JP4083523B2 - 継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道配管、温水配管、床暖房、ロードヒーティング等に使用されるパイプ用の継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば水道配管に、架橋ポリエチレン又はポリブテン製のパイプを接続するために継手が使用されている。この種の継手としては、以下に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、雌側継手に雄側継手の一端を内挿し、2つの継手を連結することにより構成されているタイプのものである。前記雌側継手は中心に挿入孔が貫設されるとともに、その基端部外周面にはフランジが突設されている。また、雄側継手の中間部外周面にはフランジが突設され、該フランジよりも先端側には雌側継手の挿入孔に挿入される突出部が設けられている。その突出部には環状溝が周設され、該環状溝にはシール部材が嵌着されている。
【0003】
そして、雌側継手と雄側継手とを接続するには、まず雄側継手の突出部を雌側継手の挿入孔に挿入し、各継手に設けられたフランジを突き合わせた後にこの突き合わせ部分に連結部材を装着する。
【0004】
この結果、連結部材によって雌側継手と雄側継手とが接続され、前記シール部材によって雌側継手の基端部内周面と雄側継手の突出部外周面との間がシールされる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000―65260号公報 (第3〜4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、用途に応じて雌側継手同士を接続する場合には両雌側継手に内挿されて双方の雌側継手を支持するための内側継手が必要となる。この場合、内側継手を両雌側継手内に単に内挿しただけでは内側継手が両雌側継手内で移動するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、雌側継手同士の接続を容易かつ確実に行うことができる継手を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の継手は、筒状をなし、内部に挿入孔が貫通形成され、その一端にはフランジが突設されている一対の雌側継手と、これら雌側継手を両フランジが突き合わされた状態で前記雌側継手の内周面に形成される内側継手収容部に収容される内側継手とからなり、突き合わされた両フランジに連結部材を装着して一対の雌側継手を連結するとともに、雌側継手と内側継手との間に内側継手の移動を規制する移動規制部を設け、前記雌側継手のフランジ側の内周面には面取り部を設けるとともに、内側継手の外周面には前記面取り部に係合する係合突起を設け、これら面取り部と係合突起によって移動規制部を構成し、前記内側継手の係合突起から前記内側継手の端面までの軸線方向における長さは、前記雌側継手のフランジ同士の突き合わせ面から前記内側継手収容部の端面までの軸線方向における長さよりも短く設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の継手は、請求項1に記載の発明において、前記連結部材は、金属製の板材を曲げることにより開口部を有する弧状に形成され、その弾性力により開口部から雌側継手のフランジに装着されるとともに、突き合わされた両フランジを挟着する挟持孔を備えたクイックファスナーであることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、継手11は挿入孔12を有する一対の雌側継手13と、これら雌側継手13の挿入孔12に挿入される内側継手14とより構成されている。
【0012】
まず、雌側継手13について説明する。筒状をなす雌側継手13の基端部外周面には雄ねじ部15が螺刻され、図示しない水道配管等の管体に螺合可能になっている。雌側継手13の先端部外周面にはフランジ16が突設され、該フランジ16より基端側には環状溝17が周設されている。フランジ16の外端面18は他の雌側継手13のフランジ16との接合のために平面状に形成されている。雌側継手13の内周面は、先端側の内径が基端側の内径よりも大きくなる段差部19から先端部にかけて内側継手収容部20が形成されている。雌側継手13の先端部内周面には先端縁から雌側継手13の軸線方向内方に向かうに従い縮径する面取り部21が周設されている。また、図3の拡大断面図に示すように、面取り部21は中間部が内側継手14の軸線22に対して30°傾斜した斜状面23に、その両端部が円弧面24に形成されている。
【0013】
前記内側継手14は略円筒状をなし、貫通孔25が貫通形成されている。内側継手14の中央部外周面には内側継手14の径方向に突出する山型状の係合突起26が周設されている。該係合突起26の頂面27は平坦状に形成されており、その両側の傾斜面28の傾斜角度は前記面取り部21の斜状面23の傾斜角度と同一に形成されている。前記雌側継手13の面取り部21と内側継手14の係合突起26とにより内側継手14の軸線方向への移動を規制する移動規制部が構成されている。
【0014】
そして、内側継手14が雌側継手13の挿入孔12に挿入されたときには、内側継手14の係合突起26の傾斜面28が雌側継手13の面取り部21の斜状面23に密接し、内側継手14の移動が規制される。また、前記係合突起26の突出高さ、具体的には内側継手14の外周面から頂面27までの高さは、雌側継手13の面取り部21の開口高さの略半分に形成されている。
【0015】
図1及び図4に示すように、係合突起26から端面29までの軸線方向の長さは、雌側継手13における内側継手収容部20の軸線方向の長さよりも短く設定されている。また、内側継手14の内径は雌側継手13の基端部内径よりも若干小さく形成されている。
【0016】
前記係合突起26の左右両側方には各々対称位置に二対の収容溝30が周方向に凹設され、各収容溝30にはゴム材料製の断面楕円形状をなすシールリング31がそれぞれ嵌着されている。そして、一対の雌側継手13内に内側継手14が内挿されたときには、雌側継手13の内周面に各シールリング31の外周面がそれぞれ密接されることにより、内側継手14の外周面と雌側継手13の内周面との間がシールされるようになっている。
【0017】
図1に示すように、一対の雌側継手13はフランジ16の外端面18同士が突き合わされた状態で連結部材としてのクイックファスナー32を装着することにより連結されている。図2(a)、(b)に示すように、クイックファスナー32は、ばね性を有する金属材料からなる板材を左右対称に曲げることにより、先端部間に開口部を有する弧状に形成されている。該クイックファスナー32の中央部にはヒンジ部33が断面コ字状に折曲形成され、両開口端部にはガイド部34がそれぞれ外方へ拡がるように折り曲げ形成されている。また、クイックファスナー32の両側壁35には挟持孔36が透設されている。
【0018】
そして、両雌側継手13のフランジ16が突き合わされた状態で、クイックファスナー32の挟持孔36に両フランジ16が挟持されるようにガイド部34側からクイックファスナー32を装着するようになっている。両フランジ16の幅は挟持孔36を形成する内側壁37間の間隔とほぼ同じに設定され、両フランジ16がクイックファスナー32により連結固定されるようになっている。
【0019】
次に、前記継手11の作用について以下に記載する。
さて、雌側継手13同士を接続する場合には、まず図4に示すように、内側継手14の一端部(図4では左端部)を雌側継手13の挿入孔12に挿入する。このとき、雌側継手13の面取り部21が内側継手14の挿入案内の役割をし、雌側継手13の面取り部21の斜状面23と内側継手14の係合突起26の傾斜面28が係合するまで内側継手14を内側継手収容部20に挿入する。次に、雌側継手13に内挿されていない内側継手14の他端部(図4では右端部)に前記とは別の雌側継手13の挿入孔12を嵌挿する。この場合にも、前記面取り部21が内側継手14の挿入案内の役割をし、雌側継手13の面取り部21の斜状面23と内側継手14の係合突起26の傾斜面28とが係合するまで雌側継手13を嵌挿し、内側継手14を内側継手収容部20に挿入する。このとき、両フランジ16の外端面18が突き合わされる。
【0020】
そして、両雌側継手13のフランジ16の外端面18が突き合わされ、前記面取り部21と内側継手14に設けられた係合突起26とが係合したときには、二対のシールリング31によって両雌側継手13の内周面と内側継手14の外周面との間がシールされる。このとき、図3に示すように、面取り部21の斜状面23の傾斜角度と係合突起26の傾斜面28の傾斜角度とが同一であるため、面取り部21と係合突起26とが密着している。このため、一対の雌側継手13内における内側継手14の移動が規制される。
【0021】
続いて、図4に示すように、クイックファスナー32を前記フランジ16の突き合わせ部分に装着する際には、フランジ16の突き合わせ部分にクイックファスナー32の開口部が上方から押し付けられる。すると、クイックファスナー32の開口部がその弾性力によって拡げられ、クイックファスナー32をさらに下方に押し込むと、クイックファスナー32の内側に一対の雌側継手13の先端部が包持される。
【0022】
そして、下方に押し込まれたクイックファスナー32は、やがてその弾性力で元の形状に復帰し、その側壁35が雌側継手13の各環状溝17内にそれぞれ収容されるとともに、挟持孔36を形成する内側壁37に一対のフランジ16が接触した状態で挟持孔36に嵌入される。この状態でクイックファスナー32の内側に一対の雌側継手13の基端部が包摂されるとともに、挟持孔36内で一対のフランジ16が挟着され、雌側継手13の脱着が規制される。従って、クイックファスナー32を一対の雌側継手13のフランジ16に押し付け、押し込むことにより雌側継手13同士の連結を行うことができる。
【0023】
以上の本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の継手11は、両雌側継手13のフランジ16の突き合わせ部分の上方からクイックファスナー32の弾力性を利用して押し込むというワンタッチ作業で装着される。このため、雌側継手13同士の接続を容易に行うことができる。また、両雌側継手13に装着されたクイックファスナー32は、その弾性力により雌側継手13の各環状溝17を締付ける。このため、雌側継手13同士の接続を確実に行うことができる。
【0024】
・ さらに、前記クイックファスナー32の両側壁35に透設された挟持孔36を形成する内側壁37に両雌側継手13のフランジ16が接触した状態で挟持孔36に嵌入されて挟着される。このため、クイックファスナー32により一対の雌側継手13の接続をより強固に行うことができる。
【0025】
・ 加えて、前記内側継手14に設けられた係合突起26は雌側継手13に設けられた面取り部21に係合し、内側継手14の移動規制の役割を果たす。このため、内側継手14は両雌側継手13内におけるずれ及びがたつきが抑制される。
【0026】
・ 内側継手14の外周面には係合突起26の両側に二対のシールリング31が嵌着されている。このため、内側継手14の外周面と雌側継手13の内周面との間が強固にシールされ、継手11内からの水漏れの発生を効果的に防止することができるとともに、雌側継手13内における内側継手14のがたつきを抑制することができる。
【0027】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図5に示すように、移動規制部として雌側継手13の内周面に設けられた段差部19と内側継手14の両端面29とを当接させる構成を採用してもよい。このように構成した場合、一対の雌側継手13の内側継手収容部20に内挿された内側継手14は両端面29が段差部19によって完全に移動規制されるため、内側継手14を安定に保持することができるとともに、そのずれ及びがたつきを抑制することができる。
【0028】
・ また、連結部材として、半円状をなす一対の部材をヒンジにより開閉可能とし、その開口端部をねじ等で固定するファスナーを用いてもよい。
・ さらには、移動規制部として、前記実施形態の構成に加え、上記のように雌側継手13の内周面に設けられた段差部19と内側継手14の両端面29とが当接する構成を採用してもよい。このように構成した場合、一対の雌側継手13の内側継手収容部20に内挿された内側継手14をさらに安定して保持することができる。
【0029】
・ 本実施形態の継手11において、内側継手14の係合突起26をその外周面の少なくとも一部に設ける構成としてもよい。このように構成した場合においても、内挿された内側継手14のずれ及びがたつきを抑制することができる。
【0030】
・ フランジ16の面取り部21における斜状面23の傾斜角度と内側継手14の係合突起26における傾斜面28の傾斜角度を、例えば20°、40°などに変更してもよい。
【0031】
・ 本実施形態の継手11において、内側継手14の係合突起26の頂面27を緩やかに膨らんだ曲面又は山型状に加工した形状等に変更してもよい。
・ 本実施形態の継手11は幹配管と枝配管よりなるヘッダーの幹配管同士の連結に用いるとより効果がある。その場合、ヘッダーは例えば青銅を原材料としマンドレルを用いた連続鋳造法により得られる管材を所定長さに切断し、その端部近傍を切削して両端にフランジ16(雌側継手)を形成することによって内径が大きく肉薄に製造することができる。これに対し、ヘッダーの片端をフランジ16(雌側継手)、もう片端をフランジ(雄側継手)で形成しようとすると、内径が小さく厚肉にしか製造できずコストが嵩む。従ってヘッダーの両端部にフランジ16を設けて両端を雌側継手とし、内側継手14を挿入しフランジ16間をクイックファスナー32で接続することにより、複数の安価なヘッダーを容易に連結して使用することができ、使い勝手が良い。
【0032】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記面取り部には一定の傾斜角度を有する斜状面が設けられ、係合突起には前記斜状面に係合する傾斜面が設けられ、斜状面の傾斜角度と傾斜面の傾斜角度とが同一に設定されている継手。この構成によれば、面取り部と係合突起の接触面積を確保することができ、一対の雌側継手に内挿された内側継手のずれ及びがたつきを安定して抑制することができる。
【0033】
・ 前記係合突起は内側継手の外周面の全周にわたって設けられている継手。この構成によれば、係合突起と面取り部によって構成される移動規制部が最も有効に作用し、一対の雌側継手に内挿された内側継手のずれ及びがたつきを効果的に抑制することができる。
【0034】
・ 前記係合突起は内側継手の中央部外周面に設けられている継手。この構成によれば、内挿後の内側継手の両側のバランスを安定に維持することができ、一対の雌側継手内におけるがたつきを抑制することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の継手によれば、雌側継手同士の接続を容易かつ確実に行うことができる。また、一対の雌側継手に内挿された内側継手のずれ及びがたつきを抑制することができる。
【0036】
請求項2に記載の発明の継手によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、雌側継手同士の接続をより強固に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の継手を示す側断面図。
【図2】 (a)はクイックファスナーを示す斜視図、(b)は図2(a)の2b―2b線における断面図。
【図3】 継手の移動規制部を示す拡大断面図。
【図4】 継手を示す分解側断面図。
【図5】 別例の継手を示す側断面図。
【符号の説明】
11…継手、12…挿入孔、13…雌側継手、14…内側継手、16…フランジ、21…移動規制部を構成する面取り部、26…移動規制部を構成する係合突起、32…連結部材としてのクイックファスナー、36…挟持孔。
Claims (2)
- 筒状をなし、内部に挿入孔が貫通形成され、その一端にはフランジが突設されている一対の雌側継手と、これら雌側継手を両フランジが突き合わされた状態で前記雌側継手の内周面に形成される内側継手収容部に収容される内側継手とからなり、
突き合わされた両フランジに連結部材を装着して一対の雌側継手を連結するとともに、雌側継手と内側継手との間に内側継手の移動を規制する移動規制部を設け、
前記雌側継手のフランジ側の内周面には面取り部を設けるとともに、内側継手の外周面には前記面取り部に係合する係合突起を設け、これら面取り部と係合突起によって移動規制部を構成し、
前記内側継手の係合突起から前記内側継手の端面までの軸線方向における長さは、前記雌側継手のフランジ同士の突き合わせ面から前記内側継手収容部の端面までの軸線方向における長さよりも短く設定されていることを特徴とする継手。 - 前記連結部材は、金属製の板材を曲げることにより開口部を有する弧状に形成され、その弾性力により開口部から雌側継手のフランジに装着されるとともに、突き合わされた両フランジを挟着する挟持孔を備えたクイックファスナーである請求項1に記載の継手。
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