JP4064009B2 - 線種弁別型放射線検出装置 - Google Patents

線種弁別型放射線検出装置 Download PDF

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    • G01T1/20Measuring radiation intensity with scintillation detectors
    • G01T1/2008Measuring radiation intensity with scintillation detectors using a combination of different types of scintillation detectors, e.g. phoswich

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシンチレーション検出器を用いて放射線計測における種々の混成場における線種弁別を行う技術に係り、特にα線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線またはイオンビームの電荷量や質量数の違いなどの弁別を高効率で行うことができる線種弁別型放射線検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線計測において適用される線種弁別、例えば中性子とγ線との弁別、あるいはα線とβ(γ)線との弁別に対し、シンチレーション検出器を用いた弁別法が広く適用されている。このうち前者、即ち中性子とγ線との弁別については、液体シンチレータを用いる時間弁別方式、別名ゼロクロッシング法と呼ばれる手法が良く用いられる。このゼロクロッシング法は、波形を二度微分すると立ち上がり時間が異なる場合、ゼロクロスする時間に差ができることを利用するものである。
【0003】
また、後者のα線とβ(γ)線との分別については、立ち上がり時間弁別法がしばしば用いられる。この立ち上がり時間の時間弁別法は、1つの信号から遅延させた信号と振幅を減衰させた信号のクロスポイント間の時間が立ち上がり時間に比例した情報として取り出し、これを一旦波高情報に変換するものである。α、βの弁別のために、この立ち上がり時間弁別を用いた方式はホスイッチ検出器として知られている。
【0004】
図22は、このホスイッチ検出器の基本構成を示したものである。
【0005】
この検出器では、光検出部が、粉末状のZnS(Ag)シンチレータ30を、プラスチックシンチレータ31の上に薄く塗布した構成となっており、α線は主にZnS(Ag)シンチレータ30で検出され、β線は主にプラスチックシンチレータ31側で検出されることを利用している。ZnS(Ag)30の発光減衰時間は長く、μsオーダであるのに比べ、プラスチックシンチレータ31の発光減衰時間は、数十nsオーダと速い。発光減衰時間よりも十分長い時定数の積分要素を持つプリアンプを備えた光電子増倍管16でこの信号を受けると、その出力信号の立ち上がり時間には、それぞれのシンチレータの発光減衰時間の情報が含まれる。
【0006】
この信号を高速アンプ32で増幅し、ライズタイムアナライザ33によって立ち上がり時間分析を行う。ライズタイムアナライザ33の出力は、立ち上がり時間に比例した波高を持つパルスであるため、波高分析回路と計数装置、あるいは多重波高分析装置などを用いて測定することで、ホスイッチ検出器におけるZnS(Ag)30の発光か、プラスチックシンチレータ31の発光かを識別することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の線種弁別装置においては、一般的なシンチレーション検出器とは異なる種類の付帯回路が必要であり、装置コストが高くなるという点で問題があった。
【0008】
また、これらの線種弁別手法は、ゼロクロッシング法における微分による信号の減衰、あるいは立ち上がり弁別における故意の信号の減衰など、本質的にS/N比を悪くする要素を含んでおり、このため、放射線の検出に関しては十分な性能が得られないのが実状であった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡素な装置構成で低コスト化が図れるとともに、信号減衰要素のない手法により検出効率の高い放射線の線種弁別および検出が行える線種弁別型放射線検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、放射線照射により発光するシンチレータと、このシンチレータの発光を用いて放射線の線種弁別を行う弁別手段とを備えた線種弁別型放射線検出装置であって、前記シンチレータは、ひとつの放射線入射事象に対応して即時に第1の光パルスを放出し、かつその第1の光パルスから時間遅れを伴う遅発発光として複数個の第2の光パルスを放出し、この第2の光パルスの発生確率あるいは発生頻度が入射放射線のエネルギー、線種、比エネルギー損失により異なるという多重発光特性を有する構成のものであり、前記弁別手段は、第1の光パルスと第2の光パルスの発生確率あるいは頻度を測定することで前記シンチレータに入射した放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の区別を行ないながら放射線の測定を行なう弁別機能を有するものであることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、多重発光の確率、頻度測定は、いずれも信号検出と計数を中心に実現されるものであるため、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点として一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数して、あらかじめ設定しておいた一定計数に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する遅発発光計数手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、放射線入射事象に対して一定個数の多重発光が生じるか否かを計数することにより、入射放射線の線種を二分することができ、簡素な構成により高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点として一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数し、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に第2の光パルスを計数する手段とを備え、これにより第2の光パルスの計数値から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、放射線入射事象に対して何個の多重発光が生じるかを計数することで、入射放射線の線種を識別することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別手段を提供できる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間幅測定手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に多重発光事象がどの程度連続して生じたかを時間幅で入射放射線の線種を二分して判断することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間測定手段と、この時間測定手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別する識別手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に多重発光事象がどの程度連続して生じたかを時間幅をもとに入射放射線の線種を判断することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、光パルスを電気信号に変える際に並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電を行い、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する増幅手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に積分パルス幅が到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に多重発光事象がどの程度連続して生じたかを積分パルスの時間幅で入射放射線の線種を二分して判断することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、光パルスを電気信号に変える際に並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電を行い、その抵抗部および容量部との各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段とを備え、前記パルス幅計測手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に多重発光事象がどの程度連続して生じたかを積分パルスの時間幅を元に入射放射線の線種を判断することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、あらかじめ設定しておいた時間間隔内に複数の第2の光パルスが発生したか否かにより、あるいは時間間隔平均値があらかじめ設定しておいた一定値内か否かにより識別出力情報を変える機能を有する時間間隔測定手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に発生する多重発光事象の時間間隔を測定し、その平均時間間隔で二分して判断することで、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0026】
請求項9の発明は、請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、その第2の光パルスの発生間隔の時間変化のパターンにより入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、放射線入射事象に引き続き、短時間の間に発生する多重発光事象の時間間隔を測定し、その平均時間間隔を元に入射放射線の線種を判断することができ、簡素な構成により、高効率の放射線検出並びに弁別が行える。
【0028】
請求項10の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、第1の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値と、第2の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値とを比較する手段と、第2の光パルスの発光量あるいは前記波高値が、第1の光パルスの発光量あるいは前記波高値より小さい場合に多重発光現象であると識別する手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、放射線の入射事象発生直後に発生する光パルスは、その後遅れて発生する光パルスよりも光量が大きいときのみを有効とすることで、誤認識確率を低減させることができる。
【0030】
請求項11の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光現象の個々の光パルスである第1の光パルスと第2の光パルスとを電気パルスとして出力するパルス出力手段と、出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅して出力する積分パルス出力手段と、積分パルスが一定波高値以上であるときのみ線種弁別機能を有効とする手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、放射線の入射事象発生直後から積分して得られる信号の波高値情報を利用し、一定波高値以上の場合のみを有効とすることで、ノイズやパイルアップパルス等の認識確率を低減させることができる。
【0032】
請求項12の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、光パルスを電気信号に変える際に、光検出器から出力される電流を時間的な応答情報を保存したまま電流あるいは電圧の形で増幅することにより、シンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を用いたことを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、光検出器の応答、発光の状態を直接電気パルスとして観測することができる。
【0034】
請求項13の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、光パルスを電気信号に変える際に出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部と容量部との各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅し、再度微分することによりシンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を備えたことを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、一旦積分したのち、微分する回路を付加することで、信号観測に必要としない周波数帯をカットすることができる。
【0036】
請求項14の発明は、請求項1から13までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、第1の光パルスあるいはこれに相当する積分パルス出力を、放射線の入射検出信号として測定計数率を算出する計数率算出手段と、多重発光現象を検出するために用いるパルス幅または時間幅と弁別結果とを考慮した数え落としを補正し、真の計数率を算出する不感時間補正手段を備えたことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、弁別手段に用いる時間パラメータを用いた数え落とし補正により、より正確な放射線の計数率を求めることができる。
【0038】
請求項15の発明は、請求項14記載の線種弁別型放射線検出装置において、不感時間補正手段により得られた真の計数率値に応じて、第2の光パルスによる多重発光現象を識別する条件を変更する判定条件制御部を備えたことを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、時間および計数パラメータを用いた線種類弁別において、入力計数率の変化に応じた最適な弁別性能を提供できる。
【0040】
請求項16の発明は、請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、そのシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとにα線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線または加速されたイオン粒子間の電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
【0041】
本発明によれば、1つのシンチレータと光検出器ならびに、単純な計数回路のみで線種弁別を実現できる。
【0042】
請求項17の発明は、請求項1から14までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、中性子検出用として高速中性子に対して水素原子を多く含み反跳陽子を発生させる物質、あるいは熱中性子に対して(n,p)、(n,α)反応断面積を有するするLi−6やB−10を含む物質をシンチレータと別個に放射線の入射側に装着したものあるいは粉体状シンチレータとともにこれらの物質を混合したものと、これらシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする。
【0043】
本発明によれば、中性子と反応して荷電粒子を生成する物質を伴なうことで、1つのシンチレータと光検出器ならびに、単純な計数回路のみでn/γ弁別を実現できる。
【0044】
請求項18の発明は、請求項1から16までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、α線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線またはイオンビームの電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えたことを特徴とする。
【0045】
本発明によれば、2層のシンチレータと1つの光検出器という、従来型ホスイッチ検出器と類似した検出器構成であるにもかかわらず、波形弁別回路は不要であり、簡素な計数回路等で線種弁別を実現できる。
【0046】
請求項19の発明は、請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする。
【0047】
本発明によれば、中性子と反応して荷電粒子を生成する物質を伴なったシンチレータを含む2層のシンチレータと1つの光検出器という、従来型ホスイッチ検出器と類似した検出器構成であるにもかかわらず、波形弁別回路は不要であり、簡素な計数回路等で線種弁別を実現できる。
【0048】
請求項20の発明は、請求項1から18までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力として多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から入射放射線の線種を弁別する手段を備えたことを特徴とする。
【0049】
本発明によれば、2層のシンチレータと2つの光検出器、2つの光学フィルタを用いて、波長による識別と多重発光特性による識別を組み合わせ、波形弁別回路は不要で、簡素な計数回路等で線種弁別を実現できる。
【0050】
請求項21の発明は、請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力して多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする。
【0051】
本発明によれば、中性子と反応して荷電粒子を生成する物質を伴なったシンチレータを含む2層のシンチレータと2つの光検出器、2つの光学フィルタを用いて、波長による識別と多重発光特性による識別を組み合わせ、波形弁別回路は不要で、簡素な計数回路等で線種弁別を実現できる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る線種弁別型放射線検出装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0057】
第1実施形態(請求項1,2対応)(図1〜図3)
図1(a)〜(c)は放射線入射事象に対する多重発光特性を説明するための図であり、図2および図3は、図1に示した特性を利用して線種弁別を行う装置のシステム構成を示したものである。
【0058】
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置は基本的に、放射線照射により発光するシンチレータと、このシンチレータの発光に基づいて放射線の線種弁別を行う弁別手段とを備える。シンチレータは、ひとつの放射線入射事象に対応して即時に第1の光パルスを放出し、かつその第1の光パルスから時間遅れを伴う遅発発光として複数個の第2の光パルスを放出し、この第2の光パルスの発生確率あるいは発生頻度が入射放射線のエネルギー、線種、比エネルギー損失により異なるという多重発光特性を有する構成のものである。また、弁別手段は、第1の光パルスと第2の光パルスの発生確率あるいは頻度を測定することでシンチレータに入射した放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失等の区別を行ないながら放射線の測定を行なう弁別機能を有するものである。
【0059】
多重発光特性を示すシンチレータの具体例としては、GdS(以下、GOSと記す)、YS(以下、YOSと記す)を母材とするシンチレータが挙げられる。この中で、特にユーロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)で活性化したYOS:Eu、GOS:Eu、YOS:Tb、GOS:Tbが顕著な多重発光特性を示す。
【0060】
図1(a)〜(c)はいずれもYOS:Euの例を示し、(a)〜(c)の各上段に示した波形は、光電子増倍管の電流出力を積分することなく、高速アンプで電圧パルスに変換した後、波高弁別装置でノイズレベルと識別して信号検出を行ったあとの論理信号101を示す。また、同図(a)〜(c)の各下段の波形は、光電子増倍管出力を約50μsの時定数を持つ積分回路を通して増幅した波形である。
【0061】
詳述すると、図1(a)は、YOS:Euを光電子増倍管の光電面に装着してAm−241からのα線を照射した場合を示し、図1(b)はSr−90からのβ線を照射したときの応答を示している。この図1(a)では、明らかに放射線の入射事象に遅延して多くの発光現象が観測される。時間的に遅れて多数発光するパルスの波高値自体は減少傾向にあるため、積分波形もそれに応じて減衰している。ちなみに、この場合の積分回路の時定数は50μsであるが、多重発光現象を積分したことから、50μsよりはるかに長い時定数で減衰していることがわかる。
【0062】
一方、図1(b)のβ線照射の場合は、単一パルスのみが観測されている。図1(c)も同様にβ線照射の例である。この例に示すように、発生頻度は少ないものの、まれに多重発光が観測される場合があるが、その遅延して発生するパルス数はα線によるものと比べてあきらかに少ない。なお、γ線照射による応答波形は、β線照射によるものと差異がないため、図示を省略した。
【0063】
このように、YOS:Eu、GOS:Eu、YOS:Tb、GOS:Tb等はα線とβ(γ)線照射において著しく応答が異なり、特にα線照射した場合には、放射線入射事象に引き続き遅延して多くのパルスが発生するという、多重発光現象が生じる。このため、α線とβ(γ)線の応答波形の顕著な違いを利用して、入射した放射線の線種弁別を行うことが可能である。
【0064】
図2は、図1に示したα線とβ線との弁別を想定し、一定時間内の多重発光計数値を計数する手段を示している。この図2に示すように、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点として一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段としての時間幅発生器1と、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数するための計数装置2と、あらかじめ設定しておいた一定計数に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する遅発発光計数手段としての計数値弁別装置3とを備える。
【0065】
時間幅発生器1には、光検出器A(例えば光電子増倍管)の出力信号を増幅して信号検出を行った後の放射線の到来を示す論理信号101が入力される。この論理信号101は同様に、計数装置2にも分岐して入力される。時間幅発生器1は一回の論理信号入力によりトリガされ、一定時間幅のパルス信号102を発生させる電子装置であり、一定時間幅のパルスの出力中には次のトリガ信号が入力されても無視するようになっている。一般的には、リトリガされないシングルショットパルス発生装置と言いかえることができる。計数装置2には時間幅発生器1から発生したパルス信号102が入力され、このパルス信号102が入力されている間のみ計数機能が有効になるものである。
【0066】
従って、本実施形態によれば、最初のパルスの到来により時間幅発生器1がゲートを開き、その後一定時間の間、引き続き到来する多重発光パルスを計数装置2で計数するものである。計数装置2は時間幅発生器1の出力パルスをゲートとして制御されるが、一回のゲート区間終了とともに初期状態にリセットされる。計数装置2がリセット直前までに計数した結果は、計数信号103として計数値弁別装置3に出力される。
【0067】
計数弁別装置3では、多重発光による計数値のしきい値判断を行い、一定以上の計数値があった場合は、到来した放射線線種がα線であるか、あるいはそうでない、つまりβ(γ)線であったかの2値の仕分け信号104を出力する。放射線の到来を示す時間幅発生器1の出力パルス信号102と、計数値弁別装置3の出力である仕分け信号104の両方を加味することにより、α線、β(γ)線それぞれを識別した計数情報を得ることができる。
【0068】
図3は、図2の構成をより詳細に示した図である。
【0069】
詳述すると、図3において、負論理INPUT端子Bには図2の場合と同様に、放射線の入射事象を示す論理信号である。この図3の装置では、図2の時間幅発生器1に相当するものとして、第1ゲート5とシングルショット4とが設けられ、これらの部分により、リトリガされない時間幅発生部が構成される。
【0070】
時間幅は図示しないがシングルショット4の外付け部品で任意に設定することができる。論理信号(負論理INPUT信号)101は第2ゲート6にも入力される。第1シングルショット4の出力でゲート化され、シングルショット4の出力がなされている間のみ、不論理INPUT信号101が第2ゲート6を通過することができる。この第2ゲート6を通過した信号は、プリセットダウンカウンタ7に入力される。
【0071】
一方、シングルショット4側には第1,第2初期化回路8,19が設けられている。そして、第1初期化回路8により電源ON時に発生する初期化信号102aと、第2初期化回路9によりシングルショット4の出力が終った直後に出力される初期化信号102bのいずれかが、第3ゲート10を介してプリセットダウンカウンタ7に入力される。
【0072】
プリセットダウンカウンタ7は、この初期化信号により出力をプリセット値に戻し、CKに入力される信号によりダウンカウントする。ゼロに達したときに負論理の信号ZEROが出力されるため、インバータ11を通すことで正論理の信号が得られる。
【0073】
シングルショット4の時間幅以内にゼロに到達しない場合は、ZEROが出力されずにプリセットダウンカウンタ7は初期化される。したがって、例えばシングルショット4の出力端子Qの出力パルスを計数した場合、全放射線入射事象数が得られ、インバータ11の出力を計数した場合には、特に多重発光現象を発生する線種、即ちこの場合α線の計数値が得られる。
【0074】
全計数値からこのα線計数を差し引くことで、残るα線以外のβ(γ)線の計数も得ることができる。
【0075】
第2実施形態(請求項3対応)(図4)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置は、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数し、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に第2の光パルスを計数する手段を備える。即ち、第1実施形態と異なり、計数した結果を2値に振り分けずに、アナログ情報として扱う方法を適用する。
【0076】
図4は、α線とβ線の弁別を想定し、一定時間内の多重発光計数値を計数する手段の実施形態を示している。
【0077】
この図4に示すように、本実施形態では、論理信号101が入力される時間幅発生器1および計数装置2については第1実施形態と同様であるが、図2に示した計数値弁別装置3に代え、多重計数弁別装置12を接続してある。図2に示した計数弁別装置3では、測定された計数値が一定のしきい値以上か否かを判定して、その2値への振り分け情報を出力するものであった。
【0078】
これに対し、図3に示した多重計数弁別装置12は、1事象あたりの計数値と、その事象の発生頻度の二次元ヒストグラムデータを作成するために必要な情報を提供するものである。例えば、多重計数弁別装置12の計数値自体を二進表現して、これをメモリのアドレス信号とし、事象が1つ生じるたびに当該アドレスの内容を+1するという動作を行うことで、このヒストグラムを作成することができる。
【0079】
多重発光の発生時間や頻度等は、荷電粒子の質量やエネルギーに依存していると考えられる。このため、単一エネルギーのα線だけでなく、様々な質量やエネルギーの異なる荷電粒子、加速イオンなどを測定対象とする場合、このヒストグラムデータから入射粒子の識別を行うことができる。
【0080】
第3実施形態(請求項4対応)(図5)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間幅測定手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものである。
【0081】
図5は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光が生じた時間幅を測定する手段の実施形態を示している。
【0082】
本実施形態では多重時間幅発生装置13を備え、この多重時間幅発生装置13には放射線の到来を示す論理信号101が入力される。この多重時間幅発生装置13はトリガ入力により一定時間幅のパルスを出力するが、出力中に次ぎのトリガが入力されるとさらに、そのトリガ入力を時間の起点として一定パルス幅の信号を出力するというものであり、一般的なリトリガブルなシングルショット発生装置である。
【0083】
多重時間幅発生装置13のパルス幅は、平均的な多重発光間隔から求めたあるパルス幅で決めておく。一例として、時間間隔の平均値に標準偏差の3倍を加えた時間幅に設定した場合、99%以上の多重発光パルスにより連続してトリガされ、出力パルスは多重に時間延長されることで、あらかじめ設定したパルス幅よりも長いパルス幅信号として出力される。
【0084】
この多重時間幅発生装置13の出力をパルス幅弁別装置14に入力し、ここでそのパルス幅を一定のしきい値と比較し、しきい値以上か否かを2値に識別して出力する。これにより、α線、β(γ)線それぞれを識別した計数情報を得ることができる。
【0085】
第4実施形態(請求項5対応)(図6)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間測定手段と、この時間測定手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失等の情報を識別する識別手段とを備えている。即ち、第4実施形態と異なり、計数した結果を2値に振り分けずに、アナログ情報として扱う方法を適用する。
【0086】
図6は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光が生じた時間幅を測定する手段の実施形態を示している。
【0087】
この図6に示すように、本実施形態では、図5に示したパルス幅弁別装置14に代え、多重パルス幅弁別装置15を接続してある。多重パルス幅弁別装置15は、1事象あたりのパルス幅と、その事象の発生頻度の二次元ヒストグラムデータを作成するために必要な情報を提供するものである。
【0088】
例えば、多重パルス幅弁別装置12の時間計測手法として、タイム−ディジタルコンバータ等で使われている手法が適用可能である。即ち、パルスが出力されている間、一定周波数の高速クロックパルスを計数して、その得られたクロック計数値自体を二進表現して、これをメモリのアドレス信号とし、事象が1つ生じるたびに当該アドレスの内容を+1するという動作を行うことで、このヒストグラムを作成することができる。
【0089】
多重発光の発生時間や頻度等は荷電粒子の質量やエネルギーに依存していると考えられる。このため、単一エネルギーのα線だけでなく、様々な質量やエネルギーの異なる荷電粒子、加速イオンなどを測定対象とする場合、このヒストグラムデータから入射粒子の識別を行うことができる。
【0090】
第5実施形態(請求項6対応)(図7)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、光パルスを電気信号に変える際に並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電を行い、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する増幅手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に積分パルス幅が到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものである。
【0091】
図7は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光が生じた時間幅を積分パルスのパルス幅で測定する手段の実施形態を示している。
【0092】
光電子増倍管16の出力(陽極)は入力端子に抵抗とコンデンサで形成される積分フィルタを伴なったプリアンプ17に入力される。プリアンプ17の出力は、先に示した図1(a)〜(c)の各図中下段のようなパルス波形が観測される。多重発光が生じない場合には、図1(b)下段の波形のように、抵抗とコンデンサで決る時定数で減衰する指数関数波形を示し、多重発光が生じる場合には図1(a)下段に示すように、多重発光が続いている時間に応じた長い減衰時間の積分パルス波形が観測される。
【0093】
この積分パルスを電圧比較装置18に入力し、電圧レベルが一定のしきい電圧以上である場合、そのことを示す信号を出力しつづける。従って、この電圧比較装置18の出力パルスは、多重発光が生じない場合は比較的短いパルス幅となり、多重発光が続けばそれに応じてパルス幅が長くなるという応答をする。このパルス幅を前述のパルス幅弁別装置14に入力して2値に振り分け、しきい値以上か否かでα線、β(γ)線それぞれを識別した計数情報を得ることができる。
【0094】
第6実施形態(請求項7対応)(図8)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、光パルスを電気信号に変える際に光検出器から出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電を行い、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段とを備え、パルス幅計測手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失等の情報を識別するものである。即ち、第5実施形態と異なり、計数した結果を2値に振り分けずに、アナログ情報として扱う方法を適用する。
【0095】
図8は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光が生じた時間幅を積分パルスのパルス幅で測定する手段の実施形態を示している。
【0096】
本実施形態では、図7に示したパルス幅弁別装置14に代え、多重パルス幅弁別装置15を接続してある。多重パルス幅弁別装置15は、1事象あたりのパルス幅と、その事象の発生頻度の二次元ヒストグラムデータを作成するために必要な情報を提供するものであるが、図6に示したものと略同様であるから、説明を省略する。
【0097】
多重発光の発生時間や頻度等は荷電粒子の質量やエネルギーに依存していると考えられる。このため、単一エネルギーのα線だけでなく、様々な質量やエネルギーの異なる荷電粒子、加速イオンなどを測定対象とする場合、このヒストグラムデータから入射粒子の識別を行うことができる。
【0098】
第7実施形態(請求項8対応)(図9)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、あらかじめ設定しておいた時間間隔内に複数の第2の光パルスが発生したか否かにより、あるいは時間間隔平均値があらかじめ設定しておいた一定値内か否かにより識別出力情報を変える機能を有する時間間隔測定手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものである。
【0099】
図9は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光の発生の有無をパルスの時間間隔で測定する手段の実施形態を示している。
【0100】
時間幅発生器1には、放射線の到来を示す論理信号が入力されるものとする。この論理信号は同様に時間間隔弁別装置19にも分岐して入力されている。時間幅発生器1は、前述のようにリトリガしないシングルショットパルス発生装置として機能する。時間間隔弁別装置19には時間幅発生器1の出力パルスが入力されており、このパルスが入力されている間のみ時間間隔の測定と弁別機能が有効になるものである。
【0101】
時間間隔弁別装置10では、入力されるトリガの時間間隔を測定して、その時間間隔平均値がしきい値以下か否かの2値に振り分ける。複数個のパルスが入力されず、時間間隔が測定できないときは、時間間隔値を無限大として扱うものとする。これにより、しきい値以下か否かでα線、β(γ)線それぞれを識別した計数情報を得ることができる。
【0102】
第8実施形態(請求項9対応)(図10)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、弁別手段が、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、その第2の光パルスの発生間隔の時間変化のパターンにより入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失等の情報を識別するものである。即ち、第7実施形態と異なり、計数した結果を2値に振り分けずに、アナログ情報として扱う方法を適用する。
【0103】
図10は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光の発生の有無をパルスの時間間隔で測定する手段の実施形態を示している。
【0104】
本実施形態では、図9に示した時間間隔弁別装置19に代え、多重時間間隔弁別装置20を接続してある。多重時間間隔弁別装置15は、1事象あたりの平均パルス間隔と、その事象のヒストグラムを作成するものである。
【0105】
多重発光の発生時間や頻度等は荷電粒子の質量やエネルギーに依存していると考えられる。このため、単一エネルギーのα線だけでなく、様々な質量やエネルギーの異なる荷電粒子、加速イオンなどを測定対象とする場合、このヒストグラムデータから入射粒子の識別を行うことができる。
【0106】
第9実施形態(請求項10対応)(図11,図12)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、第1の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値と、第2の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値とを比較する手段と、第2の光パルスの発光量あるいは波高値が、第1の光パルスの発光量あるいは波高値より小さい場合に多重発光現象であると識別する手段とを備えている。
【0107】
本実施形態では、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光の発生の検知の際に波高情報を利用して誤認識を防止する手段を示している。
【0108】
図11は、YOS:EuシンチレータにAm−241のα線を照射したときに生じる多重発光の様子を示している。即ち、光電子増倍管の陽極出力を積分せず、高速アンプで増幅して観測したものである。
【0109】
この図11では、放射線の1入射事象に対応した多重パルスの発生状況を示している。最初のパルス波高値が最も大きいことが、この図11から判明する。即ち、統計的な揺らぎがあるものの、明らかに、遅延して後続する多重発光パルスは最初の入射事象直後のパルスよりも波高値が小さい。この性質を利用して、放射線の入射事象と多重発光の誤計数を防止することができる。
【0110】
図12は、本実施形態による構成を示したものである。
【0111】
放射線の入射事象を示す論理信号は、前述の時間幅発生器1あるいは多重時間幅発生装置13に入力されるとともに、波高比較選別装置21に出力される。この波高比較選別装置21では最初の入力パルス、即ち、cのトリガとして有効となった信号の波高値レベルを記憶する。それに続く多重パルスが入力された場合、この一次記憶された波高値を基準レベルとして、そのレベル以下なら有効な信号として他の処理の続行を許可する。また、そのレベルを超える場合には、新たな放射線入射事象を表わす信号であるとして、時間幅発生器1あるいは多重時間幅発生装置13および他の系に対してReset信号を発生し、当該サイクルにより得られた結果を無効とする処理を行う。
【0112】
これにより、識別動作自体の誤認識の確率を低減、抑制することができる。
【0113】
第10実施形態(請求項11対応)(図13)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、多重発光現象の個々の光パルスである第1の光パルスと第2の光パルスとを電気パルスとして出力するパルス出力手段と、出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部および容量部との各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅して出力する積分パルス出力手段と、積分パルスが一定波高値以上であるときのみ線種弁別機能を有効とする手段とを備えている。
【0114】
図13は、α線とβ線の弁別を想定し、多重発光の発生の検知の際に積分パルスの波高情報を利用して誤認識を防止する手段を示している。
【0115】
本実施形態では、光電子増倍管16の出力を積分せず、高速なアンプ17で増幅し、その出力をスイッチ装置22に入力する。また、このアンプ17の出力を分岐して、積分素子を伴なったアンプ17に入力して積分パルスを得る。この積分パルス信号を電圧比較装置18に入力し、一定電圧レベル以上である場合のみスイッチ22を閉とする信号を出力する。
【0116】
スイッチ22は内部的に遅延機能を有する。この遅延時間は、積分波形の生成と電圧比較動作を行うために生じる内部伝播時間に相当したものである。α線とβ線を測定対象とした場合、α線のエネルギーは相対的に高い場合が通常であり、しかもエネルギーの付与率が高く得られる信号レベルも大きい。
【0117】
このため、積分パルスとして十分な波高値が得られたかどうかを一次判断することで、α線である可能性の高いものを選択し、その情報でスイッチ22を駆動することで、スイッチ22に後続して接続される線種識別装置における誤誤認識の確率を低減、抑制することができる。
【0118】
第11実施形態(請求項12対応)(図14)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、光パルスを電気信号に変える際に、光検出器から出力される電流を時間的な応答情報を保存したまま、電流あるいは電圧の形で増幅することによりシンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を用いている。
【0119】
図14は、本発明の第11実施形態を示している。
【0120】
この図14に示すように、本実施形態では、光電子増倍管16の陽極出力が抵抗のみを負荷として、アンプ17に接続される。抵抗値を50Ωとして、ゲインを200倍程度、帯域幅100MHz以上程度のアンプを用い、この出力を波高弁別器や電圧比較装置でノイズと信号とを識別し、論理信号に変換する。
【0121】
この論理信号を本発明における放射線入射事象を示す論理信号および、個々の多重発光現象のパルスの到来を表わす信号として使用することができる。
【0122】
第12実施形態(請求項13対応)(図15)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、光パルスを電気信号に変える際に出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部と容量部との各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅し、再度微分することによりシンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を備えている。
【0123】
図15は、本発明の第12実施形態を示している。
【0124】
この図15に示すように、本実施形態によれば、光電子増倍管16の陽極出力は抵抗とコンデンサを負荷とした積分型のアンプ17に接続される。この出力を微分フィルタ付きの高速アンプ23に接続することで、図14に示したアンプ17の出力と同等の信号を得ることができる。
【0125】
この場合、積分、微分フィルタの時定数を任意に選択することができるため、フォトマルの暗電流ノイズやアンプ17で発生するノイズ等の低減を加味した処理を行うこともできる。
【0126】
高速アンプ23の信号を波高弁別器や電圧比較装置でノイズと信号とを識別し、論理信号に変換すれば、本発明における放射線入射事象を示す論理信号、および個々の多重発光現象のパルスの到来を表わす信号として使用することができる。
【0127】
また、図13に示したような、積分パルスを併用した誤認識防止手段を付加する場合には、本実施形態の方式によるアンプ17の出力と、高速アンプ23の出力の両方を効率的に利用することができる。
【0128】
第13実施形態(請求項14対応)(図16)
本実施形態は、第1実施形態の構成に、補正手段を付加したものである。即ち、第1の光パルスあるいはこれに相当する積分パルス出力を、放射線の入射検出信号として測定計数率を算出する計数率算出手段と、多重発光現象を検出するために用いるパルス幅または時間幅と弁別結果とを考慮した数え落としを補正し、真の計数率を算出する不感時間補正手段を備えている。
【0129】
図16は、線種弁別を行いつつ、しかも不感時間による数え落としを補正して真の計数率を求める実施形態を示している。
【0130】
なお、時間幅発生器1、計数装置2、計数値弁別装置3についての機能、作用については、図2に示したものと同様であるため、説明を省略する。
【0131】
本実施形態では、計数値弁別装置3の出力と時間幅発生器1の出力が不感時間補正装置24に入力されている。不感時間補正装置24から計数値弁別装置3に信号が点線で接続されているが、本実施例では使用しない。
【0132】
一般的な非まひ型の不感時間補正は、真の計数率をR、測定計数率をmとすると次のように表わされる。
【0133】
【数1】
Figure 0004064009
【0134】
本実施形態における不感時間の補正においては、時間幅発生器1の出力は放射線入射事象毎に出力されるが、α線検出とそれ以外のβ(γ)線検出情報に振り分けられる。このため、いずれかの線種の測定計数率だけでは補正ができない。そこで、不感時間補正装置24の本実施例における処理内容は以下のようになる。
【0135】
即ち、時間幅発生器1の出力パルスの測定計数率G、計数弁別装置3において多重発光が生じ、ある一定のしきい値を超えた場合に出力される信号の計数率、即ちα線の計数率をAとする。
【0136】
測定で得られたα線の計数率Aから真のα線の計数率Raを求める場合は、下記の式による。
【0137】
【数2】
Figure 0004064009
【0138】
α線以外、即ちβ(γ)線の真の計数率は、
【数3】
Figure 0004064009
で求められる。
【0139】
この補正演算を、リアルタイムあるいは計数積算した後に行うことで、個々の線種についての真の計数率を求めることができる。
【0140】
第14実施形態(請求項15対応)(図16)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、不感時間補正手段により得られた真の計数率値に応じて、第2の光パルスによる多重発光現象を識別する条件を変更する判定条件制御部を備えている。
【0141】
図16は、ダブルパルス補正についての実施形態を示している。
【0142】
この図16に示すように、不感時間補正装置24から計数値弁別装置3に信号が破線で示す如く接続されている。本実施形態では、この信号を有効とする。多重発光パルスの放射線の入力計数率の上昇により、一定時間幅に到来した真の放射線入射事象を多重発光パルスとして誤認する確率を低減、抑制するものである。
【0143】
入力計数率が上昇すると、時間幅発生器1が作り出すゲート時間幅に複数個の放射線入射事象が発生する確率が上昇する。
【0144】
入射計数率の逆数、つまり平均時間間隔がこのゲート時間幅よりも長い場合には、最も着目しておくべき事象は、ゲート時間幅T内に2個の事象が発生する確率である。
【0145】
この確率は、放射線の到来がポアソン分布であると仮定すると、
【数4】
Figure 0004064009
であるため、N=2とおくと、
【数5】
Figure 0004064009
と計算することができる。
【0146】
rとして真の計数率、ゲート時間幅TをK等分した時間t、1個の放射線入射事象に対して続くt時間に生じる多重発光パルス数をMとすると、時間tあたりに新たな放射線入射事象により発生する可能性のあるパルス数Eは、
【数6】
Figure 0004064009
となる。
【0147】
したがって、ゲート時間幅中にはE・Kなる成分が平均的に混入することになる。このため、この演算結果を計数値弁別装置3にフィードバックし、計数弁別のしきい値からE・Kを減算した値を、当該測定状態での新たなしきい値として設定し直すことで、多重発光の計数値による線種弁別における誤認率を低減、抑制することができる。
【0148】
第15実施形態(請求項16対応)(図17)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、そのシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとにα線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線または加速されたイオン粒子間の電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えている。
【0149】
図17は、α線とβ線の弁別を前提とした多重発光特性を有するシンチレータにより構成されるシンチレータ1層からなる線種弁別装置の構成例を示している。
【0150】
多重発光シンチレータ26としては前述のように、YOS:Eu、GOS:Eu、YOS:Tb、GOS:Tbなどが使用できる。この光を光電子増倍管16で受けて、積分要素のない、抵抗負荷としたアンプ17で構成されるプリアンプを通して出力する。
【0151】
もちろん、アンプ17を単独で用いるかわりに先の図15に示した回路を用いることもできる。
【0152】
単一のシンチレータ、単一の光電子増倍管のみを用いて、この出力を図2〜図16に示したような弁別装置に送り込むことで、α線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線や加速されたイオン粒子間の電荷量と質量数の違いなどの線種を弁別することができる。
【0153】
第16実施形態(請求項17対応)(図18)
本実施形態は、第15実施形態を、さらに中性子とγ線の弁別に適用するようにしたもので、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、中性子検出用として高速中性子に対して水素原子を多く含み反跳陽子を発生させる物質、あるいは熱中性子に対して(n,p)、(n,α)反応断面積を有するするLi−6やB−10を含む物質をシンチレータと別個に放射線の入射側に装着したものあるいは粉体状シンチレータとともにこれらの物質を混合したものと、これらシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えている。
【0154】
図18(a),(b)は、本実施形態で適用するシンチレータの構成を示している。なお、前述の多重発光特性を有するYOSやGOSは粉末状であり、そのまま、あるいは圧延、あるいは焼結して使用することができる。
【0155】
本実施形態では、図18(a)に示すように、B−10やLi−6など中性子と反応してα線や陽子を放出する物質を含有するもの、あるいは反跳陽子を放出するようなものなどを総称する荷電粒子生成物質27と混合して用いることができる。
【0156】
また、図18(b)に示すように、多重発光シンチレータ26とは別箇に荷電粒子生成物質27を別箇に用意して合わせて用いることができる。この場合、当然のことながら、荷電粒子生成物質27の厚さは、放出されるα線や陽子が外部に出てくることが可能な厚さを飛程から求めた上で、製造しておく必要がある。
【0157】
この処置を施したシンチレータを、図17に示した多重発光シンチレータ26と置き換えることで、γ線バックグラウンド下での中性子弁別測定が可能となる。
【0158】
第17実施形態(請求項18対応)(図19)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置においては、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、α線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線またはイオンビームの電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えている。
【0159】
図19は、α線とβ線の弁別を前提とした多重発光特性を有するシンチレータと、多重発光特性を示さないシンチレータによる2層式の線種弁別装置の構成例を示している。
【0160】
放射線の入射面側からみて、第1層目は多重発光シンチレータ26、第2層目は非多重発光シンチレータ28で構成し、光電子増倍管16に接続する。光電子増倍管の出力は先の図17と同様のアンプ17に接続される。多重発光を生じるのはα線照射であるため、多重発光シンチレータ26は第1層目に配置している。
【0161】
なお、アンプ17を単独で用いるかわりに先の図15に示した回路を用いることもできる。
【0162】
1層目はα線検出に特化させ、α線のエネルギーを吸収するために必要な最低厚さにし、β線の検出は、2層目のシンチレータで行うように設計したものである。2層目のシンチレータとしては一般的なシンチレータ等を用いることができる。γ感度等を低く抑える必要がある場合には、薄いプラスチックシンチレータなどが適当である。
【0163】
この実施形態のアンプ17の出力を、図2〜図16に示したような弁別装置に送り込むことで、α線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線や加速されたイオン粒子間の電荷量と質量数の違いなどの線種を弁別することができる。
【0164】
第18実施形態(請求項19対応)(図19)
本実施形態は、図19に示した実施形態を更に中性子とγ線の弁別に適用するため、多重発光シンチレータ26に変えて、図18(a),(b)で示した荷電粒子生成物質27を伴なった多重発光シンチレータを用いる。
【0165】
即ち、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えている。
【0166】
このような構成により、γ線バックグラウンド下での中性子弁別測定が可能となる。
【0167】
第19実施形態(請求項20対応)(図20)
本実施形態の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着している。そして、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力として多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から入射放射線の線種を弁別する手段を備えている。即ち、本実施形態は、第17実施形態に加え、さらに波長による線種弁別手段を付加したものである。
【0168】
図20は、このような本実施形態の構成を示している。
【0169】
なお、多重発光シンチレータ26を第1層とし、2層目には非多重発光シンチレータ28を配置する。今、α線とβ線の弁別を前提とする。非多重発光シンチレータ28の放射線入射面と反対側に、波長弁別フィルタ29を装着した光電子増倍管16が2本配置されている。この波長弁別フィルタ29は必ずしも非多重発光シンチレータ28と光学的に密着しているとは限らない。
【0170】
この場合、多重発光シンチレータ26としてYOS:Eu、あるいはGOS:Euを用いると線幅の極めて細い赤色発光のシンチレーション光が得られる。また、非多重発光シンチレータ28としてプラスチックシンチレータを用いると、一般的には青色発光のシンチレーション光が得られる。
【0171】
このため、多重発光シンチレータ26の発光を捉える系統の波長弁別フィルタ29には赤色帯のみを透過させるもの、非多重発光シンチレータ28の発光を捉える系統の波長弁別フィルタ29には青色帯のみを透過させるものを使用する。それぞれの光電子増倍管16の陽極出力は、一例として抵抗負荷のアンプ17を介して出力される。即ち、本実施形態では、第1実施形態における図2の弁別装置に接続されている例を示している。
【0172】
このような本実施形態の構成によれば、一次選別として、まず発光波長による選別が行われる。第1層の多重発光シンチレータ26は薄くすることでβ(γ)感度を低くすることができるが、それでも完全にゼロにはならない。しかしながら、本実施形態に示すような多重発光検出手段による線種弁別を付加することで、さらに1層目に混入したβ(γ)線成分を弁別、排除することができる。
【0173】
また、本実施形態では、非多重発光シンチレータ28の信号処理系にも、多重発光検出による線種弁別回路を設けているが、これは、光学的な漏れに対する対策である。即ち、多重発光シンチレータ26で発生した多重発光パルスの一部の光が、波長弁別フィルタ29で完全に吸収されないで、非多重発光シンチレータ28の測定系に混入する場合を想定している。
【0174】
以上の本実施形態によれば、波長弁別と多重発光弁別の2重の弁別手段により、α線とβ(γ)線の混入度の極めて小さい弁別測定を実現することができる。
【0175】
第20実施形態(請求項21対応)(図20)
本実施例は、第19実施形態における機能、作用、効果を、中性子とγ線の弁別に適用可能とするものである。即ち、線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力して多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えている。
【0176】
この場合、図20の多重発光シンチレータ26に代え、図18に示した荷電粒子生成物質27を伴なった多重発光シンチレータ26を用いている。
【0177】
以上の構成によれば、波長弁別と多重発光弁別の2重の弁別手段により、中性子と荷電粒子生成物質27との反応により発生するα線あるいは陽子と、バックグラウンドとなるγ線との間で、混入度の極めて小さい弁別測定を実現することができる。
【0178】
第21実施形態(図21)
本実施形態は、図20に示した非多重発光シンチレータ28に代え、多重発光シンチレータ26を用いたものである。
【0179】
図21は、本実施形態の構成を示している。
【0180】
この図21に示すように、2層目の多重発光検出は、1層目の漏洩光混入の影響を低減するためではなく、1層目でα線が止まない場合の検出が行えるようになっている。本実施形態の構成によれば、漏洩光の影響の低減に加え、第1層目でα線が止まらずに、第2層目に侵入して反応してしまった場合にも、それを検出、弁別できるようになる。
【0181】
第22実施形態(図21)
本実施形態では、図21に示した1層目の多重発光シンチレータ26に代え、図18に示した荷電粒子生成物質27を伴なった多重発光シンチレータ26を用いるものである。
【0182】
このような構成の本実施形態によれば、中性子とγ線の弁別において、1層目で中性子と反応の結果生じた荷電粒子の多重発光による2層目への漏洩光混入の影響低減に加え、第1層目で荷電粒子が止まらずに、第2層目に侵入して反応してしまった場合にもそれを検出、弁別できるようになる。
【0183】
【発明の効果】
以上で詳述したように、本発明に係る線種弁別型放射線検出装置によれば、下記の効果が奏される。
【0184】
請求項1〜8記載の発明によれば、多重発光特性を利用した線種弁別手段を提供する基本的な手法により、簡素なパルス計数あるいは時間計測だけで、S/N比を劣化させる要素なく、弁別測定を実現することができる。
【0185】
請求項10〜11記載の発明によれば、弁別測定における誤認識確率の低減、抑制が可能となり、さらに精度の高い弁別測定を実現することができる。
【0186】
請求項12〜20記載の発明によれば、実際の測定体系を構成する場合に、簡素なパルス計数あるいは時間計測だけを用いて、S/N比を劣化させる要素なく弁別測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は本発明の第1実施形態を説明するもので、多重発光特性を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態を説明するもので、計数による識別構成を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態を説明するもので、計数による識別構成を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態を説明するもので、計数による識別構成を示す図。
【図5】本発明の第3実施形態を説明するもので、リトリガしたパルス幅による識別構成を示す図。
【図6】本発明の第4実施形態を説明するもので、リトリガしたパルス幅による識別構成を示す図。
【図7】本発明の第5実施形態を説明するもので、積分パルスのパルス幅による識別構成を示す図。
【図8】本発明の第6実施形態を説明するもので、積分パルスのパルス幅による識別構成を示す図。
【図9】本発明の第7実施形態を説明するもので、時間間隔による識別構成を示す図。
【図10】本発明の第8実施形態を説明するもので、時間間隔による識別構成を示す図。
【図11】本発明の第9実施形態を説明するもので、多重発光の波高値特性を示す図。
【図12】同実施形態における波高値による誤認防止手段を示す図。
【図13】本発明の第10実施形態を説明するもので、積分波高値による誤認防止手段を示す図。
【図14】本発明の第11実施形態を説明するもので、高速電流−電圧変換型出力手段を示す図。
【図15】本発明の第12実施形態を説明するもので、積分−微分型出力手段を示す図。
【図16】本発明の第13および第14実施形態を説明するもので、計数率追従型誤認防止手段を示す図。
【図17】本発明の第15実施形態を説明するもので、1層型検出器を示す図。
【図18】(a),(b)は本発明の第16実施形態を説明するもので、中性子対応のシンチレータを示す図。
【図19】本発明の第17実施形態を説明するもので、2層型検出器を示す図。
【図20】本発明の第18実施形態を説明するもので、2層型波長弁別併用型構成を示す図。
【図21】本発明の第19実施形態を説明するもので、2層型波長弁別併用型構成を示す図。
【図22】従来の装置を示す図。
【符号の説明】
1 時間幅発生器
2 計数装置
3 計数値弁別装置
4 第1シングルショット
5 第1ゲート
6 第2ゲート
7 プリセットダウンカウンタ
8 第1初期化回路
9 第2初期化回路
10 第3ゲート
11 インバータ
12 多重計数値弁別装置
13 多重時間幅発生装置
14 パルス幅弁別装置
15 多重パルス幅弁別装置
16 光電子増倍管
17 アンプ
18 電圧比較装置
19 時間間隔弁別装置
20 多重時間間隔弁別装置
21 波高比較選別装置
22 スイッチ装置

Claims (21)

  1. 放射線照射により発光するシンチレータと、このシンチレータの発光を用いて放射線の線種弁別を行う弁別手段とを備えた線種弁別型放射線検出装置であって、前記シンチレータは、ひとつの放射線入射事象に対応して即時に第1の光パルスを放出し、かつその第1の光パルスから時間遅れを伴う遅発発光として複数個の第2の光パルスを放出し、この第2の光パルスの発生確率あるいは発生頻度が入射放射線のエネルギー、線種、比エネルギー損失により異なるという多重発光特性を有する構成のものであり、前記弁別手段は、第1の光パルスと第2の光パルスの発生確率あるいは頻度を測定することで前記シンチレータに入射した放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の区別を行ないながら放射線の測定を行なう弁別機能を有するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  2. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点として一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数して、あらかじめ設定しておいた一定計数に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する遅発発光計数手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  3. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点として一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に発生する第2の光パルスを計数し、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に第2の光パルスを計数する手段とを備え、これにより第2の光パルスの計数値から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  4. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間幅測定手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  5. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスおよび第2の光パルスをトリガとするとともに、パルス出力中でも再トリガを可能とした一定時間幅のパルス発生手段と、このパルス発生手段から出力された光パルスのパルス幅を測定する時間測定手段と、この時間測定手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別する識別手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  6. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、光パルスを電気信号に変える際に光検出器から出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電を行い、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する増幅手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段と、あらかじめ設定しておいた一定時間幅に積分パルス幅が到達した場合と到達しない場合とで識別出力情報を変える機能を有する時間幅比較手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  7. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、光パルスを電気信号に変える際に並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電しその抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅する手段と、その積分波形波高値が一定値以上の値を示す時間を検査する積分パルス幅計測手段とを備え、前記パルス幅計測手段で得られたパルス幅から入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  8. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、あらかじめ設定しておいた時間間隔内に複数の第2の光パルスが発生したか否かにより、あるいは時間間隔平均値があらかじめ設定しておいた一定値内か否かにより識別出力情報を変える機能を有する時間間隔測定手段とを備え、これにより入射放射線を2種類に区分するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  9. 請求項1記載の線種弁別型放射線検出装置において、弁別手段は、第1の光パルスの発生を起点とする一定時間幅の計数有効区間を設ける機能を有する時間ゲート発生手段と、時間ゲート内を更に等間隔の時間幅に分割して、各分割時間幅毎に時間ゲート内に生じる時間ゲート開始時刻を含む複数の第2の光パルスの時間間隔を測定し、その第2の光パルスの発生間隔の時間変化のパターンにより入射放射線の線種、エネルギー、比エネルギー損失の情報を識別するものであることを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  10. 請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、第1の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値と、第2の光パルスの発光量あるいはそれが電気パルスに変換された場合の波高値とを比較する手段と、第2の光パルスの発光量あるいは前記波高値が、第1の光パルスの発光量あるいは前記波高値より小さい場合に多重発光現象であると識別する手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  11. 請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光現象の個々の光パルスである第1の光パルスと第2の光パルスとを電気パルスとして出力するパルス出力手段と、出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部および容量部の各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅して出力する積分パルス出力手段と、積分パルスが一定波高値以上であるときのみ線種弁別機能を有効とする手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  12. 請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、光パルスを電気信号に変える際に、光検出器から出力される電流を時間的な応答情報を保存したまま電流あるいは電圧の形で増幅することにより、シンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を用いたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  13. 請求項1から9までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、光パルスを電気信号に変える際に出力される電流を並列に配置された負荷抵抗部と負荷容量部とに充電し、その抵抗部と容量部との各両端に生じる充放電の電圧を積分波形として増幅し、再度微分することによりシンチレータ内で生じた多重発光現象を電気パルス信号に変換する手段を備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  14. 請求項1から13までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、第1の光パルスあるいはこれに相当する積分パルス出力を、放射線の入射検出信号として測定計数率を算出する計数率算出手段と、多重発光現象を検出するために用いるパルス幅または時間幅と弁別結果とを考慮した数え落としを補正し、真の計数率を算出する不感時間補正手段を備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  15. 請求項14記載の線種弁別型放射線検出装置において、不感時間補正手段により得られた真の計数率値に応じて、第2の光パルスによる多重発光現象を識別する条件を変更する判定条件制御部を備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  16. 請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、そのシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとにα線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線または加速されたイオン粒子間の電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  17. 請求項1から14までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータ1種類と、中性子検出用として高速中性子に対して水素原子を多く含み反跳陽子を発生させる物質、あるいは熱中性子に対して(n,p)、(n,α)反応断面積を有するするLi−6やB−10を含む物質をシンチレータと別個に放射線の入射側に装着したものあるいは粉体状シンチレータとともにこれらの物質を混合したものと、これらシンチレータの光を検出する光検出部と、シンチレータの発光パルスに対して多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  18. 請求項1から16までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、α線とβ線、α線とγ線、α線と陽子線またはイオンビームの電荷量もしくは質量数の違いによる線種弁別手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  19. 請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータと光検出部の受感面との間に設けた非多重発光特性のシンチレータによる第2のシンチレータ層と、多重発光を識別する手段と、多重発光の識別結果をもとに、(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  20. 請求項1から18までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力として多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から入射放射線の線種を弁別する手段を備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
  21. 請求項1から15までのいずれかに記載の線種弁別型放射線検出装置において、多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯と異なる波長帯で発光する物質からなる第2のシンチレータを用い、光検出部として2つの光検出器を用い、一方には多重発光特性を有するシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、他方には第2のシンチレータの発光波長帯を透過させる波長選別フィルタを装着し、多重発光特性を有するシンチレータの光を受光する光検出器の出力信号を入力して多重発光を識別する手段と、シンチレータの厚みと入射放射線の透過力とシンチレータ層別の発光波長の違いに加え、多重発光現象の有無の情報から(n,p)、(n,α)反応の結果生じたα、pの荷電粒子と中性子場に存在するバックグラウンドγ線とを弁別する手段とを備えたことを特徴とする線種弁別型放射線検出装置。
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