JP4071435B2 - インストルメントパネルモジュール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車室前部へ搭載されるインストルメントパネルモジュールの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ステアリングメンバ、空調ユニット、車載電子機器(空調コントローラ、オーディオ、自動車電話、ABS、ナビゲーションシステム、ETCなど)をインストルメントパネルにサブアッセンブリしたインストルメントパネルモジュールは、車室前部への取付作業を簡素化するものとして注目を集めている。
【0003】
ここで、一般的なインストルメントパネルモジュール1は、図7に示すように、各車載電子機器のドータボード2を納めたコントロールボックス3が、インストルメントパネルモジュール1内に点在しているため、車両の仕様に応じて、コントロールボックス3の数や取付位置の変更が必要となるとともに、コントロールボックス3に接続されるハーネスの長さや配設位置の変更も必要となった。そのため、車両の仕様に応じてインストルメントパネルモジュール1の内部構造を変更する必要があり、インストルメントパネルモジュール1の汎用性は必ずしも高いとは言えなかった。
【0004】
このような不具合を解消するため、特願平9−207626号公報および特願平10−203201号公報には、複数のドータボードをマザーボードで一カ所に集めた電子コントロールユニットを形成したものが開示されている。この電子コントロールユニットを備えたインストルメントパネルモジュールは、内容の異なるドータボードをマザーボードにプラグインするのみで、ユーザーが求めるオプションを装備することができるので、インストルメントパネルモジュールの汎用性が高まる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電子コントロールユニットを備えるインストルメントパネルモジュールは、ドータボードを点在させたインストルメントパネルモジュールに比べ、そのサイズが大きくなる傾向がある。
【0006】
そこで、本発明は、インストルメントパネルモジュールの汎用性を維持しつつ、大型化を回避することができるインストルメントパネルモジュールの構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、少なくとも空調ユニットと車載電子機器の制御用の電子コントロールユニットとが、インストルメントパネルにサブアッセンブリされ、車室前部に搭載されるインストルメントパネルモジュールの構造において、
前記電子コントロールユニットは、複数のドータボードと、これら複数のドータボードを装着して該ドータボードを多重制御するマザーボードと、を収納ケースに納めた構成とし、この電子コントロールユニットをインストルメントパネルの下側部のセンタコンソール前端部が接続される部分の内側に配置したことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項記載の発明は、インストルメントパネルにサブアッセンブリされた空調ユニットと、センタコンソール内に設けられ、前記空調ユニットからの送風を車室後部に送るエアダクトと、を連結する連結ダクトを、電子コントロールユニットの収納ケースと一体に形成したことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項記載の発明は、連結ダクトと収納ケースとを連通して、連結ダクト内を流れるエアを収納ケースに導入するエア導入孔を設けたこと特徴とするものである。
【0010】
請求項記載の発明は、電子コントロールユニットの収納ケースには、該収納ケースの車両後方からドータボードを脱着可能とする開口部を設ける一方、センタコンソールの前端部には、前記ドータボードの脱着作業を可能とする作業用開口部を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項記載の発明は、カップホルダを挿脱自在に保持し、且つ、前側に収納ケースの開口部に臨む開口部を備えるカップホルダ収納ボックスを、作業用開口部にはめ込んだことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インストルメントパネルの下側部のセンタコンソール前端部が接続される部分の内側に、つまり、通常デッドスペースとなってしまう空間に電子コントロールユニットを配置したため、スペースを有効利用することができる。これによって、インストルメントパネルモジュールの大型化を回避することができる。
【0013】
また、請求項記載の発明によれば、上記の効果に加えて、連結ダクトを収納ケースと一体に形成したため、インストルメントパネルモジュールを構成する部品点数が削減され、インストルメントパネルモジュールの製造工数が削減される。
【0014】
また、請求項記載の発明によれば、上記の効果に加えて、エア導入孔を設けたため、電子コントロールユニット専用の冷却装置を設けるまでもなく、発熱源となるマザーボードおよびドータボードを効率的に冷却することができる。
【0015】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、電子コントロールユニットの収納ケースには、ドータボードを脱着可能とする開口部を設ける一方、センタコンソールの前端部には、前記ドータボードの脱着作業を可能とする作業用開口部を設けたため、前述のように電子コントロールユニットをデッドスペースに配置しながらも、簡単にドータボードを脱着することができる。そのため、ユーザでもオプション装備の変更・追加を簡単に行うことができる。
【0016】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、カップホルダを挿脱自在に保持し且つ前側に収納ケースの開口部に臨む開口部を備えるカップホルダ収納ボックスを、作業用開口部にはめ込んだため、オプション装備の変更・追加時のみに使用される作業用開口部を、カップホルダとして利用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1,2において、10はインストルメントパネルモジュール、11はセンタコンソールである。なお、図中矢示A方向が車両前方、矢示B方向が車両後方を示す。
【0019】
インストルメントパネルモジュール10は、インストルメントアッパ12a、インストルメントロア12b、インストルメントロアセンタ12cからなるインストルメントパネル12に対して、ステアリングメンバ13、空調ユニット14、空調コントローラ15、オーディオ16、ナビゲーションシステム17、電子コントロールユニット18、および図示せぬスピードメータ、助手席用エアバックユニット等を、サブアッセンブリしたものである。
【0020】
一方、センタコンソール11は、インストルメントロアセンタ12cの下側部に接続されており、その内部には空調ユニット14からの送風を車室後部に送るエアダクト19を備えている。このエアダクト19は3つの送風経路を備え、中央が冷風用送風路19a、両側が温風用送風路19bとなっている。
【0021】
図3,4は前述の電子コントロールユニット18の具体的構造を示すもので、この電子コントロールユニット18は、複数のドータボード20と、マザーボード21と、が収納ケース22に納めて構成されている。
【0022】
ドータボード20は、車載電子機器自体の回路基板または車載電子機器の機能拡張を行うための機能拡張用回路基板であり、マザーボード21を介して各車載電子機器に接続される。なお、「車載電子機器」としては、前述の空調コントローラ15、オーディオ16、ナビゲーションシステム17のみならず、図示せぬ自動車電話、ABS、ETC等も含まれる。また、1枚のドータボード20で複数の車載電子機器の制御を行ってもよいものとする。
【0023】
一方、マザーボード21は、マザーボード本体23と、複数のドータボード20を装着するための複数のコネクタスロット24と、を備え、各車載電子機器15〜17に繋がるワイヤーハーネス25が接続されている。なお、マザーボード21は、図6に示すように、通信回路部26と電源回路部27とを備えており、各ドータボード20に電力供給を行いながら、ドータボード20と各車載電子機器15〜17との多重通信を制御している。また、たとえばセンタパネル12cに組み付けられたタッチパネル28を、ユーザがスイッチングすることで、車載電子機器15〜17の設定・作動を行えるようになっている。そして、マザーボード21に装着するドータボード20を追加・変更することにより、車両のグレードに合わせた車載オプション装備を得ることができる。つまり、車載電子機器15〜17と各ドータボード20とは、マザーボード21を介してプラグ&プレー構造となっており、更に、追加されたドータボードに対応したスイッチがタッチパネル28に表示されるようになっている。
【0024】
このドータボード20とマザーボード21とを収納する収納ケース22は、上側面と後側面(車両後側面)とに開口部29、30を備えており、一方、その内側面に、開口部29からマザーボード21を挿入して保持するために上下方向に延びる保持溝31と、開口部30からのドータボード20の脱着をガイドするために車両前後方向に延びる上下方向に多段に設けた複数の脱着ガイド溝32と、を備えている。そして、収納ケース22にマザーボード21およびドータボード20を納めた状態で、収納ケース22の開口部29、30を覆うようにL字状の蓋体33を被せて蓋体33をボルトBで固定することにより、収納ケース22内への異物の侵入を防いでいる。さらに、この収納ケース22の開口両端部にはフランジ34が設けられており、このフランジ34にセンタコンソール11を接続するための接続孔35が穿設されている。そのため、インストルメントパネル12に接続されるセンターコンソール11は、接続孔35によってさらに取付剛性が高められている。
【0025】
この収納ケース22の下方には、センターコンソール11の内部に配設されたエアダクト19と空調ユニット14とを連結する連結ダクト36が設けられていて、この連結ダクト36は収納ケース22と樹脂によって一体形成(モジュール化)されている。この連結ダクト36はエアダクト19と同様に中央が冷風用送風路36a、両側が温風用送風路36bとなっており、中央の冷風用送風路36aには、収納ケース22に連通するエア導入孔37が設けられている。
【0026】
以上のように構成された電子コントロールユニット18は、センタコンソール2の前端が接続されたインストルメントパネル8の下側部の内側(デッドスペース)に、配置されている。
【0027】
一方、センタコンソール11には以下のような構造の工夫もなされている。
【0028】
センタコンソール11前端部の上面には、開閉自在な開閉扉38を備えた作業用開口部39が設けられており、ドータボード20の脱着作業(プラグイン作業)が可能となっている。また、この作業用開口部39には、カップホルダ40を挿脱自在に保持するカップホルダ収納ボックス41がはめ込まれていて、このカップホルダ収納ボックス41の前側には、さらに収納ケース22の開口部30に臨むように開口部42が設けられている。そのため、ドータボード20の脱着作業以外は、作業用開口部39をカップホルダ40として使用することができる。
【0029】
以上の実施形態によれば、インストルメントパネル12の下側部のセンタコンソール11前端が接続される部分の内側(デッドスペース)に、電子コントロールユニット18を配置したため、インストルメントパネルモジュール10内のデッドスペースを有効利用できる。これによって、電子コントロールユニット18を有するインストルメントパネルモジュール10の大型化を回避することができる。ここで、たとえば運転席を取り囲むようなデザインが施こされた車両においては、センターコンソール11の上面が高く設定されるので、デットスペースがより大きくなり、本発明はその有効度を増すこととなる。
【0030】
また、連結ダクト36を収納ケース22と一体に形成してあるので、インストルメントパネルモジュール10を構成する部品点数が削減され、インストルメントパネルモジュール10の製造工数が削減される。加えて、収納ケース22の下壁にエア導入孔37を設けてあるので、電子コントロールユニット18専用の冷却装置を設けるまでもなく、発熱源となるマザーボード21およびドータボード20を効率的に冷却することができる。特に、本実施形態に示すように冷風用送風路36aを利用すると、夏期の高温時に効率的に冷却できる。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、収納ケース22に、ドータボード20を脱着可能とする開口部30を設ける一方、センタコンソール11の前端部に作業用開口部39を設けたため、センターコンソール11を取りはずさなくても、ドータボード20の脱着作業(プラグイン作業)が可能となる。そのため、車両完成後であっても、きわめて簡単にオプション装備の変更・追加が可能となる。つまり、専門知識を持たないユーザでも、オプション装備の変更・追加が可能となる。
【0032】
そして、この作業用開口部39に、カップホルダ40を挿脱自在に保持し且つ前側に収納ケース22の開口部30に臨む開口部42を備えるカップホルダ収納ボックス41を、はめ込んだため、まず、カップホルダ40の脱離状態には、図5に示すように作業用開口部39から開口部42を介して、ドータボード20のプラグイン作業が可能となる。一方、カップホルダ40の装着状態には、作業用開口部39をカップホルダ40として利用することができる。そのため、ドータボード20脱着作業以外にも作業用開口部39を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態をを示す概略図である。
【図2】図1のSA−SA断面図である。
【図3】連結ダクトに一体形成されたマザーユニットの拡大図である。
【図4】分図aは図3中のSB−SB断面図、分図bは図3中のSC−SC断面図である。
【図5】ドータボードのプラグイン作業を示す概略図。
【図6】車載電子機器とドータボードとのネットワーク概念図である。
【図7】インストルメントモジュールの一従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 インストルメントパネルモジュール
11 センタコンソール
12 インストルメントパネル
14 空調ユニット
15、16、17… 車載電子機器
18 電子コントロールユニット
19 エアダクト
20 ドータボード
21 マザーボード
22 収納ケース
30 収納ケースの開口部
36 連結ダクト
37 エア導入孔
39 作業用開口部
40 カップホルダ
41 カップホルダ収納ボックス
42 カップホルダ収納ボックスの開口部

Claims (3)

  1. 少なくとも空調ユニットと車載電子機器の制御用の電子コントロールユニットとがインストルメントパネルにサブアッセンブリされ、車室前部に搭載されるインストルメントパネルモジュールの構造において、
    前記電子コントロールユニットは、複数のドータボードと、これら複数のドータボードを装着して該ドータボードを多重制御するマザーボードと、を収納ケースに納めた構成とし、この電子コントロールユニットをインストルメントパネルの下側部のセンタコンソール前端部が接続される部分の内側に配置し
    インストルメントパネルにサブアッセンブリされた空調ユニットと、センタコンソール内に設けられ前記空調ユニットからの送風を車室後部に送るエアダクトと、を連結する連結ダクトを、電子コントロールユニットの収納ケースと一体に形成し
    連結ダクトと収納ケースとを連通して、連結ダクト内を流れるエアを収納ケースに導入するエア導入孔を設けたこと特徴とするインストルメントパネルモジュール構造。
  2. 電子コントロールユニットの収納ケースには、該収納ケースの車両後方からドータボードを脱着可能とする開口部を設ける一方、センタコンソールの前端部には、前記ドータボードの脱着作業を可能とする作業用開口部を設けたことを特徴とする請求項記載のインストルメントパネルモジュール構造。
  3. カップホルダを挿脱自在に保持し、且つ、前側に収納ケースの開口部に臨む開口部を備えるカップホルダ収納ボックスを、作業用開口部にはめ込んだことを特徴とする請求項記載のインストルメントパネルモジュール構造。
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