JP4054523B2 - 射出成形性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、特に射出成形性に優れた低硬度の熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のインストゥルメントパネル、ドアトリム等の内装表皮材には、従来は軟質塩化ビニル樹脂が主に用いられてきたが、近年材料の軽量化の観点からオレフィン系熱可塑性エラストマーが使われ始めている。
これらの内装表皮を、予めシート状に加工した表皮原反から作製する場合、真空成形、射出プレス成形、あるいは貼り合わせ等の方法により骨材と一体化されるが、いずれの方法を用いても製造工程が長くなることから、部品としてのコストが上昇する原因となっていた。
【0003】
コストを抑えられる成形法として、射出成形により基材を成形した後、金型を移動させることにより基材表面部に金型面との空隙を形成し、そこに表皮用材料を射出成形する方法が考えられるが、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーでは低硬度の材料は、概して流動性が不足するために大型の部品の成形が困難であった。一方、高流動性の材料は概して高硬度であるために、クッション性のある表皮層を得ることができないことから、高流動性で中〜低硬度の材料が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した状況に鑑み、高流動性で低硬度の射出成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、動的架橋により製造されたオレフィン系熱可塑性エラストマーに対して、一定の成分を添加することにより低硬度でかつ流動性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)(A)ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが、1〜50〔g/10分〕のポリプロピレン樹脂5〜60重量部、(B)エチレン系共重合体ゴム40〜95重量部、及び(C)軟化剤0〜50重量部(成分(A)、(B)及び(C)の合計量は100重量部)を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対し、
(D)ポリオレフィン樹脂1〜30重量部、(E)オレフィン系共重合体ゴム0〜30重量部、及び(F)軟化剤0〜50重量部を添加して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(2)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造する際に使用する架橋剤が有機過酸化物である前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが、1〜50〔g/10分〕であり、JIS K6253に準じて測定したデュロメータ硬度が85A以下である前記(1)又は(2)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(A)ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが、1〜50〔g/10分〕のポリプロピレン樹脂と、(B)エチレン系共重合体ゴム、及び必要に応じて(C)軟化剤とを含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)に対し、(D)ポリオレフィン樹脂と、必要に応じて(E)オレフィン系共重合体ゴム、及び必要に応じて(F)軟化剤とを混合して得られる。
【0008】
[(A)ポリプロピレン樹脂]
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂は、プロピレンを主成分とする重合体であり、例えば、
(1)プロピレン単独重合体、
(2)プロピレンと10モル%以下のプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、
(3)プロピレンと30モル%以下のプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体
が挙げられる。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。前記重合体中にこれらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上が含まれていてよい。(A)ポリプロピレン樹脂は単独で用いることもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0009】
前記(A)ポリプロピレン樹脂は、射出成形に供する熱可塑性エラストマー組成物が得られる点で、ASTM D1238に準じ、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が1〜50〔g/10分〕であり、更には5〜40〔g/10分〕の範囲にあることが好ましい。
【0010】
本発明の組成物において、(A)ポリプロピレン樹脂の含有量は、動的架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーの成分である(A)ポリプロピレン樹脂、後述の(B)エチレン系共重合体ゴム及び(C)軟化剤の合計量((A)+(B)+(C))100重量部に対し、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部である。(A)ポリプロピレン樹脂を前記範囲で用いると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供しうるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が得られる。
【0011】
[(B)エチレン系共重合体ゴム]
本発明で用いられる(B)エチレン系共重合体ゴムは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを主成分とする弾性共重合体ゴムであり、好ましくはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴム、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ジエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムが挙げられる。
【0012】
前記α−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
(B)エチレン系共重合体ゴムにおけるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比は、通常55/45〜90/10であり、好ましくは60/40〜85/15である。
【0013】
前記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン)、エチリデンノルボルネン(例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン)等が挙げられる。
【0014】
前記エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴム、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ジエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は10〜250であることが好ましく、特に30〜150の範囲にあることが好ましい。前記エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ジエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムでは、ヨウ素価は25以下が好ましい。
【0015】
本発明の組成物において、(B)エチレン系共重合体ゴムの含有量は、動的架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーの成分である(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴム及び後述の(C)軟化剤の合計量((A)+(B)+(C))100重量部に対し、40〜95重量部、好ましくは40〜85重量部である。(B)エチレン系共重合体ゴムを前記範囲で用いると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供しうるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が得られる。
【0016】
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、ゴム成分として、(B)エチレン系共重合体ゴムの他に、(B)エチレン系共重合体ゴム以外のゴム、例えばスチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、ニトリルゴム及びそれらの水添品、ブチルゴム、天然ゴム、シリコーンゴム等を用いることができる。ここで、「水添品」とは、水素添加処理をして、二重結合の全部又は一部を飽和させたものをいう。
【0017】
[(C)軟化剤]
本発明においては、(C)軟化剤を必要に応じて用いることができる。軟化剤は(B)エチレン系共重合体ゴムに油展してもよいし、油展せずに後から加えてもよい。
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油;蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又はその金属塩;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、液状チオコール等が挙げられる。
【0018】
本発明に用いられる(C)軟化剤としては、前記(C)軟化剤の中でも、プロセスオイル、特にパラフィン系プロセスオイルが好ましい。
本発明の組成物において、(C)軟化剤の含有量は、動的架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーの成分である(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴム及び(C)軟化剤の合計量((A)+(B)+(C))100重量部に対し、0〜50重量部、好ましくは5〜40重量部である。(C)軟化剤を前記範囲で用いると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供しうるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が得られる。
【0019】
オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)には、前記成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、耐電防止剤、着色剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
熱可塑性エラストマー(I)の製造は、前記(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴム及び(C)軟化剤、及び必要に応じて前記添加剤を、前記特定の割合で配合し、架橋する方法により行うことができる。熱可塑性エラストマー(I)の架橋は、有機過酸化物により、即ち有機過酸化物の存在下で動的な熱処理により行われるのが好ましい。
【0020】
前記有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0021】
これらの中で、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましい。中でも、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが特に好ましい。
【0022】
有機過酸化物の配合量は、(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴム及び(C)軟化剤の合計量((A)+(B)+(C))100重量部に対し、0.02〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部である。有機過酸化物の配合量が前記範囲であると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供しうるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が得られる。
【0023】
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー;あるいはビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマー等を配合してもよい。これらの成分は、単独でも、2種以上を併用してもよい。有機過酸化物による架橋処理に際し、前記化合物を用いることにより、架橋反応を、均一かつ穏やかに進ませることができる。
【0024】
前記化合物の中でも、ジビニルベンゼンが特に好ましい。ジビニルベンゼンは取り扱いやすく、前記被架橋処理物の主成分である(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴムとの相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性とのバランスに優れ、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供しうるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が得られる。
【0025】
前記のような架橋助剤又は多官能性ビニルモノマー等の化合物は、(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレン系共重合体ゴム及び(C)軟化剤の合計量((A)+(B)+(C))100重量部に対し、通常5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部となるような量で用いられる。架橋助剤又は多官能性ビニルモノマー等の化合物の配合量が前記範囲であると、得られる熱可塑性エラストマー(I)中に架橋助剤又は多官能性ビニルモノマー等の化合物が、未反応のまま残存することがないため、加工成形の際に熱履歴による物性変化が生じることがない。
【0026】
前述の動的な熱処理は、前記各成分を有機過酸化物の存在下で、融解状態で混練することにより行われる。この動的な熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、一軸又は二軸押出機などの混練装置を用いて行われるが、非開放型の混練装置中で行われることが好ましい。また、動的な熱処理は、窒素等の不活性ガス中で行うことが好ましい。各成分は、それぞれ別々に混練装置に入れてもよいが、一部を混合してから混練装置に入れてもよく、全部を混合してから入れてもよい。
【0027】
混練は、使用する有機過酸化物の半減期が1分未満となる温度で行うのが好ましい。即ち、混練温度は150〜280℃が好ましく、特に170〜240℃が好ましい。混練時間は、1〜20分間、特に1〜5分間が好ましい。また、混練の際に加えられる剪断力は、通常剪断速度で10〜104sec-1、特に、102〜104sec-1の範囲にあるのが好ましい。
【0028】
[(D)ポリオレフィン樹脂]
本発明の必須成分である(D)ポリオレフィン樹脂は、オレフィンの重合体であって、例えば、α−オレフィンの単独重合体や2種以上のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの中でも、特にエチレン、プロピレンもしくは1−ブテンの単独重合体、又はエチレン、プロピレン及び1−ブテンのうち、2種又は3種を主成分とする共重合体よりなるポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0029】
具体的には、以下のようなポリオレフィン樹脂が挙げられる。
(1)エチレンと、10モル%未満のエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体
(1’)エチレンと、30モル%未満のエチレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体
(2)プロピレンと、10モル%未満のプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体
(2’)プロピレンと、30モル%未満のプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体
(3)1−ブテンと、10モル%未満の1−ブテン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3’)1−ブテンと、30モル%未満の1−ブテン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体
また、(D)ポリオレフィン樹脂としては、ASTM D1238に準じ、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜200[g/10分]であるのが好ましく、特に10〜150[g/10分]であるのがより好ましい。
【0030】
前記ポリオレフィン樹脂は単独でもまた2種以上を混合して併用してもよい。
本発明の組成物において、前記(D)ポリオレフィン樹脂の含有量は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対して、1〜30重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。(D)ポリオレフィン樹脂の含有量を前記範囲とすると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0031】
[(E)オレフィン系共重合体ゴム]
本発明においては、(E)オレフィン系共重合体ゴムを必要に応じて添加することができる。(E)オレフィン系共重合体ゴムとしては、α−オレフィンを主成分とする共重合体ゴム、好ましくは無定形ランダムな弾性共重合体ゴムを用いることができる。
【0032】
このような無定形ランダムな弾性共重合体ゴムとしては、例えば2種以上の炭素数2〜20のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体が挙げられる。具体的には、以下のようなオレフィン系共重合体ゴムが挙げられる。下記の(1)〜(3)の共重合体ゴムにおけるα−オレフィンは、炭素数2〜20のα−オレフィンである。
(1)エチレン・エチレン以外のα−オレフィンランダム共重合体ゴム
〔エチレン/エチレン以外のα−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
(2)プロピレン・プロピレン以外のα−オレフィンランダム共重合体ゴム
〔プロピレン/プロピレン以外のα−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
(3)1−ブテン・1−ブテン以外のα−オレフィンランダム共重合体ゴム
〔1−ブテン/1−ブテン以外のα−オレフィン(モル比)=90/10〜50/50〕
前記α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
【0033】
前記(1)〜(3)の(E)オレフィン系共重合体ゴムは、ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度190℃の条件で測定したメルトフローレートが、0.1〜80[g/10分]、特に0.3〜60[g/10分]の範囲にあるのが好ましい。前記(E)オレフィン系共重合体ゴムは、単独で、また、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明の組成物において、前記(E)オレフィン系共重合体ゴムの含有量は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対して、0〜30重量部であり、好ましくは0〜20重量部である。(E)オレフィン系共重合体ゴムの含有量を前記範囲とすると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0035】
[(F)軟化剤]
本発明においては、(F)軟化剤を必要に応じて用いることができる。(F)軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油;蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又はその金属塩;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、液状チオコール等が挙げられる。(F)軟化剤としては、前記(F)軟化剤の中でもプロセスオイル、特にパラフィン系プロセスオイルが好ましい。
【0036】
本発明の組成物において、前記(F)軟化剤の含有量は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対して、0〜50重量部であり、好ましくは0〜30重量部である。(F)軟化剤の含有量を前記範囲とすると、射出成形性と触感に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、前記成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、耐電防止剤、着色剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
【0037】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)と、(D)ポリオレフィン樹脂、並びに必要に応じて(E)オレフィン系共重合体ゴム及び(F)軟化剤を前記特定の割合で配合し、更に必要に応じてその他の添加剤を配合して、有機過酸化物の非存在下で動的な熱処理を施すことにより製造することが好ましい。
【0038】
前記動的な熱処理は、前記各成分を融解状態で混練することにより行うことができる。動的な熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、一軸又は二軸押出機などの混練装置を用いて行われるが、非開放型の混練装置中で行われることが好ましい。また、動的な熱処理は、窒素等の不活性ガス中で行うことが好ましい。各成分は、それぞれ別々に混練装置に入れてもよいが、一部を混合してから混練装置に入れてもよく、全部を混合してから入れてもよい。
【0039】
混練温度は、150〜280℃が好ましく、特に170〜240℃が好ましい。混練時間は、1〜20分間が好ましく、特に1〜5分間が好ましい。また、混練の際に加えられる剪断力は、通常剪断速度で10〜104sec-1、特に、102〜104sec-1の範囲にあるのが好ましい。
【0040】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートは、好ましくは1〜50〔g/10分〕、更に好ましくは1.2〜50〔g/10分〕、特に好ましくは2〜50〔g/10分〕である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のJIS K6253に準じて測定したデュロメータ硬度は85A以下であることが好ましく、80A以下であることがより好ましい。
【0041】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート及び硬度を前記範囲とすることにより、射出成形品の外観が良好で、柔軟性、触感に優れた製品を得ることができる。
本発明の組成物は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の構成成分である(A)ポリプロピレン樹脂及び(B)エチレン系共重合体ゴム、熱可塑性エラストマー(I)の任意的成分である(C)軟化剤、並びに(D)ポリオレフィン樹脂、及び必要に応じて添加される(E)オレフィン系共重合体ゴム及び(F)軟化剤を含有する組成物であるが、その他に、更に、以下の無機充填剤を含有することができる。
【0042】
無機充填剤としては、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、カーボン繊維、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイ藻土、雲母粉、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラスビーズ、シラスバルーン等が挙げられる。
【0043】
本発明の組成物において、無機充填剤の配合量はオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)、(D)ポリオレフィン樹脂、必要に応じて(E)オレフィン系共重合体ゴム、及び必要に応じて(F)軟化剤からなる熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更に好ましくは0〜200重量部、特に0〜100重量部であるのが好ましい。
【0044】
本発明の組成物には、前記成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、耐電防止剤、着色剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
前記動的な熱処理は、熱可塑性エラストマー組成物の製造と同時に行ってもよく、熱可塑性エラストマー組成物の製造後に実施してもよい。
【0045】
本発明の組成物に含有される前記各成分は、前記一般的な範囲で配合することができるが、前記各成分をすべて好ましい範囲で配合することが最も好ましい。しかし、特定の成分の含有量が好ましい範囲にあり、かつ、他の成分の含有量が一般的な範囲にある場合も好ましい。
【0046】
本発明の組成物に含有される前記各成分としては、前記各物性値が前記一般的な範囲にあるものが使用できるが、前記物性値がすべて好ましい範囲にある成分が最も好ましく使用できる。しかし、特定の物性値が好ましい範囲にあり、かつ、他の物性値が一般的な範囲にあるものも好ましいものとして使用できる。
【0047】
得られる本発明の組成物は、前記構成をとるので、流動性が良好であり、射出成形性に優れているため、大型の射出成形品を製造する場合にも使用が可能で、得られる成形品の外観も良好である。また、低硬度であるため、得られる成形品の触感も良好となる。
【0048】
また、本発明の組成物は、オレフィン系樹脂を用いているので、軽量でリサイクルが容易である。
また、本発明の組成物の製造において用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)が、有機過酸化物により架橋されているので、得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、より耐熱性に優れる。
従って、本発明の組成物は、省エネルギー、省資源タイプの射出成形用エラストマーとして、自動車の内装部品、外装部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く好適に利用することができる。
【0049】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0050】
実施例及び比較例で、組成物の製造に用いた化合物を、以下に示す。
(A)ポリプロピレン樹脂
(A−1)プロピレン・エチレンブロックコポリマー;プロピレンから導かれる単位とエチレンから導かれる単位とのモル比(プロピレン/エチレン)85/15、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)30[g/10分]
(B)エチレン系共重合体ゴム
(B−1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム;エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)78/22、5−エチリデン−2−ノルボルネンに基づくヨウ素価13、ムーニー粘度ML1+4(100℃)140
(C)軟化剤
(C−1)出光興産(株)製パラフィン系プロセスオイルPW−380(商品名)
【0051】
有機過酸化物
1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン
(D)ポリオレフィン樹脂
(D−1)プロピレン・エチレンブロックコポリマー;プロピレンから導かれる単位とエチレンから導かれる単位とのモル比(プロピレン/エチレン)85/15、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)80[g/10分]
(E)オレフィン系共重合体ゴム
(E−1)エチレン・プロピレン共重合体ゴム;エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)80/20、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)10[g/10分]
(E−2)プロピレン・エチレン共重合体ゴム;プロピレンから導かれる単位とエチレンから導かれる単位とのモル比(プロピレン/エチレン)60/40、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)1[g/10分]
(F)軟化剤
(F−1)出光興産(株)製パラフィン系プロセスオイルPW−380(商品名)
【0052】
(実施例1)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(A−1)のペレット25重量部と、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)75重量部と、更に1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.4重量部と、ジビニルベンゼン0.4重量部とを十分に混合し、L/D=40,スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で押出し、その際、パラフィン系プロセスオイル(C−1)をプロピレン・エチレンブロックコポリマー(A−1)と、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)の合計量100重量部に対して30重量部となるようにサイドフィードして、オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)のペレットを得た((A−1)と(B−1)と(C−1)の重量比(A−1)/(B−1)/(C−1)=約19/58/23)。
【0053】
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)のペレット100重量部と、プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)のペレット10重量部と、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)のペレット10重量部とを十分に混合し、前記押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で押出し、その際、パラフィン系プロセスオイル(F−1)をオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対して10重量部となるようにサイドフィードして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0054】
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
デュロメータ硬度の測定
得られた熱可塑性エラストマー組成物のデュロメータ硬度を、JIS K6253に準じ、測定した。結果を表1に示す。
【0055】
メルトフローレートの測定
得られた熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレートを、ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定した。結果を表1に示す。
【0056】
射出成形性の評価
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、型締め圧200トンの射出成形機のホッパーに投入し、樹脂温度220℃にて、350mm×350mm×1mmのキャビティにピンゲートを通して射出成形した。得られた成形品について、外観及び触感を以下の基準で評価した。
【0057】
[評価基準]
射出成形性(外観) ○:良好、△:やや不良、×:不良(充填不良、フローマーク等)
触感 ○:良好(ソフト感あり)、△:やや不良(やや硬質)、×:不良(硬質感あり)
評価した結果を表1に示す。
【0058】
(実施例2)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
パラフィン系プロセスオイル(F−1)をサイドフィードしなかった以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例3)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)の代わりにエチレン・プロピレン共重合体ゴム(E−1)を使用した以外は実施例2と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0060】
(実施例4)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)を5重量部とし、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)を使用しなかった以外は実施例2と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0061】
(実施例5)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(A−1)を20重量部に、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)を80重量部とし、パラフィン系プロセスオイル(C−1)をサイドフィードしなかった以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)を15重量部に、パラフィン系プロセスオイル(F−1)を15重量部とした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0062】
(実施例6)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(A−1)を30重量部に、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)を70重量部とした以外は実施例5と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)を5重量部とした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)を使用しなかった以外は実施例3と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0064】
(比較例2)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例6と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(E−1)、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)、パラフィン系プロセスオイル(F−1)のいずれも使用しなかった。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)のペレットを熱可塑性エラストマー組成物として、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0065】
(比較例3)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
実施例6と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)を使用しなかった以外は実施例2と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0066】
(比較例4)
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(A−1)を35重量部に、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)を65重量部とした以外は実施例5と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造した。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
プロピレン・エチレンブロックコポリマー(D−1)、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(E−1)、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(E−2)、パラフィン系プロセスオイル(F−1)のいずれも使用しなかった。
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)のペレットを熱可塑性エラストマー組成物として、実施例1と同様に、デュロメータ硬度、メルトフローレートを測定し、射出成形により得られた成形品の外観及び触感について評価した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は流動性に優れ、硬度が高くないため、外観、触感共に良好な射出成形体を得ることができるものである。
Claims (5)
- (A)ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが、1〜50〔g/10分〕のポリプロピレン樹脂5〜60重量部、(B)エチレン系共重合体ゴム40〜95重量部、及び(C)軟化剤0〜50重量部(成分(A)、(B)及び(C)の合計量は100重量部)を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)100重量部に対し、(D)ポリオレフィン樹脂1〜30重量部、(E)オレフィン系共重合体ゴム10〜30重量部、及び(F)軟化剤10〜50重量部を添加して得られる射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(I)を製造する際に使用する架橋剤が有機過酸化物である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 更に、ジビニルベンゼンを含有する請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ASTM D1238に準じて、荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが、1〜50〔g/10分〕であり、JIS K6253に準じて測定したデュロメータ硬度が85A以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いて射出成形することを特徴とする射出成形品の製造方法。
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