JP4575692B2 - Lox−1診断用薬剤 - Google Patents

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本発明は、酸化LDL受容体の1種であるLOX−1を標的分子とする放射性薬剤であって、酸化LDL受容体の血管集積の程度を測定するために有用な診断剤に関する。
あらゆる組織及び血中に存在する種々形態のコレステロール(遊離型、長鎖脂肪酸型、及びエステル型)は、主に肝臓での生合成に由来する。肝臓で生合成された遊離型コレステロールは、超低密度リポ蛋白(VLDL)に取り込まれ、血中でリポ蛋白リパーゼ(LPL)及び肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)の作用により、中間密度リポ蛋白(IDL)を経た後、低密度リポ蛋白(LDL;Low-Density Lipoprotein)へと代謝される。LDLは、血管内皮細胞などの細胞による作用、種々の化学的・物理的な要因、あるいは熱などの種々の要因により酸化変性を受けると、酸化LDL(Oxidized LDL)と呼ばれる変性LDLになる。血流中には十分量の抗酸化物質があるため、もともと血流中には酸化LDLが生じにくくはあるが、例え生じた場合であっても、それらのほとんどは肝臓で代謝される。
一方、血管内皮下及び血管壁でも、血管内皮細胞やマクロファージなどの細胞依存性化学変性や、Fe3+などの作用による細胞非依存性化学変性により酸化LDLが生ずるが、血流中での生成の場合と異なり、血管内皮下及び血管壁で生じた酸化LDLは、マクロファージの細胞内に蓄積されることとなる。酸化LDLはマクロファ−ジ上の酸化LDL受容体を介して取り込まれ、これを泡沫細胞化するとともに種々の催炎症性変化を惹起して粥状動脈硬化の主な原因となる。
酸化LDL受容体の1つであるLOX−1(Lectin-like oxidized LDL receptor-1)が動脈硬化プラークで発現していることが明らかとなっており、マクロファージのプラークへの集積に関与していると思われる。酸化LDLはLOX−1を介して動脈硬化プラークの線維性皮膜の平滑筋細胞と細胞外基質を減少させ、プラークの脆弱化と破綻を誘導することが推測される。動脈硬化プラークの不安定化による破綻とそれに伴う血栓形成は、心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性疾患の主要な原因とされている。
そこで、酸化LDL受容体に対する抗体を用いて、炎症や動脈硬化などの種々の疾患を予防、治療するための薬剤や、酸化LDLにより発現変動する動脈硬化発症に関わる遺伝子を抑制する化合物、及びその化合物を含有する動脈硬化を予防、治療するための薬剤が報告されている(特許文献1、2)。
しかしながら、動脈硬化プラークの不安定性を診断することは、臨床上非常に重要であるが、その診断法は確立されていない。また、LOX−1による酸化LDLの定量が報告されている(特許文献3)が、動脈硬化プラークの性状を直接に診断するものではなく、臨床診断としての有用性は少ない。
特開2000−109435号公報 特開2003−274956号公報 特開2002−17353号公報
そこで本発明者らは、動脈硬化プラークの不安定性を評価できる核医学イメージング薬剤の開発を目的とし、その不安定化に深く関与することが報告されている酸化LDL受容体LOX−1を標的分子とする薬剤を提供することを目的とした。
この目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、抗LOX−1抗体を放射性核種で標識することにより、該化合物によって生体内のLOX−1を検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、放射性核種で標識された抗LOX−1抗体を有効成分として含有するLOX−1診断用薬剤が提供される。
本発明のLOX−1診断用薬剤は、血管壁に存在するLOX−1を含むマクロファージや、動脈硬化プラークの不安定化に関与するLOX−1に集積するため、生体内に投与し、放射性核種の放射能を測定することにより、プラークの不安定性の診断や動脈硬化症の診断を行うことができる。
以下、本発明のLOX−1診断用薬剤について更に詳しく説明する。
本発明のLOX−1診断用薬剤は、放射性核種で標識された抗LOX−1抗体(すなわちLOX−1に対する抗体)を有効成分として含む。抗LOX−1抗体としては、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の何れも使用可能であるが、LOX−1への選択的な放射能送達という点から、モノクローナル抗体を使用することが好ましい。モノクローナル抗体としては、例えば、ウサギ、ウシ、ヒト、ラット、マウス等の哺乳動物に由来するLOX−1に対するモノクローナル抗体が使用できる。
また、本明細書において、「抗体」は抗体フラグメントも包含する。抗体フラグメントは、特定の金属キレートや放射性核種に対し結合親和性を示す。抗体フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab´、F(ab´)、Fv、aAbなどが挙げられる。
LOX−1に対するモノクローナル抗体は、例えば、マウスをウサギLOX−1で免疫し、脾細胞を取り出し、これとマウスミエローマ細胞とを融合して得たハイブリドーマ細胞を培養することにより製造することができる。また、免疫する際に、LOX−1の代わりにLOX−1のエピトープを含むポリペプチド断片を用いてもよい。かかるポリペプチドは、合成品であっても、当該ポリペプチド断片に対応する遺伝子を発現させて分離生成されたものであってもよい。
このハイブリドーマの製造は、例えばKohlerとMilsteinの方法〔Nature 256:495(1975)〕等に従い、下記のように行うことができる。
(1) 抗体産生細胞の調製:免疫用マウスには、例えば、BALB/C系マウス、C57BL/6系マウス、C3H系マウス等を用いることができ、好ましくはBALB/C系マウスを用いる。免疫マウス1匹(8〜12週齢)に対してLOX−1または上記ポリペプチド断片50〜100μgの量を抗原として2〜3週間ごとに2〜3回接種して免疫を行う。マウスの飼育及び脾細胞の採取は常法に従って行うことができる。尚、免疫の際には、LOX−1や上記ポリペプチド断片に例えばフロイントアジュバント等を融合させ、得られた蛋白質を抗原として用いることもできる。
(2) ミエローマ細胞の調製:ミエローマ細胞としては、例えば、P3X63Ag8U.1、Sp2/0-Ag14(Sp2)、P3/NS1/1-Ag4-1(NS-1) 等が挙げられ、これら細胞の継代培養は常法に従って行うことができる。
(3) 細胞融合:脾細胞とミエローマ細胞とを1:1〜10:1の割合で混合し、分子量1000〜4000のポリエチレングリコール(以下PEGという)、ダルベッコ改変イーグル培地中、両細胞を30〜40℃の条件下で、1〜3分間インキュベートすることにより細胞融合を行うことができる。
(4) ハイブリドーマの選択:融合細胞(ハイブリドーマ)の選択は、ヒポキサンチン(10-3〜10-5M)、アミノプテリン(10-6〜10-7M)、チミジン(10-5〜10-6M)、ペニシリン(100〜200単位/ml)、牛胎児血清(10〜20%)、ストレプトマイシン(100〜200μg/ml)、2−メルカプトエタノール(10-5〜10-6M)を含む基礎培地を用いて培養し、生育してくる細胞をハイブリドーマとして選択することができる。基礎培地としては、例えば、動物細胞の培養に一般に用いられるRPMI1640培地、イーグルMEM培地、イスコフ改変ダルベッコ培地等が用いられ、RPMI1640培地を用いるのが好ましい。
(5) ハイブリドーマの培養:ハイブリドーマのクローン化は、限界希釈法により、少なくとも2回繰り返して行う。ハイブリドーマを通常の動物細胞の培養と同様にして培養すれば、培地中に抗体が産生される。通常、5〜10×105個/mlのハイブリドーマ細胞を、例えば、牛胎児血清(10%)、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、2−メルカプトエタノール(5×10-5M)を含むRPMI1640培地中で5%CO2存在下、37℃で、3〜4日間培養することによって培養液中に抗体が分泌、蓄積される。また、ハイブリドーマ細胞をBALB/C系マウスなどの腹腔内に移植して増殖することにより、腹水中に本発明の抗体を蓄積させることもできる。
(6) モノクローナル抗体の精製:ハイブリドーマ細胞の培養液中又は腹水中に蓄積したモノクローナル抗体は以下のようにして採取され、精製される。即ち、従来から用いられている硫安分画法、PEG分画法、陰イオン交換クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーを用いる方法である。また、プロテインAやプロテインG等のアフィニティークロマトグラフィーによる方法も利用できる。
(7) モノクローナル抗体の選別:モノクローナル抗体の選別には、酵素免疫測定法、ウエスタンブロッティング法等が用いられる。また、モノクローナル抗体のIgGアイソタイプの決定は、モノクローナル抗体の酵素免疫測定法又はオクタロニー法によって行うことができる。
抗LOX−1抗体の標識に使用する放射性核種としては、特に限定されないが、例えば、放射性ヨウ素、放射性金属原子などが挙げられる。放射性金属原子としては、例えば、放射性インジウム、放射性テクネチウム、放射性レニウム、放射性ガリウムなどが挙げられる。具体的には、放射性ヨウ素としては123Iおよび131Iを、放射性インジウムとしては111Inを、放射性テクネチウムとしては99mTcを、放射性レニウムとしては186Reおよび188Reを、放射性ガリウムとしては67Gaおよび68Gaを例示することができる。
放射性ヨウ素を抗体に標識する方法としては、クロラミンT法、ヨードゲン法、NBS法などが挙げられ、いずれも抗体溶液に放射性のヨウ化ナトリウムを加えた後、酸化剤であるクロラミンT、ヨードゲン又はNBSを添加して標識する。放射性ヨウ素原子は、主に抗体のチロシン残基に付加(標識)される。通常90〜100%の標識率が得られるが、未反応のヨウ素やその他の不純物が問題になるときは、HPLCやディスポーザブルゲルカラム等を用いて精製を行う。
抗体の放射性インジウム標識は、あらかじめ抗体にジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のような二官能性キレート剤を結合させておき、未反応のDTPAを除いて精製し、放射性インジウムをキレートさせて標識する。反応混合液から未反応の遊離DTPAや抗体重合体をHPLCなどを用いて精製を行う。
放射性テクネチウムや放射性レニウムを抗体に標識する方法としては、前述した抗体に結合したDTPAのようなキレート剤に放射性テクネチウムや放射性レニウムをキレートさせる方法と、抗体を適当な還元剤で還元して抗体のジスルフィド(SS)結合を開裂させ、スルフヒドリル(SH)基を生成し、その生成したスルフヒドリル基を介して放射性テクネチウム又は放射性レニウムを抗体内に直接結合させる方法がある。還元剤としては、例えば、塩化第一スズ、ジチオスレイトール、アスコルビン酸などを例示することができる。
また、抗体に二官能性キレート剤である6−ヒドラジノピリジン−3−カルボキシル酸(HYNIC)を介して放射性金属原子をキレートさせてもよい。
HYNICを用いた場合、下記式(I)に示すように、HYNICのカルボキシル末端に抗体を結合し、ヒドラジノ末端に2つのコリガンドを用いて放射性金属原子を配位させる。
Figure 0004575692
(上記式(I)中、Yは抗LOX−1抗体の残基、Mは放射性金属原子、TおよびAはコリガンドを示す。)
式(1)の化合物において、T及びAはコリガンドとして機能する。コリガンドは、一方(T)をトリシンとし、もう一方(A)をトリシン、ピリジン誘導体またはホスフィン誘導体の何れか1つとすることが好ましい。ピリジン誘導体としては、ニコチン酸、アセチルピリジン、3−ピリジンスルホン酸、3,5−ジカルボン酸ピリジンなどが挙げられ、ホスフィン誘導体としては、トリフェニルホスフィン−3−モノスルホン酸ナトリウムなどのトリフェニルホスフィンが挙げられる。
式(1)の化合物は、例えば、以下の方法によって合成できる。まず、Boc−HYNIC−NHSを脱保護することによりHYNIC−NHSを合成する。そして、該HYNIC−NHSを抗LOX−1抗体溶液と反応させ、HYNIC−抗LOX−1抗体を得る。その後、トリシン(T)及びトリシン又はピリジン誘導体若しくはホスフィン誘導体(A)をコリガンドとして配位した放射性金属原子(M)を混和して標識させる。その後、HPLCなどを用いて精製を行う。
上記式(1)中、2つのコリガンド(A及びT)の何れもトリシンとした場合は、合成に加熱の必要がなく、タンパク質の変性を避けることができ、また、使用時に放射性金属と混合して使用できるキットを構成できるため好都合である。
かくして、本発明の好ましい実施形態によれば、下記の化学式(II)で示される抗LOX−1抗体と、トリシンを含有する試薬とを少なくとも備えてなる動脈硬化診断用キットが提供される。
Figure 0004575692
(上記式中、Yは抗LOX−1抗体の残基を示す。)
該キットは上記式(II)で示されるHYNIC−抗LOX−1抗体と、トリシンを含有する試薬とから構成される。該診断用キットを用いて、医師などは、診断直前にHYNIC−抗LOX−1抗体に放射性金属を標識させ、本発明のLOX−1診断用薬剤を作製することができる。その場合、LOX−1診断用薬剤の作製は、放射性金属を溶解した生理食塩水とトリシン含有試薬を混合させた後、上記HYNIC−抗LOX−1抗体を混和させ、室温で1時間程度反応させることにより行うことができる。
本発明のLOX−1診断用薬剤は、薬学的に許容可能な範囲内であれば、PH調整剤、界面活性剤、安定剤、その他各種添加剤を含有することができる。
本発明のLOX−1診断用薬剤は、例えば、静脈投与又は患部周囲に経皮投与することにより、診断剤として使用することができる。本発明に係る化合物を診断剤として用いる場合、その投与後における検出方法としては、用いた放射性核種の性質に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、放射性核種が放射性金属である場合は、SPECT又はPETといった画像診断法を用いることができる。
本発明のLOX−1診断用薬剤の投与量は、従来の診断剤と実質的に同様であり、例えば、99mTcで標識した化合物を用いた診断剤の投与量は、37MBq/kg〜1,850MBq/kg、好ましくは185MBq/kg〜740MBq/kg程度である。投与量は化合物の種類、使用する放射性核種の種類、患者の年齢、体重、症状、投与方法、他剤との併用等により適宜増減される。
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例になんら制限されるものではない。
なお、以下で用いる略号は下記のとおりである。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー、
SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動、
TLC:薄層クロマトグラフィー、
CAE:セルロースアセテート膜電気泳動、
HYNIC:6−ヒドラジノピリジン−3−カルボキシル酸、
anti-LOX-1:抗LOX-1抗体、
Tricine:トリシン、
PBS: リン酸緩衝溶液、
TFA:トリフルオロ酢酸、
DMF:ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimide)。
[ 99m Tc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine) 2 の合成
以下に示すように、上記式(I)においてMが99mTc 、A及びTが何れもトリシンである化合物、すなわち、 [99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2)を下記スキーム(Scheme)1〜3の工程1〜6に従って調製した。
Figure 0004575692
合成において用いた試薬および機器は下記のとおりである。
99mTc-過テクネチウム酸(99mTc-pertechnetate (99mTcO4 -))は99Mo-99mTcジェネレータより溶出した生理食塩水溶液を用いた。
抗体の精製において、カラムクロマトグラフィー法としてアマシャムバイオサイエンス株式会社製XK16/70column(商品名)及びMobiTec社製モビコール(商品名)を、ゲルとして、アマシャムバイオサイエンス株式会社製Sephadex G-50 Fine(商品名)を用いた。
抗体の限外濾過には、Amicon社製Diaflow system, 8MC型(商品名)を用いた。抗体の分析においてサイズ排除HPLCは、東ソー株式会社製TSKgelSuperSW2000(商品名)(4.6 x 300mm)、TSKguardcolumn SuperSW(商品名)(4.6 x 35mm)を用い、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸緩衝液(phosphate buffer) (pH6.8)を移動相として流速0.2mL/minで行った (保持時間(retention time), IgG(150kDa):12min)。
薄層クロマトグラフィー(TLC)はMerck社Art5553(商品名)を用い、アセトン又は生理食塩水を展開溶媒として分析した(アセトン,99mTcO4 -:Rf=1,99mTc(tricine)2:Rf=0/生理食塩水,IgG:Rf=0,99mTcO4 -:Rf=1,99mTc(tricine)2:Rf=1)。
セルロースアセテート膜電気泳動(CAE)は、富士写真フィルム社のSeparax-SP(商品名)を用い、0.1M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸二水素ナトリウム水溶液(sodium dihydrogenphosphate aq.)で90分間、0.8mA/cmで泳動した(anti-LOX-1:−極側へ1cm)。抗体のSDS-PAGEには、アトー株式会社製ラピダス・二連ミニスラブを用いた。
anti−LOX−1抗体の調製
ウサギの酸化LDL受容体のひとつであるLOX−1に対するモノクローナル抗体(anti-rabbit LOX-1 mouse monoclonal IgG)(anti-LOX-1,IgG)は、以下のようにして調製した。すなわち、ウサギLOX−1のN末端から数えて150〜171番目のアミノ酸配列に対応し配列(すなわち、配列番号1の配列EDWLWHGKNCYLFSSGSFNWES(各アルファベットはアミノ酸1文字コード))を有する合成ポリペプチドにフロイントアジュバントを融合させ、これを抗原としてBALB/C系マウスを免疫し、脾細胞を取り出した。これとマウスミエローマ細胞P3X63Ag8U.1とを融合して得たハイブリドーマ細胞をRPMI1640培地にて培養することによりanti-LOX-1,IgGを作製し、1.4mg/mL(PBS-)に精製した。anti-LOX-1,IgGを限外濾過法を用いて、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.15M ホウ酸緩衝液(borate buffer) (pH8.5)にバッファー交換を行い、5mg/mLの濃度に調製した。
HYNIC-anti-LOX-1 (5)の合成(Scheme1及び2)
Boc-HYNIC-NHS(3)を、Abramsら(J.Nucl.Med., 31,2022-2028 (1990))の方法に従い合成した(Scheme1)。Boc-HYNIC-NHS(3)10mgにTFA400μL、アニソール(anisole)20μLを加え、15分間攪拌し、その後N2ガスにてTFAを除去した。さらに残渣をエーテルで充分洗浄後、HYNIC-NHS(4)を得た。乾燥DMFに10mg/mLになるように溶解したHYNIC-NHS(4)10μLを、anti-LOX-1溶液1mLに攪拌しながら滴下し、遮光下室温で2時間穏やかに攪拌後、10mM クエン酸緩衝液(citrate buffer) (pH5.2)で平衡化したSephadex G-50 Fine(商品名)のカラムクロマトグラフィー法により分離・精製を行った。サイズ排除HPLC及びSDS-PAGEによりIgGとして確認後(retention time:12min)、HYNIC-anti-LOX-1(5)は600μg/mLになるように調製した。
[ 99m Tc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine) 2 (6)の合成(Scheme3)
10mM クエン酸緩衝液(citrate buffer) (pH5.2)に溶解したHYNIC-anti-LOX-1(5)溶液500μL(300μg/500μL)に、Larsenら(Bioconjugate Chem., 6,635-638 (1995))の方法2)に従い作製した99mTc(tricine)2 500μLを混和した。室温で1時間インキュベート後、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸緩衝液(phosphate buffer) (pH7.4)で平衡化させたSephadex G-50 Fine(商品名)を用いたスピンカラム法により精製し、[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2 (6)を得た。放射化学的純度はサイズ排除HPLC(retention time:12min)、生理食塩水を展開溶媒とするTLC(Rf=0)、CAE(−極へ1cm)により分析した。放射化学的収率30%、放射化学的純度90%以上で得られた。
体内動態及び血中クリアランスの測定
大動脈に動脈硬化が発生することが知られているWHHLMIウサギ5羽、及びコントロールウサギとしてnormal NZWウサギ3羽に、実施例1で得られた[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2 1mL(2〜3mCi)を耳静脈内投与し、経時的(1,2,3,6,24時間後)に耳静脈より採血し、24時間後に大動脈及び各臓器を摘出し、それぞれの重量と放射能を測定した。結果を表1〜3及び図1〜3に示す。
Figure 0004575692
Figure 0004575692
Figure 0004575692
[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2のウサギ体内分布をWHHLMIウサギ(WHHLMI rabbit)とコントロールウサギ(Control rabbit)とで比較検討したところ、表1及び図1からわかるとおり、投与24時間後における大動脈への放射能集積はWHHLMIウサギがコントロールウサギに比べ有意に高かった。従って、[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2は動脈硬化を誘導するLOX−1に集積し、動脈硬化プラークの存在を診断するのに有効であることがわかった。
また、表2、3及び図2、3からわかるとおり、その他の臓器への放射能集積及び、血液からのクリアランスに有意差はなかった。
コントロールウサギ(3羽)とWHHLMI ウサギ(5羽)における[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2注射24時間後の大動脈断片(大動脈全体(total aorta)、大動脈弓 (arch aorta)、胸大動脈 (thoracic aorta)、腹大動脈 (abdominal aorta))の放射能を示す。なお、縦軸は投与量1gに対する%を示す。 コントロールウサギ(3羽)における[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2静脈注射後の血液中の放射能含有量を示す。なお、縦軸は投与量1gに対する%を示し、横軸は時間を示す。 WHHLMIウサギ(5羽)における[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2静脈注射後の血液中の放射能含有量を示す。なお、縦軸は投与量1gに対する%を示し、横軸は時間を示す。

Claims (2)

  1. 放射性核種で標識された抗LOX−1抗体を有効成分として含有する動脈硬化診断用薬剤であって、放射性核種で標識された抗LOX−1抗体が、下記式(I)で示される化合物であり、抗LOX−1抗体が配列番号1のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体である、動脈硬化診断用薬剤。
    Figure 0004575692
    (上記式(I)中、Yは抗LOX−1抗体の残基、Mは放射性金属原子、TおよびAはコリガンドを示す。)
  2. 下記の化学式(II)で示される抗LOX−1抗体と、トリシンを含有する試薬とを少なくとも備えてなる動脈硬化診断用キットであって、抗LOX−1抗体が配列番号1のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体である動脈硬化診断用キット。
    Figure 0004575692
    (上記式中、Yは抗LOX−1抗体の残基を示す。)
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