JP4043271B2 - コンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物に好適なコンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物の柱、梁、壁などの補修・補強をする場合、炭素繊維シートなどの補強シートをコンクリート部材の表面に貼り付け、その端部を多数の炭素繊維を束ねた定着用アンカーで定着固定する補強方法が行われている。
【0003】
従来、このような炭素繊維によるコンクリート部材の補強方法として、特開2000−27446、特開2000−45565、特開平11−152907、特開平11−256838が提案されている。
【0004】
これらの従来の炭素繊維シートによるコンクリート部材の補強方法においては、例えば図15に示すように、鉄筋コンクリート造の壁付柱10における柱11を補強する場合、柱11の表面に材軸方向に延びる炭素繊維シートなどの補強シート12を貼り付けると共に、壁13の柱11近傍に定着用アンカー16(図18)を取り付けるための挿入孔14をあける。
【0005】
次に、図16に示すように、柱11に貼り付けた補強シート12の上にこれと直交する方向に延びる炭素繊維シートなどの補強シート15を貼り付ける。次に、図17に示すように、後述の方法で製造した多数の炭素繊維からなる定着用アンカー16の中央部を含浸接着樹脂17に浸漬し、その浸漬した部分をゴムべらなどで叩いて含浸を促進する。締着用アンカー16の一端には、これを取り付けるときに引っ張るための針金18が取り付けられている
次に、図18に示すように、柱11に貼り付けられた補強シート15に含浸接着剤を塗布し、その後定着用アンカー16の中央部を壁13の挿入孔14に挿入する。そして、定着用アンカー16の一端を針金18の近傍から切断して針金18を除去する。
【0006】
次に、図19に示すように、定着用アンカー16の両端部における多数の炭素繊維を補強シート15上で扇形に開き、その上から含浸接着樹脂を塗布して接着する。
【0007】
その後、脱泡ローラ19を用いて補強シート15及び締着用アンカー16に対する含浸接着樹脂の含浸を促進する。これにより、定着用アンカー16の両端部が扇形に開いた状態で補強シート15の両端部に固定されるので、補強シート15が柱11から剥がれるのを防止でき、柱11の補強が可能になる。なお、定着用アンカー16の使用数、その端部を扇形に開いたときの大きさなどは、所定の基準に従って決定される。
図20〜図22は、従来の定着用アンカー16の製造方法を示す。従来の定着用アンカー16は、まず図20に示すように、建築現場において、板部材20にアンカーとしての必要長さと略同じ間隔をあけて2個の支持棒21,21を固定し、これらの支持棒21,21の周りに多数の炭素繊維を束ねたストランド22を必要回数だけ巻回して、ストランド束23を形成する。
【0008】
次に、図21に示すように、ストランド束23を支持棒21,21から外して、その一端に針金18を取り付け、他端を鋏で切断して各ストランドをばらばらにする。これにより、図22に示すように、定着用アンカー16が完成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の定着用アンカー16は、建築現場などで炭素繊維を束ねたストランド22を支持棒23,23に巻回して製造するので、定着用アンカー16を構成する炭素繊維ストランド22の巻回数を間違えるおそれがあり、この場合には、強度にばらつきが発生するという問題があった。
【0010】
また、定着用アンカー16の定着性能を確保するため、定着用アンカー16の端部を扇形に拡げたときの大きさ、拡げた部分の炭素繊維の直線性及び偏りを一定の基準に従って管理する必要があるが、従来のように、建築現場において手作業で定着用アンカー16の端部における各繊維を扇形に拡げる場合には、上述の管理を確実に行うことができないという問題があった。
【0011】
更に、場合によっては、一建築現場で定着用アンカー16を数百本使用することがあり、このような場合には、定着用アンカー16の製造及び取り付け作業に膨大な人件費が必要になると共に、工期が長くなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、性能管理、作業工数の低減及び施工期間の短縮が可能なコンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明はコンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、コンクリート部材を補強するべく前記コンクリート部材の表面に貼り付けられた補強シートを定着する定着用アンカーにおいて、所定長さを有する多数の繊維を束ねた繊維束によって構成し、前記繊維束の少なくとも一端側の前記多数の繊維を、所定の大きさの扇形状になるように略均等に拡げた状態で、変形自在な結合保持手段によって結合することにより、扇形状から直線形状まで拡縮可能な定着部分を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、コンクリート造壁部材の補強方法であって、前記壁部材の表面に補強シートを貼り付け、前記壁部材の外周側に配置された部材に挿入孔を設け、前記挿入孔に上記コンクリート補強シートの定着用アンカーにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、コンクリート造壁付柱の補強方法であって、前記コンクリート造壁付柱の壁部材又は柱部材の表面に補強シートを貼り付け、前記補強シートが貼り付けられていない方の前記壁部材又は前記柱部材に挿入孔を設け、前記挿入孔に上記コンクリート補強シートの定着用アンカーにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、床部材の下側に配置されたコンクリート造梁部材の補強方法であって、前記梁部材の表面に補強シートを貼り付け、前記床部材に挿入孔を設け、前記挿入孔に上記コンクリート補強シートにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする。
<本発明における具体的構成>
本発明におけるコンクリート補強シートの定着用アンカーは、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。
【0017】
その具体的構成要素とは、前記繊維束の両端側に前記定着部分を備えたこと、前記繊維束の少なくとも一端側に、前記繊維束を引っ張るためのフック手段を備えたこと、前記定着部分における扇形の大きさを調整するための調整手段を前記繊維束に設けたこと、前記調整手段は前記繊維束を束ねる束ね部材であり、前記束ね部材が前記繊維束の長手方向に移動自在に取り付けられていること、前記繊維は、炭素繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維であること、前記結合保持手段はガラス繊維又は熱可塑性樹脂であり、前記ガラス繊維又は前記熱可塑性樹脂を前記繊維束の繊維に融着することにより、前記繊維を結合すること、である。
【0018】
本発明によれば、現場で定着用アンカーを取り付けるときに、定着用アンカーの定着部分を除いた部分を柱などに設けた挿入孔に挿入した後、定着用アンカーの定着部分の両端を横方向に引いて限界まで拡げるだけで所定の大きさの扇形になり、しかも繊維束を構成する各繊維の直線性が保持されると共に、各繊維が略均等に拡げられて偏りが発生しない。
【0019】
従って、従来のように定着用アンカーの端部を扇形に拡げるときに、扇形の大きさを測定したり、繊維の直線性を確保するために各繊維を長手方向に引っ張ったり、繊維の偏りがないように注意して作業したりする必要がないので、取り付け作業が非常に容易であり、取り付け作業工数の低減、工期の短縮、及び定着用アンカーとして必要な性能の確保が可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるコンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法を図に示される実施形態について更に詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を拡げた状態を示す図、図2は本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を縮小した状態を示す図、図3は本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて壁部材を補強した状態を示す図、図4は図3のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取付け部分を示す図、図5は図3のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を説明する図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強用の定着用アンカー5は、片アンカータイプであり、多数の炭素繊維を束ねたストランド50が所定数だけ束ねられたストランド束51によって構成されている。なお、ストランド50を構成する繊維としては、炭素繊維に限らず、ガラス繊維、アラミド繊維などを使用できる。これらの繊維は柔軟性を有し、変形自在である。
【0022】
この定着用アンカー5の一端側には、ストランド50が所定の大きさの扇形状に略均等で偏りなく拡げられた状態で、変形自在な結合保持手段52で結合され、扇形状から直線形状まで拡縮可能な定着部分53が備えられている。定着部分53の反対側は、直線状の取付部分56となっている。
【0023】
結合保持手段52としては、例えばガラス繊維や熱可塑性樹脂などを使用でき、これれらの材料を線状にして各ストランド50に熱融着することによって、ストランド50を拡縮可能な状態で結合できる。なお、この結合保持手段52の数は、ストランド50を拡げたときの大きさに応じて適切に設定する。
【0024】
定着部分53の根本部分には、定着部分53の大きさを調整するための調整手段として、束ね部材54が長手方向に移動自在に取り付けられている。更に、定着用アンカー5の取付部分56の先端には、定着用アンカー5を取り付けるときに、その端部を引っ張るためのフック部55が設けられている。本実施形態では、フック部55として各ストランド50の折り返し部を利用している。
【0025】
この定着用アンカー5を補強シートの定着用として建築物に取り付ける場合には、図2に示すように、定着部分53を直線状に縮小し、フック部55側を先頭にして建築物に設けた挿入孔に挿入した後、定着部分53の両端を掴んで横方向に限界まで引っ張ることにより、図1のように所定の大きさの扇形状に拡大することができる。
【0026】
図3は、図1に示した片アンカータイプの定着用アンカー5を用いて、建築物70のコンクリート造壁部材71を炭素繊維などの補強シート72で補強した状態を示す図である。ここでは、壁部材71の両側に柱部材73,73が配置され、壁部材71の上下にそれぞれ梁部材74、床部材75が配置されている。なお、柱部材73,73も補強シート72及び定着用アンカー5で補強されている。
【0027】
補強シート72は壁部材71の表面に全面的に貼り付けられている。そして、壁部材71の周囲に配置された柱部材73,73、梁部材74、及び床部材75の壁部材71寄りに複数の定着用アンカー5が互いに所定の間隔をあけて埋め込まれている。
【0028】
柱部材73,73、梁部材74、及び床部材75には、図4に示すように、壁部材71近傍に位置する多数の挿入孔76,76・・・が穿孔されている。なお、図4は梁部材74のみ図示している。これらの挿入孔76,76・・・は、所定の直径及び深さを有し、互いに所定の間隔をあけて設けられている。
【0029】
そして、定着用アンカー5の取付部分56に含浸接着樹脂を塗布して、挿入孔76,76・・・に挿入する。これにより、定着用アンカー5が柱部材73,73等に固定される。この後、図5に示すように、定着用アンカー5,5・・・の定着部分53,53・・・を、補強シート72上で扇形状に最大限まで拡げ、この拡げられた定着部分53,53・・・の上から含浸接着樹脂を塗布することによって、定着部分53,53・・・が補強シート72に接着固定される。
【0030】
これにより、壁部材71に貼り付けられた補強シート72の外周端部が定着用アンカー5によって固定されるので、補強シート72が剥がれるのを防止でき、これにより壁部材71の補強を長期間に亘って確保できる。
【0031】
このように、本発明によれば、定着用アンカー5に所定の大きさの扇形状から直線状まで拡縮可能な定着部分53を設けたので、現場で定着用アンカー5を取り付けるときに、定着用アンカー5の取付部分56を柱部材73,73、梁部材74,及び床部材75に設けた挿入孔76,76・・・に挿入して含浸接着樹脂で固定した後、定着用アンカー5の定着部分53の両端を掴んで横方向に限界まで拡げるだけで所定の大きさの扇形になり、しかも各ストランド50,50・・・を構成する炭素繊維の直線性が保持されると共に、ストランド50及びこれを構成する炭素繊維の偏りも発生しない。
【0032】
従って、従来のように定着用アンカーを取り付けるときに、その端部を拡げた後の大きさをいちいち測定したり、炭素繊維の直線性を確保するために各繊維を長手方向に引っ張ったり、炭素繊維の偏りがないように注意して作業したりする必要がないので、定着用アンカー5の取り付け作業が非常に容易となり、作業工数の低減、工期の短縮、及び定着用アンカー5の性能確保が可能になる。
【0033】
また、図1に示したように、定着用アンカー5の束ね部材54をストランド束51の長手方向に移動するだけで、定着部分53を拡げたときの扇形の大きさを任意に調整できるので、建築物70の設計条件に応じて定着用アンカー5の仕様本数などを変更する際に、定着部分53の拡大後の大きさを調整する必要がある場合でも、束ね部材54を移動させるだけで即座に対応できる。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を拡げた状態を示す図、図7は本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を縮小した状態を示す図、図8は本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて壁付柱を補強した状態を示す図、図9は図8のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け部分を示す図である。
【0034】
図6に示すように、本発明の第2実施形態のコンクリート補強シートの定着用アンカー6は、両アンカータイプであり、多数の繊維、例えば炭素繊維が束ねられたストランド60を所定数だけ束ねたストランド束61によって構成されている。
【0035】
この定着用アンカー6の両端側には、ストランド60,60・・・が略均等に偏ることなく所定の大きさの扇形状に拡げられた状態で、変形自在な例えばガラス繊維などの結合保持手段62で融着されて結合され、扇形状から直線形状まで拡縮可能な定着部分63,63が備えられている。
【0036】
これらの定着部分63、63の根本部分には、定着部分63,63を扇形状に拡げたときの大きさを調整するための調整手段として、束ね部材64,64が長手方向に移動自在に取り付けられている。
【0037】
この定着用アンカー6を補強シートの定着用として建築物に取り付ける場合には、図7に示すように、定着部分63,63を直線状に縮小してその中央の直線部分を建築物に設けた挿入孔に挿入した後、定着部分63,63の両端を掴んで横方向に限界まで引っ張ることにより、図6のように所定の大きさの扇形状に拡大する。
【0038】
なお、定着用アンカー6の定着部63,63の先端には、図7に破線で示すように、予め各ストランド60の折り返し部分を利用したフック部65,65が設けられている。そして、定着用アンカー6を建築物などに取り付ける場合には、フック部65,65を利用して定着用アンカー6を長手方向に引っ張ることにより建築物の挿入孔に挿入した後、両側のフック部65,65を切断して、各定着部分63,63を拡大するようになっている。
【0039】
図8は、図6に示した両アンカータイプの定着用アンカー6を用いて、コンクリート造壁付柱80の柱部材81を炭素繊維シートなどの補強シート82で補強した状態を示す図である。ここでは、柱部材81の外周側面に補強シート82が所定数だけ重ねて貼り付けられる。
【0040】
壁部材83には、図9に示すように、柱部材81近傍に位置する所定直径の貫通した挿入孔84,84・・・が、互いに所定の間隔をあけて穿孔されている。定着用アンカー6は、その一端側の定着部分63を直線状に縮小した状態で、挿入孔84に挿入し、両端の定着部分63,63が露出されるようにする。このときには、定着用アンカー6の先端のフック部65(図7)に、例えば針金などを取り付けて、これを長手方向に引っ張ることにより、定着用アンカー6を簡単に挿入孔84に挿入できる。
【0041】
定着用アンカー6を挿入孔84に挿入した後、先端のフック部65,65を切断して針金を除去する。そして、両側の定着部分63,63を補強シート82,82上で扇形状に拡げ、定着部分63,63の上から浸漬接着樹脂を塗布して、補強シート82に接着固定する。
(第3実施形態)
図10は本発明の第3実施形態に係る梁部材を補強した状態を示す図、図11は本発明の第3実施形態に係る梁部材を片アンカータイプのコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて補強した状態を示す断面図、図12は本発明の第3実施形態に係る梁部材を両アンカータイプのコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて補強した状態を示す断面図である。
【0042】
図10に示すように、コンクリート造の梁部材90の両側に柱部材92,92が配置され、梁部材90の上側に床部材93が配置されている。梁部材90の表面には、全面に亘って炭素繊維シートなどの補強シート91が所定数だけ重ねて貼り付けられている。
【0043】
この補強シート91を図1の片アンカータイプの定着用アンカー5で固定する場合には、図11に示すように、床部材93の梁部材91近傍に、所定の直径及び深さを有する複数の挿入孔94,94・・・が穿孔され、これらの挿入孔94,94・・・に定着用アンカー5の取付部分56が挿入されて接着固定される。
【0044】
なお、挿入孔94,94・・・の底部は、図11に示すように、挿入孔94,94の直径より拡大して定着用アンカー5の固定強度を高くできるが、拡大しなくてもよい。この後、定着用アンカー5の定着部分53を補強シート91上で扇形状に拡大し、浸漬接着樹脂で接着固定する。
【0045】
補強シート91を、両アンカータイプの定着用アンカー6で固定する場合には、図12に示すように、床部材93に梁部材90の両側に位置する貫通した挿入孔95,95を穿孔する。
【0046】
そして、定着用アンカー6の両側の定着部分63,63を床部材93の上側から挿入孔95,59を挿通させて、床部材93の下側に引き出す。次に、定着部分63,63を補強シート91上で扇形状に拡大し、浸漬接着樹脂を塗布して補強シート91に接着固定する。これにより、補強シート91の外周端部が固定され、補強シート91が梁部材90から剥がれるのを防止できる。
(第4実施形態)
図13は本発明の第4実施形態の定着用アンカー100を示す図である。この定着用アンカー100は、扇形状に広げたストランド101,101・・・のうち、複数、例えば3個のストランド101,101,101を上下2本の紐状の結合保持手段102,102によって互い違いに挟むようにしたものである。この定着用アンカー100によれば、ストランド101,101・・・を確実に保持でき、しかも結合保持手段102,102の取付作業が容易になる。
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態の定着用アンカー103を示す。この定着用アンカー103は、ストランド104,104・・・を2層にし、その層間に紐状の結合保持手段105を入れて両側のストランド104,104・・・に融着したものである。この定着用アンカー103によれば、強度の向上を図ることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明におけるコンクリート補強シートの定着用アンカー及び補強方法によれば、建築現場などで定着用アンカーを取り付けるときに、定着用アンカーを柱などに設けた挿入孔に挿入した後、定着用アンカーの定着部分を限界まで拡げるだけで所定の大きさの扇形になり、しかも各繊維の直線性が保持されると共に、繊維の偏りも発生しない。
【0048】
従って、従来のように定着用アンカーの端部を拡げるときに、その大きさをいちいち測定したり、繊維の直線性を確保するために各繊維を長手方向に引っ張ったり、繊維の偏りがないように注意して作業したりする必要がないので、取り付け作業が非常に容易になり、作業工数の低減、工期の短縮、及び定着用アンカーの必要性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を扇形状に拡げた状態を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を直線状に縮小した状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて壁部材を補強した状態を示す図である。
【図4】図3のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取付け部分を示す図である。
【図5】図3のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を扇形状に拡げた状態を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの定着部分を直線状に縮小した状態を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーを用いて壁付柱を補強した状態を示す図である。
【図9】図8のコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け部分を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る梁部材を補強シートで補強した状態を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る梁部材を片アンカータイプの定着用アンカーを用いて補強した状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る梁部材を両アンカータイプの定着用アンカーを用いて補強した状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る結合保持手段を示す断面図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係る定着用アンカーを示す断面図である。
【図15】従来例に係る定着用アンカーの取り付け方法を示す図である。
【図16】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を示す図である。
【図17】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を示す図である。
【図18】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を示す図である。
【図19】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの取り付け方法を示す図である。
【図20】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの製造方法を示す図である。
【図21】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの製造方法を示す図である。
【図22】従来例に係るコンクリート補強シートの定着用アンカーの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
5,6、100,103 コンクリート補強シートの定着用アンカー
51,61,101、104 ストランド(繊維束)
52,62、102、105 結合保持手段
53,63 定着部分
54 束ね部材(調整手段)
55,65 フック部
71 壁部材
72,82,91 補強シート
76,84,94,95 挿入孔
81 柱部材
90 梁部材
Claims (10)
- コンクリート部材を補強するべく前記コンクリート部材の表面に貼り付けられた補強シートを定着する定着用アンカーにおいて、
所定長さを有する多数の繊維を束ねた繊維束によって構成し、
前記繊維束の少なくとも一端側の前記多数の繊維を、所定の大きさの扇形状になるように略均等に拡げた状態で、変形自在な結合保持手段によって結合することにより、扇形状から直線形状まで拡縮可能な定着部分を備えたことを特徴とするコンクリート補強シートの定着用アンカー。 - 前記繊維束の両端側に前記定着部分を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- 前記繊維束の少なくとも一端側に、前記繊維束を引っ張るためのフック手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- 前記定着部分における扇形の大きさを調整するための調整手段を前記繊維束に設けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- 前記調整手段は前記繊維束を束ねる束ね部材であり、前記束ね部材が前記繊維束の長手方向に移動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- 前記繊維は、炭素繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- 前記結合保持手段はガラス繊維又は熱可塑性樹脂であり、前記ガラス繊維又は前記熱可塑性樹脂を前記繊維束の繊維に融着することにより、前記繊維を結合することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のコンクリート補強シートの定着用アンカー。
- コンクリート造壁部材の補強方法であって、
前記壁部材の表面に補強シートを貼り付け、
前記壁部材の外周側に配置された部材に挿入孔を設け、
前記挿入孔に請求項1から7の何れかに記載のコンクリート補強シートの定着用アンカーにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、
前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする補強方法。 - コンクリート造壁付柱の補強方法であって、
前記コンクリート造壁付柱の壁部材又は柱部材の表面に補強シートを貼り付け、
前記補強シートが貼り付けられていない方の前記壁部材又は前記柱部材に挿入孔を設け、
前記挿入孔に請求項1から7の何れかに記載のコンクリート補強シートの定着用アンカーにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、
前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする補強方法。 - 床部材の下側に配置されたコンクリート造梁部材の補強方法であって、
前記梁部材の表面に補強シートを貼り付け、
前記床部材に挿入孔を設け、
前記挿入孔に請求項1から7の何れかに記載のコンクリート補強シートにおける前記定着部分を除いた部分を挿入し、
前記定着部分を扇形に拡げて前記補強シートに接着することを特徴とする補強方法。
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