JP4087493B2 - 自動変速機のシフト装置 - Google Patents

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  • Arrangement Or Mounting Of Control Devices For Change-Speed Gearing (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動車の自動変速機のシフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の自動変速機のシフト装置は、一般に、シフトレバーをインジケータパネルの移動孔から上方に突出させ、そのシフトレバーの上端に取付けられた操作ノブのボタンを押しながら、前後に移動させることにより、希望する変速段が選べるようになっている(類似技術として、特開平7−35224号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、シフトレバーがインジケータパネルから上向き状態で車室内側へ突出しているため、車両衝突時等の衝撃によりシフトレバー及びそのまわりの部品(例えば、インジケータパネル)に向かってくるものがあり、これらの衝撃を緩和することが要望されつつある。
【0004】
この発明はこのような従来の技術に着目してなされたものであり、車両衝突等にシフト装置に当たった場合の衝撃を緩和して、当たったものの保護を図ることができる自動変速機のシフト装置及びその取付構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、樹脂製箱形状のハウジングを貫通するパイプ状のシフトレバーの下端部を、ベースプレートの開口から下側に突出させて水平軸に連結し、該水平軸の両端部をベースプレートの下面に突設した2つのブラケットの支持片の下端部にそれぞれ軸支し、前記シフトレバーの内部に操作ロッドを挿通し、該操作ロッドにポジンションピンをシフトレバーにて貫通状態で取付け、前記シフトレバーの少なくとも片側に立設された前記ハウジングの側壁をポジションプレートとしてゲートを開口形成し、前記ポジンションピンの端部をゲートの上縁部に係合させた自動変速機のシフト装置において、前記支持片における上部と下部との中間にノッチ部を形成し、前記ポジションプレートの下端縁とゲートとの間に、変形容易な境界部を介して、逃げ孔を形成したものである。
【0010】
請求項記載の発明によれば、シフトレバーに下向きの外力が加わった場合に、該シフトレバーから横方向に突出しているポジションピンがゲートから境界部を変形させて逃げ孔内に入るため、シフトレバー全体の下がりストロークが拡大されつつ外力が吸収されて、その分、シフトレバーの上端から加わる衝撃が小さくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜図12は、この発明の第1実施形態を示す図である。この第1実施形態に係るシフト装置1は、水平な車体パネルに取付けられる横置き型のものである。2は樹脂製のハウジングで、ベースプレート3の上に形成された箱形状をしている。このハウジング2の左右両壁はポジションプレート4を形成するもので、このポジションプレート4には、所定の上縁部形状をしたゲート5が開口形成されている。このゲート5の縁部にはリブ6が形成されており、ゲート5の強度を確保している。また、ポジションプレート4におけるゲート5の下方には、変形・破断容易な境界部7を介して、前後方向に沿う3本の逃げ孔8がそれぞれ形成されている。逃げ孔8同士の間にも変形・破断容易な境界部7が形成されている。このハウジング2の上面部には、図示せぬ開口が形成されている。
【0027】
ハウジング2の上側には、4本の脚部9によりベースプレート3に支持されたインジケータパネル10が形成されている。インジケータパネル10を支持する脚部9は、斜めに切断されて。この切断部11は凹凸係合した状態になっており、その中央に破断容易なピン12が水平に貫通され、該ピン12により切断部11が結合されている。
【0028】
このインジケータパネル10の下面には、アルミ製の補強パネル13が接着されている(図2参照)。インジケータパネル10及び補強パネル13には、同様の形状をした移動孔14、15が形成されている。
【0029】
そして、前記ハウジング2のベースプレート3にも開口16が形成されている。この開口16の左右両側には、ベースプレート3から下向きのブラケット17が形成されている(図9及び図10では左側だけを代表して図示している)。
【0030】
このブラケット17は、それぞれ2つの支持片18の間に1つの弾性片(ゴムシート)19を介在させた構造で、これら支持片18と弾性片19とは、ベースプレート3に近い上部においてピン20により結合されている。また、ブラケット17の下部には、左右方向に沿う水平軸21の両端部が軸支されている。更に、支持片18における上部と下部との中間位置には、三角形のノッチ部22が前後に各々形成されている。
【0031】
左右のブラケット17により軸支された水平軸21の中央部には、ベースプレート3の開口16、ハウジング2の上面部の図示せぬ開口、補強パネル13及びインジケータパネル10の移動孔14、15を貫通するシフトレバー23の下端部が連結されている。このシフトレバー23はパイプ状をしており、その途中位置には、変速機を制御するためのケーブル(図示せず)が連結されている。
【0032】
シフトレバー23の内部には、図示せぬスプリングにより上側に付勢された操作ロッド24が挿通されている。この操作ロッド24にはシフトレバー23を左右方向で貫通したポジンションピン25が取付けられており、該ポジンションピン25はシフトレバー23に形成された長孔26(図1参照)から突出していると共に、その両端部がポジションプレート4に形成されたゲート5の上縁部と係合するようになっている。
【0033】
シフトレバー23の上端には、発泡樹脂製の操作ノブ27の下端部が外装されている。この操作ノブ27の下端部には、上下2ヶ所の取付孔28が形成されている。また、シフトレバー23には、その取付孔28に対応する位置にネジ孔29が形成されている。そして、取付孔28側から挿通したネジ30を、シフトレバー23のネジ孔29に螺合することにより、操作ノブ27がシフトレバー23に対して取付けられている。更に、シフトレバー23におけるネジ孔29の下方には、ネジ孔29との間に変形・破断容易な境界部31を介して、長孔状の逃げ孔32がそれぞれ形成されている。
【0034】
操作ロッド24の上端はシフトレバー23の上端から突出していると共に、操作ノブ27の横に設けられたボタン33と係合しており、該ボタン33を押すことにより、操作ロッド24が下がり、ポジンションピン25とゲート5の上縁との係合を解除できるようになっている。そして、操作ノブ27のボタン33よりも上側の上端部には、独立した気体層34が形成されている。
【0035】
以下、シフトレバー23やインジケータパネル10に対して、車両の衝突時等に外れた車載装備品等が当たった場合の作用を、各部位ごとに説明する。
【0036】
操作ノブ27の上端部(図1参照):
操作ノブ27の上端部に、車載装備品等が当たって、外力F1 が加わっても、内部の気体層34がクッションになって、ここに当たったものは保護される。また、気体層34のクッション性で、外力F1 のエネルギーを吸収するため、シフト装置1の全体的な変形も抑制される。
【0037】
操作ノブ27の下端部(図3〜図6参照):
操作ノブ27に加わる下向きの外力F1 が大きい場合は、操作ノブ27を取付けているネジ30が、インジケータパネル10におけるネジ孔29から境界部31を変形・破断して逃げ孔32内に入り込むため、操作ノブ27の下がりストロークが拡大されつつ外力F1 が吸収され、その分、操作ノブ27から当たったものに加わる衝撃が小さくなる。尚、ネジ孔29及び逃げ孔32の正面形状は図5に示すものであるが、これに限らず、図6に示すように、孔の両側縁から突出した境界部31′、31′により、ネジ孔29′と逃げ孔32′に分けるようにしても良い。また、逃げ孔32′の短径は図6に示したように、ネジ孔29′の径よりも小さくするのが誤組付防止及び衝撃吸収上望ましい。
【0038】
ポジションプレート4(図7及び図8参照):
外力F1 が更に大きい場合は、シフトレバー23全体が下方へ下がろうとする。この時、シフトレバー23のポジンションピン25がゲート5の下縁に当たるが、そのゲート5に下には、変形・破断容易な境界部7を介して3本の逃げ孔8が形成されているため、ポジンションピン25は境界部7を変形・破断して、逃げ孔8内に入っていく。従って、シフトレバー23全体の下がりストロークが拡大されつつ外力F1 が吸収されて、その分、加わる衝撃が小さくなる。尚、ゲート5の下方に逃げ孔8を形成する代わりに、ゲート5の下方を弾性シート(例えばゴムシート)で形成しても良い。そうすることにより、ポジンションピン25の下降が許容され、前記と同様の効果が得られる。
【0039】
ベースプレート3(図9及び図10参照):
また、外力F1 が更に大きい場合は、ブラケット17の支持片18がノッチ部22から破断し、シフトレバー23が水平軸21ごと下がる。この時、支持片18の間に弾性片19が介在されているため、この弾性片19の弾性力により、シフトレバー23の下がりはある程度までで抑制され、必要以上にシフトレバー23が下がり、シフトレバー2により他の部分が破損されるのを防止している。
【0040】
インジケータパネル10(図2参照):
インジケータパネル10に外力F2 が加わり、万一インジケータパネル10が破損しても、インジケータパネル10の下面に、アルミ製の補強パネル13が接着されているため、インジケータパネル10の破片が飛び散らない。
【0041】
脚部9(図11び図12参照):
インジケータパネル10への外力F2 が大きいと、その外力F2 により、脚部9のピン12が破断されて、切断部11が斜めにスライドする。そのため、インジケータパネル10の下がりストロークが拡大されつつ外力F2 が吸収され、その分、当たったものが保護される。
【0042】
図13及び図14は、この発明の参考例を示す図である。この参考例の脚部35は、上から押された場合に互いに離反方向へ変形可能な2つの脚部本体拡開片36から成り、該拡開片36の中間部には、互い接近して結合された連結部37が形成されている。この連結部37は容易に破断し易いように、図示せぬ切込みが設けられている。また、互いに接近した連結部37には、弾性リング(ゴムリング)38が外装されている。
【0043】
従って、脚部35に外力F2 が加わると、連結部37が破断されて、脚部35を形成する2つの拡開片36が離反方向へ変形するため、インジケータパネル10の下がりストロークが拡大されつつ外力F2 が吸収されて、その分、インジケータパネル10から加わる衝撃が小さくなる。しかも、2つの拡開片36に弾性リング38が外装されているため、2つの拡開片36が離反方向へ変形する際のエネルギー吸収性能が向上する。
【0044】
図15〜図17は、この発明の他の参考例を示す図である。この参考例に係るシフト装置39は、ステアリングメンバ40に固定された上下方向に沿うインストステー41の縦面部42、43に取付ける縦置き型である。
【0045】
縦面部42、43は、左右に張り出した状態で上下にそれぞれ形成されている。上側の縦面部42の方が、下側の縦面部43よりも上下幅が大きく設定されており、それぞれに溶接ボルト44が立設されている。
【0046】
そして、シフト装置39のうち、45はシフトレバー、46は操作ノブ、47はインジケータパネル、48はハウジングを各々示している。ハウジング48のベースプレート49も縦型で、左右に張り出した取付片50、51を上下に各々備えており、縦面部42、43に対応して、上側の取付片50の方が、下側の取付片51よりも、上下幅が大きく形成されている。
【0047】
各取付片50、51の上縁には、上側が開放したU字状の切欠部52が形成されている。この切欠部52には五角形状のスライドブロック53、54がそれぞれ取付けられている。スライドブロック53、54には切欠部52の縁部と係合する溝部55が形成されており、この溝部55に対応する部分が3本の破断容易なピン56により取付けられている。また、スライドブロック53、54の前記切欠部52に対応する部分には、長孔57も形成されている。そして、このスライドブロック53、54の長孔57に前記溶接ボルト44を通し、ナット58により固定している。
【0048】
また、上下のスライドブロック53、54のうち、上側のスライドブロック53の長孔57と、取付片50の下端とは、引き裂き板59により連結されている。この引き裂き板59は上下方向に引き裂くことにより、エネルギーを吸収するものである。
【0049】
この参考例によれば、シフト装置39に下向きの力が加わった場合に、スライドブロック53、54を取付けているピン56が破断するため、シフト装置39全体が下がりつつ下向きの力を吸収することとなり、その分、加わる衝撃が小さくなる。しかも、上側のスライドブロック53には、引き裂き板59も設けられているため、シフト装置39が下がる際のエネルギー吸収性能が向上する。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、シフトレバーに下向きの外力が加わった場合に、該シフトレバーから横方向に突出しているポジションピンがゲートから境界部を破断して逃げ孔内に入るため、シフトレバー全体の下がりストロークが拡大されつつ外力が吸収されて、その分、シフトレバーの上端から加わる衝撃が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す側面図。
【図2】インジケータパネルと補強パネルを示す斜視図。
【図3】操作ノブの下端部を示す断面図。
【図4】操作ノブが下に下がった状態を示す図3相当の断面図。
【図5】図3のシフトレバーに形成したネジ孔及び逃げ孔を示す正面図。
【図6】ネジ孔及び逃げ孔の変形例を示す図5相当の正面図。
【図7】ポジションプレートのゲート付近を示す斜視図。
【図8】ポジンションピンがゲートの下方を破断した状態を示す図7相当の斜視図。
【図9】シフトレバーの下端部付近を示す斜視図。
【図10】ブラケットが破断した状態を示す図9相当の斜視図。
【図11】脚部を示す斜視図。
【図12】脚部のピンが破断してスライドした状態を示す斜視図。
【図13】この発明の参考例に係る脚部を示す斜視図。
【図14】脚部が離反方向に開いた状態を示す図13相当の斜視図。
【図15】この発明の他の参考例を示すシフト装置の斜視図。
【図16】引き裂き板を示す斜視図。
【図17】スライドブロックを示す斜視図。

Claims (1)

  1. 樹脂製箱形状のハウジングを貫通するパイプ状のシフトレバーの下端部を、ベースプレートの開口から下側に突出させて水平軸に連結し、
    該水平軸の両端部をベースプレートの下面に突設した2つのブラケットの支持片の下端部にそれぞれ軸支し、
    前記シフトレバーの内部に操作ロッドを挿通し、
    該操作ロッドにポジンションピンをシフトレバーにて貫通状態で取付け、
    前記シフトレバーの少なくとも片側に立設された前記ハウジングの側壁をポジションプレートとしてゲートを開口形成し、
    前記ポジンションピンの端部をゲートの上縁部に係合させた自動変速機のシフト装置において、
    前記支持片における上部と下部との中間にノッチ部を形成し、
    前記ポジションプレートの下端縁とゲートとの間に、変形容易な境界部を介して、逃げ孔を形成したことを特徴とする自動変速機のシフト装置。
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