JP4307127B2 - 放射線撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線を用いて画像を撮影するデジタル放射線撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、X線(放射線)撮影のフィルムの廃止及びデジタルX線撮影を目的として、半導体を用いた光電変換素子とX線光変換材料を組み合わせたデジタルX線撮影装置が実用化されている。
【0003】
光電変換撮像素子はガラス基板上に薄膜トランジスタや電気配線を含む画素(一辺の大きさが50〜300μm)として2次元的に形成されている。光電変換撮像素子の周囲には、情報の読み取りのためのICが配置されている(特開平10−341013号公報)。なお、以下の説明において光電変換撮像素子とTFT等から成る複数の画素をガラス基板等の絶縁基板上に二次元に形成したものを光電変換撮像素子基板という。
【0004】
また、X線光変換材料は、シンチレータ又は蛍光体と呼ばれる材料である。デジタルX線撮影用放射線変換シートに用いるX線光変換材料としては、例えば、特開平11−305000号公報や特開2000−155198号公報に開示されているように、シート状のプラスチック基板上に蛍光体粒子とバインダ樹脂を混合してなる蛍光体層を、塗布方式により形成したデジタルX線撮影用放射線変換シート(蛍光体シート)がある。
【0005】
蛍光体粒子としては酸硫化ガドリニュウムが主に用いられ、これらの蛍光体シートは基板材料に蛍光体粒子を連続に塗布し、溶剤を乾燥後、一定サイズに切断して得られる。蛍光体のX線光変換効率を高めるため、蛍光体層に含まれるバインダーの含有量は1〜10重量%である。
【0006】
デジタルX線撮影装置を作製するためには、光電変換撮像素子基板とX線蛍光体層(以下、蛍光体層とする)を積層することが必須である。光電変換撮像素子基板を積層するため、粘着剤を介して光電変換撮像素子基板上にシンチレータを積層する技術が、特開平10−341013号公報、特開2002−243859号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、蛍光体層を光電変換撮像素子基板の表面に粘着剤層を介して積層する場合の課題としては、粘着剤層を薄くしないと解像度が低下するため、粘着剤層の厚さは通常20μm以下とすることが必要である。
【0008】
また、本願発明者等の研究によれば、蛍光体層のバインダポリマーが1〜10重量%、特に、5重量%以下の場合には、蛍光体層と粘着剤との密着力が低下することが判明した。また、特に、40℃以上の環境下での密着力の低下が著しかった。
【0009】
上述のようにデジタルX線撮影装置において蛍光体層と光電変換撮像素子基板は光学的に透明な粘着剤または接着剤を用いて接着している。接着しないと、蛍光体の発光量が電変換撮像素子に伝わる量が減少し、解像度が低下する問題を生じる。
【0010】
一般に、光電変換撮像素子はガラス基板に形成され、蛍光体層はプラスチック基板に形成されることが多い。この場合には、プラスチック基板の熱膨張量とガラス基板の熱膨張量の差異によって蛍光体層と粘着剤を剥がすような応力が発生し、上述のように蛍光体層と粘着剤との密着力が低下すると、蛍光体層と粘着剤の界面で剥離が生じ易い。そこで、密着力を向上させるため蛍光体層のバインダポリマー量を増加すると、X線光変換効率が低下し、デジタルX線撮影装置の感度が低下する問題が生じる。
【0011】
一方、粘着剤に代えて接着剤を用いて接着する場合には、それを薄くするために低粘度の接着剤を光電変換撮像素子基板表面に塗布し、ラミネータロール等を用いて蛍光体シートの表面から圧力をかけて蛍光体シートを積層すると、周辺に接着剤がはみ出るため、はみ出した接着剤の清掃が必要となる。また、光電変換撮像素子基板の周囲には、光電変換情報を読み取るためにICを接続するパット部が形成されており、光電変換撮像素子基板毎に接着剤を塗布し、貼り合せると、パッド部に接着剤を塗布しないようにする必要があり、接着工程のコストが高くなる。
【0012】
更に、低粘度の接着剤層を安定にするため、架橋剤を用いて接着剤を硬化する工程が必要となる。一般に、熱硬化を行うためには、光電変換撮像素子/粘着剤層/蛍光体シートの積層体を60〜100℃に加熱する工程が必要となるが、加熱により異種材料の積層体の熱膨張差で積層体の層間剥離、そりが発生するという問題があった。
【0013】
加熱硬化しないまでも、架橋剤に含まれる反応活性物質が光電変換撮像素子基板の表面近傍に存在すると、光電変換撮像素子基板に感度分布が生じる。光電変換撮像素子基板の感度分布は、光電変換撮像素子を形成する半導体材料がアモルファスシリコンから形成されている場合に顕著である。
【0014】
また、酢酸ビニル系樹脂に代表される溶剤蒸発硬化タイプの粘着剤は、粘着剤層の厚さに対して面積が著しく大きい面を貼り合わせる場合には、粘着剤層内に残存溶剤が残り、光電変換素子の耐久性に悪影響が発生するため、デジタルX線撮影装置に用いることはできなかった。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、蛍光体層と粘着剤層との密着力を向上でき、長期に渡って安定した性能を得ることが可能な放射線撮影装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、光電変換撮像素子が配置されたセンサ基板と、蛍光体層と、前記センサ基板と前記蛍光体層の間に配置された粘着剤層と、を有する放射線撮影装置において、前記蛍光体層のバインダポリマーと前記粘着剤形成ポリマーが、前記粘着剤層に含まれる架橋剤により架橋されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明による放射線撮影装置の一実施形態の構成を示す断面図である。基材1は蛍光体層を形成するための基材シートの役割をする。また、2は蛍光体層、3は粘着剤層、8はガラス基板、7はガラス基板8上に2次元に形成された光電変換撮像素子、6は画像信号読み出し用ICを示す。
【0019】
光電変換撮像素子7と信号転送素子であるTFT(図示せず)等で1画素が構成され、この複数の画素をガラス基板8上に二次元に形成することで光電変換撮像素子基板が構成されている。また、ガラス基板8上には、画像信号読み出し回路がIC6として形成されている。光電変換撮像素子が形成された基板と蛍光体層2は粘着剤層3によって接合されている。
【0020】
基材1としてはX線を透過する材料が好ましい。基材1の材料としては、プラスチック基板、シリコン基板、カーボン基板等を用いることができる。プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートなどの樹脂材料、または樹脂材料に酸化チタン、酸化アルミニウム等の顔料を混入した白色樹脂材料を用いることができる。基材1の厚さとしては、X線の透過量を十分に確保するために0.1〜2mmが好ましい。
【0021】
蛍光体層2はX線を可視光に変換する機能を有する。蛍光体層2には蛍光体材料とバインダ樹脂から成る粒子状蛍光体層が用いられる。蛍光体材料としては、Gd3O2S2:Tb、Gd3O2S2:Eu等の粒子が用いられる。また、バインダ樹脂としては、ブチラール化ポリビニルアルコール樹脂、アクリルポリオール樹脂等の水酸基を有する樹脂が好ましい。
【0022】
粘着剤層3としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよいが、その中でも、アクリル系粘着剤を主とするのが好ましい。アクリル系粘着剤としては、粘着性を付与する低Tgの主モノマー成分、架橋や接着性改良のための極性基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体より構成されている。
【0023】
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0024】
極性基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0025】
このような材料が好ましい理由は、粘着性、凝集性に優れると共に、ポリマー中に不飽和結合がないため光や酸素に対する安定性が高く、また、モノマーの種類や分子量の選択により用途に応じた任意の品質、特性を得られるからである。
【0026】
特に、極性基含有モノマー成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマーが好ましい。
【0027】
極性基としてのヒドロキシル基(−OH)は、カルボキシル基(−COOH)と比較して解離しにくい。その結果、半導体を用いた光電変換撮像素子の電位に影響を及ぼす可能性が低くなり、光電変換撮像素子の感度変化が発生しにくい。従って、大画面でも撮影された画像が鮮明で、ゴーストの無い画像が得られ、特に、本発明による放射線撮影装置を医療診断分野に用いた場合には、誤診を招くことがない放射線画像が得られる。なお、放射線としては、X線の他にα線、β線、γ線等を用いることができる。
【0028】
粘着剤としては、架橋型のものが使用できる。架橋剤として、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等の各種架橋剤等が挙げられ、これらは官能基の種類等に応じて適宜選択する。
【0029】
粘着剤層3は、剥離フィルムに上記モノマー混合物と、架橋剤を混合した塗布液を、(1)剥離フィルムに塗布し、数時間硬化した後得られる。または、(2)直接蛍光体層表面に塗布し数時間硬化した後得られる。
【0030】
ここで、蛍光体層2と粘着剤層3との界面9において蛍光体層2のバインダ樹脂に含まれている極性基と粘着剤層3に含有している架橋剤が反応して強固な接着がなされている。例えば、バインダ樹脂が図2に示すようにブチラール化ポリビニルアルコールの場合には、バインダ樹脂の−OH基と粘着剤のOH基がイソシアネート架橋剤を介して架橋することが可能となる。
【0031】
次に、蛍光体層2と粘着剤層3を接着した後、20℃〜30℃、100時間以上放置することで、粘着剤層内に含有する架橋剤は機能が消失し、その後、光電変換撮像素子基板表面に接着することで、架橋剤がセンサに及ぼす影響を回避することができる。
【0032】
粘着剤としては、光電変換撮像素子において感光する波長の光透過性を有するものが必須である。このような粘着剤には、必要に応じて可塑剤が添加される。可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸トリエステル、グリコールエステル等のエステル類や、プロセスオイル、液状ポリエーテル、液状ポリテルペン、その他の液状樹脂等が挙げられ、このうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。可塑剤の他、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、老化防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0033】
剥離フィルムとしては、いずれのものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリプロピレン等の各種樹脂よりなるフィルムを基材とし、この基材の粘着剤層3との接合面に図示しない離型コート層(シリコーン層)が形成されたものを用いることができる。
【0034】
剥離フィルムの粘着剤層3への密着力は、粘着剤層3の蛍光体層2への密着力よりも十分に低いことが望ましい。更に、剥離フィルムは光学的に透明であることが望ましい。少なくとも、蛍光体層2が発生する蛍光の波長領域において透明であることが望ましい。
【0035】
デジタル放射線撮影用放射線変換シートは、光電変換撮像素子基板に積層する前に、蛍光体層2または粘着剤層3の中或いは表面に含まれるごみ異物を検査し、規格外のごみ異物を持つデジタルX線撮影用放射線変換シートを不良品として排除するため、剥離フィルムは透明である必要がある。剥離フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム(PET)等が好ましい。
【0036】
図3(a)は剥離フィルム付き粘着剤シートの断面図を示す。剥離フィルム41の表面に粘着剤を塗布、硬化後、厚さ5〜20μmの粘着剤層3を形成し、次にその粘着剤層3の上に剥離フィルム42を積層している。剥離フィルム41と42の粘着剤層3への密着力に差異があり、どちらか一方の剥離フィルムが容易に剥離できるように設計されている。
【0037】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0038】
(実施例1)
(1)剥離シート
剥離フィルム41として、構成材料をポリエステルフィルムを用い、片面にシリコーン処理(リンテック社製、SP、PET25)を施した。厚さは25μmとした。一方、剥離フィルム42は剥離フィルム41と同一の材料を用い、その厚さを38μmとした。なお、剥離フィルム41のように片面にシリコーン処理は行っていない。
【0039】
(2)粘着剤シート
アクリル酸ブチル:90質量部に対してアクリル酸:10質量部の割合のアクリル酸エステル系重合体(粘着剤):99.9質量部に、トリメチロールプロパントリレンジイソシアナート(架橋剤):0.2質量部を混合し、粘着剤溶液を調整した。この溶液を剥離フィルム41のシリコーン処理面上に塗布し、70℃で熱硬化乾燥し、粘着剤層3を形成した。更に、その上に剥離フィルム42を積層し、図3(a)に示す粘着剤シートを作製した。
【0040】
(3)蛍光体シート
図3(b)は放射線変換シートの製造方法の概要を示す。まず、厚さ188μmの白色PET材料(東レ製:E400)11の100mの巻物を用意した。このPET材料は図1の基材1に相当する。
【0041】
次いで、図3(b)に示すように白色PET材料11の表面に第一の蛍光体層31(厚さ30μm)を塗布し、次に第二の蛍光体層32(厚さ150μm)を塗布した後、溶媒を乾燥し、蛍光体層2を得た。蛍光体としてはGd3O2S2:Tb96重量部をバインダ樹脂に分散した材料を用いた。バインダ樹脂としては、図2に示すブチラール化ポリビニルアルコールを4重量%添加した。
【0042】
ここで、図3(b)に示すGOS塗布用ノズル23は第一の蛍光体層31を塗布するノズル、GOS塗布用ノズル24は第二の蛍光体層32を塗布するノズルである。また、乾燥炉21、22はそれぞれ第一の蛍光体層31、第二の蛍光体層32を乾燥させるものである。
【0043】
(4)粘着剤の蛍光体への接着
次に、粘着剤の蛍光体への接着方法を説明する。上述のように作製した粘着剤シートを作製後、200時間以内に図3(b)に示すように粘着剤の剥離フィルム41を剥離しながら、第二の蛍光体層32の表面に連続的に接着した。接着温度は50〜80℃で行った。また、接着後、30〜70℃の温度に1〜10分放置した。図3(b)に示す加熱ロール25、26は粘着剤層3を蛍光体層に接着する時の加熱に用いるものである。
【0044】
このように粘着剤シートを作製後、200時間以内に接着することで、粘着剤の架橋剤が機能を消失する前に蛍光体層のバインダ樹脂と反応させることが可能となり、粘着剤と蛍光体層との密着力が向上できる。
【0045】
(5)光電変換撮像素子基板への蛍光体層の接着
次に、光電変換撮像素子基板(センサ基板)への蛍光体層の接着方法について説明する。まず、図3(b)に示すように白色PET11、第一、第二の蛍光体層31、32、粘着剤層3等が積層されたシートを所定の大きさに切断した。また、それらの白色PET11、蛍光体層31、32、粘着剤層3のごみや異物をX線検査で検出し、規格外の不良品を排除した。次いで、300時間程度放置した後、図3(c)に示すように剥離フィルム42を剥離し、光電変換撮像素子基板表面に蛍光体層2を接着した。接着は粘着剤によるタック成分で行った。
【0046】
次に、電気信号を読み取るためのIC回路を形成することで図1に示すデジタル放射線撮影装置を作製した。得られた放射線撮影装置は、センサの暗特性の分布が小さなセンサであることを確認した。
【0047】
(実施例2)
実施例1の粘着剤を、アクリル酸ブチル:90質量部に対して2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート:10質量部の割合のアクリル酸エステル系重合体(粘着剤):99.8質量部に、トリメチロールプロパントリレンジイソシアナート(架橋剤):0.2質量部を混合した溶液に変更し、粘着剤溶液を調整した。この溶液を実施例1の剥離シート41のシリコーン処理面上に塗布し、80℃で熱硬化乾燥し、更に、その上に剥離フィルム42を積層して粘着剤シートを得た。
【0048】
また、この粘着剤を用いて、極性基として−OH基を有する粘着材料を用いた粘着剤層付きデジタルX線撮影用放射線変換シートを得た。その後、150時間以内に実施例1と同様の方法を用いて蛍光体層に接着し、同工程でデジタル放射線撮影装置を作製した。
【0049】
(実施例3)
実施例1の蛍光体層の表面に実施例2の粘着剤塗布液をロールコーターで塗布し、60℃で4時間硬化した後、剥離フィルムを形成し粘着剤付き蛍光体層を得た。蛍光体層のバインダポリマーと粘着剤のポリマーとの間にイソシアネートによる架橋剤形成がIR分析(赤外吸収分析)で確認された。
【0050】
更に、300時間以上放置し、粘着剤層に残存するイソシアネート系架橋剤を消失させた後、光電変換撮像素子基板の表面に粘着剤を介して蛍光体層を接着し、実施例1と同様にデジタル放射線撮影装置を作製した。
【0051】
(比較例1)
実施例2と同様に粘着剤を形成した後、500時間以上放置した後、蛍光体層に粘着剤を貼り合せた。
【0052】
(比較例2)
比較例1の放置時間を1000時間とし、その後、蛍光体層と粘着剤を貼り合せた。
【0053】
(比較例3)
実施例2の粘着剤と蛍光体層を接着した後、12時間以内に粘着剤を介して蛍光体層を光電変換撮像素子基板表面に貼り合せた。
【0054】
次に、実施例1〜3、比較例1〜3の性能を測定した。図4は実施例1〜3と比較例1〜3の性能測定結果を示す。ここでは、50℃の環境下における蛍光体層と粘着剤層とのせん断強度の測定、センサ感度分布の測定、50℃の環境下における1000時間の保存耐久テストを行った。
【0055】
図5はせん断強度の測定方法を示す図である。測定条件は、蛍光体層と粘着剤層との接着幅を25mm、長さを5mmとし、引張速度は0.2mm/sとした。この条件で、図5に示すように白色PETとガラス基板を矢印方向に引っ張り、せん断強度を測定した。
【0056】
せん断強度の測定結果は図4に示すように実施例1では7Kg/cm2、実施例2では8Kg/cm2、実施例3では10Kg/cm2であった。一方、比較例1では2Kg/cm2、比較例2では0、比較例3では5Kg/cm2であり、実施例1〜3の方が比較例に比べてせん断強度が大きい結果が得られ、蛍光体層と粘着剤層との密着力が大きくなったことを確認した。また、剥離箇所は実施例1〜3、比較例3が粘着剤と光電変換撮像素子基板との界面、比較例1、2が粘着剤と蛍光体層の界面であった。
【0057】
センサ感度分布は実施例1〜3、比較例1〜2はいずれも小さい結果が得られ、比較例3のみ大きい結果が得られた。保存耐久テストでは、実施例1〜3はいずれも異常は認められなかったが、比較例1では一部に蛍光体層と粘着剤層との界面で剥離が確認され、比較例2では蛍光体層と粘着剤層との界面で剥離が確認され、比較例3では感度分布が増加する異常が認められた。
【0058】
【発明の効果】
(1)蛍光体層と粘着剤層との密着力を向上することができる。なお、50℃高温環境下においても異常が発生しなかった。
(2)イソシアネート架橋剤が含有するアクリル系粘着剤を用いても、アモルファスシリコンから構成される光電変換撮像素子への微弱電位の変化の影響が小さく、感度分布の小さい放射線撮影装置を得ることができる。
(3)光電変換撮像素子基板表面への放射線変換シートの積層が常温で可能となり、放射線変換シート/粘着剤層/光電変換撮像素子層/ガラス基板から構成される素子のそり変形を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線撮影装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に用いる粘着剤のバインダ樹脂の構造例を示す図である。
【図3】本発明の実施例における放射線撮影装置の製造工程の概要を説明する図である。
【図4】本発明の実施例と比較例の性能測定結果を示す図である。
【図5】せん断強度の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 基材
2 蛍光体層
3 粘着剤層
6 画像信号読み出し用IC
7 光電変換撮像素子
8 ガラス基板
11 白色PET
21、22 乾燥炉
23、24 GOS塗布用ノズル
25、26 加熱ロール
31 第一の蛍光体層
32 第二の蛍光体層
41、42 剥離フィルム
Claims (7)
- 光電変換撮像素子が配置されたセンサ基板と、蛍光体層と、前記センサ基板と前記蛍光体層の間に配置された粘着剤層と、を有する放射線撮影装置において、
前記蛍光体層のバインダポリマーと前記粘着剤形成ポリマーが、前記粘着剤層に含まれる架橋剤により架橋されていることを特徴とする放射線撮影装置。 - 前記バインダポリマーは、水酸基を有する樹脂から成ることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
- 前記バインダポリマーは、ブチラール化ポリビニルアルコール樹脂、又はアクリルポリオール樹脂から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
- 前記蛍光体層の蛍光体材料は、Gd3O2S2:Tb、Gd3O2S2:Euから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
- 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤から選ばれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
- 前記架橋剤は、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物から選ばれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
- 前記粘着剤層は、前記光電変換撮像素子が感光する波長に対して光透過性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
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