JP4077179B2 - 廃プラスチックの油化還元装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃プラスチックを再資源化するための廃プラスチックの油化還元装置に関する。
【0002】
【従来技術及び課題】
従来、廃プラスチック(高分子廃棄物)を加熱して熱分解した後、重油(A重油相当)に還元する油化還元装置は知られている。この種の油化還元装置は、ポリエチレン,ポリステロール,塩化ビニル等の固形の廃プラスチックを比較的低温となる250℃(塩化ビニルは70℃)前後で加熱する溶解槽により溶解させ、この後、450℃(塩化ビニルは170℃)前後の高温に加熱した熱分解槽により、溶解した廃プラスチックを熱分解するとともに、気化した分解ガスを冷却して重油を得るものであり、既に、本出願人も、特開平10−219260号公報等により、このような廃プラスチックの再資源化に用いて好適な廃プラスチックの油化還元装置を提案した。
【0003】
この油化還元装置は、前面部を傾斜させて底面部側を狭くした槽本体を有し、この槽本体の内部に仕切部を設けることにより、仕切部から前方に熱分解室,仕切部から後方に溶解室,仕切部の下方に連通空間をそれぞれ形成するとともに、槽本体の内部に、上下方向及び左右方向に所定間隔毎に配し、かつ前後方向に通気路を有する複数の加熱管を設けて構成したものであり、熱分解槽は溶解槽を兼用するため、装置全体の小型コンパクト化や大幅なコストダウン等を図れるとともに、廃プラスチックに対する処理速度を速めて重油の生産性及び生産時における経済性を高めることができる。
【0004】
しかし、この油化還元装置では、槽本体の内部に上下方向及び左右方向に所定間隔毎に配した複数の加熱管を設けるため、溶解槽における十分な撹拌を行うことができず、溶解効率の低下を招くとともに、熱分解槽の内部に付着する熱分解後の滓(残渣物)を除去するのが容易でなく、清掃やメンテナンスが大変になるという解決すべき課題が存在した。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する課題を解決したものであり、廃プラスチックに対する十分な油化還元能力を確保しつつ、特に、溶解槽における溶解効率の向上と熱分解槽に対する清掃及びメンテナンスの容易化を図ることができる廃プラスチックの油化還元装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、廃プラスチックを加熱して熱分解し、発生した分解ガスGを冷却して油化する廃プラスチックの油化還元装置1を構成するに際して、第一コイル3の内側に収容した第一ルツボ4を有し、第一コイル3に高周波電流を流すことにより第一ルツボ4を誘導加熱し、第一ルツボ4に入れた廃プラスチックを溶解して溶解プラスチックを得るとともに、第一ルツボ4の内部を撹拌する撹拌機構部11を有する溶解槽2と、第二コイル6の内側に配した第二ルツボ7を有し、第二コイル6に高周波電流を流すことにより第二ルツボ7を誘導加熱し、第二ルツボ7に収容した溶解プラスチックを熱分解して分解ガスGを発生させるとともに、第二ルツボ7の内壁に付着した滓(残渣物)を掻取る掻取機構部12を有する熱分解槽5と、この熱分解槽5で発生した分解ガスG中の有害ガスを中和するPH調整槽35が付属するスクラバ34と、ポリエチレンテレフタレート成形物の熱分解時に発生するテレフタル酸を、300〔℃〕以上の高温で加熱し、かつ酸又は塩基を用いた触媒Cに接触させるテレフタル酸分解装置Mと、スクラバ34又はテレフタル酸分解装置Mからの分解ガスGを冷却して重油を得るコンデンサユニット36と、スクラバ34からの分解ガスGをテレフタル酸分解装置M又はコンデンサユニット36に供給する切換バルブ55とを備えることを特徴とする。
【0007】
この場合、好適な実施の形態により、テレフタル酸分解装置Mは、テレフタル酸を触媒Cに接触させて、ベンゼン,安息香酸及び二酸化炭素の分解生成物を得ることができる。また、高温の油Xを収容した油槽15を有し、この油槽15に発泡スチロールSを投入することにより、当該発泡スチロールSの溶融物Smを得る発泡スチロール前処理装置16sを設けることができる。なお、油Xには食用廃油を用いることができる。
【0008】
これにより、溶解槽2では、第一コイル3に高周波電流を流すことにより第一ルツボ4を誘導加熱し、第一ルツボ4自身を発熱させることにより、当該第一ルツボ4の内部を、例えば、200〜300〔℃〕程度に加熱すれば、第一ルツボ4に投入した廃プラスチックを溶解することができる。この場合、第一ルツボ4の内部には障害物が存在しないため、撹拌機構部11を付設することにより、溶解した廃プラスチック(溶解プラスチック)を容易かつ十分に撹拌することができる。一方、熱分解槽5では、第二コイル6に高周波電流を流すことにより第二ルツボ7を誘導加熱し、第二ルツボ7自身を発熱させることにより、当該第二ルツボ7の内部を、例えば、400〜500〔℃〕程度に加熱すれば、第二ルツボ7に供給した溶解プラスチックを熱分解することができる。この場合、第二ルツボ7の内部には障害物が存在しないため、掻取機構部12を付設することにより、第二ルツボ7の内壁に付着した滓を容易に掻取ることができる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
まず、本実施例に係る油化還元装置1の構成について、図1〜図6を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2は、油化還元装置1のシステム構成全体を示す。この油化還元装置1は、溶解槽2と熱分解槽5を備える。溶解槽2は、図4に示すように、第一コイル3の内側に第一ルツボ4を配して構成する。この際、第一コイル3と第一ルツボ4間には所定の間隔を介在させる。第一ルツボ4は、鉄,アルミナ等によりポット状に構成し、第一ルツボ4の外面は、マグネシアスピネル等の耐火材21により覆うとともに、さらに、この耐火材21の周りをフレキシブル性を有するマイカプレート22で覆い、このマイカプレート22上に第一コイル3を装着する。そして、この第一コイル3の周りは断熱材23により覆う。これにより、第一コイル3に高周波電流を流すことにより第一ルツボ4を誘導加熱し、第一ルツボ4に入れた廃プラスチックを溶解して溶解プラスチックを得る溶解槽2が構成される。
【0012】
また、溶解槽2には、図1に示すように、第一ルツボ4の内部を撹拌する撹拌機構部11を付設する。溶解槽2は、誘導加熱により第一ルツボ4自身が発熱するため、第一ルツボ4の内部には一切の障害物が存在しない。したがって、例えば、外部に回転駆動部(駆動モータ)24を配設するとともに、第一ルツボ4の内部に当該回転駆動部24により回転する撹拌羽25を配した撹拌機構部11を設ければ、溶解した廃プラスチックを容易かつ十分に撹拌でき、溶解効率を高めることができる。
【0013】
一方、熱分解槽5は、図1に示すように、第二コイル6の内側に第二ルツボ7を配して構成する。熱分解槽5は、上述した溶解槽2に対して、大きさ(容積)を1.5〜数倍程度大きくする点を除いて、基本的な構成は同じとなる。これにより、第二コイル6に高周波電流を流すことにより第二ルツボ7を誘導加熱し、第二ルツボ7に入れた溶解プラスチックを熱分解して分解ガスGを発生させる熱分解槽5が構成される。
【0014】
また、熱分解槽5には、図1に示すように、第二ルツボ7の内壁に付着した滓(残渣物)を掻取る掻取機構部12を付設する。熱分解槽5は、誘導加熱により第二ルツボ7自身が発熱するため、第一ルツボ4と同様に、第二ルツボ7の内部には一切の障害物が存在しない。したがって、例えば、外部に回転駆動部(駆動モータ)26を配設するとともに、第二ルツボ7の内部に当該回転駆動部26により回転する掻取刃27を配した掻取機構部12を設ければ、熱分解後における内壁に付着残留した滓を容易に掻取ることができ、清掃やメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0015】
溶解槽2と熱分解槽5の設置例を図3に示す。同図中、70は設置台であり、この設置台70の上に、溶解槽2と熱分解槽5を並べて設置する。この際、溶解槽2は、支持フレーム71…により設置台70の上面よりも所定の高さだけ上方に設置する。また、溶解槽2の底面部と熱分解槽5の底面部は、傾斜した連通管72により接続し、この連通管72の中途には開閉バルブ73を付設する。なお、74は設置台70に取付けたハシゴを示す。
【0016】
一方、溶解槽2は蓋75を有し、この蓋75には、第一ルツボ4の内部に廃プラスチックを投入するための投入口(ホッパー)28を設けるとともに、蓋75には、さらに、図2に示すように、溶解槽2の内部で発生する塩素ガスを塩酸化する塩酸化処理部29,この塩酸化処理部29により得られた塩酸を中和するPH中和処理部30を順次接続する。また、必要により、投入口28には、廃プラスチックを運ぶ込むコンベア31を付設できるとともに、必要により、廃プラスチックを前処理する前処理装置16を設置できる。前処理装置16としては、固形の廃プラスチックを小さく砕くためのクラッシャや発泡スチロールを溶融化する発泡スチロール前処理装置等を用いることができる。
【0017】
前処理装置16の一例として、発泡スチロール前処理装置16sを図5に示す。発泡スチロール前処理装置16sは、油槽15を有し、この油槽15の内部には油Xを収容する。この油Xには食用廃油(植物廃油)を再利用できる。油槽15には油Xを高温(220〔℃〕程度)に加熱する加熱部91を内蔵する。この加熱部91は、コイル91cを用いた誘導加熱方式により構成できる。また、油槽15の底面には開閉バルブ92を付設した排出部93を設ける。なお、排出部93の下方には、受容器Vをセットできる。さらに、油槽15には、換気ユニット94を付設する。換気ユニット94は、油槽15の上方に配した吸気ダクト95,この吸気ダクト95から吸入される排気A中の主に臭気を除去する脱臭室96,この脱臭室96の上部に接続した排気ダクト97を備える。この場合、脱臭室96には、吸気ダクト95から吸入された排気Aを活性炭等に通過させて脱臭を行う第一脱臭部98と、この第一脱臭部98を通過した排気Aにシャワーを噴射して脱臭を行う第二脱臭部99を備える。また、排気ダクト97には、吸気ファン100を付設する。
【0018】
これにより、廃プラスチックである発泡スチロールSを、油槽15の内部に収容される油X中に投入すれば、高温に加熱された油Xにより発泡スチロールSが溶融し、これより得る溶融物Smは油槽15の底部に沈殿する。したがって、溶融物Smがある程度蓄積されたなら、開閉バルブ92を開くことにより、排出部93を通して溶融物Smを受容器Vに取出すことができる。よって、得られた溶融物Smを投入口28に投入すれば、溶融物Smには、約30〔%〕程度の油成分が含まれるため、酸化が少なくなり良好な熱分解処理を行うことができる。
【0019】
他方、熱分解槽5は蓋76を有し、この蓋76には、第二ルツボ7の内部で発生する分解ガスGを次工程(スクラバ34)に送る送気ダクト77を接続する。また、第二ルツボ7の底部中央には、排出管78を接続するとともに、この排出管78の下端出口には、残渣処理部32を接続する。なお、33は排出管78に付設した開閉バルブを示す。
【0020】
一方、送気ダクト77の先端には、PH調整槽35が付属するスクラバ34を接続するとともに、このスクラバ34の出口には、分解ガスG中のテレフタル酸を分解するテレフタル酸分解装置Mを接続する。ところで、廃プラスチックとして、ペットボトル等のポリエチレンテレフタレート(PET)成形物を熱分解した場合には、分解ガスG中にテレフタル酸が大量に含まれるため、分解ガスGを、後述するコンデンサユニット36に直接供給した際には、コンデンサユニット36の冷却によりテレフタル酸が結晶化し、コンデンサユニット36内の熱交換管に管詰まりなどの不具合が頻繁に発生する。そこで、分解ガスGをテレフタル酸分解装置Mに供給し、テレフタル酸を気相分解することにより結晶化しない低沸点化合物に変換するようにした。
【0021】
このテレフタル酸分解装置Mの具体的な構成を図6に示す。同図において、51は分解ガスGに水分Wを混合する混合部であり、この水分Wは水分量を調整する水量調整部52を介して供給される。50は分解槽であり、加熱炉(電気炉)53の中に触媒Cを収容して構成する。これにより、混合部51から付与される分解ガスGは触媒Cに接触した後に排出される。触媒Cとしては、酸又は塩基を使用し、酸としては、300〜400〔μm〕の粒状に形成したシリカルアルミナを、塩基としては、600〔℃〕で焼成し、300〜400〔μm〕の粒にした酸化カルシウム−酸化亜鉛(CaO/ZnO)を用いる。また、加熱炉53は、触媒Cに接触する分解ガスGを、500〔℃〕程度の反応温度まで加熱する能力を有する。なお、54は加熱炉53の加熱温度を制御する温調部を示すとともに、55は切換バルブを示す。
【0022】
一方、36は触媒Cを通過した分解ガスGが供給されるコンデンサユニットであり、分解ガスGは、コンデンサユニット36に冷却され、液化される。なお、図1中、37はコンデンサユニット36を冷却するためのクーリングタワー、38は冷却水を循環させる循環ポンプ、39は給水源であり、この給水源39からクーリングタワー37及び水量調整部52に給水される。また、40は貯油タンクであり、コンデンサユニット36により得られた重油が貯えられる。なお、コンデンサユニット36では重油に加えて水も生じるため、このコンデンサユニット36内には、重油と水を分離する油水分離槽やフィルタが内蔵されている。
【0023】
次に、本実施例に係る油化還元装置1における全体の動作について、図1〜図8を参照して説明する。
【0024】
まず、溶解槽2の第一コイル3及び熱分解槽5の第二コイル6に高周波電流を流し、第一ルツボ4と第二ルツボ7を誘導加熱する。この場合、第一ルツボ4の温度は廃プラスチックの溶解に必要な200〜300〔℃〕(塩化ビニルの場合は70〔℃〕)程度に設定し、第二ルツボ7の温度は溶解プラスチックの熱分解に必要な400〜500〔℃〕(塩化ビニルの場合は170〔℃〕)程度に設定する。なお、開閉バルブ74は閉じておく。
【0025】
そして、投入口28から溶解槽2の内部に廃プラスチックを投入する。この場合、廃プラスチックは、必要に応じて前処理装置16により前処理し、この後、投入口28に投入する。例えば、大きな固形の廃プラスチック(ポリエチレン,ポリステロール等)の場合には、クラッシャにより砕いて投入するとともに、発泡スチロールSの場合には、前述した発泡スチロール前処理装置16sにより溶融物Smにして投入することができる。
【0026】
一方、溶解槽2に投入された廃プラスチックは、設定された温度で加熱されることにより溶解される。この際、廃プラスチックとして塩化ビニルを投入した場合には、溶解中に塩素ガスが発生するため、発生した塩素ガスを塩酸化処理部29に供給して塩酸化し、さらに、得られた塩酸をPH中和処理部30に供給して中和する。
【0027】
また、溶解槽2内の廃プラスチックがある程度溶解したなら、撹拌機構部11における回転駆動部24を作動させ、撹拌羽25を回転させて撹拌を行う。第一ルツボ4の内部には障害物が存在しないため、溶解した廃プラスチック(溶解プラスチック)を容易かつ十分に撹拌することができ、溶解効率を高めることができる。そして、十分に溶解したなら開閉バルブ73を開き、溶解プラスチックを熱分解槽5に流し込む。
【0028】
熱分解槽5に供給された溶解プラスチックは、設定された温度で加熱されることにより熱分解される。熱分解により発生した分解ガスGは、送気ダクト77を通してスクラバ34に供給され、分解ガスG中の有害ガスが水酸化ナトリウム溶液のシャワーにより中和される。中和された分解ガスGは、テレフタル酸分解装置M又はコンデンサユニット36に供給される。この場合、廃プラスチックがペットボトル等のポリエチレンテレフタレート成形物の場合には、切換バルブ55の切換により分解ガスGをテレフタル酸分解装置Mに供給するとともに、廃プラスチックがこれ以外の場合には、切換バルブ55の切換により分解ガスGを直接コンデンサユニット36に供給する。
【0029】
次に、テレフタル酸分解装置Mの作用について説明する。テレフタル酸を含む分解ガスGが、テレフタル酸分解装置Mに供給されれば、まず、混合部51により水量調整部52から供給される適量の水分Wが分解ガスG中に添加される。この場合、水分Wは水蒸気にして混合させる。混合部51を通過した分解ガスGは、酸(シリカルアルミナ)又は塩基(酸化カルシウム−酸化亜鉛)を用いた触媒Cの中を通過する。この際、テレフタル酸を含む分解ガスGは、300〔℃〕以上の高温、望ましくは、500〔℃〕前後の温度で加熱される。これにより、テレフタル酸は、高温下で触媒Cに接触し、次工程のコンデンサユニット36に供給される。そして、コンデンサユニット36により冷却されれば、主に、ベンゼン,安息香酸及び二酸化炭素を含む分解生成物が得られる。なお、二酸化炭素はテレフタル酸のカルボキシル基の分解によるものである。
【0030】
このように、ポリエチレンテレフタレート成形物を熱分解した場合、テレフタル酸が大量に発生するが、テレフタル酸は、昇華性高沸点化合物であるため、直接コンデンサユニット36に供給した場合には、前述したように、コンデンサユニット36内で結晶化し、管詰まりなどの不具合を招くため、テレフタル酸分解装置Mを通過させることにより気相分解し、結晶化を生じない分解生成物(低沸点化合物)に変換する。
【0031】
図7には、触媒Cの中を通過する前のテレフタル酸を100〔重量%〕とした場合における加熱温度に対する分解生成物の比率を示す。なお、図7は、触媒Cとして、酸化カルシウム−酸化亜鉛を使用し、分解ガスGに混合する水分Wを0としたときのデータである。同図から明らかなように、概ね300〔℃〕以上であれば、一定の効果が得られ、500〔℃〕前後では、実質全部のテレフタル酸を分解することができる。
【0032】
また、図8には、触媒Cの中を通過する前のテレフタル酸を100〔重量%〕とした場合における混合する水分Wの量に対する分解生成物の比率を示す。なお、図8は、触媒Cとして、酸化カルシウム−酸化亜鉛を使用し、分解ガスGを加熱する温度(反応温度)を430〔℃〕にしたときのデータである。同図から明らかなように、分解ガスGに対して適量の水分Wを混合すれば、転化率は低下するが、安息香酸の選択率が高くなる。したがって、転化率を重視する場合には、混合部51により添加する水分Wの量を0にすることが望ましいが、安息香酸の選択率を重視する場合には、分解ガスGに対して適量の水分Wを混合するとともに、混合する水分Wの量を調整して選択率を任意に設定することができる。
【0033】
なお、触媒Cとして用いるシリカルアルミナと酸化カルシウム−酸化亜鉛を比較した場合、実験的には、酸化カルシウム−酸化亜鉛のほうがシリカルアルミナよりも高活性であり、実用上は酸化カルシウム−酸化亜鉛を用いることが望ましい。
【0034】
一方、テレフタル酸分解装置Mを通過した分解ガスGは、コンデンサユニット36に供給されるとともに、ポリエチレンテレフタレート成形物以外の廃プラスチックを処理した分解ガスGは、スクラバ34からコンデンサユニット36に直接供給される。そして、分解ガスGは、コンデンサユニット36により冷却(熱交換)されることにより、重油(A重油相当)に液化される。なお、コンデンサユニット36はクーリングタワー37から送られる冷却液により常時冷却される。そして、得られた重油は貯油タンク40に貯えられる。
【0035】
ところで、熱分解槽5は溶解プラスチックに対する熱分解処理を行うため、第二ルツボ7の内壁には滓(残渣物)が付着しやすい。この場合、清掃(メンテナンス)時には、掻取機構部12における回転駆動部26を駆動制御し、掻取刃27を回転させることにより、第二ルツボ7の内壁に付着残留した滓(残渣物)を容易に掻取ることができ、清掃やメンテナンスを容易に行うことができる。また、この際、開閉バルブ33を開くことにより、掻取られた滓を排出管78を通して残渣処理部30に収容するとともに、残渣処理部30において収容した滓を高温(550〜600〔℃〕程度)で焼き切る処理を行う。
【0036】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。
【0037】
【発明の効果】
このように、本発明に係る廃プラスチックの油化還元装置は、第一コイルの内側に配した第一ルツボを有し、第一コイルに高周波電流を流すことにより第一ルツボを誘導加熱し、第一ルツボに収容した廃プラスチックを溶解して溶解プラスチックを得るとともに、第一ルツボの内部を撹拌する撹拌機構部を有する溶解槽と、第二コイルの内側に配した第二ルツボを有し、第二コイルに高周波電流を流すことにより第二ルツボを誘導加熱し、第二ルツボに収容した溶解プラスチックを熱分解して分解ガスを発生させるとともに、第二ルツボの内壁に付着した滓を掻取る掻取機構部を有する熱分解槽と、この熱分解槽で発生した分解ガス中の有害ガスを中和するPH調整槽が付属するスクラバと、ポリエチレンテレフタレート成形物の熱分解時に発生するテレフタル酸を、300〔℃〕以上の高温で加熱し、かつ酸又は塩基を用いた触媒に接触させるテレフタル酸分解装置と、スクラバ又はテレフタル酸分解装置からの分解ガスを冷却して重油を得るコンデンサユニットと、スクラバからの分解ガスをテレフタル酸分解装置又はコンデンサユニットに供給する切換バルブとを備えるため、廃プラスチックに対する十分な油化還元能力を確保できるとともに、加えて、溶解槽における十分な撹拌と熱分解槽に対する清掃及びメンテナンスの容易化を図ることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る油化還元装置のブロック系統図、
【図2】同油化還元装置の模式的構成図、
【図3】同油化還元装置における溶解槽及び熱分解槽の設置例を示す正面図、
【図4】同油化還元装置における溶解槽の断面構成図、
【図5】同油化還元装置における発泡スチロール前処理装置の断面構成図、
【図6】同油化還元装置におけるテレフタル酸分解装置のブロック系統図、
【図7】同テレフタル酸分解装置における加熱温度に対する分解生成物の比率を示すデータ図、
【図8】同テレフタル酸分解装置における分解ガスに混合する水分量に対する分解生成物の比率を示すデータ図、
【符号の説明】
1 油化還元装置
2 溶解槽
3 第一コイル
4 第一ルツボ
5 熱分解槽
6 第二コイル
7 第二ルツボ
11 撹拌機構部
12 掻取機構部
15 油槽
16s 発泡スチロール前処理装置
34 スクラバ
35 PH調整槽
36 コンデンサユニット
55 切換バルブ
G 分解ガス
C 触媒
M テレフタル酸分解装置
S 発泡スチロール
Sm 溶融物
X 油
Claims (4)
- 廃プラスチックを加熱して熱分解し、発生した分解ガスを冷却して油化する廃プラスチックの油化還元装置において、第一コイルの内側に配した第一ルツボを有し、前記第一コイルに高周波電流を流すことにより前記第一ルツボを誘導加熱し、前記第一ルツボに収容した廃プラスチックを溶解して溶解プラスチックを得るとともに、前記第一ルツボの内部を撹拌する撹拌機構部を有する溶解槽と、第二コイルの内側に配した第二ルツボを有し、前記第二コイルに高周波電流を流すことにより前記第二ルツボを誘導加熱し、前記第二ルツボに収容した前記溶解プラスチックを熱分解して分解ガスを発生させるとともに、前記第二ルツボの内壁に付着した滓を掻取る掻取機構部を有する熱分解槽と、この熱分解槽で発生した分解ガス中の有害ガスを中和するPH調整槽が付属するスクラバと、ポリエチレンテレフタレート成形物の熱分解時に発生するテレフタル酸を、300〔℃〕以上の高温で加熱し、かつ酸又は塩基を用いた触媒に接触させるテレフタル酸分解装置と、前記スクラバ又はテレフタル酸分解装置からの分解ガスを冷却して重油を得るコンデンサユニットと、前記スクラバからの分解ガスを前記テレフタル酸分解装置又はコンデンサユニットに供給する切換バルブとを備えることを特徴とする廃プラスチックの油化還元装置。
- 前記テレフタル酸分解装置は、前記テレフタル酸を前記触媒に接触させて、ベンゼン,安息香酸及び二酸化炭素の分解生成物を得ることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチックの油化還元装置。
- 高温の油を収容した油槽を有し、この油槽の中に発泡スチロールを投入することにより当該発泡スチロールの溶融物を得る発泡スチロール前処理装置を備えることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチックの油化還元装置。
- 前記油は、食用廃油を用いることを特徴とする請求項3記載の廃プラスチックの油化還元装置。
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