JP4051130B2 - ボタン穴かがりミシンの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の縫製パターンに基づきボタン穴部の周囲を周回するように縫製してボタン穴かがりを行うボタン穴かがりミシンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18には、メカ機構によりボタン穴かがりを行う従来のボタン穴かがりミシンの主要構成の斜視図を示す。同図中、P10は押さえ、P11は布保持板、P14は上糸切り鋏み、P19は押え棒軸、P25は縫製カムである。また、図示しないが、縫製カムP25と同軸上には所定針数のボタン穴かがり縫目を形成してから停止させるために、所定針数形成時に一回転してラチェット(不図示)により係止される停止カムが設けられている。そしてこれら縫製カムP25、停止カムはミシン主軸(不図示)に対してウォーム歯車等の連結機構を介して連結されている。
布押さえP10は、布保持板P11との間で布を挟みながら布を送る布送りを構成するもので、布押さえアームP12、連結軸P20および連結アームP22と連結され、縫製カムP25の回転によりカム溝P26に嵌合したコロP23により、連結アームP22が揺動し、この連結アームP22の揺動に従って布送り方向に前後動する。
【0003】
ミシン針を昇降させる縫製機構(図示略)には、ミシン針を昇降運動させる昇降機構に加え、ミシン針を前記布送り方向に直交する横方向に振る針振り機構も設けられており、この縫製機構が上記縫製カムP25の動きに連動して運動することで、図19に示すような左平行部P41、第1閂止め部P42、右平行部P43、第2閂止め部P44とを、ボタン穴部の周りを周回するように順次縫製し、ボタン穴かがりを行う。
【0004】
上糸切り鋏みP14が開いたり閉じたりする動さは、上糸切り鋏みP14に鋏み開きカムや鋏み閉じカムが接触することで実行される(図5参照:同図は本実施の形態のものであるが従来のものとほぼ同様の構成である。同図中、91は鋏み閉じカム、92は鋏み開きカムである)。そして、上記の鋏み開きカムや鋏み閉じカムは、布押さえP10に固定されている。
上糸切り挟みP14は、第2閂止め部の縫製終了時、即ちボタン穴かがり縫いの終了時に、ミシン針から伸びる上糸を布押さえP10の上側で切断するものである。上糸切り鋏みP14は、アームP15、連結軸P16、操作レバーP17と連結されている。図視略のペダル操作により操作レバーP17が連結軸P16の軸線方向に押されると共に連結軸P16を中心に回動され、それにより連結軸P16が直動および回転して、上糸切り鋏みP14が布押さえP10の上側に滑り込んでくると共に、その際、開いていた上糸切り鋏みP14が布押さえP10に設けられた鋏閉じカムに係合して閉じられ、上糸を切断するようになっている。
一方、次の縫い始め時に布押さえP10が移動するとき鋏み開きカムが上糸切り鋏みP14に係合して開かれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以前のボタン穴かがりミシンにおいては、ボタン穴かがりの縫い終わりの一針が、布送りが最後退した位置、即ち、連結アームP22のコロP23が縫製カムP25のカム溝P26の径(縫製カムP25の中心からの距離)の極小個所にくる位置に設定され、この極小個所において前記停止カムにラチェットが噛み合って停止状態となることが理想である。そして、次の縫い始めの一針目はカムP26により布送りされた位置となるので、前記縫い終わりの極小個所から引き続く形で行なわれる。
しかしながら、各機構のメカ部の組み付け状態、例えば縫製カムP25と停止カムの組み付け状態が適正でなかったとき、或いは各機構のガタやギヤーのバックラッシュ等により、上記の理想の設定状態とすることは困難であり、極小個所に到達せず手前で停止されることもあり、その場合には縫い終わりの一針の位置がずれて、図19(a)に示すように、次の縫い始めの縫い目P40が第2閂止め部P44からはみ出るといった問題を生じる場合があった。
さらに、伸張性の高い生地に縫製を行った場合、第1平行部P41と第1閂止め部P42を縫うときには生地が伸ばされながら縫われるのに対して、第2平行部P43と第2閂止め部P44を縫うときには前記第1の平行部P41、閂止め部P42により生地が固定された状態となっているため、縫い始め位置と縫い終り位置がずれる可能性が高く、第2閂止め部P44から縫目がはみ出るといった上記現象が特に顕著になる。
【0006】
そこで、従来では、縫製カムP25の前記極小個所よりもわずかに前進させて中心から外側となるように停止させ、図19(b)に示すように、ボタン穴かがりの縫い終わりの一針を閂止め部P45内に設定して、次の縫い始めの一針が第2閂止め部P44の端より若干内側に来るようにすることで、縫い終りの一針がずれた場合でも、第2閂止め部P44の中に収まるようにして上記問題を解消していた。
しかしながら、上記従来のように、縫い終わりの一針を布送りの最後退から若干前進させた位置に設定すると、今度は、それらの位置が安定せずに、縫製処理ごとに縫い始めと縫い終わりの一針の位置がばらつくといった課題を発生させた。或いは、縫製パターンを変えるごとに、縫い始めと縫い終わりの一針の位置が変化してしまうという課題を発生させた。
すなわち、布送りの最後退から若干前進させた位置は、連結アームP22のコロP23がカム溝P26の径(縫製カムP25の中心からの距離)の変化途中にあるため、その位置が決定しにくく安定しない。また、縫製パターンを変えるには縫製カムP25を取り替える必要があるが、縫い始めと縫い終わりに対応するカム溝の位置が特定されないので、その位置がばらついてしまう。
【0007】
一方、上述のように、縫い終わりの一針の位置がばらつくということは、即ち布押さえP10の位置がばらついていることになり、従って、布押さえP10に固定されている鋏み開きカムおよび鋏み閉じカムと、上糸切り鋏みP14との配置関係がばらつくことになる。
上糸切り鋏みP14の作動時に、上糸切り鋏みP14と鋏み開きカムおよび鋏み閉じカムとの相対配置がばらつくと、上糸切り鋏みP14の鋏み閉じ量が少なくなって上糸が切れなくなったり、鋏み閉じ量が大きくなって鋏みを劣化させるといった問題を発生させた。
また、上糸切り鋏みP14は、上糸を切断した後に該上糸を把持し、次回の左平行部P41の縫製の際に上糸を所定位置に導いて、上糸の切り端側を左平行部P41のかがり縫いの中に巻き込ませるといった作用をするが、上述のように、上糸切り鋏みP14と鋏み開きカムとの相対配置がばらつくと、上糸切り鋏みP14が開くタイミングが前後するといった問題を発生させる。上糸切り鋏みP14が早く開くと、縫目の結節が行なわれる前に上糸が弛んで上下糸がうまく絡まなくなったり、上糸が針から抜け落ちることがあり、また、上糸切り鋏みP14が遅く開くと、縫目結節時の上糸張力が強すぎて縫目につれを生じる等の問題も発生させる。
【0008】
この発明は、上記問題を解決するためになされたもので、ボタン穴かがり縫目の縫い終わりの停止針位置を布送り方向に対して設定された位置にするとともに、上糸切り鋏みと布押さえとの配置変化による上糸切り鋏みの動作不良が生じることのないボタン穴かがりミシンの制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、被縫製物を保持して前後に送る布送り手段を備え、縫製パターンに基づき被縫製物のボタン穴部の周囲を周回するように縫製してボタン穴かがり縫目を形成する行うボタン穴かがりミシンの制御装置であって、前記布送り手段を電気的に駆動する送り駆動手段と、縫い終わりの針落ち位置が、ボタン穴かがり縫目の布送り方向の両端より内側の位置で、且つ、前記布送り手段に対して一定位置になるように縫製パターンを演算する演算手段と、前記送り駆動手段を制御して前記縫製パターンによる縫製を行う制御手段と、前記縫い終わりの針落ち位置を設定する設定入力手段とを備えた構成とした。
【0010】
この請求項1記載の発明によれば、縫製処理を複数回行った場合でも、或いは、縫製パターンを変化させた場合でも、上記演算手段により縫い終わりの針落ち位置が設定された位置になるように演算され、更に、電気的な送り駆動手段とそれを制御する制御手段により、上記設定された縫製パターンでの縫製が実現される。したがって、被縫製物の上方で上糸を切断する上糸切り鋏み、該鋏みに接触して該鋏みを開く鋏み開きカム、該鋏みに接触して該鋏みを閉じる鋏み閉じカムを備え、上記鋏み開きカムと鋏み閉じカムとが前記布送りに対して固定されているボタン穴かがりミシンにおいて、上糸切り鋏みの作動時に、上糸切り鋏みと鋏み開きカムおよび鋏み閉じカムとの配置関係が一定し、それゆえ、従来この配置関係のばらつきに起因して生じていた上糸切り鋏みの動作不良が防止される。また、演算手段により一定位置に演算される縫製パターンの縫い終わり位置を、上記設定入力手段を介して設定入力できるので、例えば上糸切り鋏みや鋏み開きカムおよび鋏み閉じカム等の取り付け位置を設定しなおした際に、それに合わせて縫製パターンの縫い終わり位置を設定変更できるので都合が良い。
【0011】
請求項2記載の発明は、被縫製物を保持して前後に送る布送り手段と、針落ち位置を布送り方向とほぼ直行する針振り方向に振る針振り機構とを備え、縫製パターンに基づき被縫製物のボタン穴部の周囲を周回するように縫製してボタン穴かがり縫目を形成するボタン穴かがりミシンの制御装置において、前記布送り手段を電気的に駆動する送り駆動手段と、前記針振り機構を電気的に駆動する針振り駆動手段と、縫い終わりの針落ち位置が、ボタン穴かがり縫目の布送り方向の両端より内側の位置で、且つ、前記布送り手段に対して一定位置になるように前記縫製パターンを演算する演算手段と、前記送り駆動手段を制御して前記縫製パターンによる縫製を行う制御手段と、前記縫い終わりの針落ち位置を設定する設定入力手段とを備え、前記演算手段は、前記針振り方向におけるボタン穴かがり縫目の縫い終わりの針落ち位置が、前記布送り手段に対して一定位置になるように縫製パターンを演算する構成とした。
【0012】
この請求項2記載の発明によれば、上糸切り鋏みの作動時に、上糸の横方向(針振り方向)の位置も安定するので、上糸切り鋏みによる上糸の切断および把持を安定して実行することが出来る。また、演算手段により一定位置に演算される縫製パターンの縫い終わり位置を、上記設定入力手段を介して設定入力できるので、例えば上糸切り鋏みや鋏み開きカムおよび鋏み閉じカム等の取り付け位置を設定しなおした際に、それに合わせて縫製パターンの縫い終わり位置を設定変更できるので都合が良い。
【0013】
好ましくは、請求項1又は2記載のボタン穴かがりミシンの制御装置において、前記演算手段が、縫い始めの針落ち位置が前記縫い終わりの針落ち位置と同一点になるように縫製パターンの演算を行う構成としてもよい。
【0014】
このような構成によれば、複数のボタン穴かがりを行う場合、布送りおよび針の位置が、1個のボタン穴かがりの終了時と次のボタン穴かがりの開始時とで同じ位置となる。したがって、1個のボタン穴かがりの終了から次のボタン穴かがりに移行する際に、布送りと針の位置を変えずにスムーズに移行することが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図17の図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の実施の形態のボタン穴かがりミシン1の概観を示す斜視図、図2は、ボタン穴かがりミシン1の布送りと針の昇降機構を主に示す透視図、図3は、ボタン穴かがりミシン1の針の昇降機構と針振り機構を主に示す透視図である。
【0018】
この実施の形態のボタン穴かがりミシン1は、昇降動作と左右への針振り動作を行うミシン針9、布(被縫製物)を押さえる布押さえ15、下側で布を保持すると共に布送り方向に前後動する布保持板14、布押さえ15の上側で上糸を切断する上糸切り鋏み80、布を切断してボタン穴を形成する布切りメス16、各設定データ等の入力を行う設定入力手段としての操作パネル110(図6)、並びに、該ボタン穴かがりミシン1を制御する制御装置(図7)等を備えてなる。
【0019】
上記布押さえ15および布保持板14は、布送り手段としても機能し、縫製中を通して布を保持すると共に、布送り方向に前後動して布を前後に送るようになっている。図2に示すように、布押さえ15は連結アーム24を介して布送り部材23に連結され、布保持板14は直接に布送り部材23に連結されている。布送り部材23は、ラック22aを有する送り軸22に固定されており、パルスモータ等からなる送り駆動手段としてのY送りパルスモータ20の駆動により前後動して、布押さえ15と布保持板14とを前後動させる。
【0020】
ミシン針9を昇降させる昇降機構は、図2と図3に示すように、上軸6、パルスモータ等のミシンモータ5、クランクカム7等から構成され、ミシンモータ5の回転駆動をクランクカム7により昇降運動に変換して針棒8に伝達することで、ミシン針9を昇降運動させる。上軸6は、傘車10a,10bを上下端に配した連結軸10を介して下軸11とリンクしており、該下軸11に連結された釜12と連動するようになっている。
【0021】
ミシン針9を左右に振る針振り機構は、ある基線を原点としてミシン針9を振る主針振り機構と、この針振り幅を変更する振り幅変更機構、並びに、上記基線を左右方向に変更する基線変更機構等から構成される。
【0022】
図3に示すように、主針振り機構は、針棒揺動台18、針振り腕49、連結軸48、連結レバー47、針振りカムレバー46、三角カム54、ギヤ51,52等から構成され、ミシンの上軸6の回転運動を三角カム54に伝達することで、針振りカムレバー46を所定の振り幅で揺動させ、この揺動を伝達して針棒揺動台18を支点18aを中心に回動させることでミシン針9を左右方向に振るようになっている。主針振り機構の針振り動作は、上軸6を介してミシン針9の昇降運動とリンクしており、ミシン針9が一回目に降りるタイミングで針棒8を基線上にもって行き、2回目に降りるタイミングで針棒8を基線から所定の振り幅量の位置にもって行くようになっている。
【0023】
振り幅変更機構は、パルスモータ等の針振り送りパルスモータ41の回転により、リンク55,56を介して針振りカムレバー46の振り幅量を決定している支点位置を変更することでミシン針9の振り幅量を変更する。基線変更機構は、パルスモータ等の基線送りパルスモータ40の回転により、基線変更用レバー43を支点43aを中心に回動させて、針振りカムレバー46の揺動運動の原点を決定している支点44aを変更することで、ミシン針9の針振りの基線位置を変更する。
つまり、上記針振り送りパルスモータ41および基線送りパルスモータ40により、針振り機構を駆動する針振り駆動手段が構成されている。
【0024】
図4は、ボタン穴かがりミシン1の上糸切り鋏み80を移動させる主要構成を示す図、図5は、上糸切り鋏み80の動作を説明するためもので、(a)は上糸切り鋏みが上糸を切断する直前の状態を示す上面図、(b)は上糸切り鋏みが上糸を切断した状態を示す上面図、(c)は上糸切り鋏みが切断後の上糸を保持している状態を示す上面図である。
上糸切り鋏み80は、図5に示すように、固定刃86、可動刃87、糸保持ばね90等からなる。
【0025】
可動刃87は、ピン88を中心に回動可能な状態で固定刃86に固定されており、この可動刃87の同一部材上に突出したカム当接部87cを備えている。そして、このカム当接部87cが鋏み開きカム92や鋏み閉じカム91に当接して固定刃86が所定方向に所定量押されることで、可動刃87が固定刃86に対して動作するようになっている。
上記鋏み開きカム92や鋏み閉じカム91は、従来の構成と同様に、布押さえ15に対して固定的に取り付けられ、布押さえ15との前後方向への相対移動によって、上糸切り鋏み80との相対配置を変化させる。
詳細には、布押さえ15が前進することで、カム当接部87cが鋏み開きカム92に当接して押され可動刃87が開く。そして、この状態で上糸切り鋏み80が前進(図5で下方に移動)し、その後、右に移動して針落ち位置の上側をスライド移動することで、可動刃87と固定刃86との間に上糸が入り込み、更に、カム当接部87cが鋏み閉じカム91に当接して押され可動刃87が閉じて、ミシン針9から伸びる上糸が切断される。
【0026】
糸保持ばね90は,切段後の上糸を可動刃87との間で挟んで保持する板ばねであり、この上糸の保持により、複数個のボタン穴かがりを行う縫製処理において、1個のボタン穴かがりの縫製終了後に、そのままの状態で次のボタン穴かがりに移行することが可能となる。糸保持ばね90に保持された上糸は、次のボタン穴かがりの際に、例えば左平行部のかがり縫いの途中まで保持され、該かがり縫いの中に巻き込まれる(この巻き込みのことを上糸巻込みと言う)。
そして、ボタン穴かがりの所定のタイミングで、挟み開きカム92がカム当接部87cに当接して可動刃87が開きかけることで糸保持ばね90に保持されていた上糸が開放される。ここでの挟み開きカム92とカム当接部87cとの当接は、例えば、左平行部のかがり縫いでの布押さえ15の前進により、挟み開きカム92も同様に前進することで実行される。
【0027】
上述の上糸切り鋏み80は、例えば、1個のボタン穴かがりが終了して布押さえ15を上げる直前に、前後方向および左右方向に移動して上述のような糸切り動作を行う。
上糸切り鋏み80を移動させる主要構成は、図4に示すように、従来の構成と同様、鋏みレバー81、連結軸83、鋏みアーム85等から構成される。連結軸83は、鋏みレバー81とともに軸線方向への直動および軸線を中心に回転可能な状態で軸受け95に支持されており、この連結軸83の直動および回転に従って、上糸切り鋏み80が前後移動および左右方向へのスライド移動を行う。鋏みレバー81は操作ペダル等の操作部材(図示しない)あるいはソレノイドやパルスモータ等の駆動部材(図示しない)に連結され、該操作部材の操作により連結軸83の直動運動および回動運動を生起するものである。
【0028】
鋏みレバー81は、ミシンペダル(或いはソレノイドやパルスモータなど)の駆動力により、所定量だけ前方(ミシン頭部側)に押され且つ所定量だけ反時計方向(図中のCCW方向で上糸切り鋏み80を針側に移動させる方向)に回動する(図5(b))。また、鋏みレバー81にはスプリングバネ82,84が接続されており、これらスプリングバネ82,84の作用により、ミシンペダル(或いはソレノイドやパルスモータなど)の駆動力がない場合に、所定の待機位置まで後退し且つ所定の待機角度まで時計方向CWに回動し停止するようになっている(図5(c))。
また、鋏みレバー81の一端部には係止部81aが設けられ、ミシン針9の稼動中、該係止部81aが前記布送り部材23に連動する係脱板96に係止されて、布押さえ15が、縫い始めよりほぼ上糸切り鋏み80が開く時期までの間に前後方向へ移動することにより、係止部81aが係脱板96と離隔し、上糸切り鋏み80をさらに時計方向CWへ回動し、待機位置(図5(a))へ戻す。
【0029】
図6には、ボタン穴かがりミシン1に備わる操作パネル110の図を示す。
操作パネル110は、各種の縫製パラメーターを設定入力したり、設定値の表示出力や縫製制御上のエラーの表示出力を行ったりするもので、例えば、ボタン穴かがりミシン1が載置されるミシンテーブル上に設けられる。
【0030】
操作パネル110には、縫製をスタートするための縫製キー131、縫製キー131が押されて縫製モードであることを点灯により表示するLED(又は液晶)表示部132、入力モードを選択する選択キー133、該選択キー133の操作により選択されている入力モードを点灯により表示するパターンナンバー表示部134およびパラメータナンバー表示部135、2桁の7セグメント表示部からなるモード表示部141、4桁の7セグメント表示部からなるパラメータ表示部142、入力パラメータ値を「−1」するマイナスキー143、入力パラメータ値を「+1」するプラスキー144、入力パラメータ値を所定単位で減算するダウンキー145、入力パラメータ値を所定単位で加算するアップキー146、ミシン針9への糸通しおよび釜の位置合わせを知らせるセットキー147等が設けられている。
【0031】
図7には、ボタン穴かがりミシン1の回路構成のブロック図を示す。
ボタン穴かがりミシン1の制御装置は、図7に示すように、CPU(Central Processing Unit )100、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)101、各パルスモータの回転量をカウントするY送りカウンタ103、基線送りカウンタ104、および針振り送りカウンタ105、布切りメスの駆動数をカウントする布切りメスカウンタ106、各パルスモータの駆動を行うY送りパルスモータドライバ111、基線送りパルスモータドライバ112、および針振り送りパルスモータドライバ113、各種センサーや各駆動部のドライバおよび操作パネル110等とCPU100とを接続するI/Oインターフェース109、ミシンモータ5の駆動制御を行うミシンモータドライバ115、ミシンモータ5の回転量を上軸6の回転角度としてコード付けするミシンモータエンコーダ119、アクティブテンション(張力可変糸調子)19の上糸張力VCM(ボイスコイルモータ)60を駆動するアクティブテンションドライバ120、布押さえ15を上昇させる押さえ上昇ソレノイド122を駆動する押さえ上昇ソレノイド駆動回路121、布切りメス16を下降させる布切りメス下降シリンダ30を駆動する布切りメス下降シリンダ駆動回路123、並びに、所定の割り込み条件(各パルスモータの回転量を示すカウンタ値、布の送り位置、上軸6の回転角度など)によりCPU100に割り込み信号を出力する割り込みコントローラ108等から構成される。
【0032】
上記ミシンモータドライバ115には、ミシンモータ5の他、ミシン針9が上方位置にあることを検出する針上位置センサ116、布押さえ15や布保持板14の基準位置を検出する送り基準位置センサ117、上軸6の回転角度を検出するTG(タコジェネレーター)発生器118等が接続されている。
I/Oインターフェース109には、操作パネル110や各駆動部のドライバや駆動回路のほか、布切りメス16の下降を検知するメス下降検知スイッチ34、上糸切り鋏み80の前後位置を検知するハサミ前後検知スイッチ98、上糸切り鋏み80の左右位置を検知するハサミ左右検知スイッチ99、布押さえ15の下降を検知する押え下降検知スイッチ28、布送り(布押さえ15と布保持板14)が原点位置にある状態を検出するY送り原点センサ26、針振り機構の基線位置が原点にあることを示す基線送り原点センサ57、針振り機構の振り幅が原点にあることを示す針振送り原点センサ58、布押さえ15の下降を指示する押さえスイッチ124、並びに、ミシンモータ5の駆動スタートを指示するスタートスイッチ125などが接続されている。
【0033】
CPU100は、RAM102の所定領域を作業領域としてROM101に記憶されている制御プログラムに従い、操作パネル110からのデータや、接続された各種センサーから検出信号を入力したり、各ドライバを介して各種駆動部の制御を行ったりする。
ROM101には、操作パネル110からの入力処理や、操作パネル110を介して入力された縫製データに基づいてボタン穴かがりの縫製パターン(縫い始めから縫い終わりまでの全ての針落ち位置)を演算するパターン演算処理、演算された縫製パターンに従って縫製を行う縫製処理等が含まれる制御プログラムが記憶されている。
つまり、上記CPU100、ROM101およびRAM102により、縫製パターンを演算する演算手段と、縫製パターンによる縫製を行う制御手段とが構成されている。パターン演算処理および縫製処理については後に詳述する。
【0034】
この実施の形態のボタン穴かがりミシン1は、上記のように構成され、次に示すように、操作パネル110から各設定データが入力され、制御装置により縫製パターンの演算およびボタン穴かがりミシン1の駆動制御が行われて、ボタン穴かがり処理が行われるようになっている。
【0035】
先ず、操作パネル110から入力されるデータ内容について説明する。
図8には、操作パネルから入力可能なパラメータを示すパラメータテーブルのチャート図を、図9には縫製パターンの各部の長さを表すパラメータを説明する図を示す。
操作パネル110から入力可能なデータ内容は、同図のパラメータテーブルに示すとおりである。
【0036】
即ち、ボタン穴かがりの縫製パターン各部の長さデータ(図9参照)である布切り長さデータ、メス巾データ、閂止め長さデータ、閂止め巾データ、平行部ピッチデータ、閂止め部ピッチデータ、布切りメス−第1閂止め間すきま長さデータ、布切りメス−第2閂止め間すきま長さデータ、および、メス落ち位置の左右方向のずれ量を示すメス落ち左右位置データ、アクティブテンション19に張力を付加する上糸張力VCM60の補正値を示すアクティブテンション補正データ、上糸切り鋏み80が開く布送りの送り量(原点からの変移量)を示すハサミ開きタイミングデータ、各縫製タイミングにおけるアクティブテンション19の設定張力である平行部張力データ、閂止め部張力データ、縫い始め張力データ、縫い終わり張力データ、および、糸切り時張力データ、布切りメスサイズデータ、押さえサイズデータ、縫い始めの送り位置を示す縫い始め送り位置データ、縫い始めの基線位置(針振り機構の基線位置)を示す縫い始め基線位置データ、並びに、布切りメス16の駆動時におけるミシンスピードを示すメス駆動時ミシンスピードデータ等である。
【0037】
ユーザーは、ボタン穴かがりミシン1を駆動すると、先ず、上記各設定データを操作パネル110から入力する設定入力処理を行う。入力する各データ項目には、予めデフォルトの設定データや、前回入力した設定データが記憶されており、ユーザーは変更の必要なデータ項目のみを入力変更する。
また、上記設定データの各項目に対応して入力可能なデータ値の範囲を示す設定範囲データが予め記憶されており、この設定範囲データを外れたデータが入力された場合にエラー判定が行われるようになっている。
上記の設定データは、縫製パターンナンバーに対応させて複数セット登録することが可能になっており、任意の縫製パターンナンバーを呼び出すことで該ナンバーに対応した設定データのセットが読み込まれて実際の縫製制御に使用される。
【0038】
設定データの入力が終了したら、布をボタン穴かがりミシン1にセットして、操作パネル110の縫製キー131をオン操作する。すると、先ず、上記設定データに基づいて制御部で縫製パターンが演算される。縫製パターンは、縫い始め部、主縫製部、縫い終わり部の、各部に分けられて演算される。
【0039】
図10には、各設定データに基づき演算された縫製パターンの一例を示すもので(a)はその縫い始め部分を示す図、(b)は縫い終わり部分を示す図である。
縫い始め部では、図10(a)に示すように、入力された縫い始め送り位置データと縫い始め基線位置データから、これらのデータが示す座標を第1針落ち位置として、左平行部の縫製に入るのに適した所定の針落ち位置まで導く複数針分(例えば3針分)の座標が演算される。
主縫製部では、縫い始め部の最終針の針落ち位置から、左平行部、第1閂止め部、右平行部、第2閂止め部での各針落ち位置の座標が演算される。
縫い終わり部では、図10(b)に示すように、入力された縫い始め送り位置データと縫い始め基線位置データから、これらのデータが示す座標を最終針落ち位置として、第2閂止め部の最終針から最終針落ち位置まで導く、複数針分(例えば3針分)の座標が演算される。
【0040】
つまり、操作パネル110により入力可能な「縫い始め送り位置データ」と「縫い始め基線位置データ」とを一定値に設定することで、複数のボタン穴かがりを縫製したり、ボタン穴かがりの縫製パターンを変更しても、ボタン穴かがりの最終針の位置が一定となる。そして、次いで行われる糸切り処理の際に、上糸切り鋏み80と布押さえ15との相対位置を常に一定位置に保つことが出来る。
【0041】
そして、演算された縫製パターンとミシンモータの回転角度に基づいてY送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41が所定量回転されて、演算された縫製パターンの各座標にミシン針9が落とされ、ボタン穴かがりが行われていく。
【0042】
この縫製処理の開始時において、ミシン針9から伸びる上糸の端は、図5(c)に示すように、上糸切り鋏み80の糸保持ばね90に保持された状態にあり、この上糸切り鋏み80は待機位置に停止した状態にある。そして、縫い始め部から左平行部の縫製の途中まで、上糸切り鋏み80により保持された上糸は左平行部の上方に導かれ、左平行部の中に巻き込まれていく。
この左平行部の縫製で布押さえ15が所定量前進すると、布押さえ15に固定されているハサミ開きカム92が可動刃は87のカム当接部87cに当接する。そして、更に、このハサミ開きカム92がカム当接部87cを押していくことで、可動刃87が開き始めて保持していた上糸を所定のタイミングで開放すると共に、可動刃87を適量まで開かせる。
可動刃87が開いた後、続いて、左平行部の残り、第1閂止め部、右平行部、第2閂止め部、縫い終わり部の各縫製が行われていく。これらの縫製処理中、所定のタイミングで布切りメス16が所定回落とされて、ボタン穴部に穴が開けられる。
【0043】
1つのボタン穴かがりの縫製が終了すると、ミシン針9は上記縫い始め基線位置データが示す位置で上昇して停止し、更に、布押さえ15は上記縫い始め送り位置データが示す位置で停止する。
ミシン針9が停止したら、例えば作業者がペダルを操作して、上糸切り鋏み80を作動させる。なお、この上糸切り鋏み80の作動は自動制御により行っても良い。
すると、図5(a),(b)に示すように、上糸切り鋏み80は、前述のように前進および針落ち方向にスライド移動しながら、所定の位置に停止されたハサミ閉じカム91の当接により可動刃87を閉じていき、上糸を切断する。そして、上糸の切断後、糸保持ばね90により上糸の端部を保持したまま、元の待機位置まで戻される。上糸切り鋏み80が待機位置に戻ったら、布押さえ15が上げられて、1個のボタン穴かがりが終了する。
【0044】
そして、上述の縫製処理を繰り返すことで、複数のボタン穴かがりを連続して形成していく。
【0045】
以下に、ボタン穴かがりミシン1の制御部により行われる上記ボタン穴かがり処理の処理手順について詳述する。
図11は、ボタン穴かがりミシンの制御部により行われるボタン穴かがり処理のゼネラルフローの処理手順を示すフローチャートである。
このボタン穴かがり処理は、例えば、ボタン穴かがりミシン1を起動とともに開始される。
ボタン穴かがりミシン1が起動すると、先ず、ステップS1において、操作パネル設定処理のサブルーチン処理を行ってステップS2に移行する。
【0046】
ステップS2では、操作パネル110の縫製キー131がオン状態か否かを判定してオン状態であればステップS3に移行するが、オフ状態であればステップS1に戻って操作設定処理を繰り返す。
縫製キー131が押されてステップS3に移行すると、該ステップS3で縫製パターンの演算等を行う縫製データ作成のサブルーチン処理を行って、ステップS4に移行する。
ステップS4では、例えばRAM102中のエラーフラグを読み込んで、前段のステップでエラーが記録されているか否かを判定して、エラーの記録がなければそのままステップS6に移行し、エラーの記録があればステップS5に移行して操作パネル110の表示部140に対応するエラー表示を行いボタン穴かがり処理を中断する。
【0047】
ステップS6では、押さえ上昇ソレノイド駆動回路121に布押さえ15を下降させる信号出力を行ってステップS7に移行する。
ステップS7では、Y送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41の微動、および、Y送り原点センサ26、基線送り原点センサ57、針振り送り原点センサ58の検出出力を基に、布送り機構と針振り機構の各原点検索を行ってステップS8に移行する。
ステップS8では、ミシン針9が第1針落ち位置の上方に位置するように、Y送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41を駆動して、ステップS9に移行する。
【0048】
ステップS9では、押さえ上昇ソレノイド駆動回路121に布押さえ15を上昇させる信号出力を行ってステップS10に移行する。
ステップS10では、縫製キー131のオン操作が行なわれたか判定して、オン状態であればそのままステップS11に移行し、オフ状態であればステップS1に戻る。
ステップS11では、押さえスイッチ124がオン状態か否かを判定して、オン状態であればそのままステップS12に移行するが、オフ状態であればステップS10に戻ってステップS10,S11の処理を繰り返す。
押さえスイッチ124が押されてステップS12に移行すると、該ステップで押え下降検知スイッチ28の検出出力を読み込んで、布押さえ15が上昇していれば、ステップS13に移行して布押さえ15を下降させる出力を行ってステップS15に移行する。が、布押さえ15が下降していれば、ステップS14に移行して布押さえ15を上昇させる出力を行って再びステップS10からの処理に戻る。
【0049】
ステップS15では、押さえスイッチ124のオン操作が行なわれたかを判定して、オン状態であればそのままステップS16に移行するが、オフ状態であればステップS14に移行して布押さえ15を上昇させてステップS10からの処理に戻る。
ステップS16では、縫製スタートを指示するスタートスイッチ125がオン操作されたか否かを判定して、オン操作されずにオフ状態のままであれば、ステップS15からの処理を繰り返し、オン操作された場合にステップS17に移行する。
ステップS17では,ステップS3の縫製データ作成処理で作成された縫製データに従い、ミシンモータ5を駆動して1個のボタン穴かがりの始めから終わりまでの縫製、および、布切りメス16の駆動を行う縫製処理を行い、その後、ステップS18に移行する。
【0050】
ステップS18では、例えばRAM102中のエラーフラグを読み込んで、前段のステップでエラーが記録されているか否かを判定して、エラーの記録がなければそのままステップS19に移行し、エラーの記録があればステップS20に移行して操作パネル110の表示部140に対応するエラー表示を行いボタン穴かがり処理を中断する。
ステップS19では、アクティブテンションドライバ120に信号出力を行って、アクティブテンション19に設定された糸切り時張力を掛けてステップS21に移行する。
【0051】
ステップS21では、上糸切り鋏み80を作動させてミシン糸を切断し、その後、布押さえ15を上昇させる糸切り・押え上げ処理を行ってステップS22に移行する。
ステップS22では、押え下降検知スイッチ28の検出出力を読み込んで、布押さえ15の上昇を確認した後、ステップS23に移行して、アクティブテンションドライバ120に信号出力を行い、アクティブテンション19の張力を開放する。そして、再び、ステップS10に戻って、ステップS10からの処理を繰り返す。
【0052】
図12は、ゼネラルフローのステップS1で行われる操作パネル設定処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
このサーブルーチンが呼び出されると、先ず、ステップS31で選択キー133のオン/オフを判定して、オンであればステップS32で、RAM102中に記憶されている選択番号(設定モードを示す値)を「+1」してステップS33に移行する。が、選択キー133がオフであればステップS35にジャンプする。
ステップS33では、RAM102中に記憶されている選択番号の値が最大値を超えたか判定して、超えていればステップS34で選択番号に「0」を代入してステップS35に移行し、超えていなければそのままステップS35に移行する。
【0053】
次いで、ステップS35,S37で、選択番号に応じた分岐処理を行い、選択番号が0であれば、縫製パターンのパターン番号を変更するパターン変更処理(ステップS36)を、選択番号が1であれば、パラメータ変更処理(ステップS38)のサブルーチン処理を行い、その後、この操作パネル設定処理のサブルーチンを終了しゼネラルフローに戻る。
【0054】
図13は、図12の操作パネル設定処理のステップS38で行われるパラメータ変更処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
パラメータ変更処理のサブルーチンが呼び出されると、先ず、ステップS41で操作パネル110のプラスキー144が押されたか否かを判定し、押されていればステップS42で、RAM102中に記憶されているパラメータナンバー(入力データの設定項目(図8)を示す値)を「+1」してステップS43に移行する。が、押されていなければステップS45にジャンプする。
ステップS43では、RAM102中のパラメータナンバーの値が最大値を超えたか判定して、超えていればステップS44で選択番号に「1」を代入してステップS45に移行し、超えていなければそのままステップS45に移行する。つまり、上記ステップS41〜S44の処理で、入力する設定項目を「+1」方向に移動選択可能となる。
【0055】
次いで、ステップS45〜ステップS48で、上記ステップS41〜S44と同様の処理を「−1」方向に行い、ステップS49に移行する。
ステップS49では、ステップS41〜ステップS49と同様の処理により、アップキー145、ダウンキー145を用いてRAM102中のパラメータナンバーで指定された設定項目のパラメータ値を変更していく処理を行う。
そして、ステップS50に移行して、該ステップでRAM102中のパラメータナンバーがアクティブテンション19の張力設定のナンバーか否かを判定し、そうであればステップS51に移行して設定データの張力をアクティブテンション19に出力させて、このサブルーチン処理を終了し、張力設定のナンバーでなければそのままこのサブルーチン処理を終了して、図12の操作パネル設定処理に戻る。
【0056】
上述の操作パネル設定処理およびパラメータ変更処理のサブルーチンは、ゼネラルフロー(図11)のステップS1,S2において、縫製キー131が押されるまで高速で繰り返し行われ、この繰り返しにより、全ての設定データの入力を行うことが出来る。
【0057】
図14は、図11のゼネラルフローのステップS3で行われる縫製データ作成処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
このサブルーチンでは、先ず、ステップS101で縫製パターンの演算処理のサブルーチン処理、次いで、ステップS102で布切りメス16の駆動タイミングを演算する処理を行って、ゼネラルフローに戻る。
【0058】
図15は、この縫製データ作成処理のパターン演算処理(ステップS101)のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
このパターン演算処理のサブルーチンが呼び出されると、先ず、ステップS111において、ゼネラルフロー(図11)の操作パネル設定処理(ステップS1)で入力されRAM102に記憶されている「縫い始め送り位置データ」と「縫い始め基線位置データ」を読み込んで、これらデータが指し指す座標を第1針落ち位置として、左平行部の縫製に入るのに適した所定の針落ち位置まで導く複数針分の座標を演算し、ステップS112に移行する。
【0059】
ステップS112では、操作パネル設定処理で入力されRAM102に記憶されている各縫製データを読み込んで、縫い始め部の最終針の針落ち位置から、左平行部、第1閂止め部、右平行部、第2閂止め部の各針落ち位置の座標を演算し、ステップS113に移行する。
ステップS113では、「縫い始め送り位置データ」と「縫い始め基線位置データ」が指し指す座標を最終針落ち位置として、第2閂止め部の最終針から最終針落ち位置まで導く、複数針分の座標を演算する。そして、このサブルーチンを終了して、縫製データ作成処理(図14)に戻る。
【0060】
以上のように、この実施の形態のボタン穴かがりミシン1の制御装置によれば、操作パネル設定処理(図11:ステップS1)の設定で縫い終わりの針落ち位置を一定位置に設定可能であり、そして、パターン演算処理(図15)により縫い終わりの針落ち位置が一定の位置になるように縫製パターンが演算されるので、ボタン穴かがりの縫製を複数回行っても、ボタン穴かがりの縫製パターンを変更しても、常にボタン穴かがりの最終針落ち位置を一定にすることが出来る。
従って、上糸切り鋏み80のカム当接部87cに接触して該鋏みを開く鋏み開きカム92と、該鋏みに接触して該鋏みを閉じる鋏み閉じカム91とが、布押さえ15(布送り)に対して固定されているボタン穴かがりミシン1において、上糸切り鋏み80の作動時に、上糸切り鋏み80と鋏み開きカム92および鋏み閉じカム91との配置関係が一定する。それゆえ、従来、この配置関係のばらつきに起因して生じていた上糸切り鋏みの動作不良を防止することが出来る。
【0061】
また、縫い始めの針落ち位置と縫い終わりの針落ち位置とが同一点になるように縫製パターンが演算されるので、1個のボタン穴かがりの終了から次のボタン穴かがりに移行する際に、布送りとミシン針9の位置を変えずにスムーズに移行することが出来る。
【0062】
また、縫い終わりの針落ち位置は、操作パネル110の操作によるデータ入力により変更設定可能であるので、例えば上糸切り鋏み80や鋏み開きカム92および鋏み閉じカム91等の取り付け位置を設定しなおした場合などに、それらに合わせて縫製パターンの縫い終わり位置を変更できるので都合が良い。
【0063】
なお、本発明のボタン穴かがりミシンの制御装置は、この実施の形態のボタン穴かがりミシン1の制御装置に限られず、例えば、布送りを電気的に駆動する送り駆動手段や針振り機構を電気的に駆動する針振り駆動手段は、パルスモータに限られずサーボモータなどでも良い。
また、この実施の形態では、縫い始めの送り位置と針振り位置の設定により、ボタン穴かがりの最終針落ち位置の設定をするようにしているが、最終針落ち位置を別個に設定できるようにしても良い。また、最終針落ち位置の送り方向と針振り方向の両方を一定に設定可能にする必要はなく、送り方向のみを一定に設定可能としても、上糸切り鋏みの作動を安定的に実行可能にすることが出来る。その他、具体的に示した、ボタン穴かがりの最終針落ち位置の設定方法や演算方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲て適宜変更可能である。
【0064】
また、本発明は、左と右の平行部、第1と第2の閂止め部を有した縫製パターンに適用可能であるだけでなく、例えば、次に示すような種々の縫製パターンにおいても適用可能である。
図16と図17には、ボタン穴かがりミシンにより演算される縫製パターンのその他の例を示す。同図16と図17において(a)はその縫い始め部分を示す図、(b)は主縫製部分を示す図、(c)は縫い終わり部分を示す図である。
すなわち、図16に示すように、第1と第2の閂止め部が矩形でなく、半円形の縫製パターンであっても、例えば実施の形態に示したパターン演算と同様の演算処理により実現可能である。
また、図17に示すように、閂止め部がなく、ボタン穴部を中心に放射状に縫製されるボタン穴かがりの縫製パターンであっても、縫い始め部分や縫い終わり部分を設定された最終針落ち位置に合わせて演算が可能である。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、縫製処理を複数回行った場合でも、或いは、縫製パターンを変化させた場合でも、縫い終わりの針落ち位置を常に一定の位置にすることが出来る。また、被縫製物の上方で上糸を切断する上糸切り鋏み、該鋏みに接触して該鋏みを開く鋏み開きカム、該鋏みに接触して該鋏みを閉じる鋏み閉じカムを備え、上記鋏み開きカムと鋏み閉じカムとが前記布送りに対して固定されているボタン穴かがりミシンにおいて、上糸切り鋏みの作動時に、上糸切り鋏みと鋏み開きカムおよび鋏み閉じカムとの配置関係が一定し、それゆえ、従来、この配置関係のばらつきに起因して生じていた上糸切り鋏みの動作不良を防止することが出来る。また、演算手段により一定位置に演算される縫製パターンの縫い終わり位置を、上記設定入力手段を介して設定入力できるので、例えば上糸切り鋏みや鋏み開きカムおよび鋏み閉じカム等の取り付け位置を設定しなおした際に、それに合わせて縫製パターンの縫い終わり位置を設定変更できるので都合が良い。
【0066】
請求項2記載の発明によれば、上糸切り鋏みの作動時に、上糸の針振り方向の位置も安定するので、上糸切り鋏みによる上糸の切断および把持を安定して実行することが出来る。また、演算手段により一定位置に演算される縫製パターンの縫い終わり位置を、上記設定入力手段を介して設定入力できるので、例えば上糸切り鋏みや鋏み開きカムおよび鋏み閉じカム等の取り付け位置を設定しなおした際に、それに合わせて縫製パターンの縫い終わり位置を設定変更できるので都合が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のボタン穴かがりミシンの概観を示す斜視図である。
【図2】同、ボタン穴かがりミシンの布送りと針の昇降機構を主に示す透視図である。
【図3】同、ボタン穴かがりミシンの針の昇降機構と針振り機構を主に示す透視図である。
【図4】同、ボタン穴かがりミシンの上糸切り鋏みを移動させる主要構成を示す構成図である。
【図5】図4の上糸切り鋏みの動作を説明するためもので、(a)は上糸切り鋏みが上糸を切断する直前の状態を示す上面図、(b)は上糸切り鋏みが上糸を切断した状態を示す上面図、(c)は上糸切り鋏みが切断後の上糸を保持している状態を示す上面図である。
【図6】本実施の形態のボタン穴かがりミシンに備わる操作パネルを示す図である。
【図7】同、ボタン穴かがりミシンの回路構成を示すブロック図である。
【図8】操作パネルから入力可能なパラメータを示すパラメータテーブルのチャート図である。
【図9】縫製パターンの各部の長さを表した変数を説明する図である。
【図10】ボタン穴かがりミシンにより演算される縫製パターンの一例を示すもので(a)はその縫い始め部分を示す図、(b)は縫い終わり部分を示す図である。
【図11】ボタン穴かがりミシンの制御部により行われるボタン穴かがり処理のゼネラルフローの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のゼネラルフロー中にある操作パネル設定処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図12の操作パネル設定処理中にあるパラメータ変更処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図11のゼネラルフロー中にある縫製データ作成処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図14の縫製データ作成処理中にあるパターン演算処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】ボタン穴かがりミシンにより演算される縫製パターンのその他の例を示すもので(a)はその縫い始め部分を示す図、(b)は主縫製部分を示す図、(c)は縫い終わり部分を示す図である。
【図17】ボタン穴かがりミシンにより演算される縫製パターンのその他の例を示すもので(a)はその縫い始め部分を示す図、(b)は主縫製部分を示す図、(c)は縫い終わり部分を示す図である。
【図18】メカ的な構成によりボタン穴かがりを行う従来のボタン穴かがりミシンの概略構成を示す構成図である。
【図19】従来のボタン穴かがりミシンにより縫製される縫製パターンの一例を示すものである。
【符号の説明】
1 ボタン穴かがりミシン
6 上軸
8 針棒
9 ミシン針
14 布保持板
15 布押さえ
18 針棒揺動台
20 Y送りパルスモータ(送り駆動手段)
40 基線送りパルスモータ(針振り駆動手段)
41 針振り送りパルスモータ(針振り駆動手段)
80 上糸切り鋏み
81 鋏みレバー
83 連結軸
85 鋏みアーム
86 固定刃
87 可動刃
87c カム当接部
90 糸保持ばね
91 ハサミ閉じカム
92 ハサミ開きカム
100 CPU(演算手段、制御手段)
110 操作パネル(設定入力手段)

Claims (2)

  1. 被縫製物を保持して前後に送る布送り手段を備え、縫製パターンに基づき被縫製物のボタン穴部の周囲を周回するように縫製してボタン穴かがり縫目を形成するボタン穴かがりミシンの制御装置であって、
    前記布送り手段を電気的に駆動する送り駆動手段と、
    縫い終わりの針落ち位置が、ボタン穴かがり縫目の布送り方向の両端より内側の位置で、且つ、前記布送り手段に対して一定位置になるように前記縫製パターンを演算する演算手段と、
    前記送り駆動手段を制御して前記縫製パターンによる縫製を行う制御手段と、
    前記縫い終わりの針落ち位置を設定する設定入力手段と、
    を備えたことを特徴とするボタン穴かがりミシンの制御装置。
  2. 被縫製物を保持して前後に送る布送り手段と、
    針落ち位置を布送り方向とほぼ直行する針振り方向に振る針振り機構とを備え、
    縫製パターンに基づき被縫製物のボタン穴部の周囲を周回するように縫製してボタン穴かがり縫目を形成するボタン穴かがりミシンの制御装置において、
    前記布送り手段を電気的に駆動する送り駆動手段と、
    前記針振り機構を電気的に駆動する針振り駆動手段と、
    縫い終わりの針落ち位置が、ボタン穴かがり縫目の布送り方向の両端より内側の位置で、且つ、前記布送り手段に対して一定位置になるように前記縫製パターンを演算する演算手段と、
    前記送り駆動手段を制御して前記縫製パターンによる縫製を行う制御手段と、
    前記縫い終わりの針落ち位置を設定する設定入力手段と、
    を備え、
    前記演算手段は、
    前記針振り方向におけるボタン穴かがり縫目の縫い終わりの針落ち位置が、前記布送り手段に対して一定位置になるように縫製パターンを演算することを特徴とするボタン穴かがりミシンの制御装置。
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