JP2023081439A - 放射線モニタ、および放射線の検出方法 - Google Patents

放射線モニタ、および放射線の検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023081439A
JP2023081439A JP2021195121A JP2021195121A JP2023081439A JP 2023081439 A JP2023081439 A JP 2023081439A JP 2021195121 A JP2021195121 A JP 2021195121A JP 2021195121 A JP2021195121 A JP 2021195121A JP 2023081439 A JP2023081439 A JP 2023081439A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
radiation
photon
reflecting layer
radiation monitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021195121A
Other languages
English (en)
Inventor
修一 畠山
Shuichi Hatakeyama
雄一郎 上野
Yuichiro Ueno
孝広 田所
Takahiro Tadokoro
徹 渋谷
Toru Shibuya
敬介 佐々木
Keisuke Sasaki
湧希 小泉
Yuki Koizumi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2021195121A priority Critical patent/JP2023081439A/ja
Publication of JP2023081439A publication Critical patent/JP2023081439A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】小型かつ単一の放射線検知部で、入射した放射線に対して光子を放出する感度のエネルギー特性を平坦化可能な放射線モニタを提供する。【解決手段】入射した放射線に対して光子を放出する蛍光体を有する放射線検知部2と、前記放射線検知部の蛍光体から放出された光子を伝送する光子伝送部7と、を備え、前記蛍光体は、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5とを有し、前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体は、互いに隣接して、並列に配置され、前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体との間に光子反射層6を有し、前記第1の蛍光体と前記光子反射層と前記第2の蛍光体が、前記光子伝送部と接する。【選択図】図1A

Description

本発明は、放射線モニタ、および放射線の検出方法に関する。
従来、放射線の線量率を測定する放射線モニタとして、電離箱、GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)、シンチレーション検出器、半導体検出器が用いられている。
特に低線量率環境下を測定可能な放射線モニタには、半導体検出器が適用される。
半導体検出器を用いた放射線モニタは、例えば原子力発電プラントや核燃料再処理施設、放射性同位元素を使用する医療施設、産業施設、研究用加速器施設、一般環境モニタリング装置等で利用されている。
半導体検出器を用いた放射線モニタは、放射線入射により生成される電子正孔対を利用し、半導体への印加電圧により生じた電気パルスの計数率から線量率を導出する。
一方、半導体検出器は高電圧を印加するため、空気中の水素濃度が高い場合に爆発の危険性を伴う。また、半導体から生成される電気パルス信号を利用するため、他計測機器へ電気ノイズを発信、および受信する可能性がある。
また、防爆、および電気ノイズを抑制可能な検出器として、光ファイバ型放射線検出器がある。光ファイバ型放射線検出器は、入射放射線に対して生成された複数の光子を光ファイバで伝送し、単一光子計数率から線量率を計測するため、放射線検知部への給電が不要、及び電気ノイズの受発信を抑制可能である。この分野の技術として、例えば特許文献1がある。
特許文献1の[要約]には、「[課題]爆発等の危険性を抑制し、放射線の線量率を簡易かつ正確に計測可能な放射線モニタの提供を目的とする。[解決手段]本発明の放射線モニタ100は、入射した放射線の線量率に対応する強度の光を発する発光部11を有する放射線発光素子10と、放射線発光素子10に接続され、発光部11から放出された光を伝送する光ファイバ20と、光ファイバ20に接続され、伝送された光の光子1個に対して1個の電気パルスを発信する電気パルス変換器30と、電気パルス変換器30に接続され、電気パルス変換器30から発信された電気パルスを計数する電気パルス検出器40と、電気パルス検出器40に接続され、電気パルス検出器40で計数された電気パルスの計数率を放射線の線量率に換算する解析機50とを備えている。」と記載され、放射線モニタの技術が開示されている。また、特許文献1には、入射した放射線の線量率に対応する強度の光を発する発光部として、例えば、母材としての透明イットリウム・アルミ・ガーネットの光透過性材料と、この光透過性材料中に含有されたイッテルビウム、ネオジム、セリウム、プラセオジウム等の希土類元素とにより形成させる技術が示されている。
また、放射線モニタの線量率測定は、様々なエネルギー及び照射方向の放射線が混在する環境下で使用され、線量率の測定精度の向上が望まれている。その理由は、放射線検知部が入射する放射線のエネルギーに依存して異なる測定感度を有することに起因する。
一般に、放射線の強度を減衰可能な金属遮蔽体の利用や補正用検知部の並列設置によるエネルギー特性の平坦化が有用と考えられる。
特開2016-114392号公報
しかしながら、エネルギー特性の平坦化のために放射線検知部の大型化と重量化による取扱性、および並列化によるシステムの複雑化とコストの増大が課題(問題)となる。
あるいは、小型かつ単一の放射線検知部でのエネルギー特性の平坦化が課題(問題)となる。
本発明は、小型かつ単一の放射線検知部で、入射した放射線に対して光子を放出する感度のエネルギー特性を平坦化可能な放射線モニタを提供することを課題(目的)とする。
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の放射線モニタは、入射した放射線に対して光子を放出する蛍光体を有する放射線検知部と、前記放射線検知部の蛍光体から放出された光子を伝送する光子伝送部と、を備え、前記蛍光体は、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを有し、前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体は、互いに隣接して、並列に配置され、前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体との間に光子反射層を有し、前記第1の蛍光体と前記光子反射層と前記第2の蛍光体が、前記光子伝送部と接することを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、小型かつ単一の放射線検知部で、入射した放射線に対して光子を放出する感度のエネルギー特性を平坦化可能な放射線モニタを提供できる。
本発明の第1実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 本発明の第1実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を正面方向から示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線モニタと関連機材との構成例を示すブロック図である。 放射線の線量率と単一光子の計数率との概略の関係例を示す図である。 放射線が放射線検知部に入射した際の光の生成についての概略例を示す図である。 本実施形態の光検出器の出力を計測したと仮定した場合の電気パルス信号と、従来例の計測装置で光検出器の出力を計測した場合の電気パルス信号とを、比較した概略例を示す図である。 光子の計数率のエネルギー依存性について、その一例を示す概略図である。 付与エネルギー割合の蛍光体の厚さ依存性について、その概略の関係例を示す図である。 放射線が第1の蛍光体、および第2の蛍光体に入射した際の光の生成についての概略例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を正面方向から示す図である。 本発明の第3実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 本発明の第4実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 本発明の第5実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 本発明の第6実施形態に係る放射線モニタの概略の構成例を横方向から示す図である。 放射線モニタの実際の測定対象である放射線環境下における使用例の概略を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは部材の一部の図示が省略されている場合もある。
また、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で、適宜、組合せや改良が可能である。
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る放射線モニタ1の構成について、図を参照して説明する。
図1Aと図1Bは、本発明の第1実施形態に係る放射線モニタ1の概略の構成例を示す図である。
なお、図1Aは、後記する放射線検知部2と光子伝送部7が並ぶ横方向から見た図である。また、図1Bは、図1Aにおける放射線検知部2を紙面視の左側からの正面方向として見た図である。
図1Aにおいて、放射線モニタ1は、放射線検知部2と光子伝送部7を備えて構成されている。
放射線検知部2は、第1の蛍光体4と、第2の蛍光体5と、光子反射層6とを備えて構成されている。
放射線モニタ1で検出する放射線は、基準照射方向3と記載した方向から原則として入射するものを基準とする。なお、放射線モニタ1で計測することができる放射線としては、例えば、X線、γ線等の電磁波と、α線、β線、中性子線等の粒子線が挙げられる。
図1Aに示すように、放射線検知部2は、入射した放射線の線量率に対応する強度の光を発する第1の蛍光体4と、第2の蛍光体5と、蛍光体から放出された光子を反射する光子反射層6とを有する素子である。
なお、図1Bに示すように、図1Aにおける放射線検知部2を紙面視の左側からの正面方向からみると、方形(正方形、長方形)の形状で構成されている。
図1A、図1Bにおいて、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5は、隣接して並列に配置される構造を有している。
光子反射層6は、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5の間に配置される構造を有する。
放射線検知部2の構成と機能の詳細は後記するが、概要は次のとおりである。
<放射線検知部2の概要>
図1Aに示すように、放射線検知部2において、第1の蛍光体4に入力した放射線の一部は、蛍光体に反応し、蛍光体から放出された光子の一部が光子伝送部7に到達する。
また、第1の蛍光体4に入力した放射線で、蛍光体に反応しなかった放射線は、光子反射層6を通過し、第2の蛍光体5に向かう。第2の蛍光体5において、放射線が蛍光体に反応し、蛍光体から放出された光子の一部が光子伝送部7に到達する。
また、光子反射層6は、第2の蛍光体5で発生した光子を第1の蛍光体4に戻らないように機能する。また、光子反射層6は、第1の蛍光体4で発生した光子を第2の蛍光体5に入らないように機能する。なお、光子反射層6は、光子を反射するが、放射線は透過する。
<放射線検知部2の詳細>
放射線検知部2における「第1の蛍光体4と第2の蛍光体5」、「光子反射層6」について詳しく説明する。
《第1の蛍光体4と第2の蛍光体5》
第1の蛍光体4と第2の蛍光体5は、ルミネッセンス(ルミネセンス、冷光)を示す組成物で構成される。ルミネッセンスの現象、作用を示す組成物であれば、特に蛍光現象の対象や材料は限定されない。
例えば、紫外線などの光による光ルミネッセンス、放射線によるラジオルミネッセンス、電子ビームによるカソードルミネッセンス、電場によるエレクトロルミネッセンス、化学反応による化学ルミネッセンスなどが挙げられる。
具体的には、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5は、例えば、母材としてNaI、CsI、LiI、SrI2、Bi4Ge3O12、Bi4Si3O12、CdWO4、PbWO4、ZnS、CaF2、LuAG、LuAP、Lu2O3、Y3Al5O12、YAlO3、Lu2SiO5、LYSO、Y2SiO5、Gd2SiO5、BaF2、CeF3、CeBr3、CsF、LiF、Gd2O2S、LaBr3、CeBr3、Gd3Al2Ga3O12、Cs2LiYCl6、Cs2HfI6、ScTaO4、LaTaO4、LuTaO4、GdTaO4、YTaO4、サイアロン蛍光体(Si-Al-O-N物質の総称)などの光透過性材料が挙げられる。
あるいは、これらの光透過性材料の中にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yなどの希土類元素、または、Tl、Na、Ag、W、CO3などの元素や、粉末状の蛍光材料が含有された光透過性材料が挙げられる。
また、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5に含有される元素イオンの価数は、発光に利用可能なものであれば特に限定されず、例えば、1価、2価、3価、4価等を利用することができる。
第1の蛍光体4と第2の蛍光体5の製造方法としては、ルミネッセンスを示す組成物を育成可能であれば特に限定されない。
例えば、フローティングゾーン法、チョクラルスキー法(引き上げ法)、マイクロ引下げ法、ブリッジマン法、ベルヌーイ法等を採用することができる。
《光子反射層6》
光子反射層6は、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5との間に挟まれていることが望ましい。この挟まれている構造によって、第1の蛍光体4で生成された光子を第2の蛍光体5の内部へ透過することなく光子伝送部7へ伝送可能となる。
また、前記の構造によって、第2の蛍光体5で生成された光子を第1の蛍光体4の内部へ透過することなく、光子伝送部7へ伝送可能である。
光子反射層6は、蛍光体の内部で生成された光子を反射可能であれば、その組成や構成を特に限定されない。
例えば、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製のテープ、アルミ箔、硫酸バリウム、光学フィルム、光学フィルタ、薄膜、多層膜、蛍光体、グリース、粉末、塗料、空気、バルク状の金属等を利用することができる。なお、バルク状の金属とは、例えば、厚みが1mm未満で、前記のアルミ箔よりも厚い金属で構成される。
また、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5の表面状態を、光子反射層6として利用することができる。例えば、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5の外側の表面加工等を施した構造を光子反射層として採用することができる。
また、採用可能な表面加工法としては、研磨等による機械加工、スパッタリング、蒸着、メッキやコーティング等による皮膜処理、熱処理、化学処理や塗装等が挙げられる。
光子反射層6の屈折率は、光子を反射可能であれば特に限定されない。
例えば、第1の蛍光体4(第2の蛍光体5)と比較して屈折率の小さい材質を光子反射層6に用いることによって、第1の蛍光体4(第2の蛍光体5)で生成された光子の反射確率を向上できる。また、効果的に低エネルギー放射線に対する感度を抑制可能である。
<放射線検知部2に関連するその他の事項>
放射線検知部2に関連するその他の事項として、「ハウジング」と「基準照射方向」について、次に説明する。
《ハウジング》
図1Aには、図示していないが、放射線モニタ1は、放射線検知部2(第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、および光子反射層6)がハウジング(保護容器、外殻容器)に収納されている。
放射線検知部2は、外来光と、第1の蛍光体4および第2の蛍光体5からの光と、を区別するため、ハウジングで遮光されていることが望ましい。
ハウジングは、放射線検知部を収納する容器である。ハウジングを構成する材料としては、光を反射可能なものであれば特に限定されない。例えば、テフロンテープ、硫酸バリウム、アルミニウムやステンレス鋼等を採用することができる。
《基準照射方向3》
図1Aにおいて、基準照射方向3は、放射線モニタ1が測定対象とする放射線の入射方向の基準(0°方向)の一例を表す。この基準照射方向3からの放射線に対して、放射線モニタ1の特性、性能を定めている。ただし、放射線が基準照射方向3以外の方向から来ても、特性、性能の差や変化はあるが、放射線モニタ1は作用する。
基準照射方向3は、第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、光子反射層6、および光子伝送部7の軸方向(伝送方向)に対して垂直であることが望ましい。
<光子伝送部7>
図1Aにおける光子伝送部7について説明する。
図1Aに示すように、光子伝送部7は、第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、および光子反射層6に接続されている。そして、放射線検知部2から放出された光を伝送する。
光子伝送部7は、後記(図2)する光検出器8に接続されている。
光子伝送部7は、光子を伝送可能であれば、特に限定されない。例えば、光ファイバ、光ガイド、光パイプ等を採用できる。
また、光子伝送部7を構成する材料としては、例えば、石英、プラスチック等が挙げられる。
<用語の補足説明>
以下において、放射線や光子や解析機材の説明において用いる語句の意味について、先に補足説明をする。
本明細書の以下の説明において、「電気パルス信号の計数率」とは、単位時間あたりに測定された電気パルス信号の数を意味している。
また、「所定の規格範囲」とは、光子の計数率範囲を示し、各規格において定められた範囲を表す。
また、「所定の範囲内の波長」とは、透過可能な波長範囲を示す。なお、特定波長の光子のみを透過させることで、光子を制御する。
また、「単一光子」とは、放射線の入射によって蛍光体内部で生成された一つ一つの光子を指す。
<放射線モニタと関連機材とのブロック図>
次に、放射線モニタと関連機材について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る放射線モニタ1と関連機材との構成例を示すブロック図である。
図2においては、放射線検知部2と光子伝送部7とを備えた放射線モニタ1が、さらに、光検出器8とカウンタ9と解析・表示装置10とを備えて、放射線モニタ1Bを構成している。
図2において、光検出器8は、光子伝送部7に接続され、光子伝送部7から伝送された光子を電気パルス信号に変換する検出器(光検出器)である。
光検出器8としては、例えば、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード等を採用することができる。
光検出器8として光電子増倍管等を用いることで、単一光子を電流増幅された一つの電流パルス信号として検出できる。
カウンタ9は、光検出器8と接続され、光検出器8から入力された電気パルス信号を計数する装置である。
カウンタ9としては、例えば、デジタルシグナルプロセッサを採用することができる。
解析・表示装置10は、カウンタ9に接続され、カウンタ9で計数された電気パルス信号の計数率を放射線の線量率に換算(解析)し、その値を表示する装置である。
解析・表示装置10は、電気パルス信号の計数率と放射線の線量率を対応付けるデータベースを保有している記憶装置(不図示)と、前記データベースを用いて電気パルス信号の計数率から放射線の線量率を換算する演算装置(不図示)と、換算した放射線の線量率を表示する表示装置(不図示)とを備えている。
解析・表示装置10としては、例えば、前記した機能(記憶、演算、表示)を有するパーソナルコンピュータを採用することができる。
本発明の第1実施形態に係る放射線モニタ1(1B)では、例えばγ線の入射によって、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5で生成された複数の光子に含まれる単一光子の計数率から、放射線の線量率を換算する。
この本発明の第1実施形態に係る放射線モニタ1(1B)の手法は、従来のγ線の計数率から放射線の線量率を換算する手法と異なる。
<放射線の線量率と単一光子の計数率の関係>
図3は、放射線の線量率と単一光子の計数率との概略の関係例を示す図である。
図3において、横軸は「放射線の線量率」を、縦軸は「光子の計数率(単一光子の計数率)」を示している。
図3に示すように、この単一光子の計数率を計測できれば、放射線の線量率を取得することができる。
したがって、この図3の関係を用いることで算出した単一光子の計数率から、放射線の線量率を換算することができる。
<放射線が蛍光体に入射した際の光の生成>
次に、放射線モニタ1における放射線検知部2の動作について説明する。
図4は、放射線11が放射線検知部2に入射した際の光の生成についての概略例を示す図である。
図4において、放射線11が放射線検知部2に入射すると、放射線検知部2に備えられた蛍光体(4,5:図1)において、相互作用12が生じる。この相互作用12に伴い、複数の単一光子13が発生する。
<光検出器の出力計測の電気パルス信号における従来例と本実施形態例の比較>
図5は、本実施形態の光検出器8の出力を計測したと仮定した場合の電気パルス信号15と、従来例の計測装置で光検出器8の出力を計測した場合の電気パルス信号14とを、比較した概略例を示す図である。なお、図5において、横軸は「時間」を、縦軸は「電圧」を示している。
図5において、従来例の計測装置で光検出器(8)の出力を計測した場合の電気パルス信号14は、従来においては、通常、放射線検知部(2)に一つの放射線11(図4)が入射すると複数の単一光子13が生成され、光検出器(8)を用いて一つの電気パルス信号14として測定される。
すなわち、従来例の計測装置における光検出器では、単一光子のパルスを検出するのではなく、複数のパルスの集合を一括して計測して、電気信号の波形として捉えていた。
一方、本実施形態では、光子伝送部7(図1、図2)から伝送された一つ一つの単一光子13を光検出器8(図2)で測定する。
図5に示すように、単一光子13は、光検出器8(図2)で約2nsの時間幅を持った電気パルス信号15として測定する。なお、約2nsの時間幅は、光検出器8の性能に依存している。
そして、図2で示したカウンタ9は、1発ごとの電気パルス信号15(図5)で単一光子13の個数をカウント(計測)する。
すなわち、従来例の計測装置では、放射線の入力によって発生する複数の単一光子13(図4)を光検出器(8)で一括して波形としての電気パルス信号14(図5)で計測していた。それに対して、本実施形態では、一つ一つの単一光子13を約2nsの時間幅を持った電気パルス信号15(図5)として光検出器8(図2)で測定する。
このように、一つ一つの単一光子13を一つ一つの電気パルス信号として、測定し、カウントするためには、光検出器8(図2)の性能と、第1の蛍光体4、第2の蛍光体5の蛍光体としての反応の際の時定数の特性にもよる。
また、従来の光検出器(8)で一括して波形としての電気パルス信号14(図5)で計測する方法を採用する場合にも、蛍光体の特性が関係する。
図5における一括して波形としての電気パルス信号14で検出する場合には、一般に蛍光の反応において、時定数の短い材質の蛍光物質を採用し、発生した複数の光子を一括して測定することによって、波形信号として検出することが一般的であった。
この時定数の短い材質の蛍光物質を光検出器として用いた場合に、300℃程度の高温や、高い放射線の環境に耐えられないことがあった。
また、逆に、高温や高い放射線の環境に耐える蛍光物質があったとしても、反応の際の時定数が大きい(長い)ために、従来の光検出器では採用されないことがあった。
それに対して、図5で示した一つ一つの単一光子13を約2nsの時間幅を持った電気パルス信号15(図5)として光検出器8(図2)で測定する場合における蛍光体には、反応の際の時定数が長いものが採用される。この反応が長く続く間にパルス状に検出する方法をとっている。
この蛍光体の反応の際の時定数の長いものは、前記の理由で、従来の計測方法では、採用されなかった蛍光物質もある。
それに対して、本実施形態では、一つ一つの単一光子13を一つ一つの電気パルス信号として測定する方法によって、蛍光体の反応の際の時定数の長いものが採用できる。
そのため、従来では採用を見合わせていた高温や高放射能の条件で有用な特性を有する蛍光体も採用できる可能性がある。
すなわち、本実施形態の放射線モニタ1では、高温や高放射能の環境でも採用ができる可能性があり、蛍光物質の選択の幅が広がる。その結果、高温や高放射能の環境でも耐えられる放射線モニタが実現する可能性がある。
また、パルス状に検出する方法であるので、高速に測定できて、測定感度が上がり、計測レンジが拡がる可能性のある計測方法である。
<光子の計数率の放射線エネルギー依存性>
図6は、光子の計数率の放射線エネルギー依存性について、その一例を示す概略図である。図6において、横軸は「放射線のエネルギー」であり、縦軸は「光子の計数率」である。なお、「光子の計数率」とは、放射線が蛍光体を通過した場合に、放射線を光子に変換してカウンタ9(図1)で計測する割合である。
図6に示すように、光検出器8で検出される光子の計数率は、入射する放射線のエネルギーに依存して変化する。一般に、放射線のエネルギーが低下するにつれて光子の計数率が増加し、放射線のエネルギーが増加するにつれて光子の計数率が低下する。
その理由は、入射する放射線のエネルギーに依存して、放射線検知部2に含まれる蛍光体が異なる測定感度を有するためである。
ただし、蛍光体から発生する光子の波長は、放射線のエネルギーの高低には関係せず、蛍光体の材質の特性によって所定の値となる。
蛍光体(第1の蛍光体4、第2の蛍光体5)は、低いエネルギーの放射線の方が補足しやすく、反応しやすい。あるいは、放射線からのエネルギーを付与されやすい。
逆に、高いエネルギーの放射線は、蛍光体を素通りしやすい。
エネルギーを付与された蛍光体は、光子を発生する。この放射線に反応して単一光子を発生する相互作用は、前記したように、放射線の低いエネルギーの方が起きやすい。
特に密度の高い蛍光体を放射線検知部2に適用した場合に、この放射線の低いエネルギーの方が、相互作用は起きやすくなるという傾向は顕著となる。
ただし、放射線モニタの線量率測定は、様々なエネルギーの放射線が混在する環境下で使用される。
そのため、様々な放射線のエネルギーに対して、測定される光子の計数率が、例えば図6に示す所定の規格範囲31の間に収まるように、放射線検知部2の感度を平坦化する必要がある。
この平坦化の具体策については、後記する。
<付与エネルギー割合の蛍光体の厚さ依存性>
図7は、付与エネルギー割合の蛍光体の厚さ依存性について、その概略の関係例を示す図である。
なお、付与エネルギー割合とは、蛍光体の中を放射線が通った場合に、その放射線エネルギーが、蛍光体に蛍光体のエネルギーとして付与されるエネルギーの割合である。
図7において、横軸は「蛍光体の厚さ」を、縦軸は「付与エネルギー割合」を示している。また、放射線のエネルギーが低い特性を、低エネルギー放射線32で示し、放射線のエネルギーが高い特性を、高エネルギー放射線33で示している。
図7に示すように、低エネルギー放射線32は、放射線の透過力が弱いため、放射線の入射面における蛍光体の表面の近傍で、放射線の主なエネルギーが付与される。
一方、高エネルギー放射線33は、放射線の透過力が強く、低エネルギー放射線32と比較して、蛍光体の厚さ方向の深部までエネルギーが付与される。
なお、図7の「付与エネルギー割合」は、付与エネルギーが蛍光体の表面で反応したものか、蛍光体の奥の方まで届いたかの「割合」に対応するが、「付与エネルギー」そのものを表記している訳ではない。
<放射線が第1の蛍光体および第2の蛍光体に入射した際の光の生成>
図8は、放射線が第1の蛍光体4、および第2の蛍光体5に入射した際の光の生成についての概略例を示す図である。
図8に示すように、低エネルギー放射線32が放射線検知部2に入射すると、第1の蛍光体4で相互作用12が生じ、生成された光子40は、第1の蛍光体4と光子伝送部7との接触する領域S1を介して、光子伝送部7へ伝送される。なお、光子40は、単一光子(13:図4)とは限らない。
また、高エネルギー放射線33は、放射線のエネルギーが高いので、放射線検知部2の奥の方(第2の蛍光体5)まで到達する。
高エネルギー放射線33が放射線検知部2に入射すると、第2の蛍光体5で相互作用12が生じ、生成された光子40は、第2の蛍光体5と光子伝送部7との接触する領域S2を介して、光子伝送部7へ伝送される。
これらの反応において、光子反射層6は、第1の蛍光体4で生成された光子40が第2の蛍光体5へ透過することを防ぎ、また、第2の蛍光体5で生成された光子40が第1の蛍光体4へ透過することを防ぐ役割を果たす。
なお、光子反射層6は、第1の蛍光体4、および第2の蛍光体5と比較して、光の屈折率の小さい材質を用いる。
また、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5で生成された光子40が光子伝送部7へ伝送される光子数は、蛍光体と光子伝送部7との接触面積に比例する。なお、第1の蛍光体4と光子伝送部7との接触面積を「SS1」とし、第2の蛍光体5と光子伝送部7との接触面積を「SS2」とする。
そのため、光子伝送部7と第1の蛍光体4と第2の蛍光体5との接触面積比(SS1:SS2)を調整することで、低エネルギー放射線32と高エネルギー放射線33に対する感度を調整可能である。
このように、放射線モニタ1は、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5とが互いに隣接して並列に配置され、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5との間に光子反射層6を有し、第1の蛍光体4と光子反射層6と第2の蛍光体5が光子伝送部7と接する構造を有している。
この構造において、それぞれの接触面積比(SS1:SS2)を適正に選択した構成とすることによって、放射線検知部2の感度のエネルギー特性が平坦化可能となる。
なお、図8においては、高エネルギー放射線33が第1の蛍光体4で相互作用をして、単一光子を発生する状況を、説明の都合上、省略して記載している。
図7に示した「蛍光体の厚さ」と「付与エネルギー割合」の関係のように、高エネルギー放射線33においても、第1の蛍光体4における相互作用による光子の発生は、第2の蛍光体5における相互作用による光子の発生よりは頻度が高い。すなわち、第1の蛍光体4における相互作用による光子の発生は、低エネルギー放射線32のみならず高エネルギー放射線33においても頻度が高い。
この理由からも、放射線検知部2の感度のエネルギー特性を平坦化するためには、第1の蛍光体4と光子伝送部7との接触面積SS1を、第2の蛍光体5と光子伝送部7との接触面積SS2よりも小さくするように、調整する必要がある。
<第1実施形態の効果>
本発明の第1実施形態によれば、小型かつ単一の放射線検知部で、入射した放射線に対して光子を放出する感度のエネルギー特性を平坦化可能な放射線モニタを提供できる。
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る放射線モニタ1Cの構成について、図9A、図9Bを参照して説明する。
図9Aと図9Bは、本発明の第2実施形態に係る放射線モニタ1Cの概略の構成例を示す図である。
なお、図9Aは、放射線検知部2Cと光子伝送部7が並ぶ横方向から見た図である。また、図9Bは、図9Aにおける放射線検知部2Cを紙面視の左側からの正面方向として見た図である。
図9Aにおいて、放射線モニタ1Cは、放射線検知部2Cと光子伝送部7とを備えて構成されている。
また、放射線検知部2Cは、第1の蛍光体4C、第2の蛍光体5C、光子反射層6Cを備えて構成されている。
図9Aにおける放射線モニタ1Cの構成は、放射線検知部2Cの構成に違いがあるが、図1Aにおける放射線モニタ1の構成と、見かけ上、同一の構成であるので、重複する説明は、省略する。なお、図9A、図9Bにおける放射線検知部2Cの構成と、図1A、図1Bにおける放射線検知部2の構成との相違は、図9Bを参照して説明する。
図9Bにおいて、図1Bと異なるのは、図1Bが放射線検知部2を正面方向から観ると方形(正方形、長方形)の形状で構成されていたのに対し、図9Bでは、放射線検知部2C(第1の蛍光体4C、第2の蛍光体5C、光子反射層6C)を正面方向から観ると円形の形状で構成されていることである。
すなわち、図9Aと図9Bを併せると、本発明の第2実施形態に係る放射線モニタ1Cの放射線検知部2Cは、円柱の形状(円柱形状)をしていることである。
そのため、図9Bにおいて、放射線検知部2Cと基準照射方向3との相対的関係が円周方向に変動したとしても、図1Bにおける基準照射方向3の角度の変動よりは、特性の変化が小さいという特徴がある。
<第2実施形態の効果>
本発明の第2実施形態によれば、放射線検知部2Cと基準照射方向3との相対的関係が図9Bにおける円周方向に変動したとしても、図1Bにおける基準照射方向3の角度の変動よりは、特性の変化が小さいという効果がある。
≪第3実施形態≫
本発明の第3実施形態に係る放射線モニタ1Dの構成について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る放射線モニタ1Dの概略の構成例を、放射線検知部2Dと光子伝送部7が並ぶ横方向から示す図である。
図10において、放射線モニタ1Dは、放射線検知部2Dと光子伝送部7を備えて構成されている。
放射線検知部2Dは、第1の蛍光体4Dと、第2の蛍光体5Dと、光子反射層6Dとを備えて構成されている。また、基準照射方向3は、第1の蛍光体4D、第2の蛍光体5D、光子反射層6Dに対して、垂直方向とする。
図10において、第2の蛍光体5Dは、半球体の形状をしている。また、光子反射層6Dは、第2の蛍光体5Dを覆うように半球体の外殻の形状をしている。さらに、第1の蛍光体4Dは、光子反射層6Dを覆うように半球体の厚い外殻の形状をしている。
そのため、第1の蛍光体4Dと光子反射層6Dと第2の蛍光体5Dとで構成される放射線検知部2Dは、全体として、球体の半分からなる球体形状(半球体形状)で構成されている。ただし、単に球体形状とも呼称する。
また、光子伝送部7は、放射線検知部2Dを構成する第1の蛍光体4D、光子反射層6D、第2の蛍光体5Dのそれぞれに接している。
以上のように、第2実施形態に係る放射線モニタ1Dは、第1実施形態に係る放射線モニタ1と、放射線検知部(2,2D)と光子伝送部7との関係において、位相幾何学的には同一の構成であるが、放射線検知部2Dの形状が半球体の形状をしている点が異なる。また、基準照射方向3が半球体の形状の放射線検知部2Dの中心であることが異なる。
このように、放射線検知部2Dが球体形状の蛍光体と光子反射層を有することにより、基準照射方向3との相対的な関係が変化しても、放射線を放射線検知部2Dに取り込みやすいので、放射線の方向特性を向上させることが可能である。
<第3実施形態の効果>
本発明の第3実施形態によれば、放射線検知部2Dが球体形状の蛍光体と光子反射層を有することにより、放射線の方向特性を向上することが可能となる効果がある。
≪第4実施形態≫
本発明の第4実施形態に係る放射線モニタ1Eの構成について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る放射線モニタ1Eの概略の構成例を、放射線検知部2Dと光子伝送部7E1,7E2が並ぶ横方向から示す図である。
図11において、放射線モニタ1Eにおける放射線検知部2Dは、第1の蛍光体4Dと、第2の蛍光体5Dと、光子反射層6Dとを備えて構成されている。
ただし、放射線検知部2D、および第1の蛍光体4Dと、第2の蛍光体5Dと、光子反射層6Dは、第3実施形態を示す図10の放射線検知部2D、および第1の蛍光体4Dと、第2の蛍光体5Dと、光子反射層6Dと、それぞれ実質的に同じ構成であるので、重複する説明は省略する。
図11における放射線モニタ1Eが、図10における放射線モニタ1Dと異なるのは、光子伝送部が、光子伝送部7E1と光子伝送部7E2とに分かれて構成されていることである。
図11において、光子伝送部7E1と光子伝送部7E2との間には、隙間があるので、第2の蛍光体5Dから出力された光子の一部が、光子伝送部7E1と光子伝送部7E2との間の隙間を通過することがある。この隙間を通過する、あるいは漏洩した光子は、カウントされないことになる。すなわち、第2の蛍光体5Dから出力された光子の計数率は、低下することになる。
このように、2つ以上の光子伝送部(7E1,7E2)を有する構成により、光子伝送部(7)と第1の蛍光体4Dと第2の蛍光体5Dとの接触面積比の調整が容易となり、放射線検知部2Dの感度のエネルギー特性をより効果的に平坦化可能となる。
なお、図11において、光子伝送部7E1と光子伝送部7E2とに別れた光子伝送部の取り扱いについては、様々な方法がある。例えば、以下の方法がある。
<1> 光子伝送部7E1と光子伝送部7E2を束ねて光検出器8(図1B)に入れる。
<2> 光ファイバカプラーに入力して1本のファイバに纏める。
<3> 集光レンズを用いて光検出器8(図1B)に入力する。
<第4実施形態の効果>
本発明の第4実施形態によれば、放射線モニタ1Eは、第1の蛍光体4D、第2の蛍光体5D、光子反射層6Dを有するとともに、2つ以上の光子伝送部(7E1,7E2)を有することによって、様々なエネルギーの放射線に対して感度を平坦化でき、線量率の測定精度を向上することが可能となる効果がある。
≪第5実施形態≫
本発明の第5実施形態に係る放射線モニタ1Fの構成について、図12を参照して説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係る放射線モニタ1Fの概略の構成例を、放射線検知部2Fと光子伝送部7が並ぶ横方向から示す図である。
図12において、図1と異なるのは、放射線検知部2Fの構成である。その他の構成は、図1と概ね同じ構成であるので、重複する説明は、適宜、省略する。
図12において、放射線検知部2Fは、第1の蛍光体4F、第2の蛍光体5、第3の蛍光体16、光子反射層6、第2の光子反射層17を備えて構成されている。
図1に比較して、図12における新たな構成要素は、第3の蛍光体16と第2の光子反射層17が備えられたことである。ただし、第3の蛍光体16が設けられたことによって、第1の蛍光体4Fの占める割合が相対的に減少している。
第3の蛍光体16と第2の光子反射層17は、互いに隣接して並列に配置されている。そのため、第3の蛍光体16に入射した放射線で発生した光子は、第2の光子反射層17で反射され、光子伝送部7に到達しない。
このように、図12における放射線モニタ1Fは、第3の蛍光体16と第2の光子反射層17を有することで、第1の蛍光体4Fの有感体積を小さくできる。ただし、第2の蛍光体5は、第1の蛍光体4Fと第3の蛍光体16を透過してくる高エネルギー放射線33(図7、図8)で相互作用12(図8)を起こし、光子40(図8)を発生する。
そのため、高エネルギー放射線33(図7、図8)の計数率を保ちながら、感度が増加する低エネルギー放射線32(図7、図8)に対する計数率を抑制し、放射線検知部2F(図12)の感度のエネルギー特性の更なる平坦化が可能となる。
なお、図12において、第3の蛍光体16、および第2の光子反射層17は、互いに隣接して並列に配置される構造を有していることが重要である。
また、第3の蛍光体16は、放射線を吸収可能な材質であれば特に限定されない。例えば、蛍光体、金属、樹脂等を使用可能である。
第2の光子反射層17は、蛍光体の内部で生成された光子を反射可能であれば、特に限定されない。例えば、テフロンテープ、アルミ箔、硫酸バリウム、光学フィルム、光学フィルタ、薄膜、多層膜、蛍光体、グリース、粉末、塗料、空気、バルク状の金属等を利用することができる。
<第5実施形態の効果>
本発明の第5実施形態によれば、放射線モニタ1Fは、第3の蛍光体16、および第2の光子反射層17が互いに隣接して並列に配置される構造を有することで、様々なエネルギーの放射線に対して感度を平坦化でき、線量率の測定精度を向上させる効果がある。
≪第6実施形態≫
本発明の第6実施形態に係る放射線モニタ1Gの構成について、図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第6実施形態に係る放射線モニタ1Gの概略の構成例を、放射線検知部2Gと光子伝送部7が並ぶ横方向から示す図である。
図13において、図1と異なるのは、放射線検知部2Gの構成である。その他の構成は、図1と概ね同じ構成であるので、重複する説明は、適宜、省略する。
図13において、放射線検知部2Gは、第1の蛍光体4G、第2の蛍光体5、光子反射層6、光子吸収層18を備えて構成されている。
図1に比較して、図13における新たな構成要素は、光子吸収層18が備えられたことである。
光子吸収層18は、第1の蛍光体4Gと光子反射層6と光子伝送部7とに接続されている。光子吸収層18は、通過する光子数を減衰させる。あるいは、所定の範囲内の波長を透過させる機能を有している。
この機能によって、第1の蛍光体4Gから光子伝送部7へ伝送される光子数を低減でき、感度が増加する低エネルギー放射線32に対する計数率を抑制し、放射線検知部2Gの感度のエネルギー特性を平坦化することが可能である。
なお、光子吸収層18は、第1の蛍光体4Gから伝送された光子に対し、光子数を減衰させる、あるいは所定の範囲内の波長を透過可能とする機能を有していれば、材質は特に限定されない。
例えば、光学フィルム、光学フィルタ、薄膜、多層膜、蛍光体、グリース、粉末、塗料、空気等を適用可能である。
<第6実施形態の効果>
本発明の第6実施形態によれば、放射線モニタ1Gは、光子吸収層18で光子数を減衰させる、あるいは所定の範囲内の波長を透過させる機能を有することで、様々なエネルギーの放射線に対して感度を平坦化でき、線量率の測定精度を向上させる効果がある。
<放射線モニタの好適な使用例>
次に、本発明の放射線モニタ(1,1B,1C,1D,1E,1F,1G)の好適な使用例について説明する。
図14は、例えば図1、あるいは図2の放射線モニタ1の実際の測定対象である放射線環境下における使用例の概略を示すブロック図である。
図14において、放射線検知部2が測定対象エリア34内に設置されている。また、光子伝送部7と接続された光検出器8と、カウンタ9と、解析・表示装置10とが一般エリア35内に設置されている。
これらの構成によって、測定対象エリア34に相当する、例えば、原子炉建屋、原子炉格納容器内部の様々な放射線のエネルギーに対する線量率を、放射線の影響の少ない一般エリア35内で、高精度で測定することができる。
さらには、例えば、原子力発電プラントや核燃料再処理施設、放射性同位元素を使用する医療施設、産業施設、研究用加速器施設、一般環境モニタリング装置等における放射線測定において、本発明の放射線モニタ(1,1B,1C,1D,1E,1F、1G)を適用できる。
なお、図14において、基準照射方向3は、測定対象エリア34の様々な場所から来る放射線の方向と必ずしも一致するわけではないので、測定精度や測定方法には様々な工夫を要する場合もある。
例えば、図10に示した半球面体の放射線検知部2Dを備える放射線モニタ1Dを用いれば、放射線の方向特性が改善し、測定精度が向上する可能性はある。
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
《第1の蛍光体、第2の蛍光体、光子反射層の構造》
図1A、図1Bにおいて、第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、光子反射層6は、それぞれ1個の場合を示した。しかし、第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、および光子反射層6の個数は、隣接して配置される構造を有していれば特に限定されない。2個以上の蛍光体、および反射層を重ねることも可能である。
第1の蛍光体4、第2の蛍光体5、及び光子反射層6の形状は、隣接し配置される構造であれば、形状は特に限定されない。具体的には、一部を前記したように、立方体、直方体、角柱、円柱、半球体などの形状を利用することができる。
《複数の光子伝送部》
図11においては、二つの光子伝送部7E1、光子伝送部7E2で説明したが、3つ以上の光子伝送部で構成してもよい。また、複数の光子伝送部において、放射線検知部(2D)との接触面積は、それぞれ異なってもよい。
《第3の蛍光体、第2の光子反射層》
図12において、第3の蛍光体16、および第2の光子反射層17は、隣接し並列に配置される構造を有していることが重要である。
例えば、第3の蛍光体16、および第2の光子反射層17の個数は、隣接し配置される構造を有していれば特に限定されず、2個以上の蛍光体および反射層を重ねることも可能である。
《第1の蛍光体、第2の蛍光体の材質》
図1を参照した第1実施形態の放射線モニタ1の放射線検知部2の説明において、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5の組成物について、同じ組成として説明した。しかし、第1の蛍光体4と第2の蛍光体5とが異なる組成物であってもよい。第2の蛍光体5を第1の蛍光体4よりも、高エネルギー放射線に対する反応が起きやすい組成物を用いることによって、エネルギー特性を平坦化することに更なる効果がある。
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G 放射線モニタ
2,2C,2D,2F,2G 放射線検知部
3 基準照射方向
4,4C,4D,4F,4G 第1の蛍光体
5,5C,5D 第2の蛍光体
6,6C,6D 光子反射層
7,7E1,7E2 光子伝送部
8 光検出器
9 カウンタ
10 解析・表示装置
11 放射線
12 相互作用
13 単一光子(光子)
16 第3の蛍光体
17 第2の光子反射層(光子反射層)
18 光子吸収層
30 基準計数率
31 規格範囲
32 低エネルギー放射線(放射線)
33 高エネルギー放射線(放射線)
34 測定対象エリア
35 一般エリア
40 光子

Claims (12)

  1. 入射した放射線に対して光子を放出する蛍光体を有する放射線検知部と、
    前記放射線検知部の蛍光体から放出された光子を伝送する光子伝送部と、
    を備え、
    前記蛍光体は、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを有し、
    前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体は、互いに隣接して、並列に配置され、
    前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体との間に光子反射層を有し、
    前記第1の蛍光体と前記光子反射層と前記第2の蛍光体が、前記光子伝送部と接する、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  2. 請求項1において、
    前記放射線検知部は、放射線が前記第1の蛍光体、前記光子反射層、前記第2の蛍光体の順に入射する構造で構成され、
    前記第2の蛍光体と前記光子伝送部の接触面積が、前記第1の蛍光体と前記光子伝送部の接触面積と比較して大きい、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  3. 請求項1において、
    前記光子反射層の屈折率は、前記第1の蛍光体の屈折率より小さい、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  4. 請求項1において、
    前記光子反射層は、バルク状の金属材料で構成される、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  5. 請求項1において、
    前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体と前記光子反射層は、円柱形状を有する、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  6. 請求項1において、
    前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体と前記光子反射層は、球体形状を有する、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  7. 請求項1において、
    前記光子伝送部は、前記放射線検知部との接続部分において、複数の光子伝送部を備えて構成される、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  8. 請求項1において、
    前記放射線検知部に、第3の蛍光体と第2の光子反射層とを有し、
    前記第2の光子反射層は、前記第3の蛍光体と前記第1の蛍光体との間に配置される、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  9. 請求項1において、
    前記第1の蛍光体と前記光子伝送部との間に光子吸収層を有する、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  10. 請求項1において、
    前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体とは、異なる組成物で構成されている、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  11. 請求項1において、
    前記光子伝送部から伝送された光子を電気パルス信号に変換する光検出器と、
    前記光検出器から入力された電気パルス信号を計数するカウンタと、
    前記カウンタで計数された電気パルス信号の計数率を放射線の線量率に換算して表示する解析・表示装置と、
    を備える、
    ことを特徴とする放射線モニタ。
  12. 請求項1に記載の放射線モニタを用いた放射線の検出方法であって、
    前記第2の蛍光体と前記光子伝送部の接触面積と、前記第1の蛍光体と前記光子伝送部の接触面積との比率を調整することによって、低エネルギー放射線と高エネルギー放射線に対する感度を調整する、
    ことを特徴とする放射線の検出方法。
JP2021195121A 2021-12-01 2021-12-01 放射線モニタ、および放射線の検出方法 Pending JP2023081439A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021195121A JP2023081439A (ja) 2021-12-01 2021-12-01 放射線モニタ、および放射線の検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021195121A JP2023081439A (ja) 2021-12-01 2021-12-01 放射線モニタ、および放射線の検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023081439A true JP2023081439A (ja) 2023-06-13

Family

ID=86728044

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021195121A Pending JP2023081439A (ja) 2021-12-01 2021-12-01 放射線モニタ、および放射線の検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023081439A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yanagida Inorganic scintillating materials and scintillation detectors
AU2007267904B2 (en) Neutron and gamma ray monitor
US20070131866A1 (en) Activated alkali metal rare earth halides and articles using same
US9012864B2 (en) Neutron detector
US20130099125A1 (en) Compact thermal neutron monitor
EP1634104A2 (en) Neutron and gamma ray monitor
WO2017047094A1 (ja) シンチレータアレイ
US8399849B1 (en) Fast neutron detector
WO2020241352A1 (ja) 放射線モニタ装置
JP2008051626A (ja) ラインセンサ、ラインセンサユニット及び放射線非破壊検査システム
JP2017161378A (ja) 放射線モニタ及び放射線測定方法
EP3441793A1 (en) Scintillator array
JP6637176B2 (ja) 放射線モニタ
JP7117213B2 (ja) 放射線モニタ及び放射線の測定方法
JP2023081439A (ja) 放射線モニタ、および放射線の検出方法
US10908301B2 (en) Radiation monitor
JP7160572B2 (ja) 放射線モニタ
Krus et al. Precision linear and two-dimensional scintillation crystal arrays for X-ray and gamma-ray imaging applications
JP6894861B2 (ja) 放射線モニタ
US11131779B2 (en) Radiation monitor
JP2022129614A (ja) シンチレータおよび放射線測定装置
JP2024074012A (ja) 放射線検出装置