JP4047280B2 - その場で成形される熱障壁 - Google Patents

Description

本明細書は共に継続審査中の２００１年１０月３１日出願の米国特許出願第０９／９９９，３０７号、および２００２年５月２０日出願の米国特許出願第１０／１５１，３３３号に基づくものである。

本発明は建物構造物に関し、特に壁の頂上と天井材との間の「壁頭」接合部（”ｈｅａｄ−ｏｆ−ｗａｌｌ”ｊｏｉｎｔ）アンセブリー、床と垂直の壁との間の「周辺」接合部（”ｐｅｒｉｍｅｔｅｒ”ｊｏｉｎｔ）、および建物構造物の中の他の接合部、隙間または孔に対する成形可能な熱障壁に関する。

防火材料は、建物の火災に対して評価された（ｆｉｒｅ−ｒａｔｅｄ）壁および／または床の中におけるような隙間または孔を充填するのに使用される熱障壁材料またはそのような材料の組み合わせである。例えば防火材料は壁または床に使用され、ケーブル、パイプ、ダクト、または他の導管に対して必要とされる隙間または孔を火および煙が通り抜けることを防ぐことができる。また防火材料は、壁の間、天井材と壁の頂上との間の接合部（「壁頭」接合部）および床と垂直の壁との間の接合部（「周辺」接合部）の隙間を埋めるのに使用される。

いわゆる「壁頭」接合部は不燃材料の産業において数多くの挑戦をしている。壁は石膏板からつくられることが次第に多くなり、これを水平に延びたトラックによって覆われた金属の間柱（ｓｔｕｄ）の枠に固定して使用する。また天井材は屈曲した鋼の上にコンクリートを注入することによりつくられることが次第に多くなっている。多くの場合壁の頂上の所において水平に延びたトラックの間の距離は天井材に関して固定されているとは云え、石膏板は建物の他の構成成分の動き、地面の沈降、または他の原因により膨張または収縮を受ける。

このような壁頭接合部に対しては、壁板材料の中での反復運動を与える能力があるため耐熱性の防火材料として鉱物質綿のバットが使用されることは公知である。鉱物質綿を切断し、屈曲した鋼の天井材の特定の幾何学的形状に依存した適当な大きさの切り離されたシートにする。接合部の隙間に詰め込む時にはこのシートを積み重ねて圧縮する（例えば最低５０％）必要がある。或る状況においては、屈曲した天井材の空間の中に不燃材料を噴霧して被覆し、接合部の鉱物質綿の機能の補足を行う。いずれの場合でも鉱物質綿を使う方法には労力と時間が必要である。

鉱物質綿のバットを壁の上部の適切な位置に詰め込んだ後、次に建設作業員は圧縮された鉱物質綿の層の露出した側の面に対し最低１／８インチの厚さでエラストマーの被膜を噴霧しなければならない。この被膜は天井材および壁の表面の上で最低１／２インチ程度重なっていなければならない。即ち、鉱物質綿のバットおよびエラストマーの噴霧被膜を使用すると、壁頭接合部のいずれの側においても石膏の壁板のような種々の構成成分の中での或る種の反復運動（圧縮および伸張による）に適合する能力もった防火障壁が得られる。

いわゆる「周辺の障壁」システムにおいても、床と壁の表面との間の接合部の隙間に不燃材料として典型的には鉱物質綿とエラストマーの被膜が使用される。この場合壁面は内部の仕切りまたは外壁であることができよう。この場合、耐火性を改善するためには鉱物質綿のバットを隙間の中にきつく埋め込み、床の収縮または壁の運動により隙間が膨張した場合に鉱物質綿が隙間から抜け出し下方の床の高さまで落下しないようにしなければならない。次に充填した鉱物質綿のバットの上面にエラストマーの噴霧被膜を被覆するが、大抵の場合鉱物質綿のバットの底面は被覆されない。これは、多くの場合下方から鉱物質綿バットに対して被覆を行わなければならないが、そのためには梯子および噴霧装置を下方に動かして設置する必要があると云う事実によるものである。

本発明の一つの目的は、複雑な形をした開口部および接合部の隙間、例えば「壁頭」接合部、「周辺」接合部、および他の種々の大きさおよび／または複雑な形をもった隙間または開口部、例えば壁の貫通孔に熱障壁を装着するためのもっと便利でコスト効果の大きい方法を提供することである。例えば、プラスティックのパイプまたはプラスティックで被覆された電線をもった開口部は、プラスティック材料が火災の際に熔融した後に残される空間を密封するために膨張性の防火材料を必要とすることが多い。或る場合には膨張性の白亜材料がこのような貫通孔に挿入される。大きな直径のパイプの場合には、金属のカラーを使用して白亜を適切な位置に保持する。他の場合には鉱物質綿を巻き付けるかまたはバッグ状にして膨張材料と共に孔の中に挿入する。いずれ場合にもこのような防火材料の装着は時間がかかり、費用も高くなる。

本発明の他の目的は、建物または船舶の手が届きにくい接合部の隙間または孔の中において便利且つ安全に使用できる新規熱障壁を提供することである。例えばエレベーターのシャフトまたは低い収納空間に隣接した壁頭接合部は、その位置のため鉱物質綿／被覆システムの装着が困難である。何故ならば便利に手が届かないために両側の面を被覆する仕事が複雑になるからである。

本発明のさらに他の目的は装着の安全性を強化することである。塗装作業員は壁頭接合アセンブリーに対して作業を行う際、何回も梯子を昇り降りしなければならない。最初の作業は、鉱物質綿材料を接合部の隙間に合わせ手で詰め込む作業である。次の作業は、エラストマー材料を被覆して天井材、防火材および壁の間で連続的な表面をつくる作業である。両方の場合とも梯子を頻繁に配置し直す必要があり、接合部の隙間が長手方向に１０〜２０フィートまたはそれ以上の距離に亙って延びている時には特にそうである。

「周辺の障壁」の場合にも、床と壁との間に埋め込まれた鉱物質綿の防火材料の底面にエラストマーの被膜を被覆したいと思う場合には、梯子を頻繁に昇降することが必要である。何故ならば装着作業員は鉱物質綿の材料の底面を被覆するために防火材料の下の床まで降りて行く必要があるからである。

従来法の欠点の観点からすれば、新規の熱障壁および方法が必要であると思われる。

従来法の欠点を克服するために、本発明においては建物構造物、例えば壁、天井材および床の中またはその間にある開口部および隙間に熱障壁を装着する方法およびシステムが提供される。このようにすることにより本発明によれば従来法の鉱物質綿／被膜法に比べて増大した便利性、効果、および安全性が得られる。本発明の熱障壁は種々の大きさおよび形をした開口部および隙間の空間の形にぴったりと適合できる能力をもっている。また本発明の熱障壁は開口部または隙間の周りにおける種々の建物構造物の動きを許容する能力をもっている。特に、「壁頭」接合アセンブリーの両側（壁と天井材の間で生じる部分）の保護並びに「周辺の障壁」アセンブリーの上面および下面（床と壁との間で生じる部分）の保護は本発明の熱障壁および方法によって便利に行うことができる。

本発明の一例として挙げられる方法は、開口部（例えばケーブル、電線、パイプ、ダクト、電気パネル等を通すまたはそれに到達するための孔）を有する第１の建物構造物（例えば床、壁または天井材のような建物または船舶の構造物）をつくるか、或いは間に隙間（例えば壁と天井材または床との間の接合部の隙間）が規定されている第１および第２の構造物をつくり；流動性をもった防火材料を受け取り実質的にこれを含む働きをする少なくとも一つの（空の）熱障壁成形用のバッグを該開口部または隙間の中に挿入し、ここで該流動性をもった防火材料は好ましくは該バッグの内部で硬化する働きをするものであり；該熱障壁成形用のバッグの中に流動性をもった防火材料を導入して該孔または接合部の隙間の内部で該バッグを膨張させ、これによって該孔または隙間の内部に熱障壁をつくる方法である。

本発明の一例として挙げられる熱障壁成形用のバッグは好ましくは熱可塑性フィルム材料からつくられ（但し他の適当な材料は下記に説明する）、また流動性をもった防火材料、例えば水和可能なセメント質のスラリ、膨張材料、超吸収性重合体；ポリウレタン（発泡体）；水和したシリカゲル；無機性の乾燥剤（例えばゼオライトのようなモレキュラー・シーブ；シリカゲル；酸化カルシウム；硫酸カルシウム；塩化カルシウム；酸化バリウム；五酸化燐）；繊維；鉱物質綿；ガラス繊維、またはこれらの混合物をバッグの中に流し込むことができる好ましくは２回以上開閉が可能なタイプの開口部を好ましくは少なくとも２個またはそれ以上もっている。この成形用バッグ材料は、流動性をもった防火材料が導入された際成形用バッグが膨張することができ、少なくとも一部の該開口部または接合部の隙間の内部において熱障壁を成形し得るのに十分な大きさおよび形をもち、またそれに十分な可撓性をもっていなければならない。好ましくはバッグはコンパクトなロールの形で（空の場合）運ぶことができ、またロールの状態から元に戻された場合（この状態でバッグは膨張して流動性をもった防火材料が充填される）には開口部または隙間の空間の適切な位置に入るのに十分な可撓性をもっていることが好ましい。

本発明の上記のその場でつくる方法によってつくられた防火障壁は優れた耐火性および密封能力、並びに煙および音に対する遮断特性をもっている。またこれらの防火障壁は圧力（例えば注水ホースからの力）によって隙間または開口部からの離脱に耐えるのに十分な強さをもち、また視覚的な検査を極めて容易に行うことができる。

本発明の他の特徴および利点を下記に詳細に説明する。

本発明の例として挙げられる下記の詳細な具体化例は添付図面と組み合わせればさらに容易に理解されるであろう。

本発明においては、１個またはそれ以上の熱障壁成形用のバッグが使用されるが、これらは構造物、例えば壁、天井材または床の開口部の中、或いは壁、天井材および／または床の間の接合部の中に規定されるような隙間の中に容易に配置される。成形用のバッグは孔または隙間の中に空の状態で入れられ、該成形用のバッグの中に流動性をもった防火材料を導入し、これによってバッグを膨張させ孔または隙間の内部の空間を充たし、次いで流動性をもった防火材料を孔または隙間の内部で硬化させて強い熱障壁をつくる。本明細書において使用される「防火材料」という言葉は一般に本来燃焼遅延性または不燃性であると意図される材料を意味し、例として挙げ得る防火材料または不燃材料の詳細なリストは下記の節に与えられている。

図１に示されているように、「壁頭」接合部の隙間は垂直の壁の頂上と天井材の間に生じる（従来法）。この図面においては、壁は屈曲した金属の天井材１０に水平の金属のトラック１２またはランナーを取り付けることによってつくられている。天井は壁（１２）に対して垂直に走るように示されている。天井材１０は天井材の上の部分１０Ａよりも幾分低くなった屈曲した部分１０Ｂをもっており、従って接合部の空洞１６は天井材の上の部分１０Ａとこの場合は水平のトラック１２である壁の頂上との間に規定されている。金属の間柱１４が水平のトラック１２に取り付けられ、またこれは下方の床に連結されている。図２に示されているように、この間柱１４のいずれの側にも石膏の壁板１８が固定されて壁のアセンブリーが完成する（従来法）が、典型的には隙間２０が石膏の壁板１８の頂部と水平のトラック１２との間に残され、壁板１８が動き得るようになっている。

図３に示されているように、本発明の一例の熱障壁１は、トラック１２を天井材の面１０Ｂに対して取り付けるかまたは何らかの手段でその位置に固定する前に、空の熱障壁成形用のバッグ３０を水平のトラック１２の上に配置するか接着することによってつくられる。垂直の間柱および石膏の壁板を水平のトラック１２の下に装着して壁を組み立てた後に（この場合壁は屈曲した金属の天井材１０の方向に対して垂直になるように配置される）、流動性をもった防火用の材料３２を成形用バッグ３０に導入して屈曲した金属の天井材１０と組み立てられた壁１４の構造物の上方部分との間の接合部の空間１６を充填する。好ましくは、熱障壁成形用のバッグ３０は、水平のトラック１２の直ぐ隣の露出した隙間２０を保護するために壁のいずれの側（１２／１４／１８）においても石膏の壁板１８の頂部の下方へと延びた部分３３をもち、従って熱および煙が石膏の壁板１８で覆われていない頂上部分の所で壁を通って侵入することはない。

スペーサー材料（例えば弾力性をもった圧縮し得る発泡体（ＳＴＹＲＯＦＯＡＭタイプ）、発泡したゴム、膨らませたポリスチレン、鉱物質綿、風船玉等）を隅の隙間２０の所に挿入し、流動性をもった防火用の材料３２が硬化する際に壁板１８の反復運動のための空間が残るようにすることが好ましい。

図４に示されているように、本発明の熱障壁１の他の例は、屈曲した金属の天井材１０が金属の間柱の壁１４と同じ方向を向いている場合につくることができる。この場合、水平のトラック部材１２を天井材の面１０Ｂに取り付ける（或いは他の何らかの方法でそれに対して圧し付ける）前に、障壁成形用のバッグ３０は水平のトラック部材１２と天井材の面１０Ｂとの間に配置され、バッグの長手方向の縁（３３）は壁と天井材との間の接合部のいずれの側においても外側に向かって延びている。従ってこの場合接合部の空洞は壁の頂部には生じない（天井材の面１０Ａと１０Ｂとの間で規定される空間は壁のいずれかの側に生じるから）が、それにもかかわらず通常石膏の壁板１８の頂上部分に残される隅の隙間２０のために水平に延びたトラック部材１２は火に対して防護されない状態になる。従って流動性をもった防火材料３２は、防火用の熱障壁が石膏の壁板１８の頂部の所で隅の隙間２０の上方において接合部に沿って成形されるように成形用のバッグ３０の中に導入される。この場合もスペーサー材料（発泡体または鉱物質綿の細片）を隙間の空間２０の中に挿入して板１８が動き得るようにすることが好ましい。

即ち、本発明方法の一例は、二つの構造物、例えば壁および天井材の間の接合部の中に熱障壁成形用のバッグ３０を挿入し、バッグ３０が空になった形から二つの構造物の間または周りの空間に合う形へと膨張するように流動性をもった防火用材料をバッグ３０の中に導入し、防火材料がバッグ３０の内部で硬化して熱障壁１が成形されるようにする方法である。

本発明の熱障壁は主として接合アセンブリー（例えば床と床との接合システム、壁と壁との接合システム、床と壁との接合システム、および壁頭接合システム）、並びに「貫通」孔（例えばパイプ、針金、ケーブル、ダクト、電気パネル、計器類、および他の導線または装置を通す通路）に使用することを意図する。

図３および４に示されているように、配置された成形用のバッグ３０は、該バッグ３０の内部で硬化するような働きをする流動性をもった防火材料３２、例えば水和し得るセメント質のスラリで充填される。成形用のバッグ３０は導入された流動性をもった防火材料３２が孔または隙間の空間を完全に充填し、それによって熱および煙の侵入に対する効果的な障壁にならなければならない。図３および４は二つの構造物の間および／またはそれに沿って規定された接合部を密封するために使用するように描かれているが、ここで例示した方法およびバッグ装置は一つの構造物、或いは二つまたはそれ以上の構造物の間の接合部の隙間の中にある種々の大きさおよび形をもった孔を充填するかまたは他の方法で保護するのに使用することができる。大きな孔または接合部の隙間では、二つまたはそれ以上のバッグ３０を、例えばバッグの端を重ね合わせるか、バッグを重ねるか、或いは二つまたはそれ以上のバッグを端と端とをつないだ形で接触させることにより一緒に共同して使用することができる。

本発明の成形用のバッグ３０の一例では、これを一つの「管」またはスリーブとしてつくり、これを端の所で密封するか他の方法で閉じて容器をつくることができる。さらに好ましくは、二つまたはそれ以上のシートまたはフィルムを一緒に熱により密封、縫合、接着、または熔接することによりバッグ３０をつくることができる。これらのフィルムまたはシートは異なった材料からつくることができる。例えば、異なった弾性モジュラス（ヤング率）をもったプラスティックシートを使用することができる。例えば孔または空洞の空間の中へとバッグを膨張させる目的で高度の弾力性をもった重合体フィルムを使用することができる。

図５に示されているように、本発明の熱障壁成形用のバッグ３０の他の例は二つの別々なシートまたはフィルム３０Ａおよび３０Ｂを用いてつくることができる。この場合成形用のバッグ３０を接合部の空洞（図１〜３で１６により示す）の中へと膨張させるのを容易にするように設計された３０Ａとして示されている例示されたシートまたはフィルム部材は、材料を折り曲げてつくられた一つまたはそれ以上の襞３４を含んでいる。次に折り曲げた上側のシートまたはフィルム３０Ａを下側のシートまたはフィルム３０Ｂと繋ぎ合わせ（例えば熔接または縫合により）成形用のバッグ３０をつくる。上側のフィルム３０Ａは１個またはそれ以上の空気抜きの孔３６をもち、流動性をもった防火材料が導入される際バッグ３０から空気を抜くことができることが好ましい。図５の上部には閉じることができる入口３８の一例が示されており、これはバッグを孔または接合部の中に入れた場合流動性をもった防火材料をバッグの中に導入できるように設計されている。

別法として、バッグの長手方向の一つの縁から反対側の縁へと延びた一連の実質的に均一な折り目である「襞」（図５の３４で示されるような）の代わりに、本発明の成形用バッグ３０の他の例では、バッグが充填された時に膨張することができるクリンプまたは皺をもっていることができる。本明細書において使用される「クリンプ」または「皺」という言葉は、不規則に配置されてはいるが好ましくは一般的に一つの方向に並んだ実質的に不規則な折り目を意味する。図５の３４で示される一連の襞と同様な方法で、皺またはクリンプはバッグ３０の長さ方向に対して実質的に垂直な方向に並んでいることができる。このように、流動性をもった防火材料で充填された場合、例示された成形用のバッグは壁および屈曲した金属の天井材（図５に示すような）の間の「壁頭」接合部の空洞を充填するために膨張させることができる。図５に示された一連の襞３４と同様にクリンプまたは皺がバッグの一つの縁から反対側の他の縁へと膨張することが好ましいが、これはバッグの所望の膨張能力に依存して必ずしも必要なことではない。

襞またはクリンプまたは皺の大きさおよびバッグの長さ１インチ辺りの数は、勿論充填することが望ましい孔または空洞の高さまたは容積、並びにバッグ自身の幅および／または容積に依存するであろう。充填すべき孔または接合部の空洞が大きいほど、バッグを膨張させて孔または接合部の空洞を充填させるのに必要な襞、皺および／またはクリンプの数が多くなるであろう。

壁と垂直に配向した屈曲した金属の天井材（例えば図３参照）との間につくられる「壁頭」接合部の空洞に対しては、バッグが防火材料で充填された場合、バッグの上側のシートは、上側の面のバッグが元の大きさの１５０〜２５０％まで膨張または拡大することができるのに十分な形および／または数の襞、皺またはクリンプをもっている。

他の例示的な具体化例においては、小型の形を保持する助けをする一体となった弾力性のバンドを有するプラスティックスのシャワー・キャップと同様な方法で、成形用のバッグは弾力性の細片に取り付けられた襞、クリンプまたは皺を用いることができる。例えば、一つまたはそれ以上の弾力性の細片またはバンドを長手方向に伸張した状態で２０フィートのシートに対して縫い合わせることができる。弾力性の細片またはバンドから張力が緩められた場合、シートは２０フィートから長手方向に１０または１２フィートまで（弾力性の細片が伸張された程度による）短くなり、シートが成形用のバッグにされる場合に膨張することができる襞、折り目またはクリンプがシートにつけられるであろう。好ましくは、長手方向に延びているバッグの縁に対し一般的に平行になるように、成形用のバッグの上側のシート３０Ａの上で長手方向において少なくとも二つの弾力性の細片を使用する。

弾力性をもった部材の機能は比較的コンパクトなシート状の構造物として成形用のバッグを保持することであり、これによってバッグをパイプの周りまたは壁頭接合部の空洞（水平のトラックと屈曲した金属の天井材との間）の中にある孔の中に位置させることが容易になるが、防火材料がバッグの中に圧入されて流れ込む場合、弾力性の材料はバッグの材料の中の襞、折り目またはクリンプを孔または接合部の空洞の中へと膨張させることができる。

他の例としては、弾力性の細片またはバンドを襞および／またはクリンプの方向に垂直に長手方向に、或いは襞および／またはクリンプの方向に対して平行に横方向に位置させることができる。

プラスティックシート材料の中において小さいクリンプまたは皺ではなくて一連の襞を使用することが好ましいこともある。何故ならば、この襞は図５に示されたようなバッグの周辺の縁に沿って大きな熔融継ぎ目強度をもつことができるからである。しかし例えばマスキングテープをつくるために用いられる紙テープの裏地におけるように、クリンプ（または皺）は紙またはちりめん紙からつくられたバッグに使用する場合にかなり大きな利点を与える。このような紙は典型的にはエラストマーのラテックスの中に含浸させて皺を付け（またはクリンプさせ）、伸張して平らでない表面に合わせることができる。従ってマスキングテープをつくるためのラテックスに含浸して皺を付けた（または襞を付けた）紙は、成形用のバッグのためのシート成分をつくるのに使用できると考えられ、実質的に漏れを起こすことなく沈降可能なセメント質のスラリに圧力をかけ、元の長さまたは幅の少なくとも１５０％まで膨張させ孔または接合部の空洞の内部に適合させることができる。

例として挙げられる他の具体化例においては、図５に示されているように成形用のバッグの下側のシートまたはフィルム３０Ｂは、上側のシートまたはフィルム３０Ａと比べて弾性モジュラスが高い材料からつくることができる。下側のフィルム３０Ｂに対し強い或いはかたい材料を使用する一つの理由は、こうすることによって一つまたはそれ以上の閉鎖し得る入口３８を取り付ける目的に一層適合させることができるからである。他の理由は、下側の面３０Ｂは図２〜４に示されているような隅の隙間２０の周りに折り目またはアーチをつくり得るほど十分にかたいということである。他の例示的な具体化例においては、バッグ３０が壁の頂上に装着される場合、雨押さえ材料、例えばかたいプラスティックまたは金属のシートを下側の面３０Ｂにくっつけ、隅の湾曲部を隅の隙間２０と一致させ、これによってバッグ３０および防火材料３２の重量に耐えるようにすることができる。

図６に示されているように、本発明の熱障壁成形用バッグ３０の他の例は、バッグを孔または接合部の中に入れた状態のままで流動性をもった防火材料を該バッグ３０の中に導入するための入口３８を少なくとも２個もっている。この入口３８はバッグ３０の両方の長手方向の縁に沿って（或いは上側または下側のシートまたはフィルムのいずれかの上に）配置され、該バッグが「壁頭」接合アセンブリーの中で壁の頂上に装着される際、装着作業員が流動性をもった防火材料を壁のいずれの側からでもバッグの中に導入することができることが好ましい。

本発明に使用される目的をもった流動性をもつ防火材料または不燃材料３２は、バッグ３０の中に圧入でき、好ましくはバッグの中で硬化または固化するような働きをするタイプのものであることが好適である。「防火材料」または「不燃材料」と云う言葉は本明細書においては互換的に使用され、火災の拡大を防止または最低限度に抑制する材料を意味することができる。本明細書において使用される「流動性をもった」と云う言葉は乾燥したおよび液状の材料の両方を意味し且つ包含し、好ましくは加圧下でホースを通して圧入できる材料を意味する。例えば乾燥した流動性をもった防火材料は、繊維、例えば鉱物質綿繊維、膨張した蛭石、膨張したパーライト、膨張させて細かく切断したポリスチレン、粘土の粒状物または小球等を含み、これらは随時結合剤材料、例えばラテックス、セメントおよび／または石膏のスラリを含んでいる。液状の流動性をもった防火材料の例には、下記にさらに説明するような水和可能なセメント質材料、並びに合成重合体（例えばポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン）で好ましくは燃焼性を減少させるための無機充填剤（例えば砂および粘土）を含有するものが含まれる。

本明細書において使用される「水和可能なセメント質」材料という言葉は、水と混合した場合に硬化を始める少なくとも１種のセメント質の結合剤を含んで成る材料を意味する。このような結合剤はポルトランドセメント、メーソンリーセメント、またはモルタルセメント、石膏、スタッコ、焼石膏、アルミナセメント、ポゾランセメント（シリカセメント）、オキシ塩化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム、珪酸カルシウム半水和物、並びに石灰石、水和した石灰、フライアッシュ、高炉スラグ、および煙霧質シリカのような材料であることができる。水和可能なセメント質材料はそれに加えて随時細かい凝集体（例えば砂）、粗い凝集体（例えば破砕した石、玉砂利、炭素片）または他の充填材を含んでいることができる。セメント質材料の他の例は、セメント質結合剤の他に、下記にさらに説明するような膨張材料を随時含んでいることができる。

好適なセメント質材料は、噴霧によって被覆される不燃剤産業に現在使用されている種類の圧入可能なセメントおよび／または石膏のスラリを含んでいる。適宜石膏を含むポルトランドセメントのスラリは特に好適である。他の適当な不燃剤組成物は下記の特許に記載されている。Ｓｈｕの米国特許第４，６９９，８２２号明細書、Ｓｈｕの米国特許第４，７５１，０２４号明細書、Ｃｏｎｒｏｙ，Ｈｉｌｔｏｎ，Ｋｏｒｅｎｂｅｒｇの米国特許第４，９０４，５０３号明細書、Ｄｒｉｓｃｏｌｌ，Ｈｉｌｔｏｎの米国特許第４，９３４，５９６号明細書、Ｈｉｌｔｏｎ，Ｋｏｒｅｎｂｅｒｇの米国特許第５，３５２，４９０号明細書、Ｐｅｒｉｔｏの米国特許第５，３４０，６１２号明細書および同第５，４０１，５３８号明細書、Ｂｅｒｎｅｂｕｒｇ，Ｆｒｅｉｔａｓ，Ｐｉｓａｔｕｒｏの米国特許第５，５５６，５７６号明細書、およびＫｉｎｄｔ，Ｈｉｌｔｏｎ，Ｐｅｒｉｔｏの米国特許第６，１６２，２８８号明細書。このようなセメント質のスラリは圧入可能である。何故ならば、これらは典型的には通常の噴霧塗装用に使用され、熱障壁成形用のバッグ３０の中に迅速に充填できるからである。このような組成物は繊維、凝集物、および充填材を含んでいることができるが、本発明においてこのことは適宜選択し得る事項である。何故ならば、成形用のバッグ３０は主として硬化するまでセメント質のスラリの一体性および形を保持する手段として用いられるからである。

本発明において流動性をもった防火材料３２として使用される水和可能なセメント質の材料の例は、さらに１種またはそれ以上の混合物または添加物、例えば沈降促進剤、沈降遅延剤、減水剤（超可塑剤および流動性強化剤を含む）、レオロジー変性剤、空気捕捉剤、顔料または着色剤、多孔質の凝集体（例えば細かく切断された膨張ポリスチレン、膨張蛭石、パーライト等）、繊維、レオペクティック剤（例えば粒状のアタパルジャイト、セピオライト、またはそれらの混合物）、表面活性剤、および当業界に通常公知の他の混合添加物を含んでいることができる。

例として挙げることができる流動性をもった防火材料３２はまた不燃材料の業界に公知の膨張組成物を含んでいることができる。火、熱または焔に露出した場合、このような膨張組成物はその名前が示すように膨張して厚さがかなり厚くなり、炭および炭の発泡体の絶縁層を生じる。

１種またはそれ以上の重合体材料が燐含有材料および炭化材料または炭素生成材料と組み合わせられて含まれる膨張組成物に関しては多数の特許および出版物に記載があり、当業界に公知のようにこのような組成物は本発明の流動性をもった防火材料３０として使用するのに適していると考えられる。例えばＨａｈｎ等の米国特許第３，５１３，１１４号明細書；ＭｃＧｉｎｎｉｓｓ等の米国特許第５，４８７，９４６号明細書；Ｄｅｏｇｏｎの米国特許第５，５９１，７９１号明細書；Ｇｏｔｔｆｒｉｅｄの米国特許第５，７２３，５１５号明細書；Ｂｕｃｋｉｎｇｈａｍの国際公開第９４／１７１４２号パンフレット（ＰＣＴ／ＵＳ９４／００６４３）；およびＪａｎｃｉの国際公開第９８／０４６３９号パンフレット（ＰＣＴ／ＵＳ９６／１２５６８）参照のこと。これらの特許はすべて引用により本明細書に包含される。Ｍｏｎｓａｎｔｏ社に譲渡されたＨａｈｎ等の米国特許第３，５１３，１１４号明細書には、ポリ酢酸ビニルを含む乳化物、溶媒可塑剤および炭化性のポリ燐酸アンモニウムを含んで成る膨張組成物が記載されている。Ｇｏｔｔｆｒｉｅｄの米国特許第５，７２３，５１５号明細書には、膨張被膜の亀裂および収縮抵抗性を改善し、噴霧の容易さを改善するために、弾力剤、例えば蛭石、パーライト、エラストマーおよびアクリル材料を混入することが記載されている。

本発明の流動性をもった防火材料３２として適した他の膨張組成物はＬ．Ｋｕｏ等の国際特許出願ＰＣＴ／ＵＳ００／１８８８７号に記載されている。この組成物は炭および炭の発泡体を与える成分パッケージ；この組成物が乾燥した場合にフィルムを生じる働きをする乳化物の形の重合体接合剤；および全部で３〜６個の炭素原子をもち沸点範囲が７５〜１７５℃の範囲にある亀裂抑制剤を含んで成っている。該亀裂抑制剤は構造式Ｒ^２−Ｏ−ＣＨ_２−Ｃ（Ｒ^１）Ｈ−Ｏ−Ｒ^３によって表され、ここでＲ^１＝−Ｈまたは−ＣＨ_３；Ｒ^２およびＲ^３は独立に−Ｈ、−Ｒ^４または−ＣＯＣＨ_３であり、Ｒ^４はＣ_１〜Ｃ_３アルキル基である。Ｋｕｏ等の好適な亀裂抑制剤はアルコキシグリコールエーテル、アルコキシグリコールアセテート、アルコキシグリコールエーテルアセテート、またはこれらの混合物を含んでいる。一例となる表面活性剤パッケージは一般式Ｒ−Φ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）_ｘＯＨをもつ非イオン性のアルキルアリールポリエーテルアルコールである。ここでＲはＣ_４〜Ｃ_８基（最も好ましくは分岐したオクチル基）、Φはフェニレン基を表し、ｘは整数、好ましくは１５〜１００の範囲の整数を表す。好適な表面活性剤パッケージはさらに分散剤、例えばポリアクリル酸またはその塩（ポリアクリル酸ナトリウム）またはその誘導体を含んでいることができる。

例となる他の膨張剤材料には、硫酸または硝酸を含浸したグラファイト細片が含まれる。加熱した場合に剥離を起こし得る無機材料の細片には蛭石およびパーライトが含まれる。

膨張材料は本発明の他の流動性をもった防火材料３２、例えばポルトランドセメントおよび／または石膏を含むスラリと組み合わせて使用することができる。例えばＳｙｍｏｎｓの米国特許第５，３９５，５７１号明細書には、石膏と熱硬化した樹脂との組み合わせが記載されている。即ち、（ａ）硫酸カルシウム半水和物、オキシ塩化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム、および水硬性セメントから成る群から選ばれる無機性の基質材料；（ｂ）水に混合、溶解または分散し得る熱硬化性樹脂；（ｃ）樹脂を熱硬化させるための適量の触媒；（ｄ）無機基質材料を他の成分中に存在する水と再水和させるのに十分な量の水；（ｅ）随時存在する可塑剤、例えばメラミン−フォルムアルデヒド縮合物；（ｆ）随時存在するポリビニルアルコール；（ｇ）随時存在する無機基質材料の沈降時間を遅らせる遅延剤；（ｈ）随時存在する繊維性の補強材料；および（ｉ）発泡体または発泡剤を組み合わせることによって組成物をつくることができる。即ち例として挙げられる本発明の流動性をもった防火材料は重合体、樹脂および／または一般に当業界に公知の膨張材料を或る重量割合（例えば１〜９０％）で含む水硬性セメント質のスラリを含んで成っていることができる。

例として挙げられる本発明で使用される流動性をもった防火材料３２、例えば水和し得るセメント質のスラリは好ましくは黴、病原菌、およびバクテリアの成長を抑制するための殺生物剤を含んでいなければならない。これらの殺生物剤は乾燥した粉末または液体の形で供給することができる。長期間湿った状態に留まっている材料は黴の成長に対しては敏感であり、従って特にそれがセメント質のスラリのような水性の媒質である場合には、好ましくは黴抑制剤を流動性をもった不燃材料に混入しなければならない。効果的な黴抑制用添加剤にはジメチルジチオカルバミン酸亜鉛；１，３−ベンゼンジカルボニトリル；２，３，５，６−テトラクロロチアベンダゾール；５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンおよび２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン；２，３，５，６−１，３−ジ（ヒドロキシメチル）−５，５−ジメチルヒダンチオンまたはジヨードメチル−ｐ−トリルスルフォンが含まれる。もっと一般的な殺生物剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムまたはオルトフェニルフェネートナトリウム四水和物はバクテリア並びに黴類を抑制する。或る用途に対しては、人に対して最低限度の毒性しかもたない殺生物剤を使用することが重要である。

他の例として挙げられる本発明の流動性をもった防火材料３２は超吸収性重合体を単独で或いは例えば水和し得るセメント質のスラリと組み合わされて含んでいることができる。超吸収性重合体は一般に、水と結合し従って火および熱に対する障壁性を或る程度与えるように作用する交叉結合した親水性の重合体である。超吸収性材料の例には、加水分解したマレイン酸無水物の重合体および共重合体、例えばビニルエーテル、スチレン、エチレンおよび他のオレフィンとの共重合体、ポリビニルピロリドン、スルフォン化されたポリスチレン、ポリスルフエチルアクリレート、ポリ（２−ヒドロキシエチルアクリレート）、ポリアクリルアミド、ポリ（アクリル酸）およびそのアルカリ金属塩、ポリ（アクリル酸アルカリ金属塩）、澱粉で変性されたポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、ポリ（澱粉変性アクリル酸アルカリ金属塩）、加水分解したポリアクリロニトリルおよびそのアルカリ金属塩、ポリ（加水分解したポリアクリロニトリルアルカリ金属塩）、ポリ（ビニルアルコールアクリル酸アルカリ金属塩）、それらの塩および混合物が含まれる。超吸収性材料の他のものにはポリ（アクリル酸アルカリ金属塩）、例えばポリ（アクリル酸ナトリウム）、ポリヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、ポリビニルラクタム、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン、天然産または合成品の変性ポリサッカリド、タンパク質、アルギネート、キサンタンガム、グアーガム、およびセルロースが含まれる。他の例としては酸性または塩基性の官能基を含む上記重合体の一価および多価の無機塩および有機塩が含まれる。酸の官能基をもった重合体に対してはアルカリ金属塩が好適である。

前述のように一例として挙げられる本発明の成形用バッグ３０は、空の状態において種々の大きさおよび形の開口部または隙間の中にバッグを配置する便利な手段を与えることができ、また水和可能なセメント質の材料を導入する際にはその大きさを膨張させて成形用のバッグが接合部の隙間または開口部の少なくとも一部または全体に合致することができるほど十分な可撓性をもっていなければならない。バッグはロールの形で輸送され、装着する場合には便利にロールをほどいて適切な位置に配置することができることが好ましい。

成形用バッグ材料は圧力をかけてセメント質のスラリを充填でき、硬化するまでスラリを保持できるほど十分な強度をもっていなければならない。硬化が起こると熱および火に対する障壁性を与えることはセメント質材料の機能であるから、成形用のバッグ自身が難燃性であることは必ずしも必要ではなく、火に露出した際、バッグの材料が燃えるか消失しまうことが予測される。

成形用のバッグ３０が空気を通さない材料、例えばプラスティックフィルム、紙、ワックス処理した紙、または含浸された織物または不織布材料（例えば含浸され、スパンボンド加工された不織ポリオレフィン、例えばＴＹＶＥＫ^（Ｒ）外皮材料）からつくられている場合、バッグ３０が流動性をもった防火材料３２で充填された時、好ましくはバッグは空気を逃がすことができる１個またはそれ以上の空気抜き用の孔３６または切り口をもっていなければならない。しかしこの孔は十分小さく、流動性をもった防火材料３２の漏れを最低限度に抑制しなければならない。この孔は最も上の面（例えば図５に示されるように３０Ｂ）にあることが好ましい。何故ならば、入ってくる流動性をもった防火材料３２の圧力により空気は成形用バッグ３０の内部で上方へ圧されるであろうからである。最初に空気を追い出すために成形用のバッグ３０をきつく巻きとることができるが、バッグを巻き戻す簡単な作業で空気は容易に導入されるから、バッグに空気抜きの孔を取り付けることが推奨される。空気抜きの孔３６または切り口の大きさ、並びにバッグ上におけるその分布および間隔は勿論バッグの中に注入される防火材料の種類、バッグ材料の伸張特性および他の因子を含む多くの要因に依存するであろう。

例として挙げることができる熱障壁成形用のバッグ３０は広範囲の材料、例えば紙、ワックス処理した紙、被覆紙、綿、ジュート、プラスティックフィルム、フェルト、織物繊維布、不織布（例えば或る種の郵便用の封筒に使用されているものと似た含浸されたスパンボンド加工ポリオレフィン）またはこれらの組み合わせからつくることができる。プラスティックフィルム材料、特に熱可塑性プラスティック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、またはこれらの混合物は比較的廉価であり、本発明で意図されている用途に用いるのに便利であろう。好適なバッグはナイロンとポリエチレン（例えばＨＤＰＥ、ＬＤＰＥ、ＬＬＤＰＥ）との組み合わせ、例えばポリエチレン／ナイロン／ポリエチレンの層状の形から構成することができる。この形、は強度と熱熔接された強い継ぎ目をつくる能力との所望の組み合わせを与えると考えられる。また、プラスティックフィルム材料は好ましくは完全にまたは部分的に透明であって、成形用のバッグが流動性をもった防火材料３２で適切に充填されているかどうかを装着作業員または検査員が眼で確かめることができなければならない。

一般に細長い接合部の隙間の中に挿入するための細長い形をした熱障壁成形用バッグ３０の他の例は、好ましくは装着作業員が接合部の内部（例えば壁の頂部にある水平のトラック１２）にバッグを位置させる助けとなる指標として役立つマークまたは他の目印をもっている。例えば、成形用のバッグ３０は、例えば壁の水平のトラック部材１２の上に位置したバッグの底部としての役目をする目的をもった表面の上に、バッグを壁の頂部に正しく位置させる案内線としての役目をするバッグに沿って長手方向に延びた１本またはそれ以上の線をもっていることができる。他の例のバッグ３０は壁の頂部の縁に対応したバッグの中の平行な継ぎ目または折り目または隆起をもっていることができる（これは通常金属の間柱の上にある石膏の板からつくられている場合厚さが約２〜６インチであり、モルタル・ブロックからできている場合には厚さが約８インチである）。

他の例示的な具体化例においては、接着剤または固定剤を用い一つになったアセンブリーとして成形用バッグ３０を水平のトラック１２に取り付けることができる。

例として挙げられる熱障壁成形用のバッグ３０は、使用されるフィルムまたはシートの材料の強さ、或いは使用されるフィルムまたはシートの数に依存して、０．１〜６０ミルまたはそれ以上の壁（面）の厚さをもっていることができる。成形用のバッグは細長い管の形をしており、その反対側の端は接着剤、熱封、ステッチ留め、クランプ、結び合わせ（紐または針金を使用）、或いは他の公知の方法によって閉じて密封されている。このバッグは、シートまたはフィルムを折り重ね、周囲の縁に沿って密封してバッグの囲いにすることによってつくることができる。あるいは、バッグは二枚の別のシート又はフィルムを、一緒にシールしてバッグを生成させて得ることができる。従って本発明の一例として挙げられるバッグ２０は、細長い接合部の隙間、例えば上記の「壁頭」接合アセンブリーおよび「周辺の障壁」アセンブリーの内部において長手方向に延びて充填を行うのに適した「枕の形」をしていることができる。本発明の成形用のバッグは１枚の層、或いは２枚またはそれ以上の層からつくることができる。

例として挙げられる成形用のバッグ３０は、骨付き肉を入れるのに用いられる袋に似たスクリムまたは網織物で補強されたプラスティックフィルムを含んでいることができる。このような袋は食品包装産業において公知であり、本目的に適した増加した力を与えると考えられている。例えばポリプロピレンのバッグはガラス繊維の網織物で補強することができ、これによってバッグの伸張性を低下させることができる。

図７に示されているように、例示された入口３８は垂れ板部材４０を使用しており、これをバッグの材料の中で開口部３９に対し弾力的にずらして閉じた位置にする。閉じた位置へと弾力的にずらす目的のために、垂れ板４０はエラストマーまたは熱可塑性材料を含んで成っており、これは例えば膠付け、高温熔融接着剤、縫合、または熔融密封法によってバッグ３０の内表面に部分的にくっつけられている。入口３８の大きさおよび形は、流動性をもった防火材料（例えば液体の水和可能なセメント質のスラリ）をバッグ３０の中へと運ぶ（矢印「Ｂ」で示されている）のに使用されるホース、パイプ、またはノズル（図示せず）に対応するように選ぶことが好ましい。この特定の例の入口の垂れ板の設計２８においては、バッグ３０の中における流動性をもった防火材料３２の圧力は、成形用バッグ３０の内壁に対して密封する位置へと垂れ板４０をずらす（矢印「Ｃ」の方向で示されている）のに使用することができよう。装着作業員はさらに流動性をもった防火材料３２を入口の開口部３８を通してバッグの中に導入することができるであろう。この場合弁３８／４０は好ましくは閉鎖可能なものであり、少なくとも１個の入口３８が成形用バッグ３０の両方の長手方向の縁に沿って配置されると、バッグ３０が垂直の壁の頂上に正しく配置され、両方の長手方向の縁が壁のいずれの側においても垂れ下がるようになった場合、作業員が壁のいずれの側からも入口の開口部３８に便利に手が届くようになる。さらに他の例示的な具体化例においては、入口の弁３８は成形用のバッグ３０の片方または両方の長手方向に延びた縁に沿って中心へと向かって配置され、流動性をもった防火材料３２がバッグの中に導入される移動距離を最低限度に抑制し、バッグが入れられている孔または接合部の中に空気の入った空間を残すことなく、バッグの内部の成形用の空間ができるだけ多く充填される傾向を増加させることができる。

他の例の入口においては、三角屋根形の頂部をもったオレンジジュースおよび牛乳の容器（例えばワックス処理された厚紙のタイプの容器）のプラスティックのキャップに似た方法で使用し得るネジ型のキャップ・アセンブリーを用いることができる。また方向弁（例えば図７に示されるゴムの垂れ板）を有するネジ型のキャップ・アセンブリーを使用することもできる。さらに他の例における弁はボール弁を含んでいることができる。この場合閉じた位置と開いた位置の間でボールが回転し、ボールを通る通路によって入口と出口が連結される。さらに他の例における弁は、手袋型の弁を含むことができる。この場合密封部が動いて「噴火口」型のオリフィスを圧し付ける。さらに他の例の弁は逆止め弁を含むことができ、この場合には流動性をもった防火材料３０が成形用のバッグの中に導入された際、入口オリフィスの上方の台の上にある垂れ板または他の閉鎖部材が開いた弁の位置へと動くことができ、次いでバイヤス装置、例えばバネ、蝶番え、または垂れ板または閉鎖部材を該台に連結する連結部材によって閉じた弁の位置へと動かされる。

図８に示されているように、この例における入口弁はバッグ３０の縫い合わされた縁３１（即ち何らかの方法で面３０Ａと３０Ｂとを結合している継ぎ目３１）の一部として管またはスリーブ４２の形で組み込まれていることができる。このスリーブは流動性をもった防火材料をバッグ３０の中へ運び（流れの方向は矢印「Ｄ」で示されている）、閉じた位置においてはバッグの内部にある流動性をもった防火材料の圧力（弁を閉じるために流動性をもった材料３２によって及ぼされる圧力、矢印「Ｅ」によって示される）によって密封を行う働きをする。管またはスリーブ４２は、接着剤、熔融密封法、または他の公知の方法を用いて継ぎ目の所でバッグ３０の中へと連結され、成形用のバッグ３０を越えてその外側へ任意所望の長さだけ延び出していることができる。長い管４２を使うと、壁頭接合アセンブリーを床の高さより７フィートまたはそれ以上の高さに配置するのに便利である。何故ならば壁の頂上にあるバッグからぶら下がって延びている管またはスリーブ４２を使用することにより、梯子を上るような必要がなく流動性をもった防火材料３２を成形用のバッグの中に導入することが可能になるからである。充填を終った後、管またはスリーブ４２は、紐、ゴムバンド、クリップまたは他の便利な手段を用い、壁の頂上の下方において結び目をつくるか締め付ける方法で、再び開いたり再び閉じたりすることができる。

例として挙げられる本発明の方法および具体化例においては、最初は入口の開口部または閉鎖装置をもたない成形用のバッグを使用することもできる。何故ならばこれらは使用する場所においてバッグに装着することができるからである。この点に関連して図８Ａおよび８Ｂには管状のスリーブ入口４２を成形用のバッグ３０に取り付ける方法の例が示されている。図８Ａに示されているように、バッグの中に切り口６０を切り込むことができ（３０の所に部分的に示されている）、これは管４２の幅に対応する大きさをもち、この管は切り口６０を通してバッグ３０の中に滑り込み、バッグの壁の材料３０に熱により縫合されるかまたは膠付けされている。この用途のためには電源に接続されるかまたは電池で駆動される熱封装置を用いることができる。熱封を行う前に、厚紙または他の絶縁片を管状のスリーブ４２の中に滑り込ませ、それ自身が熱封されてこの目的に使用できなくならないようにすることが推奨される。バッグ３０の内部にスリーブ４２を十分な長さで挿入し、バッグの中に防火材料を注入した場合、スリーブの挿入された長さの部分が潰れて注入された材料を保持するようにすることが好ましい。バッグの外側にある管状のスリーブ４２はいかなる所望の長さであることもでき、結ぶか他の方法で締め付けて閉鎖部をさらに保護することができる。

図８Ｂに示されているように、管状のスリーブ４２は壁にある切り口６０を通して又はバッグ３０の継ぎ目を通して挿入され、接着テープまたは接着片６４を用いてバッグ３０に接着されて密封されている。例えば二つの接着テープまたは接着片６４が管状のスリーブ４２のいずれの側にも接着され、バッグ３０の切り口６０の周りの壁または継ぎ目に対して接着するように位置していることが示されている。接着テープまたは接着片６４の露出した接着面６５は剥離用のシート（例えばワックスまたはシリコーン処理した紙、またはプラスティックフィルム）で保護することができ、バッグの切り口６０の周りに接着テープまたは接着片６４を被覆する直前にこれを取り外すことができる。

本発明の成形用バッグは障壁パッケージの一部として使用できるように意図されている。一例として挙げられるパッケージは成形用のバッグ、例えば上記のような横方向に襞が付けられたバッグをロールに巻いて嵩の大きなロールにしたものを含んでいるであろう。施工作業員はこのバッグを所望の長さに切り、バッグを縫合することが必要な場合には熱的な縫合または接着テープを用いて各端を縫合する。施工作業員は入口の開口部のための切り口をつくり、成形用のバッグを壁頭接合部、周辺の障壁接合部、または他の開口部の中に装着する前、その途中またはその後で、必要に応じて上記の管状のスリーブ（４２）を取り付けることができる。

図９に示されているように、本発明の一例として挙げられる熱障壁１は、屈曲した金属の天井材１０と金属の間柱アセンブリーとの間に規定された「壁頭」接合部の中の１個またはそれ以上の隙間または空洞を充填するのに用いることができる。成形用バッグは、水平のトラック１２を天井材１０の下の面１０Ｂに（例えばネジまたは他の固定具を用いて）固定する前に、該トラック１２の間に配置される。次にトラック１２と床（図示せず）との間に金属の間柱１４を装着し、１枚またはそれ以上の石膏の壁板１８をトラック／間柱アセンブリー（１２／１４／１８）の片側または両側に取り付ける。好ましくは、スペーサー片２１（例えば鉱物質綿または発泡ポリスチレン或いは他の圧縮し得る材料）を挿入して壁板１８の頂上の所にある隙間を保護する。次に流動性をもった防火材料を、好ましくはバッグ３０の長手方向の縁に沿って配置された入口３８を通してバッグ３０の中に導入する。バッグは一連の襞３４をもち、流動性をもった防火材料で充填される場合バッグが膨らみ得ることが好ましい。流動性をもった防火材料は、圧力がかけられると、壁アセンブリー（１２／１４／１８）のいずれの側においても張り出したバッグの長手方向の縁（番号３３で示されている）に沿って移動し、好ましくは壁の頂上（１２）と天井材の最も上の面１０Ａの間の接合部の空洞を充填し、また壁板１８の上の隅の接合部２０の上部においてもバッグを充填しなければならない。

図１０に示されているように、本発明の例として挙げられる熱障壁成形用のバッグ３０および方法は、垂直の壁４４通して床４６との間にある接合部のいわゆる「周辺アセンブリー」の中に熱障壁を装着するのに用いることができる。この状況においては、スペーサー２１を使用することが好ましい。このスペーサーは空気が詰められているか或いは好ましくはスリーブまたは外皮の中に巻かれた形の鉱物質綿の詰め物または堆積物が充填されたプラスティックのバッグか、或いは他の弾力性をもった圧縮し得る物体であることができよう。スペーサー２１は公知の方法で床４６に接着されるかまたは他の方法で固定される。成形用のバッグ３０は継ぎ目３１の上部の縁に沿って例えば釘またはネジを用いて壁４４に取り付けるか、或いはネジ、釘、鋲または接着剤（例えば建築材の防水に使用されるもの）または他の公知方法を用いバッグの継ぎ目３１に取り付けることができる。好ましくは成形用のバッグ３０はバッグの頂部の方へ向かって配置された１個またはそれ以上の入口３８、例えばネジ蓋をもっている。この入口３８はまた流動性をもった不燃材料３２をバッグに充填する過程の間バッグの中に残留した空気を抜き取る目的に使用することもできる。好ましくはバッグの一部は床４６と壁４４との間の隙間を横切って延び、床に取り付けられるかまたは固定されることなく床４６の一部の上に載り、床または壁の運動を阻害しないようになっている。

本発明のさらに他の具体化例においては、熱障壁成形用のバッグは２個またはそれ以上の仕切り室を具備しているか、或いは別法として二つまたはそれ以上のバッグを含んで成り、このバッグは互いに連結されて流動性をもった防火材料が一つのバッグ（または仕切り室）から第２のバッグ（または仕切り室）へ導入できるようになっている。図１１に示されているように、熱障壁用バッグの一例１は床と壁との間にある周辺接合部の中で長手方向に延びた（または側方へ曲がった、これは天井材と壁との一例である）多数のバッグまたは仕切り室から成っている。バッグの封入部分は４８で示されるように多数の連結用の孔または導管で互いに連結されている。例えばプラスティックの管に似たバッグは、例えば熔融密封または鳩目を使用することにより孔４８の所でその長さに沿って互いに周期的に連結され、流動性をもった防火材料をバッグの一つの封入部分から他の部分へと流すことができるようになっている。バッグ装置２０は接着剤により或いは機械的な固定具で壁４４に取り付けられていることが好ましい。

本発明の一例として挙げられる熱障壁成形用のバッグ３０は随時感圧性の接着層、鳩目、またはバッグを壁、天井材、床または他の建物または船舶構造物に接着させるかまたは機械的に取り付けることができる他の装置を備えていることができる。例えば図５に示されているバッグ３０の底側の面３０Ｂは剥離シートで覆われた両面テープを備え、バッグ装置が図３および４に示されているように天井材に対して固定または配置される前に、該バッグ装置３０を水平のトラック１２に接着させることができる。

「壁頭」接合部および「周辺障壁」接合部に障壁をつくるのに使用されることに加えて、本発明の熱障壁および方法は、「貫通した」開口部、例えばケーブル、ダクト、パイプ、電線または電気パネルが存在する「環状」の空間を保護するのに非常に有利に使用することができる。本発明方法の一例では、開口部の中にケーブル、ダクト、パイプ、電線または電気パネルが存在し該開口部の内部で環状のまたは他の形の部分的に塞がれた空間が規定されているような開口部を建物構造物（例えば壁、床または天井材）の中につくり、該空間に熱障壁成形用のバッグを挿入し、該成形用のバッグの中に上記のような流動性をもった防火材料を導入する方法が提供される。次いでバッグを膨張させ、該開口部の内部を密封し、壁の両側、天井材または床の開口部に対する障壁をつくる。導管または電気パネルが周りの壁、天井又は床に物理的に接触していない場合、導管または電気パネルを取り囲む開口部の中の空間は完全に環状になり（即ちこの空間が導管を取り囲み）、例えば少なくとも１回導管の周りに成形用のバッグを巻き付けることによりこの環状の空間を充填することができる。導管がプラスティックのパイプであるかまたはプラスティックで被覆された電線またはケーブルである場合、成形用のバッグの中またはその外側にあるが導管を取り囲む部分に膨張材料を使用し、導管（例えばプラスティックのパイプ、ケーブルのジャケット）が火災の際に熔融した場合、膨張材料が熱の効果によって膨張し、熔融したプラスティックによって残された空間を充填するようにすることができる。

建物構造物の孔または接合部の隙間に装着した場合、本発明のその場で成形された熱障壁は該孔または接合部の隙間を取り囲む／規定する構造物の形にぴったりと一致する。接合アセンブリーに装着する場合、本発明の好適な熱障壁は，１９８８年７月３１日発行の「ＵＬ Ｓｔａｎｄａｒｄ ｆｏｒ Ｓａｆｅｔｙ ｆｏｒ Ｔｅｓｔｓ ｆｏｒ Ｆｉｒｅ Ｒｅｓｉｓｔａｎｃｅ ｏｆ Ｂｕｉｌｄｉｎｇ Ｊｏｉｎｔ Ｓｙｓｔｅｍｓ， ＵＬ ２０７９」第３版（Ｕｎｄｅｒｗｒｉｔｅｒｓ Ｌａｂｏｒａｔｏｒｉｅｓ，Ｉｎｃ．発行，米国イリノイ州、Ｎｏｒｔｈｂｒｏｏｋ）による火災耐久試験およびホース注水試験に合格することができると考えられる。この文献は引用により本明細書に包含される。ＵＬ２０７９に準拠した火災耐久試験は試験炉の中で接合アセンブリーの試料部分を露出する試験である。もっと正確に云えば、接合アセンブリーと炉の間に断熱ガスケットを用いて炉に対し接合部アセンブリーを密封する（ＵＬ２０７９）。代表的な接合アセンブリーは例えば壁（典型的には全体の厚さが２．５〜８インチまたはそれ以上）に見立てた金属の間柱のいずれの側にも１枚またはそれ以上の石膏板を有する壁頭接合部および天井材板（上記の通り）に見立てた屈曲した金属の板に装着された熱障壁であることができる。接合部の熱障壁の片側を標準的な時間−温度曲線（ＡＳＴＭ Ｅ１１９）に従って炉の熱に露出する。この時間−温度曲線は次のような特性をもっている。

０分において５０〜９０°Ｆ（１０〜３２℃）
５分において１０００°Ｆ（５３８℃）
１０分において１３００°Ｆ（７０４℃）
３０分において１５５０°Ｆ（８４３℃）
１時間において１７００°Ｆ（９２７℃）
２時間において１８５０°Ｆ（１０１０℃）
一つまたはそれ以上の熱電対を熱障壁の「冷たい」側（即ち炉に露出した側とは反対側にある接合部の露出していない側）に装着し、熱電対の温度を監視する。次に破壊が起こるまで試験を行う。破壊は、綿屑の詰め物（１００×１００×１９ｍｍ）を接合システムの目に見える亀裂または孔の上方においてその裂けた面から約２５ｍｍの所に３０秒間直接保持することにより検出することができる。この期間に綿が燃焼（白熱化または発焔）した場合、全体として破壊が起こったとする。別法においては熱電対の温度が試験開始温度よりも少なくとも３２５°Ｆだけ上昇した場合、破壊に達したと云われる。従って、本発明の例として挙げられる熱障壁（その場で、換言すれば接合部の隙間の中でつくられた熱障壁）は、ＵＬ２０７９による上記に要約した火災耐久試験に従って試験した場合、最低少なくとも６０分間、好ましくは少なくとも１２０分間破壊に耐える能力をもっている。

本発明の他の好適な例として挙げられる熱障壁は、ＵＬ２０７９に記載されたホース注水試験を行った場合、障壁の一体性を保持する能力をもっていなければならない。例えば、壁の頂上の接合システムに対し６０分以下の間上記の火災耐久試験を行い、その後次に１０分以内においてこの接合アセンブリーに対し２．５インチ（６４ｍｍ）のホースを通し、オリフィスの所で標準的なテーパーをもち、肩のない滑らかな孔のパターンをもった１−１／８インチ（２９ｍｍ）の放出端を装着した対応する大きさのＮａｔｉｏｎａｌ Ｓｔａｎｄａｒｄのプレイパイプ（ｐｌａｙｐｉｐｅ）を通して放出された水流をかける。水圧および注水の期間を下記表に示す。

従って、本発明の好適な熱障壁（接合部の隙間の中につくられたもの）は、上記の火災耐久試験を行った後に、ＵＬ ２０７９によるホース注水試験に合格しなければならない。換言すれば、本発明の熱障壁は、適用可能な１時間毎の火災評価時間（ｈｏｕｒｌｙ ｆｉｒｅ ｒａｔｉｎｇ ｔｉｍｅ）に関し、上記の表に示されるように、ホースからの水圧による接合部の隙間からの離脱に一定時間抵抗する能力を示さなければならない。ノズルが中心に向けられた場合その軸が接合システムの表面に対して垂直になるように配置されている時には、ノズルのオリフィスは接合システムの露出した表面の中心から２０フィート（６．１ｍ）の所にある。ノズルをこのような位置に置くことができない場合には、接合システムの中心に対する垂線から３０°以下の角度でしかずれていない線上にノズルを置かなければならない。このように配置した時には、接合システムの中心からのその距離は該垂線からのずれがそれぞれ３０°を越える毎に１フィート（３０５ｍｍ）に等しい量だけ２０フィート（６．１ｍ）より短くすべきである（ＵＬ ２０７９）。

図１２〜１４は壁の頂上において屈曲した金属の天井材（図示せず）の下方に位置して装着された他の例となる成形用バッグ障壁アセンブリーの水平断面図である。

図１２に示されているように、成形用のバッグ３０はプラットフォーム片５０の上に或いはこれに接着して配置することができ、このプラットフォーム片は、バッグ３０が充填された場合バッグ３０が石膏の壁板１８の上および上方に亙って延び、壁板がバッグ３０に向かって上方に膨張（熱的な反復過程により）する空間が得られるようにバッグ３０を支える働きをする。プラットフォーム片５０は任意のかたい材料、例えばプラスティックの波板シート、好ましくはバッグの長さ方向に関して垂直に並んだ波形をもったシートからつくることができる。従って本発明の他の例となる方法は、水平のトラックを天井材に取り付ける前に、細長いプラットフォーム片３０をこのトラックに取り付ける方法を含んでいる。該プラットフォーム片３０は片側または両側に接着層を有し、バッグ３０および／または水平のトラック部材１２を取り付けることができ、且つ装着中それが互いにまたトラック１２に対して適切な位置を取ることができるようにすることができる。

また図１２は成形用バッグ３０の下方部分３０（または耳の部分）と石膏の板１８との間で障壁の密封を確保するために密封用のリボン５２を使用することを示している。これらの密封用のリボン５２は細長い材料と接着層とを有するテープからつくられ、リボン５２をバッグ３０の下方部分３３および石膏板１８と緊密に接着させることができる。これらのリボン５２は熱および煙が板１８、水平のトラック部材１２、プラットフォーム片５０および／または成形用バッグ３０の間の空間を通って侵入するのを防いでいる。リボン５２は上記のバッグ３０をつくるのに使用されたのと同じ種類の材料からつくることができる。リボン５２をバッグ３０および石膏板１８に取り付けるのに使用される接着剤は高温における劣化に耐えるように（例えば２００〜４２５°Ｆで粘稠になるが分解しないように）選ぶことが好ましい。リボン５２をバッグ３０の外側に向いた部分（即ち石膏板の面から遠い方へ向いたバッグの表面）に取り付ける場合、好ましくはバッグ３０および石膏板１８に取り付けた各点の間で折り目または余分の材料を用いて反復運動（壁および石膏板１８の）に合致させるようにしなければならない。このことは、リボン５２が石膏板１８に直接面したバッグの下方部分３３の表面の上に装着されている場合には、恐らく不必要であろう。別法として、バッグの下方部分３３と石膏板１８との間にエラストマー材料を噴霧し、同様な密封の目的を達成することができる。

従って本発明の他の例となる方法は、上記のように孔または接合部の隙間の中に障壁をつくり、さらにリボンをバッグおよび少なくとも一つの建物構造物、例えば該バッグに隣接した壁（石膏板）に取り付け、火および／または煙の侵入に対する障壁をつくることを含んでいる。

図１３に示されている他の具体化例においては、ライニング材のシート５４がバッグ３０とプラットフォーム片５０との間（例えば片５０の上に）に置かれ、下方へ覆いかぶさるようになっており、相対するライニング材のシートの縁５４Ａと５４Ｂが水平のトラック１２と石膏板１８との間にあるようにすることができる。ライニング材のシート５４は壁の頂上の所で熱および煙が侵入するのをさらに防ぐ機能をもっている。別法として図１４に示されているように、ライニング材のシート５４を水平のトラック１２とプラットフォーム片５０との間に置いて同じ目的を達成することができ、またこのライニング材のシートはプラットフォーム片５０を予めバッグ３０に取り付ける状況に適しているであろう。さらに他の具体化例においては、成形用のバッグ３０、プラットフォーム片５０およびライニング材のシート５４はそれらを互いに取り付けた後に、水平のトラック１２と併置させるかそれに取り付けることができる。

ライニング材のシート５４並びにプラットフォーム片５０は成形用のバッグ３０と同じ材料からつくることができる。さらに他の例の具体化例においては、これらのすべて（シート５４、片５０、およびバッグ３０）もまた炭素繊維、耐火性のセラミックス繊維、ガラス繊維、カルシウムシリカ繊維、鉱物質綿、箔で覆ったガラス繊維のシート、紙／ガラス繊維のシート、または同様な材料、好ましくは高温耐性をもった材料からつくることができる。

また本発明によれば、図１３および１４に例示されているような障壁アセンブリーが提供される。このような例の障壁アセンブリーは少なくとも１個の障壁成形用のバッグ３０および少なくとも１枚のライニング材のシート５４および／または少なくとも１個の支持片５０を含んで成っているであろう。さらに他の例となる障壁アセンブリーにおいては、ライニング材のシート５４は図１３に示されているようにバッグ３０および支持片５０の間において且つそれに対して予め取り付けることができるか、或いはさらに好ましくは支持片５０は図１４に示されているようにバッグ３０と支持片５０との間に予め取り付けることができる。随時使用される接着層（図示せず）を支持片５０および／またはライニング材のシート５４に予め取り付け、図１３および１４に示された例における障壁アセンブリーの加工または装着を容易にすることができる。

ライニング材のシート５４を使用する場合（例えば図１３および１４）、下方に垂れ下がった垂れ板３３（または「耳折れ（ｄｏｇ−ｅａｒ）部材」）を必要とせずに成形用のバッグ３０を使用し、乾式壁の板１８の頂上において水平のトラック１２と出会う所で接合部を保護することができる。しかし垂れ板または下方に向いた突起３３を使用しない場合には、乾式壁の板１８の頂上にある小さい隙間の中に鉱物質綿または他の保護材料を詰め込み、熱および火焔に対してさらに保護を行う（さらに板１８の反復運動を許す）ことが好ましいであろう。

本発明のさらに他の例として挙げられる成形用のバッグは図１５に示された断面図（横方向の）に示されている。成形用バッグ３０は上部のシート３０Ａおよび底部のシート３０Ｂを用いて構成される。上部のシート３０Ａは伸張した形で弾力性のある細片材料３５を縫合、接着、熔融接合、または他の方法でシート３０Ａに取り付け、折り目、襞、または皺をつくる（流動性をもった防火材料が導入される時にバッグ３０を膨らませるために）ことによってつくられることが好ましい。上部のシート３０Ａおよび底部のシート３０Ｂは、接着剤、縫合、熔融接合または他の公知の方法を用いて縁の継ぎ目の所で互いに接着することができる。

図１５に示されているように、内部膨張拘束構造物３１は流動性をもった防火材料がバッグの中に導入された際のバッグ３０の形を抑制するために使用される。図１６に示された部分的な透視図でもっとはっきりと判るように、例示された内部膨張拘束構造物３１は長手方向に延びた相対する平行の縁を有する材料の細片または「リボン」を含んでいることができ、これらの縁は底部のシート３０Ｂの材料に接着、熔接、縫合または他の方法で取り付けられている。流動性をもった防火材料がバッグの中に導入された場合、内部膨張拘束構造物３１により壁頭接合アセンブリーの中の水平のトラックを保護するために使用される下方に張り出した垂れ板３３または「耳折れ部材」の形を容易につくることができる。垂れ板３３の底部にはバッグ３０の中に流動性をもった防火材料を導入させるための弁３８が示されている。内部膨張拘束構造物３１はは好ましくは穿孔部をもっているか、或いは図１６にもっと明らかに示されているような大きな開口部３１Ｂ（例えば１〜３ｃｍ）をもち、流動性をもった防火材料が垂れ板部分３３から成形用のバッグ３０の残りの部分へと流れ込むことができなければならない。

例として挙げられるさらに他の具体化例においては、内部膨張拘束構造物３１の開口部３１Ｂの間にある部分の大きさは、或る圧力に達したら（流動性をもった防火材料がバッグ３０に導入されることにより）裂けるか破れるように選ぶことができる。換言すれば、内部膨張拘束構造物３１の開口部３１Ｂの間にある部分および該構造物３１が底部のシート３０Ｂに接触している継ぎ目の部分または取り付けられた部分は、バッグの内部が予め定められた圧力に達したら破れるかまたは引き離されるような大きさまたは壁厚をもつように選ぶことができる。即ち、例えば本発明の他の例として挙げられるバッグおよび方法においては、バッグが十分に充填された時点（例えば内部膨張拘束構造物３１の壁が破裂した時点）を聴覚的および／または視覚的に示すバッグ構造物が提供される。内部膨張拘束構造物３１がプラスティックからつくられている場合、高い圧力に達した時（即ちバッグが十分に充填された時）成形用のバッグは視覚的および聴覚的な指示の両方を与えることができる。何故ならば、内部膨張拘束構造物３１の一部が大きな「はじける音」即ち破裂音を発生し、次いで内部膨張拘束構造物３１が裂けるか破裂した場所の所でバッグは恐らく膨らみを生じるからである。

本発明のさらに他の例となる方法においては、成形用のバッグが膨張して接合部の隙間または空洞が十分に充填された時を示す装置を使用することができる。例えば壁頭接合部の隙間では、成形用のバッグが十分膨張して屈曲した天井材の中の隙間の空間を十分に満たし終ったか否かを知ることが特に望ましい。バッグに注入を行う際に梯子を使わずにこれを確かめる一つの方法は、指示用の光または音響的なブザーが作動し、バッグが接合部の空洞を充填したことを示すように成形用のバッグが膨張することによって物理的に接触する電気スイッチを屈曲した天井材の隅に植え込む方法である。この電気スイッチは２本の電線を含んでおり、これは最初は離されて保持されているが、膨張したバッグが電線に力をかけて電線を十分に互いに接触させた時に互いに動いて接触し電気回路を閉じるようになっていることができる。

他の例となる具体化例においては、成形用のバッグの上部３０Ａおよび底部３０Ｂのシートの部分は、バッグの端の所で、互いに一緒に直接には縫合されておらず、その代わりにバッグの端の所においてバッグの容積を膨張させることができる一つまたはそれ以上の折り目または襞を有する適当な端壁の部分に縫合されている。この特徴は、バッグの端が屈曲した金属の床面の空洞（即ち上部の天井材部分と壁の頂上との間につくられる空洞）にある場合に有利であり、バッグが空洞の中の他のバッグの端と接触している場合は特にそうである。従って、本発明の例として挙げられる障壁成形用のバッグは第２の主要なシートに取り付けられた第１の主要なシートを具備し、該障壁バッグは該第１および第２の主要なシートがそれぞれ少なくとも一つの襞または多数の皺を有する端壁に取り付けられ、該障壁成形用のバッグを該少なくとも一つの端の所で膨張させることができるようになっている。

図１７は本発明の方法および障壁アセンブリーの一例の断面図であり、この場合成形用のバッグ３０はＵ字形のトラック１３の中に位置し、このトラックは屈曲した金属の天井材に圧し付けられて位置している。Ｕ字形によって屈曲した金属の天井材（１６）の上部の面１０Ａに対してバッグ３０の膨張が制限され、防火材料３２は天井材の底部表面１０Ｂの下方を流れることができ、バッグ３０と壁板１８との間における妨害が防がれる。Ｕ字形のトラック１３およびトラック１４は一緒になってＨ字形をつくっている。

上記の説明および例は例示の目的で与えられたものであり、特許請求の範囲記載の本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の好適な実施の態様は次のとおりである。
１．防火障壁成形用バッグにおいて、該バッグは
透明なプラスティックフィルムからつくられた第１の面、透明なプラスティックフィルムからつくられた第２の面を含んでなり、該第１および第２のプラスティックフィルムの面は周辺の相対する縁および相対する端の周りで互いに連結されており、これによって幅の寸法を超える長さの寸法によって規定された一般的に細長い管状の胴部をもつバッグの囲いを規定しており、
該バッグの該第１の面は、該一般的に細長い管状の胴体に沿って延び該長手方向の寸法に関して垂直に配置された多数の襞または皺を有し、該第１の面はさらに該バッグが流動性をもった防火材料で充填された場合空気を抜き取るための多数の孔または溝を具備し、また
該バッグの該第２の面は流動性をもった防火材料を該バッグの中に導入する少なくとも一つの入口弁を有し、また該少なくとも一つの入口弁に対しこれを弾力的にずらして閉じた位置にする少なくとも一つの垂れ板部材を有し、該垂れ板部材は該バッグの中に防火材料を導入させ該入口弁を密封するように動作することを特徴とする防火障壁成形用バッグ。
２．該面が一つの端壁に取り付けられている少なくとも一つの端を有し、該端壁は該少なくとも一つの端壁の所で該バッグを膨張させる少なくとも一つの襞または多数の皺を有していることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
３．さらに防火材料を有することを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
４．該防火材料はボルトランド・セメント、石膏、またはそれらの混合物であることを特徴とする上記３記載の防火障壁成形用バッグ。
５．該防火材料はさらに沈降促進剤、沈降遅延剤、減水剤、超可塑剤、流動性増強剤、レオロジー変性剤、空気捕捉剤、顔料または着色料、凝集体、繊維、レオペクティツク剤、表面活性剤、抗菌剤、またはこれらの混合物から選ばれる少なくとも１種の混合物を含んで成ることを特徴とする上記４記載の防火障壁成形用バッグ。
６．該防火材料は膨張材料を含んで成ることを特徴とする上記３記載の防火障壁成形用バッグ。
７．該防火材料は超吸収性の重合体、乾燥剤、水和したシリカゲルまたはそれらの混合物を含んで成ることを特徴とする上記３記載の防火障壁成形用バッグ。
８．該バッグは透明なプラスティック・フィルムからつくられていることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
９．該防火材料は硬化させられており、ＵＬ２０７９で試験した場合少なくとも６０分の火災耐久性をもっていることを特徴とする上記３記載の障壁成形用バッグ。
１０．硬化した防火材料を含む該成形用のバッグは、ＵＬ２０７９に従って下記表

に示される少なくとも一つの１時間毎の火災評価時間においてホース注水試験を行った場合、破壊を避け得る硬化した防火材料を含んでいることを特徴とする上記３記載の防火障壁成形用バッグ。
１１．屈曲した金属の天井材と金属の間柱アセンブリーとの間にある壁頭接合部に位置していることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１２．トラックの内部に位置していることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１３．硬化したボルトランド・セメント、石膏、またはそれらの混合物を含んでいることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１４．該少なくとも一つの入口弁は該バッグの第２の面の相対する縁の間の中心に位置していることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１５．該バッグは多数の入口弁を含んでいることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１６．該バッグはトラックの中に位置していることを特徴とする上記１４記載の防火障壁成形用バッグ。
１７．該バッグは防火材料を含んでいることを特徴とする上記１記載の防火障壁成形用バッグ。
１８．該防火用バッグはさらに沈降促進剤、沈降遅延剤、減水剤、超可塑剤、流動性増強剤、レオロジー変性剤、空気捕捉剤、顔料または着色料、凝集体、繊維、レオペクティツク剤、表面活性剤、抗菌剤、またはこれらの混合物から選ばれる少なくとも１種の混合物を含んで成ることを特徴とする上記１３記載の防火障壁成形用バッグ。
１９．上記１記載のバッグを天井、床、または壁の間の建築構造物の空隙または接合部の中に挿入し、流動性をもった防火材料を上記１記載のバッグの中に導入することを特徴とする防火用の障壁をつくる方法。
２０．該防火障壁成形用バッグは屈曲した金属の天井材と壁の頂部との間に位置していることを特徴とする上記１９記載の方法。

従来法の「壁頭」接合アセンブリーの透視図。 図１の他の透視図（従来法）。 本発明の一例として挙げられる障壁の図。 本発明の一例として挙げられる襞をもった障壁成形用バッグの構成成分の図。 本発明の他の例として挙げられる流動性をもった防火材料を導入するための入口を有する障壁成形用のバッグの図。 本発明の成形用のバッグの中に流動性をもった防火材料を導入するための入口の一例の部分図。 成形用のバッグの中に流動性をもった防火材料を導入するための管またはスリーブ状の入口の一例を示す部分図。 本発明の成形用のバッグに管スリーブ状の入口を取り付ける方法の一例の部分図。 「壁頭」の障壁アセンブリーの一例の図。 壁と床との間の接合部の隙間の中に装着された本発明の障壁の他の例の図。 本発明の障壁の他の例の図。 本発明の方法および障壁の他の例の図。 本発明の成形用のバッグの他の例を示す図。 本発明の障壁バッグ・アセンブリーの他の例の断面図。

Claims (5)

1. 防火障壁成形用バッグにおいて、該バッグは
   プラスティックフィルムからつくられた第１の面、プラスティックフィルムからつくられた第２の面を含んでなり、該第１および第２のプラスティックフィルムの面は周辺の相対する縁および相対する端の周りで互いに連結されており、これによって幅の寸法を超える長さの寸法によって規定された一般的に細長い管状の胴部をもつバッグの囲いを規定しており、
   該バッグの該第１の面は、該一般的に細長い管状の胴体に沿って延び該長手方向の寸法に関して垂直に配置された多数の襞または皺を有し、該第１の面はさらに該バッグが流動性をもった防火材料で充填された場合空気を抜き取るための多数の孔または溝を具備し、また
   該バッグの該第２の面は流動性をもった防火材料を該バッグの中に導入する少なくとも一つの入口弁を有し、また該少なくとも一つの入口弁に対しこれを弾力的にずらして閉じた位置にする少なくとも一つの垂れ板部材を有し、該垂れ板部材は該バッグの中に防火材料を導入させ該入口弁を密封するように動作することを特徴とする防火障壁成形用バッグ。
2. 該面が一つの端壁に取り付けられている少なくとも一つの端を有し、該端壁は該少なくとも一つの端壁の所で該バッグを膨張させる少なくとも一つの襞または多数の皺を有していることを特徴とする請求項１記載の防火障壁成形用バッグ。
3. さらに防火材料を有することを特徴とする請求項１記載の防火障壁成形用バッグ。
4. 該少なくとも一つの入口弁は該バッグの第２の面の相対する縁の間の中心に位置していることを特徴とする請求項１記載の防火障壁成形用バッグ。
5. 請求項１記載のバッグを天井、床、または壁の間の建築構造物の空隙または接合部の中に挿入し、流動性をもった防火材料を請求項１記載のバッグの中に導入することを特徴とする防火用の障壁をつくる方法。

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