JP4069686B2 - 転写箔用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性及び転写性に優れる転写箔用ポリエステルフィルムに関するものである。特に深絞り性、被転写体の表面形状への追従性などの成形性に優れ、また印刷の転写性に優れた転写箔用ポリエステルフィルムに関するものである。また、形状の複雑な樹脂部材、たとえば自動車内装品などの表面の加飾用途に好適な転写箔用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写箔用フィルムとしては、たとえば特開平6−210799号公報などに二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることが提案されているが、形状の複雑な部材への転写に対しては、成形性の点で不十分であった。
【0003】
一方、特開2000−238037号公報には、成形応力が特定の範囲のポリエステルフィルムを転写箔に用いた例が示されている。ここには、転写箔に一般の二軸延伸PETに比べて成形応力の低いポリエステルを用いることが示されている。成形応力を低下させる具体的手法としては、2種以上の多価アルコールを用いた共重合PETを用いることが開示されている。しかしながら、通常の共重合PETを用いると融点が低く耐熱性に劣るだけでなく耐溶剤性が悪く、フィルム層と印刷層との剥離性、すなわち転写性が不十分である。
【0004】
このように従来の技術では成形性と転写性の両立という点では満足できるものが得られずであり、改善が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記した従来の技術の問題点を解決し、成形性と転写性を共に満足したフィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため本発明の転写箔用ポリエステルフィルムは主として次の構成を有する。すなわち、
ポリエステルAの少なくとも片面にポリエステルBを積層した積層フィルムであって、
ポリエステルAの融点Tm(℃)が240〜300℃、
ポリエステルAのグリコール成分のうちエチレングリコール成分量X(モル%)が50〜100モル%、
ポリエステルBが2,6−ナフタレンジカルボン酸を3〜100モル%を含有し、
かつ積層フィルムの面配向係数が0〜0.05の範囲の転写箔用ポリエステルフィルムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とで基本的に構成されるポリマーであることが好ましい。
【0009】
ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、マロン酸、1,1−ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、デカメチレンジカルボン酸などを用いることができる。
【0010】
また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール−A、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどのグリコール成分やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−プロピレングリコール共重合体等を用いることができる。本発明におけるポリエステルでは、グリコール成分の中で、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−プロパンジオールを成形性と生産性の点から好ましく用いることができる。
【0011】
中でも好ましく使用できるポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリヒドロキシベンゾエート(PHB)が挙げられる。なおこれらのポリエステルは、2種類以上を併用することができる。
【0012】
本発明のポリエステルを製造する際には、従来から用いられている反応触媒、着色防止剤を使用することができ、反応触媒としては、例えばアルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等を用いることができ、着色防止剤としては、例えばリン化合物等を用いることができる。好ましくは、通常、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法等を用いることができる。
【0013】
ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレ−ト、ゲルマニウムβ−ナフトレ−ト等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を用いることができる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0014】
アンチモン化合物としては、特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン酸化物、酢酸アンチモンなどを用いることができる。
【0015】
チタン化合物としては、特に限定されないが、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネートなどのアルキルチタネート化合物、またチタンと珪素、ジルコニウム、アルミニウム元素から選ばれる元素との複合酸化物などが好ましく使用できる。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルAの固有粘度は、0.6〜1.3dl/gの範囲にあることが好ましい。0.6未満であると、特に成形性の悪化が顕著となり、また1.3以上となると特に製膜性の悪化、フィルムの厚み斑が顕著となる。また、ポリエステルAの固有粘度は、さらに好ましくは0.65〜1.2dl/g、特に好ましくは0.7〜1.1dl/gの範囲である。
【0017】
ポリエステルAの融点は、240℃以上であることが必要である。これ以下の温度では、特に転写性や耐熱性の点での特性の悪化が顕著である。また、より好ましくは245℃以上、特に好ましくは250℃以上である。
【0018】
ここで本発明における融点とは、ポリマーに起因する結晶融解ピークであり、ポリマー(5mg)をDSCにおいて窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で測定したときのDSC曲線から求められる吸熱曲線の極小点、すなわち微分値が0となる点である。
【0019】
特にポリマーが複数の融解ピークを有する場合、融解熱量の最も大きい主融解ピークをそのポリマーの融点とする。
【0020】
本発明のポリエステルAは、DSC昇温測定におけるフィルムの結晶融解曲線が実質的に単一のピークを示すものであることが好ましい。ポリエステルAの結晶融解曲線のピークが二つ以上を示すものであると、分子構造が均一となっていないため、成形性が不良となる場合がある。
【0021】
ここで、一つの吸熱曲線に部分的に重なる融解熱量が2J/g以上のショルダーピーク(ピークの極小点)についても独立した結晶融解曲線のピークとし、2つ(またはそれ以上)のピークが存在するものとする。
【0022】
さらに本発明のポリエステルAのカルボキシル末端基は30eq/t以下の範囲にあることが好ましい。かかる好ましい範囲であると優れた転写性を確保できる。より好ましくは、25eq/t以下であり、特に好ましくは10eq/t以下の範囲である。
【0023】
本発明に用いるポリエステルAを構成するグリコール成分のうちエチレングリコール成分量X(モル%)が50≦X≦100の範囲であることが必要である。Xが50モル%未満であると成形性と転写性の両立が不可能であり、特に転写性の低下が顕著である。
【0024】
また1,3−プロパンジオール成分量および1,4−ブタンジオール成分量の合計Y(モル%)が、0.1〜50の範囲であることが成形性の点から好ましい。
【0025】
このとき、ポリエステルAは融点の降下に伴い、耐溶剤性などの特性が悪化し、転写性の悪化の原因となるため融点Tm(℃)が240≦Tm≦300の範囲であることが必要である。Tmがこの範囲外であれば、本発明の目的である成形性と転写性の両立が不可能であり、融点Tmが240℃未満であると耐溶剤性などの特性が悪化し、特に転写性の悪化が顕著であり、300℃を超えると特に成形性の低下が顕著である。
【0028】
また特に高度な転写性を達成するためにはポリエステルAにはエチレンナフタレートの繰り返し単位を3〜100モル%有するPEN系樹脂を混合することが好ましい。
【0029】
また上述のようにポリエステルAとして2種類以上のポリエステルを混合して用いる場合には、ポリエステルAがM/P≦1を満足することが、耐熱性、耐溶剤性、印刷性、品質のバラツキを低減させる上で好ましい。ここで、式中のMはポリエステルA中に残存する触媒金属元素の濃度(ミリモル%)、PはポリエステルA中に残存するリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。またこれらのMおよびPはポリエステルの繰り返し単位1ユニット(モル)あたりの濃度として表しているものである。
【0030】
さらに好ましくはM/Pが0.0001以上1未満、特に好ましくは0.001以上0.8以下である。
【0031】
M/P≦1の制御により、熱安定性が増し、ブレンドポリマーのエステル交換を抑制でき、熱処理による融点の低下を抑えることが可能である。この結果、上に挙げた特性を向上させることができる。
【0032】
本発明におけるポリエステルに熱安定剤として添加されるリン化合物は特に限定されないが、リン酸、亜リン酸、リン酸エステルなどが好ましい。
【0033】
特に、製膜中のブリードアウトを抑制する点からは分子量300以上、特に好ましくは400以上のリン化合物が好ましく用いられる。分子量300以上のリン化合物としては、たとえばステアリルリン酸、トリフェニルホスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートなどが挙げられるが、特にステアリルリン酸がブリードアウト抑制の点からは好ましい。
【0034】
ポリエステルA中に添加するリン化合物の含有量(添加量)は、熱安定性、色調などの点からはリン化合物をリン元素量として20〜1000ミリモル%であることが好ましく、より好ましくは90〜900ミリモル%、特に好ましくは120〜800ミリモル%の範囲である。
【0035】
さらにリン化合物の添加方法としては、重合時に添加する方法、押出機にポリマーと共に供給して添加する方法のいずれでも構わない。一般に重合時に多量のリン化合物を添加すると重合反応を阻害することから、通常のM/P>1の範囲のポリエステルと共に押出機に供給して添加する方法が好ましい。
【0036】
本発明のポリエステルフィルムの構成は特に高度な転写性と成形性を達成するため、ポリエステルAからなるA層の片面または両面に、耐溶剤性に優れるポリエステルBからなるB層を積層す
【0037】
このとき、転写性の点かポリエステルBとしては、エチレンナフタレートの繰り返し単位を3〜100モル%有するPEN系樹脂を含有し他に好ましいものとして、特開昭58−167617号公報などに開示される1,3ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを共重合したポリエステル、ナイロンMXD6などの主鎖に芳香族環を有する脂肪族ポリアミドなどが挙げられるPEN系樹脂は製膜安定性の点で好ましい
【0038】
本発明において好ましいフィルムの厚さは10〜500μmの範囲であり、より好ましくは30〜300μm、特に好ましくは40〜200μmである。かかる好ましい厚さであると、製膜安定性、平面性が良好であり、また、取り扱い性や成形性にも優れる。
【0039】
また、積層とする場合、ポリエステルBの積層厚みは任意に設定して構わないが、通常は製膜の安定性などの点から1〜50μm程度の範囲である。
【0040】
本発明のポリエステルフィルムは、特に成形性の点から、面配向係数が0〜0.05の範囲であることが必要である。面配向係数が0.05を超える場合には、成形性に劣ったものとなる。
【0041】
ここで、面配向係数とは、下記[化1]で表されるfnのことであり、フィルムの配向度を表したものである。
【0042】
面配向係数: fn={(Nx+Ny)/2}−Nz ・・・[化1]
また、Nx、Ny、Nzはそれぞれ長手方向の屈折率、幅方向の屈折率、厚み方向の屈折率を表し、アッベ屈折率計などを用いて測定することのできる値である。なお、フィルムが不透明などの理由で屈折率の測定が困難な場合は、赤外吸収スペクトルやX線などの配向度の測定手法により、屈折率による面配向係数に換算することが可能である。
【0043】
本発明のポリエステルフィルム中には、目的や用途に応じて各種の粒子を添加することができる。添加する粒子は、ポリエステルに不活性なものであれば特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。これらの粒子を2種以上添加しても構わない。かかる粒子の添加量は、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%である。
【0044】
特にフィルムの易滑性を付与し取扱性を向上させる点からは、添加する粒子の平均粒子径は好ましくは0.001〜20μmであり、さらに好ましくは0.01〜10μmである。平均粒子径がかかる好ましい範囲であると、樹脂組成物、フィルムの欠陥が生じにくく、成形性が良好である。また、十分な易滑性が発現する。
【0045】
無機粒子の種類としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの各種硫酸塩、カオリン、タルクなどの各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの各種酸化物、フッ化リチウムなどの各種塩を使用することができる。
【0046】
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などが使用される。
【0047】
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
【0048】
重合系内で生成させる内部粒子としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを反応系内に添加し、さらにリン化合物を添加する公知の方法で生成される粒子も使用される。
【0049】
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて公知の添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
【0050】
本発明のポリエステルフィルムは印刷の転写を行う転写箔(スタンピング箔)として用いるのに好適なものである。ここで、転写箔とは印刷の転写加工を行うためのシートである。すなわち本発明のポリエステルフィルムには絵柄印刷を施した後、シートの印刷面側と成型品を射出成型などにより直接密着させ、フィルムのみを剥離除去させ印刷を成型品表面に残すといった、印刷の転写加工に用いることができる。
【0051】
さらに印刷層の他に成型品に転写させる層として、ハードコート層、耐候層、難燃層、防汚層、抗菌層などをフィルム表面に設けることができる。また転写性向上の点からはフィルムを印刷溶剤から保護する溶剤保護層、フィルムと印刷層の剥離を容易にする離型層などを積層することができる。
【0052】
本発明の転写箔用ポリエステルフィルムは立体形状への成形が可能であるため、特に自動車内装品などの形状の複雑な部品表面への印刷用として好ましく用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、諸特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25℃において測定した。
【0054】
なお、積層フィルムについては各層のポリマーを片刃で削りとり、所定量の試料を採取した。
(2)ポリエステルの融点
ポリエステルフィルム試料5mgを、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、窒素雰囲気下、−30℃で5分間保持後20℃/分の昇温速度で測定し、DSC曲線から求められる吸熱曲線の極小点(すなわち微分値が0となる点)を結晶融解ピーク温度とした。
【0055】
なお、積層フィルムについては各層のポリマーを片刃で削りとり、所定量の試料を採取した。
(3)面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの長手方向屈折率(Nx),幅方向屈折率(Ny),厚み方向屈折率(Nz)を測定し、次の式Vから面配向係数(fn)を算出した。
【0056】
fn={(Nx+Ny)/2}−Nz ・・・式V
(4)成形性
アクリル樹脂を主成分とするインク(溶剤:トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン=1/2/2)をポリエステルフィルム表面にコートし、さらにABS樹脂を主成分(溶剤:トルエン/酢酸エチル=3/7)とする接着層をコートし転写箔を作製した。なお、このときフィルムが積層構成の場合はポリエステルB層にコートした。
【0057】
得られた転写箔を半径2cmの半球形状および一辺2cm立体形状(角のRは1mm)に80〜140℃の温度領域での真空成形により成形を行い、射出成形部材に密着させた。
【0058】
得られた成形品20個の状態(密着の状態、成形時のしわ、フィルムの割れ)からフィルムの成形性についてを目視で判定を行った。
【0059】
優(合格) :成形性は非常に良好(不良品0〜1個)。
【0060】
良(合格) :成形性は良好(不良品2〜3個)。
【0061】
劣(不合格) :成形性不良(不良品4個以上)。
(5)転写性
得られた成形品のうち成形性の比較的良好なものについて、ポリエステルフィルムを手で剥離した。剥離後の印刷層の部材への密着状態、剥離のしやすさ(剥離の際にかかる負荷)から判定を行った。
【0062】
優(合格) :容易に剥離が可能。また印刷の状態も良好である。
【0063】
良(合格) :剥離に多少負荷があるが、印刷の状態は良好である。
【0064】
劣(不合格) :印刷の状態に不良なものが見られる。
【0065】
実施例、比較例で用いたポリエステル原料は次のとおりであった。
・PET(ポリエチレンテレフタレート)
エチレングリコールとテレフタル酸の縮重合により、融点255℃のポリエチレンテレフタレートを得た。なおPETは固有粘度の異なる2種類準備し、それぞれ0.88dl/gのタイプ(以下PET1)、0.65dl/gのタイプ(以下PET2)である。得られたポリエチレンテレフタレート中には凝集シリカ(平均粒子径1.7μm)を0.6重量%含有させた。
・PPT(ポリプロピレンテレフタレート)
1、3−プロパンジオールとテレフタル酸の縮重合により、固有粘度0.98dl/g、融点220℃のポリプロピレンテレフタレートを得た。
・PBT(ポリブチレンテレフタレート)
1,4−ブタンジオールとテレフタル酸の縮重合により、固有粘度1.26dl/g、融点220℃のポリブチレンテレフタレートを得た。
・PEN(ポリエチレンナフタレート)
エチレングリコールと2,6−ナフタレンジカルボン酸の縮重合により、固有粘度0.68dl/g、融点272℃のポリエチレンナフタレートを得た。得られたポリエチレンナフタレートには架橋ポリスチレン粒子(平均粒子径6μm)を0.4重量%含有させた。
・P(E/P)T(ポリエチレンテレフタレート・プロピレンテレフタレート共重合体)
エチレングリコールと1,3プロパンジオールとテレフタル酸の縮重合により、プロピレンテレフタレートを10モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。なお、固有粘度0.84dl/g、融点220℃であった。得られたP(E/P)T共重合ポリエチレンテレフタレート中には凝集シリカ(平均粒子径1.7μm)を0.6重量%含有させた。
【0066】
なお、ポリエステルに添加した各粒子は以下の方法で得た。
凝集シリカ粒子:4塩化珪素1当量に対し、酸素1当量、および、水素1当量を気化器において気化させ、酸水素炎中において1,000℃で加水分解を行い、酸化ケイ素粒子を得た。さらに、直径0.5mmのビーズを用いた湿式サンドミルにて粉砕し所望の平均粒子径を有する凝集シリカを得た。
架橋ポリスチレン:積水化成品工業(株)社製 SBX−6を用いた。
参考例1)
上述のPET1とPBTを重量比95/5でブレンドしベント式二軸押出機に供給し、樹脂を280℃で溶融させた後に真空ベント部2ヶ所を通過させた。次いで、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し厚み80μmに調整した無延伸シートを得た。
【0067】
得られたフィルムは、表1に示すように成形性、転写性ともに良好であり、特に成形性では優れた特性を示した。
【0068】
【表1】
Figure 0004069686
参考例2)
使用する樹脂をPET1とPPTの重量比90/10でのブレンドとした以外は、実施例1と同様の手法により無延伸フィルムを作製した。
【0069】
得られたフィルムは、表1に併せて示すように成形性、転写性ともに良好であり、特に成形性では優れた特性を示した。
参考例3)
使用する樹脂をPET1、PBT、PENのブレンド(重量比80/10/10)とした以外は、実施例1と同様の手法により無延伸フィルムを作製した。
【0070】
得られたフィルムは、表1に併せて示すように成形性、転写性ともに優れた特性を示した。
参考例4)
使用する樹脂をPET1のみとした以外は実施例1と同様の手法により無延伸フィルムを作製した。
【0071】
得られたフィルムの特性は、表1に併せて示すように成形性、転写性ともに良好であり合格レベルである。
参考例5)
使用する樹脂をPET1とPENのブレンド(重量比70/30)とした以外は実施例1と同様の手法により無延伸フィルムを作製した。
【0072】
得られたフィルムの特性は、表1に併せて示すように特に転写性で優れた特性を示した。
(実施例6)
A層を構成するポリエステルAをPET1とPPTのブレンド(重量比80/20)とし、B層を構成するポリエステルBをPET1とPENのブレンド(重量比50/50)とした。ポリエステルBは真空乾燥機にて180℃、5時間乾燥を行った。次いでベント式二軸押出機にポリエステルAを供給し、単軸押出機にポリエステルBを供給し、ピノールにて複合構成B層/A層/B層=8/64/8で積層を行い、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し80μmの無延伸フィルムを得た。
【0073】
得られたフィルムの特性は、表1に併せて示すように成形性、転写性ともに良好であり、特に転写性では最もに優れた特性を示した。
(実施例7)
使用するポリエステルAをPET1、ポリエステルBをPET1とPENのブレンド(重量比70/30)とした。それ以外は実施例5と同様の手法により80μmの無延伸フィルムを得た。
【0074】
得られたフィルムは、表1に併せて示すように成形性、転写性ともに良好であり、特に転写性の面で優れた特性を示した。また、成形性についても実施例1同様優れたものであった。
(比較例1)
使用するポリエステルAをP(E/P)Tとした以外は、実施例1と同様の手法にて80μmの無延伸フィルムを作製した。
【0075】
得られたフィルムの特性は表1に併せて示した通りであり、成形性には優れるものの転写性の面で非常に劣るものであった。
(比較例2)
使用する樹脂をPET1とPBTのブレンド(重量比40/60)とした以外は、実施例1と同様の手法により無延伸フィルムを作製した。
【0076】
得られたフィルムは、表1に併せて示すように成形性は合格レベルであったものの、転写性に非常に劣るものであった。
(比較例3)
使用する樹脂をPET2とし、実施例1と同様にして得られた無延伸フィルムを温度95℃にて長手方向に3.4倍ロール延伸し、延伸温度115℃で幅方向に3.05倍テンター延伸した後、200℃にて弛緩5%、5秒間熱処理し、厚みを80μmに調整した二軸延伸積層ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの面配向係数は0.16であった。
【0077】
また、成形性は非常に劣り、成形品が得られなかったため転写性の評価は不可能であった。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性、転写性に優れた、転写箔用ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0079】
本発明で得られるポリエステルフィルムは印刷の転写加工を行うための転写箔として用いるために好適なものである。

Claims (3)

  1. ポリエステルAの少なくとも片面にポリエステルBを積層した積層フィルムであって、
    ポリエステルAの融点Tm(℃)が240〜300℃、
    ポリエステルAのグリコール成分のうちエチレングリコール成分量X(モル%)が50〜100モル%、
    ポリエステルBが2,6−ナフタレンジカルボン酸を3〜100モル%を含有し、
    かつ積層フィルムの面配向係数が0〜0.05の範囲の転写箔用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルAのグリコール成分のうち、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオール成分の合計量Y(モル%)が、0.1〜50の範囲である請求項1記載の転写箔用ポリエステルフィルム。
  3. 自動車内装品の加飾に用いる請求項1又は2に記載の転写箔用ポリエステルフィルム。
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