JP4575692B2 - Lox−1診断用薬剤 - Google Patents
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かくして、本発明によれば、放射性核種で標識された抗LOX−1抗体を有効成分として含有するLOX−1診断用薬剤が提供される。
本発明のLOX−1診断用薬剤は、放射性核種で標識された抗LOX−1抗体(すなわちLOX−1に対する抗体)を有効成分として含む。抗LOX−1抗体としては、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の何れも使用可能であるが、LOX−1への選択的な放射能送達という点から、モノクローナル抗体を使用することが好ましい。モノクローナル抗体としては、例えば、ウサギ、ウシ、ヒト、ラット、マウス等の哺乳動物に由来するLOX−1に対するモノクローナル抗体が使用できる。
また、本明細書において、「抗体」は抗体フラグメントも包含する。抗体フラグメントは、特定の金属キレートや放射性核種に対し結合親和性を示す。抗体フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab´、F(ab´)2、Fv、aAbなどが挙げられる。
(1) 抗体産生細胞の調製:免疫用マウスには、例えば、BALB/C系マウス、C57BL/6系マウス、C3H系マウス等を用いることができ、好ましくはBALB/C系マウスを用いる。免疫マウス1匹(8〜12週齢)に対してLOX−1または上記ポリペプチド断片50〜100μgの量を抗原として2〜3週間ごとに2〜3回接種して免疫を行う。マウスの飼育及び脾細胞の採取は常法に従って行うことができる。尚、免疫の際には、LOX−1や上記ポリペプチド断片に例えばフロイントアジュバント等を融合させ、得られた蛋白質を抗原として用いることもできる。
(2) ミエローマ細胞の調製:ミエローマ細胞としては、例えば、P3X63Ag8U.1、Sp2/0-Ag14(Sp2)、P3/NS1/1-Ag4-1(NS-1) 等が挙げられ、これら細胞の継代培養は常法に従って行うことができる。
(3) 細胞融合:脾細胞とミエローマ細胞とを1:1〜10:1の割合で混合し、分子量1000〜4000のポリエチレングリコール(以下PEGという)、ダルベッコ改変イーグル培地中、両細胞を30〜40℃の条件下で、1〜3分間インキュベートすることにより細胞融合を行うことができる。
(5) ハイブリドーマの培養:ハイブリドーマのクローン化は、限界希釈法により、少なくとも2回繰り返して行う。ハイブリドーマを通常の動物細胞の培養と同様にして培養すれば、培地中に抗体が産生される。通常、5〜10×105個/mlのハイブリドーマ細胞を、例えば、牛胎児血清(10%)、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、2−メルカプトエタノール(5×10-5M)を含むRPMI1640培地中で5%CO2存在下、37℃で、3〜4日間培養することによって培養液中に抗体が分泌、蓄積される。また、ハイブリドーマ細胞をBALB/C系マウスなどの腹腔内に移植して増殖することにより、腹水中に本発明の抗体を蓄積させることもできる。
(7) モノクローナル抗体の選別:モノクローナル抗体の選別には、酵素免疫測定法、ウエスタンブロッティング法等が用いられる。また、モノクローナル抗体のIgGアイソタイプの決定は、モノクローナル抗体の酵素免疫測定法又はオクタロニー法によって行うことができる。
放射性ヨウ素を抗体に標識する方法としては、クロラミンT法、ヨードゲン法、NBS法などが挙げられ、いずれも抗体溶液に放射性のヨウ化ナトリウムを加えた後、酸化剤であるクロラミンT、ヨードゲン又はNBSを添加して標識する。放射性ヨウ素原子は、主に抗体のチロシン残基に付加(標識)される。通常90〜100%の標識率が得られるが、未反応のヨウ素やその他の不純物が問題になるときは、HPLCやディスポーザブルゲルカラム等を用いて精製を行う。
放射性テクネチウムや放射性レニウムを抗体に標識する方法としては、前述した抗体に結合したDTPAのようなキレート剤に放射性テクネチウムや放射性レニウムをキレートさせる方法と、抗体を適当な還元剤で還元して抗体のジスルフィド(SS)結合を開裂させ、スルフヒドリル(SH)基を生成し、その生成したスルフヒドリル基を介して放射性テクネチウム又は放射性レニウムを抗体内に直接結合させる方法がある。還元剤としては、例えば、塩化第一スズ、ジチオスレイトール、アスコルビン酸などを例示することができる。
HYNICを用いた場合、下記式(I)に示すように、HYNICのカルボキシル末端に抗体を結合し、ヒドラジノ末端に2つのコリガンドを用いて放射性金属原子を配位させる。
かくして、本発明の好ましい実施形態によれば、下記の化学式(II)で示される抗LOX−1抗体と、トリシンを含有する試薬とを少なくとも備えてなる動脈硬化診断用キットが提供される。
本発明のLOX−1診断用薬剤の投与量は、従来の診断剤と実質的に同様であり、例えば、99mTcで標識した化合物を用いた診断剤の投与量は、37MBq/kg〜1,850MBq/kg、好ましくは185MBq/kg〜740MBq/kg程度である。投与量は化合物の種類、使用する放射性核種の種類、患者の年齢、体重、症状、投与方法、他剤との併用等により適宜増減される。
なお、以下で用いる略号は下記のとおりである。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー、
SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動、
TLC:薄層クロマトグラフィー、
CAE:セルロースアセテート膜電気泳動、
HYNIC:6−ヒドラジノピリジン−3−カルボキシル酸、
anti-LOX-1:抗LOX-1抗体、
Tricine:トリシン、
PBS: リン酸緩衝溶液、
TFA:トリフルオロ酢酸、
DMF:ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimide)。
以下に示すように、上記式(I)においてMが99mTc 、A及びTが何れもトリシンである化合物、すなわち、 [99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2)を下記スキーム(Scheme)1〜3の工程1〜6に従って調製した。
99mTc-過テクネチウム酸(99mTc-pertechnetate (99mTcO4 -))は99Mo-99mTcジェネレータより溶出した生理食塩水溶液を用いた。
抗体の精製において、カラムクロマトグラフィー法としてアマシャムバイオサイエンス株式会社製XK16/70column(商品名)及びMobiTec社製モビコール(商品名)を、ゲルとして、アマシャムバイオサイエンス株式会社製Sephadex G-50 Fine(商品名)を用いた。
抗体の限外濾過には、Amicon社製Diaflow system, 8MC型(商品名)を用いた。抗体の分析においてサイズ排除HPLCは、東ソー株式会社製TSKgelSuperSW2000(商品名)(4.6 x 300mm)、TSKguardcolumn SuperSW(商品名)(4.6 x 35mm)を用い、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸緩衝液(phosphate buffer) (pH6.8)を移動相として流速0.2mL/minで行った (保持時間(retention time), IgG(150kDa):12min)。
セルロースアセテート膜電気泳動(CAE)は、富士写真フィルム社のSeparax-SP(商品名)を用い、0.1M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸二水素ナトリウム水溶液(sodium dihydrogenphosphate aq.)で90分間、0.8mA/cmで泳動した(anti-LOX-1:−極側へ1cm)。抗体のSDS-PAGEには、アトー株式会社製ラピダス・二連ミニスラブを用いた。
ウサギの酸化LDL受容体のひとつであるLOX−1に対するモノクローナル抗体(anti-rabbit LOX-1 mouse monoclonal IgG)(anti-LOX-1,IgG)は、以下のようにして調製した。すなわち、ウサギLOX−1のN末端から数えて150〜171番目のアミノ酸配列に対応し配列(すなわち、配列番号1の配列EDWLWHGKNCYLFSSGSFNWES(各アルファベットはアミノ酸1文字コード))を有する合成ポリペプチドにフロイントアジュバントを融合させ、これを抗原としてBALB/C系マウスを免疫し、脾細胞を取り出した。これとマウスミエローマ細胞P3X63Ag8U.1とを融合して得たハイブリドーマ細胞をRPMI1640培地にて培養することによりanti-LOX-1,IgGを作製し、1.4mg/mL(PBS-)に精製した。anti-LOX-1,IgGを限外濾過法を用いて、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.15M ホウ酸緩衝液(borate buffer) (pH8.5)にバッファー交換を行い、5mg/mLの濃度に調製した。
Boc-HYNIC-NHS(3)を、Abramsら(J.Nucl.Med., 31,2022-2028 (1990))の方法に従い合成した(Scheme1)。Boc-HYNIC-NHS(3)10mgにTFA400μL、アニソール(anisole)20μLを加え、15分間攪拌し、その後N2ガスにてTFAを除去した。さらに残渣をエーテルで充分洗浄後、HYNIC-NHS(4)を得た。乾燥DMFに10mg/mLになるように溶解したHYNIC-NHS(4)10μLを、anti-LOX-1溶液1mLに攪拌しながら滴下し、遮光下室温で2時間穏やかに攪拌後、10mM クエン酸緩衝液(citrate buffer) (pH5.2)で平衡化したSephadex G-50 Fine(商品名)のカラムクロマトグラフィー法により分離・精製を行った。サイズ排除HPLC及びSDS-PAGEによりIgGとして確認後(retention time:12min)、HYNIC-anti-LOX-1(5)は600μg/mLになるように調製した。
10mM クエン酸緩衝液(citrate buffer) (pH5.2)に溶解したHYNIC-anti-LOX-1(5)溶液500μL(300μg/500μL)に、Larsenら(Bioconjugate Chem., 6,635-638 (1995))の方法2)に従い作製した99mTc(tricine)2 500μLを混和した。室温で1時間インキュベート後、0.15M 塩化ナトリウム(sodium chloride)を含有する0.1M リン酸緩衝液(phosphate buffer) (pH7.4)で平衡化させたSephadex G-50 Fine(商品名)を用いたスピンカラム法により精製し、[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2 (6)を得た。放射化学的純度はサイズ排除HPLC(retention time:12min)、生理食塩水を展開溶媒とするTLC(Rf=0)、CAE(−極へ1cm)により分析した。放射化学的収率30%、放射化学的純度90%以上で得られた。
大動脈に動脈硬化が発生することが知られているWHHLMIウサギ5羽、及びコントロールウサギとしてnormal NZWウサギ3羽に、実施例1で得られた[99mTc](HYNIC-anti-LOX-1)(tricine)2 1mL(2〜3mCi)を耳静脈内投与し、経時的(1,2,3,6,24時間後)に耳静脈より採血し、24時間後に大動脈及び各臓器を摘出し、それぞれの重量と放射能を測定した。結果を表1〜3及び図1〜3に示す。
また、表2、3及び図2、3からわかるとおり、その他の臓器への放射能集積及び、血液からのクリアランスに有意差はなかった。
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