JP3618469B2 - 車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調ユニットおよびその周辺機器をモジュール化して車載するユニットアセンブリに係り、特に、オーディオ機器や空調コントローラなどの収納部を空調ユニットのケースに一体的に設けたものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の組み立てを行なう場合には、種々の工場において作られた各種車両部品を一か所、つまり車両組立工場に集め、フロアパネル、サイドパネルあるいはルーフパネル等から構成された車体に取付ける。この組み立て作業は、車体外部からの取付けのみでなく、車体内に入り込んで行なうこともあり、取付け作業姿勢も一様ではない。
【0003】
特に、車室内での部品取付作業は、作業しにくい姿勢で行なう難作業となることから、作業能率の向上を図るために、このような難作業を極力低減する傾向が強い。
【0004】
したがって、最近では、各種車両部品を統合し、数種類の部品を一括して取付けする、いわゆるモジュール化が図られている。このモジュール化は、単に作業性の向上のみでなく、部品の統廃合や製造時の型費低減などにも波及する等の種々の利点を有することから、この種車両製造分野では注目されている。
【0005】
このモジュール化を行なうに当たり、車両部品組立作業中でも、最も難作業な部分となっている車室内の前席前方に着目した場合、ここには、車両用空調ユニット、オーディオ機器、各種計器、ステアリング、ステアリングメンバー、センターコンソール等大小種々の車両部品が多数集中し、しかも、ダッシュパネル、フロアパネル及びインストルメントパネルにより区画された極めて狭小な収納空間内に収納しなければならないことから、ここでのモジュール化は極めて意義深いものとなる。
【0006】
このため、従来から、図6に示すように、車室内の前席前方に取付けられる各種部品を一括組み込みするために、空調ユニット10のケース11にパネルボックス12をビス13などにより取付け、このパネルボックス12にオーディオ機器などの付属部品14を設置し、これら付属部品14を空調ユニット10を介して車体に取付けるようにしたものもある(実開昭57−10,945号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにパネルボックス12を空調ユニット10のケース11に取付ける形態は、パネルボックス12がケース11とは別体であるので確かに簡便な手法ではあるが、モジュール化に際しての部品点数の削減や作業工程の低減を十分に達成することができなかった。
【0008】
ところで、付属部品としてのオーディオ機器、空調コントローラ、灰皿などには、一般に、ケース体が含まれている。すなわち、図7(A)に示すように、オーディオアセンブリ15は、アッパケース16およびロアケース17からなるケース体18の中に、機械部19および基板20などの部品を収容し、スイッチなどを配置したフィニッシャ21をケース体18の前面に組み付けて構成されている。また、同図(B)に示すように、灰皿アセンブリ25は、ケース体26に皿部27などの部品を収容して構成されている。したがって、付属部品15,25の外枠を構成するケース体18,26を、ユニットアセンブリを構成する他の部材で代替すれば、付属部品用のケース体18,26を廃止でき、部品19,20,27をケース体18,26へ組み付ける工程をも削減できることになる。
【0009】
そこで、本発明は、モジュール化に際しての部品点数の削減や作業工程の低減を十分に達成し得る車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両用空調ユニットと、オーディオ機器や空調コントローラなどの電気的な付属部品と、を有するユニットアセンブリにおいて、車室内に向かって開口した開口部を備えると共に前記付属部品を収納する収納部を、前記車両用空調ユニットのユニットケースと樹脂材料から一体成形し、前記付属部品の外枠を構成するケース体の中に組み付けられる部品のみを前記収納部の中に組み付け、前記付属部品の前記ケース体を前記収納部にて代替し、さらに、前記付属部品とバッテリとを電気的に接続するために、前記付属部品側のカプラが連結される接続部と、バッテリに接続されたカプラが連結される接続部と、両接続部を電気的に接続するリード線とを、前記ユニットケースにインサート成形し、当該ユニットケースを、バッテリから前記付属部品へ給電するための中継ボックスとして機能させたことを特徴とする車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリである。
【0011】
かかる構成によれば、オーディオ機器、空調コントローラ、灰皿などの付属部品を収納する収納部が車両用空調ユニットのユニットケースに一体的に形成してあるため、ユニットケースとは別体のパネルボックスなどを用いることなく、車両用空調ユニットおよび付属部品を合体したユニットアセンブリを形成できる。したがって、モジュール化に際しての部品点数を削減でき、さらに、パネルボックスをユニットケースに止め付ける作業も不要となり、作業工程が低減する。
【0013】
しかも、付属部品を構成するケース体を収納部にて代替してあるため、付属部品用のケース体を廃止でき、部品をケース体へ組み付ける工程をも削減できる。したがって、モジュール化に際しての部品点数の削減や、作業工程の低減が十分に達成される。
さらに、ユニットケースを、バッテリから電気的な付属部品へ給電するための中継ボックスとして機能させたので、接続ケーブルが短くなり、ケーブルの敷設作業も楽になり、付属部品とバッテリとの電気的な接続の容易化を図り得る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
《実施の形態1》
図1は、実施の形態1における車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリを示す側面図、図2は、実施の形態1における車両用空調ユニットのユニットケースを一部断面で示す側面図である。
【0016】
図1に示すように、ユニットアセンブリAは、車両用空調ユニットの内のヒータユニット30を主要部とし、このヒータユニット30に、インストロア31、図7に示したオーディオ機器、空調コントローラ、灰皿、ナビゲーションシステムなどの付属部品32などを取付けたものである。
【0017】
車両用空調ユニットは、周知のように、車室内空気と車室外空気とを選択的に取り込むインテークユニットと、このインテークユニットから流下してきた空気を冷却するクーラユニットと、このクーラユニットにより冷却された空気を再加熱して車室内の所定位置に向けて吹き出すヒータユニット30とを有している。ヒータユニット30には迂回路を有するようにヒータコア33が設けられ、クーラユニットからの空気は、回動自在なミックスドアにより所望の比率で分岐してヒータコア33および迂回路を流下して所定の温度の空気とされた後、ベント口34、フット口35あるいはデフロスト口からダクトを介して、車室内に吹き出される。また、ヒータユニット30に一体に設けたリヤダクト39の空気出口36にはリヤダクト37が接続され、これらリヤダクト39,37を介して、調和された空気が後席に向けても吹き出される。車両用空調ユニットは、車両の車幅方向略中央部分に設けられた空調コントローラにより風量、温度、吹出口などを適宜制御し、車室内乗員が所望する温度状態となるように車室内の空調を行なっている。
【0018】
車両用空調ユニットを構成するインテークユニット、クーラユニットおよびヒータユニット30の3つのユニットは、ダッシュパネル、フロアパネルなどにより形成された車室内の前席の前方に設けられ、しかもインストルメントパネルの下部という極めて狭小な収納空間内に収納される。
【0019】
このような車両用空調ユニットは、通常、温調された空気を車幅方向左右に均等に分岐して吹き出すようにするために、ヒータユニット30が車幅方向略中央部分に設けられている。したがって、モジュール化してユニットアセンブリAを形成する場合には、ヒータユニット30を中心として、これに車室内の前席前方の中央部分に設けられているインストロア31、該インストロア31の開口部に臨むように配置される付属部品32などを合体することが好ましい。
【0020】
そこで、本実施の形態1では、図2に示すように、車室内に向かって開口した開口部40を備えると共に付属部品を収納する収納部41を、車両用空調ユニットのユニットケース42に一体的に形成してある。収納部41は、ユニットケース42を樹脂材料から射出成形する際に当該ユニットケース42に一体成形される。図7に示したように、オーディオ機器15、空調コントローラおよび灰皿25などの付属部品32は、外枠を構成するケース体18,26の中に機械部19、基板20、皿部27などの部品を組み付けて構成されており、当該付属部品32を収納部41内に収納し、ケース体18,26をビスなどによりユニットケース42に対して固定すればよい。
【0021】
また、これらに加えて、インストロア31から車室内後方に向かって伸延されているセンターコンソール38をインストロア31に取付けることもできる。
【0022】
この場合、インストロア31は、ヒータユニット30とビスなどにより連結すればよい。また、センターコンソール38は、凹凸嵌合によりインストロア31若しくはヒータユニット30と連結するように構成し、この連結時にセンターコンソール38内部に設けたリヤダクト37と、ヒータユニット30のユニットケース42側から伸延されているリヤダクト39と一緒に連結するように構成すれば、センタコンソール38とユニットケース42との連結のみで、リヤダクト37,39相互の連結も行なうことができ、リヤダクト37,39のみの連結を別途行なう必要がなくなる。
【0023】
なお、ユニットアセンブリAにセンタコンソール38を合体させると大型化し過ぎる場合には、このセンタコンソール38のみを別途ヒータユニット30と凹凸嵌合により連結するように構成してもよい。また、インストロア31がインストルメントパネルと一体化されている場合には、ユニットアセンブリAからインストロア31を無くす構造としてもよい。
【0024】
本実施の形態1におけるユニットアセンブリAにあっては、付属部品32を収納する収納部41が車両用空調ユニットのユニットケース42に一体的に形成してあるため、ユニットケース42とは別体の従来のパネルボックス12などを用いることなく、車両用空調ユニットおよび付属部品32を合体したユニットアセンブリAを形成できる。したがって、モジュール化に際しての部品点数を削減でき、さらに、パネルボックス12をユニットケース42に止め付ける作業も不要となり、作業工程の低減を十分に達成することができる。
【0025】
《実施の形態2》
図3は、実施の形態2における車両用空調ユニットのユニットケースを一部断面で示す側面図、図4は、付属部品の取付け状態を示す斜視図である。また、図5(A)(B)は、ユニットケースの型割り例を示す図3の5−5線に沿う断面図である。
【0026】
実施の形態2では、上述した実施の形態1と同様に、車室内に向かって開口した開口部40を備えると共に付属部品32を収納する収納部41を、車両用空調ユニットのユニットケース42に一体的に形成してある。但し、本実施の形態2は、付属部品32を構成するケース体18,26を、ユニットアセンブリを構成する他の部材で代替すれば、付属部品用のケース体18,26を廃止でき、ケース体18,26への部品19,20,27の組み付け工程を削減できることに着目してなされたものであり、この点で実施の形態1とは異なっている。概説すれば、付属部品32の外枠を構成するケース体18,26の中に組み付けられる部品19,20,27を収納部41の中に組み付け、付属部品32のケース体18,26を収納部41にて代替するようにしてある。
【0027】
オーディオ機器を例に挙げて更に詳述すれば、実施形態2の収納部41は、図3および図4に示すように、オーディオ機器の機械部19を収納する第1室43と、基板20を収納する第2室44とに上下に区画され、この収納部41の開口部40にフィニッシャ45がビス46などにより固定されている。なお、第1室43に基板20を、第2室44に機械部19を収納してもよい。
【0028】
車両用空調ユニットのユニットケース42は、図5(A)に示すように、中央位置から左右にほぼ均等に型割りされており、左右のケース42a,42bを相互に組み付けた後に、オーディオ機器の機械部19、基板20およびフィニッシャ45が次ぎのようにして組み付けられる。
【0029】
まず、オーディオ機器の機械部19は、ビス47などにより止め付けられて、第1室43内に固定される(図5(A)参照)。このビス47の締結作業は、ユニットケース42の上壁に開設した通孔48を通してなされる。一方、オーディオ機器の基板20は、その前端に設けた凸片20aが第2室44に突設した保持部49の差込口49aに差し込まれ、後端がビス50などにより止め付けられて、第2室44内に固定される(図3参照)。
【0030】
図4に示すように、基板20と機械部19との電気的な接続は、基板側第1カプラ51と機械部側カプラ54とを連結してなされる。基板20とフィニッシャ45との電気的な接続は、基板側第2カプラ52とフィニッシャ側カプラ55とを連結してなされる。また、基板20とバッテリ(図示せず)との電気的な接続は、基板側第3カプラ53とバッテリに接続されたカプラ(図示せず)とを連結してなされる。
【0031】
そして、電気的な接続が完了した後、収納部41の開口部40にフィニッシャ45をネジ46で固定すれば、オーディオ機器の車両用空調ユニットへの合体が完了する。
【0032】
なお、基板側第3カプラ53が連結される接続部と、バッテリに接続されたカプラが連結される接続部と、両接続部を電気的に接続するリード線とを、ユニットケース成形時にインサート成形しておき、当該ユニットケース42を、バッテリから基板20へ給電するための中継ボックスとして機能させてもよい。このようにすれば、接続ケーブルが短くなり、ケーブルの敷設作業も楽になり、基板20とバッテリとの電気的な接続の容易化を図り得る。また、基板20の凸片20aが保持部49に差し込まれることから、凸片20aおよび保持部49にカプラとして機能を持たせてもよい。
【0033】
さらに、基板側第1カプラ51と機械部側カプラ54とを直接接続する形態に代えて、フィニッシャ45を経由して、基板20と機械部19との電気的な接続を行うようにしてもよい。
【0034】
本実施の形態2におけるユニットアセンブリAにあっては、特に、付属部品32を構成するケース体18を収納部にて代替してあるため、付属部品用のケース体18を廃止でき、部品19,20をケース体18へ組み付ける工程をも削減できる。したがって、モジュール化に際しての部品点数の削減や、作業工程の低減を十分に達成することができる。
【0035】
なお、灰皿25の皿部27を収納部41に組み付ける場合にあっては、その収納部41には耐熱性に優れた樹脂プレートをインサート成形するのがよい。
【0036】
また、実施形態2では、図5(A)に示したように、ユニットケース42を中央位置から左右にほぼ均等に型割りし、左右のケース42a,42bを相互に組み付けた後に、部品19,20を組み付けるようにしたが、本発明は、この形態に限定されるものではない。例えば、同図(B)に示すように、ユニットケース42を略L字形状に型割りし、部品19,20を組み付けた後に、左右のケース42a,42bを相互に組み付けるようにしてもよい。この形態では、左右のケース42a,42bを組み付ける前にあっては第1室43が外部に臨むことになるため、機械部19のビス止め作業を簡単に行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、付属部品を収納する収納部が車両用空調ユニットのユニットケースに一体的に形成してあるため、ユニットケースとは別体のパネルボックスなどを用いることなく、車両用空調ユニットおよび付属部品を合体したユニットアセンブリを形成でき、モジュール化に際しての部品点数を削減でき、さらに作業工程の低減を十分に達成することが可能になる。
【0038】
しかも、付属部品を構成するケース体を収納部にて代替してあるため、付属部品用のケース体を廃止でき、部品をケース体へ組み付ける工程をも削減でき、モジュール化に際しての部品点数の削減や、作業工程の低減をより一層図ることが可能になる。
さらに、ユニットケースを、バッテリから電気的な付属部品へ給電するための中継ボックスとして機能させたので、接続ケーブルが短くなり、ケーブルの敷設作業も楽になり、付属部品とバッテリとの電気的な接続の容易化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリを示す側面図である。
【図2】実施の形態1における車両用空調ユニットのユニットケースを一部断面で示す側面図である。
【図3】実施の形態2における車両用空調ユニットのユニットケースを一部断面で示す側面図である。
【図4】実施の形態2における付属部品の取付け状態を示す斜視図である。
【図5】図5(A)(B)は、ユニットケースの型割り例を示す図3の5−5線に沿う断面図である。
【図6】付属部品を空調ユニットのケースに一体化させる従来の構造を示す図である。
【図7】図7(A)は、付属部品としてのオーディオ機器や空調コントローラの構成を示す斜視図、同図(B)は、付属部品としての灰皿の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
A…ユニットアセンブリ
18,26…ケース体
19…オーディオ機器の機械部(部品)
20…オーディオ機器の基板(部品)
27…皿部(部品)
30…ヒータユニット
32…付属部品(15…オーディオアセンブリ(電気的な付属部品)、25…灰皿アセンブリ)
40…開口部
41…収納部
42…ユニットケース
43…第1室
44…第2室
45…フィニッシャ
53・・・基板側第3カプラ(付属部品側のカプラ)
Claims (1)
- 車両用空調ユニットと、オーディオ機器や空調コントローラなどの電気的な付属部品(32)と、を有するユニットアセンブリ(A)において、
車室内に向かって開口した開口部(40)を備えると共に前記付属部品(32)を収納する収納部(41)を、前記車両用空調ユニットのユニットケース(42)と樹脂材料から一体成形し、
前記付属部品(32)の外枠を構成するケース体(18)の中に組み付けられる部品(19,20)のみを前記収納部(41)の中に組み付け、前記付属部品(32)の前記ケース体(18)を前記収納部(41)にて代替し、
さらに、前記付属部品(32)とバッテリとを電気的に接続するために、前記付属部品(32)側のカプラ(53)が連結される接続部と、バッテリに接続されたカプラが連結される接続部と、両接続部を電気的に接続するリード線とを、前記ユニットケース(42)にインサート成形し、当該ユニットケース(42)を、バッテリから前記付属部品(32)へ給電するための中継ボックスとして機能させたことを特徴とする車両用空調ユニットを含むユニットアセンブリ。
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