JP4050613B2 - 乗客用コンベヤにおける踏板要素の固定 - Google Patents
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Description
本発明は、連結された複数の踏板要素から構成される無端状のコンベヤベルトを有する乗客用コンベヤに関し、これらの踏板要素は、該踏板要素の側方に配置され、かつ駆動装置によって第1および第2の反転部の周りを駆動される搬送チェーンにそれぞれ接続されている。
【背景技術】
エスカレータおよび動く歩道は、このような乗客用コンベヤの典型例である。エスカレータは、“踏段”と呼ばれる移動可能でかつ連結された一連の踏板要素を含み、これらの踏段は、駆動モータによって上方および下方のチェーン反転車の周りを駆動される。このように連結された踏段は、乗客用コンベヤベルトもしくは踏段ベルトと呼ばれる。同様に、動く歩道も複数の連結されたパレット本体を含み、これらのパレット本体も2つのチェーン反転車の周りを回転するように駆動される。この種類の動く歩道では、乗客用コンベヤベルトは一般にパレットベルトと呼ばれる。
このような乗客用コンベヤの駆動装置は、一般に、乗客用コンベヤの一端に設けられたチェーン反転車をそれぞれ駆動する駆動モータの形態として構成される。エスカレータでは、駆動モータは、一般に上方のチェーン反転車を駆動する。しかし、乗客用コンベヤを駆動するために、例えば搬送チェーンに作用するリニア駆動装置を使用する他の駆動概念も知られている。
このようなリニア駆動装置の1つの実施例では、チェーンリンクに歯が設けられている特別な搬送チェーンと、駆動チェーンの歯と協働する歯を含む回転駆動ベルトを有するリニア駆動装置と、を使用する。駆動チェーンがリニアモータの可動部分を構成する他の種類の駆動装置も知られている。リニア駆動装置の一般的な利点は、乗客用コンベヤの入口または出口の領域に1つの大型駆動モータを配置するかわりに、一連の小型駆動モータを搬送通路全体にわたって配置できることである。これにより、乗客コンベヤをより小型化することができる。他の利点は、リニアモータが、チェーンリンクの長さやチェーン駆動車の寸法とは無関係に均一な駆動特性を有することである。
乗客コンベヤベルトが、チェーン反転車を利用しない構成になっている場合には、例えば、搬送チェーンローラの案内面に沿って反転プレートまたは実質的に半円形の案内面を設けることができ、搬送チェーンローラは、これらの反転プレートまたは半円形の案内面において乗客用コンベヤの前方移動方向から後方移動方向へと反転される。これに関連して、反転という用語は、例えばチェーン反転車、反転案内面、または反転プレートなどの可能な全ての種類の構成を含む。
乗客用コンベヤ、特にリニア駆動装置を有する乗客用コンベヤの整備を行うときに、搬送通路のある地点において1つまたは複数の踏板要素を取り除く必要があるという問題にしばしば直面する。乗客用コンベヤは、(小さい反転半径によって踏板要素が互いに対して回転し、踏板に到達してこれをチェーンから取り外すのに充分な間隙が2つの踏板要素の間に形成されるので)一般に反転領域において踏板要素を比較的容易に取り除くことができるように設計されており、このような場合における通常の手順は以下の通りである。まず、取り外すべき踏板要素が反転領域に位置するまで乗客用コンベヤを移動する。続いて、問題の踏板要素を取り外し、その後、乗客用コンベヤベルトの間隙が所望の修理の部分の上に位置するように再び乗客用コンベヤを移動する。リニア駆動装置を有する乗客用コンベヤでは、リニア駆動装置の1つだけにしか欠陥がない場合でも、装置に追加の損傷が生じる覚悟がない限りは乗客用コンベヤベルトの移動が不可能になるという問題によって、上述の手順の複雑さがいっそう大きくなることがある。
よって、本発明の目的は、単純な手段によって2つの反転部の間のどの地点においても、乗客用コンベヤベルトを移動させることを必要とせずに乗客用コンベヤベルトから踏板要素を取り外すことができる、上述した種類の乗客用コンベヤを提供することである。
本発明では、この目的は、踏板要素が1つの対応する側方保持装置によって搬送チェーンに分離可能に接続されていることによって達成される。
これまで、側方の搬送チェーンに踏板要素を取り付ける通常の方法は、2つの側方の踏段チェーンの間で連続的に延在する接続軸によって実現されてきた。2つの移動可能な締結ブシュが、接続軸に設けられる。踏板要素は、実質的に箱形の設計を有し、踏板要素の下側すなわちステップの反対側に位置する側は開口している。踏板要素は、側壁の領域内において接続軸に固定される。側壁は、締結ブシュの外径に対応する直径を有するレセプタクルラグと、下向きすなわちステップから離れる方向に向く開口部と、を含む。この開口部は、接続軸を受け入れるには充分に大きいが、締結ブシュを受け入れるには小さい。踏板要素は、接続軸が締結ラグ内に位置するように、接続軸上に配置することによって固定され、その後、締結ブシュが締結ラグ内に横方向に移動される。固定要素が、締結ブシュを定位置に保持し、踏板要素が接続軸から分離するのを防止する。搬送チェーンの方向における空間が限られているために、踏板要素を取り外すためには固定ブシュを内側に移動させることが必要である。これは、チェーン反転車の領域において大きな問題がないときだけにしか達成することができない。
他の周知の締結装置では、不連続のスタブ軸が2つのチェーンリンクの間のピボットに設けられており、このスタブ軸は、その自由端に突出するステップと、踏板要素の下側で突出するねじ山と、を含む。踏板要素の下で内側に突出するスタブ軸のねじ付き端部が通る締結用のリセスが、踏板要素の側壁に設けられる。締結ナットが、突出するショルダ部に対して踏板要素の壁を固定する。これらの踏段、少なくとも第1の踏段は、反転領域でしか分離することができない。
【発明の開示】
このような種類の構成に対して、“側方保持装置”は、構成要素が踏板要素の側壁と搬送チェーンとの間に実質的に位置する保持装置に関し、側壁および搬送チェーンもこの領域の一部を構成してもよい。この用語は、保持装置の一部として2つの搬送チェーンの間に連続する接続軸が設けられる保持装置を含むものではない。連続する接続軸の代わりに、独立した側方保持装置によってチェーンリンクに踏板要素を固定する利点は、後者の構成だけが、踏板要素を締結要素に単に取り付けるだけで、締結要素によって取り囲むように固定することができるからである。この場合には、最終的に取り囲むように固定する保持装置の部品は、上述の連結時に(不連続の)締結要素を超えて横方向に案内される。
踏板要素用の側方保持装置を有する乗客用コンベヤでは、例えば側方のカバーを取り外すことによって側方保持装置へ接近した後に、搬送通路のいずれの地点においても個々の踏板要素を取り外すことができる。この踏板要素の固定方法は、特に、踏板要素と底部パネルとの間の相対運動を防止するという安全上の理由から踏板要素の側方に上向きに延在するフランジが設けられている最新式の乗客用コンベヤ、特にエスカレータにおいて好ましい。このような相対運動は、踏板要素と底部パネルとの間の間隙内に物または体の一部を引き込むおそれがある。側方フランジは、踏板要素または搬送チェーンにそれぞれ接続されており、頂部領域において固定されたカバーの下に隠れて見えなくなる。固定されたカバーと踏板要素の側方フランジとの間の間隙は、踏板要素と底部パネルとの間の間隙よりも危険性が大幅に小さい。この種類の乗客用コンベヤの整備時には、通常、上部カバーまたはフランジのいずれかを取り外す必要がある。これは、いずれの場合でも、比較的単純な方法で側方保持装置に接近することができることを意味する。
側方保持装置は、取外し可能なラピッドアクション締結具であることが好ましい。特に、緩む部品を含まず、かつ工具を使用せずに動作可能なラピッドアクション締結具を使用することが好ましい。これにより、特に最終組立時に乗客用コンベヤ内に物が落下するおそれがかなり小さくなる。
ラピッドアクション締結具は、保持ばねを含むことが好ましい。ばねは、ねじなどの他の締結方法に比べてかなり有利である。例えば、保持ばねのしめつけが足りなかったり、しめつけが強すぎたりすることは不可能である。保持ばねは、比較的容易に取り外すことができるように、保持装置に固定することができる。加えて、保持ばねの機能は、ねじよりも容易に監視することができる。また、保持ばねは、工具を用いずに動作させることができるよう設計可能である。
保持装置は、ポケット様のレセプタクル要素、レセプタクル要素内に収容されるように設計された係合要素、および係合要素をレセプタクル要素内に固定する固定装置を含むことが好ましい。ポケット様のレセプタクル要素は、例えば、箱形の踏板要素の1つの側壁に設けることができる。レセプタクル要素は、側壁と一体に製造するか、または側壁に固定することができる。ポケット様のレセプタクル要素を搬送チェーンに設けることも考えられる。さらに、レセプタクル要素のポケット様のレセプタクル内に挿入可能な係合要素が提供される。この係合要素は、例えば、単純なフックもしくは前方端部で広がった要素から構成されうる。
係合要素は、自由端部に肉厚部を有する連結ボルトであることが好ましい。
連結ボルトの自由端部に設けられた肉厚部は、ピボットベアリングであることが好ましい。ピボットベアリングは、スライドベアリング、ローラベアリング、または他の種類のベアリングとすることができ、連結ボルトの自由端部に固定される内側軌道輪と、レセプタクル要素のポケット様のレセプタクルにはまる外側軌道輪と、を含むことが好ましい。
ポケット様のレセプタクル要素は、好ましくは踏板要素に設けられ、係合要素は、搬送チェーンに設けられる。
乗客用コンベヤは、踏段ベルトを有するエスカレータの形態で構成されることが好ましく、踏段ベルトは、1つのステップと1つのライザとをそれぞれ含み、レセプタクル要素がライザの領域、好ましくはライザの半分の高さに設けられている。エスカレータでは、ステップは、乗客が立つ面であり、ライザは、下方の踏段のステップと次のより高い踏段のステップとを接続する前方面である。ライザは、箱形の踏板要素の前方壁を成すので、踏段本体がこの壁要素のためにライザの領域で特に安定していることは明らかである。一般に、踏段のこの領域に力が正確に加わることが望ましい。これにより、特に踏段チェーン上の接続を実現する踏板要素の追加の補強部が不要となるために、どちらかと言えば踏段の側壁の領域に力が加わる従来の方法に比べて、かなり単純でかつより小型の構成を得ることができる。動く歩道でも、パレット本体の前方壁の領域に(または該当する場合には後方壁にも)力が加わることが好ましい。
搬送チェーンは、ピボットで互いに接続された一連のチェーンリンクによって構成されることが好ましく、1つのピボットに連結ボルトが設けられることが好ましい。この構成によって、2つのチェーンリンクの間の接続ボルトを、同時に側方保持装置の連結ボルトとして利用することが可能となる。これにより、数少ない単独部材を含む特に単純な構成が得られる。また、チェーンリンクの異なる位置に連結ボルトを設けることも考えられる。
固定装置は、保持ばねであることが好ましい。さらに、乗客コンベヤの整備時に整備員が以前ほど深くまで乗客用コンベヤ内に手を伸ばさなくてもいいように、保持ばねは、設置状態において保持ばねの2つの自由端部が実質的に搬送チェーンから離れる方向で上向きに突出するように、レセプタクル要素に回転可能に固定されることが好ましい。保持ばねは、例えば、スプリングワイヤ材料から構成することができる。また、保持ばねは、この保持ばねの2つの自由端部が踏板要素から離れる方向で外向きに回転することによって、ばねの中央領域が踏板要素の下側で内側に回転するように、ポケット様のレセプタクル要素に回転可能に固定することができる。この回転動作によって、踏板要素を設置または分離するために、ばねのピボットに対して2つの自由端部の反対側に設けられたばねの中央領域を連結ボルトの領域外に回転させることができる。
乗客用コンベヤは、前方移動領域において、踏段位置が踏段ローラによって制御されたエスカレータの形態として構成されている。踏段ローラは、この場合に踏段チェーンの上方の案内面によって案内される。エスカレータでは、踏段ローラは、乗客搬送領域すなわち乗客用コンベヤの前方移動領域において踏段を水平に保持するため、さらに移行領域においてこの水平位置を維持するために使用されている。踏板要素の分離時には、これらの踏段ローラは、障害物となることが多い。よって、踏段ローラまたは踏段ローラの案内面のいずれかを取り外すことが必要である。このことは、踏段ローラの案内面が、搬送チェーンの案内面の下側に延在している場合に特に問題となる。また、踏板要素を横方向に回転させることによって踏段ローラを取り外すこともできる。
この場合には、案内面は、踏板要素を分離するときに取り外される欄干パネルの一部に設けることが特に好ましい。上述したように、搬送通路の任意の点で踏板要素を分離するために、カバーまたは欄干パネルの一部を取り外すことが有利である。対応する踏板ローラの案内面が、欄干パネルの露出していない内側面に設けられている場合には、踏板ローラおよび案内面を別々に取り除く必要がなくなり、このような構成の整備に費やされる労働力をかなり減少させることができる。案内面は、一般に、踏段ローラが走行する走行レールと、踏段ローラの上方に位置して踏段ローラが上方に移動するのを防止するカウンタレールと、からなる。走行レールは、例えば、チェーンローラの案内面とともに乗客用コンベヤの枠に設けることができる。カウンタレールは、欄干パネル(またはカバー)を取り外した後に踏段ローラを上向きに移動することができるように、カバーまたは欄干パネルに固定することができる。
搬送チェーンは、一連のチェーンリンクから構成されることが好ましく、これらのチェーンリンクは、ピボットで互いに接続されており、搬送チェーンと乗客用コンベヤベルトの区画の比率は、1:1である。すなわち、搬送チェーンの各々のチェーンリンクにそれぞれ1つの踏板要素が接続されている。また、踏板要素に対して同様に配置された搬送チェーンの2つのチェーンリンクは、2つのピボットの間でこれらのチェーンリンクにしっかりと固定された連続する軸によって、上記踏板要素の側方で互いに接続されていることが好ましい。横方向の接続部が、特に安定性を得るために、2つの搬送チェーンの間でそれぞれのチェーンから一定の距離に設けられている。これまで市販されている乗客用コンベヤでは、このような接続軸がチェーンリンクのピボットに設けられており、すなわち各々の接続軸の外側端部が、同時に搬送チェーンの連結ボルトを構成している。このような構成の難点は、搬送通路の任意の点において搬送チェーンの分離を可能とするためには、接続軸を分割可能に設ける必要があることである。例えば、米国特許第4,232,786号には、連続する接続軸がピボットに設けられた一対の搬送チェーンが開示されている。この特定の構成において、このような搬送チェーンを搬送通路の任意の点で分離可能とするために、個々のチェーンリンクとともに接続軸の少なくとも一部が分割可能に設けられている。搬送チェーンを分離する必要がある場合には、整備員が、互いに連結する必要があるチェーンおよび接続軸の多くの個別の部品を取り扱うことが必要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
図1は、連結された複数の踏板要素4から構成される無端状の乗客用コンベヤベルト6を有する乗客用コンベヤ2を示している。踏板要素4は、これらの踏板要素の側方にそれぞれ配置されるとともに一連のチェーンリンク10からなる搬送チェーン8に接続されている。チェーンリンク10は、ピボット12で互いに接続されている。乗客用コンベヤ2は、歯を備える無端状の回転駆動ベルトを含む種類のリニア駆動装置(図示省略)によって駆動され、駆動ベルトの歯は、チェーンリンク10の歯とかみ合う。
踏板要素4の1つが、乗客用搬送ベルト6から取り外されている。踏板要素4は、この踏板要素とともに移動する側方フランジ要素16を含む。このフランジ要素16は、踏板要素にしっかりと固定され、2つのフランジ要素16の間に第2の種類のフランジ要素18が配置される。カバー(図示省略)が、踏板要素4のフランジ要素16,18から頂部に向かって欄干に沿って設けられる。
踏板要素4は、搬送チェーン8によって回転するように動かされる。アーム20に設けられた踏段ローラ22が、踏板要素4の踏面すなわちステップ24の位置を調整するように機能する。踏段ローラ22は、案内面(図示省略)によって案内される。この案内面は、各々の踏板要素4の位置が強制的に決定されるように踏段ローラ22用の所定の曲線に沿って設けられる。
図示の乗客用コンベヤ2は、エスカレータである。エスカレータでは、乗客用コンベヤベルト6は、踏段ベルトと呼ばれ、踏板要素4は、踏段本体と呼ばれる。上述したように、1つの踏段本体4は、ステップとも呼ばれる踏面24と、ライザとも呼ばれる踏段前方面26と、を含む。
搬送チェーン8の個々のチェーンリンク10は、短い軸ボルト28によってピボットで接続されている。チェーンローラ30は、軸ボルト28の外側に回転可能に設けられている。
踏板要素4に対して同様に配置された左側および右側の踏段チェーン8の2つのチェーンリンク10は、接続軸32によって互いにしっかりと接続されている。接続軸32は、チェーンリンク10を超えて外側に突出しない。図2の拡大図には、踏板要素4を搬送チェーン8に接続する側方保持装置34がより明瞭に示されている。この図では、特に、連結ボルト28のスタブ様の延長部が内部に固定されるポケット様のレセプタクル要素36が示されている。保持ばね40が、連結ボルト28の自由端を収容する固定装置38を構成する。
図3,図3A,図3Bは、保持ばね40が固定位置にある側方保持装置34を示している。図3Aの断面図は、特に底部に向かって開口しているポケット様のレセプタクル要素36を示している。図示の実施例では、レセプタクル要素36は、フランジ要素16に固定されている。しかし、踏板要素4に固定することもできる。レセプタクル装置36に係合要素を挿入するのを容易にする挿入ベベルは、レセプタクル要素36の底部開口部42の領域に設けられている。この図には、この底部開口部42を塞ぐ保持ばね40の下端部44も示されている。図3Aの断面図には、ピボットベアリング46も示されており、このピボットベアリング46の外側軌道輪がレセプタクル装置36内にはまる。保持ばね40の下端部44は、レセプタクル装置36のレセプタクル内に踏段ベアリングとも呼ばれるピボットベアリング46の外側軌道輪を押し込む。保持ばね40の上方の自由端部48は、保持ブラケット50の後に固定される。図2は、特に、整備員がばねの2つの自由端部48を比較的容易につかみ、これらの2つのばねを圧縮することによって上記自由端部を保持ブラケット50の外に移動させることができることを示している。図3は、保持ばねの下端部44が踏段ベアリング46の外側軌道輪をどのように囲んでいるかを示す。ばね40は、位置52でレセプタクル要素36上にピボット動作可能に支持されている。
図4は、保持ばね40が、ピボットベアリング52の周りでかつ踏板要素4から離れる方向にどのようにピボット動作するのかを示している。特に、図4Aは、レセプタクル装置36にリセス54が設けられていることを示しており、保持ばね40の下端部44は、保持ばね40のピボット動作によって上記溝内に下降する。これは、レセプタクル要素36から踏段ベアリングを取り外すとともに、搬送チェーン8から踏板要素4の全体を分離させることができるように底部開口部42が開いたことを意味する。
図2と図3または図4との比較によって、保持ばね44を異なる構成とすることができることが暗に示されている。保持ばね40の特有の利点の1つには、保持ばねが機能を果たすか否かを比較的容易でかつ確実に判断することができることも挙げられる。保持ばね40の2つの自由端部48が、保持ブラケット50の後で固定されている場合には、一般に保持ばね40が機能を果たすと考えられる。保持ばね40がこのように固定されていない場合には、ばねのプレストレスによって、保持ばね40の自由端部48は外向きにピボット動作する。保持ばね40の自由端部48の位置は、単純な光学的、機械的、または電子的な監視装置の補助を受けて監視することができる。このようなセンサは、乗客用コンベヤの制御装置に接続するとともに、踏板要素ベルト6の片側において、踏板要素ベルト6の1回転毎に保持ばね40の各々の自由端部48を1回点検するように上記制御装置に設けることができる。
レセプタクル要素36と協働する係合要素は、必ずしも2つのチェーンリンク10の間のピボット12に設けなくてもよい。従来通り、連続する接続軸をピボット12に設け、側方保持装置の係合要素をチェーンリンク10の2つのピボット12の間の領域においてチェーンリンク10に設けることも考えられる。係合要素は、必ずしもボルトの形態として構成する必要はない。係合要素は、レセプタクル要素36内に係合する連結ラグの形状を有することもできる。また、レセプタクル要素36をチェーンリンク10に設け、係合要素を踏板要素4に設けることもできる。保持ばね40の代わりに異なる固定装置38を設けることもできる。例えば、ねじ式接続部、ラピッドアクション(rapid action)連結部、または他の適切な接続部を設けることが可能である。説明した実施例の利点は、特に、欄干の領域にあるカバーを取り外した後、工具を用いずにコンベヤベルト6から個々の踏板要素4を容易に取り外すことができることである。他の重要な利点は、緩む部品が存在しないことである。従って、工具や緩んだ部品が装置内に落ちて損傷を引き起こすおそれが無くなる。
図5は、接続軸32によって互いに接続された2つの側方搬送チェーン8からなる搬送チェーン装置を示している。これは、搬送チェーン装置が、梯子状の構造を有することを意味している。図6は、特に、搬送チェーン装置が、一連の搬送チェーンセグメント56によって構成されているのを示しており、個々の搬送チェーンセグメント56は、それぞれ2つのチェーンリンク10と連続する接続軸32とを含んでいる。連続的に配置された搬送チェーンセグメント56は、ピボット12で互いに接続される。
ガイドレール60によって案内されるガイドローラ58は、2つのチェーンリンク10の間の連続する接続軸32に取り付けられる。図示の実施例では、ガイドレール60は実質的にU字型の断面を有し、U字の2つのリム部の間の距離は、ガイドローラ58の直径よりも僅かに大きい。ガイドローラは、過大な衝撃がコンベヤベルト6に伝達されるのを防止するように、弾性材料からなる走行面すなわち走行表面領域を有することが有利である。ガイドローラ58は、U字型の案内面の一方のリムから他方のリムへと移動するときに回転方向を変更する。それぞれの走行面の間に間隙を有する2つのガイドローラを、接続軸32上に互いに対して隣接して配置することによって、実質的に遊びがない案内部を構成することができる。この構成では、ガイドローラは、端部に位置するとともにその方向における間隙内に延在するウェブと協働する。
図6の分解図は、本発明の乗客用コンベヤの搬送チェーン装置を構成する他のいくつかの部品を示している。個々のチェーンリンク10は、係合する端部領域において、連結ボルト28によって互いに接続されており、これらの連結ボルトは、外側の自由端部にチェーンローラを担持し、かつ内側の自由端部にピボットベアリングすなわち踏段ベアリング46を担持する。接続軸32は、踏段が分離されたときにだけ修理工が装置の内部に接近するための比較的大きい自由断面が形成されるように、ピボットベアリングの比較的近傍の領域に設けられることが好ましい。
搬送チェーンの区画とコンベヤベルトの区画との比率は、1:1であり、すなわち1つの踏板要素4がチェーンリンク10すなわち搬送チェーンセグメント56にそれぞれ固定されている。
図1は、本発明の乗客用コンベヤ2によって、搬送通路2の全ての箇所において踏板要素の分離がどの程度単純化されたかを明瞭に示している。第1のステップでは、該当する領域における欄干すなわち欄干パネルの領域のカバーを取り外す。次のステップでは、図示の実施例において、フランジ要素18と、保持アーム20上で接近が容易な踏段ローラ22と、を取り外す。続いて、保持ばね40を側方保持装置37から解放し、非係合位置まで回転させる。この状態で、踏板要素4をコンベヤベルト6から容易に取り外すことが可能となる。任意の数の追加の踏板要素を同時に取り外すこともできる。例えば、踏段ベアリング46または完全な搬送チェーンセグメント56を取り外すかもしくは交換する必要がある場合には、2つのチェーンリンク10の間の連結ボルト28を適切なプーラもしくは他の工具によって取り外す。この場合は、チェーンローラ30をボルト28の自由端部から取り外す必要がある。対応するチェーンセグメントの両側からチェーンローラ30が取り外されると、このチェーンセグメント56は、もはやチェーンローラ30用の案内面によって案内されず、追加のボルト28を取り外した後に容易に分離することができる。乗客用コンベヤは、コンベヤベルト6を移動させることなく、完全に分解してから再組立することが可能である。案内面は、一般に踏段ローラが走行する走行レールと、踏段ローラの上方に配置されて踏段ローラが上方に移動するのを防止するカウンタレールと、からなる。走行レールは、例えば、チェーンローラ用の案内面とともに乗客用コンベヤの枠に設けることができる。カウンタレールは、欄干パネル(またはカバー)を取り外した後に踏段ローラを自由に上方に移動させることが可能となるように、カバーまたは欄干パネルに固定することができる。踏段ローラ22が、図1に示すようにアーム20から外向きにではなく、内向きに突出するように設けられている場合には、この踏段ローラ22のための対応する案内面をカバーまたは欄干パネルすなわち内側位置にそれぞれ設けることができる。この部分が取り外されると、踏段ローラ22用のガイドレールもこの領域から同時に取り外される。これは、踏段ローラ22が自由になり、踏段ローラ22をアーム20から取り外さずに踏板要素44を分離することができることを意味する。
カバーまたは欄干パネルは、アルミニウムやアルミニウム合金などの押出し材料からそれぞれ製造されることが多い。これらの部品の押出し加工のときに案内面を一体に製造することが比較的容易である。また、案内面を別個に製造してから、溶接または他の分離可能または分離不能な締結装置によってカバーまたは欄干パネルに取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る乗客用コンベヤの部分説明図である。
【図2】 本発明に係る乗客用コンベヤの側方保持装置の拡大説明図である。
【図3】 保持ばねが固定状態にある側方保持装置の側面図である。
【図3A】 図3のA−A線に沿った断面図である。
【図3B】 図3のB−B線に沿った断面図である。
【図4】 保持ばねが解放状態にある側方保持装置の側面図である。
【図4A】 図4のA−A線に沿った断面図である。
【図4B】 図4のB−B線に沿った断面図である。
【図5】 本発明に係る乗客用コンベヤの踏段チェーン装置の説明図である。
【図6】 図5の踏段チェーン装置の分解説明図である。
Claims (17)
- 連結された複数の踏板要素(4)から構成される無端状の乗客用コンベヤベルトを含む乗客用コンベヤ(2)であって、前記踏板要素(4)が、これらの踏板要素の側方に設けられ、かつ駆動手段によって第1および第2の反転部の周りを駆動される搬送チェーン(8)にそれぞれ接続されているとともに、前記搬送チェーン(8)が、接続軸(32)によって互いに接続されている乗客用コンベヤにおいて、前記踏板要素(4)は、1つの対応する側方保持装置(34)によって前記搬送チェーン(8)に分離可能に接続されており、前記保持装置には、前記接続軸(32)は含まれず、
前記側方保持装置(34)は、前記搬送チェーン(8)よりも上方の位置において、その操作によって固定状態と解放状態との間で移動可能な締結具からなることを特徴とする乗客用コンベヤ(2)。 - 連結された複数の踏板要素(4)から構成される無端状の乗客用コンベヤベルトを含む乗客用コンベヤ(2)であって、前記踏板要素(4)が、これらの踏板要素の側方に設けられ、かつ駆動手段によって第1および第2の反転部の周りを駆動される搬送チェーン(8)にそれぞれ接続されているとともに、前記搬送チェーン(8)が、接続軸(32)によって互いに接続されている乗客用コンベヤにおいて、前記踏板要素(4)は、1つの対応する側方保持装置(34)によって前記搬送チェーン(8)に分離可能に接続されており、前記保持装置には、前記接続軸(32)は含まれず、
前記側方保持装置(34)は、前記踏板要素(4)のステップ(24)側端部の外側の位置において、その操作によって固定状態と解放状態との間で移動可能な締結具からなることを特徴とする乗客用コンベヤ(2)。 - 連結された複数の踏板要素(4)から構成される無端状の乗客用コンベヤベルトを含む乗客用コンベヤ(2)であって、前記踏板要素(4)が、これらの踏板要素の側方に設けられ、かつ駆動手段によって第1および第2の反転部の周りを駆動される搬送チェーン(8)にそれぞれ接続されているとともに、前記搬送チェーン(8)が、接続軸(32)によって互いに接続されている乗客用コンベヤにおいて、前記踏板要素(4)は、1つの対応する側方保持装置(34)によって前記搬送チェーン(8)に分離可能に接続されており、前記保持装置には、前記接続軸(32)は含まれず、
前記側方保持装置(34)は、前記搬送チェーン(8)の上方でかつ前記踏板要素(4)のステップ(24)側端部の外側の位置において、その操作によって固定状態と解放状態との間で移動可能な締結具からなることを特徴とする乗客用コンベヤ(2)。 - 前記側方保持装置(34)は、ばね(40)の操作によって固定状態と解放状態との間で移動可能な締結具からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記締結具のばね(40)は、保持ばね(40)であることを特徴とする請求項4記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記保持装置(34)は、ポケット様のレセプタクル要素(36)と、このレセプタクル要素(36)内に収容されるように設計された係合要素(28)と、この係合要素(28)を前記レセプタクル要素(36)内に固定する固定装置(40)と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記係合要素は、自由端部に厚肉部を有する連結ボルト(28)からなることを特徴とする請求項6記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記連結ボルト(28)の自由端部に設けられた厚肉部は、ピボットベアリングからなることを特徴とする請求項7記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記ポケット様のレセプタクル要素(36)は、前記踏板要素(4)に設けられており、前記係合要素(28)は、前記搬送チェーン(8)に設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記乗客用コンベヤ(2)は、踏段ベルトを有するエスカレータからなり、この踏段ベルトの各々の踏段(4)は、1つのステップ(24)と1つのライザ(26)とをそれぞれ含み、前記レセプタクル要素(36)は、前記ライザ(26)の側端部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項9記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記搬送チェーン(8)は、ピボット(12)で互いに接続された一連のチェーンリンク(10)から構成されており、前記連結ボルト(28)は、ピボット(12)上に設けられていることを特徴とする請求項9または10記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記固定装置は、保持ばね(40)からなることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記保持ばね(40)は、該保持ばね(40)の2つの自由端部(48)が、設置状態において実質的に上向きでかつ前記搬送チェーン(8)から離れる方向で突出するように、前記レセプタクル要素(36)に回転可能に固定されていることを特徴とする請求項12記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記乗客用コンベヤ(2)は、乗客搬送領域における踏段位置が踏段ローラ(22)によって制御されるエスカレータからなり、前記踏段ローラ(22)は、案内面によって前記踏段チェーンの上方で案内されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記案内面は、前記踏板要素(4)を分離するときに取り外される欄干パネルの部分に固定されていることを特徴とする請求項14記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記搬送チェーン(8)は、ピボットで互いに接続された一連のチェーンリンク(10)から構成され、前記搬送チェーンと前記乗客用コンベヤベルトの区画の比率は、1:1であり、前記踏板要素(4)に対して同様に配置された前記搬送チェーン(8)の2つのチェーンリンク(10)は、2つの前記ピボットの間でこれらのチェーンリンク(10)にしっかりと固定された連続する接続軸(32)によって、前記踏板要素(4)の側方で互いに接続されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の乗客用コンベヤ(2)。
- 前記踏板要素(4)の分離時に前記案内面が取り外されることを特徴とする請求項14記載の乗客用コンベヤ(2)。
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