JP4046410B2 - 建造物屋上の防水改修方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は建造物屋上の防水改修方法に関する。更に詳しくは施工が簡単で、かつ厳しい環境条件でも優れた防水性、遮光遮熱性を発揮する建造物屋上の防水改修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルやマンション等の屋上漏水は極めて重大な問題である。屋内の漏水個所と屋上の漏水個所は一対一に対応せずに離れていることが多く、屋上の漏水個所を特定することは非常に困難である。従って、漏水の改修工事においては屋上全体の防水工事を行う必要がある。
【0003】
従来、屋上の防水改修方法としてはウレタン塗料やガラス繊維強化ポリエステル樹脂を塗布する方法、またアスファルトシート、ブチル・EPTゴムシートやポリ塩化ビニルシートを貼り付ける方法等がある。しかしながらウレタン塗料やポリエステル樹脂を塗布する方法では塗料の調整から塗布に至る作業が煩雑、作業者の熟練が必要、工期が長い、塗料の臭気があり作業環境上好ましくない等の欠点がある。一方、アスファルトシートを貼り付ける方法は経時的にオイル分が抜け防水性が低下し、また伸び縮みが激しく凹凸となる。ゴムシートやポリ塩化ビニルシートを貼り付ける方法は、作業は比較的容易ではあるものの、屋上面との接着性が弱い、シートとシートのジョイント部から剥離したり雨水が滲み込む、ポリ塩化ビニルシートの場合は浮かし工法が多く破断した場合全面に雨水がまわる等の欠点がある。
さらにこれらの工法は、施工後の建造物の遮光・遮熱性に関しては全くと言っていいほど考慮がなされていない。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明の目的は建造物屋上の防水改修用の防水シートを提供することである。本発明の他の目的は、この防水シートを用いた施行が容易な建造物屋上の防水改修方法を提供することである。本発明の他の目的はシートのジョイント部や端部からの雨水の滲み込みが殆どないような建造物屋上の防水改修方法を提供することである。本発明の更に他の目的は施工後の建造物の遮光・遮熱性が優れた建造物屋上の防水改修方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、特定の積層構成のアルミニウム箔ラミネートシートを用いることにより上記課題を解決しうることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明はフッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔、補強フィルム及び粘着剤層が積層された建造物屋上の改修用防水シート、建造物屋上に、当該防水シートをフッ素樹脂フィルムを上面にして貼り付けることを特徴とする建造物屋上の防水改修方法、及び建造物屋上に、当該防水シートをフッ素樹脂フィルムを上面にして貼り付け、ついで該シート端部をフッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔、補強フィルム及び粘着剤層が積層された目地テープを貼り付けて覆うことを特徴とする建造物屋上の防水改修方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面で説明する。
図1は本発明の防水シートの構成を示した図である。図1において、1は本発明の防水シートであり、2はフッ素樹脂フィルム、3はアルミニウム箔、4は補強フィルム、5は粘着剤層、6は離型材である。
2のフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が例示でき、ポリビニルフルオライドが好ましい。フッ素樹脂フィルムの厚さに特に制限はないが、通常10〜50μmである。
【0007】
3のアルミニウム箔としては硬質、軟質いずれでもよい。厚さも特に制限はないが、通常7〜100μmである。
4の補強フイルムとしては例えばポリエチレンフィルム、ボリプロピレンフイルム、ポリエステルフィム等の樹脂フイルム、不織布等が使用される。その厚さに特に制限はないが通常7〜100μmである
5の粘着剤としては建造物屋上のコンクリート等やモルタル等に粘着性を有するものであればよく、例えばブチルゴムに必要に応じ軟化剤、粘着付与剤、充填剤等を配合した非加硫ブチルゴム系粘着剤が使用できる。粘着剤層の厚さは特に制限はないが通常0.1〜1.2mmである。
6の離型材は通常は紙で、使用直前に粘着剤層から剥がして用いる。
防水シート全体の厚さは離型材を除き1.0mm以上であることがJISで定められている。
【0008】
上記、防水シートは公知の方法に従って製造できる。例えばフッ素樹脂フイルム、アルミニウム箔及び補強フイルムをドライラミネートして3層の積層材をつくり、別にカレンダーロール等で粘着剤を離型材に塗布し、前記3層積層材と貼り合わせることにより製造できる。
【0009】
本発明に用いる目地テープはフッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔、補強フィルム、粘着剤層、離型材により構成されるある。フッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔および補強フィルムは前記防水シートの場合と同様である。粘着剤は補強フイルムのフッ素樹脂に対する粘着性を有するものであればよく、例えばアクリル系粘着剤が使用できる。粘着剤層の厚さは特に制限はないが通常0.01〜1.2mmである。離型材は通常紙である。
目地テープはドライラミネート、エクストルーションラミネート等の公知の方法に従って製造できる。
【0010】
次に本発明の改修方法について説明する。
ビル、マンション、アパート、倉庫、一般住宅等の各種建造物の屋上は通常、コンクリート、モルタル、スレート、防水層等がむき出しとなっている場合が多く、本発明の方法はこれらの場合に好適であるが、それ以外でも適用可能である。
図2は本発明に従い改修したビル等の屋上の断面を模式的に表した図である。図2において、11は屋上の平面部、12は屋上端部の立ち上がり部、1は防水シート、13は目地テープ、14は防水シートを抑えるためのアングル、15はコーキングである。
【0011】
改修に当たっては、予め屋上表面を清掃し、クラックや欠損部があるときはこれをシーリング材や樹脂モルタル等で補修しておく。対象となる屋上が既に1回以上改修を施し防水層があるときは、この旧防水層を剥離しておいてもよいが、本件発明の防水シートは軽量故建造物本体への負担が少ないので、特に剥離しなくても問題ない。表面はできるだけ段差等が生じないように平滑にしておくことが望ましい。表面はできるだけ乾燥しておくことが好ましく、含水率8重量%以下が特に好ましい。
【0012】
次に、好ましくは屋上表面にプライマーを塗布する。プライマーとしては本技術分野で通常用いられるプライマー、例えばウレタン系プライマーを使用できる。プライマーは通常0.15〜0.2kg/m2塗布するが、これに限定されるものではない。
【0013】
プライマーが十分に乾燥したら、この上に本発明の防水シート1を貼り付ける。貼り付けは離型材を徐々に剥がしつつ、シートの中央部から端部に向かって空気を押し出すようにしてローラー等で均一に強く押しつつ行うとよい。この際、極力ごみ、異物、しわ、気泡が混入しないようにする。防水シートと防水シートのつなぎ目部分は、両者の端部が接するようにしてもよいが、図2に示すように一方の端部16が他方の端部17に重なるようにして貼り付けるのが好ましい。つなぎ目部分はその上に目地テープ13を剥離剤を剥がして貼り付け、防水シートの端部が露出しないようにする。このようにすることによりシートのジョイント部や端部からの雨水の滲み込みが殆どないようになる。さらに目地テープの端部にエッジシーラーを塗布すると目地テープのアルミニウム箔とフッ素樹脂フィルムや補強フィルムとの経時による剥離に対する抵抗性が強まり、好ましい。エッジシーラーとしては例えばアクリル系樹脂等のコーキング材が使用できる。
【0014】
屋上の立ち上がり部12においては防水シートの上端部18はその上に目地テープを貼り付けてもよいが、図2に示すようにアルミニウム等のアングル材14で押さえつけ、アングルと防水シートと立ち上がり部の接点はシリコン等でコーキング15を施すとより一層耐久性が増す。
また、平面部のみ改修して立ち上がり部について改修しないような場合、あるいは立ち上がりの1部の面のみを改修するような場合は、各端末部はコーキング処理をしたり、アルミニウム等のアングル材でとめるのが好ましい。。
【0015】
【実施例】
以下に本発明を実施例で説明する。
実施例1
補強フイルムとしてポリエチレン不織布、粘着剤としてブチル系粘着剤を用いた本発明の防水シートを製造し、その性能を測定した。
その結果を表1に示した。また接合引張性能、劣化処理後の接合引張性能の結果を表2に示した。
【0016】
測定は以下の方法によった。
熱変化量は、中央部分に100mmの標線を付けた試験体を恒温槽に静置し、−20、20、80℃の環境下で標線間距離を測定し、20℃を基準にして−20、80℃のときの変化量を算出した。
寒熱繰り返しは、試験体を温度80℃に15.5時間静置、20℃に0.5時間、−30℃に7.5時間、20℃に0.5時間、40℃に15.5時間、20℃に0.5時間、−30℃に7.5時間、20℃に0.5時間静置の操作を5サイクル行い、試験前後の寸法変化量を測定し、外観観察を行った。
他の測定は、JIS A6008に従った。
試験体数は各3点とし、その平均をとった。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
実施例2
実施例1と同様の防水シートをスレート屋根葺き材に貼り付け、JIS A5759に従い、日射反射率を測定したところ、防水シートを貼り付けた場合は77.8%、スレート単体の場合は36.4%であった。このデータを基に、東京地方の6〜9月の気象データを用いて、屋根面からの侵入熱量のシミレーション計算を行った。
その結果、防水シートを貼り付けた場合は23.3Mcal/m2、スレート単体の場合は63.4Mcal/m2であった。
【0020】
【発明の効果】
本発明の防水シートを用いると、極めてが容易に建造物屋上の防水改修を行うことができ、しかもシートのジョイント部や端部からの雨水の滲み込みが殆ど生じない。また、上記実施例から明らかなように、防水性、耐久性、遮光・遮熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水シートの構成を示した図である。
【図2】本発明に従い改修したビル等の屋上の断面を模式的に表した図である。
【符号の説明】
1 防水シート
2 フッ素樹脂フィルム
3 アルミニウム箔
4 補強フィルム
5 粘着剤層
6 離型材
11 屋上平面部
12 屋上立ち上がり部
13 目地テープ
14 アングル
15 コーキング
Claims (3)
- フッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔、補強フィルム及び粘着剤層がこの順序で積層された建造物屋上の改修用防水シート。
- 建造物屋上に、請求項1の防水シートをフッ素樹脂フィルムを上面にして貼り付けることを特徴とする建造物屋上の防水改修方法。
- 建造物屋上に、請求項1の防水シートをフッ素樹脂フィルムを上面にして貼り付け、ついで該シート端部をフッ素樹脂フィルム、アルミニウム箔、補強フィルム及び粘着剤層が積層された目地テープを貼り付けて覆うことを特徴とする建造物屋上の防水改修方法。
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JP13612498A JP4046410B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 建造物屋上の防水改修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13612498A JP4046410B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 建造物屋上の防水改修方法 |
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JPH11310999A JPH11310999A (ja) | 1999-11-09 |
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JP13612498A Expired - Lifetime JP4046410B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 建造物屋上の防水改修方法 |
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