JP4059815B2 - トナー用バインダー樹脂およびトナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
近年、電子写真法を利用した複写機やプリンターへの要求性能が高度化している。一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。一方で、熱ロール定着方式においては、熱ロール表面とトナーが溶融状態で接触するため、トナーが熱ロール表面に付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して汚す、所謂オフセット現象という問題が生じる。このオフセット現象を発生させないことも、重要なトナー性能への要求の一つである。さらには、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
【0002】
定着性を良好なものとする為に、結着(バインダー)樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする等の試みが一般的である。しかしながら、低分子量化することにより樹脂粘度は低下するが、同時に樹脂の強度および凝集力も低下してしまい、トナーの耐久性の低下および定着ロールへのオフセット現象が発生する問題が生じる。また、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該結着樹脂として用いる方法や、あるいは、さらに結着樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われていた。しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。
【0003】
このような相反する性能を要求される結着樹脂として、従来、主に用いられてきたスチレン−アクリル系樹脂に代えて、バインダー樹脂としてより高密度なポリエステル樹脂を用いたトナーが種々提案されている(例えば、特開昭61−284771号公報(特許文献1)、特開昭62−291668号公報(特許文献2)、特公平7−101318号公報(特許文献3)、特公平8−3663号公報(特許文献4)、米国特許第4,833,057号(特許文献5)等)が、特に近年の高度化する市場の要望に対して充分対応できるとは言えないのが現状である。さらに省資源化、環境保護の観点から、両面印刷、両面コピーが当たり前になりつつあり、トナーには定着性、耐オフセット性に加えてスメア性の向上を求める市場の声もある。
【0004】
またポリエステル樹脂を用いたトナーの原料としては、従来、ビスフェノールA誘導体や、ポリエステルを製造する際の触媒として、錫系触媒を使用している物が多い。一方、近年、種々の用途でビスフェノールA、錫などが環境に影響を与える恐れがあるとの議論があり、環境保護の観点から市場からはそれらを含有しない製品の要望もある。
【0005】
また、他の省資源化の観点として、近年、人口の増加、エネルギーの使用が拡大に伴う資源の枯渇化があり、省資源・省エネルギー・資源のリサイクル等が望まれている。なかでもPETボトルは、各自治体等で回収され、各種衣料や容器に利用され始めており、また新たな用途開発も望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−284771号公報
【特許文献2】
特開昭62−291668号公報
【特許文献3】
特公平7−101318号公報
【特許文献4】
特公平8−3663号公報
【特許文献5】
米国特許第4,833,057号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、省資源化、環境保護を求める市場の声に対応しつつ、且つ高性能の、特にスメア性に優れたトナー用バインダー樹脂およびトナーを提供することにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ビスフェノールA由来の構造、および錫を含有せず、且つ高性能のトナー用バインダー樹脂およびトナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下に記述する発明に至った。すなわち本発明は、
(1) ポリエステル構造を有するトナー用バインダー樹脂であって、
下記[I]の構造単位が、全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり、
【0010】
【式2】
Figure 0004059815
【0011】
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり、
チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppm
である事を特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(2) カルボン酸由来の構造単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(3) アルコール由来の構造単位の40モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、且つ、その75モル%以上がエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造単位であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(4) トナー用バインダー樹脂の溶融温度が、110℃以上であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(5) ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートと多価カルボン酸と多価アルコールとをチタン触媒、ゲルマニウム触媒、アルミニウム触媒から選ばれる触媒の存在下に反応させて得られるトナー用バインダー樹脂であり、
(6) 上記のトナー用バインダー樹脂を含むトナー
である。
【0012】
上記の発明によれば、ビスフェノールA構造の極めて少ない、かつスメア性にも優れた高性能のトナー用バインダー樹脂およびトナーを得ることが出来るため、本発明の工業的意義は大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、構造単位のことを単に構造と言うことがある。
【0014】
本発明に用いられるドナー用バインダー樹脂は、
ポリエステル構造を有し、下記[I]の構造単位が、全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり
【0015】
【式3】
Figure 0004059815
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり、
チタンおよび/またはゲルマニウムの含有率が10ppm〜1500ppmである事を特徴としている。
【0016】
より詳細には、本発明のトナー用バインダー樹脂は以下の構成であることが好ましい。
【0017】
[[A]COO[B]O(CO)]で表される構造単位の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂であって、
[A構造]が脂肪族、脂環族、芳香族構造を有する構造であり、
[B構造]が[II]の構造であり
【0018】
【式4】
Figure 0004059815
(式中、Arは芳香族構造を有する基であり
0≦m1≦1、0≦m2≦1 であり
2≦n≦20 であり
1〜R2n+2は、炭素、水素、酸素、窒素、燐、珪素から選ばれる元素からなる基および/または共有結合であり、互いに結合して環状構造や、(二重)結合を形成しても良い。)
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり
チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppmである。
【0019】
本発明の上記ポリエステル樹脂は、通常多価カルボン酸やその酸無水物と多価アルコールとの重縮合反応によって得られる。[A構造]は上記カルボン酸に、[B構造]は上記のアルコールに由来する構造である。
【0020】
上記カルボン酸は、炭素数1〜20の炭化水素において水素の1〜5個、好ましくは1〜3個がカルボキシル基に置換された構造の化合物が好ましい。この炭化水素は脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素である事が好ましい。具体的にはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類、これらジカルボン酸の無水物である無水フタル酸等が挙げられる。また、これらのジカルボン酸の低級アルキルエステルなどを挙げることができる。これらのエステルは、後述する多価アルコールとのエステル交換反応によってポリエステルを得ることが出来る。
【0021】
これらの中でも芳香族ジカルボン酸が好ましく、より好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸である。
【0022】
上記の多価カルボン酸は2種以上を組み合わせて用いることも出来る。
【0023】
また、分子量を調整する目的で1価のカルボン酸および多価カルボン酸を用いることもできる。1価のカルボン酸で好ましいものとしては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、分岐していても、不飽和基を有していてもよい。また、これら脂肪族1価カルボン酸は、ガラス転移点を下げる性質があるため、ガラス転移点調節のために好ましく用いられる。また、安息香酸やナフタレンカルボン酸などの芳香族カルボン酸を用いてもよい。これらの1価のカルボン酸は、全カルボン酸に対して0モル%〜30モル%、好ましくは0モル%〜15モル%の量で用いられる。
【0024】
上記の1価のカルボン酸は2種以上を併用することが出来る。
【0025】
3価以上の多価カルボン酸は後述する分子量分布を広げる効果や、樹脂の結晶化を阻害する効果があるため好ましく用いられる。具体的にはとしてはトリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物などが挙げられ、特にトリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。これらの3価以上の多価カルボン酸は、全カルボン酸に対して0モル%〜30モル%、好ましくは1モル%〜30モル%、より好ましくは1モル%〜10モル%、特に好ましくは2モル%〜10モル%の量で用いられる。
【0026】
またこれらを2種以上併用することもできる。
【0027】
本発明におけるポリエステル樹脂の[A構造]部は、カルボン酸由来の構造単位であり全カルボン酸由来の構造単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造を有することが好ましい。この他には、従来ポリエステル樹脂を製造する際に用いられているものを用いることができるが、ビスフェノールA骨格を有するものは、使用しないことが好ましい。
【0028】
上記のアルコールは、好ましくは、下記[II]の構造を含有している。
【0029】
【式5】
Figure 0004059815
【0030】
(式中、Arは芳香族構造を有する基であり
0≦m1≦1、0≦m2≦1 であり
2≦n≦20 であり
1〜R2n+2は、炭素、水素、酸素、窒素、燐、珪素から選ばれる元素からなる基および/または共有結合であり、互いに結合して環状構造や、(二重)結合を形成しても良い。)
【0031】
上記のアルコールとして具体的には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、フタリルアルコール等の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも分岐および/または環状構造を有するネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、特にネオペンチルグリコールが好ましい。
【0032】
上記の多価アルコールは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0033】
上記の多価アルコールは、トナー用バインダー樹脂として優れた性能を発現させるのに極めて有用とされるが、環境に影響を与える可能性が議論されているビスフェノールA骨格を有する化合物、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールA−2プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−3プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−ポリプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−2エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−3エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−ポリエチレンオキサイド付加物とは異なる構造を有している。上記の様なビスフェノールA構造を有するアルコールは、全アルコールの1モル%以下、好ましくは0モル%の量で用いられる。上記の量が1モル%を越えると、後述するスメア性が不十分となることがある。
【0034】
また、分子量を調整する目的で1価のアルコールおよび3価以上の多価アルコールを用いることもできる。1価のアルコールで好ましいものとしては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族モノアルコールなどが挙げられ、分岐や不飽和基を有していてもよい。これらの1価のアルコールは、全アルコールに対して0モル%〜25モル%、好ましくは0モル%〜15モル%の量で用いられる。
【0035】
3価以上の多価アルコールは、後述する分子量分布を広げる効果や、樹脂の結晶化を阻害する効果があるため好ましく用いられ、具体的には、トリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン等が挙げられ、特にトリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタンが好ましい。これらの3価以上の多価アルコールは、全アルコールに対して1モル%〜25モル%、好ましくは1モル%〜20モル%、更に好ましくは2モル%〜12モル%、特に好ましくは2モル%〜10モル%の量で用いられる。
【0036】
上記の1価のアルコールや3価以上の多価アルコールは2種以上を併用することが出来る。
【0037】
本発明におけるポリエステル樹脂は、通常上記の多価カルボン酸と多価アルコールとから得られるが、他のポリエステルも原料として使用し、解重合、重縮合によってポリエステル樹脂を製造することが好ましい。このPETは、廃物より回収されたリサイクルPETであっても良い。リサイクル品PETは、フレーク状に加工したものであり、重量平均分子量で30000〜90000程度のものであるが、PETの分子量分布、組成、製造方法、使用する際の形態等に制限されることはない。また、リサイクル品に制限されることはない。
【0038】
上記PETの含有量は、ポリエステル樹脂中の全アルコール成分のモル数を100モル%とした時に、PET由来のアルコール成分であるエチレングリコールのモル数として、40モル%以上であることが、後述する重縮合反応性を考慮すると好ましい。
【0039】
また、アルコール成分として、少なくとも、PET由来のエチレングリコールと、分岐構造および/または環状構造を有するアルコール、好ましくはネオペンチルグリコールとを含有することが好ましく、その含有量は、全アルコール成分のモル数を100モル%とした時に、エチレングリコールと、分岐構造および/または環状構造を有するアルコール、好ましくはネオペンチルグリコールとの和が75モル%以上であることが好ましい。
【0040】
本発明におけるポリエステル樹脂を得る際の、重縮合反応は、窒素ガス等の不活性ガス中での、例えば無溶剤下高温重縮合、溶液重縮合等の公知の方法により行うことができる。反応に際しての酸モノマーとアルコールモノマーの使用割合は、前者のカルボキシル基に対する後者の水酸基の割合で0.7〜1.4であることが一般的である。
【0041】
また、PETを原料として用いる際には、予め、PETとアルコールモノマーを添加し、PETの解重合反応を行った後に、残りのアルコールおよび酸モノマーを添加し、重縮合反応を行っても良いし、また、PETとアルコールモノマーと酸モノマーを一括で仕込み、解重合反応と重縮合反応を同時に行っても良い。
【0042】
上記ポリエステル樹脂を得る際の重縮合反応、または重縮合反応および解重合反応を行う方法においては触媒が用いられる。上記の触媒はチタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素を含有する触媒であり、ジブチル錫オキサイド等の錫系触媒や三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒等とは異なるものである。上記の中でもチタン、および/またはゲルマニウムを含有する触媒が好ましく、特にはチタンを含有する触媒が好ましい。チタンを含有する触媒として、チタンアルコキシド、チタンアシレート、チタンキレート等を使用することがさらに好ましく、特に好ましくは、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネートを使用することが好ましい。ゲルマニウム含有する触媒としては二酸化ゲルマニウム等が挙げられる。また、その際の添加量としては0.01質量%〜1.00質量%であることが好ましい。上記の触媒は、複数を同時に使用しても良く、また触媒の添加時期は、重合開始時に添加しても良く、また、重合途中で添加しても良い。
【0043】
上記チタンを含有する触媒に相当するものの具体的商品名として、チタンアルコキシドとしては、オルガチックスTA‐25(テトラノルマルブチルチタネート)、TA‐30(テトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート)、TA‐70(テトラメチルチタネート)等、チタンアシレートとしては、オルガチックスTPHS(ポリヒドロキシチタンステアレート)等、チタンキレートとしては、オルガチックスTC‐401(チタンテトラアセチルアセトナート)、TC‐200(チタンオクチレングリコレート)、TC‐750(チタンエチルアセトアセテート)、TC‐310(チタンラクテート)、TC‐400(チタントリエタノールアミネート)等(いずれも松本製薬工業株式会社製)を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
チタンを含有する触媒は、水が系内に存在する場合、触媒活性が失活されてしまう為、一般にはエステル交換反応の触媒として知られている。重縮合反応時に生成される水との反応、およびそれによる触媒活性の失活を押さえる為に、上記のように、原料としてPETを利用することが好ましい。
【0045】
本発明におけるポリエステル樹脂は、200℃〜270℃で解重合及び/又は重縮合して製造することが好ましく、更には220℃〜260℃であることが好ましい。反応温度が200℃以下の場合、解重合する際のPETの溶解性が悪化し反応時間が延びることがあり、テレフタル酸等酸成分の多価アルコールに対する溶解性が悪化することがある。一方で、反応温度が270℃以上の場合、原料の分解が起こることがある。
【0046】
上記のようにして得られるポリエステル樹脂を用いる本発明のトナー用バインダー樹脂は、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有量が10〜1500ppm好ましくは30〜1000ppmである。また、錫の含有量は0〜5ppm、好ましくは0ppmである。これは主として原料にPETを代表例とするポリエステルのリサイクル品を用いた場合、リサイクル品中に含まれている錫に由来するものである。
【0047】
上記の樹脂中の金属分析は、原子吸光分析法やプラズマ発光分析法等、公知の金属分析方法を用いることにより確認し得る。
【0048】
先述のように、トナーに求められる性能としては、良定着性、高強度、高凝集力、高耐久性、定着ロールへのオフセット防止等があり、これらの性能を両立させる方法として、結着樹脂の広分子量分布化が有力である。
【0049】
本発明のポリエステル樹脂はウレタン結合を有する構造単位を、ポリエステル樹脂の全ての酸由来の構造単位と全てのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜3.5モル%の割合で有している。これは主としてポリエステル樹脂を多価イソシアネートと反応させて、部分的に高分子量化や架橋させて広分子量分布化を図る方法(ウレタン伸長法)によって導入される。
【0050】
ここで用いられる多価イソシアネートとして具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。また、その他三価以上の多価イソシアネートを用いることも可能である。上記のイソシアネートは2種類以上を併用することも出来る。
【0051】
イソシアネート化合物由来の構造単位は高い分子間結合力を有しているので、良好な機械的耐久性を得ることができる、より高いスメア性を実現できる等と言う効果があるのも好ましく用いられる理由の一つである。
【0052】
上記のイソシアネート化合物は、上記の全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位との和を100モル%として、0.1〜10モル%、好ましくは4モル%の量用いられる。
【0053】
上記のウレタン伸長法のより好ましい方法としては、ポリエステル樹脂としてOH価の比較的高いポリエステル樹脂(A-0)とOH価の比較的低いポリエステル樹脂(A-2)を用いる方法が挙げられる。この方法では、ポリエステル樹脂(A-0)がポリエステル樹脂(A-2)よりイソシアネートと反応し易く、高分子量化が優先的に進行するため、分子量分布を効率よく広げることが出来る他、ポリエステル樹脂(A-0)がポリエステル樹脂(A-2)の使用量比によって、分子量分布の制御を容易に行うことが出来る。上記のポリエステル樹脂(A-0)のOH価は、上記の多価イソシアネートの反応性を考慮するとその下限が、好ましくは15mgKOH/gであり、より好ましくは30mgKOH/gである。一方、その上限は90mgKOH/gが好ましく、より好ましくは70mgKOH/gである。また、本発明におけるポリエステル樹脂(A-2)のOH価は、10mgKOH/g以下、好ましくは7mgKOH/g以下であることが、ポリエステル樹脂と多価イソシアネートとの反応を阻害しない為、および最終的に得られるトナー用バインダー樹脂が良好な定着性と耐オフセット性のバランスを示す上で好ましい。
【0054】
なお、OH価は、樹脂1g中のOH基をエステル化するのに必要な酸無水物を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を指す。OH価の測定方法は、公知の酸無水物による逆滴定により行われる。特に酸無水物に無水フタル酸、触媒にイミダゾールを使用する方法が望ましく、これら酸無水物、触媒を溶かす溶剤にはピリジンを用いて反応試薬とする。反応試薬と樹脂を反応させた後にこれらを希釈する溶剤には、ピリジン又はテトラヒドロフラン等、樹脂の溶解性に優れた溶剤を使用する。
【0055】
本発明におけるポリエステル樹脂(A-0)とポリエステル樹脂(A-2)とを併用する方法を詳述する。
【0056】
上記の方法において、ウレタン伸長は主にポリエステル樹脂(A-0)と多価イソシアネートとの反応で達成され、ウレタン変性ポリエステル(UA-1)が生成する。この際多価イソシアネートは、ポリエステル樹脂(A-0)の水酸基価1モル当量に対してイソシアネート基として1モル当量以下で使用することが好ましく、更には0.5モル当量以下で使用することが好ましい。0.5モル当量以上であると、反応系内の粘度上昇が著しく、定着性が低下することがあり、また製造されるウレタン変性ポリエステル樹脂中に多価イソシアネートが、モノマーのまま存在する可能性があり安全性の面で問題が生じる場合がある。
【0057】
前記ポリエステル樹脂と多価イソシアネートとの反応は、公知の反応装置を制限無く用いることが出来る。具体的には、攪拌機付き反応器や二軸混練機などが挙げられる。これらの中でも、反応効率や樹脂の均一性等の点から二軸混練機等の混練装置を用いることが好ましい。その際の混練機内の温度は反応を充分に完結させる観点から、100℃以上であることが好ましい。
【0058】
上記の方法で得られたトナー用バインダー樹脂は、ウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂(UA-1)とポリエステル樹脂(A-2)を主成分とするウレタン結合を含まないポリエステル樹脂とを含有する。このような上記バインダー樹脂は、例えば、予め前記ポリエステル樹脂(A-0)と多価イソシアネートとの反応を行い、ウレタン変性ポリエステル樹脂(UA-1)を得た後に、ドライブレンド等の手法を用いて、ポリエステル樹脂(A-2)を加える方法の他、ポリエステル樹脂(A-0)とポリエステル樹脂(A-2)と多価イソシアネートとを反応させる方法が挙げられる。
【0059】
上記のトナー用バインダー樹脂は、好ましくはTHF不溶部とTHF可溶部を有する。THF不溶部が1〜40質量%、好ましくは1〜25質量%であり、THF可溶部は99〜60質量%、好ましくは99〜75質量%である。
【0060】
上記THF可溶部は、そのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、好ましくは
上記アルコール由来の構造単位の内、
2価のアルコール由来の構造単位(2AU1)が80〜100モル%であり、
3価のアルコール由来の構造単位(3AU1)が0〜20モル%であり、
イソシアネート化合物由来の構造単位(IU1)が0〜10モル%
の割合で含まれる。
【0061】
また、上記THF不溶部は、そのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、好ましくは上記アルコール由来の構造単位の内、
2価のアルコール由来の構造単位(2AU2)が70〜99モル%であり、
3価のアルコール由来の構造単位(3AU2)が1〜30モル%であり、
イソシアネート化合物由来の構造単位(IU2)が0.1〜35モル%
の割合で含まれる。
【0062】
上記のTHF不溶成分は、後述する実施例の欄に記載する方法で得られる物であり、その中に含まれるTHF可溶成分は実質的に1質量%以下である。またTHF可溶成分中に含まれるTHF不溶成分の割合は、実質的に1質量%以下である。
【0063】
THF不溶部の構造の分析方法としては、次のような方法が好ましく用いられる。すなわち、THF不溶部を硫酸等で加水分解を行った後、得られた成分を液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外分光法(IR)などの公知の方法で構造解析や定量を行う方法である。
【0064】
THF可溶部の構造の分析方法としては、上記の方法の他、直接LC、NMR、IRなどで構造解析と定量を行うことが出来る場合がある。
【0065】
上記のようにして得られる本発明のトナー用バインダー樹脂の溶融温度は、110℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上180℃以下である。該範囲内の溶融温度を有することにより、定着性とオフセット性の双方の性能を満足することができる。
【0066】
本発明のトナー用バインダー樹脂には、ローラーへのオフセットを防ぐ性能をより高める目的等で、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用バインダー樹脂中に0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0067】
上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0068】
さらに、本発明のトナー用バインダー樹脂には、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用バインダー樹脂中に0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0069】
また、本発明のトナー用バインダー樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で上記ポリエステル樹脂の他に、スチレン系共重合体、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を添加してもよい。
【0070】
以下、本発明のトナーに付いて詳述する。
本発明のトナーは、少なくとも先の本発明のトナー用バインダー樹脂、帯電調整剤(CCA)、着色剤、表面処理剤を含むものである。
【0071】
本発明のトナ−用バインダー樹脂の量は、トナー中に50〜95質量%であることが好ましい。
【0072】
以下、トナー用バインダー樹脂以外のものについて詳述する。
【0073】
まず、着色剤について記すと、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ニグロシン染料(C.I.No. 50415),アニリンブルー(C.I.No. 50405),チャコールブルー(C.I.No.azoec Blue 3),クロームイエロー(C.I.No. 14090),ウルトラマリンブルー(C.I.No. 77103),デユポンオイルレツド(C.I.No. 26105),オリエントオイルレツド#330(C.I.No. 60505),キノリンイエロー(C.I.No. 47005),メチレンブルークロライド(C.I.No. 52015),フタロシアニンブルー(C.I.No. 74160),マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No. 42000)等を使用することができる。その添加量としては、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して3〜15質量部であることが好ましい。
【0074】
また、帯電調整剤としては、ニグロシン、4級アンモニウム塩や含金属アゾ染料をはじめとする公知の帯電調整剤を適宜選択して使用することができ、その使用量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して、通常用いられる0.1〜10質量部である。
【0075】
次に表面処理剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることができ、その添加量は、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部で使用することが好適である。
【0076】
本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスを含んでも良く、その量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して0〜10質量部である。具体的なポリオレフィンワックスとしては、トナー用バインダー樹脂の項に記載した物を例示することが出来る。
【0077】
これらの材料を含む本発明のトナーの製造方法としては、本発明のトナー用バインダー樹脂、着色剤、必要であればその他の添加剤を粉体混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった混練機を用いて溶融、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行なって、通常8〜20μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る。
【0078】
本発明により得られるトナーは種々の現像プロセス、例えばカスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タッチダウン現像法、キャリアとして粉砕法によって製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によつて必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法などに用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
また,本発明により得られるトナーは、種々の定着方法に用いることができる。具体的には、オイルレスヒートロール法、オイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
【0080】
更に、本発明のトナーは、ファーブラシ法、ブレード法等の種々のクリーニング方法に用いることができる。
【0081】
本発明のトナーは、定着性、耐オフセット性等に優れている事に加え、驚くべきことにスメア性にも優れている。スメア性とは、定着画像、すなわち定着されたトナーの、他の紙への転写の程度を示すものである。より具体的には、定着されたトナーが他の紙と擦れることにより、該トナーの表面がその紙を汚してしまう現象を示す。スメア性に優れたトナーは、画像定着させた用紙を他の紙に接触させたときの画像の転写が極めて少なく、すなわち他の紙を汚すことが少ない。このため、両面印刷や両面コピーで複数枚の書類を作成しても、他紙の画像を汚すことが殆ど無く、実用上大変好ましいトナーである。
【0082】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0083】
なお、本発明における溶融温度は以下のようにして求めた。島津フローテスターCFT500D(島津製作所製)を用い、以下の条件で測定を行う。
ダイスの細孔 ; 直径1mm、長さ1mm
試料量 ; 1cm3
昇温速度 ; 6℃/分
荷重 ; 20Kg/cm2
次いで、温度‐ピストンストローク(試料流出量)曲線から、流出開始温度と流出終了温度における、ピストンストローク値の差の1/2を求め、そのピストンストローク値における温度を求める。この温度を溶融温度とした。
【0084】
また、本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを、予め200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一させた後、−20℃から100℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブのベースラインと吸熱ピークの傾線の交点よりTgを求めた。
【0085】
本発明において、THF不溶成分量とTHF可溶成分量は、以下のようにして求められる。約2.5gの樹脂と約47.5gのTHFを用いて約5質量%の溶液を調製する。(以下、上記溶液の濃度を”RC”と示す。RCは、上記の樹脂質量とTHF質量の精秤値から求められる値である。) すなわち上記の混合物を25±3℃で12時間攪拌し、可溶成分を完全に溶解させる。次いで得られた溶液を16時間静置する。不溶部と上澄みとが分離した後、上澄み液を濃度分析のために分析する。(以下、上澄み液の濃度を”SC”と示す。この値は上澄み液約5gを採取した精秤値と、150℃で1時間乾燥してテトラヒドロフランを除去し、残った樹脂の質量の測定値から計算される。)
THF不溶成分とTHF可溶成分の値は、RC値とSC値とから下記の式によって求められる。
THF可溶成分比率 = (SC/RC) × 100 (%)
THF不溶成分比率 = [(RC−SC)/RC]× 100 (%)
次に、該溶液から上澄み液をデカンテーションによって除き、残査をTHFで数回洗浄する。その残査を減圧下、40℃で乾燥してTHF不溶成分が得られる。
【0086】
また、本発明における酸価は、樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。酸価の測定は、中和滴定法により求めた。試料5gをキシレン/ジメチルホルムアミド=1/1(質量比)の混合溶剤50ccに溶解させ、指示薬としてフェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加えた後、1/10規定 KOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が無色から紫色に着色した点を終点とし、この際の滴定量と試料質量から酸価(mgKOH/g)を算出した。
【0087】
また、本発明におけるOH価の測定は、下記の酸無水物による逆滴定により行った。樹脂2gに、別途調製したフタル化試薬(ピリジン500cc/フタル酸70g/イミダゾール10gの割合で調製)5ccを加え、溶解させた後、100℃で1時間静置させる。その後、該樹脂溶液に水1cc、テトラヒドロフラン70cc、フェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加え、0.4規定NaOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が無色から紫色に着色した点を終点とし、この際の滴定量と試料質量からOH価(mgKOH/g)を算出した。 また、本発明における樹脂中の金属定量分析は、高周波プラズマ発光分析装置 SPS1200A(セイコー電子工業社製)によって測定した。
【0088】
本発明における樹脂の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
検出器; SHODEX RI-71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム; KF-G + KF-807L x 3 + KF800D(直列接続)
流速; 1.0 ml/分
試料; 0.25 %THF溶液
【0089】
なお、測定の信憑性は上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン試料(Mw=288,000, Mn=137,000, Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが、2.11±0.10となることにより確認し得る。
【0090】
ウレタン変性ポリエステル樹脂製造例
ポリエステル樹脂(A-0)および(A-2)の製造は以下の方法で行った。樹脂a-1について具体的に例示する。樹脂a-2、a-3およびb-1〜b-5は、触媒種、触媒添加量、モノマー組成を、表1、表2に示される配合比に変更した以外は樹脂a-1と同様の操作により得た。なお、得られた樹脂の酸価およびOH価を表1、表2に併せて示す。
【0091】
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、全アルコール成分のモル数100モル%に対して、フレーク状のリサイクルPET(重量平均分子量:75000)をPET中のエチレングリコールユニット単位で43mol%、ネオペンチルグリコール43mol%、トリエチレングリコール9mol%、トリメチロールプロパン5mol%、テレフタル酸48mol%およびテトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート(松本製薬工業株式会社製;オルガチックスTA−30)0.2質量%を仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら250℃で解重合および重縮合を行った。反応生成物の酸価が、表1に示す値に達したところでフラスコより抜き出し冷却、粉砕して樹脂a-1を得た。
【0092】
【表1】
Figure 0004059815
【0093】
【表2】
Figure 0004059815
【0094】
以下に実施態様について実施例1を代表例として具体的に記述する。樹脂2〜8について、即ち実施例2〜5及び比較例1〜3についても実施例1と同様な操作を行って樹脂およびトナーを得て評価を行った。これらについて、樹脂A−0と樹脂A−2の配合比やトリレンジイソシアネート添加量、樹脂分析結果、樹脂中の金属定量分析結果、トナー特性評価を実施例1と併せて表3に示す。
【0095】
(実施例1)
樹脂a−1を30質量%、樹脂b−1を70質量%およびトリレンジイソシアネートを2.2質量%とを、樹脂の総流量として20Kg/hの速度で、二軸押出混練機(栗本鉄工所製、KEX−40)へフィードしてゆき、180℃の温度、スクリュー回転数150rpmにて混練反応を行い、ウレタン変性ポリエステル樹脂1を得た。得られた樹脂のTgは58.4℃であり、溶融温度は144℃であった。
このウレタン変性ポリエステル樹脂1を100質量%に対してカーボンブラック(MA−100・三菱化学社製)6質量%、帯電調整剤(BONTRON E-84;オリエント化学工業社製)1.0質量%、ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP105;三井化学製)2.0質量%をヘンシェルミキサーにて分散混合した後、二軸押出機・PCM−30(池貝鉄工社製)にて120℃、150rpmで溶融混練し、塊状のトナー組成物を得た。このトナー組成物をハンマーミルにて粗粉砕した。さらに、ジェット粉砕機(日本ニューマチック社製IDS2型)にて微粉砕し、ついで気流分級して平均粒径10μm(5μm以下3質量%、20μm以上2質量%)のトナー微粉末を得た。次いで、上記トナ−100質量%に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5質量%となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ−を得た。このトナー粒子を用いて、定着性、スメア性、耐オフセット性、現像耐久性を調べた。各評価方法について以下に示す。
【0096】
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は300mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5 Kg重の荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; 最低定着温度 ≦ 160℃
2 ; 170℃ ≧ 最低定着温度 > 160℃
3 ; 180℃ ≧ 最低定着温度 > 170℃
4 ; 190℃ ≧ 最低定着温度 > 180℃
5 ; 最低定着温度 > 190℃
【0097】
▲2▼スメア性
定着性の評価に準じて、未定着画像を作成し、この未定着画像を熱ローラー定着装置にて定着させた。トナーの定着は、熱ロールの定着速度250 mm/sec、熱ローラーの温度170℃とし、行った。得られた定着画像のベタ黒部分(I.D.=1.35〜1.45;マクベス濃度計により測定)を、市販のコピー用紙にて、500g重の荷重で3往復擦った。擦り試験後のコピー用紙の汚れ度合いを、コピー用紙の画像濃度(I.D.)をマクベス式反射濃度計により測定することで確認した。なお、環境条件は常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; I.D. ≦ 0.9 (汚れが少ない)
2 ; 1.2 ≧ I.D. > 0.9
3 ; I.D. > 0.12(汚れが多い)
【0098】
▲3▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記▲4▼で記した最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラー定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; オフセット発生温度 ≧ 240℃
2 ; 240℃ > オフセット発生温度 ≧ 220℃
3 ; 220℃ > オフセット発生温度 ≧ 210℃
4 ; 210℃ > オフセット発生温度
【0099】
▲4▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
1 : 7万枚以上でも劣化しない
2 : 5万枚以上、7万枚未満の範囲で劣化
3 : 5万枚未満で劣化
【0100】
【表3】
Figure 0004059815
【0101】
表3の結果から明らかなように、本発明により製造されたトナー用樹脂1〜5を用いたトナーは、いずれも優れた定着性能と耐オフセット性能および現像耐久性能を示すだけでなく、優れたスメア性を示すことがわかる。
【0102】
【発明の効果】
この発明のトナー用バインダー樹脂およびトナーは、上記のように構成されており、環境に優しいとされる構成を有し、且つ、特にスメア性に優れた性能を示す。

Claims (6)

  1. ポリエステル構造を有するトナー用バインダー樹脂であって、
    下記[I]の構造単位が全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり、
    【式1】
    Figure 0004059815
    多価イソシアネート由来の構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
    錫の含有率が5ppm以下であり、
    チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppm
    である事を特徴とするトナー用バインダー樹脂。
  2. カルボン酸由来の構造単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用バインダー樹脂。
  3. アルコール由来の構造単位の40モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、且つ、その75モル%以上がエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造単位であることを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載のトナー用バインダー樹脂。
  4. トナー用バインダー樹脂の溶融温度が、110℃以上であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のトナー用バインダー樹脂。
  5. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートと多価カルボン酸と多価アルコールとをチタン触媒、ゲルマニウム触媒、アルミニウム触媒から選ばれる触媒の存在下に反応させて得られる請求項1乃至4いずれかに記載のトナー用バインダー樹脂。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載のトナー用バインダー樹脂を含むトナー。
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