JP7161973B2 - 放射線モニタ装置 - Google Patents

放射線モニタ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7161973B2
JP7161973B2 JP2019098193A JP2019098193A JP7161973B2 JP 7161973 B2 JP7161973 B2 JP 7161973B2 JP 2019098193 A JP2019098193 A JP 2019098193A JP 2019098193 A JP2019098193 A JP 2019098193A JP 7161973 B2 JP7161973 B2 JP 7161973B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulse signal
radiation
electrical pulse
photodetector
photons
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019098193A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020193832A (ja
Inventor
修一 畠山
耕一 岡田
克宜 上野
孝広 田所
雄一郎 上野
徹 渋谷
敬介 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2019098193A priority Critical patent/JP7161973B2/ja
Priority to EP20813008.8A priority patent/EP3978957A4/en
Priority to PCT/JP2020/019634 priority patent/WO2020241352A1/ja
Priority to US17/614,410 priority patent/US20220236430A1/en
Publication of JP2020193832A publication Critical patent/JP2020193832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7161973B2 publication Critical patent/JP7161973B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T1/00Measuring X-radiation, gamma radiation, corpuscular radiation, or cosmic radiation
    • G01T1/16Measuring radiation intensity
    • G01T1/24Measuring radiation intensity with semiconductor detectors
    • G01T1/247Detector read-out circuitry
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T1/00Measuring X-radiation, gamma radiation, corpuscular radiation, or cosmic radiation
    • G01T1/02Dosimeters
    • G01T1/023Scintillation dose-rate meters
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T1/00Measuring X-radiation, gamma radiation, corpuscular radiation, or cosmic radiation
    • G01T1/16Measuring radiation intensity
    • G01T1/20Measuring radiation intensity with scintillation detectors
    • G01T1/2008Measuring radiation intensity with scintillation detectors using a combination of different types of scintillation detectors, e.g. phoswich
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T1/00Measuring X-radiation, gamma radiation, corpuscular radiation, or cosmic radiation
    • G01T1/36Measuring spectral distribution of X-rays or of nuclear radiation spectrometry
    • G01T1/366Measuring spectral distribution of X-rays or of nuclear radiation spectrometry with semi-conductor detectors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T3/00Measuring neutron radiation
    • G01T3/08Measuring neutron radiation with semiconductor detectors
    • G01T3/085Spectrometry

Description

本発明は、放射線モニタ装置に関する。
従来、放射線を測定する放射線モニタとして、電離箱、GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)、シンチレーション検出器、半導体検出器が用いられている。特に低線量率環境下を測定可能な放射線モニタには半導体検出器が適用される。半導体検出器を用いた放射線モニタは、例えば原子力発電プラントや核燃料再処理施設、放射性同位元素を使用する医療施設、産業施設、研究用加速器施設、一般環境モニタリング装置等で利用されている。半導体検出器を用いた放射線モニタは、放射線入射により生成される電子正孔対を利用し、半導体への印加電圧により生じた電気パルスの計数率や信号の波高値を測定することにより放射線の線量率や入射放射線のエネルギを算出する。一方、半導体検出器は高電圧を印加するため、空気中の水素濃度が高い場合に爆発の危険性を伴う。また、半導体から生成される電気パルス信号を利用するため、他計測機器へ電気ノイズを発信し、または受信する可能性がある。防爆および電気ノイズを抑制可能な検出器として、例えば、特許文献1に示されている光ファイバ型放射線検出器が知られている。光ファイバ型放射線検出器は、入射放射線に対して生成された複数の光子を光ファイバで伝送し、単一光子計数率から線量率を計測するため、放射線検知部への給電が不要であり、電気ノイズの受発信を抑制可能である。
ここで、特許文献1の段落0028には、「発光部11は、少なくとも1種の希土類元素を含有している。具体的には、発光部11は、例えば、母材としての透明イットリウム・アルミ・ガーネットなどの光透過性材料と、この光透過性材料中に含有されたイッテルビウム、ネオジム、セリウム、プラセオジウムなどの希土類元素とにより形成されている。」と記載されている。また、特許文献2の要約には、「入射した放射線に対して単一光子の束である光を発する放射線発光素子2と、放射線発光素子から放出された光を伝送する伝送部3と、伝送された光の少なくとも一部を単一光子に分解させる光学フィルタ4と、分解された光子の各々を電気パルス信号に変換する変換部5と、電気パルス信号を計数するカウンタ6と、電気パルス信号の計数に基づいて放射線の線量率を求める解析部7を有するように構成した。」と記載されている。
特開2016-114392号公報 特開2017-161378号公報
ところで、光ファイバ型放射線検出器は、放射線検知部への給電が不要であり、電気ノイズの受発信を抑制できるため、原子力発電プラントや核燃料再処理施設等において、線量率を測定可能な放射線モニタ装置として非常に有用である。また、従来では測定が困難であった高温・高線量率環境下において適用可能なことから、光ファイバ型放射線検出器の測定機能拡張による更なる適用先の拡大が望まれている。例えば、測定機能の拡張として入射放射線のエネルギ測定が考えられる。この場合、特許文献1,2に記載された測定法では、放射線入射により蛍光体内部で生成された減衰時定数の長い発光現象を単一光子に分解して測定するため、入射放射線のエネルギ情報を取得することが困難になるという問題がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、高い測定機能を実現できる放射線モニタ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の放射線モニタ装置は、入射した放射線によって発光する蛍光体を有する放射線検知部と、前記放射線検知部が発生した単一光子または複数の前記単一光子を有する光子群を電気パルス信号に変換する光検出器と、前記電気パルス信号を解析する解析部と、を備え、前記蛍光体は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、前記解析部は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号を弁別する信号弁別回路と、弁別された前記電気パルス信号の計数率に基づいて、前記放射線の線量率を算出する線量率算出回路と、弁別された前記電気パルス信号の波高値に基づいて、前記放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路と、を有し、前記信号弁別回路は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号の波高値と、所定の波高値閾値との関係に基づいて前記電気パルス信号を弁別し、前記波高値閾値は、前記電気パルス信号が単一光子による信号であるのか光子群による信号であるのかを弁別するレベルに設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、高い測定機能を実現できる。
本発明の第1実施形態による放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 放射線検知部の模式的な断面図である。 電気パルス信号の波高値スペクトルの一例を示す図である。 放射線の線量率と単一光子の計数率との関係の一例を示す概略図である。 電気パルス信号の波高値と付与エネルギとの関係の一例を示す概略図である。 放射線が蛍光体に入射した際の光生成過程の一例を示す模式図である。 電気パルス信号の模式的な波形図である。 減衰時定数の異なる複数の発光現象が生じている場合における光の波形スペクトルの一例を示す図である。 減衰時定数の異なる複数の発光現象が生じる蛍光体を用いた場合の電気パルス信号の波形例を示す図である。 図1の放射線モニタ装置における一使用例を示す概略図である。 図1の放射線モニタ装置における他の使用例を示す概略図である。 第2実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 第3実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 第4実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 第5実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 第6実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。 第7実施形態に係る放射線モニタ装置の概略ブロック図である。
以下、本発明を実施するための各種実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「電気パルス信号の計数率」とは、単位時間あたりに測定された電気パルス信号の数を意味している。また、「波高値」とは、電気パルス信号が立ち上がり始めてから立ち下がり始めるまでの波形の高さを表す。具体的には、例えば、電気パルス信号における最大の波形の高さ(最大波高値)を表す。また、「単一光子」とは、放射線の入射によって蛍光体内部で生成された一つ一つの光子を指す。また、「光子群」とは、放射線の入射によって蛍光体内部で生成された一つ一つの光子が重なることにより、2つ以上の単一光子を有する状態を指す。また、「減衰時定数」とは、1つの放射線入射により蛍光体に含まれる蛍光分子が励起準位に遷移し、励起準位から基底準位に遷移する際に生じる発光の強度が、最大発光強度から1/e(約0.37倍)に到達するまでの時間を表す。なお、eはネイピア数である。また、本明細書において「所定の範囲内の波長」とは、例えば光学フィルタ41(図12参照)において透過可能な波長範囲を示す。これにより、例えば特定波長範囲の光子のみを透過させることで光子を制御することができる。
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態による放射線モニタ装置101の概略ブロック図である。
放射線モニタ装置101は、図1に示すように、概略的に、放射線検知部2と、光伝送部3と、光検出器4と、解析部5と、を備えている。また、解析部5は、信号弁別回路6と、線量率算出回路7と、付与エネルギ算出回路8と、を備えている。本実施形態の放射線モニタ装置101で計測することができる放射線としては、例えば、X線、γ線等の電磁波と、α線、β線、中性子線等の粒子線と、が挙げられる。
(放射線検知部2)
図2は、上述した放射線検知部2の模式的な断面図である。
図2に示すように、放射線検知部2は、蛍光体51と、ハウジング52と、を備えている。蛍光体51は、入射した放射線の線量率に対応する強度の光を発生する。ハウジング52は、蛍光体51を収納し、蛍光体51は、光伝送部3に接続されている。蛍光体51は、減衰時定数の異なる複数種類の発光現象が生じる組成物であれば、特に限定されない。例えば、蛍光体51には、紫外線等の光による光ルミネッセンス、放射線によるラジオルミネッセンス、電子ビームによるカソードルミネッセンス、電場によるエレクトロルミネッセンス、化学反応による化学ルミネッセンス等を適用することができる。
より具体的には、蛍光体51には、例えば、母材としてNaI、CsI、LiI、SrI2、Bi4Ge3O12、Bi4Si3O12、CdWO4、PbWO4、ZnS、CaF2、LuAG、LuAP、Lu2O3、Y3Al5O12、YAlO3、Lu2SiO5、LYSO、Y2SiO5、Gd2SiO5、BaF2、CeF3、CeBr3、CsF、LiF、Gd2O2S、LaBr3、CeBr3、Gd3Al2Ga3O12、Cs2LiYCl6、ScTaO4、LaTaO4、LuTaO4、GdTaO4、YTaO4、Lu2O3、Lu3Ga5O12等の光透過性材料を適用できる。あるいは、これら光透過性材料中にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y等の希土類元素またはTl、Na、Ag、W、CO3等が添加された光透過性材料を蛍光体51に適用できる。また、母材に含まれる欠陥や不純物に起因する発光を利用することも可能である。また、母材に2種以上の異なる元素を添加することによって、減衰時定数の異なる複数種類の発光現象を発生させることも可能である。
減衰時定数の異なる複数種類の発光現象が蛍光体51に生じることにより、本実施形態の放射線モニタ装置101は、単一の放射線検知部2の出力信号に基づいて、線量率測定と、入射放射線のエネルギ分析とを実現できる。例えば、減衰時定数の長い発光成分は単一光子への分解が容易なため、光検出器4において単一光子の電気パルス信号として検出できる。以下、その理由を説明しておく。蛍光体51から入力される光量が比較的大きい場合、その光量は、光検出器4において連続的な波形として観測される。光伝送部3においては光が減衰するが、光伝送部3の減衰量が比較的小さい場合、減衰結果である光量は、やはり連続的な波形として観測される。しかし、光伝送部3を長くしてゆくと、減衰量が大きくなり、減衰結果である光量は、スパイク状に断続的に生じるパルスとして観測される。この減衰結果においては、個々のスパイク状のパルスが、それぞれ単一光子に対応する。このようにして、減衰時定数の長い発光成分は、単一光子に容易に分解することができる。一方、減衰時定数の短い発光成分は単一光子への分解が困難であるため、光検出器4においては、光子群は、高い波高値の電気パルス信号に変換される。後述する信号弁別回路6は、入力された電気パルス信号を弁別し、線量率算出回路7および付与エネルギ算出回路8は、この弁別結果に基づいて、放射線の線量率および入射放射線の付与エネルギをそれぞれ算出する。
蛍光体51の製造方法としては、ルミネッセンスを示す組成物を育成可能であれば特に限定されず、例えば、フローティングゾーン法、チョクラルスキー法(引き上げ法)、マイクロ引下げ法、ブリッジマン法、ベルヌーイ法等を採用することができる。
蛍光体51に含有させる元素イオンの価数は、発光に利用可能なものであれば特に限定されず、例えば、1価、2価、3価、4価等を利用することができる。
上述のように、ハウジング52は、蛍光体51を収納する容器であり、ハウジング52を構成する材料としては、計測対象の放射線を透過可能であれば特に限定されず、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等を採用することができる。
(光伝送部3)
図1において、光伝送部3は、放射線検知部2と光検出器4とに接続され、蛍光体51(図2参照)から放出された光を伝送する。光伝送部3は、蛍光体51から放出された光を伝送可能であれば特に限定されず、例えば、光ファイバ、ライトガイド等を採用することができる。また、光ファイバ、ライトガイド等を構成する材料としては、例えば、石英、プラスチック等が挙げられる。
(光検出器4)
光検出器4は、光伝送部3と解析部5とに接続され、光伝送部3から伝送された光子を電気パルス信号に変換し、解析部5に供給する。光検出器4としては、例えば、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード等を採用することができる。より詳細に述べると、光検出器4は単一光子または光子群を、電流増幅された一連の電流パルス信号に変換して出力する。
(解析部5)
解析部5は、光検出器4から入力された電気パルス信号を計数し解析する装置である。解析部5の内部において、信号弁別回路6は、光検出器4と接続され、光検出器4から入力された電気パルス信号を弁別する。ここで「弁別する」とは、「電気パルス信号が、単一光子または光子群の何れに起因するかを判別する」という意味と、「電気パルス信号を、単一光子に基づく成分と、光子群に基づく成分とに分離する」という意味と、を総称したものである。また、線量率算出回路7は、信号弁別回路6の弁別結果に基づいて、放射線の線量率を算出する。また、付与エネルギ算出回路8は、信号弁別回路6の弁別結果に基づいて入射放射線に付与された付与エネルギを算出する。
(信号弁別回路6)
上述のように、信号弁別回路6は、光検出器4から入力された電気パルス信号を弁別する機能を有する。電気パルス信号の弁別手法は、光検出器4から入力された電気パルス信号を弁別可能であれば特に限定されないが、例えば以下のような弁別方法が考えられる。
(1)信号の波高値による弁別
まず、電気パルス信号の波高値を、所定の波高値閾値と比較することにより、測定された電気パルス信号を弁別することができる。ここで、波高値閾値は、予め設定された値であってもよく、測定された電気パルス信号を用いて算出した値であってもよい。波高値閾値を算出によって決定する場合、その算出手法は、信号の波高値を算出可能な方法であれば、特に限定されない。例えば、波高値スペクトル上で単一光子計数値の統計分布の裾が広がる最大チャネル、あるいは、2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(正規分布)等の統計モデルを用いて波高値閾値を算出することができる。
この場合、信号弁別回路6は、光検出器4から入力された電気パルス信号の波高値が波高値閾値未満であれば、該電気パルス信号が単一光子による信号であると弁別する。逆に、電気パルス信号の波高値が波高値閾値以上であれば、該電気パルス信号が光子群による信号であると弁別する。このように、電気パルス信号の要因が単一光子または光子群の何れであるかを弁別可能になるように、適切な波高値閾値を設定すると、放射線モニタ装置101における線量率および付与エネルギの算出精度を向上できる。なお、以降の説明においては、単一光子に起因する電気パルス信号を単一光子電気パルス信号と呼び、光子群に起因する電気パルス信号を光子群電気パルス信号と呼ぶ。
(2)信号の時間幅による弁別
また、電気パルス信号の信号時間幅を、所定の時間幅閾値と比較することにより、測定された電気パルス信号を弁別することができる。ここで、電気パルス信号の信号時間幅とは、電気パルス信号の波高値が所定値以上である時間幅である。時間幅閾値は、予め設定された値であってもよく、測定された電気パルス信号を用いて算出した値であってもよい。時間幅閾値を算出によって決定する場合、その算出手法は、時間幅を算出可能であれば特に限定されない。例えば、光検出器4で測定された電気パルス信号の立ち上がり開始時間から立ち下がるまでの時間、あるいは立ち上がり開始時間から波高値が最大波高値の1/e倍(約0.37倍)に到達するまでの時間等を用いて、時間幅閾値を算出することができる。
この場合、信号弁別回路6は、光検出器4から入力された電気パルス信号の信号時間幅が時間幅閾値未満であれば、該電気パルス信号が単一光子電気パルス信号であると弁別する。逆に、電気パルス信号の信号時間幅が時間幅閾値以上であれば、該電気パルス信号が光子群電気パルス信号であると弁別する。このように、電気パルス信号の要因が単一光子または光子群の何れであるかを弁別可能になるように、適切な時間幅閾値を設定すると、放射線モニタ装置101における線量率および付与エネルギの算出精度を向上できる。
(3)信号の積分値による弁別
また、電気パルス信号の波高値の積分結果を、所定の積分結果閾値と比較することにより、測定された電気パルス信号を弁別することができる。積分結果閾値は、予め設定された値であってもよく、測定された電気パルス信号を用いて算出した値であってもよい。積分結果閾値を算出によって決定する場合、その算出手法は、積分結果を算出可能であれば特に限定されない。
例えば、光検出器4で測定された電気パルス信号の立ち上がり開始時間から立ち下がるまでの積分値、電気パルス信号の立ち上がり開始時間から波高値が最大波高値に到達するまでの積分値、あるいは、立ち上がり開始時間から波高値が最大波高値の最大波高値の1/e(約0.37倍)に到達するまでの積分値等を用いて積分結果閾値を算出することができる。
この場合、信号弁別回路6は、電気パルス信号の波高値の積分結果が積分結果閾値未満であれば、該電気パルス信号が単一光子電気パルス信号であると弁別する。逆に、電気パルス信号の波高値の積分結果が積分結果閾値以上であれば、該電気パルス信号が光子群電気パルス信号であると弁別する。このように、電気パルス信号の要因が単一光子または光子群の何れであるかを弁別可能になるように、適切な積分結果閾値を設定すると、放射線モニタ装置101における線量率および付与エネルギの算出精度を向上できる。
(4)フィルタ処理による弁別
また、電気パルス信号に対してフィルタ処理を施し、その結果に基づいて電気パルス信号を弁別できる。フィルタ処理は、電気パルス信号の周波数特性に基づいて信号を弁別可能であれば特に限定されず、例えば、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ、オールパスフィルタ、櫛形フィルタ、マルチバンドフィルタ等を採用することができる。
電気パルス信号の要因が単一光子である場合には、電気パルス信号は、スパイク状に断続的に生じるパルスになるため、その周波数帯域は比較的高くなる。一方、電気パルス信号の要因が光子群である場合には、電気パルス信号の周波数帯域は比較的低くなる。このように、電気パルス信号の要因が単一光子または光子群の何れであるかを弁別可能になるように、適切なフィルタ処理を行うと、放射線モニタ装置101における線量率および付与エネルギの算出精度を向上できる。
(5)波高値スペクトルによる弁別
図3は、電気パルス信号の波高値スペクトルの一例を示す図である。
図3の横軸における「チャネル」とは、光検出器4から出力される電気パルス信号の波高値を所定範囲毎に区切ったものである。この横軸上で右に向かうほど、波高値が高くなっている。また、図3の縦軸は、各チャネルの計数値である。図示の例において、波高値スペクトルには、2つの計数ピーク20,21が生じている。ここで、波高値が高い側の計数ピーク21は、光子群によるものと考えられ、付与エネルギ算出回路8に供給される計数ピークに対応する。また、波高値が低い側の計数ピーク20は、単一光子によるものと考えられるため、線量率算出回路7に供給される。
換言すれば、信号弁別回路6において、波高値スペクトルに基づいて計数値を弁別した場合、その結果が計数ピーク20,21として現れる。線量率算出回路7においては、単一光子の計数率から放射線の線量率を換算する場合、この計数ピーク20の計数値に基づいて放射線の線量率を算出するとよい。また、付与エネルギ算出回路8は、計測された計数ピーク21に係るピーク位置すなわちチャネルに対応する波高値に基づいて、付与エネルギを算出するとよい。なお、計数ピーク20,21の算出方法は、ピーク位置を算出可能な方法であれば特に限定されない。例えば、最大計数値を示すチャネル位置、あるいは、2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(正規分布)等の統計モデルを用いて計数ピーク20,21を算出できる。
電気パルス信号を弁別する手法は、上述した(1)~(5)以外の手法を採用することもできる。何れの手法を採用する場合にも、信号弁別回路6のハードウエア構成は、電気パルス信号を弁別可能であれば特に限定されない。例えば、上述した機能を有するトランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイル、トランス、キャパシタ、ダイオード、オペアンプなどの回路素子や、デジタルシグナルプロセッサ、マルチチャネルアナライザ、パーソナルコンピュータ等を信号弁別回路6に適用することができる。
(線量率算出回路7)
線量率算出回路7は、信号弁別回路6で弁別された単一光子電気パルス信号の計数率から、放射線の線量率を換算する。線量率算出回路7としては、信号弁別回路6で弁別された単一光子の計数率から、放射線の線量率を換算可能であれば特に限定されない。例えば、上述した機能を有するトランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイル、トランス、キャパシタ、ダイオード、オペアンプ等の回路素子や、デジタルシグナルプロセッサ、マルチチャネルアナライザ、パーソナルコンピュータ等を線量率算出回路7として採用することができる。
放射線の線量率を求める一般的な方法は、γ線等の計数率から放射線の線量率を換算するものであった。本実施形態の手法は、この一般的な手法とは異なり、γ線等の入射によって蛍光体51で生成された時定数の異なる複数の発光を利用する。すなわち、線量率算出回路7は、単一光子電気パルス信号の計数率から放射線の線量率を算出する。また、付与エネルギ算出回路8は、光子群電気パルス信号の波高値等に基づいて付与エネルギを算出する。
図4は、放射線の線量率と、光子(単一光子)の計数率との関係の一例を示す概略図である。図4に示すように、単一光子の計数率を計測できれば放射線の線量率を算出し取得することができる。上述したように、蛍光体51で生成された時定数の異なる複数の発光のうち、減衰時定数の長い発光成分は単一光子への分解が容易なため、単一光子の生成確率は大きくなる。従って、減衰時定数の長い発光成分を線量率の算出に利用することにより、線量率の測定精度、検出感度、および測定ダイナミックレンジを向上できる。
(付与エネルギ算出回路8)
図1に戻り、付与エネルギ算出回路8は、信号弁別回路6で弁別された光子群電気パルス信号に基づいて、入射放射線によって蛍光体51に付与されたエネルギを算出する。付与エネルギの算出手法は蛍光体51に付与されたエネルギを算出可能であれば特に限定されず、例えば、信号弁別回路6で弁別された光子群電気パルス信号の波高値スペクトル(図3参照)等から算出できる。
付与エネルギ算出回路8のハードウエア構成は、蛍光体51に付与されたエネルギを算出可能であれば特に限定されない。例えば、上述した機能を有するトランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイル、トランス、キャパシタ、ダイオード、オペアンプ等の回路素子や、デジタルシグナルプロセッサ、マルチチャネルアナライザ、パーソナルコンピュータ等を付与エネルギ算出回路8として採用することができる。
図5は、電気パルス信号の波高値と付与エネルギの関係について、その一例を示す概略図である。
図5に示すように、光検出器4で検出される電気パルス信号の波高値と、蛍光体51に付与されたエネルギとは、概ね比例関係を有する。従って、この関係を用いることで算出した電気パルス信号の波高値から放射線の付与エネルギを算出することができる。蛍光体51(図2参照)で生成された時定数の異なる複数の発光のうち、減衰時定数の短い発光成分は単一光子への分解が困難なため、光検出器4においては、光子群を、高い波高値の電気パルス信号として検出する。従って、減衰時定数の長い発光成分を放射線の線量率の算出に、また、減衰時定数の短い発光成分を放射線の付与エネルギの算出に利用すると、単一素子の放射線検知部2によって、線量率測定、および入射放射線のエネルギを分析できる。さらに、算出した付与エネルギ情報に基づいて線量率測定精度を向上できる。
〈第1実施形態の動作〉
次に、本実施形態の放射線モニタ装置101の動作について説明する。図6は、放射線9が蛍光体51に入射した際の光生成過程の一例を示す模式図である。
図6において、放射線9が蛍光体51に入射すると、相互作用10が生じる。この相互作用10に伴い、複数の単一光子11が発生する。減衰時定数の長い発光成分は、相互作用10により生成された個々の単一光子11を光検出器4で検出可能になる。また、減衰時定数の短い発光成分は、相互作用10により生成された単一光子11が重なるため、光子群から成る高い波高値を持つ信号として、光検出器4で検出可能になる。
図7は、電気パルス信号12,13の模式的な波形図である。
電気パルス信号13は、減衰時定数の長い発光現象が生じる蛍光体を用いて、光検出器の出力を計測したと仮定した場合の、波形である。一方、電気パルス信号12は、減衰時定数の短い発光現象が生じる蛍光体を用いて、光検出器の出力を計測したと仮定した場合の、波形である。
蛍光体51に一つの放射線9(図6参照)が入射した際、仮に、蛍光体51において減衰時定数の短い発光現象が生じると、生成される複数の単一光子11の集合である光子群が発生する。これら光子群は、光検出器4において、例えば図7に示すような一つの電気パルス信号12として測定できる。一方、蛍光体51において減衰時定数の長い発光現象が生じると、光伝送部3から伝送された一つ一つの単一光子11が光検出器4で離散的に計測される。これら単一光子11は、図7に示すように、光検出器4において、例えば約2nsの時間幅を持った一連の電気パルス信号13として測定できる。
図8は、減衰時定数の異なる複数の発光現象が生じている場合における光の波形スペクトルの一例を示す図である。図8において、横軸は光の波長であり、縦軸は強度を示す。
一般に、減衰時定数の異なる発光現象は、蛍光分子の遷移過程が異なるため、異なる発光波長を有する。例えば、図8において、波長が500nm未満の発光成分14は母材に含まれる元素、欠陥、または不純物の影響による発光成分であり、減衰時定数の短い発光現象を伴う。
一方、波長が500nm以上の発光成分15は、母材に添加した元素の影響による発光成分であり、減衰時定数の長い発光現象を伴う。なお、発光成分14,15における減衰時定数の長短は上述した例に限定されるわけではない。例えば発光成分14に対して減衰時定数の長い発光現象が伴うようにし、発光成分15に対して減衰時定数の短い発光現象が伴うようにしてもよい。
図9は、減衰時定数の異なる複数の発光現象が生じる蛍光体を用いた場合の電気パルス信号の波形例を示す図である。通常、減衰時定数の短い発光成分は、波高値が高く、かつ信号時間幅が短い信号、例えば図示の電気パルス信号16として測定される。また、減衰時定数の長い発光成分は、波高値が低く、かつ信号時間幅が長い信号、例えば図示の電気パルス信号18として測定される。
減衰時定数の短い発光成分は単一光子への分解が困難なため、光検出器4において、光子群に対応する高い波高値の信号、例えば図示の電気パルス信号17として測定される。一方、減衰時定数の長い発光成分は単一光子への分解が容易なため、光検出器4において、一つ一つの単一光子11(図6参照)に対応して、スパイク状に断続的に生じる電気パルス信号19として測定される。
このように、減衰時定数の長い発光成分を放射線の線量率の算出に、また、減衰時定数の短い発光成分を放射線の付与エネルギの算出に利用すると、単一素子によって、線量率測定と、入射放射線のエネルギ分析との双方を実現できる。さらに、算出した付与エネルギ情報に基づいて、線量率測定精度を向上できる。
次に、当該放射線モニタ装置101の好適な使用例について説明する。
図10は、放射線モニタ装置101の一使用例を示す概略図である。図10に示すように、放射線検知部2は所定の測定対象エリア31内に設置され、光検出器4および後段の要素が測定対象エリア外に設置され、光伝送部3は放射線検知部2と光検出器4とを接続する。これにより、例えば、高温・高線量率環境下に達する原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋を有する原子力発電プラントや核燃料再処理施設、放射性同位元素を使用する医療施設、産業施設、研究用加速器施設における内部の放射線の線量率測定およびエネルギ分析を、遠隔でリアルタイムに実現できる。
図11は、放射線モニタ装置101の他の使用例を示す概略図である。
図11において、2台の放射線モニタ装置101-1,101-2は、各々上述した放射線モニタ装置101と同様のものである。そして、図示のように、放射線モニタ装置101-1,101-2に含まれる合計2個の放射線検知部2が、測定対象エリア31内の異なる位置に設置されている。放射線モニタ装置101-1,101-2は、それぞれ測定対象エリア31の線量率およびエネルギを計測する。なお、図11においては、2台の放射線モニタ装置101-1,101-2を適用したが、放射線モニタ装置101の数は3台以上であってもよい。このように、複数の放射線モニタ装置101を適用することにより、測定対象エリア31における線量率分布およびエネルギ分布を計測することができる。これらの効果から、原子力発電プラントや核燃料再処理施設、放射性同位元素を使用する医療施設、産業施設、研究用加速器施設、一般環境モニタリング装置等に当該放射線モニタ装置101を適用できる。
〈第1実施形態の効果〉
以上のように本実施形態によれば、放射線検知部2の蛍光体51は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、解析部5は、光検出器4が出力した電気パルス信号を弁別する信号弁別回路6と、弁別された電気パルス信号の計数率に基づいて、放射線の線量率を算出する線量率算出回路7と、弁別された電気パルス信号の波高値に基づいて、放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路8と、を有する。
従って、本実施形態によれば、単一素子の放射線検知部2の発光に基づいて、線量率測定と、入射放射線のエネルギ分析とを実現でき、また、線量率測定精度を向上させることができ、高い測定機能を実現できる。
また、本実施形態によれば、信号弁別回路6が電気パルス信号を弁別する方法は、電気パルス信号の波高値と所定の波高値閾値との関係、電気パルス信号の時間幅と所定の時間幅閾値との関係、電気パルス信号の積分結果と所定の積分結果閾値との関係、電気パルス信号の周波数特性、または電気パルス信号の波高値スペクトル等を適用することができる。これにより、用途に応じた最適な方法で電気パルス信号を弁別することができる。
また、上述した使用例によれば、放射線検知部2は所定の測定対象エリア31の内部に設けられ、光検出器4と解析部5とは測定対象エリア31の外部に設けられ、放射線検知部2と光検出器4とを接続する光伝送部3を備えている。これによって、測定対象エリア31が高温・高線量率環境下等であったとしても、測定対象エリア31の外部から、測定対象エリア31の内部状態を安全に計測することができる。
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態による放射線モニタ装置102の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置102は、第1実施形態の放射線モニタ装置101(図1参照)と比較して、光伝送部3と光検出器4との間に光学フィルタ41を備える点が異なっている。なお、放射線検知部2、光伝送部3、光検出器4、解析部5、信号弁別回路6、線量率算出回路7、および付与エネルギ算出回路8の構成は、第1実施形態のものと同様である。
光学フィルタ41は、光伝送部3から伝送された光子に対してフィルタ処理を行う装置である。フィルタ処理とは、例えば光子数を減衰させ、あるいは所定範囲内の波長の光を選択的に透過する処理を指す。このように、光学フィルタ41で光子数を減衰させる機能を有することにより、単一光子のパイルアップを低減可能となり、線量率の算出精度の向上、および測定ダイナミックレンジの拡大が可能である。また、光学フィルタ41に所定範囲内の波長を透過させる機能を設けることによって、蛍光体51で発生する減衰時定数の異なる複数の発光を光学的に弁別でき、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を向上することができる。
なお、上述したように、「所定の範囲内の波長」とは、例えば光学フィルタ41において透過可能な波長範囲を示す。これにより、例えば特定波長範囲の光子のみを透過させることで光子を制御することができる。この光学フィルタ41としては、例えば、波長フィルタ、減衰フィルタ等を採用することができる。波長フィルタは、予め定められた波長範囲内の光子のみを透過可能なフィルタである。減衰フィルタは、予め定められた確率で光の光子数を減衰させるフィルタである。また、2つ以上の光学フィルタを組み合わせて使用することも可能である。
以上のように、本実施形態によれば、放射線検知部2から伝送された光子をフィルタ処理する光学フィルタ41をさらに備えるため、第1実施形態と同様の効果に加えて、弁別内容に応じて、光子数を適切に操作できるという効果を奏する。
例えば、光学フィルタ41において光子数を減衰させると、単一光子のパイルアップを低減でき、線量率の算出精度の向上や、測定ダイナミックレンジの拡大が可能である。また、光学フィルタ41で所定の範囲の波長の光子を透過させることにより、蛍光体51で発生する減衰時定数の異なる複数の発光現象を光学的に弁別でき、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上することができる。
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態による放射線モニタ装置103の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置103は、第1実施形態の放射線モニタ装置101(図1参照)と比較して、光分岐装置42を備える点と、複数の(図示の例では2台の)光検出器4-1,4-2を備える点とで異なっている。光検出器4-1,4-2は、光検出器4と同様に構成されている。但し、光検出器4-1,4-2の特性は相違させることが好ましい。なお、放射線検知部2、光伝送部3、解析部5、信号弁別回路6、線量率算出回路7、付与エネルギ算出回路8は、第1実施形態のものと同様である。
光分岐装置42は、光伝送部3と、光検出器4-1,4-2との間に接続され、光伝送部3から伝送された光子を複数の(図示の例では2台の)光検出器4-1,4-2に分岐する装置である。光分岐装置42としては、伝送された光子を分岐可能であれば特に限定されず、例えば、光スイッチ、光カプラ、光スプリッタ等を採用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、放射線検知部2から伝送された光子を分岐する光分岐装置42をさらに備え、光検出器4-1,4-2は複数設けられ、光分岐装置42によって分岐された光子を各々電気パルス信号に変換する。
これにより、第1実施形態と同様の効果に加えて、分岐された光子の経路毎に、光検出器4-1,4-2において最適な光検出器特性を適用することができ、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上できるという効果を奏する。
[第4実施形態]
図14は、本発明の第4実施形態による放射線モニタ装置104の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置104は、第1実施形態の放射線モニタ装置101(図1参照)と比較して、光分岐装置42と、複数の(図示の例では2台の)光学フィルタ41-1,41-2と、複数の(図示の例では2台の)光検出器4-1,4-2と、を備える点とで異なっている。
光分岐装置42および光検出器4-1,4-2は第3実施形態(図13参照)のものと同様に構成されている。また、光学フィルタ41-1,41-2は、第2実施形態(図12参照)の光学フィルタ41と同様に構成されている。なお、放射線検知部2、光伝送部3、解析部5、信号弁別回路6、線量率算出回路7、付与エネルギ算出回路8は、第1実施形態のものと同様である。光学フィルタ41-1,41-2は、光分岐装置42によって分岐された各経路の光子に対し、光子数の減衰、あるいは所定の範囲内の波長を透過する装置である。光学フィルタ41-1,41-2によって処理された光子は、それぞれ光検出器4-1,4-2に供給される。
以上のように、本実施形態によれば、複数の(図示の例では2台の)光学フィルタ41-1,41-2を備えるため、分岐された光子の経路毎に異なる最適なフィルタ特性を光学フィルタ41-1,41-2にそれぞれ付与できる。これにより、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上できるという効果を奏する。
[第5実施形態]
図15は、本発明の第5実施形態による放射線モニタ装置105の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置105は、第1実施形態の放射線モニタ装置101(図1参照)と比較して、光分岐装置42と、複数の(図示の例では2台の)光検出器4-1,4-2と、複数の(図示の例では2台の)解析部5-1,5-2と、を備える点とで異なっている。
光分岐装置42および光検出器4-1,4-2は第3実施形態(図13参照)のものと同様に構成されている。また、解析部5-1,5-2は、第1実施形態の解析部5と同様に構成されている。但し、光検出器4-1,4-2の特性、および解析部5-1,5-2の特性は、相違させることが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、解析部5-1,5-2は、光検出器4-1,4-2に対応して複数設けられ、複数の光検出器4-1,4-2は、各々対応する解析部5-1,5-2に接続されている。従って、分岐された光子の経路毎に異なる最適な特性を光検出器4-1,4-2および解析部5-1,5-2にそれぞれ付与することができる。これにより、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上できるという効果を奏する。
[第6実施形態]
図16は、第6実施形態による放射線モニタ装置106の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置106は、第5実施形態の放射線モニタ装置105(図15参照)と比較して、光分岐装置42と、光検出器4-1,4-2との間に光学フィルタ41-1,41-2がそれぞれ挿入されている点で異なっている。これら光学フィルタ41-1,41-2は、第4実施形態(図14参照)のものと同様である。なお、放射線検知部2、光伝送部3、光分岐装置42、光検出器4-1,4-2および解析部5-1,5-2は、第5実施形態のものと同様に構成されている。
以上のように本実施形態によれば、分岐された光子の経路毎に異なる最適な光学フィルタ41-1,41-2を適用することができる。これにより、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上することができる。
[第7実施形態]
図17は、第7実施形態による放射線モニタ装置107の概略ブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
放射線モニタ装置107は、第1実施形態の放射線モニタ装置101(図1参照)と比較して、光伝送部3と光検出器4との間に複数の光学フィルタ41と、光学フィルタ選択部43と、を備える点が異なっている。なお、放射線検知部2、光伝送部3、光検出器4、解析部5、信号弁別回路6、線量率算出回路7、および付与エネルギ算出回路8の構成は、第1実施形態のものと同様である。
複数の光学フィルタ41は、光伝送部3から伝送された光子に対してそれぞれ異なる特性によってフィルタ処理、すなわち光子数の減衰、所定範囲内の波長の光の透過等を行う。光学フィルタ選択部43は、複数の光学フィルタ41の中から何れか1枚の光学フィルタ41を選択して光伝送部3と光検出器4との間に接続する。
従って、選択する光学フィルタ41に応じて、光伝送部3から伝送された光子の、減衰時定数の異なる複数の発光現象や、単一光子への分解を効果的に選択することができる。光学フィルタ選択部43としては、複数の光学フィルタ41のうち何れかを選択可能であれば特に限定されない。例えば、モーター駆動または手動で光学フィルタ41を選択するフィルタホイール式やドロップイン式等を光学フィルタ選択部43に採用することができる。
以上のように本実施形態によれば、放射線検知部2から伝送された光子をフィルタ処理する複数の光学フィルタ41と、何れかの光学フィルタ41を選択する光学フィルタ選択部43と、を備えるため、用途に応じて、適用する光学フィルタ41を選択できる。これにより、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上することができる。また、光検出器4、解析部5、信号弁別回路6、線量率算出回路7、付与エネルギ算出回路8等の員数が低減され、放射線モニタ装置107の小型化による設置空間の節約や、導入コストや運用コストの低減、保全時の検査品目・工程数の低減を果たすことができる。さらに、本実施形態によれば、光検出器4の個体差の影響による線量率測定およびエネルギ分析精度のバラつきが低減され、線量率測定精度、およびエネルギ分析精度を一層向上することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
2 放射線検知部
3 光伝送部
4,4-1,4-2 光検出器
5,5-1,5-2 解析部
6 信号弁別回路
7 線量率算出回路
8 付与エネルギ算出回路
31 測定対象エリア
41,41-1,41-2 光学フィルタ
42 光分岐装置
43 光学フィルタ選択部
51 蛍光体
101,101-1,101-2,102~107 放射線モニタ装置

Claims (5)

  1. 入射した放射線によって発光する蛍光体を有する放射線検知部と、
    前記放射線検知部が発生した単一光子または複数の前記単一光子を有する光子群を電気パルス信号に変換する光検出器と、
    前記電気パルス信号を解析する解析部と、を備え、
    前記蛍光体は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、
    前記解析部は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号を弁別する信号弁別回路と、弁別された前記電気パルス信号の計数率に基づいて、前記放射線の線量率を算出する線量率算出回路と、弁別された前記電気パルス信号の波高値に基づいて、前記放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路と、を有し、
    前記信号弁別回路は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号の波高値と、所定の波高値閾値との関係に基づいて前記電気パルス信号を弁別し、
    前記波高値閾値は、前記電気パルス信号が単一光子による信号であるのか光子群による信号であるのかを弁別するレベルに設定されている
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  2. 入射した放射線によって発光する蛍光体を有する放射線検知部と、
    前記放射線検知部が発生した単一光子または複数の前記単一光子を有する光子群を電気パルス信号に変換する光検出器と、
    前記電気パルス信号を解析する解析部と、
    前記放射線検知部から伝送された光子を分岐する光分岐装置と、を備え、
    前記蛍光体は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、
    前記解析部は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号を弁別する信号弁別回路と、弁別された前記電気パルス信号の計数率に基づいて、前記放射線の線量率を算出する線量率算出回路と、弁別された前記電気パルス信号の波高値に基づいて、前記放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路と、を有し、
    前記光検出器は複数設けられ、前記光分岐装置によって分岐された光子を各々前記電気パルス信号に変換するものであり、
    複数の前記光検出器は、前記解析部に接続されている
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  3. 前記解析部は、前記光検出器に対応して複数設けられ、
    複数の前記光検出器は、各々対応する前記解析部に接続されている
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線モニタ装置。
  4. 入射した放射線によって発光する蛍光体を有する放射線検知部と、
    前記放射線検知部が発生した単一光子または複数の前記単一光子を有する光子群を電気パルス信号に変換する光検出器と、
    前記電気パルス信号を解析する解析部と、
    前記放射線検知部から伝送された光子をフィルタ処理する複数の光学フィルタと、
    何れかの前記光学フィルタを選択する光学フィルタ選択部と、を備え、
    前記蛍光体は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、
    前記解析部は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号を弁別する信号弁別回路と、弁別された前記電気パルス信号の計数率に基づいて、前記放射線の線量率を算出する線量率算出回路と、弁別された前記電気パルス信号の波高値に基づいて、前記放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路と、を有する
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  5. 入射した放射線によって発光する蛍光体を有する放射線検知部と、
    前記放射線検知部が発生した単一光子または複数の前記単一光子を有する光子群を電気パルス信号に変換する光検出器と、
    前記電気パルス信号を解析する解析部と、を備え、
    前記蛍光体は減衰時定数の異なる複数の発光現象に基づいて発光するものであり、
    前記解析部は、前記光検出器が出力した前記電気パルス信号を弁別する信号弁別回路と、弁別された前記電気パルス信号の計数率に基づいて、前記放射線の線量率を算出する線量率算出回路と、弁別された前記電気パルス信号の波高値に基づいて、前記放射線の付与エネルギを算出する付与エネルギ算出回路と、を有し、
    前記放射線検知部は所定の測定対象エリアの内部に設けられ、
    前記光検出器と前記解析部とは前記測定対象エリアの外部に設けられ、
    前記放射線検知部と前記光検出器とを接続する光伝送部をさらに備え、
    これによって前記測定対象エリアの内部における前記線量率および前記付与エネルギを測定する
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
JP2019098193A 2019-05-27 2019-05-27 放射線モニタ装置 Active JP7161973B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019098193A JP7161973B2 (ja) 2019-05-27 2019-05-27 放射線モニタ装置
EP20813008.8A EP3978957A4 (en) 2019-05-27 2020-05-18 RADIATION MONITORING DEVICE
PCT/JP2020/019634 WO2020241352A1 (ja) 2019-05-27 2020-05-18 放射線モニタ装置
US17/614,410 US20220236430A1 (en) 2019-05-27 2020-05-18 Radiation monitoring device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019098193A JP7161973B2 (ja) 2019-05-27 2019-05-27 放射線モニタ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020193832A JP2020193832A (ja) 2020-12-03
JP7161973B2 true JP7161973B2 (ja) 2022-10-27

Family

ID=73547586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019098193A Active JP7161973B2 (ja) 2019-05-27 2019-05-27 放射線モニタ装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20220236430A1 (ja)
EP (1) EP3978957A4 (ja)
JP (1) JP7161973B2 (ja)
WO (1) WO2020241352A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112596097B (zh) * 2020-12-11 2022-10-28 成都理工大学 一种基于权冲激函数的核信号前端处理系统
JP2022143666A (ja) * 2021-03-18 2022-10-03 コニカミノルタ株式会社 放射線撮影装置
KR102628391B1 (ko) * 2021-08-18 2024-01-23 주식회사 에프티랩 고농도의 라돈을 측정하기 위한 연속 라돈 측정장치
JP7403517B2 (ja) * 2021-10-13 2023-12-22 日本電子株式会社 放射線検出装置および試料分析装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001042043A (ja) 1999-07-30 2001-02-16 Toshiba Corp 線種弁別型放射線検出装置
JP2008111677A (ja) 2006-10-27 2008-05-15 Japan Atomic Energy Agency ZnS蛍光体を用いたシンチレーション中性子検出器の中性子/ガンマ線弁別方法
WO2012011506A1 (ja) 2010-07-21 2012-01-26 国立大学法人広島大学 ホスウィッチ型熱中性子検出器
JP2017161378A (ja) 2016-03-10 2017-09-14 株式会社日立製作所 放射線モニタ及び放射線測定方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7964848B2 (en) * 2009-10-30 2011-06-21 The State Of Oregon Acting By And Through The State Board Of Higher Education On Behalf Of Oregon State University Skin contamination dosimeter
NZ588050A (en) * 2010-09-17 2013-03-28 Ind Res Ltd Recording dose information about ionizing radiation absored and stored in a dosimeter
JP5816542B2 (ja) * 2011-12-27 2015-11-18 株式会社日立製作所 線量率計測システム及び線量率計測方法
US20130320220A1 (en) * 2012-06-05 2013-12-05 Michelle Donowsky Portable Radiation Detector

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001042043A (ja) 1999-07-30 2001-02-16 Toshiba Corp 線種弁別型放射線検出装置
JP2008111677A (ja) 2006-10-27 2008-05-15 Japan Atomic Energy Agency ZnS蛍光体を用いたシンチレーション中性子検出器の中性子/ガンマ線弁別方法
WO2012011506A1 (ja) 2010-07-21 2012-01-26 国立大学法人広島大学 ホスウィッチ型熱中性子検出器
JP2017161378A (ja) 2016-03-10 2017-09-14 株式会社日立製作所 放射線モニタ及び放射線測定方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3978957A4 (en) 2023-06-21
WO2020241352A1 (ja) 2020-12-03
JP2020193832A (ja) 2020-12-03
EP3978957A1 (en) 2022-04-06
US20220236430A1 (en) 2022-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7161973B2 (ja) 放射線モニタ装置
JP5894916B2 (ja) ホスウィッチ型熱中性子検出器
US20170219719A1 (en) Radiation detector for imaging applications with stabilized light output
US20170315241A1 (en) Radiation monitor and radiation monitoring method
JP2017161378A (ja) 放射線モニタ及び放射線測定方法
KR20070106693A (ko) 고계수율 신틸레이터
Glodo et al. Mixed lutetium iodide compounds
WO2018016492A1 (ja) 計数方法および放射線検出装置
JP6637176B2 (ja) 放射線モニタ
US11493648B2 (en) Radiation monitor and method for measuring radiation
JP6894861B2 (ja) 放射線モニタ
JP7160572B2 (ja) 放射線モニタ
US11131779B2 (en) Radiation monitor
Glodo et al. LaBr/sub 3: Pr/sup 3+/-a new red-emitting scintillator
JP7063769B2 (ja) 放射線モニタ
CN113466186A (zh) 用于闪烁体余辉的检测装置和方法
JP2023081439A (ja) 放射線モニタ、および放射線の検出方法
Sensors Application of Sm Oxide Doped Oxyfluoride Glasses for the Development of Extrinsic
Choong et al. Evaluation of production samples of the scintillators LaBr3: Ce andLaCl3: Ce

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7161973

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150