JP4379667B2 - インストルメントパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、インストルメントパネルに関し、更に詳細には、乗員室の前方に組付けられ、エアコンユニットに連通する空気流通路を上面に形成した下部パネルと、前記空気流通路を覆った状態で前記下部パネルの上面に組付けられ、所要形状に形成された外側意匠面を有する上部パネルとからなるインストルメントパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、乗用車における乗員室の前方には、所要形状に成形されて車幅方向の略全幅に亘って延在するインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルには、スピードメータやタコメータその他各種表示灯等を備えた計器盤、カーナビゲーションの地図情報やテレビの映像等を表示する画像表示ディスプレイ、エアコンユニット用の空調操作パネルやオーディオ、更には身の回りの各種小間物や車検証等を収納するグローブボックス等が、乗員から視認し得る位置または直接操作可能な位置に設置されている。また乗員室を指向した前面部分やフロントガラスの下方に臨む上面部分等には、乗員室前方に設置された前記エアコンユニットから送出された調温空気の吹出案内を図るエアーアウトレット(空気吹出口)が設けられており、該乗員室の空気調温やフロントガラス等の曇取りに供されるようになっている。
【0003】
従前のインストルメントパネルでは、前記計器盤,画像表示ディスプレイ,空調操作パネルおよびオーディオ等を設置するためのパネル基材と、前記エアコンユニットおよびエアーアウトレットとを連結する空気案内ダクトとは別部材として設計・製作され、空気案内ダクトはパネル基材の裏側に後工程で組付けるように構成されていた。しかるに、このような構成のインストルメントパネルでは、構成部品点数の増加に伴い、部品製造工数や組立作業工数を含めて製造コストが嵩む難点があると共に全体の重量が増加する欠点をも内在していた。
【0004】
そこで近年に至っては、エアコンユニットに連通する空気流通路を上面に形成した下部パネルと、前記空気流通路を覆った状態で前記下部パネルの上面に組付けられる上部パネルとから構成され、両パネル同士を振動溶着または熱カシメ等で接合して形成されるインストルメントパネルが提案されている。このようなインストルメントパネルでは、該パネルを構成する前記下部パネルおよび上部パネルで空気流通路を画成するようになっているから、インストルメントパネルと別体の空気案内ダクトが不要とされ、部品点数削減によるコスト低減および軽量化等を図り得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記計器盤、画像表示ディスプレイ、空調操作パネルおよびオーディオ等は、車載バッテリーを電源とする所謂「車両電子機器」であって、車両の様々な位置に搭載された他の車両電子機器や車載コンピュータおよび該バッテリー等とは、ワイヤーハーネス(回路体)を介して電気的に接続されている。すなわち前記ワイヤーハーネスは、前記インストルメントパネルの裏側空間内に配策されるが、車両運行時の振動による弛みや突張りおよびこれによる断線や接触不良等の防止を図るために、該パネル裏側の適宜位置に形成した鉤状の係止部や別部品である係止部品等を利用して適宜間隔毎に固定する必要がある。更に各ワイヤーハーネスは、他の部品や部材との直接的な接触を回避するために、蛇腹状パイプ材または螺旋状帯状材等の保護部材を外装したりビニールテープ等を巻付けて保護する必要もある。すなわち従来のインストルメントパネルでは、前記ワイヤーハーネスの配策処理に関して複数個の係止部品や長尺の保護部材が必要となるから、配線作業や部品増加に伴うコストアップを招来することはもとより、これらの部品,部材が重量増加の原因となっていた。
【0006】
しかも前記インストルメントパネルでは、前記車両電子機器の設置に際して、該パネルの裏側に予め配策処理した前記ワイヤーハーネスのコネクタを当該車両電子機器の設置部から乗員室側へ一旦引出し、ワイヤーハーネス側のコネクタと電子機器側のコネクタとを接合した電気的な連結を図った後、当該の車両電子機器を設置部に組付固定する作業を要する。すなわちワイヤーハーネスは、乗員室側への引出して連結作業を行なうことを考慮すると、車両電子機器が設置部に設置された状態で必要とされる最短の長さよりも長め(例えば30cm程度)に設定しておく必要があった。従って、夫々の車両電子機器に対する各ワイヤーハーネスを長めに設定することになるから、これによるコストアップおよび重量増加も無視できないものとなっていた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、各車両電子機器同士を電気的に接続する回路体を、該車両電子機器を設置する上部パネルに設けた機器設置部に埋設して必要最短の長さで延在するよう配策処理することで、該回路体を固定する係止部材や保護する保護部材の省略による軽量化および製造コスト低減等を図ったインストルメントパネルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、
乗員室内の前方に組付けられ、エアコンユニットに連通する空気流通路を画成する区画壁部を上面に形成した下部パネルと、前記区画壁部を覆った状態で前記下部パネルの上面に組付けられ、乗員室に臨む外側意匠面を有する上部パネルとからなるインストルメントパネルにおいて、
前記上部パネルは、
前記外側意匠面の所要部位に形成され、コネクタを有する各種車両電子機器の設置を許容する機器設置部と、
前記機器設置部の設置面に沿って埋設される導電性の回路体と、
前記機器設置部の各設置面に開口して前記回路体を外方へ露出させると共に、前記コネクタの嵌入を許容し得る大きさの挿通孔からなり、前記回路体と前記コネクタとの連結を許容する接続部とを備え、
前記機器設置部の設置面に前記各種車両電子機器を設置するに際し、該車両電子機器のコネクタを前記接続部において前記回路体に連結することで、該回路体に接続された前記車両電子機器相互間の電気的な接続を行なうよう構成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るインストルメントパネルにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0010】
図3は、本発明の好適な一実施例に係るインストルメントパネルの概略斜視図であり、また図7は、図3に示したインストルメントパネル10の各構成部品を分解状態で示す概略斜視図である。本実施例のインストルメントパネル10は、図1,図2および図7に示すように、乗員室65内の前方において車体に組付けられ、エアコンユニット66に連通する空気流通路30,31,32を画成する区画壁部29a,29b,29c,29dを上面に形成した下部パネル11と、前記区画壁部29a,29b,29c,29dを覆った状態で前記下部パネル11の上面に組付けられ、乗員室65に臨む外側意匠面35を有する上部パネル12とから構成されている。なお、実施例に示したインストルメントパネル10は右ハンドル仕様とされ、説明の便宜上、図3における右側をインストルメントパネル10の「右側」、左側をインストルメントパネル10の「左側」とすると共に、乗員側(手前側)を「前側」、フロントガラス70側を「後側」とする。
【0011】
下部パネル11は、図2および図4〜図7に示すように、例えば所要量のタルクやガラス繊維等を混入したポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂素材を材質とし、乗員室65における左右全幅に亘って延在するサイズにインジェクション成形され、かつ前側中央がセンターコンソール13として前方へ膨出しており、全体的には平面略T字形状を呈している。そして運転席に対応する右側前面には、図示しないステアリングコラム用の開口部14が設けられ、助手席に対応する左側前面には、グローブボックス15を開閉可能にセットする開口設置部16が形成されている。また前面の左右両側には、エアコンユニット66からの調温空気を乗員室65へ吹出案内する第1エアーアウトレット17,17を設置するためのエアアウトレット用設置部18,18が形成され、前記センターコンソール13の上部にセンターパネル19を設置するためのセンターパネル用設置部20が形成されると共に、該センターコンソール13の前部にオーディオカバー21を設置するためのオーディオカバー用設置部22が形成されている。
【0012】
そして前記センターコンソール13の後方には、車載コンピュータFの収容を許容する開口部23が画成されている。また左右側端面には、当該下部パネル11をクロスカービーム(リィンフォースバー)71に組付固定する際に利用される作業開口部24,24が形成され、組付作業完了後には各作業開口部24にサイドカバー25が組付けられる。更に前記センターパネル19には、後述する空調操作パネルDおよびスイッチパネルCに整合する開口部26,27が形成されると共に、第2エアーアウトレット28,28が左右両側に組付られてユニット化されている。
【0013】
前記下部パネル11の上部後側には、複数の区画壁部29a,29b,29c,29dがリブ状に立設形成されており、上方から組付けた前記上部パネル12が各区画壁部29a,29b,29c,29dの上端縁に密着的に当接することで、前記エアコンユニット66に連通接続された空気案内ダクトとして機能する第1〜第3の空気流通路30,31,32が画成されるようになっている。このうち第1空気流通路30は、前記区画壁部29a,29cおよび上部パネル12の裏面により中央から左側端に亘って平面略コ字状に延在形成され、入口側がエアコンユニット66の第1空気送出口67に連通接続されると共に、出口側が左側の第1エアーアウトレット17およびセンターパネル19に設けた左側の第2エアーアウトレット28に夫々連通接続されるようになっている。すなわち、エアコンユニット66の第1空気送出口67から第1空気流通路30へ送出された調温空気は、左側の第1エアーアウトレット17および左側の第2エアーアウトレット28へ適宜分岐され、夫々のエアーアウトレット17,28から乗員室65の助手席前方へ吹出案内される。
【0014】
また第2空気流通路31は、前記区画壁部29b,29cおよび上部パネル12の裏面により中央から右側端に亘って平面略コ字状に延在形成され、入口側がエアコンユニット66の第2空気送出口68に連通接続されると共に、出口側が右側の第1エアーアウトレット17およびセンターパネル19に設けた右側の第2エアーアウトレット28に夫々連通接続されるようになっている。すなわち、エアコンユニット66の第2空気送出口68から第2空気流通路31へ送出された調温空気は、右側の第1エアーアウトレット17および右側の第2エアーアウトレット28へ適宜分岐され、夫々のエアーアウトレット17,28から乗員室65の運転席前方へ吹出案内される。
【0015】
更に第3空気流通路32は、前記区画壁部29c,29dおよび上部パネル12の裏面により、前記第1空気流通路30および第2空気流通路31の後側で左右全幅に亘って延在形成され、入口側が前記エアコンユニット66の第3空気送出口69に連通接続され、前記上部パネル12に形成された横長の上面エアーアウトレット40,40および側部エアーアウトレット41,41が、その上方開口部に整合するようになっている。すなわち、エアコンユニット66の第3空気送出口69から第3空気流通路32へ送出された調温空気は、左右に適宜分岐されて上面エアーアウトレット40,40および側部エアーアウトレット41,41からフロントガラス70またはサイドガラス(図示せず)の内面に吹出案内される。
【0016】
前記上部パネル12は、図1および図4〜図7等に示すように、例えばポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂素材から前記下部パネル11の上面に整合する平面略T字形にインジェクション成形されている。そして上部パネル12は、前記外側意匠面35の所要部位に形成され、コネクタ50を備える後述の各種車両電子機器A,B,C,D,E,Fの設置を許容する機器設置部36と、前記機器設置部36の設置面36a,36bに沿って埋設される導電性の回路体37と、前記機器設置部36の設置面36a,36bに開設され、前記回路体37と前記コネクタ50との連結を許容する接続部39とを備えている。
【0017】
前記機器設置部36は、上部パネル12の前面中央から後方へ延在すると共に後方で左右に延在する平面略T字形を呈し、その表面が表側設置面36aとして、その裏面が裏側設置面36bとして形成されている。前記外側意匠面35および前記機器設置部36は、応力吸収部として機能し得る垂直壁42で一体的に連設され、機器設置部36が外側意匠面35よりも一段低く形成されている。この機器設置部36の表側設置面36aには、各種の車両電子機器A,B,C,D,E,Fが上方から前後方向へ並列的にセットされ、例えばビスやボルトまたは係着手段等で固定される。ここで、符号Aの車両電子機器は、スピードメーター等の各種走行情報を表示する計器盤として機能するヘッドアップディスプレイ(HUD)、符号Bの車両電子機器は、カーナビゲーションの地図情報やテレビの映像等を表示する画像表示ディスプレイ、符号Cの車両電子機器は、カーナビゲージョンやテレビの操作を行なうためのスイッチパネルC、符号Dの車両電子機器は前記エアコンユニット66用の空調操作パネルD、符号Eの車両電子機器はオーディオユニットである。また符号Fは、前記各種車両電子機器を含む全ての車両電子機器やエンジンの運転等を総合的に制御する車載コンピュータで、前記機器設置部36の裏側設置面36bに設置される。なお前記ヘッドアップディスプレイAは、図4〜図6に示すように、スピードやエンジン回転数および燃料計等の各種走行情報を、前記フロントガラス70の下部内側に反射させて乗員へ可視表示するタイプのものが例示されている。
【0018】
そして前記機器設置部36は、表側設置面36aおよび裏側設置面36bが複数の平面からなる面構成とされると共に全体の厚みが略同一に設定され、上部パネル12を下部パネル11に組付けた際には、該機器設置部36の裏面が前記各区画壁部29a,29b,29c,29dの上端縁に接触し、該区画壁部29a,29b,29c,29dで下方から当接支持されるように設定されている。また前記機器設置部36の左右両側には、前記第1空気流通路30の出口部および第2空気流通路31の出口部に整合する開口部43,43が形成されている。なお機器設置部36の表側設置面36aは、前記ヘッドアップディスプレイAを被覆するカバー部材44、前記画像表示ディスプレイBを被覆するカバー部材45および前記センターパネル19が装着されることにより、外部へは全く露出しない(図3)。
【0019】
前記機器設置部36に埋設された前記回路体37は、図8および図9に示すように、前記機器設置部36の表側設置面36aおよび裏側設置面36bに沿って埋設されて平行に延在する複数(実施例では13本)のブスバー38から構成されている。各ブスバー38は、例えば鉛に鉄・銅・チタン等を適宜混合させた鉛合金等を材質とし、図13に示すように、縦Hが約2mm、横Wが約1mmの横断面矩形状を呈する導電性の平角導体であり、それぞれが相互に接触しないように等間隔毎に配策されている。このブスバー38は、絶縁および被覆保護を図る被覆材を有さいので放熱効果に優れる一方、表面積が大きいので表面電流が大きくなって高速伝送システムに有利な特性を有している。なお実施例では、同一サイズのブスバー38から構成される回路体37を例示しているが、サイズの異なる複種類のブスバーから構成される回路体も実施可能である。このような回路体37を構成する前記各ブスバー38は、前記上部パネル12のインジェクション成形時に、機器設置部36の内部にインサート成形される。
【0020】
前記接続部39は、前記回路体37が埋設されている部位において、前記各種車両電子機器A,B,C,D,E,Fに配設した夫々のコネクタ50が整合するよう形成された矩形状の貫通孔であって、機器設置部36に埋設された前記回路体37の各ブスバー38は、夫々の接続部39を横切るように平行に露出している。従って前記車両電子機器A,B,C,D,E,Fを、機器設置部36における表側設置面36aまたは裏側設置面36bの所定位置に位置決めして組付けるに際し、該車両電子機器A,B,C,D,E,Fのコネクタ50が、前記接続部39に嵌入して前記回路体37に臨むようになり、適宜のブスバー38と当該車両電子機器A,B,C,D,E,Fとの電気的な接続が図られるように設定されている。なお夫々の接続部39は、上部パネル12のインジェクション成形時に機器設置部36へ形成される。また各接続部39の内側縁には、対応のコネクタ50に設けた係止爪56,56が係止する係止凹部46,46が形成されている。
【0021】
前記車両電子機器A,B,C,D,E,Fに配設される実施例のコネクタ50は、図10〜図13に示すような形態とされている。すなわちコネクタ50は、矩形箱体状をなす絶縁性のハウジング本体51と、このハウジング本体51内に画成された端子収容室54に収容設置される中継端子51とから構成されている。前記ハウジング本体51の先端面には、前記回路体37の各ブスバー38に対応した複数のブスバー収容溝53が、該ブスバー38の配設間隔と同一間隔毎で平行に凹設されている。また端子収容室54には、図12に示すように、中継端子51を係止させるための固定片55が設けられている。更にハウジング本体51の側部には、前記係止凹部46,46に係止する前記係止爪56,56が撓曲変形可能に一体成形されている。
【0022】
前記中継端子51は、図12および図13に示すように、前記ハウジング本体51の固定片55に係止させる側面コ字形の取付部57と、この取付部57の一端側に対向形成されて、前記ブスバー38を両側から挟持する一対の第1接続片58と、前記取付部57の他端側に一体的に連設されて、車両電子機器の基板端子60に接触する第2接続片59とから構成されている。従って中継端子51は、前記取付部57を利用してハウジング本体51の端子収容室54に設置すると、前記第1接続片58が該ハウジング本体51の先端側を指向し、前記第2接続片59が該ハウジング本体51の基端側へ延出するようになる。このように、複数の中継端子51を設置したコネクタ50は、前記車両電子機器A,B,C,D,E,Fにおけるコネクタ取付部61に対し、各コネクタ50の第2接続片59を基板端子60に接触させた状態で適宜固定される。
【0023】
なお、前述した車両電子機器A,B,C,D,E,Fは、前記回路体37の各ブスバー38が当該車両における電装系を構成する前提において、全てのブスバー38との電気的な連結が図られるわけではなく、各車両電子機器A,B,C,D,E,F毎に接続されるブスバー38の本数および組合わせが異なっている。具体的な一例として、合計13本の前記各ブスバー38を、便宜上図13の左側から第1、第2、第3、〜第13とした場合、例えば前記スイッチパネルCでは第1、第5、第9および第13の各ブスバー38と接続されるように設計されており(図11および図13)、このスイッチパネルCに配設されるコネクタ50では、これら4本のブスバー38に対応した位置に4個の中継端子51が設置される。従って、前記第1、第5、第9および第13の各ブスバー38以外の各ブスバー38は、スイッチパネルCを機器設置部36に設置してコネクタ50を対応の接続部39へ嵌入させたとしても、当該スイッチパネルCとの電気的な接続は図られない。
【0024】
前記下部パネル11における前記区画壁部29a,29b,29cの間には、図4〜図7に示すように、前述した車両電子機器A,B,C,D,E,F以外の車両電子機器(例えばエアバッグ装置G等)やバッテリー(図示せず)等と前記車載コンピュータFとを電気的に接続するワイヤーハーネス62が、適宜の固定部材を利用して左右方向へ延在した状態で固定されている。
【0025】
【実施例の作用】
前述のように構成された本実施例のインストルメントパネル10では、空気案内路30,31,32を形成するための区画壁部29a,29b,29c,29dを一体成形した前記下部パネル11、複数のブスバー38からなる回路体37を埋設すると共に接続部39を設けた機器設置部36を一体的に形成した前記上部パネル12、各第1エアーアウトレット17,17、第2エアーアウトレット28,28を設けたセンターパネル19、各カバー部材44,45およびその他構成部品等は、予め別工程で個別に成形される。また、前記各種車両電子機器A,B,C,D,E,Fは、別工程において夫々が単一のユニット機器として組立てられ、前記コネクタ50が配設される。
【0026】
そして、前記クロスカービーム71およびエアコンユニット66が予め設置されているもとで、該クロスカービーム71に対して先ず前記下部パネル11を組付固定し、次いで車載コンピュータFを機器設置部36の裏側設置面36bに予め組付けたもとで上部パネル12を該下部パネル11の上部に組付ける。そして、機器設置部36における表側設置面36aの所定位置に、各車両電子機器A,B,C,D,E,Fを組付ける。このとき、各車両電子機器A,B,C,D,E,Fを適切に位置決めすれば、該車両電子機器A,B,C,D,E,Fのコネクタ50は対応の接続部39へ整合して嵌入するようになり、コネクタ50の各中継端子51と回路体37のブスバー38との電気的な接続が自動的に図られる。
【0027】
次に、機器設置部36に対する各車両電子機器A,B,C,D,E,Fの組付けが完了したら、前記カバー部材44,45およびセンターパネル19を上部パネル12に組付ける一方、第1エアーアウトレット17,17、オーディオカバー21およびグローブボックス15等を組付けることで、インストルメントパネル10の組付けおよび組立てが完了する。なお、インストルメントパネル10が乗員室65の前方に組付けられた際には、前記第1〜第3の各空気流通路30,31,32の入口側が、前記エアコンユニット66の第1空気送出口67、第2空気送出口68および第3空気送出口69に夫々整合して連通する。
【0028】
なお、前記上部パネル12の外側意匠面35、各カバー部材44,45の外側意匠面、前記センターパネル19の外側意匠面、前記下部パネル11の外側意匠面等に、例えばポリプロピレン(PP)等を材質とする表皮を貼込むようにすれば、質感向上および触感向上が期待できる。
【0029】
このように本実施例のインストルメントパネル10では、上部パネル12の成形工程において、前記回路体37が機器設置部36に埋設された状態で配策されるから、該回路体37の配策作業そのものが省略されることとなり、これによりコストダウンを図り得る。そして、回路体37が機器設置部36に埋設されてしまうから、該回路体37を上部パネル12に固定するための複数個の係止部品や、該回路体37を保護するための長尺の保護部材が全く不要となり、部品削減に伴うコストダウンは勿論、大幅な軽量化も図られる。また、走行中の振動により回路体37が弛んだり引張られることもない。しかも回路体37は、機器設置部36に埋設されるから、放熱効果に優れると共に高速伝送システムに有利なブスバー38を採用して構成することが可能となる。
【0030】
また、各車両電子機器A,B,C,D,E,Fと回路体37との連結は、これら車両電子機器A,B,C,D,E,Fを、機器設置部36における表側設置面36aまたは裏側設置面36bの所定位置に組付ける際に自動的になされる。従って、回路体37と車両電子機器A,B,C,D,E,Fとの接続作業が省略できるから、これによる作業性向上および合理化を図り得る。しかも、回路体37と車両電子機器A,B,C,D,E,Fとの接続に際して該回路体37の各ブスバー38を引出す必要がないから、各ブスバー38を長めに設定する必要もなくなり、これによるコストダウンおよび軽量化も図り得る。
【0031】
更に回路体37は、機器設置部36に埋設されるから、他部材との干渉等を考慮することなく略直線的で最短の長さで配策することができ、該回路体37自体のコストダウンを図り得る。しかも、回路体37を機器設置部36に埋設したことにより、インストルメントパネル10の内部スペースに余裕ができるので、前記車両電子機器A,B,C,D,E,F以外の車載機器等のレイアウト設計の自由度も高められる。
【0032】
そして、下部パネル11の上部に上部パネル12を組付けた際には、該下部パネル11に形成した前記各区画壁部29a,29b,29c,29dの上端面に機器設置部36の裏面が接触するようになるので、該機器設置部36は各区画壁部29a,29b,29c,29dで下方から当接支持される。従って、前記各車両電子機器A,B,C,D,E,Fの重量が機器設置部36に加わったとしても、その重みは前記区画壁部29a,29b,29c,29dで支持されるようになり、該機器設置部36の撓み変形が防止される。また万一、機器設置部36に変形が生じた場合には、前記垂直壁42が適度に変形してその歪みが適切に吸収され、上部パネル12における前記外側意匠面35,35が変形する不都合は生じない。
【0033】
なお前記実施例では、横断面矩形状のブスバー38を例示したが、このブスバー38はこの形状のものに限定されるものではなく、例えば横断面形状が丸形や楕円形等のブスバーも好適に実施可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るインストルメントパネルでは、上部パネルの成形工程において回路体を機器設置部に埋設させるようにしたから、該回路体の配策作業そのものを省略することができる。従って、回路体を上部パネルに固定するための複数個の係止部品や、該回路体を保護するための長尺の保護部材が全く不要となるから、部品削減や作業合理化に伴うコストダウンは勿論、大幅な軽量化も図り得るという極めて有益な効果を奏する。しかも、走行中の振動により回路体が弛んだり引張られることもない。更に回路体は、機器設置部に埋設されるから、放熱効果に優れると共に高速伝送システムに有利なブスバーで構成することができる。
また各車両電子機器と回路体との連結は、これら車両電子機器を機器設置部における表側設置面または裏側設置面の所定位置に組付ける際に自動的になされるから、回路体と車両電子機器との接続作業が省略され、これによる作業性向上および合理化を図り得る利点もある。しかも、回路体と車両電子機器との接続に際して該回路体をインストルメントパネルの外側へ引出す必要がないから、各ブスバーを長めに設定する必要もなくなり、これによるコストダウンおよび軽量化も図り得る。
一方、下部パネルの上部に上部パネルを組付けた際には、該下部パネルに形成した区画壁部の上端面に機器設置部の裏面が接触するようになるので、該機器設置部は区画壁部で下方から当接支持される。従って、車両電子機器の重量が機器設置部に加わったとしても、その重みは前記区画壁部で支持されるようになるから、該機器設置部の撓み変形が防止される。また万一、機器設置部に変形が生じた場合には、応力吸収部が適度に変形してその歪みが適切に吸収されるから、上部パネルにおける外側意匠面が変形する不都合もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るインストルメントパネルを構成する上部パネルに、各車両電子機器をセットする直前の状態で示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るインストルメントパネルを構成する下部パネルに、各種部材をセットする直前の状態で示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るインストルメントパネルを、各車両電子機器および部材が組付けられた状態で示す概略斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図3のVI−VI線断面図である。
【図7】図3に示したインストルメントパネルを、各種の車両電子機器および部材を組付ける前状態で示す分解斜視図である。
【図8】各種の車両電子機器を設置した上部パネルを、機器設置部で破断して示す側断面図である。
【図9】上部パネルに形成した機器設置部を、一部破断して示す平面図である。
【図10】各種の車両電子機器に装着されるコネクタの概略斜視図である。
【図11】車両電子機器の一例としてのスイッチパネルを、機器設置部にセットする状態を示す概略斜視図である。
【図12】車両電子機器とコネクタおよび機器設置部に埋設した回路体との接続関係を示す側断面図である。
【図13】コネクタの中継端子と回路体のブスバーとの接続形態を例示する概略斜視図である。
【符号の説明】
11 下部パネル, 12 上部パネル
29a,29b,29c,29d 区画壁部
35 外側意匠面, 36 機器設置部
36a 表側設置面, 36b 裏側設置面
37 回路体, 38 ブスバー
39 接続部, 42 垂直壁(応力吸収部)
50 コネクタ
A ヘッドアップディスプレイ(車両電子機器)
B 画像表示ディスプレイ(車両電子機器)
C スイッチパネル(車両電子機器)
D 空調操作パネル(車両電子機器)
E オーディオユニット(車両電子機器)
F 車載コンピュータ
Claims (4)
- 乗員室内の前方に組付けられ、エアコンユニットに連通する空気流通路を画成する区画壁部(29a,29b,29c,29d)を上面に形成した下部パネル(11)と、前記区画壁部(29a,29b,29c,29d)を覆った状態で前記下部パネル(11)の上面に組付けられ、乗員室に臨む外側意匠面(35)を有する上部パネル(12)とからなるインストルメントパネルにおいて、
前記上部パネル(12)は、
前記外側意匠面(35)の所要部位に形成され、コネクタ(50)を有する各種車両電子機器(A,B,C,D,E,F)の設置を許容する機器設置部(36)と、
前記機器設置部(36)の設置面(36a,36b)に沿って埋設される導電性の回路体(37)と、
前記機器設置部(36)の各設置面(36a,36b)に開口して前記回路体(37)を外方へ露出させると共に、前記コネクタ(50)の嵌入を許容し得る大きさの挿通孔からなり、前記回路体(37)と前記コネクタ(50)との連結を許容する接続部(39)とを備え、
前記機器設置部(36)の設置面(36a,36b)に前記各種車両電子機器(A,B,C,D,E,F)を設置するに際し、該車両電子機器(A,B,C,D,E,F)のコネクタ(50)を前記接続部(39)において前記回路体(37)に連結することで、該回路体(37)に接続された前記車両電子機器(A,B,C,D,E,F)相互間の電気的な接続を行なうよう構成した
ことを特徴とするインストルメントパネル。 - 前記回路体(37)は、前記機器設置部(36)の各設置面(36a,36b)に埋設されて平行に延在する複数のブスバー(38)からなる請求項1記載のインストルメントパネル。
- 前記外側意匠面(35)および機器設置部(36)は、これら両部(35,36)の境界領域に設けた応力吸収部(42)を介して一体的に連設され、前記応力吸収部(42)で機器設置部(36)の変形を適宜吸収することで外側意匠面(35)の変形が防止される請求項1または2記載のインストルメントパネル。
- 上部パネル(12)を下部パネル(11)に組付けた際に、前記区画壁部(29a,29b,29c,29d)が前記機器設置部(36)を下方から当接支持する請求項1〜3の何れか一項に記載のインストルメントパネル。
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