JPH0834978A - 低沸点炭化水素油の製造方法および製造装置 - Google Patents

低沸点炭化水素油の製造方法および製造装置

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JPH0834978A
JPH0834978A JP6168526A JP16852694A JPH0834978A JP H0834978 A JPH0834978 A JP H0834978A JP 6168526 A JP6168526 A JP 6168526A JP 16852694 A JP16852694 A JP 16852694A JP H0834978 A JPH0834978 A JP H0834978A
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melt
thermal decomposition
melting
plastic
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Hideki Machitori
秀樹 待鳥
Makoto Sugiyama
誠 杉山
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融槽において熱分解を生じることなくプラ
スチックを溶融できるようにし、溶融槽壁内面への分解
生成物の付着や、分解生成ガスに起因するベント管等の
詰まりや腐食を防止する。 【構成】 溶融槽11内に所定容量以上の溶融物を常時
貯留維持する状態において、原料プラスチックPを常温
の状態で溶融槽11に供給し、槽内の溶融物と攪拌混合
するとともに、この混合物をプラスチックの熱分解温度
よりも低い温度に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック廃棄物か
ら有用な低沸点炭化水素油を製造する低沸点炭化水素油
の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の低沸点炭化水素油の製造
方法として、たとえば特開平3−86791号公報に示
されたものがある。
【0003】この製造方法においては、図2に示すよう
に、押出機1により供給されたプラスチックを溶融槽2
にて溶融して熱分解槽3に移送し、熱分解槽3におい
て、槽3内の溶融物の一部を加熱炉4に循環させつつ約
350℃〜450℃の温度に加熱することにより溶融物
の熱分解を行う。次いで、熱分解により生成した蒸気状
生成物を分離器5に導いて、蒸気状生成物中に存在する
液粒径の比較的大きいミスト部分を分離した後、残りの
蒸気状生成物をゼオライト触媒槽6に導入して接触転化
させる。そして、接触転化生成物を含む触媒槽6内の蒸
気状生成物を冷却器7に導いて冷却することにより、液
化した低沸点炭化水素油とガス状物とを分離回収するよ
うにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の方法に
おいては、熱伝導性の低いプラスチックを溶融するため
に、溶融槽2の壁温をプラスチックの溶融温度110℃
〜240℃よりかなり高い約280℃〜340℃に保持
するようにしているので、槽壁近傍のプラスチックが局
部的に加熱されて分解されることになり、生成した炭化
物が溶融槽2の壁内面に付着して伝熱係数を低下させる
という問題がある。また、ガス化した分解プラスチック
が、溶融槽2内のガスを排出するベント管内で凝縮して
詰まりを生じたり、あるいは供給されたプラスチックに
塩化ビニルなどが混入している場合は脱塩酸反応により
塩酸ガスが発生し、この塩酸ガスが分解プラスチックガ
スと混合凝縮してベント管や周辺装置を腐食させるとい
う問題がある。
【0005】さらに、押出機1は、プラスチックを加熱
および圧縮して予め軟化もしくは溶融状態として溶融槽
2に供給するようになっているので、プラスチック廃棄
物中に混入している砂や金属片などの異物によりかみ込
みや摩耗を生じて損傷し易く、そのため、メンテナンス
頻度およびメンテナンスコストが高くなるという難点を
有している。
【0006】本発明は上記問題を解決するもので、溶融
槽において熱分解を生じることなくプラスチックを溶融
できるようにし、これにより、溶融槽壁内面への炭化物
の付着や、分解生成物によるベント管等の詰まりや腐食
を防止するとともに、メンテナンスの頻度およびコスト
を低減することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の低沸点炭化水素油の製造方法は、熱媒体を
加熱源とする溶融槽において原料プラスチックを溶融
し、この溶融物を熱分解槽に導いて熱分解させ、熱分解
槽で発生した蒸気状生成物を触媒槽に導入して接触転化
させ、接触転化生成物を含む触媒槽内の蒸気状生成物を
冷却器に導いて冷却することにより液状の低沸点炭化水
素油を回収する低沸点炭化水素油の製造方法であって、
溶融槽内に所定容量以上の溶融物を常時貯留維持する状
態において、原料プラスチックを常温の状態で溶融槽に
供給して槽内の溶融物と攪拌混合し、この混合物をプラ
スチックの熱分解温度よりも低い温度に保持しながら、
原料プラスチックを溶融させるようにしたものである。
【0008】また、本発明の低沸点炭化水素油の製造方
法は、熱分解槽内の溶融物の一部を溶融槽に還流させ、
還流する溶融物を溶融槽内の溶融物に対する希釈流体お
よび加熱流体として作用させるようにしたものである。
【0009】また、本発明の低沸点炭化水素油の製造装
置は、熱媒体を加熱源として原料プラスチックを溶融す
る溶融槽と、溶融槽よりも高い熱分解温度に維持されて
溶融槽で溶融した溶融物を熱分解させる熱分解槽と、熱
分解槽で発生した蒸気状生成物を接触転化させる触媒を
充填した触媒槽と、接触転化生成物を含む触媒槽内の蒸
気状生成物を導入し、冷却して低沸点炭化水素油を液化
させる冷却器とを備えた低沸点炭化水素油の製造装置に
おいて、原料プラスチックを常温の状態で溶融槽に供給
するスクリューフィーダと、前記熱媒体を加熱する加熱
手段と、溶融槽内の溶融物を熱分解槽に導く供給系と、
熱分解槽内の溶融物の一部を溶融槽に還流させる還流系
と、溶融槽内の溶融物と原料プラスチックとを攪拌混合
する攪拌手段と、前記供給系と還流系を適宜調整して溶
融槽内に所定容量の溶融物を常時貯留維持するととも
に、前記加熱手段を適宜調整して溶融槽内の混合物の温
度をプラスチックの熱分解温度よりも低い温度に保持す
る制御手段とを設けたものである。
【0010】
【作用】上記構成により、溶融槽に供給された原料プラ
スチックは、溶融槽内に所定容量以上に貯留維持された
溶融物と攪拌混合されて、溶融物より熱量の供給を受け
るとともに均一な熱伝導がなされることになり、プラス
チックの熱分解温度よりも低い温度において十分溶融さ
れる。このようにしてプラスチックの熱分解温度よりも
低い温度で溶融が行われる結果、溶融槽壁近傍において
もプラスチックの熱分解は起こらず、分解生成物たる炭
化物の溶融槽内面への付着や、分解生成ガスに起因する
ベント管等の詰まりや腐食は防止される。
【0011】また、熱分解槽内の溶融物の一部を溶融槽
に還流させて、溶融槽内の溶融物に対する希釈流体およ
び加熱流体として作用させるようにしたので、槽内の混
合物は適当粘度となって良好に攪拌混合されつつ、還流
する溶融物から熱量の供給を受けることになり、原料プ
ラスチックの溶融が促進されるとともに、攪拌手段にお
ける攪拌動力および加熱手段における消費エネルギーが
低減される。
【0012】上記したようにして、常温の状態で供給し
た原料プラスチックを十分溶融できるので、従来のよう
に原料プラスチックを加熱圧縮しながら供給する必要が
なくなり、原料プラスチックの搬送に、加熱圧縮を伴わ
ないスクリューフィーダを使用することができる。これ
により、供給手段の損傷の問題を回避して、メンテナン
スの頻度およびコストを低減できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。図1に示すように、低沸点炭化水素油の製造
装置は、プラスチックPを溶融させる溶融槽11と、溶
融槽11で溶融された溶融物を熱分解させる熱分解槽1
2と、熱分解槽12で発生した蒸気状生成物を接触転化
させるゼライトなどの触媒を充填した触媒槽13と、触
媒槽13内の蒸気状生成物を導入し、冷却して低沸点炭
化水素油を液化させる冷却器14とを備えている。ここ
で、プラスチックPは、PE、PP,PS,PVCなど
であり、適当な大きさに粉砕して投入される。
【0014】溶融槽11の上方には、プラスチックPを
投入するホッパ15と、ホッパ15から落とし込まれた
プラスチックPを常温の状態で送り出すスクリューフィ
ーダ16などの原料供給機が設けられている。
【0015】溶融槽11は、下部寄りの外周部が熱媒体
循環部17で覆われ、この熱媒体循環部17に導かれる
熱媒油からなる熱媒体は、熱媒体加熱炉18に設けられ
た加熱経路18aに接続する循環経路19で循環され
る。そして、熱媒体加熱炉18の加熱経路18aで加熱
された熱媒体が溶融槽11の熱媒体循環部17に循環さ
れて、溶融槽11内の溶融物とプラスチックPとの混合
物を加熱するようになっている。溶融槽11の内部に
は、槽内の混合物を攪拌混合する攪拌機20が槽外のモ
ータ21に接続して設けられている。溶融槽11の上部
には、槽内のガスを排出するベント管22が設けられて
いる。
【0016】溶融槽11と熱分解槽12との間には、溶
融槽11内の溶融物を熱分解槽12に移送する移送ポン
プ23を備えた移送経路24と、熱分解槽12内の溶融
物の一部を溶融槽11に還流する還流ポンプ25を備え
た還流経路26が設けられている。また、溶融槽11内
の溶融物の温度および容量を検出する検出手段27が設
けられていて、この検出手段27は検出ライン28によ
り制御装置29に接続している。制御装置29は、制御
ライン29a,29b,29cにより熱媒体加熱炉18
の加熱手段18b、移送ポンプ23、還流ポンプ25に
接続しており、溶融槽11の壁温を300〜340℃と
して槽内の混合物をプラスチックPの熱分解温度よりも
低い320℃未満の温度に保持するとともに、溶融槽1
1内に張込容量の20%以上の容量の溶融物を常時貯留
維持するよう制御する。
【0017】熱分解槽12は、循環ポンプ30を備えた
循環経路31を介して溶融プラスチック加熱炉32の加
熱経路32aに接続されており、熱分解槽12内の溶融
物は加熱経路32aにおいて約350℃〜450℃の熱
分解温度まで加熱されて熱分解槽12に戻るようになっ
ている。熱分解槽12の上部のガス出口には凝縮器33
が接続されており、熱分解槽12より流入した蒸気状生
成物から液粒径の比較的大きいミスト部分を分離して還
流経路34により熱分解槽12に還流するようになって
いる。
【0018】触媒槽13は凝縮器33の下流に設けら
れ、冷却器14は触媒槽13のさらに下流に設けられて
いる。冷却器14の先端には、冷却器14からの流出物
を導入する気液分離槽35がポンプ36を備えて設けら
れている。37,38は残渣取出装置である。
【0019】以下、上記構成における作用を説明する。
プラスチックPをホッパ15に投入してスクリューフィ
ーダ16により常温の状態で溶融槽11に供給すると、
プラスチックPは、熱分解槽12において加熱された溶
融物の一部が還流経路26より溶融槽11に還流される
状態において、制御手段29により制御されて溶融槽1
1内に所定容量で残存する溶融物と混合される。そし
て、溶融槽11内のプラスチックPは、攪拌機20によ
り溶融物と攪拌混合されながら、制御手段29により保
持されたプラスチックの熱分解温度よりも低い温度にお
いて溶融される。このとき、プラスチックPは、熱分解
槽12より還流された溶融物あるいは溶融槽11内に所
定容量で残存する溶融物により希釈されるとともに、熱
分解槽12より還流された溶融物より熱量の供給を受け
ているので、粘度分布や温度分布の偏りを生じることな
く均一に溶融物と攪拌混合されて溶融する。
【0020】溶融槽11内の溶融物は移送経路24によ
って熱分解槽12に移送され、熱分解槽12において、
槽12内の溶融物の一部が加熱炉32に循環される状態
において熱分解温度に加熱され、熱分解される。熱分解
槽12内で生成した蒸気状生成物は、凝縮器33におい
て液粒径の比較的大きいミスト部分が分離された後、触
媒槽13に導入されて接触転化される。接触転化された
生成物を含む触媒槽13内の蒸気状生成物は冷却器14
に導かれて冷却された後、気液分離槽35に流入する。
そして、気液分離槽35において、ガス状物39は気液
分離槽35の外部へ導かれ、冷却器14で液化した低沸
点炭化水素油40はポンプ36により貯油槽(図示せ
ず)へ送り出される。
【0021】なお、上記した構成において、プラスチッ
クPを溶融槽11内の溶融物と攪拌混合しながらプラス
チックの熱分解温度よりも低い温度で溶融させるように
したので、局部的な加熱に起因する熱分解は防止され
る。したがって、溶融槽11壁内面への炭化物の付着が
低減されるとともに、分解プラスチックガスの凝縮によ
るベント管22の詰まりや、分解プラスチックガスと塩
酸ガスとの混合凝縮によるベント管22等の腐食が防止
される。
【0022】また、溶融槽11においてプラスチックP
を十分溶融できるので、従来のようにプラスチックPを
予め軟化あるいは溶融させることなく、スクリューフィ
ーダーにより常温の状態で供給すればよく、押出機を用
いるときのような異物かみ込み等の問題を回避できる。
したがって、連続運転可能になるとともに安全性が改善
され、メンテナンスの頻度およびコストも低減できる。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、原料プラ
スチックを常温の状態で溶融槽に供給して、溶融槽内に
所定容量で貯留維持される溶融物と攪拌混合しながら、
プラスチックの熱分解温度よりも低い溶融温度で溶融す
るようにしたため、局部的な加熱を原因とする溶融槽で
のプラスチックの熱分解を防止できる。これにより、溶
融槽壁内面への分解生成物の付着を低減して熱伝導の低
下を防止できるとともに、分解生成ガスに起因するベン
ト管の詰まりや周辺装置の腐食を防止できる。
【0024】また、熱分解槽内の溶融物の一部を、溶融
槽内の溶融物に対する希釈流体および加熱流体として還
流させるようにしたので、槽内の溶融物と原料プラスチ
ックは均一に攪拌混合されるとともに熱量の供給を受け
ることになり、原料プラスチックは容易に溶融する。
【0025】さらに、原料プラスチックを常温の状態で
供給して溶融できるので、供給手段として従来のような
押出機を用いる必要がなく、異物かみ込み等の問題を回
避して連続運転できるとともに安全性を向上させること
ができる。メンテナンスの頻度およびコストも低減され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の低沸点炭化水素油の製造装
置の全体構成を示した説明図である。
【図2】従来の低沸点炭化水素油の製造装置の全体構成
を示した説明図である。
【符号の説明】
P 原料プラスチック 11 溶融槽 12 熱分解槽 13 触媒槽 14 冷却器 16 スクリューフィーダ 18 熱媒体加熱炉 20 攪拌機 23 移送ポンプ 24 移送経路 25 還流ポンプ 26 還流経路 29 制御装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱媒体を加熱源とする溶融槽において原
    料プラスチックを溶融し、この溶融物を熱分解槽に導い
    て熱分解させ、熱分解槽で発生した蒸気状生成物を触媒
    槽に導入して接触転化させ、接触転化生成物を含む触媒
    槽内の蒸気状生成物を冷却器に導いて冷却することによ
    り液状の低沸点炭化水素油を回収する低沸点炭化水素油
    の製造方法であって、溶融槽内に所定容量以上の溶融物
    を常時貯留維持する状態において、原料プラスチックを
    常温の状態で溶融槽に供給して槽内の溶融物と攪拌混合
    し、この混合物をプラスチックの熱分解温度よりも低い
    温度に保持しながら、原料プラスチックを溶融させるこ
    とを特徴とする低沸点炭化水素油の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱分解槽内の溶融物の一部を溶融槽に還
    流させ、還流する溶融物を溶融槽内の溶融物に対する希
    釈流体および加熱流体として作用させることを特徴とす
    る請求項1記載の低沸点炭化水素油の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱媒体を加熱源として原料プラスチック
    を溶融する溶融槽と、溶融槽よりも高い熱分解温度に維
    持されて溶融槽で溶融した溶融物を熱分解させる熱分解
    槽と、熱分解槽で発生した蒸気状生成物を接触転化させ
    る触媒を充填した触媒槽と、接触転化生成物を含む触媒
    槽内の蒸気状生成物を導入し、冷却して低沸点炭化水素
    油を液化させる冷却器とを備えた低沸点炭化水素油の製
    造装置において、原料プラスチックを常温の状態で溶融
    槽に供給するスクリューフィーダと、前記熱媒体を加熱
    する加熱手段と、溶融槽内の溶融物を熱分解槽に導く供
    給系と、熱分解槽内の溶融物の一部を溶融槽に還流させ
    る還流系と、溶融槽内の溶融物と原料プラスチックとを
    攪拌混合する攪拌手段と、前記供給系と還流系を適宜調
    整して溶融槽内に所定容量の溶融物を常時貯留維持する
    とともに、前記加熱手段を適宜調整して溶融槽内の混合
    物の温度をプラスチックの熱分解温度よりも低い温度に
    保持する制御手段とを設けたことを特徴とする低沸点炭
    化水素油の製造装置。
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