JP4083164B2 - 車両シート用のランナー及びそれを用いた車両シート - Google Patents
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Description
既に知られている前記型式のランナーにおいて、例えば、ボールを用いて構成される複数の転がり軸受け素子が一般的に複数列(一般的に4列)をもって装入され、すなわち、各列の転がり軸受け素子が雄レール部材の長手方向部分と雌レール部材の長手方向部分との入れ子式組係合部を形成する空間部に装入される。
従って、大きな応力が加わった際、転がり軸受け素子と雌雄両レール部材間は実質的に点接触状態とされ、前記雌雄レール部材を大きく変形させることとなる。そこで、一つの有効な解決方法として、雌雄両レール部材の厚みを増すことが考えられる。しかしながら、この解決方法では、ランナーの総重量を大幅に増大するとともにその製造コストも増大することとなる。
このようにシューを設けることにより雄レール部材及び/又は雌レール部材が修復不能に変形される危険性を除去する一方、転がり軸受け素子はそれにもかかわらず雄雌レール部材が相対的に滑動できるようにする。
−雌雄両レール部材間の入れ子式接合部分にもう1つの第2区画空間部を画定するとともに各第2区画空間部に転がり軸受け素子を装入し、これらの転がり軸受け素子を介して前記雌雄両レール部材を長手軸に沿って相対的に滑動可能とする一方、前記雌雄両レール部材が第2方向に変形応力を受けたとき、各シューが前記雌雄両レール部材と接触領域を形成するように構成すること;
−雌雄両レール部材間の入れ子式接合部分に、背合せ状に第1区画空間部と第2区画空間部とを画定すること;
−第1区画空間部に収容されるシューの第1剛性部分及び第2区画空間部に収容されるシューの第2剛性部分を一体的に形成すること;
−第1区画空間部に収容されるシューの第1剛性部分及び第2区画空間部に収容されるシューの第2剛性部分は、鉄鋼、プラスチック及びアルミニュウム合金材料のうちから選択された材料を用いて形成すること;
−雄レール部材の一部分に第1ストッパー部材を設ける一方、雌レール部材の一部分に第2ストッパー部材を設け、前記第1及び第2ストッパー部材が協働して前記雌雄両レール部材を2つのストローク終端位置間で相対的に移動可能とすること;
−第1ストッパー部材と第2ストッパー部材間にシューを配置すること。
雄レール部材は、実質的に水平なウェブと、該ウェブの両側縁部に対向するように形成された一対の横フランジと、該一対の横フランジのそれぞれ外面部に向かって延びる一対のリップとにより、概略、みぞ形断面を形成し、
雌レール部材は、実質的に水平なウェブと、該ウェブの両側縁部に対向するように形成された一対の横フランジと、該一対の横フランジのそれぞれ内面部及び前記水平ウェブ部に向かって延びる一対のリップとにより、概略、みぞ形断面を形成するとともに、前記各横フランジとリップとのそれぞれ間部に、前記雄レールの各リップを挿入したとき、背合せ状に第1区画空間部及び第2区画空間部を画定し、
前記雌雄両レール部材の第1区画空間部及び第2区画空間部に、それぞれ、転がり軸受け素子を装入することにより該雌雄両レール部材を長手軸に沿って相対的に滑動可能とし、
前記雌雄両レール部材が第1方向に変形応力を受けたとき、前記第1区画空間部に収容されたシューの剛性部分が前記雄レール部材のリップと前記雌レール部材の横フランジとに接触して接触領域を形成するようにすること。
−雌雄両レール部材が第2方向に変形応力を受けたとき、第2区画空間部に収容されたシューの剛性部分が前記雄レール部材のリップと前記雌レール部材のリップとに接触して接触領域を形成するようにすること;
−雄レール部材の第1ストッパー部材が当該雄レール部材の両側のリップに形成された突出部の形態をもって形成される一方、雌レール部材の第2ストッパー部材が当該雌レール部材の両側部に長手軸方向に前記突出部の両端部に配置した2つのストップ部の形態をもって形成されるようにすること。
−雌レール部材の両側部における各一対のストップ部の位置に配置されるとともに雄レール部材の両側部における各突出部の両端部の側部に配置された少なくとも2つのシューが前記雄レール部材の各リップに対し相対的に滑動可能とした滑動面を有するようにすること;
−各シューは2つのストップ部間に配置して雌レール部材及び対応する転がり軸受け素子と協働するようにすること。
さらにまた、本発明は、前記車両シート用ランナーを介して車両の床にシート本体を接続した車両シートを提供する。
さらに、高い応力を合成部分がうけるので、雄雌レールの厚みを増すことなく製造することができるので、ランナーの総重量の増大を防止できるとともに、その製造原価の増大をなくすことができる利点もある。
各種図面において、同一又は近似する等価な部分には同一の数字符号を付して示される。
図1は、車両の床3に取付けられたシート本体2と該シート本体2に装着された背もたれ4とから成る車両シート1を示す。
車両の床3とシート本体2とは、2本の並行に敷設されたランナー5(図1ではそのうち1本のみ表示)を介して接続され、車両の床3に対しシート1を長手軸Lに沿って相対的に滑動させることにより該シート1の位置が調節可能とされる。
図2と図3に示される実施例において、雌レール6は、実質的に溝形断面を有し、水平ウェブ底面部61と該水平ウェブ底面部61の両側に上方に延びる2つの側壁部6aとにより形成され、各側壁部6aは、起立横フランジ部62と当該雌レール6の溝部内方にかつ水平ウェブ底部61に向かって延びる折り曲げリップ(これを、単に、リップという)63とにより形成される。
このようにして、雄レール7の各リップ73は、該リップ73と組み合わされる雌レール6の横フランジ62とで一方の第1区画空間部8を画定するとともに、該リップ73と組み合わされる雌レール6のリップ63とで他方の第2区画空間部9を画定する。
雄レール7の雌レール6に対する長手方向における移動距離(ストローク)を制限するために、ランナー5が組合わされる、即ち、雄レール7が雌レール6に相対的に滑動可能に装着された際、雄レール7における各突出部74が雌レール6に設けられたストッパー素子(アバットメント素子)64と協働するように設けられる。
図4と図6に示されるように、当該ランナーに4つのシュー10が装着されるように、雌レール6の各側壁部6aにおけるストッパー素子64の実質的設定位置に2つのシュー10が配置される。
更に、各シュー10は、雄レール7のリップ73と該リップ73と対応する雌レール6のリップ63との間部に直接挿入される第2剛性部分12を含むことができる。各シュー10の第2剛性部分12は、図6に示されるように、該第2剛性部分12と係合する第2区画空間部9の外形と実質的に相補的な形状を有する。本実施例において、一方のシュー10の第1剛性部分11と他方のシュー10の第2剛性部分12とは、連結部分13を介して一体的に形成することができる。
雄レール7の各リップ73を被覆する第1剛性部分11、第2剛性部分12のそれぞれ内面11b、内面12bは、雄レール7の各リップ73を各シュー10に対し相対的に滑動可能とする滑動面を有する。各シュー10の第1剛性部分11、第2剛性部分12のそれぞれ外面11a、12aは、雌レール6の対応する側壁部6aに固定して取付けることができる。例えば、各シュー10の外面11a、12aは、比較的大きい摩擦係数を有する面とされ、当該シューと係合する雌レール6の横フランジ62に粘着するようにするとか、雄レール7と雌レール6により画定される第1区画空間部8と第2区画空間部9に圧嵌めにより装着することができる。
各シュー10が鉄鋼製であると、第1剛性部分11の内面11bと第2剛性部分12の内面12bとは、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの材料で被覆すると、雄レール7の各リップ73が係合されるシュー10に対し相対的に滑動させることができる。
図4は、ランナーを示し、雄レール7が、例えば、前方のストローク終端位置に移行すると、雄レール7の両側の突出部74の前端部74aがともに2つの前方のシュー10に当接する。この構成において、雄レール7の両側のリップ73もまた当該ランナーの後方部の近くに配置された2つのシュー10内に収容される。
この場合、ランナーの前方位置に配置された2つのシュー10は、それらの第1剛性部分11を介して、リップ73と雌レール6の側壁部62間に比較的広い接触領域が形成されるように機能する。このようにして、各シューの第1剛性部分11により、圧縮応力作用中、雄レールが雌レールに対し反作用を及ぼし、雄雌両レールを相対的に移動可能とするボールの作用とは関係なく、圧縮応力作用期間中、雄レールが雌レールに対し反作用力を及ぼすようにする。
2・・・シート本体
3・・・車両の床
6・・・雌レール(部材)
7・・・雄レール(部材)
8・・・第1区画空間部
9・・・第2区画空間部
10・・・シュー
11・・・第1剛性部分
11b・・・滑動面
12・・・第2剛性部分
12b・・・滑動面
61・・・ウェブ
63・・・リップ
64・・・第2ストッパー素子(部材)
71・・・ウェブ
72・・・横フランジ
73・・・リップ
74・・・第1ストッパー素子
Claims (13)
- 雌レール部材(6)と雄レール部材(7)との入れ子式接合部分に少なくとも1つの第1区画空間部(8)を画定するとともに各第1区画空間部(8)に転がり軸受け素子を装入し、これらの転がり軸受け素子を介して前記雌雄両レール部材(6、7)を長手軸に沿って相対的に滑動可能とするとともに該雌雄両レール部材(6、7)に第1方向又はそれと反対の第2方向への応力による変形を受ける車両シート用のランナーにおいて、
前記ランナーの第1区画空間部(8)に、該第1区画空間部(8)の輪郭と相補的な形状を有するとともに剛性を有するシュー(10)を装入し、前記雌雄両レール部材(6、7)が第1方向に変形応力を受けたとき、前記シュー(10)が雌雄両レール部材(6、7)のいずれか一方のレール部材を他方のレール部材に対し相対的に滑動可能とするとともに前記雌雄両レール部材(6、7)と接触領域を有するように構成したことを特徴とする車両シート用のランナー。 - 雌雄両レール部材(6、7)間の入れ子式接合部分にもう1つの第2区画空間部(9)を画定するとともに各第2区画空間部(9)に転がり軸受け素子を装入し、これらの転がり軸受け素子を介して前記雌雄両レール部材(6、7)を長手軸に沿って相対的に滑動可能とする一方、前記雌雄両レール部材(6、7)が第2方向に変形応力を受けたとき、各シュー(10)が前記雌雄両レール部材(6、7)と接触領域を形成するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のランナー。
- 雌雄両レール部材(6、7)間の入れ子式接合部分に、背合せ状に第1区画空間部(8)と第2区画空間部(9)とを画定したことを特徴とする請求項2に記載のランナー。
- 第1区画空間部(8)に収容されるシュー(10)の第1剛性部分(11)及び第2区画空間部(9)に収容されるシュー(10)の第2剛性部分(12)が一体的に形成されたことを特徴とする請求項3に記載のランナー。
- 第1区画空間部(8)に収容されるシュー(10)の第1剛性部分(11)及び第2区画空間部(9)に収容されるシュー(10)の第2剛性部分(12)は、鉄鋼、プラスチック及びアルミニュウム合金材料のうちから選択された材料を用いて形成したことを特徴とする請求項3に記載のランナー。
- 雄レール部材(7)の一部分に第1ストッパー部材(74)を設ける一方、雌レール部材(6)の一部分に第2ストッパー部材(64)を設け、前記第1及び第2ストッパー部材(74、64)が協働して前記雌雄両レール部材(6、7)を2つのストローク終端位置間で相対的に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のランナー。
- 第1ストッパー部材(74)と第2ストッパー部材(64)間にシュー(10)を配置したことを特徴とする請求項6に記載のランナー。
- 雄レール部材(7)は、実質的に水平なウェブ(71)と、該ウェブ(71)の両側縁部に対向するように形成された一対の横フランジ(72)と、該一対の横フランジ(72)のそれぞれ外面部に向かって延びる一対のリップ(73)とにより、概略、みぞ形断面を形成し、
雌レール部材(6)は、実質的に水平なウェブ(61)と、該ウェブ(61)の両側縁部に対向するように形成された一対の横フランジ(62)と、該一対の横フランジ(62)のそれぞれ内面部及び前記水平ウェブ部(61)に向かって延びる一対のリップ(63)とにより、概略、みぞ形断面を形成するとともに、前記各横フランジ(62)とリップ(63)とのそれぞれ間部に、前記雄レール(7)の各リップ(73)を挿入したとき、背合せ状に第1区画空間部(8)及び第2区画空間部(9)を画定し、
前記雌雄両レール部材(6、7)の第1区画空間部(8)及び第2区画空間部(9)に、それぞれ、転がり軸受け素子を装入することにより該雌雄両レール部材(6、7)を長手軸に沿って相対的に滑動可能とし、
前記雌雄両レール部材(6、7)が第1方向に変形応力を受けたとき、前記第1区画空間部(8)に収容されたシュー(10)の剛性部分(11)が前記雄レール部材(7)のリップ(73)と前記雌レール部材(6)の横フランジ(62)とに接触して接触領域を形成するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のランナー。 - 雌雄両レール部材(6、7)が第2方向に変形応力を受けたとき、第2区画空間部(9)に収容されたシュー(10)の剛性部分(12)が前記雄レール部材(7)のリップ(73)と前記雌レール部材(6)のリップ(63)とに接触して接触領域を形成するように構成したことを特徴とする請求項2または請求項8に記載のランナー。
- 雄レール部材(7)の第1ストッパー部材が当該雄レール部材(7)の両側のリップ(73)に形成された突出部(74)の形態をもって形成される一方、
雌レール部材(6)の第2ストッパー部材が当該雌レール部材(6)の両側部に長手軸方向に前記突出部(74)の両端部に配置した2つのストップ部の形態をもって形成されたことを特徴とする請求項6または請求項8に記載のランナー。 - さらに、雌レール部材(6)の両側部における各一対のストップ部(64)の位置に配置されるとともに雄レール部材(7)の両側部における各突出部(74)の両端部の側部に配置された少なくとも2つのシュー(10)が前記雄レール部材(7)の各リップ(73)に対し相対的に滑動可能とした滑動面(11b、12b)を有することを特徴とする
請求項10に記載のランナー。 - 各シュー(10)は2つのストップ部(64)間に配置して雌レール部材(6)及び対応する転がり軸受け素子と協働するように構成したことを特徴とする請求項11に記載のランナー。
- 請求項1に記載の車両シート用ランナー(5)を介して車両の床(3)にシート本体(2)を接続したことを特徴とする車両シート(1)。
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