JP4082646B2 - 排土板の前方監視装置付き車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は排土板によるドージング作業時におけるその排土板前面の土砂の状況を監視する排土板の前方監視装置付き車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から建設機械の前方作業機における掘削状態を認識する技術として次のものがある。例えば、特開平7−42201号公報では、バケット装置の両側面に土が入り込んだか否かを、光ファイバーを介して、運転室内の光送受信装置に光信号を受発信する構成により、ほぼ満杯になれば、その状態を警告する警報装置を設けたものがある。
さらに、特開平9−209394号公報では、土工板に掘削土が押しつける水平分力と垂直分力との力関係から、土工板前方の土工量をコンピュータ解析して掘削状態における土工量を演算し、履帯がシュースリップしないように、土工量の多さを逐次演算しながら必要に応じて、土工板の上下操作或いは刃先角度を可変する技術がある。
しかしながら、従来の技術はバケット装置内の掘削土の満杯量を把握したり、ブレード装置による掘削土工量を演算するものであり、いずれも建設機械の前方作業機における掘削状態を認識する技術ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にブルドーザにおけるドージング作業では、排土板前面の土砂の巻き込み状態を認識することは困難で、ベテランオペレータの技量に頼るところが多く、初心者には排土板の刃先角度の調整が困難であった。
すなわち、ブルドーザの排土板による掘削・整地作業において、実際の掘削中における土砂の巻き込み状況が見えないというのが最大のネックとなっている。
【0004】
排土板前面の掘削土の巻き込み状態が目視確認できないという課題を解決するために、オペレータが運転席に着座した状態で、車両前方に設置した排土板の前方監視装置により、排土板の前方を撮影し、撮影した画像を画像表示装置の表示画面で、排土板による掘削時の土砂の巻き込み状態を視認できる排土板の前方監視装置付き車両を提供することである。
【0005】
すなわち、排土板の上方に前方監視装置例えば、テレビカメラを設置し、このテレビカメラは運転室での遠隔操作により、垂直及び水平方向に移動可能にし、排土板での掘削状態の中央部或いは左右側部、もしくはコーナ部のカッテングエッジ部を撮影した画像を、運転室内前方に設置した画像表示装置(デイスプレイ装置)に画像を表示するものを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、前側に排土板を有する車両であって、
前記排土板を、伸縮により上下動させるリフトシリンダと、
前記リフトシリンダによる排土板の上下動の位置を検出する位置検出手段と、
前記排土板を、伸縮により左右にチルトさせるチルトシリンダと、
前記排土板の前方を撮影可能に車両前方位置に設置された前方監視装置と、
前記前方監視装置を、排土板の前方中央部位置から前方左右側部位置及び前方上下方向位置を撮影可能とするように移動する移動機構と、
前記前方監視装置が撮影方向を向くように指令信号を、前記移動機構に出力するコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記位置検出手段の信号を受けて、前記排土板による掘削位置を演算し、該演算結果に基づいて前記前方監視装置が前述の掘削位置に向くように撮影高さ方向の指令信号を前記移動機構に出力すると共に、前記チルトシリンダの作動により排土板の前方左右側部位置を撮影する指令信号を前記移動機構に出力し、
前記前方監視装置により撮影した画像を表示しうる画像表示装置を前記車両の運転室内に設けたことを特徴とする排土板の前方監視装置付き車両である。
【0011】
【作用】
請求項1に記載された、車両前方位置に排土板の前方を撮影可能な前方監視装置を設置し、撮影した画像を表示しうる画像表示装置を運転室内に設けた排土板の前方監視装置付き車両によれば、排土板の掘削・整地作業において、排土板前面の土砂の巻き込み状況がわかり、作業が向上し、作業時の安全性が確保される。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1に示す図面を参照して詳述する。
図1は前方監視装置付き車両の斜視図であり、車体1と左右の走行体2と排土板3等から排土板の前方監視装置付き車両を構成している。
前記車体1には運転室4が設けられ、この運転室4内に座席が取り付けてある。前記走行体2はトラックフレーム6にスプロケット7とアイドラ8を取付け、このスプロケット7とアイドラ8に履体9を掛ける。
前記トラックフレーム6にフレーム10が前方に向けて上下揺動自在に連結する。このフレーム10に排土板3の背面左右両側下部が球継ぎ手などで揺動自在に連結してある。
フレーム10と排土板3の背面とに亘ってチルトシリンダが連結してある。(チルトシリンダは車体右側にある。)このチルトシリンダを伸縮作動することで排土板3が左右にチルトする。
【0017】
車体1の左右両側部と排土板3の背面とに亘ってリフトシリンダ12がそれぞれ取り付けてある。このリフトシリンダ12は車体1に揺動自在に取付けたヨーク13に揺動自在に取付けてあり、このリフトシリンダ12を伸縮することにより排土板が上下動し、かつリフトシリンダ12が揺動する。排土板3の上部左右中央部分には取付用部材14が設けられ、この取付用部材14に移動機構15を介して前方監視装置(テレビカメラ)16が下向きに取付けてある。
【0018】
前記移動機構15は図2に示すように、第1ブラケット17と第2ブラケット18と第3ブラケット19を備え、第1ブラケット17が取付用部材14にボルト20等で取り付けられる。
第2ブラケット18は第1ブラケット17に第1軸21で上下回転自在に取り付けられ、第1ブラケット17に取り付けた第1モータ22で第2ブラケット18が上下に揺動する。
第3ブラケット19は第2軸23で第2ブラケット18に左右回転自在に取り付けられ、第2ブラケットに取り付けた第2モータ24で第3ブラケット19が左右に揺動する。
前方監視装置(テレビカメラ)16は第3ブラケット19に下向きに取り付けてあり、その撮影部(レンズ)16aが下向きである。
【0019】
第1モータ22を駆動することで前方監視装置(テレビカメラ)16は図3に矢印で示すように上下方向に揺動し、排土板3の前面3aの上下方向任意の位置を撮影する位置に移動する。
【0020】
なお、図4に示すように、前方監視装置の取付用部材14に受け板14aを設けた場合には、掘削した土砂が排土板の下方から上方に巻き上がってきて、前方監視装置の受け板14aに当接し、自動的に前方監視装置を排土板後方に移動する。
この場合、排土板の土砂が排土板の下方から上方に巻き上がってきて、前方監視装置の受け板14aに当接し、そして、受け板14aを押し上げ、前方監視装置を排土板後方に移動させる。
受け板14aにはトーションスプリング等で付勢されており、土砂からの圧力がなくなると元の位置に戻る。
排土板後方に移動させた時に、前方監視装置(テレビカメラ)のスイッチが自動的にオフになるような構成にする。
【0021】
また、第2モータ24を駆動することで前方監視装置(テレビカメラ)16は図5に矢印で示すように左右方向に揺動し、排土板3の前面3aにおける左右中央部分を撮影する位置及び左右端部分を撮影する位置に移動する。
前記運転室4内にデイスプレイ25が設置され、前記テレビカメラ16とデイスプレイ25はワイヤ27等で接続し、前方監視装置(テレビカメラ)16の画像がデイスプレイ25に表示される。
【0022】
図6はコントローラの説明図であり、前記第1モータ22、第2モータ24、前方監視装置(テレビカメラ)16及び画像表示装置(デイスプレイ)25はコントローラ30で制御される。
自動・手動切換レバー31を手動位置にするとコントローラ30は手動モードになる。上下揺動用レバー32を操作すると上下揺動信号がコントローラ30に入力され、その信号に基づいてコントローラ30が第1モータ22を正転、逆転駆動する。
左右揺動用レバー33を操作すると左右揺動信号がコントローラ30に入力され、その信号に基づいてコントローラ30が第2モータ24を正転、逆転する。スイッチ34をONにすると起動信号がコントローラ30に入力され、コントローラ30は前方監視装置(テレビカメラ)16及び画像表示装置(デイスプレイ)25を動作開始する。
前記各レバー31,32,33とスイッチ34は運転室4内に設けてある。運転室4内のオペレータが手動操作で前方監視装置(テレビカメラ)16及び画像表示装置(デイスプレイ)25を作動して排土板3の前方を目視認識できる。
【0023】
自動・手動切換レバー31を自動に切り換えるとコントローラ30は自動モードになる。
変速レバー35から前進信号がコントローラに30に入力されると共に、排土板操作レバー36から下げ信号が入力されると、コントローラ30は前方監視装置(テレビカメラ)16と画像表示装置(デイスプレイ)25を作動する。
排土板3を接地して前進走行(掘削・整地作業)開始すると自動的に前方監視装置(テレビカメラ)16と画像表示装置(デイスプレイ)25が作動する。
【0024】
変速レバー35から後進信号と排土板操作レバー36から上げ信号がコントローラに30に入力すると、コントローラ30は前方監視装置(テレビカメラ)16と画像表示装置(デイスプレイ)25の作動を停止する。
排土板3を地面から離して後進走行するときには前方監視装置(テレビカメラ)16と画像表示装置(デイスプレイ)25の作動が自動的に停止する。
変速レバー35から後進信号が入力されても排土板操作レバー36から下げ信号が入力されているときには前方監視装置(テレビカメラ)16と画像表示装置(デイスプレイ)25を作動する。排土板3を地面に押しつけて後進走行することで地面を平坦に掻き均すときにも排土板3の前方をオペレータが視認できる。
【0025】
前述の動作の時には排土板3が左右にチルトしていない状態であり、前方監視装置(テレビカメラ)16は左右中央部分を撮影する位置である。
排土板操作レバー36から左チルト信号又は右チルト信号がコントローラ30に入力されたとき、つまり、チルトシリンダを縮み作動して排土板3を右チルトしたとき又はチルトシリンダを伸び作動して排土板3を左チルトしたときにコントローラ30は第2モータ24を正転駆動又は逆転駆動して前方監視装置(テレビカメラ)16を排土板3の左側部分又は右側部分を撮影する位置に移動する。
これにより、排土板3を左右チルトして排土板の左側部分又は右側部分のカッテングエッジ26で硬い地面(岩盤)を掘削するときには、自動的にその掘削部分を撮影して画像表示装置(デイスプレイ)25に表示する。
【0026】
前記車体1にはヨーク13の上下回動角を検出する位置検出手段(ポテンショメータ)37が取り付けてある。
この位置検出手段(ポテンショメータ)37の検出信号はコントローラ30に入力される。コントローラ30は入力された位置検出手段(ポテンショメータ)37の検出信号、つまりリフトシリンダ12の上下揺動角度に基づいて排土板3のカッテングエッジ26の掘削位置を演算する。
コントローラ30は演算した排土板3の掘削位置に応じて第1モータ22を正転又は逆転して前方監視装置(テレビカメラ)16を上下に回動し、排土板3の前面3aを撮影する高さ方向の位置を掘削位置に応じて変更する。
例えば、排土板3の掘削位置が図7(a)のように深い場合には排土板3の前面3aの上方寄り位置Aを撮影する位置にする。
排土板3の掘削位置が図7(b)のように浅い場合には排土板3の前面3aの下方寄り位置Bを撮影する位置とする。
【0027】
次に上記車両の操作を説明する。
排土板3をリフトシリンダ12により地面に降下させ、そして、ブルドーザを前進させてドージング作業を行う。排土板の前面に沿って土砂が上がり、その土砂の上がり程度をオペレータが運転室から画像表示装置(デイスプレイ)により、見ることが出来る。排土板の土砂の抱え込み状態及び排土板左右の土砂バランスをオペレータが運転室で監視することが出来るので、効率良く、安全に作業できる。
【0028】
平坦な整地作業の場合には、テレビカメラの向ける方向は、ほぼ排土板の中央部分の画像を撮影可能にし、一方、側部の岩石掘り起こし作業には、テレビカメラの向きをコーナのカッテイングエッジの方向に回動させて、実際に見たいところの画像を撮影させる。
なお、テレビカメラにはズーム機構を内蔵させたり、また、レンズの撮影角度を標準と広角に変更可能にもできる。
【0029】
【発明の効果】
この発明は以上詳述したように、ベテランオペレータの技量に頼ることなく、初心者でも掘削土質に応じて適切な排土板の掘削角度や掘削深さを決めることができる。
また、排土板の土砂の抱え込み状態及び排土板左右の土砂バランスを運転室からオペレータ自身が感知できるので、排土作業が向上する。さらに、必要箇所に前方監視装置の向きが変えられ、オペレータが実際の作業で必要とする排土板の前方の状況がわかるので、作業時の安全が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態になる排土板が取付けられた排土板の前方監視装置付き車両の斜視図である。
【図2】移動機構の部品分解図である。
【図3】排土板の前方監視装置を取付けた排土板の側面図である。
【図4】排土板に前方監視装置を取付ける取付用部材に受け板を設けた実施の形態の側面図である。
【図5】図3の排土板の前方監視装置を取付けた排土板の正面図である。
【図6】排土板の前方監視装置付き車両の制御を説明する説明図である。
【図7】排土板の掘削状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…車体
2…走行体
3…排土板
3a…排土板の前面
4…運転室
6…トラックフレーム
7…スプロケット
8…アイドラ
10…フレーム
11…チルトシリンダ
12…リフトシリンダ
13…ヨーク
14…取付用部材
14a…受け板
15…移動機構
16…前方監視装置(テレビカメラ)
16a…撮影部(レンズ)
17…第1ブラケット
18…第2ブラケット
19…第3ブラケット
20…ボルト
21…第1軸
22…第1モータ
23…第2軸
24…第2モータ
25…画像表示装置(デイスプレイ)
26…カッテングエッジ
30…コントローラ
31…レバー(手動・自動)
32…レバー(上げ・下げ)
33…レバー(左・右)
34…スイッチ
35…変速レバー(前進・後進)
36…操作レバー(左右チルト・上下)
37…位置検出手段(ポテンショメータ)
38…トーションスプリング
A…上方寄り位置
B…下方より位置
Claims (1)
- 前側に排土板を有する車両であって、
前記排土板を、伸縮により上下動させるリフトシリンダと、
前記リフトシリンダによる排土板の上下動の位置を検出する位置検出手段と、
前記排土板を、伸縮により左右にチルトさせるチルトシリンダと、
前記排土板の前方を撮影可能に車両前方位置に設置された前方監視装置と、
前記前方監視装置を、排土板の前方中央部位置から前方左右側部位置及び前方上下方向位置を撮影可能とするように移動する移動機構と、
前記前方監視装置が撮影方向を向くように指令信号を、前記移動機構に出力するコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記位置検出手段の信号を受けて、前記排土板による掘削位置を演算し、該演算結果に基づいて前記前方監視装置が前述の掘削位置に向くように撮影高さ方向の指令信号を前記移動機構に出力すると共に、前記チルトシリンダの作動により排土板の前方左右側部位置を撮影する指令信号を前記移動機構に出力し、
前記前方監視装置により撮影した画像を表示しうる画像表示装置を前記車両の運転室内に設けたことを特徴とする排土板の前方監視装置付き車両。
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