JP4082836B2 - 樹脂組成物及びこれらの硬化物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のウレタンオリゴマー(A)と希釈剤(B)を含有し、プリント配線板用樹脂組成物として有用な樹脂組成物及びその硬化物に関する。更に詳細には、フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、保護膜(カバーレイ)形成用メッキレジスト、多層プリント配線板用層間電気絶縁材料として有用な、現像性に優れ、その硬化皮膜が、密着性、可撓性(屈曲性)、半田耐熱性、耐薬品性、耐金メッキ性等に優れた硬化物を与える樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上にスクリーン印刷などの方法によって形成した配線(回路)パターンを外部環境から保護したり、電子部品をプリント配線板に表面実装する際に行われるはんだ付け工程において、不必要な部分にはんだが付着しないように保護するために、カバーコートもしくはソルダーマスクと呼ばれる保護層をプリント配線板上に被覆することが行われている。従来、かかる用途に使用されるソルダーレジストインキとしては、主として多官能エポキシ樹脂系のものが使用されてきたが、得られる硬化膜は耐熱性は良好であるが可撓性が低いという問題があった。従って、このようなソルダーレジストインキは、硬化膜の可撓性(屈曲性)が要求されないリジット板のその用途が限定され、近年使用されることが多くなってきたフレキシブルプリント配線板(FPC)への使用は困難である。
【0003】
前記のような事情から、近時、可撓性を有するレジストインキとして数多くの提案がなされている。例えば、特開平2−269166号にはポリパラバン酸、エポキシ樹脂及び極性溶媒からなる熱硬化型のソルダーレジストインキが、また特開平6−41485号にはポリパラバン酸とフェノキシ樹脂を必須成分とする熱乾燥型のソルダーレジストインキが提案されている。しかしながら、これらのソルダーレジストは、スクリーン印刷によってレジストパターンを形成するものであるため、スクリーンの線幅等が制限されるなど、今日の高密度化に伴う微細な画像形成への対応は困難である。このため近年においては、特開平2−173749号、特開平2−173750号、特開平2−173751号等にみられるような写真現像型のものの提案もみられるが、未だ充分な可撓性を付与するまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、今日のプリント回路の高密度化に対応し得る微細な画像を活性エネルギー線に対する感光性に優れ、露光及び有機溶媒、水又は希アルカリ水溶液による現像により形成できると共に、後硬化(ポトスキュア)工程で熱硬化させて得られる硬化膜が可撓性に富み、はんだ耐熱性、耐熱劣化性、無電解金メッキ耐性、耐酸性及び耐水生等に優れた皮膜を形成するような有機溶媒、水又はアルカリ現像型の特にフレキシブルプリント配線板用レジストインキに適する樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記のような課題を解決するために、特定のウレタンオリゴマー(A)と希釈剤(B)を含有した樹脂組成物を使用することにより前記課題を達成出来ることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。即ち、本発明によれば、(1)ビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)と任意成分として(a)成分以外のポリオール化合物(b)と分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)とポリイソシアネート化合物(d)とエチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)を反応させて得られるウレタンオリゴマー(A)と基釈剤(B)を含有する樹脂組成物、(2)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(g)と多塩基酸無水物(c−2)との反応物である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)を含有する(1)記載の樹脂組成物、(3)ウレタンオリゴマー(A)の酸価が1〜200mgKOH/gである(1)または(2)に記載の樹脂組成物、(4)熱可塑性重合体(D)を含有する(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、(5)光重合開始剤(E)を含有する(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、(6)熱硬化成分(F)を含有する(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、(7)フレキシブルプリント配線板用の(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。(8)(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、上記のウレタンオリゴマー(A)と上記の希釈剤(B)との混合物である。ここで使用されるウレタンオリゴマー(A)の分子量は、重量平均分子量として、800〜100,000が好ましく、またその酸価は1〜200mgKOH/gが好ましい。
【0007】
本発明で用いられるウレタンオリゴマー(A)は、前記したようにビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)と任意成分として(a)成分以外のポリオール化合物(b)と分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)とポリイソシアネート化合物(d)とエチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)を反応させて得ることができる。
【0008】
ポリオール化合物(b)としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリシリコンポリオール、フェノーリックポリオール及び/又は難燃ポリオール等が挙げられる。
【0009】
アルキルポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0010】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1.9−ノナンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等ジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0011】
付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0012】
ポリエーテルポリオールとしては、PEG系、PPG系、PTG系ポリオール等が挙げられる。PEG系ポリオールは、活性水素を有する化合物を反応開始剤として、エチレンオキサイドを付加重合させたもので、分子量は100〜100,000が好ましい。PPG系ポリオールは、活性水素を有する化合物を反応開始剤として、プロピレンオキサイドを付加重合させたもので、分子量は100〜100,000が好ましい。PTG系ポリオールは、テトラヒドロフランのカチオン重合によって合成され、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0013】
上記ポリエーテルポリオール以外のポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノールAのエチレンキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0014】
その他のポリオールとして、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルとそれ以外の(メタ)アクリル酸エステルの共重合物である(メタ)アクリルポリオール、ブタジエンの共重合物で末端にヒドロキシル基を有するホモ又はコポリマーである、ポリブタジエンポリオール、ヂメチルシロキサンの両末端アルキルアルコールなどのポリシリコンポリオール、分子内にフェノールを含有するフェノーリックポリオール、エポキシポリオール、リン原子、ハロゲン原子等を含有する難燃ポリオール等が挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。これらポリオール化合物は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
分子中に少なくとも2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)としては、1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物が好ましく、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
ポリイソシアネート化合物(d)としては、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等が挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
エチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン酸2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート等の(メタ)アクリレート系モノヒドロキシ化合物が挙げられ、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
本発明で用いられるウレタンオリゴマー(A)は、例えば以下の様にして調製することができる。まず、ビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)と任意成分として(a)成分以外のポリオール化合物(b)の混合物と分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)を反応させてカルボキシ基含有末端アルコール化合物を調製し、次いでポリイソシアネート化合物(d)を反応させてカルボキシル基含有末端イソシアネートウレタンプレポリマーとし、その後エチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)を反応させる。
【0019】
カルボキシル基含有末端アルコール化合物は、ビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)と任意成分として(a)成分以外のポリオール化合物(b)の混合物の水酸基1当量に対して、分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)の0.5〜0.99当量(酸無水物当量として)反応させるのが好ましい。(a)成分と(b)成分の混合割合は、(a)成分、100部に対して(b)成分を0〜900部が好ましく、特に好ましくは0〜100部である。このエステル化反応の反応温度は通常60〜150℃、反応時間は1〜10時間が好ましい。又、反応触媒としてトリフェニルホスフィン、トリエチルアミン等の塩基性化合物を0.05〜5重量%添加することもできる。
【0020】
次いで、カルボキシル基含有末端アルコ−ル化合物にポリイソシアネ−ト化合物(d)を反応させプレポリマ−を得る。前記、カルボキシル基含有末端アルコ−ル化合物の水酸基1当量に対して、ポリイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基は1.1〜2.1当量反応させるのが好ましい。プレポリマ−化反応の反応温度は、通常、常温〜100℃、好ましくは50〜90℃である。
【0021】
この様にして得られた末端イソシアネ−トウレタンプレポリマ−のイソシアネ−ト基1当量に対して、エチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物()の水酸基の0.9〜1.5当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは1.0〜1.1当量である。反応度は、通常、常温〜100℃、好ましくは50〜90℃である。この反応中にラジカル重合によるゲル化を防ぐために、通常、50〜2000ppmのハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、P−メトキシフェノ−ル、P−ベンゾキノン等の重合禁止剤を添加するのが好ましい。これら水酸基とイソシアネ−ト基の反応は無触媒で進行するが、例えば、トリエチルアミン、ジブチルスズラウレ−ト、ジブチルスズジアセテ−ト等の触媒を添加しても良い。なお、この反応時に希釈剤を加えるのが好ましい。
【0022】
希釈剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;1.4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ブチルセロソルブアセテ−ト、カルビト−ルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト等のグリコ−ル誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、及び石油エ−テル、石油ナフサなどの石油系溶剤等の有機溶剤類やカルビト−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、アクリロイルモルホリン、ビスフェノ−ルAポリエトキシジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジトリメチロ−ルプロパンテトラ(メタ)アクリレ−ト、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレ−ト等の光重合性モノマ−類等を挙げることができる。これら希釈剤は、1種又は2種以上を加えても良い。
【0023】
本発明では、希釈剤(B)を用いる。例えば、前記の有機溶剤類、光重合性モノマ−類やメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル等の水酸基含有有機溶剤類及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有光重合性モノマ−類等を挙げることができる。これら希釈剤は、1種又は2種以上を加えても良い。
【0024】
本発明の樹脂組成物に含まれる(A)及び(B)成分の量は、(A)+(B)合計で組成物中10〜80重量%が好ましく、特に20〜70重量%が好ましく、又、(A)と(B)の使用割合は、(A)が20〜95重量%、(B)が5〜80重量%が好ましい。
【0025】
本発明では、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)を使用しても良い。不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)は、前記したように1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(g)と多塩基酸無水物(c−2)との反応生成物である。
【0026】
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)としては、例えば、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、
【0027】
【化1】
Figure 0004082836
【0028】
(式(1)中、Xは−CH2−又は−C(CH3)2−であり、nは1以上の整数であり、Mは水素原子又は下記式(G)を示す。
【0029】
【化2】
Figure 0004082836
【0030】
但し、nが1の場合Mは式(G)を示し、nが1より大きい場合、Mの少なくとも1個は式(G)を示し残りは水素原子を示す。)
ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂、フェノ−ル・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ル・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノ−ルメタン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビキレノ−ル型エポキシ樹脂、ビフェノ−ル型エポキシ樹脂などのグリシジルエ−テル類;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの脂環式エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマ−酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン類;トリグリシジルイソシアヌレ−トなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられるが、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。なお、一般式(1)におけるnはエポキシ当量から計算される。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(f)は、一般式(1)において、Mが水素原子である原料エポキシ化合物(e’)のアルコ−ル性水酸基とエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンを反応させることにより得ることができる。原料エポキシ化合物は市販されており、例えばエピコ−トシリ−ズ(エピコ−ト1009、1031:油化シェルエポキシ(株)製)、エピクロンシリ−ズ(エピクロンN−3050、N−7050:大日本インキ化学工業(株)製)、DERシリ−ズ(DER−642U、DER−673MF:ダウケミカル(株)製)等のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、YDFシリ−ズ(YDF−2004、2007:東都化成(株)製)等のビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂等があげられる。
原料エポキシ化合物(e’)とエピハロヒドリンの反応は、好ましくはジメチルスルホキシドの存在下に、行われる。エピハロヒドリンの使用量は、原料エポキシ化合物におけるアルコ−ル性水酸基1当量に対して1当量以上使用すれば良い。しかしながらアルコ−ル性水酸基1当量に対して15当量を超えると増量した効果はほとんどなくなる一方、容積効率が悪くなる。
【0031】
反応を行う際に、アルカリ金属水酸化物を使用する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば苛性ソ−ダ、苛性カリ、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどが使用できるが苛性ソ−ダが好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、前記原料エポキシ化合物(e’)のエポキシ化したいアルコ−ル性水酸基1当量に対してほぼ1当量使用すれば良い。前記、原料エポキシ化合物(e’)のアルコ−ル性水酸基を全量エポキシ化する場合は過剰に使用しても構わないが、アルコ−ル性水酸基1当量に対して2当量を超えると若干高分子化が起こる傾向にある。
【0032】
反応温度は、30〜100℃が好ましい。反応温度が30℃未満であると反応が遅くなり長時間の反応が必要となる。反応温度が100℃を超えると副反応が多く起こり好ましくない。
【0033】
反応終了後、過剰のエピハロヒドリン及びジメチルスルホキシドを減圧下留去した後、有機溶剤に生成樹脂を溶解させアルカリ金属水酸化物で脱ハロゲン化水素反応を行うこともできる。
【0034】
エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(g)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマ−、などが挙げられ、なかでも(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0035】
前記、エポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(b)を反応させ、エポキシ(メタ)アクリレ−ト化合物を得る。エポキシ樹脂のエポキシ基の1当量に対して(g)成分の総量のカルボキシル基の0.3〜1.2当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、0.9〜1.05当量である。
【0036】
反応時又は反応後に、希釈溶剤として、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ブチルセロソルブアセテ−ト、カルビト−ルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト等のグリコ−ル誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノ−ルなどの脂環式炭化水素及び石油エ−テル、石油ナフサなどの石油系溶剤等の溶剤類の1種又は2種以上を加えてもとい。
【0037】
更に、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチビン、トリフェニルホスフィン等があげられる。その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは、0.1〜10重量%、特に好ましくは、0.3〜5重量%である。
【0038】
反応中、エチレン性不飽和基の重合を防止するために、重合防止剤を使用することが好ましい。重合防止剤としては例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等があげられる。その使用量は、反応原料混合物に対しては好ましくは、0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。反応温度は、60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃である。又、反応時間は好ましくは5〜60時間である。
【0039】
次いで、多塩基酸無水物(c−2)を反応させる。多塩基酸無水物(c−2)としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサドロ無水フタル酸等があげられる。その使用量は、前記エポキシ(メタ)アクリレ−ト中の水酸基に対して、水酸基1当量あたり、前記の多塩基酸無水物の好ましくは0.05〜1.00当量反応させる。反応温度は、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜100℃である。その使用量は、前記(A)と(B)成分の総重量100重量部に対して0〜400重量部、好ましくは10〜300重量部となる割合が適当である。
【0040】
本発明では、熱可塑性重合体(D)を使用しても良い。熱可塑性重合体(D)としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これら熱可塑性重合体(D)には、カルボキシル基を有する重合体とカルボキシル基を有しない重合体があるが、好ましくは、カルボキシル基を有する重合体が好ましく用いることができる。より具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、ジメチルアミノエチルアクリレ−ト、スチレン/マレイン酸共重合体のハ−フエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0041】
(D)成分の重量平均分子量は、10,000〜300,000とすることが好ましい。この重量平均分子量が10,000未満では、本発明の樹脂組成物をフィルム状にする場合、フィルム性が低下する傾向があり、300、000を超えると現像性が低下する傾向がある。また、(D)成分のカルボキシル基含有率は、0〜50モル%であることが好ましい。より好ましくは、15〜50モル%である。(D)成分は、アルカリ水溶液に可溶又は膨潤可能であることが好ましい。
【0042】
その使用量は、前記(A)と(B)成分の総重量100重量部に対して0〜400重量部、好ましくは10〜300重量部となる割合が適当である。
【0043】
本発明では、光重合開始剤(E)を使用しても良い。光重合開始剤(E)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインプロピルエ−テル、ベンゾインイソブチルエ−テル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−タ−シャリ−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントキン、2−イソプロピルチオキサントキン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタ−ル、ベンジルジメチルケタ−ルなどのケタ−ル類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらは、単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノ−ルアミン、メチルジエタノ−ルアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができる。
【0044】
光重合開始剤(E)の使用量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の総重量100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは2〜15重量部となる割合が好ましい。
【0045】
本発明は、上述した各成分に更に硬化系成分として、熱硬化成分(F)を用いることが好ましく、これを用いることにより、半田耐熱性や電気特性に優れたプリント配線板用材料とすることができる。本発明で用いる熱硬化成分(F)としては、ウレタンオリゴマ−(A)や不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)と熱硬化する官能基を分子中に有するものであればよく、特に特定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物、フェノ−ル化合物などを挙げる事ができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂、フェノ−ル・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ル・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノ−ルメタン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビキレノ−ル型エポキシ樹脂、ビフェノ−ル型エポキシ樹脂などのグリシジルエ−テル類;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの脂環式エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマ−酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルジアミン類;トリグリシジルイソシアヌレ−トなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、融点が50℃以上のエポキシ樹脂が乾燥後タックのない光重合性皮膜を形成することができ好ましい。
【0046】
メラミン化合物としては、メラミン、メラミンとホルマリンとの重縮合物であるメラミン樹脂が挙げられる。尿素化合物としては、尿素、尿素とホルマリンの重縮合物である尿素樹脂などが挙げられる。
【0047】
オキサゾリン化合物としては、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−フェニル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニルオキサゾリン等が挙げられる。
【0048】
フェノ−ル化合物としては、例えば、フェノ−ル、クレゾ−ル、キレノ−ル、カテコ−ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロ−ル、レゾ−ルなどが挙げられる。
【0049】
これらの熱硬化成分(F)の中でも特に(A)や(C)成分中のカルボキシル基との反応性に優れ、かつ銅との密着性も良好である点からエポキシ樹脂が好ましい。
【0050】
上記熱硬化成分(F)の使用量の好適な範囲は、通常、前記(A)や(C)成分中のカルボキシル基1個当り、該熱硬化成分(F)の官能基が0.2〜3.0当量となる割合である。なかでもプリント配線板にした際の半田耐熱性や電気特性に優れる点から1.0〜1.5当量となる割合が好ましい。
【0051】
また、上記熱硬化成分(F)としてエポキシ樹脂を使用する場合は、前記(A)や(C)成分中のカルボキシル基との反応を促進するためにエポキシ樹脂の硬化促進剤を用いることが好ましい。エポキシ樹脂の硬化促進剤としては具体的には、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−3−メチルイミダゾ−ル、2−ウンデシルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル、等のイミダゾ−ル化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、エチルジアミノトリアジン、2,4−ジアミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリルトリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリルトリアジン等のトリアジン誘導体;トリメチルアミン、トリエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、ピリジン、m−アミノフェノ−ル等の三級アミン類;ポリフェノ−ル類などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独または併用して使用する事が出来る。
【0052】
さらに、本発明では、前記したウレタンオリゴマ−(A)、希釈剤(B)、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)、熱可塑性重合体(D)、光重合開始剤(E)及び熱硬化成分(F)に、さらに必要に応じて各種の添加剤、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、クレ−などの充填剤、アエロジルなどのチキソトロピ−付与剤;フタロシアニンブル−、フタロシアニングリ−ン、酸化チタンなどの着色剤、シリコ−ン、フッ素系のレベリング剤や消泡剤;ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テルなどの重合禁止剤などを組成物の諸性能を高める目的で添加することが出来る。
【0053】
なお、前記のような(F)成分は、予め前記、樹脂組成物に混合してもよいが、プリント回路板への塗布前に混合して用いるのが好ましい。すなわち、前記、(A)や(C)成分を主体とし、これにエポキシ硬化促進剤等を配合した主剤溶液と、前記(F)成分を主体とした硬化剤溶液の二液型に配合し、使用に際してこれらを混合して用いることが好ましい。
【0054】
本発明の樹脂組成物は、液状で電子部品の層間の絶縁材として、またプリント基板用のソルダ−レジスト等のレジストインキとして有用である他、塗料、コ−ティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0055】
本発明の硬化物は、紫外線等のエネルギ−線照射により上記の本発明の樹脂組成物を硬化させたものである。紫外線等のエネルギ−線照射による硬化は常法により行うことができる。例えば紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レ−ザ−(エキシマレ−ザ−等)等の紫外線発生装置を用いればよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、例えば永久レジストやビルドアップ工法用の層間絶縁材としてプリント基板のような電気・電子部品に利用される。この硬化物層の膜厚は通常0.5〜160μm程度で、1〜60μm程度が好ましい。
【0056】
本発明のプリント配線板は、例えば次のようにして得ることができる。即ち、液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント配線用基板に、スクリ−ン印刷法、スプレ−法、ロ−ルコ−ト法、静電塗装法、カ−テンコ−ト法等の方法により通常5〜160μmの膜圧で本発明の組成物を塗付し、塗膜を通常〜110℃、好ましくは60〜100℃の温度で乾燥させることにより、タックフリ−の塗膜が形成できる。その後、ネガフィルム等の露光パタ−ンを形成したフォトマスクを塗膜に直接に接触させ(又は接触しない状態で塗膜の上に置く)、紫外線を通常10〜2000mJ/cm2程度の強さで照射し、未露光部分を後述する現像液を用いて、例えばスプレ−、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等により現像する。その後、必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で加熱処理をすることにより、可撓性に優れ、レジスト膜の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性、電気特性等の諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント配線板が得られる。
【0057】
上記、現像に使用される有機溶剤としては、例えばトリクロロエタン等のハロゲン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;ブチルセロソルブアセテ−ト、カルビト−ルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト等のグリコ−ル誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノ−ルなどの脂環式炭化水素及び石油エ−テル、石油ナフサなどの石油系溶剤等の溶剤類、水、アルカリ水溶液としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。また、光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプなどが適当である。その他、レ−ザ−光線なども露光用活性光として利用できる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」を示す。
【0059】
(ウレタン(メタ)アクリレ−ト(A)の合成例)
合成例1
ビフェニル−4,4’−ジメタノ−ル428g、ポリテトラメチレングリコ−ル(水酸基価112、平均分子量1000)1000g無水ピロメリット酸436g及びカルビト−ルアセテ−ト550.8gを仕込み、100℃で10時間反応し、固形分の水酸基価;60mgKOH/g、固形分の酸価;120.4mgKOH/gの、カルボキシル基含有末端アルコ−ル化合物を得た。次いで、トリレンジイソシアネ−ト261gを仕込み、イソシアネ−ト基濃度が1.74%になるまで、85℃で約15時間反応させた。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト122g、メトキシフェノ−ル1.4gを仕込み85℃で約10時間反応させ、イソシアネ−ト濃度が0.3%になったところで反応を終了し、重量平均分子量が約6300(GPC法による)で固形分の酸価が100mgKOH/gのカルビト−ルアセテ−ト20重量%含有のウレタンオリゴマ−(A−1)を得た。
【0060】
(不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(C)の合成例)
合成例2
前記、一般式(1)においてXが−CH2−、Mが水素原子である原料エポキシ化合物の平均の重合度nが6.2であるビスフェノ−ルF型エポキシ化合物(エポキシ当量950g/eq、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下で70℃で98.5%NaOH60.9部(1.5モル)を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半及び過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、次いでジメチルスルホキシドを留去し、副生塩を含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノ−ルF型エポキシ化合物におけるアルコ−ル性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部及びカルビト−ルアセテ−ト251部を仕込み、90℃に加熱攪拌し、溶解した。得られた溶液を60℃まで冷却し、アクリル酸60部、ダイマ−酸(酸価(mgKOH/g)=196)97部、メチルハイドロキノン0.8部、トリフェニルホスフィン2.5部を加え、80℃で加温溶解し、98℃で35時間反応させ、酸価が0.5mgKOH/g、固形分が65%であるエポキシアクリレ−トを得た。次いで、このエポキシアクリレ−ト718.5部、無水コハク酸100部、カルビト−ルアセテ−ト54部を仕込み、90℃で6時間反応し、固形分酸価が99mgKOH/g、固形分が65%である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(−1)を得た。
【0061】
(熱可塑性重合体(D)の合成例)
合成例3
メチルセロソルブ/トルエン=重量比で3/2溶液の121.5gをフラスコに入れておき、85℃に昇温し1時間放置した。
次に、メタクリル酸13.5g、メタクリル酸メチル46.8g、アクリル酸エチル38.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト3.2g、アクリル酸2−エチルヘキシル1.5g、アゾビスイソブチロニトリル0.17g、メチルセルソルブ18.7g及びトルエン12.5gの溶解後を4時間で滴下反応させた。その後メチルセロソルブ7.1gを加え2時間保温し、メタクリル酸0.6g、アゾビスイソブチロニトリル0.54g、メチルセロソルブ2.9g及びトルエン1.9gの溶解液を添加し更に2時間保温した。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.024gをメチルセロソルブ1.2gに溶解した溶液を添加して5時間保温後、ハイドロキノン0.01gを加え冷却し、平均分子量84000、不揮発分38.5重量%の固形分酸価(mgKOH/g)85のカルボキシル基を有する熱可塑性重合体を得た。
【0062】
実施例1〜12,比較例1〜4、前記合成例1,2及び3樹脂で得られた(A−1),(C−1)及び(D−1)を表1に示す配合割合で混合し、次いで、光重合開始剤(E)(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製,イルガキュアー907:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン10部及びジエチルチオキサントン1.2部)、希釈剤(B)(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA;ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物)16部、充填剤(微粉シリカ)10部、エポキシ硬化促進剤(メラミン)1.2部、シリコン系消泡剤(信越化学工業社製、KS−66)1.0部を表1に示す組み合わせで配合し、三本ロールミルを用いて混練して主剤(配合成分(XA−1)〜(XA−3),及び(XX−1))を調製した。一方、表2に示す割合で熱硬化成分(F)(エポキシ樹脂)を硬化剤として用いた(配合成分(H−1)〜(H−4))。使用に際しては、上記主剤と硬化剤を表3に示す組合せて混合してソルダーレジスト組成物(D−1)を調製した。
【0063】
Figure 0004082836
【0064】
Figure 0004082836
【0065】
注)
*1;エピコート1001:油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂(カルビトールアセテート含有、固形分濃度75%)
*2;YR−528:東都化成(株)製、ゴム変性エポキシ樹脂
*3;YK−4000:油化シェルエポキシ社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂
*4;DEN−438:ダウケミカル社製、フェノールノボラックエポキシ樹脂
【0066】
評価方法:得られた各レジスト組成物の評価は、次のようにして行った。即ち、表3に示す各実施例及び比較例のレジスト組成物をスクリーン印刷によりプリント回路基板(イミドフィルムに銅箔を積層したもの)に塗布し、80℃で20分乾燥した。その後、この基板にネガフィルムを当て、所定のパターン通りに露光機を用いて500mJ/cm2の積算露光量で紫外線を照射し、有機溶剤又は1wt%Na2CO3水溶液で現像を行い、さらに150℃で50分熱硬化して試験基板を作製した。得られた試験基板について、アルカリ現像性、はんだ耐熱性、可撓性、耐熱劣化性、及び無電解金メッキ耐性の特性評価を行った。その結果を表3に示す。なお、評価方法及び評価基準は、次の通りである。
【0067】
(1)現像性:80℃で60分間塗膜の乾燥を行い、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液でのスプレー現像による現像性を評価した。
○・・・・目視により残留物無し。
×・・・・目視により残留物有り。
【0068】
(2)はんだ耐熱性:試験基板にロジン系フラックスを塗布して260℃の溶融はんだに10秒間浸漬した後、セロハン粘着テ−プで剥離したときの硬化膜の状態で判定した。
○・・・・異常なし。
×・・・・剥離あり。
【0069】
(3)可撓性:試験基板を180度べた折り曲げ時の状態で判断した。
○・・・・亀裂無し。
△・・・・やや亀裂有り。
×・・・・折り曲げ部に亀裂が入って硬化膜が剥離した。
【0070】
(4)耐熱劣化性:試験基板を125℃で5日間放置した後、180度べた折り曲げ時の状態で判断した。
○・・・・亀裂無し。
△・・・・やや亀裂有り。
×・・・・折り曲げ部に亀裂が入って硬化膜が剥離した。
【0071】
(5)無電解金メッキ耐性:以下のように試験基板に金メッキを行った後、セロハン粘着テ−プで剥離したときの状態で判定した。
○・・・・異常なし。
△・・・・若干剥離あり。
×・・・・剥離なし。
【0072】
無電解金メッキ方法:試験基板を30℃の酸性脱脂液((株)日本マクダ−ミッド製、MetexL−5Bの20Vol/%水溶液)に3分間浸漬して脱脂し、次いで、流水中に3分間浸漬して水洗した。次に試験基板を14.3wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬し、ソフトエッチを行い、次いで流水中に3分間浸漬して水洗した。10Vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで試験基板を30℃の触媒液((株)メルテックス製、メタルプレ−トアクチベ−タ−350の10Vol%水溶液)に7分間浸漬し、触媒付与を行った後、流水中に3分間浸漬して水洗した。触媒付与を行った試験基板を、85℃のニッケルメッキ液の20Vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬して、無電解ニッケルメッキを行った。10Vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで、試験基板を95℃の金メッキ液((株)メルテックス製、オウロレクトロレスUP15Vol%とシアン化金カリウム3Vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬して無電解金メッキを行った後、流水中に3分間浸漬して水洗し、また60℃の温水に3分間浸漬して湯洗した。十分に水洗後、水をよく切り、乾燥し、無電解金メッキした試験基板を得た。
【0073】
Figure 0004082836
【0074】
Figure 0004082836
【0075】
Figure 0004082836
【0076】
Figure 0004082836
【0077】
表3に示す結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物は良好なアルカリ現像性を示し、又ハンダ耐熱性、可撓性、耐熱劣化性及び無電解金メッキ性に優れた硬化膜を与える。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、硬化物の可撓性や半田耐熱性、耐熱劣化性、無電解金メッキ耐性に優れ、有機溶剤又は希アルカリ溶液で現像ができ、ソルダ−レジスト用及び層間絶縁層用に適する樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物は、プリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板のソルダ−レジスト用及び層間絶縁層用に適する

Claims (9)

  1. ビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)とポリイソシアネート化合物(d)とエチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)を反応させて得られるウレタンオリゴマー(A)と希釈剤(B)を含有する樹脂組成物。
  2. ビフェニル−4,4’−ジメタノール(a)とポリオール化合物(b)としてポリエステルポリオール化合物又はポリエーテルポリオール化合物と分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物(c−1)とポリイソシアネート化合物(d)とエチレン性不飽和基含有モノヒドロキシ化合物(e)を反応させて得られるウレタンオリゴマー(A)と希釈剤(B)を含有する樹脂組成物。
  3. 1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(g)と多塩基酸無水物(c−2)との反応物である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂()を含有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. ウレタンオリゴマー(A)の酸価が1〜200mgKOH/gである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 熱可塑性重合体(D)を含有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 光重合開始剤(E)を含有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 熱硬化成分(F)を含有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. フレキシブルプリント配線板用の請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物にエネルギー線を照射することを特徴とする硬化物の製造法
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