JP4076489B2 - 有機感光体,電子写真画像形成装置,電子写真画像形成方法,電荷輸送化合物,重合体電荷輸送化合物 - Google Patents

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Description

本発明は,電子写真法に使用するのに適した有機感光体に係り,特に,少なくとも一つのエポキシ基,ヒドラゾン基および少なくとも一つの(N,N−二置換)アリールアミン基を含む電子輸送化合物を有する有機感光体に関する。エポキシ基は,重合体バインダーと直接的にまたは架橋結合化合物を通じて共有結合する場合もある。
電子写真法において,導電性支持体上に電気絶縁性光導電要素を有する,プレート,ディスク,シート,ベルト,ドラムのような形状の有機感光体は,まず,光導電層の表面を静電気的に均一に帯電させた後に,帯電された表面を光パターンに露出させることによって画像を形成する。露光によって,光がその表面に照射される照射領域で電荷が選択的に消散され,潜像と呼ばれる帯電領域および非帯電領域のパターンが形成される。
次いで,湿式または乾式トナーが,このトナーの性質によって帯電または非帯電領域の付近に付着し,光導電層の表面にトナー画像を形成する。生成されたトナー画像は,紙のような適当な最終または中間受容表面に転写され,もしくは,光導電層が画像の最終受容体として作用する。画像形成工程を数回反復し,例えば,別個のカラー成分よりなる画像を重複させて単一画像を,もしくは,フルカラーの最終画像を完成するか,および/または追加の画像を再生するために別個のカラーよりなる画像を重複させるようにシャドー画像を作る。
有機感光体には,単層および多層の光導電要素が使われてきた。単層である場合には,電荷輸送物質と電荷発生物質とが重合体バインダーと結合された後,導電性支持体上に付着される。多層である場合には,電荷輸送物質と電荷発生物質とが別個の層をなし,その各々は選択的に重合体バインダーと結合され,導電性支持体上に付着される。ここでは,2つの配列が可能である。第一の配列(“二重層”配列)では電荷発生層が導電性支持体上に付着され,電荷輸送層は電荷発生層の上部に付着される。第二の配列(“逆二重層”配列)では電荷輸送層と電荷発生層との順序が逆になる。
単層および多層の光導電要素で,電荷発生物質は,露光時に電荷キャリア(すなわち,正孔および/または電子)を発生させることを目的とする。電荷輸送物質は,これら電荷キャリアのうち少なくとも一つの類型,一般的に正孔を受容し,これを,電荷輸送層を通じて輸送して,光導電要素上の表面電荷の放電を促進させることを目的とする。電荷輸送物質は,電荷輸送化合物,電子輸送化合物またはこれらの組合せ物でありうる。電荷輸送化合物が使われる場合,電荷輸送化合物は正孔キャリアを受容し,これらを電荷輸送化合物が位置した層を通じて輸送する。電子輸送化合物が使われる場合には電子輸送化合物が電子キャリアを受容し,これら電子キャリアを電子輸送化合物が位置する層を通じて輸送する。
本発明の目的は,従来の有機感光体と比較した高い受容電圧(Vacc)および低い放電電圧(Vdis)からなる静電特性を有する有機感光体,これを含む電子写真画像形成装置,これを利用した電子写真画像形成方法,および,電荷輸送化合物,重合体電荷輸送化合物を提供することである。
本発明の目的を達成するために,第1態様において,導電性支持体,および,上記導電性支持体上の光導電要素を含む有機感光体として,上記光導電要素は,(a)化学式の電荷輸送化合物と,(b)電荷発生化合物とを含む有機感光体が提供される。
Figure 0004076489
(上記化学式において,R は,アリール基であり,Rは,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
有機感光体は,プレート,柔軟性ベルト,柔軟性ディスク,シート,硬質ドラム,または,硬質もしくは軟質ドラムを取り囲むシート状に提供されうる。上記有機感光体は,(a)上記電荷輸送化合物,上記電荷発生化合物,上記電子輸送化合物および重合体バインダーを含む光導電要素と,(b)上記導電性支持体を含むとしても良い。
第2態様において,本発明は(a)光画像形成成分と,(b)上記光画像形成成分から光を受容するように配向された上記有機感光体を含む電子写真画像形成装置が提供される。上記電子写真画像形成装置は,望ましくは湿式トナーディスペンサのようなトナーディスペンサをさらに含む。新たな電荷輸送化合物を含有した感光体で電子写真画像を形成する方法も記載されている。
第3態様において,本発明は(a)上記有機感光体の表面に電荷を印加する段階と,(b)上記有機感光体の表面を画像によって露光させて,選択された領域で電荷を消散させることによって上記表面上に少なくとも相対的に帯電および非帯電領域のパターンを形成する段階と,(c)上記表面を有機液体に着色剤粒子が分散された分散液を含む,湿式トナーのようなトナーに接触させてトナー画像を形成する段階と,(d)上記トナー画像を支持体に転写させる段階とを含む電子写真画像形成方法が提供される。
第5態様において,本発明は上記化学式の化合物中のエポキシ基とバインダーの反応性作用基との直接反応または架橋剤を通じた反応によって製造される重合体電荷輸送化合物が提供される。ここで,バインダーの反応性作用基は,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基およびチオール基よりなる群から選択され得る。
第6態様において,本発明は,導電性支持体と上記導電性支持体上の光導電要素とを含む有機感光体において,上記光導電要素が(a)上記化学式の化合物中のエポキシ基とバインダーにある反応性作用基とが直接または架橋剤を通じて反応して製造された重合体電荷輸送化合物と,(b)電荷発生化合物とを含む。ここで,反応性作用基は,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基およびチオール基よりなる群から選択され得る。
本発明は,優れた機械的特性および静電特性を共に有する有機感光体用電荷輸送化合物も提供される。
本発明の感光体は,湿式および乾式トナーと共に使用して,高品質の画像を形成でき,サイクルを繰り返した後にも高品質を維持できる。
本発明の他の特徴および利点は,下記の望ましい実施形態の説明および特許請求の範囲から明白になる。
望ましい特性を有する電荷輸送化合物は,少なくとも幾つかの重合体バインダーとの直接もしくは連結基を通じて,電荷輸送化合物の結合を促進させるエポキシ基と共に,少なくとも一つのアリール基と(N,N−二置換)アリールアミン基とを連結されたヒドラゾン基を有する。上記電荷輸送化合物は,電子写真法用有機感光体での性能によって認められる望ましい特性を有する。特に,本実施形態の電荷輸送化合物は,高い電荷キャリア移動度を有し,多様なバインダー材料との常用性に優れ,単層および多層の光導電要素で架橋結合され,優秀な電子写真特性を有する。本実施形態による有機感光体は,一般的に高い感光性,低い残留電位,およびサイクリングテスト,結晶化および有機感光体ベンディングおよびストレッチングに対する高い安定性を示す。有機感光体は,特に,レーザプリンタだけでなく,写真複写機,スキャナ,およびその他の電子写真法に基づいた電子装置に有用である。上記電荷輸送化合物の使用は,レーザプリンタ用として使われる場合について,以下でさらに詳細に説明するが,電子写真法で作動する他の装置に使われる場合もあり,下記の内容から一般化される。
特に,色々なサイクルを反復した後にも高品質の画像を得るためには,電荷輸送化合物が重合体バインダーと均質な溶液を形成し,有機感光体材料のサイクリング間にその材料にほぼ均質に分布されていることが望ましい。また,電荷輸送化合物のような電荷輸送物質が受容できる電荷量(受容電圧(“Vacc”)変数に表示)を増加させ,放電時に上記電荷保有量(放電電圧(“Vdis”)変数に表示)を減少させることが望ましい。
電子写真法に利用できる種種の電荷輸送化合物がある。電荷輸送化合物は,例えば,ポラゾリン誘導体と,フルオレン誘導体と,オキサジアゾール誘導体と,スチルベン誘導体と,エナミン誘導体と,ヒドラゾン誘導体と,カルバゾールヒドラゾン誘導体と,トリアリールアミン類と,ポリビニルカルバゾールと,ポリビニルピレンと,ポリアセナフタレンと,または2以上のヒドラゾン基と,トリフェニルアミンのようなp−(N,N−二置換)アリールアミンおよびカルバゾール,ジュロリジン,フェノチアジン,フェナジン,フェノキサジン,フェノキサチン,チアゾール,オキサゾール,イソオキサゾール,ジベンゾ(1,4)ダイオキシン,チアントレン,イミダゾール,ベンゾチアゾール,ベンゾトリアゾール,ベンゾオキサゾール,ベンゾイミダゾール,キノリン,イソキノリン,キノキサリン,インドル,インダゾール,ピロール,プリン,ピリジン,ピリダジン,ピリミジン,ピラジン,トリアゾール,オキサジアゾール,テトラゾール,チアジアゾール,ベンゾイソオキサゾール,ベンゾイソチアゾール,ジベンゾフラン,ジベンゾチオフェン,チオフェン,チアナフテン,キナゾリンまたはシノリンのようなヘテロサイクリック化合物よりなる群から選択された少なくとも2つの基を含む多重ヒドラゾン化合物を含む。しかし,特定な電子写真法応用分野での多様な要件を満足させるための他の電荷輸送化合物に対する要求もある。
電子写真法を利用する場合,有機感光体内の電荷発生化合物は光を吸収して電子−正孔対を形成する。上記電子−正孔対は大きい電気場下で適当な時間フレームにわたって輸送され,電気場を発生させる表面電荷を局地的に放電させうる。特定な位置での電気場の放電を通じて,光で描かれたパターンと本質的に整合される表面電荷パターンを得る。このような電荷パターンは,トナー付着を誘導するのに使用されうる。本願に記載された電荷輸送化合物は,電荷発生化合物によって形成された電子−正孔対から電荷,特に正孔を輸送するのに効果的である。幾つかの実施形態では,特定な電子輸送化合物は上記電荷輸送化合物と共に使用されうる。
電荷発生化合物と電荷輸送化合物とを含有した物質よりなる層は,有機感光体内に存在する。有機感光体を使用して2次元画像をプリントするためには,有機感光体は少なくとも一部の画像を形成するための2次元表面を有さなければならない。この後,画像形成工程は,有機感光体をサイクリングさせて全体画像を完成するか,および/または後続画像を処理する。
有機感光体は,プレート,柔軟性ベルト,ディスク,硬質ドラム,硬質または軟質ドラムを取り囲むシートの形状で提供される。電荷輸送化合物は,電荷発生化合物と同じ層および/または電荷発生化合物と異なる層に存在することができる。以下に記載するように追加の層が使われることもある。
幾つかの実施形態で有機感光体材料は,例えば(a)電荷輸送化合物と重合体バインダーとを含む電荷輸送層,(b)電荷発生化合物と重合体バインダーとを含む電荷発生層,および(c)導電性支持体を含む。電荷輸送層は,電荷発生層と導電性支持体間に介在されうる。一方,電荷発生層は,電荷輸送層と導電性支持体間に介在されうる。さらに他の実施形態で有機感光体物質は,電荷輸送化合物と電荷発生化合物とが共に含まれる重合体バインダー内に単一層を有する。
有機感光体は,レーザプリンタのような電子写真画像形成装置に統合されうる。このような装置で画像は,物理的具現体から形成されて光画像に変換され,有機感光体上にスキャンされて表面潜像を形成する。表面潜像は,トナーを有機感光体の表面に引き込むのに使われるが,ここで,トナー画像は,有機感光体に投射される光画像と同じまたはネガティブ画像である。トナーには,湿式または乾式トナーが使用されうる。次いで,トナーは,有機感光体の表面からペーパーシートのような受容表面に転写される。トナーを転写した後,全体表面が放電され,感光体材料は再びサイクリングされる準備状態となる。画像形成装置は,例えば,追加でペーパー受容媒体を輸送する機能,および/または感光体を運動させるための複数の支持ローラ,光画像を形成するための適当な光学機器を備えた光画像形成成分,レーザのような光源,トナー供給源,伝達システムおよび適当なコントロールシステムを含みうる。
電子写真画像形成方法は,一般的に(a)電荷を上記有機感光体の表面に印加する段階と,(b)上記有機感光体の表面を画像によって光に露光させ,選択された領域で電荷を消散させることによって上記表面上に帯電および非帯電領域よりなるパターンを形成する段階と,(c)トナー画像を形成するために有機液体に着色剤粒子が分散された分散液を含む湿式トナーのようなトナーに上記表面を露出させて,トナーを上記有機感光体の帯電または非帯電領域に引き込む段階と,(d)上記トナー画像を支持体に転写する段階と,を含みうる。
本実施形態は,下記化学式1の電荷輸送化合物を含む有機感光体を特徴とする。
Figure 0004076489
(上記化学式1において,Xは,炭素数が1〜30の二価炭化水素基または脂肪族二価炭化水素基のバックボーン内に2つのヘテロ原子が隣接しなければ,ヘテロ原子によって少なくとも一つの炭素原子が置換された炭素数1〜30の二価炭化水素基であり,Rはアリール基またはヘテロサイクリック基であり,Rはp−(N,N−二置換)アリールアミン基(例えば,トリフェニルアミン基),カルバゾールまたはジュロリジンのような(N,N−二置換)アリールアミン基であり,Rはエポキシ基である。)二価炭化水素基Xは,脂肪族,芳香族または混合脂肪族−芳香族でありうる。幾つかの実施形態において,Rは二価なので,R基は2つのヒドラゾン基間に架橋してブリッジされたジヒドラゾン化合物を形成できる。有機感光体を形成する時,エポキシ基は,バインダーの作用基またはバインダーと上記電荷輸送化合物とを架橋結合させる架橋剤と反応するか,そうでないこともある。適当な架橋剤は,エポキシ基とバインダーの作用基と反応するのに適した多作用性を有する。
当該技術分野に公知されているように,移動度,感度,溶解度,安定性のような化合物の特性に種種の物理的効果が及ぶように化学的基に対する置換が自由に許容される。このような化学的置換基の記述において,用語を使用するのに反映される当該分野に共通的な幾つかの実務がある。基という用語は,総称された化学物質(例えば,アルキル基,フェニル基,ジュロリジン基,(N,N−二置換)アリールアミン基など)がその基の結合構造と両立する任意の置換基を有することもある。例えば,‘アルキル基’という用語を使用する場合,上記用語はメチル,エチル,イソプロピル,tert−ブチル,シクロへキシル,ドデシルのような非置換線形,分枝型およびサイクリックアルキルを含むだけでなく,ヒドロキシエチル,シアノブチル,1,2,3−トリクロロプロパンのような置換基も含む。しかし,このような命名法と一致するように根源的な基の根本的な結合構造を変更させる置換は,この用語内に含まれていない。例えば,フェニル基を言及する場合,1−ヒドロキシフェニル,2,4−フルオロフェニル,オルソシアノフェニル,1,3,5−トリメトキシフェニルのような置換は,上記用語に含まれるが,1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルフェニル置換は,このような置換によってフェニル基の輪結合構造が非芳香族形態に変わるので,許容されない。同様に,エポキシ基を言及する時,引用された化合物または置換基は,化学式にあるエポキシ環の化学的特性を実質的に変更させない全ての置換を含む。p−(N,N−二置換)アリールアミン基を言及する場合,窒素に付着された2つの置換基は,アミン基の化学的特性を実質的に変更させない任意の基でありうる。アルキル部分またはフェニル部分のように部分という用語が使われる場合には,この用語は,化合物が置換されなかったことを表す。アルキル部分という用語が使われる場合,上記用語は,分枝型でも,直線型またはサイクリックでも非置換アルキル炭化水素基だけを表す。
(有機感光体)
有機感光体は,例えば,プレート,シート,柔軟性ベルト,ディスク,硬質ドラムまたは硬質または軟質ドラムを取り囲むシート形状でありうるが,柔軟性ベルトと硬質ドラムとは市販され,一般的に使われている。有機感光体は,例えば,導電性支持体および上記導電性支持体上の単一層または複数層状の光導電要素を含みうる。光導電要素は,重合体バインダーに電荷輸送化合物と電荷発生化合物とを含みうるが,これらは同じ層に存在することも,またはそうでないこともあり,幾つかの実施形態では電子輸送化合物も含みうる。例えば,単一層構造を有する幾つかの実施形態で,電荷輸送化合物と電荷発生化合物とは単一層に存在する。しかし,他の実施形態で,光導電要素は,電荷発生層と別途の電荷輸送層とで形成されることを特徴とする二層構造を含む。電荷発生層は,導電性支持体と電荷輸送層との間に配置できる。一方,光導電要素は,電荷輸送層が導電性支持体と電荷発生層間に位置する構造を有することもある。
導電性支持体は,柔軟性を有す,例えば,柔軟性ウェブまたはベルト状であるか,またはドラム状のような非柔軟性でありうる。ドラムは,画像形成工程でドラムを回転させるドライブにドラムを付着させうる中空シリンダー構造でありうる。通常,柔軟性の導電性支持体は,電気絶縁性支持体と導電物質の薄層を含み,この上に光導電材料が塗布される。
電気絶縁性支持体は,ペーパーまたはポリエステル(例えば,ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート),ポリイミド,ポリスルホン,ポリプロピレン,ナイロン,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリビニル樹脂,ポリビニルフルオライド,ポリスチレンのようなフィルム形成重合体でありうる。支持体用重合体の具体的な例には,ポリエーテルスルホン(ICI製品であるStabarTMS−100),ポリビニルフルオライド(E.I.DuPont de Nemours & Company製品であるTedlar(登録商標)),ポリビスフェノール−Aポリカーボネート(Mobay Chemical Company製品であるMakrofolTM)および非晶質ポリエチレンテレフタレート(ICI Americas,Inc.製品であるMelinarTM)を含む。導電材料には,グラファイト,分散カーボンブラック,ヨウ化物,ポリピロールとカルゴン(Calgon(登録商標))導電性重合体261(ペンシルベニア州 ピツバーグ所在のCalgon Corporation,Inc.製品)のような導電性重合体,アルミニウム,チタン,クロム,黄銅,金,銅,パラジウム,ニッケルまたはステンレススチールのような金属,酸化スズまたは酸化インジウムのような金属酸化物がある。特に望ましい実施形態で,導電材料はアルミニウムである。一般的に光導電性支持体は,必要な機械的安定性を提供するのに適した厚さを有する。例えば。柔軟性ウェブ支持体は,一般的に約0.01〜約1mmの厚さを有する一方,ドラム支持体は一般的に約0.5〜約2mmの厚さを有する。
電荷発生化合物は,染料または顔料のように光を吸収して電荷キャリアを発生させうる物質である。適した電荷発生化合物の非制限的な例には,メタルフリーフタロシアニン類(例えば,H.W.Sands,Inc.から購入できるELA 8034またはSanyo Color Works,Ltd.のCGM−X01のメタルフリーフタロシアニン),チタンフタロシアニン,銅フタロシアニン,オキシチタンフタロシアニン(チタニルオキシフタロシアニンとも言及され,電荷発生化合物として作用できる結晶状または結晶状の混合物を含む。例えば,H.W.Sans,Inc.から購入できるELA7051オキシチタニルフタロシアニン),ヒドロキシガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニン類,スクアリリウム系染料および顔料,ヒドロキシ置換スクアリリウム系顔料,ぺリルイミド類,Indofast(登録商標)Double Scarlet,Indofast(登録商標) Violet Lake B,Indofast(登録商標) Brilliant Scarlet およびIndofast(登録商標) Orangeという商品名でAllied Chemical Corporationから購入できる多核キノン類,MonastralTM Red,MonastralTM Violet および MonastralTM Red Yという商品名でDuPontから購入できるキナクリドン類,ぺリノン類,テトラベンゾポルフィリン類とテトラナフタロポルフィリンを含むナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸誘導体顔料,インジゴ系およびチオインジゴ系染料,ベンゾチオキサンテン誘導体,ペリレン 3,4,9,10−テトラカルボン酸誘導体顔料,ビスアゾ-,トリアゾ-,トリスアゾ-およびテトラキスアゾ顔料を含むポリアゾ顔料,ポリメチン系染料,キナゾリン基を含有した染料,3次アミン類,非晶質セレン,セレン−テルル,セレン−テルル−砒素およびセレン−砒素のようなセレン合金,カドミウムスルホセレン化物,カドミウムセレン化物,カドミウムスルフィドおよびこれらの混合物を含む。幾つかの実施形態では,電荷発生化合物がオキシチタンフタロシアニン(例えば,任意の相),ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびこれらの組合せ物を含む。
本実施形態の光導電層は,電子輸送化合物を含有できる。一般的に当該技術分野で公知である任意の電子輸送化合物を使用できる。適した電子輸送化合物の非制限的な例には,ブロモアニリン,テトラシアノエチレン,テトラシアノキノジメタン,2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン,2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン,2,4,5,7−テトラニトロキサントン,2,4,8−トリニトロチオキサントン,2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オンおよび1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド,(2,3−ジフェニル−1−インデニリデン)マロノニトリル,4H−チオピラン−1,1−ジオキシドおよび4−ジシアノメチレン−2,6−ジフェニル−4H−チオピラン−1,1−ジオキシド,4−ジシアノメチレン−2,6−ジ−m−トリル−4H−チオピラン−1,1−ジオキシドのような誘導体,および4H−1,1−ジオキソ−2−(p−イソプロピルフェニル)−6−フェニル−4−(ジシアノメチリデン)チオピランと4H−1,1−ジオキソ−2−(p−イソプロピルフェニル)−6−(2−チエニル)−4−(ジシアノメチリデン)チオピランとのような非対称置換された2,6−ジアリール−4H−チオピラン−1,1−ジオキシド,フォスファ−2,5−シクロへキサジエン誘導体,(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル,(4−フェネトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル,(4−カルビトキシ−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよびジエチル(4−n−ブトキシカルボニル−2,7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−マロネートのような(アルコキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル誘導体,11,11,12,12−テトラシアノ−2−アルキルアントラキノジメタンと11,11−ジシアノ−12,12−ビス(エトキシカルボニル)アントラキノジメタンのようなアントラキノジメタン誘導体,1−クロロ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロン,1,8−ジクロロ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロン,1,8−ジヒドロキシ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロンおよび1−シアノ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロンのようなアントロン誘導体,7−ニトロ−2−アザ−9−フルオレニリデン−マロノニトリル,ジフェノキノン誘導体,ベンゾキノン誘導体,ナフトキノン誘導体,キニン誘導体,テトラシアノエチレンシアノエチレン,2,4,8−トリニトロチオキサントン,ジニトロベンゼン誘導体,ジニトロアントラセン誘導体,ジニトロアクリジン誘導体,ニトロアントラキノン誘導体,ジニトロアントラキノン誘導体,コハク酸無水物,マレイン酸無水物,ジブロモマレイン酸無水物,ピレン誘導体,カルバゾール誘導体,ヒドラゾン誘導体,N,N−ジアルキルアニリン誘導体,ジフェニルアミン誘導体,トリフェニルアミン誘導体,トリフェニルメタン誘導体,テトラシアノキノジメタン,2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン,2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン,2,4,5,7−テトラニトロキサントン誘導体および2,4,8−トリニトロチオキサントン誘導体を含む。幾つかの望ましい実施形態で,電子輸送化合物は(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルのような(アルコキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル誘導体を含む。
電子輸送化合物とUV光安定剤とは,光導電体内に望ましい電子の流れを提供するのに上昇作用関係を有しうる。UV光安定剤の存在は,電子輸送化合物の電子輸送性を変更して複合体の電子輸送性を改善させる。UV光安定剤は,自由ラジカルを捕獲する紫外線光吸収剤または紫外線光抑制剤でありうる。
UV光吸収剤は,紫外線光を吸収してこれを熱に消散させうる。UV光抑制剤は,紫外線光によって発生した自由ラジカルを捕獲した後,続けてエネルギーを消散しつつ活性安定剤部分を再生させうると考えられる。UV安定剤と電子輸送化合物との上昇作用関係面で,UV光安定剤の特別な利点は,UV安定化能力が時間の経過によって有機感光体の劣化を減少させるのに有利であるが,このようなUV安定化能力に限られるものではない。UV安定剤による上昇作用関係は,上記化合物の電子特性と関連されうる。これは電子輸送化合物と共に電子伝導経路を構築するのにさらに寄与することによってUV安定化機能にも寄与するからである。特に,電子輸送化合物とUV安定剤とが組合せられた有機感光体は,サイクリング時にさらに安定した受容電圧(Vacc)を表せる。電子輸送化合物とUV安定剤ともを含む層を有する有機感光体の改善された上昇作用は,本出願に引用によって統合された“光安定剤を有する有機感光体”(“Organophotoreceptor With A Light Stabilizer”,Zhu,2003.4.28.出願)の米国特許出願第10/425,333号でさらに詳細に説明されている。
適当な光安定剤の非制限的な例には,例えば,Tinuvin144とTinuvin 292(Ciba Specialty Chemicals社製,Terrytown,NY)のような障害トリアルキルアミン類,Tinuvin123(Ciba Specialty Chemicals社製)のような障害アルコキシアルキルアミン類,Tinuvin 328,Tinuvin 900およびTinuvin928(Ciba Specialty Chemicals社製)のようなベンゾトリアゾ−ル類,Sanduvor 3041(Clariant Corp.社製,Charlotte,N.C.)のようなベンゾフェノン類,Arbestab(Robinson Brothers Ltd社製,West Midlands,Great Britain)のようなニッケル化合物,サリシレート類,シアノシンナメート類,ベンジリデンマロネート類,ベンゾエート類,Sanduvor VSU(Clariant Corp.,Charlotte,N.C.)のようなオキサニライド類,Cyagard UV−1164(Cytec Industries Inc.,N.J.)のようなトリアジン類,Luchem(Atochem North America,Buffalo,NY)のような重合体立体障害アミン類を含む。幾つかの実施形態で,光安定剤は,化学式3,4を有する障害トリアルキルアミン類よりなる群から選択される:
Figure 0004076489
Figure 0004076489
上記化学式3,4で,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12,R13,R15およびR16は,独立した水素,アルキル基またはエステルまたはエーテル基であり,R,RおよびR14は独立したアルキル基であり,Xは-O-CO-(CH-CO-O-よりなる群から選択される連結基であり,ここで,mは2〜20である。
選択的に光導電層は,電荷輸送化合物とバインダーとを連結する架橋剤を含みうる。種種の状況での架橋剤で,一般的な事実であるように,架橋剤は,多くの作用性を示す複数の作用基または少なくとも一つの作用基を含む。具体的には適した架橋剤は,一般的にエポキシ基と反応する少なくとも一つの作用基と,重合体バインダーの作用基と反応できる少なくとも一つの作用基とを含む。エポキシ基と反応するのに適した作用基は,例えば,ヒドロキシ,チオール,アミノ(1次アミノまたは2次アミノ),カルボキシ基またはこれらの組合せ物のような反応性活性水素作用基を含む。幾つかの実施形態で,重合体と反応するための反応性作用基は,エポキシ基とはっきりとは反応しない。一般的に,当業者はバインダーと反応する架橋結合剤の適当な作用基を選択でき,同様に当業者は架橋剤の作用基と反応するバインダーの適当な作用基を選択できる。少なくとも選択された条件下におけるエポキシ基とはっきりとは反応しない架橋剤の適当な作用基は,例えば,エポキシ基,アルデヒドおよびケトンを含む。アルデヒドおよびケトンと反応する適当な反応性バインダー作用基は,例えば,アミンを含む。
幾つかの実施形態で,架橋剤は,サイクリック酸無水物であり,これは実際的に少なくとも二作用性である。適当なサイクリック酸無水物の非制限的な例には,1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物,イタコン酸無水物,グルタル酸無水物およびシトラコン酸無水物,フマル酸無水物,フタル酸無水物,イソフタル酸無水物およびテレフタル酸無水物を含み,マレイン酸無水物とフタル酸無水物とが特に望ましい。
バインダーは,一般的に電荷輸送化合物(電荷輸送層または単一層構造の場合)および/または電荷発生化合物(電荷発生層または単一層構造の場合)を分散または溶解させうる。電荷発生層と電荷輸送層ともに適当なバインダーの例には,一般的にポリスチレン−co−ブタジエン,ポリスチレン−co−アクリロニトリル,改質アクリル重合体,ポリビニルアセテート,スチレン−アルキル樹脂,ソヤ−アルキル樹脂,ポリビニルクロライド,ポリビニリデンクロライド,ポリアクリロニトリル,ポリカーボネート,ポリアクリル酸,ポリアクリレート類,ポリメタクリレート類,スチレン重合体,ポリビニルブチラル,アルキル樹脂,ポリアミド類,ポリウレタン類,ポリエステル類,ポリスルホン類,ポリエーテル類,ポリケトン類,フェノキシ樹脂類,エポキシ樹脂類,シリコン樹脂類,ポリシロキサン類,ポリ(ヒドロキシエーテル)樹脂類,ポリヒドロキシスチレン樹脂類,ノボラック,ポリ(フェニルグリシジルエーテル)−co−ジシクロペンタジエン,上記重合体に使われる単量体の共重合体およびこれらの組合体が挙げられる。幾つかの実施形態で,バインダーは,本実施形態の電荷輸送化合物のエポキシ環またはサイクリック酸無水物のような架橋剤の作用基と反応できる,ヒドロキシ,チオール,アミノ(1次アミノ,2次アミノまたは3次アミノ),カルボキシ基またはこれらの組合せ物のような反応性活性水素作用基を有する重合体を含む。有機感光体で,重合体の作用基は,エポキシ基に直接結合され,もしくは共反応架橋剤,例えば,サイクリック酸無水物基を通じてエポキシ基と間接的に結合して対応する予測可能な反応生成物を形成できる。反応性作用基を有する適当なバインダーは,例えば,BX−1とBX−5(積水化学(株))のようなポリビニルブチラルを含む。
一つ以上の層に使用するのに適した選択的添加剤は,例えば,酸化防止剤,カップリング剤,分散剤,硬化剤,界面活性剤およびこれらの組合を含む。
光導電要素は,通常,総約10〜45ミクロンの厚さを有する。別途の電荷発生層と別途の電荷輸送層とを有する二重層実施形態で,電荷発生層は一般的に約0.5〜約2ミクロンの厚さであり,電荷輸送層は約5〜約35ミクロンの厚さである。電荷輸送化合物と電荷発生化合物とが同じ層にある実施形態で,電荷発生化合物と電荷輸送化合物とを有する層は,一般的に約7〜約30ミクロンの厚さを有する。別途の電子輸送層を有する実施形態で,電子輸送層は平均厚さが約0.5〜約10ミクロンであり,他の実施形態で約1〜約3ミクロンである。一般的に電子輸送オーバーコート層は,機械的耐摩耗性,キャリア液体および大気水分に対する耐性を増加させ,コロナガスによる感光体の劣化を減少させうる。当業者は,前述した範囲内で追加の厚さ範囲も予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内に入ることが認められる。
一般的に,本出願に記載された有機感光体において,電荷発生化合物は,光導電層の重量基準に対して約0.5〜約25重量%であり,他の実施形態では約1〜約15重量%であり,さらに他の実施形態で約2〜約10重量%である。電荷輸送化合物は,光導電層の重量基準に対して約10〜約80重量%であり,他の実施形態で光導電層の重量基準に対して約35〜約60重量%であり,さらに他の実施形態で約45〜約55重量%である。選択的な電子輸送化合物は,存在する場合に光導電層基準に少なくとも約2重量%であり,他の実施形態で約2.5〜約25重量%であり,さらに他の実施形態で光導電層の重量基準に対して約4〜約20重量%である。バインダーは,光導電層の重量基準に対して約15〜約80重量%であり,他の実施形態で光導電層の重量基準に対して約20〜約75重量%である。当業者は,前述した範囲内で追加の組成範囲も予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内に入ることが認められる。
別途の電荷発生層と電荷輸送層とを有する二重層実施形態で,電荷発生層は,一般的に電荷発生層の重量基準に対して約10〜約90重量%,他の実施形態で約15〜約80重量%,一部の実施形態では約20〜約75重量%のバインダーを含む。存在するならば,電荷発生層にある選択的電子輸送化合物は,一般的に電荷発生層の重量基準に対して約2.5重量%以上,他の実施形態で約4〜約30重量%,さらに他の実施形態で約10〜約25重量%の量である。電荷輸送層は,一般的に約20重量%〜約70重量%のバインダーを含み,他の実施形態で約30〜約50重量%のバインダーを含む。当業者は,前述した範囲内で二重層実施形態での異なる濃度範囲のバインダーも予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内に入ることが認められる。
電荷発生化合物と電荷輸送化合物とを有する単一層よりなる実施形態で,光導電層は,一般的にバインダー,電荷輸送化合物および電荷発生化合物を含む。電荷発生化合物は,光導電層の重量基準に対して約0.05〜約25重量%,他の実施形態で約2〜約15重量%の量で存在しうる。電荷輸送化合物は,光導電層の重量基準に対して約10〜約80重量%,他の実施形態で約25〜約65重量%,追加の実施形態で約30〜約60重量%,およびさらに他の実施形態で約35〜約55重量%の量で存在し,光導電層の残りはバインダーおよび任意の従来の添加剤のような添加剤を選択的に含みうる。電荷輸送化合物と電荷発生化合物とを有する単一層は,約10〜約75重量%,他の実施形態で約20〜約60重量%,およびさらに他の実施形態で約25〜約50重量%のバインダーを含む。電荷発生化合物と電荷輸送化合物とを有する層は,選択的に電子輸送化合物を含むこともある。選択的電子輸送化合物は,存在するならば一般的に光導電層の重量基準に対して約2.5重量%以上,他の実施形態で約4〜約30重量%,およびさらに他の実施形態で約10〜約25重量%の量である。当業者は,前述した組成範囲内で他の組成範囲も予想でき,本実施形態の開示範囲内にあることが認められる。
一般的に電子輸送層のある層は,UV光安定剤をさらに含みうる。特に,電子輸送層は,一般的に電子輸送化合物,バインダーおよび選択的にUV光安定剤を含みうる。電子輸送化合物を含むオーバーコート層は,本願の引用によって統合された米国特許第10/396,536号(Zhu et al.,“Organophotoreceptor With An Electron Transport Layer“)にさらに詳細に記載されている。例えば,上記電子輸送化合物は,本願に記載された光導電体の離型層として使用されうる。電子輸送層にある電子輸送化合物は,電子輸送層の重量基準に対して約10〜約50重量%,他の実施形態では約20〜約40重量%の量で存在しうる。当業者は,前述した範囲内で他の組成範囲も予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内にあることが認められる。
光導電体の一つ以上の適当な層にUV光安定剤が存在すれば,特定層の重量基準に対して約0.5〜約25重量%,一部の実施形態では約1〜約10重量%の量で存在する。また,光導電層にサイクリック酸無水物のような選択的架橋剤が存在する場合,光導電層の重量基準に対して約0.1〜約16重量%であり,他の実施形態では約1〜約15重量%である。当業者は,前述した範囲内で他の組成範囲も予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内にあることが認められる。
例えば,光導電層は,一つ以上の電荷発生化合物,電荷輸送化合物,電子輸送化合物,UV光安定剤および重合体バインダーのような成分を有機溶媒に分散または溶解させ,上記分散液および/または溶液をそれぞれの下部層上にコーティングさせた後,上記コーティングを乾燥させて形成されうる。特に,上記成分は,高せん断均質化,ボールミーリング,粉砕機ミーリング,高エネルギービード(サンド)ミーリングまたはその他の粒径を減少させて分散液を形成するための当該技術分野において公知であるサイズ縮小方法または混合手段を使用して分散されうる。
感光体は,選択的に一つ以上の付加層をさらに含むこともある。このような付加層の例としては,障壁層,離型層,保護層または接着層のようなサブ層またはオーバーコート層もありうる。離型層は,光導電要素の最上層を形成する。障壁層は,離型層と光導電要素間に挿し込まれるか,または光導電要素をオーバーコートするのに使用されうる。障壁層は,下部層に対して摩耗および/またはキャリア液体から保護する。接着層は,光導電要素,障壁層および離型層または任意のこれらの組合せ物間に位置し,これらの間の接着力を改善する。サブ層は,電荷遮断層であり,導電性支持体と光導電要素間に位置する。サブ層は,導電性支持体と光導電要素間の接着力を改善させることもできる。
適当なバインダー層は,例えば,架橋結合性のシロキサノール−コロイド性シリカコーティングとヒドロキシル化シルセスキノキサン−コロイド性シリカコーティングのようなコーティングおよびポリビニルアルコール,メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物共重合体,カゼイン,ポリビニルピロリドン,ポリアクリル酸,ゼラチン,澱粉,ポリウレタン類,ポリイミド類,ポリエステル類,ポリアミド類,ポリビニルアセテート,ポリビニルクロライド,ポリビニリデンクロライド,ポリカーボネート類,ポリビニルブチラル,ポリビニルアセトアセタル,ポリビニルホルム,ポリアクリロニトリル,ポリメチルメタクリレート,ポリアクリレート類,ポリビニルカルバゾール類,上記重合体に使われた単量体の共重合体,ビニルクロライド/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー,ビニルクロライド/ビニルアセテート/マレイン酸ターポリマー,エチレン/ビニルアセテート共重合体,ビニルクロライド/ビニリデンクロライド共重合体,セルロース重合体およびこれらの混合物のような有機バインダーを含む。上記障壁層重合体は,選択的にヒュームドシリカ,シリカ,チタニア,アルミナ,ジルコニアまたはこれらの組合せ物のような小型無機粒子を含有することもある。障壁層は,本願に引用によって統合された米国特許第6,001,522号(Woo et al.,“Barrier Layer For Photoconductor Elements Comprising
An Organic Polymer And Silica“)にさらに詳細に記載されている。離型層トップコートは,当該技術分野で公知になった任意の離型層の組成を含みうる。幾つかの実施形態で離型層は,フルオロ化重合体,シロキサン重合体,フルオロシリコン重合体,シラン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアクリレートまたはこれらの組合せ物である。離型層は,架橋結合重合体を含みうる。
離型層は,例えば,当該技術分野で公知になっている任意の離型層の組成を含みうる。幾つかの実施形態で離型層は,フルオロ化重合体,シロキサン重合体,フルオロシリコン重合体,ポリシラン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアクリレート,ポリ(メチルメタクリレート−co−メタクリル酸),ウレタン樹脂,ウレタン−エポキシ樹脂,アクリル化−ウレタン樹脂,ウレタン−アクリル樹脂またはこれらの組合せ物を含む。他の実施形態で離型層は,架橋結合重合体を含む。
保護層は,化学的および機械的劣化から有機感光体を保護できる。保護層は,当該技術分野で公知になっている任意の保護層の組成を含みうる。幾つかの実施形態で保護層は,フルオロ化重合体,シロキサン重合体,フルオロシリコン重合体,ポリシラン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアクリレート,ポリ(メチルメタクリレート−co−メタクリル酸),ウレタン樹脂,ウレタン−エポキシ樹脂,アクリル化−ウレタン樹脂,ウレタン−アクリル樹脂またはこれらの組合せ物である。特に,望ましい実施形態で離型層は,架橋結合重合体である。
オーバーコート層は,本願に引用によって統合された米国特許第10/396,536号(2003.5.25出願,Zhuら,“Organoreceptor With An Electron Transport Layer”)にさらに詳細に記載されている。例えば,上記のような電子輸送化合物が本実施形態の離型層に使用されうる。オーバーコート層中の電子輸送化合物は,離型層の重量基準に対して約2〜約50重量%,他の実施形態では約10〜約40重量%でありうる。当業者は,前述した範囲内で他の組成範囲も予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内にあることが認められる。
一般的に接着層は,ポリエステル,ポリビニルブチラル,ポリビニルピロリドン,ポリウレタン,ポリメチルメタクリレート,ポリ(ヒドロキシアミノエーテル)のようなフィルム形成重合体を含む。障壁層および接着層は,本願に引用によって統合された米国特許第6,180,305号(Ackley et al.,“Organic photoreceptors for liquid electrophotography”)にさらに詳細に記載されている。
サブ層は,例えば,ポリビニルブチラル,オルガノシラン類,加水分解性シラン類,エポキシ樹脂,ポリエステル類,ポリアミド類,ポリウレタン類,シリコン類などを含みうる。幾つかの実施形態でサブ層は,約20Å〜約2,000Åの乾燥厚さを有する。金属酸化物導電性粒子を含有したサブ層は,約1〜約25ミクロンの厚さを有しうる。当業者は,前述した範囲内で他の範囲の組成および厚さも予想でき,本実施形態の特許請求の範囲内にあることが認められる。
本実施形態に記載された電荷輸送化合物とこれら化合物とを含む感光体は,乾式または湿式トナー現像で画像を現像するのに使用するのに適している。例えば,当該技術分野で公知である任意の乾式および湿式トナーを本実施形態の方法および装置に使用できる。湿式トナー現像法は,乾式トナーに比べてさらに高い解像度の画像を提供し,画像定着にさらに低いエネルギーを必要とするので望ましい。適した湿式トナーの例は,当該技術分野で知られている。湿式トナーは,一般的にキャリア液体に分散されたトナー粒子を含みうる。トナー粒子は,着色剤/顔料,樹脂バインダーおよび/または電荷ダイレクタを含みうる。湿式トナーの幾つかの実施形態で樹脂対顔料の比は,1:1〜10:1であり,他の実施形態では4:1〜8:1である。湿式トナーは,本願に引用によって統合された米国公開特許第2002/0128349号(“Liquid Inks Comprising A Stable Organosol”),第2002/0086916号(“Liquid Inks Comprising Treated Colorant Particles”,および第2002/0197552号(“Phase Change Developer For Liquid Electrophotography”)にさらに詳細に記載されている。
電荷輸送化合物
本実施形態は下記化学式1の電荷輸送化合物を含む有機感光体を特徴とする。
Figure 0004076489
(上記化学式1において,
Xは,炭素数が1〜30の二価炭化水素基または2つのヘテロ原子が脂肪族二価炭化水素基のバックボーン内で隣接しないように,炭素原子のうち少なくとも一つがヘテロ原子に置換された炭素数1〜30の二価炭化水素基であり,Rは,アリール基(例えば,フェニル基,ナフチル基,スチルベニル基,(9H−フルオレン−9−イリデン)ベンジル基またはトラニル基)またはヘテロサイクリック基であり,Rは(N,N−二置換)アリールアミン基(例えば,トリフェニルアミンのようなp−(N,N−二置換)アリールアミン基,カルバゾール基またはジュロリジン基)であり,Rはエポキシ基である。)
幾つかの実施形態でRは,2つのヒドラゾン基と結合できる2価の基でありうる。各ヒドラゾン基は,式-C=N=NR-X-Rの構造を有しうる。しかし,2つのヒドラゾン基は,同じ化学構造を有するか,またはそうでないこともある。特に,カルバゾール基またはジュロリジン基は,2つのヒドラゾン基に含まれる2つの原子価を有しうる。
化学式1の構造を有する電荷輸送化合物が有機感光体に含まれるとき,エポキシ基は,適当なバインダーの場合にはバインダーの作用基と反応できる。適当な重合体作用基は,例えば,ヒドロキシ,チオール,アミノ(1次アミノまたは2次アミノ),カルボキシ基またはこれらの組合せ物を含む。バインダーに対するこのような架橋結合は,有機感光体構造を安定させ,構造内の電荷輸送化合物の分布を安定させる。しかし,エポキシ作用基は,バインダーとの反応によって本質的に除去できる。エポキシ作用基の反応によって,バインダーまたはエポキシ作用基での親核性添加反応に関与する架橋剤作用基の原子に結合された炭素原子と一つの炭素原子だけ離れた位置にヒドロキシ基を有する特定化学構造が形成される。具体的には,生成された化合物は,Y−CRCROH−Xの構造を有するが,Yは架橋剤の有無に関係なく結合されたバインダーである。便宜のために,結合されたエポキシ作用基Y−CRCROH−Xは,他の酸素原子を有するエポキシ作用性を維持する基と共に本実施形態でエポキシ基として言及される。
二価炭化水素基Xは,脂肪族,芳香族または混合脂肪族−芳香族でありうる。脂肪族二価炭化水素基の非制限的な例には,-(CH-,-(CH-または(CR’R”)であり,ここでmとnとは独立的に1〜20の整数であり,R,R’およびR”は独立したアルキル基である。芳香族二価炭化水素基の非制限的な例は,下記化学式5,6,7を有する。
Figure 0004076489
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混合脂肪族−芳香族二価炭化水素基の非制限的な例は,下記化学式8,9を有し,他の化合物はサイクリック脂肪族基を含むこともある。
Figure 0004076489
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二価炭化水素基Xは,2つのヘテロ原子が脂肪族二価炭化水素基のバックボーン内で隣接しないように,少なくとも一つの炭素原子をヘテロ原子に置換することによってN,SおよびOのようなヘテロ原子を含みうる。このような二価炭化水素基の非制限的な例は,下記化学式10,11,12を有する。
Figure 0004076489
Figure 0004076489
Figure 0004076489
(上記化学式において,mは0〜10の整数である。)
また,エポキシ基Rは,下記化学式13に示す構造を有する。
Figure 0004076489
(上記式で未表示結合は,Xに対する結合に当り,Rは水素,アルキル基または芳香族基であり,RとRとは独立的に水素,アルキル基,芳香族基であるか,または共に融合される場合に5−枝,6−枝,またはその以上のシクロ脂肪族輪を形成するのに必要な原子である。)
本実施形態の化学式1に含まれる適当な電荷輸送化合物の具体的で非制限的な例は,下記化学式2の構造を有し,さらに望ましくは下記化学式14〜23の構造を有する。
Figure 0004076489
(上記化学式でRとRとは,上記化学式1で定義したものと同じである。)
Figure 0004076489
Figure 0004076489
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(電荷輸送化合物の合成)
エポキシ基に結合されたヒドラゾンを有する電荷輸送化合物は,一般的に,2次アミンと反応して選択されたX連結基を有するエポキシ基を形成する,目的置換ヒドラゾンを形成することによって合成される。例えば,芳香族置換された2次アミンは,塩基触媒反応で2次アミンの活性水素を通じてエピクロロヒドリンと反応してエポキシ基とアミン間に-CH-基(X基として)を有するエポキシ基を形成する。他のX基は,以下でさらに詳細に記載されるように,適当な2作用性反応物質を使用して形成されうる。ヒドラゾンは,アリール置換されたヒドラジンとN,N−二置換アリールアミンを有するアルデヒドまたはケトンの反応で形成される。
芳香族置換されたヒドラジンは,上記化学式1のR基を供給し,N,N−二置換アミノアリール置換されたアルデヒドまたはケトンは,上記化学式1のR基を供給する。アルデヒドまたはケトンとヒドラジンとの反応で,アルデヒド/ケトン基の酸素は,二重結合炭素に置換される。
エピクロロヒドリンを使用してX=-CH-であるエポキシ置換された化合物を形成できる一方,ハロゲンおよびビニル基(C=C)または置換されたビニル基を有する2作用基を使用して異なるX基を形成できる。ハライド基は,親核性置換によってヒドラゾンの2次アミン基に対する結合に置換されうる。ビニルまたは置換されたビニル基は,例えば,パーベンゾ酸またはその他のパーオキシ酸と親電子性付加反応で反応させ,エポキシ化反応でエポキシ基に変換されうる。したがって,X基は,ハライド基およびビニル/置換されたビニル基を有する2作用性化合物を導入することによって所望のままに選択されうる。
上記のようにエポキシ基は,直接または架橋剤を通じて重合体バインダーの作用基と反応される。エポキシ基と適当な作用基との反応は,本願に引用によって統合されたC.A.May,editor,“Epoxy Resins Chemistry And Technology”,(Marcel Dekker,NewYork,1988)およびB.Ellis,editor,“Chemistry And Technology Of Epoxy Resins,“(Blackie Academic And Professional,London,1993)にさらに詳細に記載されている。
(ヒドラジン類)
幾つかの代表的なヒドラジン類の合成を以下に記載する。
(1,1−ジナフチルヒドラジン)
1,1−ジナフチルヒドラジンは,本願に引用によって統合されたStaschkow,L.I.,Matevosyan,R.O.Journal of the General Chemistry(1964)34,136に記載された方法によって製造できる。750mlのエーテル中の,0.07モルのナフチルニトロサミンの懸濁液を5〜8℃に冷却させ,150gの亜鉛ダストで処理した。続いて,アセト酸(70ml)を撹拌しつつ滴加した。その後反応を完成するために40gの亜鉛ダストを添加した。さらに反応混合物を加熱してスラッジから濾過した。母液を10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄し,固体水酸化カリウム(KOH)で乾燥させた。エーテルを蒸留除去して1,1−ジナフチルヒドラジン結晶を得たが,これはエタノールまたはブタノールから結晶化される。その他の対称二置換ヒドラジンは,同じ方法で合成されうる。
(N−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジン)
N−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジンは,本願の引用によって統合された英国特許第1,047,525号(Mason)に記載された方法によって製造できる。0.5モルブタジエンスルホン(Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)と0.55モルのフェニルヒドラジン(Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)との混合物に0.005モルの40%水酸化カリウム水溶液を添加した。上記混合物を,固体を分離しつつ60℃で2時間置いた。10時間後,上記固体を濾過して融点が120〜121℃であるN−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジン(53%)を得た(メタノールから再結晶)。
(N−ピロール−2−イル−N−フェニルヒドラジン)
N−ピロール−2−イル−N−フェニルヒドラジンは,本願の引用によって統合された日本特許第05148210号(Myamoto)に記載された方法によって製造できる。
(1−フェニル−1−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)ヒドラジン)
1−フェニル−1−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)ヒドラジンは,本願に引用によって統合されたTetrahedron(1983),39(15),2599−608(Athertonetal.)に記載された方法によって製造できる。
(N−(4−スチルベニル)−N−フェニルヒドラジン)
N−(4−スチルベニル)−N−フェニルヒドラジンは,本願の引用によって統合されたZh.Org.Khim.(1967),3(9),1605−3(Matevosyan et al.)に記載された方法によって製造できる。この方法によってフェニルヒドラジン(97g,0.9モル,Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)と沸点に加熱されたp−クロロスチルベン(21.4g,0.1モル,Spectrum
Quality Products,Inc.,Gardena,CA,Web:www.spectrumchemical.comから購入可能)との混合物に,ナトリウムを赤色がそれ以上広がらないようにゆっくり添加した。いくらか加熱した後,上記混合物を1750mlのエタノールに溶解させ−15℃に冷却させた。沈殿された生成物を再結晶して28%のN−(4−スチルベニル)−N−フェニルヒドラジンを得た。
(N−(5−ベンゾトリアゾリル)−N−フェニルヒドラジン)
N−(5−ベンゾトリアゾリル)−N−フェニルヒドラジンは,下記方法によって製造できる。フェニルヒドラジン(97g,0.9モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)と沸点に加熱された5−クロロベンゾトリアゾール(15.4g,0.1モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)との混合物にナトリウムを,これ以上赤色が広がらないようにゆっくり添加した。いくらか加熱した後,上記混合物を室温で冷却させた。生成物を分離して精製した。
(N−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジン)
N−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジンは,本願の引用によって統合された英国特許第1,047,525号(Mason)に記載された方法によって製造できる。上記方法によって0.5モルブタジエンスルホン(Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)と0.55モルフェニルヒドラジン(Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)との混合物に0.005モルの40%の水酸化カリウム水溶液を添加した。上記混合物を60℃で2時間維持し,これにより固体が分離された。10時間後,上記固体を濾過して融点が119〜120℃であるN−フェニル−N−スルホラン−3−イルヒドラジン(I)(93%)を得た(メタノールから再結晶)。
(N−4−[(9H−フルオレン−9−イリデン)ベンジル]−N−フェニルヒドラジン)
N−4−[(9H−フルオレン−9−イリデン)ベンジル]−N−フェニルヒドラジンは,本願の引用によって統合されたZh.Org.Khim.(1967),3(9),1605〜1613(Matevosyanら)に記載された方法によって製造できる。上記方法によってフェニルヒドラジン(97g,0.9モル,Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)と沸点に加熱されたp−9−(4−クロロベンジリデン)フルオレン(28.9g,0.1モル,Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)の混合物にナトリュームをこれ以上赤色が広がらないようにゆっくり添加した。いくらか加熱した後,上記混合物をエタノール1750mlに溶解させた後に−15℃に冷却させた。沈殿された生成物を再結晶してN−4−[(9H−フルオレン−9−イリデン)ベンジル]−N−フェニルヒドラジンを得た。
(5−メチル−1−フェニル−3−(1−フェニルヒドラジノ)−ピラゾール)
5−メチル−1−フェニル−3−(1−フェニルヒドラジノ)−ピラゾールを本願に引用によって統合されたJ.Chem.Soc.C(1971),(12),2314−17(Boydetal.)に記載された方法によって製造できる。
(4−メチルスルホニルフェニルヒドラジン(登録番号877−66−7))
4−メチルスルホニルフェニルヒドラジンは,Fisher Scientific USA(Pittsburgh,PA(1−800−766−7000)所在)から購入できる。
(1,1’−(スルホニルジ−4,1−フェニレン)ビスヒドラジン二塩酸(登録番号K1052−65−4))
1,1’−(スルホニルジ−4,1−フェニレン)ビスヒドラジン二塩酸塩は,Vitas−M(Moscow,Russia(Phone:+7(095)939−5737)所在)から購入できる。
(アリールアルデヒド類)
ヒドラゾンと反応する代表的なアリールアルデヒド類は,次のように得られる。
(ジュロリジンアルデヒドの合成)
ジュロリジン(100g,0.6モル,Aldrich Chemicals Co,Milwaukee,WI 53201から購入可能)を500ml 3口丸底フラスコにあるジメチルホルムアミド(DMF)(200ml Aldrichから購入可能)に溶解させた。その後上記フラスコを氷バスで0℃に冷却させた。温度を5℃未満に維持しつつPOCl(107g,0.7モル,Aldrich)を滴加した。POClを全て添加した後に上記フラスコを室温で沸かし,1時間撹拌しつつ蒸気浴に置いた。次に上記フラスコを室温で冷却させた後,上記溶液をよく撹拌しつつ過量の蒸溜水にゆっくり添加し,さらに2時間撹拌した。固体を濾過して排出される水が中性となるまで水で反復洗浄した。生成物を50℃の真空オーブンで4時間乾燥させた。
(その他のアリールアルデヒド類)
適当な市中購入可能な(N,N−二置換)アリールアミンアルデヒド類は,例えば,ジフェニルアミノベンズアルデヒド((CNCCHO)と9−エチル−3−カルバゾールカルボキシアルデヒドを含んでAldrich(Milwaukee,WI)から購入できる。また,N−エチル−3,6−ジホルミルカルバゾールの合成は,以下実施例で記載した。
(ヒドラゾン類の合成)
ヒドラジンは,適当な芳香族アルデヒドまたはケトンと反応して所望のヒドラゾン電荷輸送化合物を形成する。反応は適当量の濃縮酸,特に硫酸に触媒化できる。触媒量の酸とヒドラジンおよび芳香族アルデヒドを混合した後,上記混合物を約2時間〜約16時間還流して得られる。初期生成物は,再結晶に精製することができる。上記式から選択された化合物の合成は,以下実施例に記載されており,本願に記載された他の化合物も同様に合成されうる。
幾つかの実施形態でヒドラジン類は,前述したように酸性化した塩酸塩の形態で得られる。これら実施形態でヒドラジン塩酸塩は,混合物を撹拌しつつ水性カーボネート塩基と反応されうる。ヒドラジン1モル当りヒドラジン塩酸塩1モルである実施形態で,1.2モルの炭酸カリウムまたはヒドラジン1モル当りヒドラジン2塩酸塩1モルである実施形態で炭酸カリウム2.4モルのように過量のカーボネート塩基を添加できる。
(架橋剤との反応)
一般的に電荷輸送化合物は,特定層を形成するためにバインダーおよび有機感光体の特定層の,任意の他の成分と組合される。架橋剤が使われる場合,他の成分と組合せする前に架橋剤をまず電荷輸送化合物または重合体バインダーと反応させることが望ましい。当業者は,所望の特性を有する層を形成するために,全ての成分を一回にまたは連続的に混合するように適当な反応順序を決定できる。
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本実施形態は,下記実施例を通じてさらに詳細に理解される。
(電荷輸送化合物の製造)
本実施例は,前述した電荷輸送化合物の合成を記述する。具体的には,上記化学式に対応する化合物2,4,6および9の合成を記述する。
(4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド−N−2,3−エポキシプロピル−N−フェニルヒドラゾン(化合物2)の製造)
フェニルヒドラジン(0.1モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)と4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド(0.1モル,Fluka,Buchs SG,Switzerland)とを還流コンデンサと機械的撹拌機が設けられた250ml3口丸底フラスコ内の100mlイソプロパノールに溶解させた。上記溶液を2時間還流し,反応完了後,上記混合物を室温で冷却させて得られた4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン結晶を濾過し,イソプロパノールで洗浄し,50℃の真空オーブンで6時間乾燥させた。
25mlのエピクロロヒドリン中の4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(3.6g,0.01モル),85%粉末水酸化カリウム(2.0g,0.03モル)および無水炭酸カリウムの混合物を55〜60℃で1.5〜2時間激しく撹拌した。反応過程をアセトンとヘキサンの1:4v/v混合物を溶離液として使用し,シリカゲル60F254プレート(Merck,Whitehouse Station,NJから購入可能)上の薄膜クロマトグラフィでモニタリングした。反応が終わった後,上記混合物を室温で冷却させ,エーテルで希釈し,洗浄水が中性pHを有するまで水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,活性炭で処理した後に濾過した。エーテルを除去し,残留物をトルエンとイソプロパノールの1:1v/v混合物に溶解させた。放置して生成された結晶を濾過し,イソプロパノールで洗浄して融点が141〜142.5℃である生成物3.0g(71.4%収率)を得た。次に上記生成物をトルエンとイソプロパノールの1:1混合物に再結晶した。生成物は,下記デルタ値(ppm)で観察されたピークであって,CDCl(250MHz装置)で1H−NMRに特徴付けられる:7.65〜6.98(m,19H),6.93(t,J=7.2Hz,1H),4.35(dd,1H),3.99(dd,1H),3.26(m,1H),2.84(dd,1H),2.62(dd,1H)。元素分析で下記結果を得た(重量%):%C=80.02,%H=6.31,%N=9.91。これはC28253Oの計算値%C=80.16,%H=6.01,%N=10.02と一致する。
(4−(4,4’−ジメチルジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド−N−2,3−エポキシプロピル−N−フェニルヒドラゾン(化合物4)の製造)
フェニルヒドラジン(0.1モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)と4−(4,4’−ジメチルジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド(0.1モル,Syntec GmbH社製,Germany)とを還流コンデンサと機械的撹拌機が備えられた250ml3口丸底フラスコ中の100mlのイソプロパノールに溶解させた。上記溶液を2時間還流し,反応完了後,上記混合物を室温で冷却させて得られた4−(4,4’−ジメチルジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン結晶を濾過し,イソプロパノールで洗浄し,50℃の真空オーブンで6時間乾燥させた。
そして,25mlのエピクロロヒドリン中の4−(4,4−ジメチルジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(3.9g,0.01モル),85%粉末水酸化カリウム(2.0g,0.03モル)および無水炭酸カリウムの混合物を55〜60℃で1.5〜2時間激しく撹拌した。反応過程をアセトンとヘキサンの1:4v/v混合物を溶離液として使用してシリカゲル60F254プレート(Merck,Whitehouse Station,NJから購入可能)上の薄層クロマトグラフィでモニタリングした。反応が終わった後,上記混合物を室温で冷却させ,エーテルで希釈し,洗浄水が中性pHを有するまで水で洗浄した。続いて有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,活性炭で処理した後に濾過した。エーテルを除去し,残留物をトルエンに結晶して精製した後,カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,Merck grade 9385,60Å,Aldrich:溶離剤としてヘキサンとアセトンの4:1v/v混合物)で精製した。ここで化合物4の収率は,65.5%であった。生成物は,H−NMRスペクトルで特徴付けられる。生成物は,下記デルタ値(ppm)で観察されたピークであって,CDCl(250MHz装置)で1H−NMRで特徴付けられる:7.62(s,1H),7.55〜6.90(m,17H),4.35(dd,1H),3.98(dd,1H),3.27(m,1H),2.85(dd,1H),2.63(dd,1H),2.32(s,6H)。元素分析で下記結果を得た(重量%):%C=80.42,%H=6.41,%N=9.21。これはC30293Oの計算値%C=80.51,%H=6.53,%N=9.39と一致する。
(化合物6の製造)
フェニルヒドラジン(0.1モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)と9−エチル−3−カルバゾールカルボキシアルデヒド(0.1モル,Aldrich Chemical社製,Milwaukee,WI)とを還流コンデンサと機械的撹拌機とが備えられた250ml3口丸底フラスコ中の100mlのイソプロパノールに溶解させた。次に上記溶液を2時間還流した。反応完了後,上記混合物を室温で冷却させて得られた9−エチル−3−カルバゾールカルボキシアルデヒドフェニルヒドラゾン結晶を濾過してイソプロパノールで洗浄し,50℃の真空オーブンで6時間乾燥させた。
そして25mlのエピクロロヒドリン中の9−エチル−3−カルバゾールカルボキシアルデヒドフェニルヒドラゾン(3.1g,0.01モル),85%粉末水酸化カリウム(2.0g,0.03モル)および無水炭酸カリウムの混合物を55〜60℃で1.5〜2時間激しく撹拌した。反応過程を,アセトンとヘキサンの1:4v/v混合物を溶離液として使用し,シリカゲル60F254プレート(Merck社製)上の薄層クロマトグラフィでモニタリングした。反応が終わった後,上記混合物を室温で冷却させ,エーテルで希釈し,洗浄水が中性pHを有するまで水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,活性炭で処理した後に濾過した。エーテルを除去し,残留物をトルエンとイソプロパノールの1:1混合物に溶解させた。また,放置時に形成された結晶を濾過し,イソプロパノールで洗浄して融点が136〜137℃である生成物3.0gを得た(収率81.2%)。その後,生成物をトルエンとイソプロパノールの1:1混合物で再結晶した。生成物は,下記デルタ値(ppm)で観察されたピークを得るCDCl(250MHz装置)によって1H−NMRで特徴付けられる:8.35(s,1H),8.14(d,J=7.8Hz,1H),7.93(d,J=7.6Hz,1H),7.90(s,1H),7.54〜7.20(m,8H),6.96(t,J=7.2Hz,1H),4.37(m,3H),4.04(dd,J1=4.3Hz,J2=16.4Hz,1H),3.32(m,1H),2.88(dd,1H),2.69(dd,1H),1,44(t,J=7.2Hz,3H)。元素分析で下記結果を得た(重量%):%C=78.32,%H=6.41,%N=11.55。これはC24233Oの計算値%C=78.02,%H=6.28,%N=11.37と一致する。
(化合物9の製造)
271mlのDMF(3.5モル)を機械的撹拌機,温度計および付加じょうごが備えられた1リットル3口丸底フラスコに添加した。内容物を塩/氷バスで冷却させ,フラスコの内部温度が0℃である時,326mlのPOCl(3.5モル)をゆっくり添加した。POClを添加する間にフラスコの内部温度が約5℃上がらないようにし,POClを添加した後,反応混合物を室温で沸かされるようにした。フラスコを室温で沸かした後,70mlDMF中のN−エチルカルバゾール(93g)を添加した後にフラスコを,加熱マントルを使用して24時間90℃で加熱した。その次に,上記反応混合物を室温で冷却させ,反応混合物を,2リットルの水に溶解されたアセト酸ナトリウム820gを含む溶液を含有し,冷却された4.5リットルビーカーにゆっくり添加した。上記ビーカーを氷バスで冷却させ,3時間撹拌し,得た褐色の固体を濾過し,水と少量の(50ml)エタノールで反復して洗浄した。洗浄後に得た生成物を活性炭を使用してトルエンから1回再結晶し,70℃のオーブンで6時間真空乾燥させてN−エチル−3,6−ジホルミルカルバゾール55g(46%収率)を得た。生成物は,1H−NMRで特徴付けられ下記デルタ値(ppm)を得た:10.12(s,2H),8.63(s,2H),8.07(d,2H),7.53(d,2H),4.45(m,2H),1.53(t,3H)。フェニルヒドラジン(0.2モル,Aldrich社製,Milwaukee,WI)とN−エチル−3,6−ジホルミルカルバゾール(0.1モル)とを還流凝縮機と機械的撹拌機とが備えられた250ml3口丸底フラスコ中のトルエンとTHFの1:1混合物100mlに溶解させた。上記溶液を2時間還流し,反応が終わった後,上記混合物を室温で冷却させて得られたN−エチル−3,6−ジホルミルカルバゾールビス(N−フェニルヒドラゾン)結晶を濾過し,イソプロパノールで洗浄し,50℃の真空オーブンで6時間乾燥させた。ここでは,それ以上精製せずに生成物を次の段階で使用した。
そして,25mlのエピクロロヒドリン中のN−エチル−3,6−ジホルミルカルバゾールビス(N−フェニルヒドラゾン)(4.3g,0.01モル),85%粉末水酸化カリウム(2.0g,0.03モル)および無水炭酸カリウムの混合物を55〜60℃で1.5〜2時間激しく撹拌した。反応過程を,アセトンとヘキサンの1:4v/v混合物を溶離液として使用し,シリカゲル60F254プレート(Merck社製)上の薄層クロマトグラフィでモニタリングした。反応が終わった後,上記混合物を室温で冷却させ,エーテルで希釈し,洗浄水が中性pHを有するまで水で洗浄した。また,有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,活性炭で処理した後に濾過した。エーテルを除去し,残留物をトルエンに結晶化した後,カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,Merck grade 9385,60Å,Aldrich:溶離液としてヘキサンとアセトンの4:1v/v溶液を使用)に精製した。化合物9の収率は68.5%であり,生成物は融点が119〜120℃であった(トルエンから再結晶)。生成物は,CDCl(100MHz装置)でH−NMRスペクトル(100MHz,CDCl)に特定し,下記デルタ値(ppm)を得た:8.5〜7.8(m,8H),7.6〜7.2(m,8H),7.0(m,2H),4.55(m,6H),3.3(m,2H),2.9(dd,2H),2.65(dd,2H),1.4(t,3H)。元素分析で下記値を重量%で得た:C75.01,H 6.91,N 12.68。比較のためにC4146の計算された元素分析値は,重量%は次の通りである:C75.20,H 7.08,N 12.83。
(電子輸送化合物の製造)
本実施例は,(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルの製造方法を記述する。
460gの濃縮硫酸(4.7モル,分析級,Sigma−Aldrich社製,Milwaukee,WI)および100gのジフェン酸(0.41モル,Acros Fisher Scientific Company Inc.社製,Hanover Park,IL)を温度計,機械的撹拌機および還流コンデンサが備えられた1リットル3口丸底フラスコに添加した。加熱マントルを使用して上記フラスコを135〜145℃に12分間加熱した後,室温で冷却させた。室温で冷却させた後,上記溶液を3リットルの水を含有した4リットル容量の三脚フラスコに添加した。上記混合物を機械的に撹拌した後,1時間温かく沸かした。黄色の固体を濾過した後,洗浄水のpHが中性となるまで熱い水で洗浄し,フードで一夜乾燥させた。黄色の固体は,フルオレノン−4−カルボン酸であった。このとき収率は80%(75g)であった。次いで,生成物を特定した。融点は223−224℃であった。フルオレノン−4−カルボン酸のH−NMRスペクトルは,Bruker Instrument.社製の300MHz NMRで,d−DMSO溶媒中において得られた。ピークは,次のようになった(ppm):δ=7.39〜7.50(m,2H),δ=7.79〜7.70(q,2H),δ=7.74〜7.85(d,1H),δ=7.88〜8.00(d,1H),およびδ=8.18〜8.30(d,1H)。ここで,dはダブレット,tはトリプレット,mはマルチプレット,ddはダブルダブレット,qはキンテットである。
また,70g(0.312モル)のフルオレノン−4−カルボン酸,480g(6.5モル)のn−ブタノール(Fisher Scientific Company Inc.社製,Hanover Park,IL),1000mlのトルエンおよび4mlの濃縮硫酸をディーンスターク装置が備えられた還流コンデンサと機械的撹拌機が備えられた2リットル丸底フラスコとに添加した。上記溶液を5時間激しく撹拌および還流し,その間に約6gの水をディーンスターク装置に収集した。上記フラスコを室温で冷却させ,溶媒を蒸発させ,残留物を4リットルの3%中炭酸ナトリウム水溶液に撹拌しつつ添加した。固体を濾過し,洗浄水のpHが中性となるまで水で洗浄し,フードで一夜乾燥させた。生成物は,n−ブチルフルオレノン−4−カルボキシレートエステルであって,収率は80%(70g)であった。n−ブチルフルオレノン−4−カルボキシレートエステルのH−NMRスペクトルは,Bruker Instrument社の300MHz NMRでCDClにおいて得られた。ピークは,次のようになった(ppm):δ=0.87〜1.09(t,3H),δ=1.42〜1.70(m,2H),δ=1.75〜1.88(q,2H),δ=4.26〜4.64(t,2H),δ=7.29〜7.45(m,2H),δ=7.46〜7.58(m,1H),δ=7.60〜7.68(dd,1H),δ=7.75〜7.82(dd,1H),δ=7.90〜8.00(dd,1H),δ=8.25〜8.35(dd,1H)。
また,70g(0.25モル)のn−ブチルフルオレノン−4−カルボキシレートエステル,750mlの無水メタノール,37g(0.55モル)のマロノニトリル(Sigma−Aldrich社製,Milwaukee,WI),20滴のピペリジン(Sigma−Aldrich社製,Milwaukee,WI)を機械的撹拌機と還流コンデンサとが備えられた2リットル3区の丸い底フラスコに添加した。上記溶液を8時間還流した後,フラスコを室温で冷却させた。オレンジ色の粗生成物を濾過し,70mlのメタノールで2回,150mlの水で1回洗浄し,フードで一夜乾燥させた。上記オレンジ色の粗生成物を600mlのアセトンと300mlのメタノールとの混合物から活性炭を使用して再結晶した。上記フラスコを0℃で16時間置いた。結晶を濾過し,50℃の真空オーブンで6時間乾燥させて60gの純粋な(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルを得た。上記固体の融点は99〜100℃であった。(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルのH−NMRスペクトルは,Bruker Instrument社の300MHz NMRでCDClにおいて得られた。ピークは次のようになった(ppm):δ=0.74〜1.16(t,3H),δ=1.38〜1.72(m,2H),δ=1.70〜1.90(q,2H),δ=4.29〜4.55(t,2H),δ=7.31〜7.43(m,2H),δ=7.45〜7.58(m,1H),δ=7.81〜7.91(dd,1H),δ=8.15〜8.25(dd,1H),δ=8.42〜8.52(dd,1H),δ=8.56〜8.66(dd,1H)。
(有機感光体の製造)
本実施例は,実施例1の電荷輸送化合物を含む15の有機感光体サンプルの製造について記載する。これら有機感光体は,下記実施例で特定される。また,5つの比較サンプルも記載する。
(サンプル1)
サンプル1は,蒸気コーティングされたアルミニウム層(CP Films社製,Martinsville,VA)がある76.2ミクロン(3mil)厚さのポリエステル支持体を有する単一層の有機感光体であった。上記単一層の有機感光体用コーティング溶液は,1.87gの化合物2,0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを合わせて製造され,これを成分が溶解されるまで撹拌した。テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち,7.4gの14重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))と2.3:1重量比のチタニルオキシフタロシアニンおよびポリビニルブチラル樹脂(積水化学(株))とを18.5重量%含有したCGMミルベース0.83gを上記コーティング溶液に添加した。
112.7gのチタニルオキシフタロシアニン(H.W.Sands Corp.社製,Jupiter,FL)と651gのメチルエチルケトンのうち,I49gのポリビニルブチラル樹脂(BX−5)を1ミクロンのジルコニウムビードを利用して水平サンドミル(model LMC12 DCMS,Netzsch Incorporated社製,Exton,PA)で4時間リサイクルモードでミーリングしてCGMミルベースを製造した。
機械的シェーカで約1時間上記溶液を混合した後,単一層コーティング溶液を94ミクロンオリフィスのナイフコータで上記支持体上にコーティングし,その後,110℃オーブンで5分間乾燥させた。
(サンプル2)
サンプル2を製造するための単一層の有機感光体コーティング溶液は,1.87gの化合物2,0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを混合して製造され,これら成分が溶解されるまで撹拌した。テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち14重量%ポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))7.4g,3.0gのテトラヒドロフランのうちフタル酸無水物(Aldrich Chemical)0.65gおよび2.3:1重量比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(Sekisui ChemicalCo.Ltd.,Japan)18.5重量%とを含有したCGMミルベース0.83gを上記コーティング溶液に添加した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,単一層コーティング溶液を94ミクロンオリフィスのナイフコータで,サンプル1について記載したものと同じ支持体にコーティングし,その後,110℃オーブンで5分間乾燥させた。
(サンプル3)
サンプル3を製造するための単一層の有機感光体コーティング溶液は,1.87gの化合物2,0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを混合して製造され,これら成分が溶解されるまで撹拌した。テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち14重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))7.4g,2.0gのテトラヒドロフランのうち,マレイン酸無水物(Aldrich Chemical)0.43gおよび2.3:1重量比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(積水化学(株))18.5重量%とを含有したCGMミルベース0.83gを上記混合物に添加した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,単一層のコーティング溶液を94ミクロンオリフィスのナイフコータでサンプル1について記載したものと同じ支持体にコーティングし,その後,110℃オーブンで5分間乾燥させた。
(サンプル4)
サンプル4を製造するための単一層の有機感光体コーティング溶液は,1.59gの化合物2,テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち20重量%の(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル2.29g,4.0gのテトラヒドロフラン,テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち11.1重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))7.91gおよびテトラヒドロフランのうち2.3:1重量比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.7重量%とを含有したCGMミルベース0.7gを混合して製造した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,テトラヒドロフランのうち10重量%トリエチルアミン溶液0.5gを添加し,上記コーティング溶液を短く撹拌した後に94ミクロンオリフィスのナイフコータでサンプル1について記載したのと同様の支持体にコーティングし,その後,85℃オーブンで15分間乾燥させた。
(サンプル5)
サンプル5を製造するための単一層の有機感光体コーティング溶液は,1.33gの化合物2,テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち20重量%の(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル1.91g,5.5gのテトラヒドロフランのうちフタル酸無水物(Aldrich Chemical)0.5g,テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち11.1重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))6.6gおよびテトラヒドロフランのうち2.3:1重量比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.7重量%とを含有したCGMミルベース0.7gを混合して製造した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,テトラヒドロフランのうち10重量%のトリエチルアミン溶液0.5gを添加し,上記コーティング溶液を短く撹拌した後に94ミクロンオリフィスのナイフコータでサンプル1について記載したのと同様の支持体にコーティングし,その後,85℃オーブンで15分間乾燥させた。
(サンプル6)
化合物2の代わりに1.87gの化合物6を使用することを除いては,サンプル1と同じ方法でサンプル6を製造した。
(サンプル7)
化合物2の代わりに1.87gの化合物6,サンプル2に記載された量の代わりに3.4gのテトラヒドロフランのうちフタル酸無水物0.75gを使用することを除いては,サンプル2について前述した通りにサンプル7を製造した。
(サンプル8)
化合物2の代わりに1.87gの化合物6,サンプル3に記載されたマレイン酸無水物の量の代わりに2.3gのテトラヒドロフランのうちマレイン酸無水物0.5gを使用することを除いては,サンプル3について前述した通りにサンプル8を製造した。
(サンプル9)
化合物2の代わりに1.59gの化合物6を使用することを除いては,サンプル4について前述した通りにサンプル9を製造した。
(サンプル10)
化合物2の代わりに1.33gの化合物6を使用することを除いては,サンプル5について前述した通りにサンプル10を製造した。
(サンプル11)
化合物2の代わりに1.87gの化合物9を使用することを除いては,サンプル1について前述した通りにサンプル11を製造した。
(サンプル12)
化合物2の代わりに1.87gの化合物9を使用し,サンプル2に記載された量の代わりに5.0gのテトラヒドロフランのうち,1.1gのフタル酸無水物を使用することを除いては,サンプル2について前述した通りにサンプル12を製造した。
(サンプル13)
化合物2の代わりに1.87gの化合物9を使用し,サンプル3について記載された量のマレイン酸無水物の代わりに3.2gのテトラヒドロフランのうち0.7gのマレイン酸無水物を使用することを除いては,サンプル3について記載した通りにサンプル13を製造した。
(サンプル14)
化合物2の代わりに1.59gの化合物9を使用することを除いては,サンプル4について記載した通りにサンプル14を製造した。
(サンプル15)
化合物2の代わりに1.33gの化合物9を使用することを除いては,サンプル5について記載した通りにサンプル15を製造した。
(比較サンプルA)
比較サンプルAを製造するために,1.87gのMPCT−10(電荷輸送物質,三菱製紙(株)),0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを組合して単一層の有機感光体コーティング溶液を製造し,これら成分が溶解されるまで撹拌した。テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち14重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))7.4gおよびテトラヒドロフランのうち2.3:1比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.5重量%とを含有したCGMミルベース0.83gを上記コーティング溶液に添加した。CGMミルベースは,サンプル1について記載した通りに製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,単一層のコーティング溶液を,94ミクロンオリフィスを有するナイフコータを使用してサンプル1に記載したものと同じ支持体上にコーティングし,その後,5分間110℃のオーブンで乾燥させた。
(比較サンプルB)
比較サンプルBを製造するために,1.87gのMPCT−10(電荷輸送物質,三菱製紙(株)),0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを混合して単一層の有機感光体コーティング溶液を製造したが,これら成分が溶解されるまで撹拌した。テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち14重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))7.4gとテトラヒドロフラン3.0gのうちフタル酸無水物0.65g(Aldrich Chemical)およびテトラヒドロフランのうち2.3:1比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.5重量%とを含有したCGMミルベース0.83gを上記コーティング溶液に添加した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,単一層のコーティング溶液を94ミクロンオリフィスを有するナイフコータを使用してサンプル1について記載したものと同じ支持体上にコーティングし,その後,5分間110℃オーブンで乾燥させた。
(比較サンプルC)
比較サンプルCを製造するために,1.87gのMPCT−10(電荷輸送物質,三菱製紙(株)),0.54gの(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリルおよび9.37gのテトラヒドロフランを混合して単一層の有機感光体コーティング溶液を製造し,これら成分が溶解されるまで撹拌した。上記混合物にテトラヒドロフランプレミックス溶液のうち14重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−1,積水化学(株))7.4g,2.0gのテトラヒドロフランのうちマレイン酸無水物0.44g(Aldrich
Chemical)およびテトラヒドロフランのうち2.3:1比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.5重量%とを含有したCGMミルベース0.83gを添加した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,単一層のコーティング溶液を,94ミクロンオリフィスを有するナイフコータを使用してサンプル1について記載したものと同じ支持体上にコーティングし,その後,5分間110℃オーブンで乾燥させた。
(比較サンプルD)
比較サンプルDを製造するために,1.59gのMPCT−10(電荷輸送物質,三菱製紙(株)),テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち20重量%の(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル2.29g,4.0gのテトラヒドロフラン,テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち11.1重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))7.9gおよびテトラヒドロフランのうち2.3:1比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.7重量%とを含有したCGMミルベース0.7gを混合して単一層の有機感光体コーティング溶液を製造した。CGMミルベースは,サンプル1について記載したのと同様に製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,テトラヒドロフランのうち10重量%のトリエチルアミン溶液0.5gを添加し,上記コーティング溶液を短く撹拌した後に94ミクロンオリフィスを有するナイフコータを使用してサンプル1について記載したものと同じ支持体上にコーティングし,その後,15分間85℃オーブンで乾燥させた。
(比較サンプルE)
比較サンプルEを製造するために,1.33gのMPCT−10(電荷輸送物質,三菱製紙(株)),テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち20重量%の(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロノニトリル1.91g,5.5gのテトラヒドロフランのうち0.5gのフタル酸無水物(Aldrich Chemical),テトラヒドロフランプレミックス溶液のうち11.1重量%のポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))6.6gおよびテトラヒドロフランのうち2.3:1比のチタニルオキシフタロシアニンとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学(株))18.7重量%とを含有したCGMミルベース0.7gを混合して単一層の有機感光体コーティング溶液を製造した。CGMミルベースは,サンプル1と同じ方法で製造した。
上記溶液を機械的シェーカで約1時間混合した後,テトラヒドロフランのうち10重量%のトリエチルアミン溶液0.5gを添加し,上記コーティング溶液を短く撹拌した後に94ミクロンオリフィスを有するナイフコータを使用してサンプル1と同じ支持体上にコーティングし,その後,15分間85℃オーブンで乾燥させた。
(有機感光体の乾式静電試験および特性)
本実施例は,上記実施例3に記載したのと同様に製造した有機感光体サンプルに対する静電試験の結果を提供する。
エポキシ改質されたヒドラゾン系化合物を含有した本願の有機感光体の静電サイクリング性能は,例えば,160mm直径のドラムの周りにラッピングされた3つ以下のサンプルストリップを試験できる,自体デザインされて開発されたテストベッドを使用して行った。これらサンプルに対する結果は,ベルト,ドラムのような有機感光体を支持するためのその他の支持構造体で得られうる結果の指標である。
160mm直径のドラムを使用したテストにおいて,各々長さは50cm,幅が8.8cmである3つのコーティングされたサンプルストリップを並列に固定し,アルミニウムドラム(50.3cm円周)の周りを完全に取り囲む。幾つかの実施形態で一つ以上のストリップは,精密にウェブコーティングされ,内部の基準点として使われる対照サンプルである。逆二重層構造を有する対照サンプルをテスタの内部チェックで使用した。このような静電サイクリングテスタで上記ドラムは,8.13cm/sec(3.2ips)の速度に回転し,テスタで各ステーションの位置(距離およびサイクル当り経過時間)は,下記表に示した。
8.13cm/secで160mm直径ドラムの周りの静電テスト
Figure 0004076489
(イレーズバーは,有機感光体の表面を放電する波長が720nmのレーザ放出ダイオード(LED)の配列である。スコロトロン帯電器は,有機感光体の表面に所望の量の電荷を輸送させるワイヤーを含む。)
上記表1で第1静電プローブ(Trek 344TM静電気メートル,Trek,Inc.社製,Medina,NY)は,レーザストライクステーションの0.34秒後およびスコロトロンの0.78秒後に位置する一方,第2プローブ(TrekTM344静電気メートル)は,第1プローブの1.21秒後およびスコロトロンの1.99秒後に位置する。全ての測定は,周囲温度および相対湿度で行なわれる。
静電測定は,テストステーションで数回実行して得た。最初三つの診断テスト(初期プロドテスト,初期
VlogE,初期暗減衰)は新しい,作ったばかりのサンプルの静電サイクルを評価するようにデザインされ,残りの三つの同じ診断テスト(最終プロドテスト,最終 VlogE,最終暗減衰)はサンプルサイクリングの後に行った。また,以下“ロングラン“で記載したように,テストの間に周期的に測定した。レーザは,780nm波長,600dpi,50ミクロンのスポットサイズ,60ナノ秒/ピクセルの露光時間,秒当たり1,800ラインのスキャン速度,および100%デューティーサイクルで作動した。デューティーサイクルとは,ピクセルクロック周期の露光百分率,すなわち,100%デューティーサイクルでピクセル当り60ナノ秒間レーザが完全にオンになっていることである。
(静電テスト項目)
1)プロドテスト(PRODTEST):3回の完全なドラム回転(レーザオフ状態)間サンプルをコロナ帯電(イレーズバーは,常にオン状態)し,第4回転で780nmおよび600dpiのレーザで放電(50μmスポットサイズ,60ナノ秒/ピクセルの露光,1800ライン/秒のスキャン速度および100%デューティーサイクル使用)し,次いで3回転(レーザオフ状態)間完全帯電し,第8回転(コロナおよびレーザオフ状態)で720nmのイレーズランプだけで放電して残留電圧(Vres)を得た。最後に最終3回(レーザオフ状態)間完全帯電させて電荷受容電圧(Vacc)および放電電圧(Vdis)を設定した。コントラスト電圧(Vcon)は,VaccとVdis間の差であり,機能的暗減衰(Vdd)は第1プローブと第2プローブとによって測定された電荷受容電位の差である。
2)VLOGE:このテストは,固定された露光時間と一定の初期電位でレーザ電力(露光持続時間50ns)の関数としてサンプルの放電電圧をモニタリングし,多様なレーザ強度水準に対する光導電体の光誘導された放電を測定する。機能的感光度S780nmと作動電源セッティングとは,この診断テストで決定された。
3)暗減衰(DARK DECAY):このテストは,90秒間レーザまたはイレーズを照射せずに時間による暗所での電荷受容損失を測定し,i)電荷発生層から電荷輸送層に残留正孔の注入,ii)捕獲された電荷の熱放出,およびiii)表面またはアルミニウム底面から電荷の注入の指標として使用されうる。
4)ロングラン(LONGRUN):サンプルをサンプル−ドラム回転毎に下記順序によって100回のドラム回転間静電気的にサイクリングした。サンプルをコロナで帯電し,レーザを周期的にオン・オフして(80〜100゜セクション)サンプルの一部を放電させ,最後にイレーズランプは,次のサイクルを準備するために全体サンプルを放電させた。サンプルの第1セクションは,決して露光されず,第2セクションは常に露光され,第3セクションは露光されず,最後のセクションは常に露光されるようにレーザをサイクリングした。このパターンを100ドラム回転間反復し,100サイクルロングラン間毎5番目のサイクル後にデータを周期的に記録した。
5)ロングランテスト後,プロドテスト,VLOGE,暗減衰診断テストを再び行った。
下記表は,初期プロドテストと最終プロドテスト診断テストの結果を示す。電荷受容電圧(Vacc,第3サイクルから得た第1プローブ平均電圧),放電電圧(Vdis,第4サイクルから得た第1プローブ平均電圧)に対する値を初期サイクルおよび最終サイクルについて記録した。
サイクル初期および100回帯電−放電サイクル後の多様なサンプルの乾式静電テストの結果
Figure 0004076489
(上記表2で,ゼログラフィック工程の感光度(780nmでの感度(m/J))は,VLOGE診断実行間に得た情報から感光体をその初期電位の1/2に放電させるのに必要なレーザ電力,露光持続時間,および1/スポットサイズの積の逆数を計算して決定した。)
(電荷輸送化合物のイオン化電位の評価)
本実施例は,3つのサンプルと比較サンプルとに対するイオン化電位の評価を提供する。
イオン化電位(Ip)の測定のためのサンプルは,テトラヒドロフランに上記化合物を溶解させて準備した。上記溶液をメチルセルロース系接着サブ層に精巧にコーティングされ,アルミニウム被覆されたポリエステル支持体上に,ハンドコーティングして電荷輸送物質(CTM)層を形成した。上記サブ層は,CTM層の接着力を改善かつCTMの結晶化を遅延させ,可能な限りCTM層の欠陥を通じてAl層からの電子光放出を排除する役割をする。6.4eV以下の量子エネルギーを有する光を照射すれば,サブ層を通じてAlからのいかなる光放出も検出されなかった。また,接着サブ層は,測定する間その上に電荷蓄積が起らない十分な伝導性であった。サブ層とCTM層との厚さは,約0.4μmであった。また,Ipを測定するためのサンプルを準備するのにCTMにいかなるバインダー材料も使用しなかった。3つのサンプル(16,17および18)は,各々化合物2,6および10のため準備される。
イオン化電位は,本実施例に引用によって統合された“大気光電子放出分析による有機顔料フィルムのイオン化電位(Ionization Potential of Organic Pigment Film by Atmospheric Photoelectron Emission Analysis)“:Electophotography,28,Nr.4,p.364.(1989),E.Miyamoto,Y.YamaguchiおよびM.Yokoyama)に記述されたものと類似な空気中電子光放出法で測定した。重水素ランプソースを有する石英単色光器で各サンプルに単色光を照射した。入射光ビームの電力は,2−5x10Wであった。サンプル支持体に−300Vの負電圧を加えた。4.5x15mmの照射用スリットがあるカウンタ電極をサンプル表面から8mmの距離に置いて,光電流を測定するために開放入力体制で作動するBK2−16形電位計の入力部にカウンタ電極を連結させた。照射する間10−15〜10−12ampの光電流が回路に流れた。光電流は,入射光の光子エネルギーhνに大きく左右され,I0.5=f(hν)の依存度がプロッティングされた。一般的に入射光の量子エネルギーに対する光電流の二乗根の依存度は,スレショルド値の近くで線形関係によってよく説明される(本実施例の引用によって統合された引用文献“大気光電子放出分析による有機顔料フィルムのイオン化電位(Ionization Potential of Organic Pigment Film by Atmospheric Photoelectron Emission Analysis)“:Electrophotography,28,Nr.4,p.364(1989),E.Miyamoto,Y.Yamaguchi and M.Yokoyama,および“固体での光放出”,Topics in Applied Physics,26,1−103(1978)by M.Cordona and L.Ley参照)。このような依存度が線形関係を示す部分をhν軸に外挿し,切片での量子エネルギーとしてIp値を決定した。イオン化電位測定値は,±0.03eVの誤差を有する。イオン化電位データを表3に示した。
Figure 0004076489
イオン化電位および移動度値
本実施例は,有機感光体サンプルに対するホール移動度の測定を記述する。
ホールドリフト移動度は,本実施例の引用によって統合された“負帯電されたSe電子写真層の放電動力学(The discharge kinetics of negatively charged Seelectrophotographic layers)”,Lithuanian Journal of Physics,6,p.569〜576(1966),E.Montrimas,V.Gaidelis,and APazera)に記述された飛行時間法を利用して測定した。ポジティブコロナ帯電は,CTM層の内部に電気場を発生させた。また,窒素レーザパルス(パルス持続時間が2nsであり,波長が337nm)で照射して層表面に電荷キャリアを発生させた。パルスを照射した結果,初期の照射前の電位対比1〜5%まで層表面の電位が減少した。光周波数帯域電位計に連結されたキャパシタンスプローブで表面電位の速度dU/dtを測定した。通過時間tは,線形または二重ログスケールで,dU/dt過渡値曲線における変化(kink)によって測定した。ドリフト移動度は,式μ=d/U・tによって計算される。ここでdは層厚さであり,Uは照射時の表面電位である。移動度値は,6.4x10V/cmの電気場の強さEで評価した。移動度の電気場依存度は,近似的に下記関数で示せる:
Figure 0004076489
ここで,αは移動度の電気場依存性を示すパラメータである。
次のような5つのサンプルを実施例1に記載した3つの電荷輸送化合物から製造した。
(サンプル19)
0.1gの化合物2と0.1gのポリビニルブチラル(PVB1,Aldrich cat. #41,843−9,Aldrich,Milwaukee,WIから購入可能)とを2mlのTHFに溶解させた。次に,上記溶液をディープローラ法で導電性Al層を有するポリエステルフィルム上にコーティングした。80℃で1時間乾燥させた後,透明な10μm厚さの層を形成した。サンプル19のホール移動度を測定し,その結果を上記表3に示した。
(サンプル20)
PVB1の代わりにポリビニルブチラルS−LEC BBX−1(積水化学(株))を使用することを除いては,サンプル19の方法によってサンプル20を製造した。移動度の測定結果は,表3に示した。
(サンプル21)
化合物2の代わりに化合物6を使用することを除いては,サンプル19の方法によってサンプル21を製造した。移動度の測定結果は,表3に示した。
(サンプル22)
化合物2の代わりに化合物9を使用することを除いては,サンプル20の方法によってサンプル22を製造した。移動度の測定結果は,表3に示した。
(サンプル23)
ポリビニルブチラルの代わりにポリカーボネート Iupilon(登録商標)Z−200(Mitsubishi Gas Chemicalから購入可能)を使用することを除いては,サンプル22の方法によってサンプル23を製造した。移動度の測定結果は,表3に示した。
当業者が理解するようにさらなる置換,置換体の変更および他の合成方法および用途が本発明の開示範囲および意図内で実行可能である。上記実施例は,説明するためのものに過ぎず,本発明を限定するためのものではない。さらなる実施例が特許請求の範囲内に含まれる。本発明は,特定な実施例を基づいて説明したが,当業者は本発明の思想および特許請求の範囲内で発明の形態および細部的な事項の変更が可能であることが認められる。
本発明の電荷輸送化合物は,有機感光体を製造するのに使用され,製造された有機感光体は電子写真法に使用するのに適する。従って,電子写真画像形成装置および電子写真形成工程に利用されうる。

Claims (25)

  1. 導電性支持体および前記導電性支持体上の光導電要素を含む有機感光体であって:
    前記光導電要素は,
    (a)化学式2の電荷輸送化合物と,
    (b)電荷発生化合物と,
    を含むことを特徴とする,有機感光体。
    Figure 0004076489
    (前記化学式2において,
    は,アリール基であり, Rは,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
  2. 前記光導電要素は,電子輸送化合物をさらに含むことを特徴とする,請求項1に記載の有機感光体。
  3. 前記光導電要素は,重合体バインダーをさらに含むことを特徴とする,請求項1に記載の有機感光体。
  4. 前記重合体バインダーは,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基,チオール基,および,これら作用基とエポキシ作用基もしくは酸無水物との反応生成物よりなる群から選択された作用基を含むことを特徴とする,請求項3に記載の有機感光体。
  5. 前記少なくとも一つの光導電要素の層は,サイクリック酸無水物またはサイクリック酸無水物,および,前記エポキシ作用基と重合体反応性作用基との反応生成物をさらに含むことを特徴とする,請求項4に記載の有機感光体。
  6. 前記エポキシ基は,重合体バインダーの作用基に対するエポキシ連結部であることを特徴とする,請求項1に記載の有機感光体。
  7. 前記光導電要素は,前記エポキシ連結部と前記重合体バインダーとを架橋結合する架橋剤をさらに含むことを特徴とする,請求項6に記載の有機感光体。
  8. 前記Rは,フェニル基であることを特徴とする,請求項1に記載の有機感光体。
  9. (a)光画像形成成分と,
    (b)前記光画像形成成分から光を受容するように方向付けされた有機感光体を含む電子写真画像形成装置として:
    前記有機感光体は,導電性支持体と,前記導電性支持体上の光導電要素とを含み,
    前記光導電要素は,
    (i)化学式2の電荷輸送化合物と,
    (ii)電荷発生化合物と,
    を含むことを特徴とする,電子写真画像形成装置。
    Figure 0004076489
    (前記化学式2において,
    は,アリール基であり,
    は,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
  10. 前記光導電要素は,電子輸送化合物をさらに含むことを特徴とする,請求項9に記載の電子写真画像形成装置。
  11. 前記光導電要素は,バインダーをさらに含むことを特徴とする,請求項9に記載の電子写真画像形成装置。
  12. 前記バインダーは,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基,チオール基,および,これら作用基とエポキシ基もしくはエポキシ作用基に結合された架橋剤の反応生成物よりなる群から選択された作用基を含むことを特徴とする,請求項11に記載の電子写真画像形成装置。
  13. 前記光導電要素は,架橋剤,または,前記架橋剤と前記エポキシ作用基および重合体の前記反応性作用基との反応生成物をさらに含むことを特徴とする,請求項12に記載の電子写真画像形成装置。
  14. (a)導電性支持体と,前記導電性支持体上の光導電要素と,
    を含む有機感光体の表面に電荷を印加する段階であって:
    前記光導電要素は,
    (i)化学式2の電荷輸送化合物と,
    (ii)電荷発生化合物とを含む段階と,
    (b)前記有機感光体の表面を画像によって露光させ,選択された領域で電荷を消散させることによって,前記表面上に帯電領域および非帯電領域のパターンを形成する段階と,
    (c)前記表面をトナーに接触させてトナー画像を形成する段階と,
    (d)前記トナー画像を支持体に転写させる段階と,
    を含むことを特徴とする,電子写真画像形成方法。
    Figure 0004076489
    (前記化学式2において,
    は,アリール基であり,
    は,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
  15. 前記光導電要素は,電子輸送化合物をさらに含むことを特徴とする,請求項14に記載の電子写真画像形成方法。
  16. 前記光導電要素は,重合体バインダーをさらに含むことを特徴とする,請求項14に記載の電子写真画像形成方法。
  17. 前記重合体バインダーは,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基,チオール基,および,これら作用基とエポキシ作用基もしくは酸無水物との反応生成物よりなる群から選択された少なくとも一つの作用基を含むことを特徴とする,請求項16に記載の電子写真画像形成方法。
  18. 前記光導電要素は,架橋剤,または,前記架橋剤と前記エポキシ作用基および前記重合体反応性作用基との反応生成物をさらに含むことを特徴とする,請求項17に記載の電子写真画像形成方法。
  19. 前記トナーは,有機液体中の着色剤粒子の分散液を含む湿式トナーを含むことを特徴とする,請求項14に記載の電子写真画像形成方法。
  20. 化学式2を有する化合物のエポキシ基と重合体バインダーの反応性作用基との反応によって製造された,重合体電荷輸送化合物。
    Figure 0004076489
    (前記化学式2において,
    は,アリール基であり,
    は,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
  21. 前記重合体バインダーの反応性作用基は,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基およびチオール基よりなる群から選択されることを特徴とする,請求項20に記載の重合体電荷輸送化合物。
  22. 前記エポキシ基と前記重合体バインダーの反応性作用基とを架橋結合する架橋剤により,前記エポキシ基と前記重合体バインダーの反応性作用基とが架橋結合されていることを特徴とする,請求項20に記載の重合体電荷輸送化合物。
  23. 導電性支持体と前記導電性支持体上の光導電要素とを含む有機感光体として:
    前記光導電要素は,
    (a)化学式2を有する化合物のエポキシ基と重合体バインダーの反応性作用基との反応によって製造された重合体電荷輸送化合物と,
    (b)電荷発生化合物を含むことを特徴とする,有機感光体。
    Figure 0004076489
    (前記化学式2において,
    は,アリール基であり,
    は,トリフェニルアミン基またはカルバゾール基である。)
  24. 前記光導電要素は,電子輸送化合物をさらに含むことを特徴とする,請求項23に記載の有機感光体。
  25. 前記重合体バインダーの反応性作用基は,ヒドロキシ基,カルボキシ基,アミノ基およびチオール基よりなる群から選択されることを特徴とする,請求項23に記載の有機感光体。
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