JP4051673B2 - 熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を使用した磁気記録媒体用基板、この基板を用いた磁気記録媒体並びにこの磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を使用した磁気記録媒体用基板、この基板を用いた磁気記録媒体並びにこの磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板、該基板を使用した磁気記録媒体および該磁気記録媒体の製造方法に関する。特に、本発明は、コンピュータの外部記憶装置およびその他のデジタルデータの各種磁気記録装置に搭載される磁気記録媒体用基板、該基板を使用した磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体を使用する記録装置の大容量化に伴って、記録密度の向上のために磁気ヘッド浮上量の低減が図られている。磁気ヘッド浮上量を低減するためには、平滑性に優れた磁気記録媒体、即ち高い表面精度を有する磁気記録媒体が要求される。例えば、従来から一般に使用されている非磁性金属基板(Al等)の場合には高度な精密加工が要求される。
【0003】
従来の非磁性金属基板からなる磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体の製造方法の一例を以下に示す。
【0004】
非磁性基板には一般的に、加熱溶融した金属材料を圧延、加熱焼純したのち、規定の寸法に加工を行ったブランク材が用いられる。このブランク材は内外経処理が施され、表面精度の向上のためのラッピング加工が行われる。この後、該ブランク材には、表面硬度を向上させるなどの目的で13μmのNi−Pメッキ層が形成される。このNi−Pメッキ層の表面は、ポリッシュで表面粗さがRa=10Åになるように研磨され、次いで研磨表面にダイヤモンドスラリーを使用して、最終ラッピング加工が施される。得られた基板には、コンタクト・スタート・ストップ(CSS)ゾーンに、例えばパンプハイトが190Å、パンプ密度が30×30になるようにレーザーゾーンテクスチャーが施される。次に、この基板を精密洗浄することにより、磁気記録媒体用基板が得られる。
【0005】
この磁気記録媒体用基板に、DCスパッタ法により500Åの下地Cr層、300ÅのCo−14Cr−4Ta磁性層、および80Åのカーボン保護層を順次形成する。さらにスパッタ後の表面にテープバニッシュを行い、次にディップコート法またはスピンコート法によりフッ素系潤滑層を20Å形成し、磁気記録媒体を得ることができる。
【0006】
上記のような、従来の磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体の製造方法は、近年の高密度化の要求とともに一層複雑化しているのが現状である。さらに高機能を維持したままで、従来以上に安価な磁気記録媒体を提供することも要求されている。この相反する要求を解決する磁気記録媒体として、熱可塑性樹脂を磁気記録媒体用基板に用いた磁気記録媒体が提案されている。
【0007】
プラスチック製磁気記録媒体用基板を成形技術によって作製し、CSSゾーンや磁気ディスクにサーボマークをプリフオームする凹凸パターンを成形時に同時に形成する方法は、生産性に優れ工業的にも有利であり、安価な磁気記録媒体を提供することが可能である。
【0008】
例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を射出成形することにより、最適化された厚みを有し、その表面に所定形状を有する磁気記録媒体用基板と、該基板を用いた磁気記録媒体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、他の例としては、フィラーを含有するプラスチック複合材料のフィラーおよびマトリックス樹脂の種類、含有量、フィラーの粒径、磁気ディスク基板の厚さなどを最適化して磁気ディスク基板を射出成形し、この基板に磁性層を設けて得られる磁気記録媒体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらに他の例として、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を所定温度、所定時間で射出成形し、表面精度の優れる成型品、特に磁気記録媒体に用いられる基板を得る方法およびその製品が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−153060号公報(第0009段から第0010段)
【0012】
【特許文献2】
特開平7−210855号公報(第0009段から第0010段)
【0013】
【特許文献3】
特開平9−85743号公報(第0005段)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラスチック製磁気記録媒体用基板は、例えば合成樹脂ペレットを射出成形して製造されるが、金属性基板およびガラス等のセラミック基板と比較し、一般に引張り強度や引張り・曲げ弾性率等の機械的強度が低いため、成形時や基板離型時の応力により基板の平坦度が低下したり、数μmレベルの凹凸状の欠陥が発生したり、微小うねりが大きくなるという問題がある。さらに熱膨張係数の大きいプラスチック製磁気記録媒体用基板は、高温環境下では形状変化が発生し、さらに吸湿性の高い基板ではさらに形状変化が助長される。これは高い表面精度が要求される磁気記録媒体用基板において問題となる。
【0015】
このような表面欠陥が存在し、平坦度が低下し且つ微小うねりを有する磁気記録媒体用基板を使用して磁気記録媒体を製造することは、ヘッドとの読み書きが行えないことや、特に、低フライングハイトヘッドを用いての連続・高速シーク時には、ヘッドの走行性が安定されず、最終的にはヘッドクラッシュを引き起こすことになり、耐久性を低下させることに繋がる。
【0016】
また、所定の形状特性や表面精度を保持したプラスチック製磁気記録媒体用基板だったとしても高温高湿環境下(例えば80℃、80%RH、500時間)では基板の形状変化が増大し、前述の耐環境安定性低下に基づく不具合を発生させることになる。
【0017】
一方、プラスチック製磁気記録媒体用基板の材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂のようなものが使用されるが、これら以外にも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を使用することができる。しかし、光ディスク基板に使用されているポリカーボネート樹脂やポリメチルメタアクリレート樹脂は吸湿による変形や熱による変形が発生し不適当である。また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、耐熱性、低吸湿性、形状安定性の点で比較的優れた特性を有し、優れた磁気記録媒体用基板を提供できるが、この樹脂も上述のような問題を有している。
【0018】
本発明は、かかる実状を鑑みてなされたものである。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、既存のプラスチック材料を用いて、完全に上記問題を解決するのは不可能であり、従って、ガラス転移点Tgが高く、熱安定性が高く、形状安定性に優れ、耐湿性に優れ且つ射出成形として十分な流動性を保持した新規なプラスチック材料を用いることが必要であることが判明した。本発明はこのような観点から、新規な熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を見出した。
【0019】
本発明の目的は、上記熱安定性や形状安定性および耐湿性に優れた熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を用いて、表面の欠陥や微小うねり等の表面精度に優れ、さらに形状安定性等の信頼性に優れたプラスチック製磁気記録媒体用基板を提供することにある。
【0020】
また、本発明の別の目的は、上記プラスチック製磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体を提供することにある。
【0021】
特に、本発明は、表面欠陥や微小うねりが極めて少ない、高精度な表面を保持し、且つ高温高湿環境下での形状安定性に優れた高環境信頼性を保持したプラスチック製磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明の別の目的は上記磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を進めた結果、以下に示す本発明を完成した。即ち、本発明の第一は、アリロキシメチルスチレン系樹脂を用いたプラスチック製磁気記録媒体用基板に関する。
【化4】
Figure 0004051673
【0024】
本発明において、アリロキシメチルスチレン系樹脂は、上記一般式A若しくは一般式Bで示される構造単位を繰り返し単位とする熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、または、繰り返し単位として両構造単位を含む熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂である。ここで、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族複素環基から選択される基である。また、mおよびnは、0または1以上の整数を表わすが、mとnが同時に0となることはない。本発明のプラスチック製磁気記録媒体用基板は、この樹脂の組成、不純物、環化率を一定範囲内に制御したアリロキシメチルスチレン系樹脂を用いて、射出成形して得られる。
【0025】
【化5】
Figure 0004051673
【0026】
具体的には、上記一般式1若しくは一般式2で示される構造単位を繰り返し単位とする熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂、または、繰り返し単位として両構造単位を含む熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂、並びに、
【0027】
【化6】
Figure 0004051673
【0028】
上記一般式3若しくは一般式4で示される構造単位を繰り返し単位とする熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂、または、繰り返し単位として両構造単位を含む熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を見出し、この樹脂の組成、不純物、環化率を一定範囲内に制御したフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂またはアリロキシメチルスチレン樹脂を用いて、射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板に関する。
【0029】
本発明の第二は、上記磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体に関する。
【0030】
具体的には、本発明の第二は、熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板に少なくとも磁性層、保護層および潤滑層が形成された磁気記録媒体である。該磁気記録媒体は、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を用いた基板からなる磁気記録媒体に耐環境信頼性テストとして80℃、80%RHの高温高湿度環境下に500時間放置したときの基板平坦度の形状変化が10%以下であることを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明の第三は、上記磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0032】
本発明の基板および磁気記録媒体により前記目的が達成できる。
【0033】
さらに具体的には、第一の発明の第一の形態は、新規な熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板に関する。該基板の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が180℃<Tg<270℃、好ましくは200℃<Tg<270℃である。さらに該熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂は射出成形時の熱安定性の要求から、一般式1または2の当該物質は、環化率が90%以上であり、加熱分解点が360℃以上であることが好ましい。
【0034】
また、本発明では、該熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂から得られた磁気ディスク基板またはこの基板より構成される磁気記録媒体を高温高湿環境下に放置した時の基板の膨潤による形状の変化を抑制するために、上記樹脂の水分含有量は0.01%以下であることが好ましい。
【0035】
第一の発明の第二の形態は、新規な熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板に関し、該熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂のガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることを特徴とする。さらには該熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂は射出成形時の熱安定性から、一般式3または4で表される当該物質は、環化率が80%以上、好ましくは88%以上であり、加熱分解点が350℃以上であることが好ましい。
【0036】
該熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂から得られた磁気ディスク基板またはこの基板より構成される磁気記録媒体は、高温高湿環境下に放置したときの基板膨潤による形状変化を抑制する観点から、その水分含有量が0.01%以下であることが好ましい。
【0037】
また、第一の発明では、熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板は、その基板半径方向の平坦度が12μm以下であり、真直度が1.2μm以下であり、うねり(Wa)が50nm以下であり、平均粗さ(Ra)が0.5nm以下であることが好ましい。
【0038】
本発明では、熱可塑性樹脂は熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に新規なフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂またはアリロキシメチルスチレン樹脂である。これらの樹脂は、ガラス転移点(Tg)が高く、高温下での形状の変化が少なく、熱安定性に優れ、且つ耐湿性に優れる。従って、これらの熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂またはアリロキシメチルスチレン樹脂から調製される磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体も優れた特性を有する。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0040】
まず、本発明で使用する熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂の概要について説明する。
本発明で使用する熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂は下記一般式Aまたは一般式Bで表される繰り返し構造単位のいずれかまたは両方を有する。
【0041】
【化7】
Figure 0004051673
【0042】
本発明では、Rは、以下のものに限定されないが、例えば水素、メチル、エチルなどのアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、フェニル、ナフチルなどのアリール基、ピリジル、フリルなどの芳香族複素環基などを挙げることができる。本発明の効果を奏するものであれば、一般式Aおよび一般式B中のフェニル基は任意に置換されていてもよい。置換基としては、メチル、エチルなどの低級アルキル基などを挙げることができる。
【0043】
本発明で使用する熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂は、1500〜30000、好ましくは2000〜25000、より好ましくは3000〜20000の数平均分子量を有する。
【0044】
【化8】
Figure 0004051673
【0045】
好ましくは、本発明で使用する熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂は、上記一般式1から一般式4の構造単位を有する。本明細書において、一般式1および2のアリロキシメチルスチレン系樹脂をフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂と称し、一般式3および4のアリロキシメチルスチレン系樹脂をアリロキシメチルスチレン樹脂と称する。なお、上記一般式1〜4を構造単位として含む、本発明で使用しうるフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂において、mおよびnは、0または1以上の整数であるが、mとnが同時に0となることはない。また、フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂は1500〜30000、好ましくは2000〜25000、より好ましくは3000〜20000の数平均分子量を有する。
【0046】
熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂の環化率は合成時における重合開始剤の種類や添加量、さらに重合温度や重合時間によって制御可能である。しかし、熱可塑性樹脂としての所定のガラス転移点(Tg)や熱安定性を保持するためには、得られた熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂の環化率は、80%以上であることが必要である。具体的には、得られた熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂の環化率は90%以上であることが必要であり、さらに望ましくは99%以上であることが必要である。また、熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の環化率は80%以上であることが必要であり、さらに望ましくは88%以上であることが必要である。
【0047】
熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂の環化率が低いと、ポリマーの繰り返し単位中に環化されていないペンダントオレフィン構造単位が多く含まれることになり、その結果、ポリマー分子の低分子量化とともに、熱可塑性樹脂としてのガラス転移点(Tg)や熱安定性が低下し、さらには射出成形された成形品についても、機械強度、熱安定性、形状安定性、および所定の表面精度が得られないという不具合が発生する。
【0048】
熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂のガラス転移点(Tg)は分子量や環化率等によって変化するが、Tgが100℃以上である。具体的には、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂並びにアリロキシメチルスチレン樹脂のガラス転移点(Tg)は分子量や環化率等によって変化するが、環化率が90%以上に制御された熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂においては、180℃<Tg<270℃、好ましくは200℃<Tg<270℃であり、環化率が80%以上、好ましくは88%以上に制御された熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂においては、Tgが100℃以上であり、本発明では、このような範囲のガラス転移点(Tg)であることが好ましい。この範囲のガラス転移点を保持した熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂またはアリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られた成形品は、十分な機械強度、熱安定性、形状安定および所定の表面精度を保持することが出来る。
【0049】
また、熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂の加熱分解点も前述の環化率等によって変化するが、350℃以上であることが好ましい。より具体的には、例えば、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂の加熱分解点も前述の環化率等によって変化するが、環化率が90%以上に制御された熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂においては加熱分解点は360℃以上であり、環化率が80%以上、好ましくは88%以上に制御された熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂においては加熱分解点は350℃以上でり、本発明では、このような加熱分解点を持つ樹脂であることが好ましい。このような樹脂は、射出成形時の高温溶融下においても熱安定性に劣る低分子量成分の変質が起こらず、その結果、射出成形後の成形品の表面に数μm〜数十μmサイズの欠陥も発生せず、十分な表面精度を保持することが出来る。
【0050】
本発明では、加熱分解点は、例えば以下のように求めることができる。試料5±0.5mgを秤量し、測定装置として熱重量(TG)分析装置[N(流量200ml/分)下、温度:30〜600℃(昇温速度:例えば10℃/分)]で測定した0.5%熱重量減温度を加熱分解点として求める。
【0051】
また、熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂の水分含有量の水分含有量は、主に当該樹脂の化学構造に由来する要因が大きい。本発明の熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂は、水分含有量0.01%以下であることが好ましい。例えば、本発明で好ましく使用できる熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂並びにアリロキシメチルスチレン樹脂は、構造ユニット中に極性官能基が無く、且つ環状フェニルアリロキシメチルスチレン構造および環状アリロキシメチルスチレン構造のような環状の立体構造が重合された低吸湿構造を有しており、このため樹脂の水分含有量を低く抑えることができるのである。従って、上述の環化率や加熱分解点に構造、組成、物性等が制御された熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂においては、水分含有量0.01%以下を保持することが出来る。このことは、射出成形で得られた成形品において、例えば高温高湿度下に放置する耐環境安定性試験において、吸湿に伴う形状の変化が認められず、且つ高温高湿から低温低湿への結露試験においても成形品表面に欠陥の発生が認められないことに繋がり、結果として耐環境信頼性の高い成形品を得ることができる。
【0052】
本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂には、所望により、フェノール系やリン系などの老化防止剤、フェノール系などの熱劣化防止剤、ベンゾフェノン系やヒンダードアミン系などの紫外線安定化剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステルなどの滑剤などの各種添加剤を添加してもよい。また本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂(例えば、ノルボルネン系ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂など。)を混合して用いることもできる。また、機械的強度をさらに改良することを目的としてチタン、シリコンなどのフイラーを添加することも出来る。
【0053】
上述の添加剤が配合された熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂並びに熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂は、磁気記録媒体用基板として必要とされる耐熱性(熱安定性)、耐湿性、強度剛性、耐環境安定性などの物性および特性に関して、配合される添加剤の添加量が少ないため、このような添加剤を添加しない熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂と実質的に同じものとみなすことができる。
【0054】
次に本発明に係わるプラスチック製磁気記録媒体用基板について説明する。
【0055】
本発明のプラスチック製磁気記録媒体用基板は、上述の熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂、特に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を使用し、射出成形法により形成される。熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂は、射出成形に使用する前に乾燥させて、これらの中に含有されているN、O、HO等の大気溶存ガスや、揮発性の低分子のアリロキシメチルスチレン系樹脂、例えば低分子フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および低分子アリロキシメチルスチレン樹脂や合成時の不純物等を十分除去しておくことが望ましい。
【0056】
乾燥方法としては、真空乾燥単独または常圧乾燥と真空乾燥を併用した方法を用いることができる。真空乾燥の真空度は20Pa以下であり、乾燥温度は80〜150℃であり、乾燥時間は12〜48時間であり、この範囲で選択すればよいが、本発明はこれに限定されない。また常圧乾燥の雰囲気は大気中であってもN雰囲気中であっても構わない。さらに該乾燥方法により、樹脂ペレットに含有される大気ガス成分が、N:20ppm以下、O:20ppm以下、HO:1ppm以下となり、さらに低分子のアリロキシメチルスチレン系樹脂や合成時の不純物等の揮発性成分の和が1ppm以下となることが望ましい。
【0057】
このように予め樹脂中に含有される揮発性成分を乾燥により十分に除去した熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を用いて射出成形することで、本発明のプラスチック製磁気記録媒体用基板を得ることができる。具体的には、市販の射出成形装置にスタンパーを固定した金型を用い、所定の樹脂温度、射出速度、型締圧力を用い、さらに金型温度として固定側/可動側をそれぞれ適切な温度に設定して射出成形を行えば良い。例えば、射出成形の条件として、樹脂温度を360℃、射出速度を170mm/s、型締圧力を70kg/cmに設定することができる。また金型温度は、例えば固定側/可動側=150℃/150℃に設定することができる。このような条件下で、例えば、略φ95mm×1.27mmtの磁気記録媒体用基板を製造することができる。
【0058】
特に、本発明で好ましく使用できる熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂は、ガラス転移点が180℃以上、好ましくは200℃以上と高く且つ、加熱分解点も360℃以上と高い、高耐熱射出成形用樹脂である。従って、従来の熱可塑性射出成形用樹脂と比較し、樹脂温度や金型温度を高く設定できるという特徴を有している。また本発明で好ましく使用できる熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂は、ガラス転移点はあまり高くないものの、加熱分解点は350℃以上と十分に高く、高耐熱射出成形用の樹脂である。従って、従来の熱可塑性射出成形用樹脂と比較し、射出成型時の樹脂温度を高く設定できるという特徴を有している。一般に射出成形用樹脂は、射出加熱筒内で250℃〜380℃でスクリューで粉砕・溶融され、金型キャビティー内へ射出される。その後、樹脂は金型キャビティー内で内周から外周に向かって流動・充填され、金型表面側から冷却・固化され、磁気記録媒体用基板へと成形される。従って、使用する熱可塑性樹脂の加熱分解点が高い程、加熱筒内の樹脂温度も高く設定でき、またガラス転移点(Tg)が高い程、金型温度を高く設定することができる。即ち、樹脂温度が高く且つ金型温度が高い程、金型キャビティー内へ射出される樹脂の溶融粘度を低く維持することができ、従来樹脂より流動性の高い状態で、磁気記録媒体用基板を成形することができる。
【0059】
このように高流動状態から成形された磁気記録媒体用基板の表面精度は非常に高い。例えば、基板表面の半径方向の平坦度が12μm以下であり、真直度が1.2μm以下であり、うねり(Wa)が50nm以下であり、平均粗さ(Ra)が0.5nm以下である、十分な表面精度を保持した磁気記録媒体用基板を得ることができる。
【0060】
次に本発明に係わる磁気記録媒体について説明する。
【0061】
本発明の磁気記録媒体は、前記アリロキシメチルスチレン系樹脂用いて射出成形により製造された磁気記録媒体用基板を使用する。本発明では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を使用することが好ましい。以下の説明では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を使用した場合を例に取り説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0062】
図1に本発明の磁気記録媒体の一態様を示す。図1は本発明の磁気記録媒体の概略構造断面図である。
【0063】
本発明では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を前記の方法で乾燥し、射出成形して得られたプラスチック基板を基板1として使用する。その上に中間層2、非磁性下地層3、磁性層4、保護層5および液体潤滑層6を順次形成し、磁気記録媒体とする。前記中間層2、非磁性下地層3、磁性層4、保護層5および液体潤滑層6は、従来から使用されている材料を使用することができる。具体的には、中間層2は、例えばTiよりなる金属層であり、非磁性下地層3は、例えばCrよりなる下地層であり、磁性層4はCo合金、例えば強磁性合金であるCo−Cr−Pt、Co−Cr−Taなどであり、保護層5は、例えばカーボン保護層などであり、更に液体潤滑層6はパーフルオロポリエーテル系潤滑剤のようなフッ素系潤滑剤等である。
【0064】
本発明の磁気記録媒体を図1により説明したが、この構造は一例であり、磁気記録媒体の目的に応じて種々の変更が可能である。例えば、本発明では、中間層2を設けなくてもよい。
【0065】
また、形状は本発明の磁気記録媒体を使用する機器に合わせることができ、特に限定されない。例えば、HDDに使用されるような磁気記録媒体であれば円盤状の記録媒体であればよい。
【0066】
このような前記熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られたプラスチック基板を用いた磁気記録媒体は、他の熱可塑性樹脂を用いて得られたプラスチック基板を用いた磁気記録媒体では実現不可能な、熱に対する高い形状安定性を保持している。
【0067】
一般に射出成形して得られたプラスチック基板は、特に高温環境下では、射出成形時に基板に発生した残留応力の影響により形状変化を起こすことが知られている。この残留応力は以下のような現象で発生する。
【0068】
射出成形の樹脂充填時に、金型表面で冷やされ固化された樹脂(基板の表面側)とキャビティ中心部(基板のバルク)を高温で流れる樹脂との間で温度勾配ができ、それに伴い樹脂に速度勾配ができる。このとき基板の表面側と金型との界面でせん断応力が働き、からまりあった分子が流れ方向(半径方向)に伸ばされ、その後、冷却時にこれらは配向することなく固化する。一方、キャビティ中心部(基板のバルク)では温度および速度勾配は少ないので、樹脂の流れる方向(半径方向)へ分子が良く配向することになる。
【0069】
この基板表面のスキン層とバルクの間で、樹脂分子の配向性の差が大きい基板ほど、基板厚み方向でのクリープ特性が悪くなり、且つ基板表面近傍には残留応力が発生することになる。
【0070】
このような残留応力の大きい磁気ディスク基板を、高温高湿(例えば80℃、80%RH)環境下に放置すると、湿度の影響も加わって基板の変形がさらに増加し、磁気ディスク基板としての形状安定性を維持することができなくなる。
【0071】
上記の現象に鑑み、基板表面のスキン層とバルクの樹脂分子の配向性の差を極力発生させないことが好ましい。
【0072】
即ち、プラスチック基板を用いた磁気記録媒体の形状安定性を向上させるためには、適性な構造および物性を保持したプラスチック材料を用い、適性な成形条件で成形された基板を使用して磁気記録媒体を製造することが好ましい。特に、このようにして製造された磁気記録媒体用基板は、基板表面の残留応力が極めて少なく、80℃、80%RHのような高温高湿下においても、基板の形状変化量が10%以下に抑制される。本発明では、このようなプラスチック基板を用いることにより、優れた特性を有する磁気記録媒体が得られることを見出した。
【0073】
ここで適性な構造とは、環状構造を有する三次元的に剛直な立体化学的構造であり、適性な物性とは、機械的強度の特性と密接に関連する高ガラス転移点(高Tg)および高流動成形を可能にする高い熱安定性(加熱分解点が高い)を有することであり、さらに吸湿による膨潤や変形が少ない低吸湿性を兼ね備えることである。本発明で使用する上記熱可塑性樹脂はこのような条件を満たす。具体的には、例えば、ガラス転移点が180℃〜270℃、好ましくは200℃〜270℃と高く、加熱分解点が360℃以上と高く、吸水率が0.01%以下と低い、本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂が該当し、本発明ではこの樹脂が最も好ましい。また適正な成形条件とは、残留応力の発生を抑制出来る高流動成形条件である。具体的には樹脂溶融温度が高く、金型温度が高い上述のような成形条件である。
【0074】
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を乾燥する工程、乾燥された熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を射出成形し、プラスチック製磁気記録媒体用基板を形成する工程、該基板上に少なくとも磁性層、保護層および液体潤滑層を順次形成する成膜工程とを具備する。
【0075】
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、前記アリロキシメチルスチレン系樹脂用いて磁気記録媒体用基板を製造し、これを用いて磁気記録媒体を製造する。本発明の製造方法では、先に説明した熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を使用する。本発明の製造方法では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を使用することが好ましい。以下の説明では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂または熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を使用した場合を例に取り説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0076】
本発明の製造方法において、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の乾燥工程、および、プラスチック製磁気記録媒体用基板を形成する工程は、上述のような乾燥方法および射出成形方法により行われる。従って、以下では、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の合成方法の概略、および、成膜工程について説明する。
【0077】
熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の合成方法の概略は、以下の通りである。
【0078】
フェニルアリロキシメチルスチレンモノマーは、α−ヒドロキシメチルスチレン2重量部とα−ブロモメチルスチレン1重量部に、例えば相間移動触媒としてテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイドを混合し、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素溶媒と水のような水性溶媒を用い、塩基性条件下、一定温度で50時間以上反応させることで得ることができる。ここで得られた生成物からフェニルアリロキシメチルスチレンモノマーを分離精製する。
【0079】
フェニルアリロキシメチルスチレンモノマーの合成に用いることができる他の相間移動触媒としては、例えばテトラノルマルブチルアンモニウムクロライド、クラウンエーテル+KCl、クラウンエーテル+KBrがある。クラウンエーテルの例としては、18−Crown−6、トリベンゾ−18−Crown−6、ジシクロヘキシル−18−Crown−6、ジベンゾ−18−Crown−6などがある。
【0080】
さらに熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂の重合は以下の通りである。
【0081】
重合管に所定量のフェニルアリロキシメチルスチレンモノマーと例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルやクメンヒドロペルオキシド等の重合開始剤を混合し、窒素雰囲気下で封管後、あるいは凍結−脱気−融解の操作を所定時間数回繰り返し、真空下で封管後、所定温度で数時間静置して重合を行い、その後急冷することで熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を得ることができる。反応は無溶媒で行うことができる。得られた樹脂は、沈殿剤のメタノールに投入し、析出した樹脂を濾過などにより分離すればよい。
【0082】
熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂の重合で使用できる他の重合開始剤はアゾ化合物および過酸化物である。具体的には、例えばアゾ化合物では、2,2’−アゾ−ビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−メチルバレロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2,3−ジメチルブチロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−メチルヘキサンニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2,3,3−トリメチルブチロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−メチルヘプタンニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−シクロプロピルプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−シクロペンチルプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−ベンジルプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−(4−ニトロベンジル)プロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−シクロブチルプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−シクロヘキシルプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−(4−クロロベンジル)プロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−エチル−3−メチルバレロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−イソプロピル−3−メチルバレロニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−イソブチル−4−メチルバレロニトリル、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンニトリル、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロブタンニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−カルボメトキシプロピオニトリル、2,2’−アゾ−ビス−2−カルボエトキシプロピオニトリルがある。過酸化物の例としては、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ビス−(1−オキシシクロヘキシル)ペルオキシド、アセチルペルオキシド、カプリリルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジクロロ−過酸化ベンゾイル、(2,4,2’,4’−テトラクロロ)過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブチル−クミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシド)−ヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシド−ヘキサン、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルベンゾエート、ジ−t−ブチルペルフタレート、2,5−ジメチル(2,5−ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチルペルマレエート、i−プロピルペルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−i−プロピルカーボネート、琥珀酸ペルオキシドがある。
【0083】
次に、本発明の熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の合成方法概要について説明する。
【0084】
アリロキシメチルスチレンモノマーは、α−ヒドロキシメチルスチレン1重量部と臭化アリル10重量部に、例えば相間移動触媒としてテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド0.5重量部を混合し、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素溶媒と水のような水性溶媒を用い、塩基性条件下、一定温度で50時間以上反応させることで得ることができる。ここで得られた生成物からアリロキシメチルスチレンモノマーを分離精製する。なお、アリロキシメチルスチレンモノマーで使用できる相間移動触媒の例は、先にフェニルアリロキシメチルスチレンモノマーの合成法で述べたものと同じである。
【0085】
さらに熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の重合は以下の通りである。
【0086】
重合管に所定量のアリロキシメチルスチレンモノマーと例えば2,2’−アゾビスイソブチルニトリルやクメンヒドロペルオキシド等の重合開始剤を混合し、窒素雰囲気下で封管後、あるいは凍結−脱気−融解の操作を所定時間数回繰り返し、真空下で封管後、所定温度で数時間静置して重合を行い、その後急冷することで熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を得ることができる。反応は、無溶媒で行うことができる。得られた樹脂は、沈殿剤のメタノールに投入し、析出した樹脂を濾過などにより分離すればよい。なお、アリロキシメチルスチレンモノマーで使用できる重合開始剤の例は、先に熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂の合成法で述べたものと同じである。
【0087】
プラスチック製磁気記録媒体用基板の上面に磁気記録を可能とする層構造を積層する工程(成膜工程)は、この基板上に中間層2をスパッタ法で形成し、次いで、この中間層2上に非磁性下地層3を形成し、その上に磁性層4および保護層5を順次形成する。この後、溶媒で希釈した潤滑剤を前記保護層5の表面に塗布する。前記非磁性下地層3はCr層であり、前記磁性層4はCo−14Cr−4Ta合金層であることが好ましい。
【0088】
非磁性下地層3、磁性層4および保護層5は、これらが例えばCr非磁性下地層、Co−14Cr−4Ta磁性合金層およびカーボン層である場合、スパッタ法によって形成することができる。また、保護層5がカーボン保護層である場合、通常のグラフアイトを主体としたカーボン保護層であってもDLC保護層であってもよく、またカーボン保護層に窒素を添加してもよい。また、潤滑層6は、ディップコート法、スピンコート法等により塗布することができ、潤滑剤はパーフロロポリエーテルを好適に使用することができ、特にアウジモント製ZDOLやAM2001、ダイキン工業製DEMNUM−SA,SPであることが好ましい。
【0089】
これらの中間層2、非磁性下地層3、磁性層4、保護層5および潤滑層6の厚さは通常の磁気記録媒体で用いられる厚さである。
【0090】
なお、上記の構成は本発明を限定するものではない。例えば、本発明においては、中間層2を設けなくてもよい。
【0091】
【実施例】
以下実施例に沿って、本発明をさらに詳細に説明する。
(調製例1)
フェニルアリロキシメチルスチレンモノマーの合成
α−ブロモメチルスチレンを193g(1mol)、α−ヒドロキシメチルスチレンを262g(2mol)、ジクロロメタン1000ml、テトラノルマルブチルアンモニウムプロマイド15gを混合し氷浴で冷却しながら、そこに水酸化ナトリウム140g(3.5mol)を水1000mlに溶かしたものを滴下し、活発に攪拌しながら50時間反応させた後、水層をジクロロメタンで洗浄した。ジクロロメタンを取り除き、140℃、0.4mmHgでの減圧蒸留により100gの生成物Aを得た。得られた生成物は混合物であるため、ヘキサン/ジクロロメタン展開液を用いてカラムクロマトグラフイーで分離精製し、フェニルアリロキシメチルスチレンモノマーを得た。
【0092】
(調製例2)
フェニルアリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂1)の合成
パイレックス(登録商標)ガラス製の重合管に調製例1で得たフェニルアリロキシメチルスチレンモノマー100mlと重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.006molを取り、窒素雰囲気下で封管後、あるいは凍結−脱気−溶解の操作を30分、40分、50分の3回行い、真空下で封管後、恒温槽中60℃で、24時間静置して重合を行った。重合の停止は重合管を氷で急冷することにより行った。その後、沈殿剤のメタノールに投入し、白色粉末状のポリマーを得た。沈殿したポリマーをガラスフィルターで濾別し、メタノールを除去し、真空乾燥機で48時間以上乾燥してフェニルアリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂1)を得た。得られたポリマーのH−NMRスペクトルで検出されるフェニルプロトンの吸収強度とペンダントオレフィンの吸収強度の比から樹脂1の環化率は90%であった。また、DSC分析から求めたガラス転移点(Tg)は220℃であり、TG分析より求めた加熱分解点は360℃であった。さらにTDS分析より本ポリマーの含有水分量は0.008%であった。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、その数平均分子量(Mn)は14000であった。このポリマーは、一般式1および一般式2の繰り返し単位を有するコポリマーである。
【0093】
なお、加熱分解点の測定は、熱重量分析装置を用いて測定した0.5%熱重量減温度を加熱分解点として求めた。測定条件は、以下の通りである。
測定装置:熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製「TG/DTA220」
試料量:5±0.5mg
流量:200ml/分
測定温度:30〜600℃
昇温速度:10℃/分
【0094】
調製例2に従って、フェニルアリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂2および樹脂3)を調製した。
【0095】
得られた樹脂1から樹脂3を表1にまとめた。樹脂2および樹脂3において、環化率、Tg、加熱分解点、および含有水分量は、上記調製例と同様にして測定した。
【0096】
(調製例3)
アリロキシメチルスチレンモノマーの合成
臭化アリルを233g(1.9mol)、α−ヒドロキシメチルスチレンを26g(0.2mol)、ジクロロメタンを1000ml、テトラノルマルブチルアンモニウムブロマイドを3.4g(0.01mol)、および水を290ml混合したものに水酸化ナトリウム39gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を混合し、50℃で50時間加熱還流させ反応させた。反応後、水層と有機層を分離し、水層をエーテル抽出した後、エーテル層と有機層を混合して硫酸マグネシウムで一夜間乾燥した。乾燥剤を濾別後、エーテルを留去して、残液を0.2mmHg減圧下、54℃において蒸留し、24gの生成物Bを得た。得られた生成物には不純物が認められたため、シクロヘキサン/クロロホルム展開液を用いてカラムクロマトグラフイーで分離精製し、アリロキシメチルスチレンモノマーを得た。
【0097】
(調製例4)
アリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂4)の合成
パイレックス(登録商標)ガラス製の重合管に調製例3で得たアリロキシメチルスチレンモノマー100mlと重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.006molを取り、窒素雰囲気下で封管後、あるいは凍結−脱気−溶解の操作を30分、40分、50分の3回行い、真空下で封管後、恒温槽中60℃において24時間静置して重合を行った。重合の停止は重合管を氷で急冷することで行った。その後沈殿剤のメタノールに投入し、白色粉末状のポリマーを得た。沈殿したポリマーをガラスフィルターで濾別し、メタノールを除去し、真空乾燥機で48時間以上乾燥してアリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂4)を得た。得られたポリマーのH−NMRスペクトルで検出されるフェニルプロトンの吸収強度とペンダントオレフィンの吸収強度の比より環化率は88%であった。また、DSC分析から求めたガラス転移点(Tg)は110℃であり、TG分析より求めた加熱分解点は350℃であった。さらにTDS分析より本ポリマーの含有水分量は0.006%であった。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、その数平均分子量(Mn)は5500であった。このポリマーは、一般式1および一般式2の繰り返し単位を有するコポリマーである。
【0098】
調製例4に示す方法に従って、アリロキシメチルスチレンポリマー(樹脂5)を調製した。
【0099】
得られた樹脂(樹脂4および樹脂5)を表1に示した。樹脂5において、環化率、Tg、加熱分解点、および含有水分量(含水量)は、上記調製例と同様にして測定した。
【0100】
【表1】
Figure 0004051673
【0101】
(実施例1)
上記調製例2に従って調製した、環化率が90%、ガラス転移温度(Tg)が220℃であり、加熱分解点が360℃以上である熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂(樹脂1)を、20Pa以下の減圧下で140℃真空乾燥24時間行い、引き続きNパージ下120℃において、常圧下で15時間乾燥を行い、樹脂中に含有する大気ガス成分が、N:20ppm以下、O:20ppm以下、HO:1ppm以下であり、さらに低分子量のフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂や合成時の不純物等の揮発性成分の和が1ppm以下となる乾燥済フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂1を得た。
【0102】
次にこの十分に乾燥した樹脂を使用し、市販されている最大射出成形圧力70tの射出成形装置を用いて射出成形した略φ90mm×1.27mmtの磁気記録媒体用基板Iを得た。
【0103】
射出成形は、前記射出成形装置にスタンパーを固定した金型を用い、射出成形の条件として樹脂温度を360℃、射出速度を170mm/s、型締圧力を70kg/cm、金型温度:固定側/可動側=150℃/150℃で行なった。
【0104】
(実施例2)
環化率が96%、ガラス転移温度(Tg)が250℃であり、加熱分解点が380℃以上である熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂2を用いたこと以外は実施例1と同様に乾燥し、引き続き射出成形を行い磁気記録媒体用基板IIを得た。
【0105】
(実施例3)
環化率が99%、ガラス転移温度(Tg)が265℃であり、加熱分解点が400℃以上である熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂3を用いたこと以外は実施例1と同様に乾燥し、引き続き射出成形を行い磁気記録媒体用基板IIIを得た。
【0106】
(実施例4)
環化率が88%、ガラス転移温度(Tg)が110℃であり、加熱分解点が350℃以上である熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂4を、20Pa以下の減圧下で140℃真空乾燥24時間行い、引き続きNパージ下120℃常圧乾燥15時間行い、樹脂中に含有する大気ガス成分が、N:20ppm以下、O:20ppm以下、HO:1ppm以下となり、さらに低分子アリロキシメチルスチレン樹脂や合成不純物等の揮発組成成分の和が1ppm以下となる乾燥済フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂4を得た。
【0107】
次にこの十分に乾燥した樹脂を使用し、市販されている最大射出成形圧力70tの射出成形装置を用いて射出成形した略φ90mm×1.27mmtの磁気記録媒体用基板IVを得た。
【0108】
射出成形は、前記射出成形装置にスタンパーを固定した金型を用い、射出成形の条件として樹脂温度を350℃、射出速度を170mm/s、型締圧力を70kg/cm、金型温度:固定側/可動側=100℃/100℃で行なった。
【0109】
(実施例5)
環化率が96%、ガラス転移温度(Tg)が100℃であり、加熱分解点が370℃以上である熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂5を用いたこと以外は実施例4と同様に乾燥し、引き続き射出成形を行い磁気記録媒体用基板Vを得た。
【0110】
(実施例6)
前記実施例1で得た磁気記録媒体用基板I上にDCスパッタ法により下地Cr層500Å、Co−14Cr−4Ta磁性層を300Å、カーボン保護層を80Åと順次形成し、さらにスパッタ後の表面にテープバニッシュを行い、フッ素系潤滑剤(アウジモント製FOMBLIN Z−DOL等)をスピンコート法で20Å形成し、磁気記録媒体aを得た。
【0111】
(実施例7)
前記実施例2で得た磁気記録媒体用基板IIを用いたこと以外は実施例6と同様にし、磁気記録媒体bを得た。
【0112】
(実施例8)
前記実施例3で得た磁気記録媒体用基板IIIを用いたこと以外は実施例6と同様にし、磁気記録媒体cを得た。
【0113】
(実施例9)
前記実施例4で得た磁気記録媒体用基板IVを用いたこと以外は実施例6と同様にし、磁気記録媒体dを得た。
【0114】
(実施例10)
前記実施例5で得た磁気記録媒体用基板Vを用いたこと以外は実施例6と同様にし、磁気記録媒体eを得た。
【0115】
(比較例1)
樹脂を市販の熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン株式会社製「ZEONEX280」)を使用し、実施例1と同様な樹脂乾燥、射出成形を行い、磁気記録媒体用基板VIを得た。
【0116】
(比較例2)
樹脂を市販の熱可塑性ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製「パンライトAD5503」)を使用し、実施例1と同様な樹脂乾燥、射出成形を行い、磁気記録媒体用基板VIIを得た。
【0117】
(比較例3)
比較例1の磁気記録媒体用基板VIに実施例6と同様な成膜処理を施し、磁気記録媒体fを得た。
【0118】
(比較例4)
比較例2の磁気記録媒体用基板VIIに実施例6と同様な成膜処理を施し、磁気記録媒体gを得た。
【0119】
[特性の評価]
実施例1〜5および比較例1〜2で作製された磁気記録媒体用基板の平坦度および基板半径方向の真直度(Pa)、うねり(Wa)および平均粗さ(Ra)を評価した。
【0120】
尚、平坦度はフラットネステスター「FT−12(Nidec製)で求め、真直度、うねり、および粗さは非接触光学式表面粗さ計「Chapman(Chapman社製)」により求めた。
【0121】
結果を実施例1〜5で用いた熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂1〜3並びに熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の環化率、ガラス転移点(Tg)、加熱分解点、水分含有率と併せて表2に示す。
【0122】
【表2】
Figure 0004051673
【0123】
この結果より、本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して得られた磁気記録媒体用基板(実施例1〜5)は、比較例1および2の市販の熱可塑性樹脂で射出成形して得られた磁気記録媒体用基板と比較し、平坦度が低く、真直度、うねりおよび粗さの小さい、表面精度に優れた磁気記録媒体用基板となることがわかる。従って、本発明により、上記特性の優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0124】
これは、実施例1〜5の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂が、比較例1〜2の市販の熱可塑性樹脂と比較し、材料物性として、350℃以上と極めて高い加熱分解点を有し、耐熱性の高い射出成形用樹脂であるため、従来の熱可塑性射出成形用樹脂と比較し、樹脂温度350℃以上の高い流動性射出成形条件下でも十分な表面精度や表面安定性を具備した磁気記録媒体用基板を提供できるためである。これにより、十分な表面精度や表面安定性を具備した磁気記録媒体を得ることが可能となる。
【0125】
また、次に実施例6〜10、比較例3〜4で得られたプラスチック基板を用いた磁気記録媒体を80℃、80%RH環境中に500時間放置し、その前後での平坦度およびその変化率を表3に示す。
【0126】
【表3】
Figure 0004051673
【0127】
この結果より、本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を用いた磁気記録媒体用基板から得られた実施例6〜8の磁気記録媒体は、比較例3〜4の市販の熱可塑性樹脂を用いて得られた磁気記録媒体と比較し、高温高湿下での形状変化が非常に小さく、耐環境形状安定性に優れた磁気記録媒体であることがわかる。従って本発明によれば、耐環境形状安定性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0128】
これは、実施例1〜3の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂は比較例1〜2の市販の熱可塑性樹脂と比較し、材料物性として、ガラス転移点が180℃以上、好ましくは200℃以上と非常に高く且つ、加熱分解点も360℃以上と高い、耐熱性の高い射出成形用樹脂であるため、従来の熱可塑性射出成形用樹脂と比較し、樹脂温度360℃や金型温度150℃という高い温度で射出成形が可能であることによる。即ち、本発明によれば、基板の残留応力の発生を抑制できる(即ち高温放置下でも形状安定性に優れる。)高流動性射出成形条件で基板を製造することができ、このため十分な表面精度や形状安定性を具備した磁気記録媒体用基板を得ることができ、最終的に十分な表面精度や形状安定性を具備した磁気記録媒体を得ることができる。
【0129】
さらに、実施例1〜5で用いた熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂および熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂は比較例1〜2で用いた市販の熱可塑性樹脂と比較し、吸水量も極めて低い材料であるため、高湿放置下であっても吸湿による基板の膨潤に基づく形状変化も極めて少ない磁気記録媒体用基板となる。このため形状安定性に優れた磁気記録媒体用基板を得ることができ、最終的に形状安定性の優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0130】
また実施例1〜3の同一構造の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂であっても、環化率がより高く、ガラス転移温度(Tg)がより高く、且つ加熱分解点がより高い樹脂、即ち耐熱特性のより高い熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を用いると、平坦度がより低く、真直度、うねりおよび粗さがより小さい、表面精度のさらに優れた磁気記録媒体用基板が得られ、結果として高温高湿下に放置した場合でも形状の変化が極めて少ない磁気記録媒体を得ることができる。
【0131】
従って、磁気記録媒体用基板として十分な表面精度と言える平坦度12μm以下、基板表面半径方向の真直度が1.2μm以下で、うねり(Wa)が50nm以下であり、平均粗さ(Ra)が0.5nm以下の磁気記録媒体用基板を得るための熱可塑性射出成形用樹脂は、本発明のフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂およびアリロキシメチルスチレン樹脂でのみ実現でき、さらに80℃、80%RHの環境下に500時間放置した場合の耐環境試験においてもその形状変化率を10%以下に抑制した磁気記録媒体を得るための熱可塑性射出成形用樹脂は、本発明のフェニルアリロキシメチルスチレン樹脂で実現可能である。即ち、構成単位が、環状構造を有し、剛直な三次元立体化学構造であり、機械的強度特性と密接に関連する高ガラス転移点(高Tg)および高流動成形を可能にする高い熱安定性(加熱分解点が高い)を保持し、さらに吸湿による膨潤や変形が少ない低吸湿性を兼ね備えた本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂で優れた磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体を得ることができる。
【0132】
具体的には、環化率が90%以上であることにより、ポリマー中の剛直な三次元立体構造の比率が高く、その結果として物性的にガラス転移点(Tg)が180℃〜270℃、好ましくは200℃〜270℃と高く、且つ、加熱分解点が360℃以上と高く、さらに吸水率が0.01%以下と低い、実施例1〜3の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂を用いることにより、本発明の優れた磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体を得ることができる。
【0133】
さらに、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上述のような高精度で高信頼性である磁気記録媒体を、大量且つ安価に生産することが可能である。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂並びにアリロキシメチルスチレン樹脂から表面特性に優れる磁気記録媒体用基板並びに磁気記録媒体が提供できる。
【0135】
また、本発明磁気記録媒体用基板は、本発明の熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂並びにアリロキシメチルスチレン樹脂を射出成形して作製され、基板表面上の凹凸の欠陥が極めて少なく、さらに基板表面の真直度、うねり、表面粗さなどが極めて小さい高精度な表面を有する。
【0136】
さらに、本発明の磁気記録媒体は、80℃、80%RHの高温高湿環境下に500時間放置した場合でも形状変化の少ない耐環境安定性に優れた高い信頼性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の概略断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチック基板
2 中間層
3 下地層
4 磁性層
5 保護層
6 潤滑層

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板であって、該熱可塑性樹脂が一般式AまたはBで示される構造単位のいずれかまたは両方を有する熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
    Figure 0004051673
    [式中、Rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族複素環基から選択される基であり、mおよびnは、0または1以上の整数を表わす。ただし、mとnが同時に0となることはない。]
  2. 熱可塑性樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板であって、該熱可塑性樹脂が一般式1または2(式中、mおよびnは0または1以上の整数を表わすが、ただし、mとnが同時に0となることはない。)で示される構造単位のいずれかまたは両方を有する熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
    Figure 0004051673
  3. 熱可塑性樹脂を射出成形して得られるプラスチック製磁気記録媒体用基板であって、該熱可塑性樹脂が一般式3または4(式中、mおよびnは、0または1以上の整数を表わすが、ただしmとnが同時に0となることはない。)で示される構造単位のいずれかまたは両方を有する熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
    Figure 0004051673
  4. 請求項2に記載の磁気記録媒体用基板において、前記熱可塑性フェニルアリロキシメチルスチレン樹脂の環化率が90%以上であり、ガラス転移点(Tg)が180℃<Tg<270℃であり、加熱分解点が360℃以上であり、水分含有率が0.01%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  5. 請求項3に記載の磁気記録媒体用基板において、熱可塑性アリロキシメチルスチレン樹脂の環化率が80%以上であり、ガラス転移点(Tg)が100℃以上であり、加熱分解点が350℃以上であり、水分含有率が0.01%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  6. 請求項1から5に記載の磁気記録媒体用基板において、基板表面半径方向の平坦度が12μm以下であり、真直度が1.2μm以下であり、うねり(We)が50nm以下であり、平均粗さ(Ra)が0.5nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  7. 請求項2または4に記載の磁気記録媒体用基板において、80℃、80%RHの高温高湿度環境下に500時間放置した後の基板平坦度の形状変化が10%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  8. 基板上に少なくとも磁性層、保護層および潤滑層が形成された磁気記録媒体であって、前記基板が請求項1から7に記載の磁気記録媒体用基板であることを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 請求項8に記載の磁気記録媒体において、80℃、80%RHの高温高湿度環境下に500時間放置した後の基板平坦度の形状変化が10%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 請求項1から5に記載の熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を、十分に乾燥した後、該熱可塑性アリロキシメチルスチレン系樹脂を射出成形し、プラスチック製磁気ディスク基板を形成する工程、該基板上に少なくとも磁性層、保護層および潤滑層を順次形成する工程とを具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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