038】図3から、熱延板板厚は1.5 mm以下の場合
に、{110}〈001〉方位への集積強度がランダム
組織のそれの10倍以上になることがわかる。従って、熱
延板板厚は1.5 mm以下とした。
【0039】
【実施例】
・実施例1 真空小型溶解炉にて、表1に示す成分組成の10kg鋼塊を
溶解し、熱間粗圧延の後、表2に示す圧延終了温度及び
1パスでの圧下率の条件下で仕上げ圧延を行い、熱延板
焼鈍を施し板厚 0.8mmの鋼板を作製し、各鋼板につい
て、X線解析にて(110)、(200) 、(211)
極点図を求め、H.J.Bunge 著の文献 "Texture Analysis
in Materials Science"に記載されている級数展開法を
用いて3次元方位解析を行い、3次元方位分布密度を、
鋼板の、表層位置、表層から板厚の1/5 位置、及び板厚
中心位置においてそれぞれ求めた。さらに、各鋼板の磁
気測定を行い、最大磁束密度 1.5テスラ(T)、周波数
50Hzに対する1kg当たりの鉄損値W15/50 及び、磁化力
5000A/mでの磁束密度B 50を求めた。これらの結果を
表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果から、本発明例であるNo.1、
3、5、7及び9は、いずれも板厚全体にわたって{1
10}<001>方位への集積強度がランダム組織のそ
れの10倍以上であり、磁気特性が良好であった。
【0043】これに対し、比較例であるNo.2、4、
6、8及び10は、鋼板の、表層位置、表層から板厚の1/
5 位置、及び板厚中心位置のうちの少なくとも1 つの位
置における{110}<001>方位への集積強度がラ
ンダム組織のそれの10倍未満であり、同じ鋼種の本発明
例に比べて磁気特性が劣っていた。
【0044】・実施例2 真空小型溶解炉にて、Fe-2.4%Si(鋼種I)及びFe-3.3
%Si(鋼種II)組成からなる2 種類の鋼塊100kg をそれ
ぞれ溶解し、その後1200℃にて加熱し熱間粗圧延で 1.4
〜8.0mm 厚の板とし、さらに、各板を1200℃にて加熱
し、圧延終了温度と圧下率を変化させ、800m/min. の圧
延速度で1パスにて板厚1.0mm に仕上げ、その後 950℃
で2分間の熱処理を施した。これら各鋼板の板厚中心位
置において、実施例1と同様に3次元方位分布密度を求
め、この結果を、仕上げ圧延における圧延終了温度と1
パス圧下率との関係でプロットしたものを図4に示す。
【0045】尚、図中の丸印「○」と「●」は鋼種I
を、また三角印「△」と「▲」は鋼種IIを示し、白抜き
印「○」と「△」は、{110}<001>方位への集
積強度がランダム組織のそれの10倍以上である場合、黒
塗り印「●」と「▲」は、{110}<001>方位へ
の集積強度がランダム組織のそれの10倍未満である場合
を示したものである。
【0046】図4の結果から、鋼種I及びIIとも、仕上
げ圧延における圧延終了温度が600〜800 ℃で、かつ1
パス圧下率が30%以上である場合に、{110}<00
1>方位への集積強度がランダム組織のそれの10倍以上
であった。
【0047】・実施例3 真空小型溶解炉にて、Siを0.12、2.10及び3.25%含有
し、残部は実質的にFeからなる4種の鋼塊50kgをそれぞ
れ溶解し、その後1250℃にて加熱し熱間粗圧延で1.1〜
8.0mm 厚の板とした。この板を、1100℃にて加熱し、圧
延温度を 600〜850 ℃の間で制御し、800m/min. の圧延
速度で1パス(圧下率:27.3〜90.0%)にて板厚0.5mm
に仕上げ、その後熱処理を施した。これらの各鋼板の板
厚中心位置において実施例1と同様に3次元方位分布密
度を求めた。さらに、磁気測定を行い、W15/50 、B50
を求めた。これらの結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3の結果から、比較例であるNo.1、
5、8、12、13及び17のうち、No.1、5、8及び13は
圧下率が30%未満にした例であり、また、No.12及び17
は圧延温度が高すぎた例であり、これらはいずれも{1
10}<001>方位への集積強度が10未満で、磁気特
性が劣っていた。
【0050】これに対し、この発明の適正範囲内で製造
した本発明例は、いずれも{110}<001>方位へ
の集積強度が10以上であり、磁気特性も良好であった。
また、本発明例であるNo.18(Si 含有量: 0.12%) は、
公知文献(高島稔ら:「材料プロセス」第5巻(1992
年)p.1921)に記述されているものに比べ磁気特性が良
く、このことからも、この発明に従う電磁鋼熱延板が、
従来の電磁鋼板に比べて顕著な効果を奏することが確認
できた。
【0051】・実施例4 真空小型溶解炉にて、表4に示す成分組成の鋼塊50kgを
溶解し、その後1250℃にて加熱し熱間粗圧延で 1.1〜8.
0mm 厚の板とした。この板を、1100℃にて加熱し、圧延
終了温度を 600〜850 ℃の間で制御し、800m/min. の圧
延速度で1パスにて 0.8mmに仕上げ、その後熱処理を施
した。この鋼板の中心位置において、実施例1と同様に
3次元方位分布密度を求めた。さらに、磁気測定を行
い、W15/5 0 、B50を求めた。これらの結果を表5に示
す。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】比較例であるNo.3とNo.8は、それぞれ
仕上げ圧延における圧下率と圧延温度がこの発明の範囲
外である場合の例であり、いずれも{110}<001
>方位への集積強度が10未満であり、磁気特性も劣って
いた。
【0055】一方、本発明例は、いずれも{110}<
001>方位への集積強度が10以上であり、磁気特性も
良好であった。
【0056】
【発明の効果】この発明によれば、熱間圧延段階で、板
厚中心部を含む板厚全体にわたって{110}<001
>方位に高度に集積した高磁束密度方向性電磁鋼板を製
造することができ、従来の複雑な工程を経る必要がない
ため、安価に得ることができる。また、この発明の電磁
鋼熱延板を利用すれば、適当なインヒビターを用いなく
ても、二次再結晶を安定に生じさせることができること
から、方向性珪素鋼板の製造に関わるコスト、時間、及
びエネルギーを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板厚中心位置における(110)<110>方位への集積
強度と圧延終了温度との関係を示す図である。
【図2】板厚中心位置における(110)<110>方位への集積
強度と1パスでの圧下率との関係を示す図である。
【図3】板厚中心位置における(110)<110>方位への集積
強度と熱延板板厚との関係を示す図である。
【図4】板厚中心位置における3次元方位分布密度を測
定した結果を、仕上げ圧延における圧延終了温度と1パ
スでの圧下率との関係を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下を
    含有する組成になり、板厚中心部を含む板厚全体にわた
    って{110}〈001〉方位への集積強度がランダム
    組織のそれの10倍以上である集合組織を有し、板厚が
    1.5mm 以下であることを特徴とする圧延方向に磁気特性
    の優れた電磁鋼熱延板。
  2. 【請求項2】 C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下を
    含有し、さらにAl:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以下、
    Sb:0.1 wt%以下及びSn:0.1 wt%以下のうちから選ん
    だ1種又は2種以上を含有する組成になり、板厚中心部
    を含む板厚全体にわたって{110}〈001〉方位へ
    の集積強度がランダム組織のそれの10倍以上である集
    合組織を有し、板厚が1.5mm 以下であることを特徴とす
    る圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板。
  3. 【請求項3】 C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下を
    含有する鋼スラブを、熱間粗圧延後、圧下率(1パ
    ス):30%以上及び圧延終了温度:600 〜800 ℃の条件
    下で板厚1.5mm 以下に熱間仕上げ圧延を行うことを特徴
    とする圧延方向に磁気特性の優れた電磁鋼熱延板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 C:0.005 wt%以下、Si:7wt%以下を
    含有し、さらにAl:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以下、
    Sb:0.1 wt%以下及びSn:0.1 wt%以下のうちから選ん
    だ1種又は2種以上を含有する鋼スラブを、熱間粗圧延
    後、圧下率(1パス):30%以上及び圧延終了温度:60
    0 〜800 ℃の条件下で板厚1.5mm 以下に熱間仕上げ圧延
    を行うことを特徴とする圧延方向に磁気特性の優れた電
    磁鋼熱延板の製造方法。
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