JP4044972B2 - ヒト粥状硬化病巣関連抗原を認識するモノクローナル抗体 - Google Patents

ヒト粥状硬化病巣関連抗原を認識するモノクローナル抗体 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヒト動脈硬化病巣を特異認識するモノクローナル抗体、特にそのうち粥状硬化病巣に出現する抗原FOH1を特異認識する抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】
動脈硬化症は大動脈、冠状動脈、脳動脈及び脈動脈などの筋型動脈に多く発生し、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの主因となる疾患である。その原因として血清コレステロールの上昇、血小板凝集、内皮傷害などが提唱されているが、その成因はほとんど解析されていないのが現状である。
【0003】
変性リポ蛋白の一つである酸化リポタンパク質と粥状硬化病巣の進展との関連性が、スタインバーグ(Steinberg) らにより指摘されて以来、動脈硬化の進展におけるリポタンパク質の酸化の問題は脚光を浴びるようになっている(例えば Steinberg,D., Parthasarathy,S., Carew,T.E., Khoo,J.C., and Witztum,J.L.,(1989) N. Engl. J. Med. 320:915 )。
【0004】
スカベンジャー受容体あるいは酸化LDL 受容体などを介して酸化LDL が細胞内に取り込まれることによって、泡沫細胞となり粥腫形成のイニシエーションが起こるという仮説、また酸化LDL が内皮細胞を傷害することで、血小板の粘着凝集や、白血球の集結、血漿成分の血管内への浸潤がおこり、これらが引き金になって、平滑筋細胞の遊走や増殖を引き起こすといった仮説が提唱されている。
【0005】
一方で、LDL 等の酸化により生成する物質が病巣に確かに蓄積しているかどうかについては、例えば1988年にハーバーランド(Haberland) 等がマロンジアルデヒドで修飾したLDL に対する抗体;抗MDA-LDL 抗体により動脈硬化病巣部が染色されることを示し(Herberland, M. E., Fong ,D., and Cheng, L., (1988) Science 241:215)、また1989年にイラ−ハーテュアラ(YLa-Herttuala) 等は、やはり抗MDA-apoB抗体によるイムノブロッテイング法により、病巣部から抽出されたアポB(apoB)を検索し、酸化変性を受けたLDL が確かに病巣部から抽出されたと報告している(Yla-Herttuala ,S., Parinski ,W., Rosenfeld, M. E., Parthasarathy, S., Carew, T. E., Butler, S., Witztum, J. L., and Steinberg, D., (1989) J. Clin. Invest. 84:1086)。しかしここで用いられた抗体はマロンジアルデヒドを用いて人工的に修飾したLDL を抗原として得られたものであるが、LDL の酸化生成物だけでなく他のタンパク質たとえばアルブミンなどの酸化されたものとも交叉反応を示すという性質を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
LDL などの酸化による変化が真に病巣形成に関与しているかを明らかにすること、またその場合どのような経路で進展に関与しているかを明らかにすることは、病態の診断と治療のための方法を確立する上で、現在最も重要な項目の一つといえるが、▲1▼病巣に蓄積している酸化リポタンパク質の実体は何か、▲2▼どのような酸化反応が病巣進展に関わっているのか、▲3▼酸化LDL 以外の酸化脂質または蛋白は存在するのか否か等のことを明確にするためには、病巣内でLDL などの酸化反応にともなって出現する特定の構造的変化を特異的に認識する抗体が必要とされるのであり、前述のような特異性が十分でない抗体では困難であり、また、該抗体を診断や治療の手段として利用するためにも特異性が充分でないといわざるを得ない。
【0007】
この問題を解決し、特異性の高い抗体を取得するための鍵は実際にヒト病巣においてLDL などの酸化反応により生成したものを抗原として抗体を取得することであるが、これまでにヒト病巣部からこのような抗原だけを単離し、これに対する抗体を取得することは行われてこなかった。
【0008】
本発明は、新規なモノクローナル抗体を提供することを目的とするものである。本発明はまた、ヒト粥状硬化病巣関連抗原を特異的に認識する抗体を提供することを目的とする。本発明はさらに、動脈硬化症の診断、治療の上で有用なモノクローナル抗体を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(受託番号 FERM BP−7171)によって産生され、1位の脂肪酸組成が16:0であり2位の脂肪酸組成が18:2であるホスファチジルコリン0.4mM、第1鉄イオン40μM、アスコルビン酸0.4mM、BSA1μg/nmolホスファチジルコリンを含むリン酸緩衝生理食塩水を37℃で3時間反応して得られる酸化されたホスファチジルコリンと免疫反応性を有するDLH3モノクローナル抗体によって達成される。本発明はまた、酸化LDL及び酸化HDLには反応し、マロンジアルデヒド化LDL、アセチル化LDL、未変性のLDL、酸化アルブミン及び酸化グロブリンに反応しない、マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(受託番号 FERM BP−7171)によって産生されるDLH3モノクローナル抗体である。更に、本発明は、本発明のDLH3モノクローナル抗体を産生するマウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(受託番号 FERM BP−7171)である。本発明はまた、本発明のDLH3モノクローナル抗体を含む動脈硬化の診断用試薬である。
【0011】
【作用】
本発明者らは、モノクローナル抗体法の取得技術を活用することで本発明に示す抗体の取得に成功したものである。すなわち、ヒト粥状硬化病巣をホモジナイズして得られる粥腫ホモジネートをそのまま抗原として適当な哺乳動物を免疫し、該動物の抗体産生リンパ球とミエローマ細胞を融合させて抗ヒト粥腫抗体産生融合細胞を単離し、該細胞のなかから、人工的に酸化させたヒトLDL と特異的に反応する抗体を産生している細胞を選別する方法により、目的とする抗体を得ることに成功した。
【0012】
粥状硬化病巣のホモジネートを用いて免疫した動物のリンパ球からハイブリドーマを作製すれば、大量に得られるハイブリドーマのなかに、粥状硬化病巣に特異的に発現する抗原を認識する抗体を産生する細胞が得られることは木村らによりすでに報告されている(Kimura, J., Nakagami, K., Amanuma, K., Ohkuma, S., Yosida, Y., and Takano, T.,(1986) Virchows Arch A 410:159)。従って、病巣部においてLDL が酸化変性を受けているとすれば、得られるハイブリドーマのなかに粥腫巣においてLDL などの酸化により生成する抗原を認識する抗体を産生する細胞を含むことが期待される。
【0013】
これらのハイブリドーマのなかから、粥腫巣に実在するLDL などの酸化生成物を認識する抗体を産生している細胞だけを分離するために、本発明の発明者らは、粥状硬化病巣のホモジネートを用いて得られた大量のハイブリドーマを人工的にLDL を酸化させて得られた物質群との反応性にもとづいて選別することを繰り返したところ、そのなかに非常に希少な成功例として抗原FOH1を認識する抗体を産生するハイブリドーマを得、本発明に至った。
【0014】
従来の技術では、動物を感作するときも、得られたハイブリドーマをスクリーニングするときも、人工的にLDL を修飾させたものを抗原性物質として用いていたが、本発明は、病巣部に実在する物質群で感作し、一方でリポタンパクの人工的な酸化修飾により生成した物質群でスクリーニングするという異種の抗原物質群を組み合わせることにより、両物質群の共通項として、病巣においてLDL などの酸化により生成する抗原に特異性の高い抗体を取得できることを示したものであり、本方法が粥状硬化病巣関連抗原を認識する抗体を取得する方法として有力なものであることが明らかとなった。
【0015】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
本発明は、ヒト動脈硬化病巣を特異認識するモノクローナル抗体、特にそのうち粥状硬化病巣に出現する抗原FOH1を特異認識する抗体に関する。
図2に示したように、この抗原FOH1を認識するモノクローナル抗体DLH3は、LDL を銅イオンを用いて人工的に酸化したLDL に反応するが、未変性のLDL には反応せず、また図3に示したように、他の方法(たとえばマロンジアルデヒド化や、アセチル化など)でLDL を修飾したものにも反応しない。また他の血清蛋白質たとえばアルブミンやグロブリンを酸化させたものにも反応しない。しかし、LDL とは異なるリポ蛋白質である高比重リポ蛋白質(HDL )を酸化したものには反応する。
【0016】
図4には、この抗原FOH1の発現には、リポタンパク質の構成成分のうち、特にリン脂質が酸化されることが必須であることが示されている。また図5には本抗原の発現には何らかの蛋白質の共存が必要であることも示されている。ただし、この結果は、少なくとも抗原の発現を後述する実施例1の方法によるELISA 活性により検出する場合にはという限定の基で理解されるべきである。なぜなら本抗原の特異性は共存する蛋白の種類によらないことから、蛋白成分の共存はこの抗原が単にプラスチックウェルへの抗原の吸着に必要なだけである可能性が残されているためである。
以上に示された抗原FOH1の特性は、この抗原がリン脂質をその必須構成要素として含む生体成分および/または組織が酸化されたときに生成しうるものであることを示しておりLDL などのリポタンパク質はそのような生体成分の一つであるがすべてであることはいうまでもない。
【0017】
本抗原が粥状硬化病巣の中に特異的に生成したものであることは、病巣部ホモジネートを出発物質として検索されたことからも明らかであるが、図6、7に示すように免疫組織化学的検定によっても病巣内に実在することが証明された。
しかも該検定により、本抗原は、粥状硬化病巣に存在する泡沫細胞内に特異的に存在していることが示されており、細胞の酸化LDL の取り込みと泡沫化という粥状硬化症の最も特徴的な病態の進展ときわめて強い関連を持っていることが期待され、単なる診断用のツールとしてだけでなく泡沫細胞の生成とその防止法の開発のための評価系として、治療薬の開発の面でもきわめて有効なツールとなることが期待される。
【0018】
なお、この前記抗原FOH1を人工的に生成させるためのLDL の処理条件としては、次のようなものが考えられる。すなわち、ヒト正常血清から、例えば遠心沈降法などによりLDL 分画を得、この分画を必要により透析、脱塩によって精製処理した後、蛋白濃度0.1〜1mg/ml、より好ましくは0.2mg/ml、CuSO4 濃度2.5〜25μM、より好ましくは5μMの割合で、LDL 分画にCuSO4 を添加し、約37℃の下に、3〜24時間反応させるものである。
【0019】
本発明に係る抗原FOH1を特異認識するモノクローナル抗体は、一般的な細胞融合法に基づき次のような手法により得られるハイブリドーマセルラインにより産生される。
ハイブリドーマ作成に用いられる動物種としては、特に限定されるものではなく、従来使用されているマウス、ラット、ハムスター等が使用可能であるが、特に入手および取扱いの容易性からBalb/cマウスが好ましく、主にこれらの動物の脾細胞が用いられる。また、ヒトのリンパ節細胞や末梢リンパ球を用いることもできる。
【0020】
本発明において、これらの動物に対する免疫用の抗原は、ヒト粥状硬化病巣より調製される。例えば、動脈硬化症患者の死亡直後における剖検あるいはバイパス手術等において取出された病変血管を入手し、この病変血管から粥状硬化病巣を含む血管部を切出し、緩衝液中で血管外膜部を剥離除去した後、病巣の内膜と中膜部(intima and media) をホモジナイザーを用いて冷却下、好ましくは氷冷下にホモジナイズし、静置後得られる上清を抗原液とする。さらに必要に応じて、静置後に遠心処理を行ない、得られたペレットに緩衝液を加えて同様の操作を行ない、得られる上清を前の上清と合せて抗原液とすることもできる。このようにして調製された抗原液は、例えばアルゴン等の不活性ガスで置換の後、使用直前まで凍結保存することが望ましい。
【0021】
次いで、このようにして調製されたヒト粥状硬化病巣のホモジェネートからなる抗原を、所定蛋白(抗原)濃度として、前記したような動物種に免疫する。なおこの際、必要に応じて、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント等のアジュバントを添加してもよい。
投与量は、動物種によって左右されるが、マウスの場合、初回免疫で2.0〜60μg(蛋白)/匹、より好ましくは40μg(蛋白)/匹程度である。
さらに、初回免疫の後、例えば、2週間および4週間程度の間隔で、初回免疫と同量ないしそれ以下の蛋白量で、追加免疫を行なうことが望ましい。
【0022】
最終免疫の後、2〜3日後に免疫動物から採血し、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay) 法、イムノブロット法等の検定法により、血清抗体価上昇の確認を行ない、抗体価上昇の認められた免疫動物をスクリーニングする。
スクリーニングされた免疫動物から脾細胞、あるいはリンパ節などから抗体産生細胞を採取し、約37℃に加温したRPMI培地、DMEM培地等の維持培地で洗浄、懸濁し、生細胞数を計測する。
【0023】
一方、HGPRT(hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transferase) 欠損株の腫瘍細胞を、胎児ウシ血清(FCS)添加RPMI培地、FCS添加DMEM培地等の増殖培地において増殖させ、対数増殖期になるように培養しておく。なお、HGPRT 欠損株の腫瘍細胞としては、例えば、P3/X63-Ag8(X63) (カッコ内は略名 以下同じ)、P3/NSI-1-Ag4-1(NS-1)、P3/X63-Ag8.U1(P3/U1)、Sp2/O-Ag14(Sp2/O) 、FO、210.RCY3.Ag 1.2.3.(Y3)、U-266AR1(SKO-007) 、LICR-LON-HMy2(HMy2) 、8226AR/NIP4-1(NP41)などの公知の腫瘍細胞を、使用する動物種に応じて用いることができる。対数増殖期にある腫瘍細胞を、前記抗体産生細胞の細胞数に対して腫瘍細胞の細胞数が1:1〜1:10となるように調整し、約37℃に加温したRPMI培地、DEME培地等の維持培地で洗浄して細胞融合を阻害するFCS 成分を除去する。
【0024】
そして、細胞数を調整された抗体産生細胞と腫瘍細胞を、例えばガラスチューブ等の容器内で混和し、遠心してペレットを得、上清をなるべく除去する。なお、この操作を含めて以下の操作は、20〜37℃、より好ましくは約37℃の温度条件下で行なうことが望ましい。
【0025】
次いで、得られたペレットに対して、0〜37℃、より好ましくは約37℃に加温された細胞凝集性媒体を、ペレットをほぐしながら、ゆっくりと添加する。細胞凝集性媒体としては、ポリエチレングリコール(PEG)、リゾレシチン、グリセロールオレイン酸エステルなどの化合物、あるいは不活化されたセンダイウィルス(HVJ)、麻疹ウィルス、ニューカッスル病ウィルス等のパラミクソウィルスなどが使用可能であるが、このうち特にPEG が好ましい。PEG を使用する場合には、例えば、RPMI培地、DMEM培地等で、その平均分子量にもよるがPEG4000 の場合は45〜50重量%程度の濃度に希釈して用いることが望ましい。
【0026】
細胞凝集性媒体の添加後、さらに1〜2分間程度攪拌した後、RPMI培地等の維持培地を、2〜3回に別けてゆっくりと添加する。
その後、PEG 等の細胞凝集性媒体を除去するため、例えば800〜1200×g、3〜5分間という弱い条件で遠心し、上清を除去する。
【0027】
続いて、得られたペレットをほぐしながら、FCS 添加HAT 培地等の選択培地を、脾臓細胞濃度が1×106 〜1×107 細胞/mlとなるように、ゆっくりと添加し、96穴プレートのような多穴プレートの各ウェルに分注し、温度約37℃、CO2 濃度約7%、湿度100%の条件下で培養する。なお、培養期間中、細胞の状態にもよるが、2〜3日程度の間隔で、液替えを行なう。なお、培地条件としては、上記に例示したようなものに限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、最初にFCS 添加RPMI培地等の増殖培地をペレットに添加し、培養開始後、選択培地を各ウェルに添加するといった態様とすること等も可能である。
【0028】
融合しなかった細胞は、3日目あたりから急速に死滅しはじめ、7日程度で完全に死滅する。一方、融合に成功した細胞、すなわち、ハイブリドーマはこのころよりコロニーを形成しはじめる。ハイブリドーマコロニーの形成が認められたウェルより次に述べるようなスクリーンニングを開始し、必要に応じて24穴プレート等のより大きなプレートに継代していく。
【0029】
スクリーニングは、RIA法、ELISA法、イムノブロット法等によって行なうことができるが、このうち好ましくはELISA法である。抗原としては、上記したようにCuSO4 と3時間以上反応させることにより得られた酸化LDL を使用する。必要に応じて、未変性のLDL を併用してもよい。各アッセイ法に基づき、ハイブリドーマコロニーの形成が認められたウェルから採取した培養上清を、スクリーニングし、酸化LDL との反応で陽性(かつ未変性LDL との反応で陰性)となる細胞株を選択する。
【0030】
そして、スクリーニングで陽性となったウェルから直ちにクローニングを行なう。クローニングは、限界希釈法(limiting dilution) 、単個細胞マニピュレーション法(single cell manipulation)などを用いて行なうことができるが、限界希釈法の方が技術的に容易であるため好ましい。
クローニングした細胞が再び増殖してきたら、上記と同様にしてスクリーニングを行ない、再度クローニングを繰り返し、未変性LDL とは反応せず、酸化LDL とのみ反応する高産生細胞株を同定する。
【0031】
なお、得られたハイブリドーマの保存法としては、特に限定されるものではないが、例えば、凍結保存用のバイアルになるべく多くの細胞、例えば1×107 〜2×107 個程度を、90%FCS 、10%ジメチルスルフォキシド(DMSO)1〜2ml程度に懸濁して、液体窒素中に凍結保存する方法が適当である。
【0032】
本発明者らは、Balb/cマウスを用いて上記したような細胞融合操作により、未変性のLDL とは反応せず、酸化LDL とのみ反応する6株種の抗体(DLH1 〜DLH6)を得た。これらのうち、DLH1,2,4,5,6は、酸化LDL の他、マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)、アセチル化LDL(AcLDL)とも反応するが、DLH3は、酸化LDL の他は酸化HDL とのみ反応するのみであり、特に好ましいモノクローナル抗体である。このDLH3を産生するマウス−マウス ハイブリドーマセルライン FOH1a/DLH3は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託し、受託番号FERM P-14153を付与され、さらに、平成12年5月26日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所において、当該原寄託よりブダペスト条約に基づく寄託(国際寄託)への移管手続がなされ、FERM BP−7171号の受託番号が付与された。
【0033】
前記したように、粥状硬化病巣関連抗原FOH1を認識するモノクローナル抗体産生細胞 FOH1a/DLH3が産生する抗体DLH3は、酸化LDL 及び酸化HDL を認識する。また本抗体は粥状硬化病巣内の泡沫細胞を特異認識する。この抗体が粥状硬化症の診断用のツールとして、また治療薬開発のためのツールとしてもきわめて有用なものとなることが期待されることは、本抗体の認識する抗原の性格から明らかである。
【0034】
本発明の粥状硬化病巣関連抗原の検出法は、試料を上記したようなFOH1抗原を認識する抗体と接触させ、該抗体の該試料に対する反応性を測定することを特徴とするものである。この検出法は、in vitro(生体外)において行なうことができるのは当然のことながら、in vivo (生体内)において診断的に用いることも可能である。
すなわち、FOH1抗原は粥状硬化病巣部にのみ特異発現しているため、本抗原を認識する抗体、例えば、モノクローナル抗体産生細胞 FOH1a/DLH3が産生する抗体DLH3を放射性同位元素等で標識したものを、静脈内に投与することにより、病巣の部位や大きさ、またその中での泡沫細胞の出現頻度などを検出することができる。このため、本検定法の生体内的適用は、有効な動脈硬化の診断法として期待できるものである。
【0035】
【実施例】
次に、実施例および試験例を示して本発明をより具体的に説明する。
実施例1
(1)抗原の調製
死後4時間以内に剖検して入手したヒト胸部大動脈を用いて免疫用の抗原を調製した。同血管には、径約2cm のこぶ状に盛り上がったアテロームが観察され、黄色の脂質の沈着も認められたので、このアテロームの部分を含む血管を切り出し、0.25M ショ糖、 1mM エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) 、0.1 %エタノール、2 %グリセロール及び1 μg/ml ペプスタチンA/アンチパインを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.4 )中にて血管の外膜部を剥離し、病巣の内膜と中膜部(intima and media) をとり、眼科用ハサミで5 mm角に細断後、ポリトロンホモジナイザーを用いて氷冷下ホモジナイズした。0 ℃にて10分放置後2000rpm にて5 分遠心した。このペレットにアルゴン置換した150mM NaCl、2 %グリセロール、1 μg/ml ペプスタチンA/ロイペプチン/アンチパイン、1mM フェニルメタンスルフォニルフルオリド(PMSF)を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.4 )を加え再度同様に操作し、前の上清とあわせて抗原液とした。
得られた抗原液は、バイオラッド、プロテインアッセイキットによるタンパク定量で、2.3 μg/μl のタンパク濃度であった。抗原液はアルゴン置換して凍結保存した。
【0036】
(2)モノクローナル抗体の作製
8 週齢Balb/c雌のマウス1 匹あたり40μg の抗原を300 μl のエマルジョンにして皮下注射した。エマルジョンは、抗原液にフロイント完全アジュバントとリン酸緩衝生理食塩水(PBS )を加え、超音波ホモジナイザー1 分処理して調製し使用した。14日後20μg 抗原/150 μl エマルジョン、さらに14日後10μg 抗原/150 μエマルジョンを調製し皮下注射した。最終免疫7 日後に眼底採血を行ないELISA で抗体価を調べ抗体価の上昇しているマウスを選択し、脾臓を取り出し細胞融合を行なった。
【0037】
2 匹のマウスをエーテル麻酔し、心臓採血を行ないその血清を保存した。採血後頚椎剥離し、全身を70%エタノールで滅菌後クリーンベンチ内へ運び開腹し、非働化FCS 38.5ml、10% NCTC109培地(FLOW) 50ml 、×200 グルタミン 2.5ml, 抗生物質(ベンジルペニシリンカリウム700mg とストレプトマイシン1gを100ml に溶解)5ml を含むRPMI1640培地(RPMI1640(+) )を満たしたシャーレに脾臓を取り出した。余分の結合組織を眼科用ハサミで取り除いたのち、別のやはりRPMI1640(+) を満たしたシャーレに移し、眼科用ハサミで3 〜4 個に切断し、ピンセットで脾臓を押しながら脾臓細胞を分散させた。細胞浮遊液をステンレスメッシュで瀘過し、1000rpm 5 分遠心し、ペレットを得た。再度RPMI1640(+) の20mlに懸濁し生細胞数を計測した。脾臓細胞に対しマウスミエローマ細胞株P3/U1 が5:1 になるように細胞数を合わせて、50mlの遠心管に入れ、1000rpm 5 分遠心しペレットを得た。上清をなるべく除去した後、細胞塊をほぐし、50%のポリエチレングリコールを含むRPMI1640培地1ml を1 分間かけてピペットで撹拌しながら加えた。
【0038】
さらにピペットで1 分撹拌したのち、RPMI1640培地 2mlを2 分、7 mlを2 〜3 分かけて加え、800rpmで5 分遠心した後、上清を除去し、10%のハイブリドーマクローニングファクター(HCF)を含むHAT 培地(ヒポキサンチン100 μM 、チミジン16μM 、アメトプテリン 4μM )及び、抗生物質溶液 5ml、オキザロ酢酸 3.3mg、インスリン 25 Units 、非働化FCS 75ml、NCTC109 45ml、×10 非必須アミノ酸(NEAA)5ml 、100mM ピルビン酸ナトリウム5ml をDMEM Gln(+)500mlに加えて調製する)に懸濁した。
【0039】
脾臓細胞の濃度が4〜5×105 細胞/mlになるように培地を加え、96穴プレート(Falcon #3072)に100 μl ずつ分注し、CO2 インキュベーター(37℃、CO2 7 %)培養した。
3 日毎に、50μl のHAT 培地を合計3 回添加した。ハイブリドーマコロニーの形成が認められたウェル(well)よりスクリーニングを開始し、必要に応じて24穴プレートに継代していった。
【0040】
(3)特異抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
<酸化LDLの調製>
正常人血清20〜30mlに、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA-2Na)を加え、最終濃度を1 mMとした。これに、NaBrを加え、比重1.000 に合わせる。遠心チューブに分注し、そのうえにNaBrで、比重1.15、1.063 、1.019 及び1.006 にあわせた緩衝液を順に重層し、これを4 ℃で 120,000×G 24時間遠心した。上端から順に分画し、各画分の比重を屈折計で測定し、比重1.019 〜1.063 の画分をLDL 分画として採取した。LDL 分画は、採取後直ちに、0.25mM EDTA を含む PBS に透析した。
【0041】
透析後のLDL 分画をセファデックスG25(Sephadex G25) を用いて脱塩し、蛋白濃度200 μg/ml、5 μM のCuSO4 の条件下で、37℃で0 〜24時間反応させた。反応を250 μM のEDTAを添加して止め、アガロースゲル電気泳動、SDS ポリアクリルアミド電気泳動、TBA 値により評価した。反応時間の増大と共に、アガロース電気泳動上では陽極側へ泳動され、SDS-PAGE上ではアポBのバンドが消失し低分子側に広がり酸化反応によるアポBの分解を認めた。また、TBA 価は3 時間迄は急激に増大し、最大50nmol/mg (蛋白)を越える値を示したがその後緩やかに減少し、2次分解の進行を示唆した。結果を図1に示す。
【0042】
<抗酸化LDL 抗体のスクリーニング>
3 または24時間反応させた酸化LDL 、及び未変性 LDLをそれぞれ抗原とし、10μg/mlの濃度でPBS で希釈し、 ELISA用マイクロプレート(FALCON #3912)に4 ℃で1晩放置しコーティングした。トリス緩衝生理食塩水(TBS )+0.05%トゥイーン20(Tween20)で1回洗浄後、TBS +2 %スキムミルクで室温2 時間ブロッキングを行ない、ハイブリドーマ培養上清をかけ4 ℃で1晩放置した。TBS +0.05%Tween20 で3回洗浄後、TBS +2 %スキムミルクで5000倍に希釈した2次抗体( アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗マウス IgG+M;TAGO Cat.No.6550)を室温2 時間反応させた。TBS +0.05%Tween20 で3回洗浄後、50mMTris-HCl pH8.8で1回洗浄し、基質液( 1mg/ml p−ニトロフェニルリン酸(PNPP)/基質緩衝液(ジエタノールアミン緩衝液 pH9.8 ))を加え、37℃で反応させた。OD405nm をELISA リーダーにて測定した。
3回の融合実験で得られたコロニー約2000個についてスクリーニングを行った。1次スクリーニングで、82個の陽性株を得た。
【0043】
(4)ハイブリドーマのクローニングと抗酸化LDL 抗体産生株の確立
さらにこれらの株についてクローニングを行った。ハイブリドーマの生細胞数を計測し、5 % HCF入りのHY培地(抗生物質溶液 5ml、オキザロ酢酸3.3mg 、インスリン25 Units、非働化FCS 75ml、10% NCTC109培地 45ml 、×10 NEAA 5ml 、 100mMピルビン酸ナトリウム 5mlをDMEM Gln(+)(FLOW)500mlに加えて調製する)で10個/ml 程度の濃度まで希釈し、96穴プレートに1 ウェルあたり1 個、3 個、5 個となるように分注した。1 週間から10日後、形成してくるコロニーを数え、1 ウェルあたり1 個ないしは2 〜3 個のウェルの培養上清の抗体活性をELISA にてスクリーニングした。
その結果、未変性 LDL(Native LDL)とは反応せず、酸化LDL(OxLDL)とのみ反応する株6種(DLH1 〜DLH6) を得た。これらの株は、いずれもCu2+で3 時間以上反応させた酸化LDL を強く認識した。(図2)
実施例2
実施例1で得られた抗酸化LDL 抗体DLH1〜DLH6について、酸化HDL 、HDL 、VLDL、マロンジアルデヒド修飾ウシ血清アルブミン(MDA-BSA)、ウシ血清アルブミン(BSA) 、アセチル化LDL(AcLDL)、MDA-LDL 、及び酸化時間を変えた酸化LDL (酸化時間0.5 、3 および24時間、OxLDL0.5、OxLDL3、OxLDL24 と略す。)との反応性をELISA 法により比較した(ここでマロンジアルデヒド修飾及びアセチル化はそれぞれ以下のような方法により行った。マロンジアルデヒド修飾:LDL あるいはBSA の約0.5mg/mlの0.1Mのリン酸緩衝液pH6.5 溶液1ml にMDA 溶液(マロンジアルデヒドビスジメチルアセタール1Mを0.1N塩酸存在下に100 ℃で5 分加熱し加水分解したもの)10μl を加え、37℃で3 時間反応させ反応後0.25mM EDTA を含むPBS に0 ℃で透析する。アセチル化:LDL あるいはBSA の約1mg/ml溶液1ml に飽和酢酸ナトリウム1ml を加え0 ℃で攪拌する。無水酢酸2 μl を加えさらに0 ℃で50分間攪拌後0.25mM EDTA を含むPBS に0 ℃で透析する。)。DLH1,2,4,5,6は、酸化LDL の他、AcLDL,MDA-LDL とも反応することが確認されたが、DLH3は酸化LDL の他は酸化HDL とのみ反応することがわかり、これら抗体の認識するエピトープが異なっていることが示唆された。得られた結果を図3(a)〜(f)に示す。
【0044】
実施例3
実施例2に示されたように抗体DLH3はLDL 、HDL の両リポタンパクの酸化生成物と特異的に反応する。したがってその認識する抗原FOH1は両リポタンパク質に共通の成分に由来することが期待される。そこで両リポタンパクに共通する成分である脂質の酸化反応により本抗原が発現するかを確認するため以下の実験を行った。
【0045】
LDL から、ブライとダイヤーの方法(Bligh, E. A. and Dyer, W. J. (1959) Can. J. Biochem. Physiol. 37, 911-917) で抽出した脂質画分 (LDL Lipids) 、コレステロールエステル(CholE) 、トリグリセリド(TG)、リン脂質としてホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)、特にそのうち卵黄由来のリン脂質(egg PC 、egg PE) に加えて、PCについては脂肪酸組成が飽和型の16:0、または18:0をその1位に不飽和型の18:1、18:2、及び20:4をその2位に持つ合成リン脂質(16:0-18:1 PC 、16:0-18:2 PC、及び18:0-20:4 PC) 、及び生体膜の構成成分であるスフィンゴミエリン(brain SM)について、その各々をリン酸緩衝生理食塩水(PBS) に2mM の濃度で分散させ、これに硫酸第1鉄、アスコルビン酸、及び牛血清アルブミン(BSA)を含む水溶液を加えて、最終濃度として脂質0.4mM 、第1鉄イオン40μM 、アスコルビン酸0.4mM 、BSA 1 μg/nmol lipidの反応溶液を調整した。対照として同じ溶液から硫酸第1鉄だけを除いた液を調整した。両溶液を37℃で3 時間反応させた後96穴のマイクロタイタープレートに加え、以下実施例1に記載の方法によりDLH3抗体を用いて抗原の生成を試験した。この結果を図4に示した。抗原は全て脂質としてホスファチジルコリンを含む場合にのみ生成することが確認された。
【0046】
またこの反応溶液からBSA を除いた液について同じく37℃で3 時間反応させたもの、これにさらにBSA を添加し30分経過後のものをそれぞれ同様の方法で抗原の生成を試験した。図5にこの結果を示したが、本試験によれば、少なくともFOH1抗原の発現を実施例1に記載のELISA 法により検定する場合、リン脂質の他に何らかの蛋白成分の共存が必要なことを示している。
【0047】
実施例4
実施例1で得られた抗体DLH3を用いて抗原FOH1の粥状硬化病巣内での局在性を検討した。ヒト脳動脈、冠状動脈、胸部大動脈、腹部大動脈(下腸間膜動脈分岐部)、腎動脈をとり、ホルマリンあるいはメタノール・カルノア液(メタノール・クロロホルム・酢酸=6・3・1)で固定を行った。常法に従いパラフィン包埋後、薄切した。
薄切した切片を脱パラフィンし水洗後、PBS で洗浄し、0.3 %過酸化水素メタノール溶液に室温で30分処理し、内在性のペルオキシダーゼをブロックした。PBS で5 分ずつ2 回洗浄後、PBS で10倍に希釈した正常ウサギ血清で室温1 時間湿潤箱で非特異的吸着をブロッキングした後、PBS で希釈したDLH3抗体をかけ、室温2 時間反応させた。PBS で5 分ずつ3 回洗浄後、PBS で500 倍に希釈したビオチン化抗マウス抗体(DAKO;E354) をかけ、室温1 時間反応させた。PBS で5 分ずつ3 回洗浄後、PBS で700 倍に希釈したパーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(DAKO;p397)をかけ、室温1 時間反応させた。PBS で5 分ずつ2 回洗浄後、0.2 % ジアミノベンジジン(DAB) 溶液中で発色させた。顕微鏡観察下反応を流水中にて停止させ、ヘマトキシリン溶液に数秒入れ、流水中で色出し、脱水、透徹、封入した。
隣接切片を定法によりヘマトキシリンエオジン(HE)染色して、その特異性を比較した。
【0048】
図6〜図7に、抗体DLH3の染色性を示した。剖検により得られた80才男性の左冠状動脈回旋枝に形成された粥状硬化病巣であり、図6はそのHE染色像である。中央部に脂質を蓄積した跡が空胞化して観察される細胞群いわゆる泡沫細胞の集積が認められる。図7は、その隣接切片に対するDLH3抗体による染色像で、DLH3の認識するエピトープが、この泡沫細胞の中に特異的に存在することが明らかである。また血管腔に接触している内皮細胞の一部とその直下の細胞にも染色性が認められ、これらの細胞が酸化LDL を取り込んでいる可能性を示唆している。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、ヒト粥状硬化病巣に出現する抗原FOH1を特異認識するモノクローナル抗体であり、粥状硬化症の診断用手段として、また治療薬開発のための手段としてもきわめて有用なものとなることが期待されるものである。
さらに、前記モノクロナール抗体が、ヒト粥状硬化病巣のホモジネートで適当な哺乳動物及び/または哺乳動物の抗体産生担当リンパ球を免疫し、該動物の抗体産生リンパ球とミエローマ細胞を融合させ、形成された抗ヒト粥腫抗体産生融合細胞群を単離し、該細胞群のなかから酸化したヒトリポタンパク質と特異的に反応するものとして選別された融合細胞が産生するものである、さらには、ハイブリドーマセルライン FOH1a/DLH3が産生するものであると、より有効でかつ信頼性の高い手段となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトLDL の銅イオンによる酸化における経過時間とTBA値との関係を示すグラフ、
【図2】 本発明の実施例において得られたモノクローナル抗体(DLH1〜DLH6) の酸化LDL および未変性LDL との反応性を示すグラフ、
【図3】 (a)〜(f)はそれぞれ、実施例において得られたモノクローナル抗体(DLH1〜DLH6) の各種蛋白ないしその誘導体との反応性を示すグラフ、
【図4】 各種脂質を酸化させたものに対する抗体DLH3の反応性を示す図、
【図5】 リン脂質の酸化による抗原FOH1の生成を実施例1記載のELISA 法により評価するときの共存蛋白質の必要性を示す図、
【図6】 粥状硬化病巣部のHE染色像(組織写真)、
【図7】 図6における病巣部の隣接切片に対する抗体DLH3の染色性を示す免疫染色像(組織写真)。

Claims (4)

  1. マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(受託番号 FERM BP−7171)によって産生され、1位の脂肪酸組成が16:0であり2位の脂肪酸組成が18:2であるホスファチジルコリン0.4mM、第1鉄イオン40μM、アスコルビン酸0.4mM、BSA1μg/nmolホスファチジルコリンを含むリン酸緩衝生理食塩水を37℃で3時間反応して得られる酸化されたホスファチジルコリンと免疫反応性を有するDLH3モノクローナル抗体。
  2. DLH3モノクローナル抗体が酸化LDL及び酸化HDLには反応し、マロンジアルデヒド化LDL、アセチル化LDL、未変性のLDL、酸化アルブミン及び酸化グロブリンに反応しないものである請求項1記載のDLH3モノクローナル抗体。
  3. 請求項1または2に記載のDLH3モノクローナル抗体を産生するマウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(受託番号 FERM BP−7171)。
  4. 請求項1または2に記載のDLH3モノクローナル抗体を含む動脈硬化の診断用試薬。
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