JP4056437B2 - 最低有効塩基性度のレベルにおけるシクロデキストリンの選択的アルキル化 - Google Patents

最低有効塩基性度のレベルにおけるシクロデキストリンの選択的アルキル化 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドーナツ型の空洞を有する分子を含む水溶性オリゴサッカライドであり、その空洞内に水不溶性分子を含み得、そしてその結果可溶化され得る、シクロデキストリンに関する。本発明はまた、大部分の置換基が空洞の主要な入り口を囲むシクロデキストリン誘導体のワンステップの調製に関する。これらの置換基は非極性および強固(空洞そのものとして)であるように選択され、そして、従って、それらが空洞をより長くし得る。あるいは、イオン置換基が導入され得、そして、空洞の主要な入り口に位置している、得られた電荷が、その特徴を変えるために使われる。本発明の組成物はより多様な化合物を可溶化させ、および安定化させることを可能にする。
【0002】
(発明の背景)
非極性化合物の可溶化のため、通常、有機溶媒または界面活性剤を使用する。その空洞の中に非極性化合物を含み得るような空洞を形成する分子を有する水溶性化合物は、溶媒および界面活性剤の代わりに使用され得る;シクロデキストリンがそのような化合物の一例である。
【0003】
シクロデキストリンは、グルコピラノシル残基がα(1から4)グリコシド結合によって結合している環状オリゴサッカライドのグループである。3つのシクロデキストリンが特に関心がもたれる:α−、β−、およびγ−。それらは、それぞれ、6、7、または8個のグルコピラノシル残基を有する。各グルコピラノシル残基が2つの第二級水酸基(secondary hydroxyl)(空洞の主要な、広い入り口に位置する)および1つの第一級水酸基(primary hydroxyl)(空洞の狭い口に位置する)を有しているので、α−、β−、およびγ−シクロデキストリンはそれぞれ、18、21または24個の水酸基を有し、それらがいずれもアルキル化され得る。
【0004】
【従来の技術】
(エピクロロヒドリンに関する先行技術)
シクロデキストリンとエピクロロヒドリンとの反応は繰り返し試験されてきている。Wiedenhofらが最初の結果をまとめた。シクロデキストリンおよびエピクロロヒドリンは強塩基(例えば、10%水酸化ナトリウム)で濃水溶液に縮合され、そして、条件によって、水溶性あるいは水不溶性の生成物が得られた。これらの生成物は、その分子がエピクロロヒドリン由来の残基によって一緒に結合した複数のシクロデキストリン残基を含むことを意味して、ポリマーあるいはE−樹脂と呼ばれた。Wiedenhofらは、これらおよび他のエピクロロヒドリン由来の残基をそれらの構造式で同定し、そしてそれらを「橋」(シクロデキストリンユニットを結びつける)または「テールまたはポリテール」(シクロデキストリンユニットにただ一つ結合する)と名付けた。このことはFenyvesiらによって追試され、Wiedenhofらの水溶性ポリマー/樹脂が全くポリマーでは無いことを発見した;その平均分子量は1800未満であり、そして存在する74%以上の物質が2000未満の分子量を有していたという結果から計算され得る。β−シクロデキストリンは1135の分子量を有し、そしてどれも生成物に存在すると言及されていないため、生成物の大半は1分子当たりただ1つのシクロデキストリンを有し、エピクロロヒドリン由来の「テールおよびポリテール」によって置換されていることは明らかである。Fenyvesiらは、さらに、β−シクロデキストリンとエピクロロヒドリンとの5つの水溶性縮合生成物を記載した;これら全てはただ1つのシクロデキストリン残基を有する成分を含んでいた。これらの調製物では、87%、58%、30%、72%および33%の物質が2000未満の分子量を有していた。Fenyvesiらはまた、β−シクロデキストリンの代わりにγ−シクロデキストリンを使用して、類似の生成物を得た。Fenyvesiらは、これらの低分子量生成物に存在する官能基の正確な構造式を与え、そしてこれらの生成物に対して「シクロデキストリン−グリセロール−エーテル」という名称を用いた。これらの生成物は欧州特許0 149 197 B1に記載されている。
【0005】
Fenyvesiらは、さらに試験を行い、β−シクロデキストリンおよびエピクロロヒドリンからなるこれらの「シクロデキストリン−グリセロール−エーテル」がいくつかの薬物および他の物質と包接複合体を形成することを見いだした。このことは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第15版、Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 1975)によると、製薬で直接使用されている。それゆえ、インドメタシン(鎮痛解熱剤)、安息香酸(抗カビ剤)、コール酸(消化剤)、アネトール(芳香剤)の薬学的処方物が記載される。 Fenyvesiらが調製した薬学的処方物は水溶液の形態を有し、そのうちのいくつかが緩衝液および塩を含んだ。先行技術は、さらなる成分が包接複合体の溶液あるいはこれらの溶液の凍結乾燥物に、面倒なことなしで添加し得ることを確立した。
後に、BraunsおよびMullerに付与された欧州特許0 149 197 B1は、 Fenyseviの教示を包含し、薬剤と「部分的にエーテル化したシクロデキストリンで、そのエーテル置換基が...あるいはジヒドロキシルプロピル基であるもの。」との包接複合体を含む薬学的処方物を請求している。ジヒドロキシプロピル基は、WiedenhofらおよびFenyseviらの構造中の「テール」基の化学用語である。さらに、「部分的にエーテル化したβ−シクロデキストリンで、そのエーテル置換基が...ジヒドロキシルプロピル基である」ものとは、単にFenyseviらの「シクロデキストリン−グリセロール−エーテル」の化学的同義語である。欧州特許0 149 197 B1はその調製方法を教示せず、シクロデキストリンのジヒドロキシプロピルエーテルのいかなる利用も記載せず、そして先行技術にも言及していない。
【0006】
本発明のいくつかの局面は、Fenyseviらによる先行技術の新規な拡張であると考えられ、反応混合物中の塩基性度の制御された最低有効レベルという新しい条件を利用する調製と使用の両方に関しては、一個だけのシクロデキストリンユニットを有する分子を主に含む生成物が製造でき、これらが新しい構造成分を有している。それにもかかわらず、先行技術の分析は本発明による物質の組成物の薬学的利用は欧州特許0 149 197 B1の明細書または請求の範囲ではカバーされないことを示す。欧州特許0 149 197 B1およびFenyvesiらのより先の技術はいずれも本発明の製造または利用の方法を記載していない。(この特許の請求の範囲が特にFenyseviのジヒドロキシプロピルシクロデキストリンを包含していることに注意するべきである)。特に、Fenyvesiは、薬剤とシクロデキストリン誘導体との包接複合体を含有する処方物を記載し、シクロデキストリン誘導体の87%以下は、1分子当たりただ1個のシクロデキストリン残基を有する「シクロデキストリン−グリセロール−エーテル」または他の命名ではシクロデキストリンのジヒドロキシプロピルエーテルである。本発明に記載の物質におけるシクロデキストリンのジヒドロキシプロピルエーテルの濃度はFenyseviらの物質における濃度よりも低い。本明細書中に記載のシクロデキストリンの誘導体と薬剤とを含む包接複合体は欧州特許0 149 197 B1には開示も請求もされていない。
【0007】
(近接ジハライドに関する先行技術)
シクロデキストリンと、1,2−ジクロロエタン、1,2,−ジクロロプロパン、あるいはそれらの同族化合物との反応の記録は見つからなかった。
【0008】
(メチル化に関する先行技術)
この反応は種々の研究に関わる主題であった。化学的には、個々のシクロデキストリンのメチル誘導体は、いくつかの合成工程または反応中の塩基性の制御なしのいずれかで調製された。非極性化合物の可溶化によく適している、ランダムにメチル化したシクロデキストリン誘導体の調製は、欧州特許公報0 646 602 A1に記載されている。この特許公報はまた、関連する先行技術を分析した。この公報は、シクロデキストリンを部分的に塩基に溶解した後、アルキル化剤と塩基を加える方法により、シクロデキストリンをアルキル化剤と反応する方法を請求している。ここに開示され請求される新規なプロセスは、先行方法では塩基性度が本質的に制御されていないということで本発明と違う。結果として、第二級および第一級水酸基の間の分布の型は本発明の方法により得られる分布とは著しく異なる。欧州特許公報0 646 602 A1に記載の方法は、第二級水酸基において62%までのメチル基を生成する。同じ公報で分析された他の先行技術方法は、第二級水酸基に52%までのメチル基を導入する。
【0009】
(1つのアルキル化基を有する他の試薬によるアルキル化に関する先行技術)先に記載されたこの型の反応において、反応の塩基性度は、その最低有効レベルに制御も保持もされていない。例えば、米国特許5,134,127に記載のβ−シクロデキストリンのスルトンでのアルキル化では、反応混合物中の水酸化ナトリウムの濃度は、「10%(重量/重量)よりも高いレベルに、好ましくは40%〜60%(重量/重量)に設定する」と推奨されている。そのような高い塩基性度において実施されたアルキル化の生成物は、出発シクロデキストリンをいくらか含んでおり、これは精製により除去されるべきであった。反応混合物の塩基性度が、本発明に記載されるように、一定でかつ最低有効レベルに保たれる場合、出発シクロデキストリンを混入しない生成物が得られ得る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良された有用性を有する新しいシクロデキストリン誘導体を提供することである。本発明の方法を使用することにより、シクロデキストリンの第二級水酸基を優先的にアルキル化することが可能である。これらの水酸基はシクロデキストリン空洞へ、主要な広い入り口を囲み、それゆえ、適切に選択された置換基によるこれらの置換は包接複合体の形成を改善し得る。
【0011】
融合1,4−ジオキサン環の構成要素はシクロデキストリンの分野では新しい。この構成要素は、以前、デキストラン(シクロデキストリンとは構造的に非常に異なるポリサッカライド)およびエピクロロヒドリンから形成された水不溶性樹脂であるSephadex G25においてHombergらのみによって記録された。
【0012】
さらに、1つのアルキル化部分を有する試薬が使用される場合、シクロデキストリンのエーテル混合物が形成されることが見い出されてきた。本発明の方法を使用することにより、96%までもの置換が第二級水酸基に向けられることが可能である。
【0013】
2つのアルキル化部分を有する試薬(例えば、1,2−ジクロロエタン)が使用される場合、最初に形成されたシクロデキストリンのモノエーテルは、依然として置換基に位置する第2のアルキル化部分を有する。これは、以下の3つの方法の一つで反応し得る:
1.第2のアルキル化部分が加水分解し、ヒドロキシアルキルまたはジヒドロキシアルキル置換基を導く。
【0014】
2.第2のアルキル化部分が別のシクロデキストリンをアルキル化し得る。それゆえ、2つのシクロデキストリンが一緒に結合する。このプロセスは分子内架橋と呼ばれ得、そして最終的に、真のポリマーまたは樹脂をもたらし得る。
【0015】
3.第2のアルキル化部分は、同じシクロデキストリンの別の水酸基をアルキル化し得る。これは分子内架橋であり、そして、低塩基性の反応混合物、低濃度の試薬およびシクロデキストリン、および温度の増加により好ましい経路である。分子内架橋が同じグルコピラノシル残基上の2つの第二級水酸基間で起こる場合、グルコピラノシル残基へ融合された新しい6員環の1,4−ジオキサンが形成される。あるいは、そのような構造は環状ジエーテル基と呼ばれ得る。
【0016】
以下は本発明の方法を用いて生じる反応例である。
【0017】
【化1】
Figure 0004056437
反応生成物は以下の式の化合物を含む:
【0018】
【化2】
Figure 0004056437
ここで、RとRはOH、
【0019】
【化3】
Figure 0004056437
であり、ただしRまたはRの1つがOHで、R、R、R、またはRがH、アルキル、モノヒドロキシあるいはジヒドロキシで置換されたアルキルであり、ここでRおよびRの水素を置換する2つの置換基が存在し得る。
【0020】
本発明の方法により、および2つのアルキル化部分を有する試薬を用いることにより、30%未満の物質が2つ以上のシクロデキストリンユニットを含有する分子を有する組成物を得ることが可能である。本発明の方法は、98%までの置換基が第二級水酸基に位置し、そして75%までもの理論的に可能な分子内架橋が実際に起こるような組成物を得ることを可能にする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シクロデキストリンを含む物質の組成物であって、ここでシクロデキストリン分子の少なくとも10%は、それらの第二級水酸基が−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CHOH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状生成物を形成する、組成物である。そのことにより上記目的が達成される。
【0022】
好適な実施形態においては、上記ジオキサン置換シクロデキストリン分子の少なくとも70%がただ1つのシクロデキストリン部分を含む。
【0023】
好適な実施形態においては、上記シクロデキストリン分子の30%〜60%は、それらの第二級水酸基の2つが、−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状化合物を形成する。
【0024】
本発明はまた、メチル化されたデキストリンの混合物を含む物質の組成物であって、ここでメチル基の65%〜96%が第二級水酸基にある、組成物である。
【0025】
本発明はまた、置換シクロデキストリンを調製する方法であって、以下の工程:(1)シクロデキストリンおよびアルキル化剤を適切な溶媒に溶解する工程、(2)工程(1)で得られた組成物に塩基を徐々に加える工程、を含む方法である。
【0026】
好適な実施形態においては、上記アルキル化剤が1分子当たり2つのアルキル化部分を有する。
【0027】
好適な実施形態においては、上記アルキル化剤が1分子当たり1つのアルキル化部分を有する。
【0028】
好適な実施形態においては、上記水酸化ナトリウムが塩基として使用される。
【0029】
好適な実施形態においては、上記アルキル化剤がエピクロロヒドリンおよび近接のジハライドの中から選択される。
【0030】
本発明はまた、シクロデキストリン、アルキル化剤、および水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カルシウムまたはマグネシウムの塩、ケイ酸塩、亜鉛酸塩、またはアルミン酸塩の中から選択される少なくとも一つの試薬を含む物質の組成物である。
【0031】
本発明はまた、置換シクロデキストリンを調製する方法であって、以下の工程:(1)シクロデキストリンを水に僅かにしか溶解しない塩基と混合する工程、(2)アルキル化剤またはアシル化剤を工程(1)で得られた混合物に加える工程、および(3)工程(2)で得られた生成物を撹拌する工程、を含む方法である。
【0032】
好適な実施形態においては、上記使用される塩基が水酸化カルシウムである。
【0033】
好適な実施形態においては、上記使用される塩基が水酸化マグネシウムである。
【0034】
好適な実施形態においては、上記アルキル化剤がエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドである。
【0035】
好適な実施形態においては、上記反応混合物が撹拌中または撹拌前に加熱される。
【0036】
好適な実施形態においては、上記シクロデキストリンおよびアルキル化剤が、塩基を徐々に添加する前に、少なくとも1つのアルカリ塩と混合される。
【0037】
好適な実施形態においては、上記塩がカルシウム塩またはマグネシウム塩である。
【0038】
好適な実施形態においては、上記塩がアルミン酸塩、ケイ酸塩、または亜鉛酸塩の中から選択される。
【0039】
本発明はまた、水溶性に不充分または水に不安定な薬剤と、上記シクロデキストリン誘導体との包接複合体を含む薬学的調製物である。
【0040】
本発明はまた、水溶性に不充分または水に不安定な薬剤と、上記シクロデキストリン誘導体との包接複合体を含む薬学的調製物である。
【0041】
本発明はまた、上記置換基を有する架橋シクロデキストリンを含む水不溶性樹脂である。
【0042】
好適な実施形態においては、上記撹拌がボールミルで行われる。
【0043】
本発明はまた、ジオキサン環で置換されたシクロデキストリン分子である。
【0044】
本発明はまた、ジオキサン環で置換されたシクロデキストリンと薬品との包接複合体を薬学的に受容可能なキャリアに含む組成物である。
【0045】
本発明はまた、メチル化シクロデキストリン包接複合体および薬品の混合物を薬学的に受容可能なキャリアに含む物質の組成物であって、ここでメチル基の65%から96%が第二級水酸基にある、組成物である。
【0046】
本発明はまた、ジオキサン環で置換されたシクロデキストリン分子であって、該ジオキサン環は、グルコピラノシル残基の第二級水酸基間に存在する、シクロデキストリン分子である。
【0047】
本発明はまた、ジオキサン環で置換されたシクロデキストリンと薬品との包接複合体を薬学的に受容可能なキャリアに含む組成物であって、該ジオキサン環は、グルコピラノシル残基の第二級水酸基間に存在する、組成物である。
【0048】
【発明の実施の形態】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で記載の新規な発明は、第二級水酸基のワンステップのアルキル化を可能にし、それゆえ極性溶媒への非極性化合物を可溶化するシクロデキストリンの水溶性誘導体の効力を改善する。同様の化学的改変はまた、極性溶媒から非極性化合物の選択的な吸収のためのシクロデキストリンの水不溶性誘導体の調製に使用され得る。
【0049】
本明細書の目的のため、用語「アルキル化剤」は、「アルキル化」と称する反応の間において強酸を遊離させる試薬を意味すると理解される。例えば、シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化は塩酸の放出を伴う。さらに、本明細書中に記載の生成物は多数の化学的に独立した化合物の混合物であると理解される;それゆえ、ジエチルアミノエチルβ−シクロデキストリンと呼ばれる物質はβ−シクロデキストリンの種々の水酸基がジエチルアミノエチル基で置換された多数の化合物の混合物である。
【0050】
新規の構造要素は、1,4−ジオキサン環と融合したシクロデキストリン誘導体、またはエピクロロヒドリンおよびシクロデキストリンから形成された環状ジエーテル、またはそれらの第二級水酸基−CH−CH(CHOH)−基により結合されるシクロデキストリンのいずれかと命名され得、本明細書中に記載の方法で製造される。本発明に記載の生成物に存在する他の基はWiedenhofらおよびFenyvesiによって観察されたものと同一である。さらに、WiedenhofらおよびFenyvesiらの混合物の成分のいくつかは本発明の混合物中においても見い出され得る。
【0051】
本発明の新規の方法により、シクロデキストリンの制御されたアルキル化が、適切な反応速度を保持するような最低の塩基性度を有する媒体中で実施される。反応混合物の塩基性度がシクロデキストリンからシクロデキストリンアニオンへの解離の開始を引き起こすのに十分である場合にのみ、シクロデキストリンのアルキル化が適切な反応速度で起こる。その後、これらのアニオンの迅速なアルキル化が進行する。アルキル化剤の加水分解(これは常に水性媒体中で起こり試薬を浪費する)はまた、水酸化物アニオンのアルキル化の結果として生じる。それゆえ、塩基性の条件を必要とする。シクロデキストリンが水(pKa 15.7)よりもアニオンへと解離しやすいため(Gelbらによりα−、β−およびγ−シクロデキストリンのpKaは、12.3、12.2および12.1であると測定された)、塩基性度の適切な選択はこの浪費を抑え得る。さらに、最低限の塩基性度を使用することはこの反応の特定の生成物を得るためにアルキル化を制御することを可能にする。Gelbらは、シクロデキストリンのアニオンが、主に第二級水酸基のイオン化によって形成されることを示唆している。シクロデキストリンで日常的に使用されるアルキル化のいくつかは、新しい水酸基を含む置換基を導入し(例えば、3−ヒドロキシプロピル)、これは反応が進むにつれそれ自身がアルキル化され得る。塩基性度を最低有効レベルに保つことはこの副反応をも減少させ得る。なぜなら、非活性アルコールの酸性度(pKa値15.9〜18)がシクロデキストリンの酸性度よりも低いからである。
【0052】
(最低有効レベルの塩基性度を制御する方法)
シクロデキストリンのアルキル化が起こる反応混合物において塩基性度を最低限に抑える1つの方法は、pHをモニターしながら、消費される塩基に従い混合物に徐々に塩基を添加することによる方法である。通常、この方法は反応混合物の塩基性度がpH約13.5に上がるのを防ぐ。二番目の方法は限定された溶解度の塩基の使用に依存する。水酸化カルシウムは室温では0.022Mまでの濃度(pH 12.4)および100℃では0.009Mまでの濃度しか溶解しない。この試薬を使用して得られた塩基性度は、シクロデキストリンのアルキル化速度を許容可能な範囲で保持するのに満足がいくものであった。水酸化カルシウムが使用される場合、このプロセスはゲル形成のためしばしば複雑になる。それゆえ、例えば、室温ではγ−シクロデキストリンの溶液への水酸化カルシウム添加によってゲルが生じ、そしてそのゲルは強固になり、撹拌を妨げるのに充分である。しかしながら、このゲルのアルキル化は、ボールミルの中で実施され得、エピクロロヒドリンが使用される場合、1時間の回転以内で液状化が起こる。ゲルの形成は温度を上げることにより完全に防ぐことが出来、それにより、磁気撹拌器を使用してアルキル化を実施することが出来た。α−シクロデキストリンが使用される場合、濃縮溶液を使用した時にのみ同様のゲルの形成が見られた。β−シクロデキストリンの場合、ゲルの形成は観察されなかった。
【0053】
水酸化カルシウムの使用に代わる方法を試験した。一つは水酸化ナトリウムをシクロデキストリン、アルキル化剤、および水溶性カルシウムまたはマグネシウム塩を含む集合した反応混合物に徐々にインサイチュで添加することによる水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムの沈澱に関連した。これらの改変はうまく行くことが見い出されたが、水酸化カルシウムの使用を超える明らかな利点は見いだせなかった。
【0054】
別の方法では、反応混合物の塩基性度がアルカリアルミン酸塩、アルカリ亜鉛酸塩、アルカリケイ酸塩の緩衝能を利用して調節された。これらの塩は水性媒体中に可溶でpH緩衝剤として作用する。混合物のpHが減少する場合、含水酸化物が沈澱する。これらのプロセスは許容できるが、水酸化カルシウムの使用を超える明らかな利点は見いだせなかった。
【0055】
(実施例に示されるアルキル化剤および生成物)
エピクロロヒドリンによるα−、β−、およびγ−シクロデキストリンのアルキル化における最低有効塩基性度レベルの原理の利用は実施例1〜8に記載される。実施例1〜4では、水酸化カルシウムが塩基として使用され、反応が環流温度で実施された。実施例1では、容易に特徴づけられる生成物を導くように、条件を選択した。1個以上のシクロデキストリンを含む種の形成は、質量スペクトルでわずかに検出可能なレベルに抑制された。質量スペクトルで見られたすべての種は、1つを除いて、明確に帰属され得た;続いて、生じた分子内架橋の程度が決定され得、そして約50%であることが見い出された。生成物はさらに、置換パターンをさらに詳しく識別し得るアルジトールアセテート分析にかけられた。それは第二級水酸基で生じたすべての置換のうち約97%および全ての可能な分子内架橋の約半分が形成されていることを明らかにした。
【0056】
実施例2〜4では、置換の度合いの増加および1分子あたり一つ以上シクロデキストリン残基を含む種のより高い割合を導くために、より多くのエピクロロヒドリンが使用された。γ−シクロデキストリンが実施例2において縮合され;β−およびα−シクロデキストリンが実施例3および4において、それぞれ縮合された。実施例5では、γ−シクロデキストリンが水酸化カルシウムおよび水と共にゲルを形成する場合、室温でγ−シクロデキストリンとエピクロロヒドリンとの縮合を示した。
【0057】
アルコールおよび炭水化物のアニオンとのエピクロロヒドリンの反応の第一工程はエポキシド環を開環するものとして公知である。それゆえ、実施例1〜4の結果は明らかに、水中の水酸化カルシウムにより得られた塩基性度がシクロデキストリンとエピクロロヒドリン(これはクロロプロピレンオキシドである)との縮合を触媒するのを満足させ、そしてエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの縮合をも満足させることを明確に示している。最後の2つの試薬は反応の際に酸は遊離しない。水酸化カルシウムによる触媒は、この目的のために通常用いられる水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムによる触媒を超える操作上の利点を有する:水酸化カルシウムは二酸化炭素で溶液を飽和させることおよび炭酸カルシウムを濾過すること(実施例1に記載のように)により容易に完全に除去し得る。それゆえ、ヒドロキシプロピルシクロデキストリンの生成を複雑化する透析またはイオン交換のプロセスは、回避し得る。
【0058】
実施例6および7は、水酸化ナトリウムを塩基として使用するときさえも、分子内架橋を含むシクロデキストリン誘導体が得られ得ることを確立した。さらに、これらの実験は、水酸化ナトリウムをシクロデキストリンの水溶液中でエピクロロヒドリンのエマルジョンに徐々に添加することが、通常の手順を使用する場合(すなわち、エピクロロヒドリンをシクロデキストリンのアルカリ溶液に添加する場合)に得られるものよりもエピクロロヒドリンの良い利用を導くことを確立した。
【0059】
実施例8では、水酸化ナトリウム水溶液を使用して、最低有効塩基性レベルの原理が得られ、マグネシウム塩、カルシウム塩、または亜鉛塩の添加、あるいはケイ酸の添加により塩基性度を下げた。
【0060】
実施例9〜12では、1,2−ジクロロエタンを使用してγ−、β−、またはα−シクロデキストリンをアルキル化した。反応は大気圧下で(実施例9〜11)または圧力釜(実施例12)で実施された。質量スペクトルまたはアルジトールアセテート法による分析により、これらのアルキル化が極めて特異的であることが示される。実施例12では、全置換のうち98%が第二級水酸基で生じた。分子内架橋の形成はエピクロロヒドリンを用いる場合よりもよい収率(75%)で生じた。
【0061】
実施例13は、1,2−ジハロエタンを1,2−ジハロプロパンに置き換える場合、同様の型の反応が起こったことを実証する。実施例14は実施例11に記載の調製物において水を有機溶媒で置き換え得ることを実証する。
【0062】
実施例15では、ヨウ化メチルがアルキル化剤として使用され、そして生成物の分析により最低有効塩基性レベルの原理が高い特異性を導く:約98%の置換基が第二級水酸基に指向し得ることを確立した。同様な条件は他のアルキル化剤にも使用された:3−クロロ−2−メチルプロペン(実施例16)、ジエチルアミノエチルクロリド(実施例17)および1,3−プロパンスルトン(実施例18)
実施例19では、シクロデキストリンの部分的なアセテートの調製に水酸化カルシウムを使用した。実施例20は、酸触媒環状化による分子内架橋を含むシクロデキストリン誘導体の調製を記載する。実施例21は、分子内架橋を有するシクロデキストリンを含む水不溶性樹脂の調製を記載する。
【0063】
実施例22は、上記の生成物の使用を示す。エピクロロヒドリンとシクロデキストリンとの縮合生成物は、低水溶性の一連の薬剤の可溶化によく適合していることが見い出された。結果は、ヒドロキシプロピルシクロデキストリンで得られたものとほぼ匹敵した。同じ生成物はまた、ペプチド(インシュリン)の溶液を安定化するためにも使用された。ここでの結果はヒドロキシプロピルシクロデキストリンで得られたものより優れていた。さらに、同じ誘導体で得られた、皮膚、眼に対する、および皮下注射による刺激性の結果は、これらの化合物の薬学的使用の可能性をさらに証明する。
【0064】
(生成物の同定で使用した方法)
生成物の最初の特徴付けおよび相互比較については、薄層クロマトグラフィーを使用した。これは、1−プロパノール−水−酢酸エチル−水酸化アンモニウム(6:3:3:1)を展開溶媒として用いてプレコートしたシリカゲルプレートにおいて実施した。物質はプレートをVaughの試薬(10%硫酸500ml中の硫酸第二セリウム1g、モリブデン酸アンモニウム24gの溶液)に軽く浸した後に青いスポットとして現れた。この系は、置換基の全体の数が増加する一連の要素を効果的に分離する(それは1置換、2置換などからの出発化合物である);この系でのシクロデキストリンのポリマーは、0近くのRf値を有する。
【0065】
存在している置換基の分子量の分布および型の決定は、質量スペクトルで得られた。分子イオンのピークが現れるスペクトル領域のみが分析され、そして、他に言及しない限り、計数されるべき領域(ベースピーク)で最も強いピークの15%以上を含まなければならなかった。他に言及しない限り、測定と評価は、ただ1つのシクロデキストリン残基を含む種の分子イオン領域に限定した。質量スペクトルは、FABまたはMALDI法のいずれかで測定した。そして、m/zを測定値として与えた。FAB法は、イオン(M+H)を生じるグリセロール−トリフルオロ酢酸マトリックスと共に使用した。MALDI法は主に(M+NA)イオンを生じ、そして計算には、分子量m/z値がナトリウムの質量について修正されなければならなかった。ピークの相対強度を各々の領域の種々の分子イオンの強度の合計の百分率で表した。
【0066】
生成物のスペクトルの分子イオン領域において見い出された実際的に全てのピークが、いくつかの予測される化合物に帰属し得るが、全ての属性が明らかにされ得るわけではない。高度の置換では、ある種は非常に近いm/zを有する。例えば、3つのグリセロールモノエーテルエーテル基で置換されたγ−シクロデキストリンは1519のm/z値を有し、そして4つのグリセロール環状ジエーテル基で置換されたものは1521のm/z値を有する。結果として、これらの成分の両方は同じピークに寄与し、明確な属性を決定し得ない。種々の条件が環状ジエーテルの形成にどうやって有利になるかを比較するために、「好ましい環状の割合(cycle favoring ratio)」を与え、たった一つの閉環によって区別される種のピークの強度が比較される。
【0067】
最終的には、いくつかの生成物はアルジトールアセテート分析にかけられた。この特殊な手順では、まず試料を過メチル化し(シクロデキストリンのメチル誘導体を分析するとき、この工程を省略した場合を除く)、次にモノサッカライドのレベルまでに加水分解し、還元し、過酢酸化する。次に、得られたアルジトールアセテートの混合物をGC−MSおよびGC−炎検出器を使用して分析する。この分析の結果はモル百分率で表した。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
(水酸化カルシウムの環流懸濁液におけるγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化から生じる低頻度の置換)
γ−シクロデキストリン(水和物10g、グルコピラノシル残基約55ミリモル)を、環流冷却器付きのエルレンマイヤーフラスコに入れた水(200ml)に溶解し、そして磁力撹拌加熱プレート上に置いた。撹拌中、水酸化カルシウム(2.32g、約31ミリモル)を速やかに添加し、そして加熱を開始した。一過性のゲル形成による懸濁液の濃厚化が見られたが、ゲルは温度の上昇とともに完全に溶解し、そして混合物を磁気撹拌子で撹拌することが可能となった。環流温度に達した時点で、エピクロロヒドリン(4.4ml、56ミリモル)を、10分間で環流冷却器を通じて滴下した。撹拌および加熱をさらに75分間継続した;この時点でエピクロロヒドリンは縮合試料中には検出されなかった。次いで、水を約半分に蒸留して容積を減らした。反応混合物を室温まで冷却するように放置し、そして、pHを強塩基性から中性−弱酸性になるまで二酸化炭素ガスで飽和した。次いで、懸濁液をしばらく沸騰し(重炭酸カルシウムを分解するために)、そして2、3時間放置した後、炭酸カルシウムの沈澱を容易に濾過除去した。次いで、透明な濾液を水道水に対して透析した。残留の微量の塩化カルシウムを除去するために、炭酸ナトリウムの水溶液を、沈澱が形成されなくなるまで徐々に添加した。数時間放置した後、炭酸カルシウムの沈澱を濾過除去し、そして、透明な濾液をイオン交換樹脂により脱塩した。次いで、溶液を減圧下乾燥状態に蒸発させた。ガラス状の残渣を蒸発フラスコからかきとり、そして白い粉末(7.656g)に粉砕した。生成物を素早く水に溶解し、40%(重量/重量)とした;得られた溶液は放置する際にも安定であった。混入の塩化カルシウムが完全に除去できていなかった場合は、生成物は吸湿性が強く、そしてその溶液を放置すると沈澱を生じた。
【0069】
クロマトグラフィー分析により、生成物がRf値0.12〜0.56に連続したスポットを形成し、Rf値0.43、0.36、および0.31において強い発色を生じた;同じ条件下でγ−シクロデキストリンはRf値0.29を有した。
【0070】
MALDI法による質量スペクトル分析により、以下のピークが観察された;m/z 1387, 6%、(1つのグリセロール環状ジエーテル基); m/z 1395, 3%、(1つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1433, 14%、(2つのグリセロール環状ジエーテル基); m/z 1451, 13%、(1つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1470, 3%、(2つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1490, 9%、(3つのグリセロール環状ジエーテル基); m/z 1507, 16%、(2つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1525, 9%、(1つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1545, 3%、(4つのグリセロール環状ジエーテル基); m/z 1563, 7%、(3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1581, 8%、(2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1600, 3%、(1つのグリセロール環状ジエーテル基および3つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1638, 2%、(3つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基); m/z 1655, 2%、(帰属不明)。
【0071】
上記のデータより、平均分子量は1444と計算された。最後のピークのみが、記述した構造要素を含有する単一種に明確に帰属することが不可能であった。このピークを計算に入れない場合、生成物は1分子当たり2.0個の置換基を含み、そして、これらの置換基のうち、61%(個数による)は融合1,4ジオキサン基(すなわち、グリセロール環状ジエーテル基)を含む。γ−シクロデキストリンのピークはベースピークの5%未満であった。
【0072】
本実施例で使用した条件では、2つ以上のシクロデキストリン残基を含む縮合生成物の形成は、大いに抑制される。これは同じ条件およびMALDI法による生成物の質量スペクトルを使用するβ−シクロデキストリンのアルキル化によって確立された。2つのシクロデキストリン残基を有する種の分子イオンの領域で観察された全てのピークはただ1つのシクロデキストリン残基を有する種の領域で観察されたベースピークのたった2%であった。
【0073】
アルジトールアセテート分析はまた、生成物を特徴づけるために使用され、以下の結果を与えた:未置換のグルコース60%、グリセロール環状ジエーテル基で置換されたグルコース19.9%、以下のグリセロールモノエーテル置換基で置換されたグルコース:O−2において4.6%、O−3において10.9%、O−6において1.9%。これらのデータから、γ−シクロデキストリンの平均4.6個の水酸基が置換されていることが計算され得;97%の置換は第二級水酸基で生じ、すべての可能な環の55%が形成された。この分析によると、生成物は1分子当たり約3つの置換基を有した。
【0074】
(実施例2)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中のγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化;高頻度の置換)
本実験は、多量の水酸化カルシウム(4.63g、62ミリモル)およびエピクロロヒドリン(8.8ml、111ミリモル)が使われた以外は、実施例1に記載のように実施された。生成物は非常に僅かに変色した白色粉末(8.04g)であった。この生成物の僅かな変色はアルカリ性縮合中に形成されたエピクロロヒドリン由来化合物の異性化および縮合に起因する。変色は、エピクロロヒドリンを添加する前に少量のホウ化水素ナトリウムを反応混合物に添加することにより改善され得る。
【0075】
クロマトグラフィーによる生成物の分析により、ポリマー成分が存在しないことが明らかになった。生成物はRf値0.06〜0.56の連続したスポットを形成した;γ−シクロデキストリンは同条件下でRf値0.29を有した。
【0076】
質量スペクトル分析がFAB法で実施される場合、明確に帰属し得たピークは以下だけであった: m/z 1466, 2%、3つのグリセロール環状ジエーテル基; m/z 1484, 2%、2つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基; m/z 1503, 1%、1つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基; m/z 1540, 6%、3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基; m/z 1558, 4%、2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基; m/z 1614, 8%、3つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基。スペクトルはさらに明確に帰属できない18ピークを含んだ(m/z値が1540〜1931)。平均分子量は1671と計算された。γ−シクロデキストリンは検出されなかった。好ましい環の比率1.02は、(3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基)および(2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基)を含む種を使用して計算された。
【0077】
1個および2個のシクロデキストリンユニットを含む種についての生成物の分析のために、MALDI法でのスペクトルを記録した。このスペクトルにおいて1分子当たり1個のシクロデキストリン環を含む成分の分子イオン領域の分析によりFAB法およびMALDI法によって得られた結果の比較が可能になった。MALDI法では、平均分子量は1606(ナトリウム補正後)であるのに対し、FAB法では1671であった。MALDIでは、ベースピーク(MNa)はm/z 1637であった;これは明らかにFAB法で上に記載した1614の(M+H)+ベースピークを形成した成分と同じであった。2個のシクロデキストリン環を含む成分の分子イオン領域において、28個のピークがあり、そのどれもが、明確に帰属できなかった;ベースピークはm/z 3202を有した。MALDIデータから、1分子当たり2個のシクロデキストリンユニットを含む成分の平均分子量は3348であった。1個のシクロデキストリンを含む成分の100分子について、2個のシクロデキストリン環を含む成分の22分子があった。言い換えれば、混合物が1分子あたり1個または2個のシクロデキストリン環の成分から全体的になると仮定する場合、前者は重量で68%を表す。
【0078】
(実施例3)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液でのβ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化;高頻度の置換)
実施例2の記載と同じ手順をβ−シクロデキストリンについて使用し、そして生成物7.556gを得た。クロマトグラフィー分析は、生成物においてポリマー成分は存在しないことを示した。
【0079】
FAB法で測定した質量スペクトルから、平均分子量は1463であると計算された;好ましい環比率は、(1)3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基ならびに(2)2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基を有する種のピークを使用した計算によると1.42であった。
【0080】
(実施例4)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液におけるα−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化;高頻度の置換)
実施例2の記載と同じ手順をα−シクロデキストリンに使い、そして7.484gの生成物を得た。クロマトグラフィーによる分析でポリマー種の非存在を確認した。
【0081】
FAB法による質量スペクトルはm/z 1160でのベースピークを有し、平均分子量は1204であった。好ましい環比率は、3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基ならびに2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基で置換された種を使用した計算によると0.79であった。
【0082】
(実施例5)
(水酸化カルシウムでその水溶液をゲル化した後におけるγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化)
γ−シクロデキストリン(10g)を水(100ml)に溶解し、そしてボールミルの容器中に入れた水酸化カルシウム(4.63 g、 62.5ミリモル)に添加した。得られた懸濁液は数分でゲルに変換した。次にエピクロロヒドリン(8.8ml)およびボールミルのボールを加え、そして容器を一晩回転した。この時間中、ゲルは薄い懸濁液に変わった。実施例1に記載のプロセスに類似した処理により生成物8.299gを得た。
【0083】
クロマトグラフィー分析により、生成物は数個のシクロデキストリン部分を有するいくつかの種を有するが、本当のポリマー分画を有しないことを示した。FAB法での質量スペクトルはm/z 1670のベースピークを有した。平均分子量は1669であった;γ−シクロデキストリンは検出しなかった。好ましい環比率は、(1)3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基ならびに(2)2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基で置換した種を使用して計算され、0.77であるとわかった。
【0084】
(実施例6)
(水酸化ナトリウムの希釈水溶液におけるγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化)
室温で水酸化ナトリウム水溶液(2.5%)中のγ−シクロデキストリン溶液にエピクロロヒドリンを加える縮合によってRf値0.19〜0.47の生成物を得た。FAB質量スペクトルにより、2峰性の分布を得、最も強いピークは、それぞれm/z 1450およびm/z 1672にあった。好ましい環比率は、(1)3つのグリセロール環状ジエーテル基ならびに(2)2つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基で置換した種を使用して計算され、0.72であるとわかった。
【0085】
(実施例7)
(水酸化ナトリウム溶液を徐々に加えた水性エマルジョンにおけるγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化)
非常に反応性に富むアルキル化剤により、消費されるよりも遅い速度で塩基を加える単純な装置を用いて反応混合物の塩基性度を一定でかつ最低有効値に保ち得る。これは、本実施例においてγ−シクロデキストリン(9%)水溶液中のエピクロロヒドリンの非常に速く撹拌中のエマルジョンに、水酸化ナトリウム水溶液を非常にゆっくりと添加すること(合計3時間)により行われた。条件は、実施例6に類似した。分子イオン領域のFAB質量スペクトルは、m/z 1855にベースピークを有する一峰性分布を示した。
【0086】
(実施例8)
(インサイチュで形成した水酸化物の存在下または緩衝塩の存在下で実施されたγ−シクロデキストリンのエピクロロヒドリンによるアルキル化)
この調製では、エピクロロヒドリンを水中でγ−シクロデキストリン、塩化カルシウムおよび水酸化ナトリウムから形成したゲルに加えた;生成物はRf値0.18−0.47を有した。FAB質量スペクトルはm/z 1466にベースピークを有する一峰性の分布を示した。好ましい環比率は、(1)3つのグリセロール環状ジエーテル基および1つのグリセロールモノエーテル基ならびに(2)2つのグリセロール環状ジエーテル基および2つのグリセロールモノエーテル基で置換した種を使用して計算され、0.82であるとわかった。
【0087】
類似の実験を、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウムまたはケイ酸を塩化カルシウムの代わりに使用して行った;生成物は薄層クロマトグラフィーで試験し、上記実施例に記載のものに類似したパターンを得た。
【0088】
(実施例9)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中でのγ−シクロデキストリンの1,2−ジクロロエタンによるアルキル化)
水(100ml)中のγ−シクロデキストリン(10 g 、55ミリモルのグルコピラノシル残基)および水酸化カルシウム(8.214g、111ミリモル)の沸騰中の撹拌懸濁液に、1,2−ジクロロエタン(8.8 ml,111ミリモル)を環流冷却器を通じて加えた。環流および撹拌を21時間継続した。反応混合物を加熱しながら濾過し(冷却すると、ゲルが形成される)、標準方法で処理した。生成物を粉砕して白色粉末(6.014 g)を得た。クロマトグラフィー分析により、2つの主な種-:Rf値が0.29のγ−シクロデキストリンおよびRf値が0.39の化合物の存在を示した。これらの種は明らかに、活性化剤を用い、そして実施例10に記載された反応で得られたものと同一であった。
【0089】
(実施例10)
(活性化剤を用いた水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中でのγ−シクロデキストリンによるアルキル化)
置換を増加させる試みにおいて、実施例9の実験を繰り返した。但し、塩化アルキルによるアルキル反応の活性化剤であるヨウ化カリウム(3.686 g、22ミリモル)を加えた。撹拌と環流を合計で53時間継続した;処理(実施例1のように)により、生成物を5.025g得た。
【0090】
クロマトグラフィー分析により、再び、2つの主な成分;Rf値0.24のγ−シクロデキストリンおよびRf値0.34の化合物の存在を示した;さらに、5つの少量の成分を検出し、Rf値は以下であった:0.11、0.17、0.28、0.40、および0.47。
【0091】
FAB法で測定した質量スペクトルにより、以下の成分の存在を示した: m/z 1298, 18%、(置換基なし); m/z 1324, 12%、(1つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1336, 13%、(1つのエチレングリコールモノエーテル基); m/z 1350, 5%、(2つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1362, 8%、(1つの2−クロロエチルエーテル基);および(1つのエチレングリコール環状ジエーテル基および1つのエチレングリコールモノエーテル基); m/z 1390, 5%、(2つのエチレングリコールモノエーテル基); m/z 1432, 4%、(未同定); m/z 1450, 19%、(1つのヨードエチルエーテル基); m/z 1476, 12%、(1つのエチレングリコール環状ジエーテル基および1つのヨードメチルエーテル基); m/z 1502, 3%、(2つのエチレングリコールジエーテル基および1つのヨードエチルエーテル基)。
【0092】
(実施例11)
(活性剤を用いた水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中でのβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンの1,2−ジクロロエタンによるアルキル化)
これらのシクロデキストリンを、実施例10のγ−シクロデキストリンと同様に誘導体化した。MALDI法で測定したβ−シクロデキストリンの生成物の質量スペクトルは、以下のピークを有した:m/z 1160, 14%、(置換基なし); m/z 1175 , 11%、おそらく(1つのエチレングリコールモノエーテル基)のHイオンである; m/z 1186, 32%、(1つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1213, 17%、(2つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1227, 15%、(1つのクロロエチルエーテル基); m/z 1239, 6%、(3つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1252, 5%、(2つのエチレングリコール環状ジエーテル基および1つのエチレングリコールモノエーテル基)。
【0093】
α−シクロデキストリンから得た生成物の質量スペクトルはFAB法で測定し、そして以下のピークを有した: m/z 974, 50%、(置換基なし); m/z 1000, 18%、(1つのエチレングリコール環状ジエーテル基); m/z 1014, 9%、(1つのエチレングリコールモノエーテル基); m/z 1066, 9%、(2つのエチレングリコールモノエーテル基); m/z 1106, 1106 7%、(おそらくマトリックスである); m/z 1198, 7%、(おそらくマトリックスである)。
【0094】
(実施例12)
(圧力釜での水酸化カルシウム過熱水性懸濁液でのγ−シクロデキストリンの1,2−ジクロロエタンによるアルキル化)
γ−シクロデキストリン(20 g、グルコピラノシル残基111 ミリモル)、水(200ml)、1,2−ジクロロエタン(36 ml、45.2g、457ミリモル)、水酸化カルシウム(17.6 g、237ミリモル)およびホウ化水素ナトリウム(0.4 g、10ミリモル)をステンレス鋼圧力釜に入れた。釜を閉じ、そして110℃〜120℃に加熱した油浴に入れ、そして内容物を磁気撹拌器で24時間撹拌した。反応混合物を、脱色を活性炭で行った以外は実施例1と類似の方法で処理した;収量は25.1gでほとんど無色の粉末であった。
【0095】
生成物をアルジトールアセテート分析にかけ、以下の結果を得た:未置換のグルコース80%;エチレングリコール環状ジエーテル基で置換されたグルコース13.5%;エチレングリコールモノエーテルで置換されたグルコースの:O−2において 3.1%、O−3において 1.6%、O−6において 0.6%。これらのデータから、全置換の98%は第二級水酸基で生じ、そして可能な分子内架橋の75%が生じたことが計算され得る。
【0096】
(実施例13)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液におけるγ−シクロデキストリンの1,2−ジブロモプロパンによるアルキル化)
γ−シクロデキストリン(10 g、グルコピラノシル残基55ミリモル)を、1,2−ジブロモプロパン(11.6 ml、111ミリモル)と実施例10に記載の方法で縮合した。但し、活性化剤を使用せずそして環流時間は70時間であった。粉砕後の生成物は白い粉末(2.547 g)であった。
【0097】
クロマトグラフィー分析により、γ−シクロデキストリン(Rf値 0.29)に加えて、Rf値が0.17、0.37、0.44の3つの主成分およびRf値が0.54の少量生成物の存在が明らかになった。
【0098】
MALDI法で測定された質量スペクトルは以下のピークを有した: m/z1322, 43%、γ−シクロデキストリン(置換基なし);m/z 1362, 33%、(1つのプロピレングリコール環状ジエーテル基); m/z1379, 13%、(1つのプロピレングリコールモノエーテル基); m/z 1440, 5%、(2つのプロピレングリコール環状ジエーテル基);m/z 1439, 6%、(3つのプロピレングリコール環状ジエーテル基および1つのブロモプロピルエーテル基)。
【0099】
この生成物は、無水ジメチルスルホキシド中に溶解した後、水酸化ナトリウム粉末および過剰ヨウ化メチルによる逐次処置により、スムーズに過メチル化した。水による反応混合物の分解の後、生成物をクロロホルム中に抽出した。抽出物は、乾燥および蒸発させて乾燥にした後、無色のガラス状の生成物を生じた。
【0100】
(実施例14)
(有機溶媒中の1,2−ジクロロエタンによるα−シクロデキストリンのアルキル化)
α−シクロデキストリンを120℃(物質中で直接測定した)で約1時間かけて脱水した。乾燥α−シクロデキストリン(1.8 g、11ミリモル)を無水ジメチルホルムアミド(20 ml)に添加し、そして懸濁液を環流および撹拌した。その後、水酸化カルシウム(1.64 g、22ミリモル)を加え、続いて1.2−ジクロロエタン(3.5 ml、48ミリモル)を加えた。環流および撹拌を12時間継続した;次いで懸濁液を濾過し、褐色の溶液を得た。真空中で乾燥に蒸発させた後、残渣を水(20ml)および酢酸(2ml)の溶液に溶解した。活性炭およびセルロース粉末を加え、そして懸濁物を実施例のように処理した。蒸発によりガラス状の残渣を得、これを粉砕して褐色の粉末(0.495g)を得た。
【0101】
クロマトグラフィー分析により、水性媒体を用いたときと同様の成分の存在を明らかにした。さらに、Rf値がより低い少量成分もいくつか存在した。
【0102】
(実施例15)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中のヨウ化メチルによるγ−シクロデキストリンのアルキル化)
γ−シクロデキストリン(10 g、グルコピラノシル残基55ミリモル)および水酸化カルシウム(4.11 g、55 ミリモル)を水(100ml)に加え、そして懸濁液を撹拌して環流まで加熱した。加熱中、ヨウ化メチル(6.9 ml、111ミリモル)を環流冷却器を通じて滴下添加した。添加は1時間を必要とした;環流および撹拌をさらに2時間継続した。次いで、混合物を一晩放置した。混合物を実施例1と同様に処置し、6.701gの白色物質を得た。アルキル置換基で置換されたシクロデキストリンは、用いられたクロマトグラフィー系により、置換基の数に従ってよく分離されることが知られている。未置換のγ−シクロデキストリンからペンタメチル種までの6つの成分が、明確に検出された;それぞれのRf値は0.29、0.35、0.44、0.52、0.61、0.70であった。最も強いスポットはモノメチルおよびジメチルγ−シクロデキストリンのものであった。さらに、生成物をアルジトールアセテート分析にかけ以下の結果を得た:未置換グルコース77.1%、2−O−メチルグルコース 19%、3−O−メチルグルコース 4.6%、6−O−メチルグルコース 0.9%、2,3−ジ−O−メチルグルコース 0.9%、2,3−O−ジメチルグルコース 0.2%、および2,6−O−ジメチルグルコース 0.6%。これらのデータから、平均置換度は2メチル分子であり、そして96%の置換基が第二級水酸基上にあると計算された。
【0103】
(実施例16)
(水酸化カルシウムの環流水性懸濁液中でのγ−シクロデキストリンの3−クロロ−2−メチルプロペンによるアルキル化)
環流が16時間であったこと以外は実施例15と同じ条件を使用した。生成物は、γ−シクロデキストリンに加えて、モノ置換およびジ置換誘導体を含んだ。
【0104】
(実施例17)
(水酸化カルシウムを用いてその水溶液をゲル化した後のジエチルアミノエチルクロリドによるγ−シクロデキストリンのアルキル化)
ボールミル容器中の水(30ml)の水酸化カルシウム懸濁液に、γ−シクロデキストリン(10 g、グルコピラノシル残基111ミリモル)の熱水溶液(30ml)を加えた。ゲル形成後、水(40 ml)中のジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩(15.65 g、91ミリモル)およびミルボールを加え、回転を始めた。1時間の回転後、ゲルが液状化した;回転をさらに12時間続けた。濾過による処置、透析および蒸発により8.555 gのわずかに黄色のガラス状物質を得た。
【0105】
クロマトグラフィー分析により、生成物はRf値が0〜0.14の主成分およびRf値が0.3までに広がった少量の成分を含んでいたことが明らかになった。
【0106】
FAB法で測定した質量スペクトルは、多数のピークを含んでおり、分析後、γ−シクロデキストリンの予測されたシリーズのモノからウンデカ誘導体の存在が明らかになった。これらの成分の各々は、中和の度合いにより分け、いくつかの種として質量スペクトルで表された。γ−シクロデキストリンのピークは検出されなかった。観察された数多いピークのうち、最も突出したピークだけを挙げる: m/z 1495, 6%、(2つのジエチルアミノエチル基); m/z 1595, 8%、(3つのジエチルアミノエチル基); m/z 1730, 9%、(4つのジエチルアミノエチル基および1つの塩化物イオン)、 m/z 1829, 16%、(5つのジエチルアミノエチル基および1つの塩化物イオン); m/z 1927, 12%、(6つのジエチルアミノエチル基および1つの塩化物イオン); m/z 2064, 14%、(7つのジエチルアミノエチル基および2つの塩化物イオン); m/z 2162, 11%、(8つのジエチルアミノエチル基および2つの塩化物イオン); m/z 2299, 11%、(9ジエチルアミノエチル基および3つの塩化物イオン); m/z 2434, 8%、(10ジエチルアミノエチル基および4つの塩化物イオン); m/z 2534, 5%、(11ジエチルアミノエチル基および4つの塩化物イオン)。これらのデータから計算された平均置換度は、1分子当たり6.5個近くの置換基である。
【0107】
(実施例18)
(水酸化カルシウムを用いてその水溶液をゲル化した後の1,3−プロパンスルトンによるγ−シクロデキストリンのアルキル化)
実験は実施例17に記載のように行ったが、ジエチルアミノエチルクロリドの代わりに1,3−プロパンスルトン(11.087 g、91ミリモル)を使用し、そして透析前に、硫酸ナトリウム(19.88 g、140ミリモル)をカルシウムイオンとナトリウムイオンとの交換を促進するために加えた。生成物は、粉砕後に白色粉末になり、10.856 gの重量であった。
【0108】
クロマトグラフィー分析により、生成物の中にγ−シクロデキストリンの無いことおよびRf値が0.03〜0.28の連続したスポットを有したことが明らかになった。質量スペクトルをMALDI法で測定した。γ−シクロデキストリンに帰属したピークは存在しなかった。以下に記したピークはCSNa置換基で数を増加させながら置換されたγ−シクロデキストリンのナトリウムイオンに対応し、スルホン酸塩として以下に示される: m/z 1464, 8%、(1つのスルホネート基); m/z 1607, 11%(2つのスルホネート基); m/z 1751, 10%、(3つのスルホネート基); m/z 1895, 24%、(4つのスルホネート基); m/z 2039, 25%、(5つのスルホネート基); m/z 2183, 13%、(6つのスルホネート基); m/z 2327, 5%、(7つのスルホネート基); m/z 2471, 4%、(8つのスルホネート基)。これらのデータから、平均置換度は、1分子当たり4.5個と計算された。
【0109】
(実施例19)
(水酸化カルシウムの水性懸濁液中でのアセチル化による、または水酸化カルシウムによって完全にアセチル化したシクロデキストリンの加水分解による、部分的にアセチル化したシクロデキストリンの調製)
熱水中(16ml)のα−シクロデキストリン(5g、グルコピラノシル残基27ミリモル)の撹拌中の溶液に、水酸化カルシウム(8.15 g、110ミリモル)を加えた。懸濁液を氷浴に置いた。強固なゲルが形成した後、無水酢酸(acetanhydride)(12.2ml、110ミリモル)を加えた。そして、フラスコを激しく振った。発熱性反応が発生し、フラスコの内容物が粉状固体に変換した。氷をフラスコに加えた。粉末は溶解し、pH6の溶液が生じた。次いで、溶液をクロロホルム(25ml)で抽出し、冷水に対して2時間透析し、脱イオン化樹脂で処理し、濾過し、そして蒸発した。得られた残渣(6.04g)は、クロマトグラフィー分析により、いくつかのα−シクロデキストリン(Rf値0.33)およびその低頻度の置換(Rf値 0.41−0.65)の部分アセテートを含むことが示された。クロロホルム抽出物の乾燥および蒸発により、Rf値が0.65〜0.79の高頻度置換のα−シクロデキストリンの部分アセテート(85mg)を得た。完全にアセチル化されたシクロデキストリンは0.85〜0.9のRf値を有し、そして水酸化カルシウムの作用により容易に加水分解する。
【0110】
(実施例20)
(2工程手順による環状ジエーテル置換を有するシクロデキストリン誘導体の調製)
実施例16に記載されたように調製した2−メチルプロペン−3−イル置換基を有するγ−シクロデキストリン誘導体の混合物(2g)を撹拌しながらトリフルオロ酢酸(10ml)に加えた。溶解完了後、溶液を一日放置し、真空中で乾燥状態になるまで蒸発し、次いで、沸騰水浴中に数分間保持した。残渣を濃縮アンモニア水(10ml)で処理し、再び乾燥状態に蒸発し、そして水に溶解した。小分子量成分を水に対する透析により除去し、そして溶液を濾過し、そして再び乾燥状態に蒸発した。生成物は粉砕後、白色粉末(0.81 g)であった。クロマトグラフィー分析により、2−メチルプロペン−3−イル置換基を有する出発物質は存在しないことが明らかになった。分子内環状化による融合2,2−ジメチル−1,4−ジオキサン環を含む生成物への変換が生じたと仮定され得る。
【0111】
(実施例21)
(強固に拡張した空洞を有するシクロデキストリン誘導体を含む樹脂の調製)
グリセロール環状ジエーテル基を含むβ−シクロデキストリンの水溶性誘導体(その調製が実施例2に記載された)を以下のように水に不溶性の樹脂に変換した:撹拌および加熱(90℃)中の界面活性剤(Triton X100、約0.5 g)のトルエン溶液に、熱水(1 ml)中のシクロデキストリン誘導体(0.5 g)および水酸化ナトリウム(0.1 g)の溶液を加えた。加熱をさらに1時間続けた。室温に冷却した後、トルエンを、容器の壁に皮のように接着した生成物からデカントした。この皮をメタノール、アセトンおよび水でよく洗浄し乾燥した後、ガラス状の固体(0.422 g)が得られ、これは簡単にスパーテルで粉末に粉砕し得た。
【0112】
(実施例22)
(シクロデキストリン誘導体による薬剤の可溶化および安定化ならびに薬学的使用のためにこれらの誘導体の適合性を確立する結果)
水に低溶解性の化合物を水または水溶液中に懸濁する。シクロデキストリン誘導体を溶解されるべき化合物の重量の約10倍量で加え、そして懸濁液またはエマルジョンを数時間にわたり激しく撹拌した。その後、不溶物を濾過または遠心で除去し、シクロデキストリン誘導体の複合体の透明な溶液を得た。
【0113】
シクロデキストリン誘導体(実施例1に記載のプロセスでβ−シクロデキストリンおよびエピクロロヒドリンから調製した)の10%水溶液の溶解能を同じ強度のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの溶液の溶解能と比較した。溶解能は百分率で表し、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン溶液での溶解度を100とした。水溶性が限定された一連の薬剤について以下の結果が得られた:ブデノシド(93%)、ドンペリドン(110%)、フロセミド(71%)、ヒドロコルチゾン(61%)、イブプロフェン(160%)、ケトナゾール(94%)、ピロキシカム(86%)、テルフェナジン(133%)およびテストステロン(42%)。上記の複合体を固体で所望する場合、凍結乾燥して水分を除去し得る。
【0114】
シクロデキストリンの上記誘導体はまた、包接複合体の形成により、ペプチドおよびタンパク質の水溶液を安定化し得る。これらの効果は溶液中のインシュリンを放置して自発的に凝集および沈澱する実験で評価した。保護剤がまったくない場合は、45%のインシュリンだけが非凝集および水溶性形態で残った。5%(重量/重量)の実施例1に従って調製された誘導体の添加で、α−デキストリンからはこの百分率は97%に増加し、β−デキストリンからは96%に増加し、そしてγ−シクロデキストリンからは82%に増加した。これらの結果は、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリン(68%)、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(84%)およびヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン(66%)で得られた結果より優れている。実施例1の方法で調製した生成物から作製された上記溶液は、皮膚、眼に対して、または皮下注射によって刺激を引き起こさなかった。
【0115】
技術上の目的で、水難溶性の物質の可溶化および安定化は同様な方法で達成し得る。水不溶性シクロデキストリン樹脂による水溶液からの親油性化合物の吸収は樹脂層を通じて簡単に濾過することで達成し得る。
【0116】
反応の塩基性度を調節することにより、シクロデキストリンの第二級水酸基を優先的にアルキル化することが可能である。これらの水酸基は、シクロデキストリンの空洞の主な広い入り口を囲み、そしてそれ故適切に選択した置換基による置換が包接複合体の形成を改善し得る。本発明の方法により、融合1,4−ジオキサン環で置換したシクロデキストリン誘導体が得られ得る。1つのアルキル化部分を有する試薬を用いる場合、シクロデキストリンのエーテルの混合物が形成される。本発明の方法を用いて、96%までの置換を第二級水酸基に指向させ得る。

Claims (6)

  1. 水不溶性化合物を包接するための、シクロデキストリンを含む物質の組成物であって、ここで該シクロデキストリン分子の少なくとも10%は、それらの第二級水酸基が−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CHOH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状生成物を形成し、該組成物が、薬剤を包接するためではない、組成物。
  2. 前記ジオキサン環を含む環状生成物の少なくとも70%がただ1つのシクロデキストリン部分を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記シクロデキストリン分子の30%〜60%は、それらの第二級水酸基の2つが、−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CHOH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状化合物を形成する、請求項1に記載の組成物。
  4. シクロデキストリンからなる物質の組成物であって、ここで該シクロデキストリン分子の少なくとも10%は、それらの第二級水酸基が−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CHOH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状生成物を形成し、該組成物が、薬剤を包接するためではない、組成物。
  5. 前記ジオキサン環を含む環状生成物の少なくとも70%がただ1つのシクロデキストリン部分を含む、請求項に記載の組成物。
  6. 前記シクロデキストリン分子の30%〜60%は、それらの第二級水酸基の2つが、−CH−CH−または−CH−CH(CH)−または−CH−CH(CHOH)−または−CH−C(CH−基によって結合されて、ジオキサン環を含む環状化合物を形成する、請求項に記載の組成物。
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