JP4051771B2 - 水酸化ニッケル粒子、その製造方法、これを原料とするリチウム・ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極活物質であるリチウム・ニッケル複合酸化物(ニッケル酸リチウム)の原料として好適に用いることができる水酸化ニッケル粒子、その製造方法、これを原料として用いるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯型電子機器の普及に伴い、高エネルギー密度で且つ高電圧使用の可能な非水電解質リチウムイオン二次電池が注目を集めている。4V級非水電解質リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、従来、層状又はトンネル構造を有し、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが容易な結晶構造をもつコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウムと遷移金属との複合酸化物が知られている。このうち、コバルト酸リチウムは、原材料であるコバルトの産地が限定されており、その安定供給が困難であるうえに、非常に高価であるという問題がある。一方、マンガン酸リチウムは、材料コストは比較的低く抑えることができるものの、コバルト酸リチウムを用いた場合ほどの高エネルギー密度が得られない問題がある。
【0003】
これに対して、ニッケル酸リチウムは、ニッケル原料が資源的に豊富であり、また、上記の二つに比べて、良好な容量特性を有し、しかも、最も大きいエネルギー密度を実現できる点で有望視されている。更に、ニッケル酸リチウムをベースとした複合酸化物、LiNi1−XMXO2(但し、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、コバルト、マンガン、鉄又はバナジウムを示し、Xは0<X<1を満たす数である。)や、LiNi1−X−YCoXMYO2(但し、Mはアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、又はバリウムを示し、X及びYは、0<X<1、0<Y<1、0<X+Y<1を満たす数である。)も知られている。このような複合酸化物は、充放電容量が高く、高電圧が得られること、サイクル特性等の電池特性がすぐれていること、ニッケル原料が比較的低コストであり、供給面でも安定している等から、従来、開発が積極的に進められている。
【0004】
このような複合酸化物は、一般的には、上記金属Mを含むニッケル塩(とコバルト塩)か、又はニッケル塩(とコバルト塩)と上記金属塩とをリチウム化合物と共に乾式混合するか、又は適宜の溶媒中で湿式混合し、乾燥させた後、酸化性雰囲気中、通常、600〜1000℃の温度にて10〜30時間焼成し、必要に応じて、粉砕、分級することによって得ることができる。
【0005】
このような製造方法において、原料であるニッケル塩としては、水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を用いることができるが、工業的に製造されており、低廉で品質が安定しており、しかも、焼成時に発生するガスの公害処理等の問題が少ないことから、従来、水酸化ニッケルが用いられている。
【0006】
しかしながら、従来、このように、複合酸化物の製造原料として用いられている水酸化ニッケルは、粒径0.1μm程度の一次粒子が凝集した粒径5〜30μm程度の二次凝集粒子である。特開平7−230808号公報には、タッピング(充填)密度の高いニッケル酸リチウムを得るためには、0.1μm以下の一次粒子からなる粒径5〜50μm程度の球状凝集粒子を用いることが推奨されている。しかし、このように、従来より知られている水酸化ニッケルを原料として用いて得られるニッケル酸リチウムは、粒径1μm以下の小さい一次粒子からなる凝集粒子である。
【0007】
他方、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極活物質として、従来より知られているニッケル酸リチウムは、比較的高い充放電容量を有するものの、実用的には、45℃程度の高温環境下で充放電サイクルを行なったときの容量低下や高温環境下で保存したときの自己放電等の問題が未解決のまま、残されている。特開平5−151988号公報や特開平7−183047号公報に記載されているように、このような問題は、ニッケル酸リチウムの一次粒子径に起因しており、一次粒子径が小さいほど、非水電解質との反応、即ち、粒子界面で起こる電解液の分解と被膜形成が著しくなることが一因であると考えられている。
【0008】
そこで、従来、前述したように、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等の複合酸化物を正極活物質として用いる非水電解質リチウムイオン二次電池がサイクル特性や保存特性にすぐれる観点からは、例えば、コバルト酸リチウムの場合、充放電の繰返しに伴う容量低下を少なくするために、上記複合酸化物が2〜10μmの平均粒径(50%)を有することが望ましいと指摘されている(特開平5−94822号公報)。また、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウム等の複合酸化物が10%累積径が3〜15μm、50%累積径が8〜35μm、90%累積径が30〜80μmであるような粒度分布を有するとき、高温環境下で充放電を繰り返したときも、容量低下が起こり難いことが指摘されている(特開平5−151998号公報)。更に、マンガン酸リチウムの場合には、平均粒径が30〜100μmの範囲にあることが望ましいと指摘されている(特開平5−283074号公報)。
【0009】
また、リチウム・マンガン複合酸化物からなる正極活物質を用いる非水電解質二次電池において、リチウム・マンガン複合酸化物の比表面積が0.05〜5.0m2/gの範囲にあるとき、サイクル特性にすぐれた電池を得ることができるとも指摘されている(特開平8−69790号公報)。
【0010】
しかしながら、従来、一次粒子径の大きいニッケル酸リチウムを生成する水酸化ニッケルは知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の非水電解質リチウムイオン二次電池における上述したような事情に鑑み、特に、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極活物質における上述したような問題を解決するためになされたものであって、リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造に好適に用いることができる一次粒子径の大きい水酸化ニッケル粒子、その製造方法、これを原料とするリチウム・ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、表面がほぼ正三角形である二角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1〜10μmの範囲にあることを特徴とする水酸化ニッケル粒子が提供される。
【0013】
本発明によれば、上記水酸化ニッケル粒子は、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、複合元素ということがある。)をNiに対する原子比にて0.5以下の範囲で含んでいてもよい。以下、このような水酸化ニッケル粒子を複合水酸化ニッケル粒子ということがあり、上記水酸化ニッケル粒子と併せて、(複合)水酸化ニッケル粒子ということがある。
【0014】
本発明によれば、上述したような(複合)水酸化ニッケル粒子は、その表面にMg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、被着元素ということがある。)が酸化物及び/又は水酸化物としてNiに対する原子比にて0.5以下の範囲で被着されていてもよい。以下、このように、表面に被着元素を有する(複合)水酸化ニッケル粒子を被着(複合)水酸化ニッケル粒子ということがある。
【0015】
本発明によれば、上記(複合)水酸化ニッケル粒子(被着(複合)水酸化ニッケル粒子を含む。)をリチウム化合物と混合し、酸化性雰囲気下に600〜1000℃の範囲の温度で焼成してなるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子が提供される。
【0016】
更に、本発明によれば、水又はアンモニア水を仕込んだ反応槽にニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを連続的に加え、反応槽中の反応混合物のpHを10〜11の範囲に保持しつつ、且つ、反応槽中の反応混合物中のアンモニア濃度を05モル/L以上の範囲に保持しつつ、上記ニッケル塩を20〜50℃の範囲の温度で中和して、水酸化ニッケル粒子を析出させ、濾過し、乾燥させることによる水酸化ニッケル粒子の製造方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、この方法において、ニッケル塩と共に、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の複合元素を含む水溶液を用い、ニッケル塩と上記複合元素の塩を中和することによって、これら複合元素を含む前記複合水酸化ニッケル粒子を得ることができる。
【0018】
また、本発明によれば、(複合)水酸化ニッケル粒子を水に分散させてなるスラリー中において、前記被着元素の塩の水溶液を水酸化アルカリ水溶液にて中和して、上記被着元素を酸化物又は水酸化物として、上記水酸化ニッケル粒子の表面に被着させることによって、前記被着(複合)水酸化ニッケル粒子を得ることができる。
【0019】
更に、本発明によれば、上述したような(複合)水酸化ニッケル粒子(被着(複合)水酸化ニッケル粒子を含む。)をリチウム化合物と混合し、酸化性雰囲気下に600〜1000℃の範囲の温度で焼成することによるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子の製造方法が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による水酸化ニッケル粒子は、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1〜10μmの範囲にあり、好ましくは、1〜7μmの範囲にある。
【0021】
本発明による水酸化ニッケル粒子の一例を走査型電子顕微鏡写真を図1に示し、それを模式的に図2に示すように、本発明による水酸化ニッケル粒子は、一次粒子1が凝集した二次粒子2からなり、一次粒子は、表面3に露出している部分がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状をなしている。本発明において、表面とは、このように、一次粒子が表面に露出している部分をいう。
【0022】
このような水酸化ニッケル粒子において、上記三角柱状又は三角板状の一次粒子の一辺の長さが1μmよりも小さいときは、これを原料として得られるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子の一次粒子も、その粒径が1μm程度であり、従来の粒子径の小さい一次粒子が凝集した二次粒子である球状水酸化ニッケル粒子を原料として得られるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子と大差ない。
【0023】
また、上記三角柱状又は三角板状の一次粒子の一辺の長さが10μmよりも大きいときは、そのような一次粒子が凝集した二次粒子は、粒子径が40〜50μmにも達し、リチウム化合物と混合し、焼成する際に、粒子径が大きすぎて、リチウム化合物との反応が均一に起こらず、特に、リチウムが水酸化ニッケル粒子の内部まで拡散した均一な複合酸化物を得ることができない。このように、不均一な組成を有する複合酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池は、サイクル特性に劣るものである。
【0024】
このような本発明による水酸化ニッケル粒子は、水溶性ニッケル塩を水溶液中でアンモニアと水酸化アルカリを用いて中和し、沈殿を生成させることによって得ることができる。ここで、上記ニッケル塩は、特に、限定されるものではないが、得られる水酸化ニッケルを焼成して、リチウム・ニッケル複合酸化物を製造することを考慮して、その焼成時に容易に分解し、又は揮散しやすい陰イオンを有する塩であることが好ましく、従って、例えば、硝酸ニッケルが好ましく用いられる。アンモニアは、ガスとして用いてもよいが、好ましくは、アンモニア水として用いられる。水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が用いられるが、特に、水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
【0025】
上記ニッケル塩の中和反応において、ニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液の濃度は、特に、限定されるものではないが、通常、ニッケル塩水溶液は1〜3モル/L、水酸化アルカリ水溶液は1〜10モル/Lの濃度を有するのが好ましい。アンモニア水を用いるときは、10〜16モル/Lの濃度を有するものが好ましい。
【0026】
本発明による水酸化ニッケル粒子の製造の一つの好ましい態様として、例えば、攪拌機を備えた反応槽に、好ましくは、予め少量の水又はアンモニア水を仕込んでおき、これにニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを連続的に加え、反応槽中の反応混合物(スラリー)のpHを10〜11の範囲に保持しつつ、且つ、反応槽中の反応混合物中のアンモニア濃度を0.5モル/L以上、好ましくは、0.7〜3モル/Lの範囲に保持しつつ、上記ニッケル塩を20〜50℃の範囲の温度で中和して、水酸化ニッケル粒子を析出させ、これを濾過し、乾燥させればよい。 反応温度は、反応槽中の反応混合物中のアンモニア濃度に影響を与えるので、低い方が好ましく、通常、経済性を考慮して、上述したように、20〜50℃の範囲である。また、反応時間は、生成する水酸化ニッケルの一次粒子や二次凝集粒子の大きさを考慮して、適宜に選ばれるが、通常、20〜48時間程度である。
【0027】
本発明によれば、このようにして、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状で粒子径の大きい一次粒子が凝集した粒子径の大きい二次粒子を得ることができ、特に、上記一次粒子における上記三角形の一辺の長さが1〜10μmの範囲にあり、好ましくは、1〜7μmの範囲にある。また、本発明による水酸化ニッケル粒子は、X線回折測定による101面のピークの半価幅が0.2°〜0.3°の範囲にあり、好ましくは、0.2°〜0.28°の範囲にあり、従来の水酸化ニッケル粒子に比べて、結晶性が極めて高いことも、重要な一つの特徴である。
【0028】
更に、本発明によれば、水溶性ニッケル塩、好ましくは、硝酸ニッケルと共にMg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の複合元素の塩を含む水溶液を用いて、前述したようにして、水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを用いて、水溶液中で中和反応を行なうことによって、ニッケルと共にこれら複合元素を含み、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1〜10μm、好ましくは、1〜7μmの範囲にある複合水酸化ニッケル粒子を得ることができる。
【0029】
但し、このように、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、即ち、複合元素を含む複合水酸化ニッケル粒子を製造する場合、これらの元素のニッケルに対する原子比、即ち、複合元素/Ni原子比は、通常、0.5以下であり、好ましくは、0.001〜0.5の範囲であり、特に、好ましくは、0.05〜0.4の範囲である。この原子比が0.5を越えるときは、所期の形状と大きさを有する複合水酸化ニッケル粒子を得ることができない場合がある。
【0030】
更に、本発明によれば、上述したような(複合)水酸化ニッケル粒子の表面にMg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、即ち、被着元素を酸化物及び/又は水酸化物として被着させることができる。このような被着元素を有する水酸化ニッケル粒子は、本発明による(複合)水酸化ニッケル粒子を水に分散させてスラリーとし、このスラリー中にて上記被着元素の塩を水酸化アルカリにて中和して、上記被着元素の酸化物又は水酸化物として、析出し、被着させればよい。
【0031】
好ましい態様によれば、本発明による(複合)水酸化ニッケル粒子を水に分散させてスラリーとなし、このスラリーを反応槽に仕込み、攪拌下、これに上記被着元素の塩の水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを連続して加えて、上記被着元素の塩を中和し、水酸化物又は酸化物として、(複合)水酸化ニッケル粒子の表面に析出し、被着させた後、これを濾過し、乾燥すればよい。上記被着元素の塩を中和し、水酸化物又は酸化物を生成させ、これを(複合)水酸化ニッケル粒子の表面に被着させるには、水酸化物又は酸化物が生成するように、反応槽中のpHは、用いる被着元素に応じて、最適のpHに調節することが必要であるが、例えば、硝酸アルミニウムを用いて、アルミニウムを被着させるには、反応槽中のpHは、7〜8に保持することが好ましい。
【0032】
このようにして、(複合)水酸化ニッケル粒子の表面に上記被着元素を被着させる場合、被着元素の量は、特に、限定されるものではないが、被着元素/(Niと複合元素)原子比は、通常、0.5以下であり、好ましくは、0.001〜0.5の範囲であり、特に、0.01〜0.33の範囲が好ましい。この原子比が0.5を越えるときは、上記被着元素の水酸化物又は酸化物が(複合)水酸化ニッケル粒子の表面以外の水相中に新たに核生成する場合がある。
【0033】
このようにして、被着元素をその表面に被着させてなる(複合)水酸化ニッケル粒子は、通常、その一次粒子が上記被着元素の水酸化物又は酸化物にて均一に被覆され、当初の三角柱状又は三角板状の一次粒子の形状を確認し難くなる。しかし、本発明によれば、このように、上記被着元素を被着した(複合)水酸化ニッケル粒子であっても、これを原料として、後述する条件下に得られるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子は、上記のような被着元素を表面に被着させなかった(複合)水酸化ニッケル粒子と同様に、一次粒子径の大きい複合酸化物を与える。即ち、(複合)水酸化ニッケル粒子の表面に被着した元素は、このような水酸化ニッケル粒子とリチウム化合物とを混合し、これを酸化性雰囲気中で焼成する間に、(複合)水酸化ニッケル粒子の内部に容易に拡散するので、基材である(複合)水酸化ニッケル粒子の形状と大きさを継承した複合酸化物を与えるのである。
【0034】
このように、本発明によれば、ニッケル以外の複合元素を含む複合水酸化ニッケル粒子は、ニッケル塩と共に、前記複合元素の塩を含む水溶液を水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを用いて中和することによって、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子として得ることができるし、また、水酸化ニッケル粒子を水に分散させてスラリーとなし、その中で前記被着元素の塩を水酸化アルカリで中和すれば、その一次粒子の特徴的な形状は、確認し難いものの、ニッケル以外の被着元素を含む被着水酸化ニッケル粒子を得ることができる。勿論、本発明によれば、任意の前記複合元素を含む複合水酸化ニッケル粒子に任意の前記被着元素を被着させてもよい。
【0035】
本発明によれば、上述したような(複合)水酸化ニッケル粒子(被着(複合)水酸化ニッケル粒子を含む。)を用いることによって、一次粒子径の大きいリチウム・ニッケル複合酸化物粒子を容易に得ることができる。即ち、本発明による(複合)水酸化ニッケル粒子とリチウム化合物とをLi/Ni(ニッケル以外に複合元素及び/又は被着元素を有するときは、それら元素を含む。)原子比が1.00〜1.05の範囲で混合し、これを空気や酸素等の酸化性雰囲気中、600〜1000℃、好ましくは、700〜850℃の温度にて10〜30時間程度、焼成し、この後、解砕すれば、一次粒子径が1〜10μmの範囲にあり、平均粒子径が3〜30μmの範囲にある二次凝集粒子を得ることができる。特に、本発明によれば、このように、焼成後、得られた焼成物を解砕する際に、1μm以下の微粒子の発生が少ないという利点もある。
【0036】
従って、本発明によって得られるこのようなリチウム・ニッケル(及び複合元素及び/又は被着元素としてのマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、バナジウム、マンガン、鉄及び/又はコバルト)複合酸化物は、タッピング(充填)密度が1.5〜2.0g/mLと大きく、比表面積が0.05〜1m2/gと小さく、正極活物質として望ましい物性を有し、かくして、本発明によるリチウム・ニッケル複合酸化物を正極活物質として用いれば、高温環境下で充放電サイクルを行なった場合の容量低下が少なく、また、高温環境下で保存した場合の自己放電も小さく、特性にすぐれた非水電解質リチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0037】
このようなリチウム・ニッケル複合酸化物の製造において、上記リチウム化合物としては、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム一水塩等が好ましく用いられる。反応温度が600℃よりも低いときは、リチウムが十分に複合酸化物の内部までドープされず、他方、1000℃を越えるときは、リチウムが揮散し、リチウム/ニッケル比を変動させ、また、不純物としての酸化ニッケルの生成等が起こるので、好ましくない。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、%は、特に別の記載がなければ、重量%を意味する。
【0039】
実施例1
(水酸化ニッケル粒子の製造)
容量が約10Lの反応器にその攪拌翼が浸る程度の最小量のアンモニア水(1.0モル/L)約2Lを仕込み、攪拌下、これに硝酸ニッケル水溶液(2.4モル/L)とアンモニア水(13.3モル/L)とをそれぞれ99mL/時及び18mL/時の割合にて連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを10.5±0.3に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(8.6モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸ニッケル水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を48時間にわたって行なった。この間、反応槽の反応混合物(スラリー)中のアンモニアの濃度を1.0〜1.3モル/Lの範囲に保持すると共に、反応温度を温度コントローラにて40℃±1℃に保持した。反応終了後、反応槽内のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、水酸化ニッケル粉末を得た。
【0040】
このようにして得た水酸化ニッケルの粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図1に示すように、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、11.8μmであった。また、このような水酸化ニッケル粉末のタッピング(充填)密度は1.8g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.25°、比表面積は2.4m2/gであった。
【0041】
実施例2
(水酸化ニッケルコバルト粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
実施例1において、硝酸ニッケル水溶液に代えて、硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液(Ni/Co原子比=85/15、合計濃度=2.4モル/L)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水酸化ニッケルコバルト粉末を得た。
【0042】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトの粒子も、走査型電子顕微鏡写真から、実施例1によるものと同様に、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、12.1μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルト粉末のタッピング(充填)密度は1.7g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は2.9m2/gであった。
【0043】
比較例1
(水酸化ニッケルコバルト粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
容量が10Lの反応槽に硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液(Ni/Co原子比=85/15、合計濃度=1.6モル/L)とアンモニア水(5.9モル/L)とをそれぞれ600mL/時及び81mL/時にて連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを12.0±0.2に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(6.0モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を行ない、得られた反応混合物(スラリー)を連続的に反応槽から取出した。反応を開始して48時間経過した後のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、水酸化ニッケルコバルト粉末を得た。
【0044】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトの粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図3に示すように、粒径が0.1μm以下の微細な一次粒子が凝集した球状の二次粒子であった。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、12.0μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルト粉末のタッピング(充填)密度は2.0g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.89°、比表面積は30.4m2/gであった。
【0045】
実施例3
(リチウム・ニッケル複合酸化物の製造)
実施例1で得た水酸化ニッケル粉末と水酸化リチウム−水塩をLi/Ni原子比1.02として混合し、酸素雰囲気中、800℃で20時間焼成した。これを解砕して、ニッケル酸リチウム粉末を得た。このニッケル酸リチウムは、その走査型電子顕微鏡写真を図4に示すように、粒径1μm以上の大きい一次粒子からなる凝集粒子であった。
【0046】
このニッケル酸リチウム粉末のタッピング(充填)密度は1.7g/mL、比表面積は0.15m2/gであった。また、Cu−Kα線を用いて測定したX線回折図を図5に示す。
【0047】
実施例4
(水酸化ニッケルコバルトマグネシウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
容量が約10Lの反応器にその攪拌翼が浸る程度の最小量のアンモニア水(1.0モル/L)約2Lを仕込み、攪拌下、これに硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸マグネシウムの混合水溶液(Ni/Co/Mg原子比=81/14/5、合計濃度2.4モル/L)とアンモニア水(13.3モル/L)とをそれぞれ99mL/時及び18mL/時の割合にて連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを10.5±0.3に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(8.6モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸マグネシウムの混合水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を48時間にわたって行なった。この間、反応槽の反応混合物(スラリー)中のアンモニアの濃度を1.0〜1.3モル/Lの範囲に保持すると共に、反応温度を温度コントローラにて30℃±1℃に保持した。反応終了後、反応槽内のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、水酸化ニッケルコバルトマグネシウム粉末を得た。
【0048】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトマグネシウムの粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図6に示すように、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、14.9μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトマグネシウム粉末のタッピング(充填)密度は2.0g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は2.0m2/gであった。
【0049】
実施例5
(水酸化ニッケルコバルトカルシウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)実施例4において、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸マグネシウムの混合水溶液に代えて、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸カルシウムの混合水溶液(Ni/Co/Ca原子比=81/14/5、合計濃度2.4モル/L)を用いた以外は、実施例4と同様にして、水酸化ニッケルコバルトカルシウム粉末を得た。
【0050】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトカルシウムの粒子も、走査型電子顕微鏡写真から、実施例4によるものと同様に、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、13.2μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトカルシウム粉末のタッピング(充填)密度は2.0g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は2.3m2/gであった。
【0051】
実施例6
(水酸化ニッケルコバルトストロンチウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
実施例4において、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸マグネシウムの混合水溶液に代えて、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸ストロンチウムの混合水溶液(Ni/Co/Sr原子比=81/14/5、合計濃度2.4モル/L)を用いた以外は、実施例4と同様にして、水酸化ニッケルコバルトストロンチウム粉末を得た。
【0052】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトストロンチウムの粒子も、走査型電子顕微鏡写真から、実施例4によるものと同様に、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、12.9μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトストロンチウム粉末のタッピング(充填)密度は1.9g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は2.4m2/gであった。
【0053】
実施例7
(水酸化ニッケルコバルトバリウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
実施例4において、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸マグネシウムの混合水溶液に代えて、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸バリウムの混合水溶液(Ni/Co/Ba原子比=84/15/1、合計濃度2.4モル/L)を用いた以外は、実施例4と同様にして、水酸化ニッケルコバルトバリウム粉末を得た。
【0054】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトバリウムの粒子も、走査型電子顕微鏡写真から、実施例4によるものと同様に、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、11.7μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトストロンチウム粉末のタッピング(充填)密度は1.9g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は2.5m2/gであった。
【0055】
実施例8
(水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
容量が約10Lの反応器にその攪拌翼が浸る程度の最小量のアンモニア水(1.0モル/L)約2Lを仕込み、攪拌下、これに硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸アルミニウムの混合水溶液(Ni/Co/Al原子比=84/15/1、合計濃度2.4モル/L)とアンモニア水(13.3モル/L)とをそれぞれ99mL/時及び18mL/時の割合にて連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを10.5±0.3に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(8.6モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸アルミニウムの混合水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を48時間にわたって行なった。この間、反応槽の反応混合物(スラリー)中のアンモニアの濃度を1.0〜1.3モル/Lの範囲に保持すると共に、反応温度を温度コントローラにて30℃±1℃に保持した。反応終了後、反応槽内のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粉末を得た。
【0056】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトアルミニウムの粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図7に示すように、表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、上記三角形の一辺が1μm以上であることが確認された。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、11.4μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粉末のタッピング(充填)密度は1.7g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は3.1m2/gであった。
【0057】
実施例9
(アルミニウムを被着させた水酸化ニッケルコバルト粒子(被着複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
5L容量の反応槽に実施例2で得た水酸化ニッケルコバルト粉末1kgと水を什込んで、全量1.5Lのスラリーとなし、攪拌下、これに硝酸アルミニウム水溶液(0.9モル/L)を600mL/時の割合で連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを7.5±0.3に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(2.7モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸アルミニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を2.5時間にわたって行なった。反応終了後、反応槽内のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、表面にアルミニウムを被着させた水酸化ニッケルコバルト粉末(Al/(Ni+Co)原子比=0.1)を得た。
【0058】
この表面にアルミニウムを被着させた水酸化ニッケルコバルト粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図8に示すように、水酸化ニッケルコバルト粒子の表面に水酸化アルミニウムが均一に付着しており、当初の一次粒子の三角柱状又は三角板状の形状は、一部に残存していることが認められる。
【0059】
この表面にアルミニウムを被着させた水酸化ニッケルコバルトの二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、13.5μmであった。また、タッピング(充填)密度は1.6g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.26°、比表面積は15.2m2/gであった。
【0060】
比較例2
(水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粒子(複合水酸化ニッケル粒子)の製造)
容量が10Lの反応槽に硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸アルミニウムの混合水溶液(Ni/Co/Al原子比=84/15/1、合計濃度1.6モル/L)とアンモニア水(5.9モル/L)とをそれぞれ600mL/時及び81mL/時にて連続的に加えながら、同時に、送液ポンプをpHコントローラに連動させ、pHを12.0±0.2に維持しつつ、水酸化ナトリウム水溶液(6.0モル/L)を連続的に加えた。このようにして、硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸アルミニウムの混合水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを反応槽に連続的に加えつつ、反応を行ない、得られた反応混合物(スラリー)を連続的に反応槽から取出した。反応を開始して48時間経過した後のスラリーを濾過、水洗、乾燥して、水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粉末を得た。
【0061】
このようにして得た水酸化ニッケルコバルトアルミニウムの粒子は、その走査型電子顕微鏡写真を図9に示すように、粒径が0.1μm以下の微細な一次粒子が凝集した球状の二次粒子であった。この二次粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度測定機で測定したところ、2.1μmであった。また、このような水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粉末のタッピング(充填)密度は0.9g/mL、X線回折測定による101面ピークの半価幅は0.73°、比表面積は83.0m2/gであった。
【0062】
実施例10
(リチウム・ニッケル複合酸化物の製造)
実施例9で得たアルミニウムを被着させた水酸化ニッケルコバルト粉末と水酸化リチウム一水塩をLi/(Ni、Co及びAl)原子比1.02として混合し、酸素雰囲気中、800℃で20時間焼成した。これを解砕して、コバルト及びアルミニウムを含む複合ニッケル酸リチウム粉末を得た。この複合ニッケル酸リチウムは、その走査型電子顕微鏡写真を図10に示すように、粒径1μm以上の大きい一次粒子からなる凝集粒子であった。
【0063】
この複合ニッケル酸リチウム粉末の平均粒径は11.9μm、タッピング(充填)密度は1.9g/mL、比表面積は0.30m2/gであった。また、Cu−Kα線を用いて測定したX線回折図を図11に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明実施例1にて得た水酸化ニッケル粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図2】は、上記図1の水酸化ニッケル粒子を模式的に示す図である。
【図3】は、比較例1にて得た水酸化ニッケルコバルト粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図4】は、本発明実施例3にて得たニッケル酸リチウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図5】は、本発明実施例3にて得たニッケル酸リチウム粒子のX線回折図である。
【図6】は、本発明実施例4にて得た水酸化ニッケルコバルトマグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図7】は、本発明実施例8にて得た水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図8】は、本発明実施例9にて得た表面に水酸化アルミニウムを被着させてなる水酸化ニッケルコバルト粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図9】は、比較例2にて得た水酸化ニッケルコバルトアルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図10】は、本発明実施例10にて得たコバルト及びアルミニウムを含む複合ニッケル酸リチウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。
【図11】は、本発明実施例10にて得た複合ニッケル酸リチウム粒子のX線回折図である。
【符号の説明】
1…表面がほぼ正三角形である三角柱状又は三角板状をなしている一次粒子、2…二次粒子、3…一次粒子の表面。
Claims (5)
- 水又はアンモニア水を仕込んだ反応槽にニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを連続的に加え、反応槽中の反応混合物のpHを10〜11の範囲に保持しつつ、且つ、反応槽中の反応混合物中のアンモニア濃度を0.5モル/L以上の範囲に保持しつつ、上記ニッケル塩を20〜50℃の範囲の温度で中和して、水酸化ニッケル粒子を析出させ、濾過し、乾燥させることを特徴とする水酸化ニッケル粒子の製造方法。
- 水又はアンモニア水を仕込んだ反応槽にMg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の複合元素の塩を含むニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水とを連続的に加え、反応槽中の反応混合物のpHを10〜11の範囲に保持しつつ、且つ、反応槽中の反応混合物中のアンモニア濃度を0.5モル/L以上の範囲に保持しつつ、上記ニッケル塩と上記複合元素の塩とを20〜50℃の範囲の温度で中和して、上記複合元素を含む水酸化ニッケル粒子を析出させ、濾過し、乾燥させることを特徴とする、上記複合元素をNiに対する原子比にて0.5以下の範囲で含む水酸化ニッケル粒子の製造方法。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の方法によって得られた水酸化ニッケル粒子を水に分散させてなるスラリー中において、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、V、Mn、Fe及びCoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の被着元素の塩の水溶液を水酸化アルカリ水溶液にて中和し、濾過し、乾燥させることを特徴とする、上記被着元素を酸化物又は水酸化物として、Niに対する原子比にて0.5以下の範囲でその表面に被着させてなる水酸化ニッケル粒子の製造方法。
- 請求項1、2又は3のいずれかに記載の方法によって得られた水酸化ニッケル粒子をリチウム化合物と混合し、酸化性雰囲気下に600〜1000℃の範囲の温度で焼成することを特徴とするリチウム・ニッケル複合酸化物粒子の製造方法。
- 請求項1、2又は3のいずれかに記載の方法によって得られた水酸化ニッケル粒子をリチウム化合物と混合し、酸化性雰囲気下に600〜1000℃の範囲の温度で焼成して得られるリチウム・ニッケル複合酸化物粒子。
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