JP4064301B2 - チップ型コモンモードチョークコイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コモンモードチョークコイルに関し、詳しくは、各種の電子回路に用いられる小型で巻線型の表面実装が可能なチップ型コモンモードチョークコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−313646
【0003】
一般にコモンモードチョークコイルは、図5の電気回路図に示すように、入力端子1a、出力端子2a間に接続された巻線3と、入力端子1b、出力端子2b間に接続された巻線4とを有する。これら巻線3、4は、フェライトコア等の磁性体材料からなるコア部材にバイファイラ巻されている2回路4端子のチョークコイルである。
図6にコアに巻回されたコモンモードチョークコイルの底面図を示す。 図に示すように、四角柱状のコアに設けられた巻芯部11と、巻芯部11の両端部にそれぞれ配設された四角形状のフランジ1と2を有しており、その先端部には、所定の間隔をおいて設けられた4つの電極1a、1bと2a、2bが形成されている。このコアを用いたコモンモードチョークコイルCは、巻芯部11にバイファイラ巻された巻線3、4とその端部3a、3bと4a、4bがはんだ付けや溶接などの方法により電気的に接続されている。
【0004】
このような従来の巻線型コモンモードチョークコイルCは巻線3および4の端部3a、3bおよび4a、4bを接続するにあたっては、図中、矢印Gに示すように、巻線3の端部3aが、電極1aに隣接する電極1bと、または、巻線4の端部4bが、電極2bに隣接する電極2aと近接し、接触して短絡してしまうという問題がある。また、接触しないまでも、ある程度の間隔を確保できない場合には、耐圧の劣化や絶縁不良を生じるという問題がある。
【0005】
これらの防止策として、図7に示すように、コアに設けられたフランジ1、2の内側根元部と接する巻芯部の両端に切り込み溝5a、5bを設けたコア20用いて巻線したものや、図8に示すように、巻芯部の両側面に対照的に対向する巻溝となる凹部6a、6bを設けたコア21を用いて巻線を施している。このように、コア20、コア21を用いることにより、巻線端末が接続する電極と、隣接する電極が近接しないようにしている。
しかし、図7に示すコア20を用いた方法では、溝5a、5bをかなり深く設ける必要が有り強度に問題がある。そして、図8に示すコア21を用いた方法では、巻線数が増加すると巻幅の制約が大きくなり巻幅である凹部6a、6bの幅を広くとると、巻線端末を接続する電極と隣接する電極間の距離を十分とることができなくなり、巻線端末の分離作業等が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するために、巻線端末が隣接する電極に近接または、接触して、耐圧の劣化や絶縁不良を招いたり短絡を生じたりすることのない、信頼性の高いチップ型コモンモードチョークコイルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、巻芯部と、複数の脚状電極部が互いに所定の間隔を置いて形成されたフランジ部と、巻芯部に巻回され、巻き始め端および巻き終わり端が所定の脚状電極部に接続された巻線部とからなるチップ型コモンモードチョークコイルにおいて、巻芯部の対向する両側面に凹部を設け、凹部を巻芯部の巻線軸に対して対称的に一方のフランジ部から遠く離したことを特徴とする。そして、巻き始め端および巻き終わり端の引き出し部は、接続する脚状電極部とフランジ部から遠く離れた一方の凹部内側面から引き出し、所定の脚状電極部に接続することを特徴とする。
さらに、凹部内側面に巻き始め端と巻き終わり端を引き出す溝を設け、巻き始め端および巻き終わり端の引き出し部を接続する脚状電極部とフランジ部から遠く離れた一方の凹部内側面の溝を通して引き出し、所定の脚状電極部に接続する。
【0008】
【実施例】
以下、本発明のチップ型コモンモードチョークコイルの一実施例について図を用いて詳しく説明する。なお、図において、図5〜図8と同一符号を付した部分は、同一部分または相当する部分を示している。
【0009】
図1は、本発明のチップ型コモンモードチョークコイルを底面から見た斜視図(a)であり、図1(b)は電極を形成したコア部材を示す底面から見た斜視図である。図2は図1を分かりやすくするための説明図である。
【0010】
図1(b)に示すように、この実施例において用いられているコア10は、フェライトから形成されており、巻芯部11の両端側に一対のフランジ部1、2に溝7を設けて形成した脚部と、その脚部の先端部にそれぞれ電極膜を付与することにより形成された、合計4つの電極1a、1b、2a、2bを備えている。
【0011】
そして、このコア10においては、巻芯部11の長手方向を巻線軸とし、対向する両側面に凹部6a、6bが形成されている。この凹部6a、6bは同じ幅であり、巻線軸に対して長手方向に互いに対称的にずらして配設されている。例えば、凹部6aはフランジ2の電極2a側に近づくようにずらした位置に配設されており、凹部6bはフランジ1の電極1a側に近づくようにずらした位置に配設されている(すなわち、凹部6aと凹部6bは対称的にずれている)。
【0012】
そして、図1(a)に示すように、このコア1の巻芯部11の凹部6aに、2本の巻線3、4をバイファイラ巻し、その巻き始め端側3aおよび4aの端末はフランジ1から遠く離れた凹部6aの凹部内側面から引き出され、電極1a、1bに熱圧着などの方法により電気的に接続され、そして、巻き終わり端側3bおよび4bの端末はフランジ2から遠く離れた凹部6bの凹部内側面から引き出され、電極2a、2bに熱圧着などの方法により電気的に接続する。
すなわち、巻線3の巻き始め端3aは電極1aに接続し、巻線3の巻き終わり端3bは電極2aに接続する。また、巻線4の巻き始め端4aは電極1bに接続し、巻線4の巻き終わり端4bは電極2bに接続する。このことにより、2回路、4端子型のチップ型コモンモードチョークコイルが形成される。
【0013】
図2は図1のコアと巻線の端末との関係を示した説明図である。
図2に示すように、コア10の巻芯部11の凹部6a、6bは、フランジ1とフランジ2との間に、コアの長手方向の両側面に配設されており、その位置はコアの巻線部の軸に対して長手方向の中心から互いに反対方向にずらした位置である。そして、凹部6a、6bのずらした位置はフランジ1、2に対し、巻き始め端および巻き終わり端の引き出し部となる距離m1と、他方の距離m2であり、m1>m2の関係にある。凹部6a、6bの幅Lは巻線の幅となり巻数を限定する。距離m1は巻線の端末が隣り合う電極との近接状態により決定し、m2は巻幅Lを差し引いた残りのフランジとの距離となる。従来の図8に示すコアはm1=m2であり、巻芯部の中心位置にある。
【0014】
このように、隣り合う電極と近接しやすい巻線3の端末3aは電極1aと、巻線4の端末4bは電極2aと離れた位置から引きだすように距離m1を大きくとり凹部の位置をずらしている。このことにより、巻線の巻幅を変えることなく、すなわち、従来の巻幅を狭くすることなく、巻線の端末と電極との距離G(○部)を開けて、ショート不良や絶縁抵抗の低下を引き起こすほど接近することがなく、信頼性の高いチップ型コモンモードチョークコイルを得ることができる。
【0015】
また、巻線の端末と電極間が離れているため、高温のヒータチップを押し当てる方法を用いて端末を電極に接合する場合にも、巻線の被膜が除去された露出導体(端末)が、接合すべき電極と隣り合う電極とが接触して短絡を生じたり、絶縁抵抗の低下を招いたりすることを効果的によく抑制、防止することができる。
【0016】
なお、図1のチップ型コモンモードチョークコイルは天板を備えていない構成のものであるが、図3に示すように、図1に示すコイルに天板9を備えた構成とすることも可能である。
【0017】
図4は、本発明のチップ型コモンモードチョークコイルに用いられるコアの変形例を示す図である。
図4に示すように、このコアの特徴は、図1で示した巻芯部11の両側面の凹部6a、6bに巻き始め端と巻き終わり端が引き出される凹部内側面に溝8を設けたものである。このようにすることによって、図1に示したものより、さらに巻線の端末と電極間の距離G(○部)を広げることができ、巻線の端末と隣り合う電極とが接触して短絡を生じたり、絶縁抵抗の低下を招いたりすることをより効果的に抑制、防止することができる。
【0018】
また、上記実施例では、2回路、4端子型のチップ型コモンモードチョークコイルを例にとって説明したが、回路数、端子数に特別の制約はなく、3回路、6端子以上のチップ型コモンモードチョークコイルにも本発明を適用することが可能である。
【0019】
また、上記実施例では、フェライトからなるコアを用いた場合について説明したが、コアの構成材料はこれに限られるものではなく、アルミナをはじめ種々の絶縁材料や磁性材料などを用いることが可能である。
【0020】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、巻芯部、フランジ部、及び電極の具体的な形状、巻線の巻回態様などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のチップ型コモンモードチョークコイルは、巻芯部の巻線軸に対する両側面に凹部を設け、その凹部の位置を対称的にずらして配設することにより、巻線の端部は、隣接する電極に接触および近接することなく配線できるので、隣接する電極と短絡を生じたり、耐圧の劣化や絶縁不良を招く恐れのない、信頼性の高いチップ型コモンモードチョークコイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるチップ型コモンモードチョークコイルを示す斜視図(a)と、コアの構造を示す斜視図(b)である。
【図2】図1のチップ型コモンモードチョークコイルの説明図である。
【図3】図1のチップ型コモンモードチョークコイルに天板を設けた斜視図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるチップ型コモンモードチョークコイルの変形例を示す説明図である。
【図5】2回路4端子のコモンモードチョークコイルの電気回路図。
【図6】従来の巻線型コモンモードチョークコイルの斜視図である。
【図7】従来の巻線型コモンモードチョークコイルにおいて用いられるコアの構造を示す斜視図である。
【図8】従来の巻線型コモンモードチョークコイルにおいて用いられるコアの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10、20、21 コア
1,2 フランジ
1a、1b、2a、2b 電極
3,4 巻線
6a、6b 凹部
11 巻芯部
Claims (4)
- 巻芯部と、複数の脚状電極部が互いに所定の間隔を置いて形成されたフランジ部と、該巻芯部に巻回され、巻き始め端および巻き終わり端が所定の該脚状電極部に接続された巻線部とからなるチップ型コモンモードチョークコイルにおいて、
該巻芯部の対向する両側面に凹部を設け、該凹部を該巻芯部の巻線軸に対して対称的に一方の前記フランジ部から遠く離したことを特徴とするチップ型コモンモードチョークコイル。 - 前記巻き始め端および巻き終わり端の引き出し部は、接続する前記脚状電極部と前記フランジ部から遠く離れた一方の凹部内側面から引き出し、所定の該脚状電極部に接続することを特徴とする請求項1記載のチップ型コモンモードチョークコイル。
- 前記巻芯部の対向する両側面に設けられた凹部に、前記巻き始め端および巻き終わり端が引き出される凹部内側面に溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のチップ型コモンモードチョークコイル。
- 前記巻き始め端および巻き終わり端の引き出し部は、前記巻芯部の凹部内側面に設けられた前記溝を通して引き出し、所定の前記脚状電極部に接続することを特徴とする請求項3記載のチップ型コモンモードチョークコイル。
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