JP4870537B2 - 構造物の補強方法及び定着具 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維シート補強材を使用して土木建築構造物等であるコンクリート構造物、或いは、鋼構造物(本願明細書では、コンクリート構造物及び鋼構造物を含めて単に「構造物」という。)の曲げに対する補強を行う際に使用する定着具、及び、斯かる定着具を使用した補強方法に関するものである。
構造物の補強方法として、近年、既存或いは新設の構造物の表面に強化繊維シート補強材として1枚或いは複数枚の連続強化繊維シートを貼り付ける接着工法が開発されている。
例えば、コンクリート構造物に強化繊維シート補強材を接着させ補強する場合には、設計上補強が必要な範囲から強化繊維シート補強材の定着長を考慮して貼り付ける必要がある。
しかしながら、定着長を確保できない場合は、強化繊維シート補強材の端部を鋼材で圧着し、鋼材をアンカーでコンクリート構造物に定着することが行われている。図12に、現在行われているコンクリート梁100を強化繊維シート補強材10にて曲げ補強する場合の、強化繊維シート補強材10の定着方法の一例を示す。
12の構成では、コンクリート梁100の長手方向に沿って、梁100の下面101に強化繊維シート補強材10が貼り付けられている。強化繊維シート補強材10は、その幅方向端部に、梁100の長手方向に沿って延在する平らな鋼板110を配置し、アンカー111のような固定具にてコンクリート梁100に定着している。このように一箇所で定着するのでアンカー111のためのアンカー孔112が多数必要となる。
また、特許文献1に記載するように、図13に示す構成では、コンクリート梁100の長手方向に沿って、梁100の下面101及び両側面102に強化繊維シート補強材10が貼り付けられている。また、強化繊維シート補強材10の幅方向端部は、梁100の長手方向に沿って設けられた円柱形の定着体113に巻き付けられ、この定着体113をアンカー111にてコンクリート梁100の天井部103に定着している。
しかしながら、本例は、コンクリート梁100の剪断補強をなす場合の補強方法であって、強化繊維シート補強材10における強化繊維2は、梁100の下面101及び両側面102に延在したU字状にされて、梁100の長手方向に沿って配列して設けられている。従って、強化繊維シート補強材10の端部は、定着体113を用いて、アンカー111にてコンクリート梁100の天井部103に固着することが必須である。
もし、強化繊維シート補強材10の積層数、即ち、強化繊維シートの枚数が増えた場合には、円柱形定着体113を大きくし、且つ、定着体113を固着するためのアンカー孔112を大きく且つ深くし、アンカー111による定着体113の固着力を増大させることが必要となる。このように、アンカー孔112を大きく、且つ、深くすることは、コンクリート構造物の破壊を招くといった虞が生じてくる。
本発明者らの研究実験の結果によれば、強化繊維シート補強材による接着工法において、特に、同じ寸法の複数枚の強化繊維シート補強材をコンクリート構造物表面に積層して接着した場合において、上記定着方法を採用した場合には、次のような問題が発生することが分かった。
(1)強化繊維シート補強材を複数枚積層して接着した場合、同一位置で各層を接着することとなるが、設計上必要な定着長を確保できない場合は、強化繊維シート補強材にかかる引張力を固定具、例えば、アンカーの剪断耐力或いは鋼板の圧着による付着力との和で負担することになる。そのために、アンカーが多数必要となる。また、鋼板の面積が大きくなる。
(2)アンカーが同一定着位置で多数になる場合は、既設コンクリートの鉄筋の配置状況により、アンカー孔の削孔が容易に行えない可能性がある。
(3)高架橋などのコンクリート構造物では、仮設の足場での作業が主であるため、定着体としての鋼板の面積が大きくなった場合は、鋼板が非常に重く施工上困難となる場合が生じる。
(4)強化繊維シート補強材の使用枚数が増え、定着体を大きくする必要が生じた場合には、定着体固着のためのアンカー孔を深くし、又、大きくして、その固着力を増大させることが必要となり、そのために、コンクリート構造物を破壊する虞が生じてくる。
そこで、本発明者らは、図14に示すように、構造物100の貼着面101に強化繊維シート1を複数枚積層して接着剤で貼付することにより構造物を補強する補強方法において、構造物100の貼着面101に貼付した複数枚の強化繊維シート1の端部を、コンクリート構造物100の貼着面側とは反対側の強化繊維シート1から貼着面側の強化繊維シート1へと所定枚数にて複数に分層し、分層された強化繊維シート1の所定枚数分の端部をそれぞれ、強化繊維シート1の長手方向に沿って異なる位置にて強化繊維シートの長手方向に直交して配置された複数の棒状定着体121に巻き付け、接着剤で接着し、定着体121を構造物100に固定具122にて固着する、補強方法を開発した(特許文献2)。
上記特許文献2に記載する補強方法は、強化繊維シート補強材の断面を欠損することなく、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強が可能である、といった利点を有している。しかし、次ような問題がある。
つまり、特許文献2に記載の補強方法によると、接着樹脂が含浸された強化繊維シートを定着体に巻き取って施工する必要がある。しかし、樹脂含浸された強化繊維シートは、滑るため作業性が悪い。
そこで、本発明の目的は、作業性が良く、また、強化繊維シート補強材の断面を欠損することがないか、或いは、最小限として、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強を施工することのできる補強方法及び定着具を提供することである。
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法及び定着具にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、
固定具により構造物に固定することのできる軸線方向に延在した棒状の定着体と、
所定の幅と長さを備えたシート状とされる強化繊維シートにて作製され、一端部領域が前記定着体の周面に巻き付けられて前記定着体の周面に樹脂にて接着固定され、残りの領域は前記定着体の周面に接着固定されることなく前記定着体から延在している定着用強化繊維シート補強材と、
を有する定着具において、
前記定着用強化繊維シート補強材は、
(1)強化繊維を一方向に配列した強化繊維層の片面、或いは、両面を、メッシュ状の支持体シートにより支持した構成の少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、
(2)一方向に配列された強化繊維に対して直交して、横糸を一定の間隔にて打ち込んで構成した少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、
(3)強化繊維で形成したシート状織物である少なくとも1枚の強化繊維シートにて構成され、
前記定着体は、前記定着体の軸線方向に所定の間隔にて、前記固定具のための複数のアンカー孔が穿設され、前記アンカー孔の周囲の前記定着用強化繊維シート補強材は、前記アンカー孔を避けて両側に寄せられ、前記アンカー孔を穿設することにより切断されることがない、
ことを特徴とする定着具が提供される。
第1の本発明の一実施態様によれば、前記定着体は、軸線方向の長さが前記定着用強化繊維シート補強材の幅と同じか、或いは幾分大きくされ、横断面形状が、円形、楕円形、長円形、或いは、隅角部が円弧状とされた多角形とされる柱状体又は円筒体である。
第1の本発明の他の実施態様によれば、前記定着用強化繊維シート補強材において、前記定着体の周面に接着固定されることなく前記定着体から延在している領域は、樹脂が含浸されていないか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートであるか、又は、樹脂が含浸され硬化されている。
第2の本発明によれば、
構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物の貼着面の両端領域に位置して、上記構成の定着具である第1の定着具を配置し、少なくとも、前記第1の定着具から延在した第1の定着用強化繊維シート補強材を前記貼着面に樹脂にて接着し、且つ、前記第1の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
(b)前記両第1の定着具の間の前記構造物の貼着面に第1の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域が、前記両第1の定着具の前記第1の定着用強化繊維シート補強材と接合するようにした、
ことを特徴とする構造物の補強方法が提供される。
第2の本発明の一実施態様によれば、
(c)更に、前記両第1の定着具の間の領域において、前記(b)工程にて接着された前記第1の補強用強化繊維シート補強材に重なるようにして上記構成の定着具である第2の定着具を配置し、少なくとも、前記第2の定着具から延在した第2の定着用強化繊維シート補強材を前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第2の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
(d)前記両第2の定着具の間の領域において、前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して、第2の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、前記第2の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域が、前記両第2の定着具の前記第2の定着用強化繊維シート補強材と接合するようにし、
(e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す。
第3の本発明によれば、
構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物の貼着面に第1の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、
(b)前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端領域に位置して、上記構成の定着具である第1の定着具を配置し、少なくとも前記第1の定着具から延在した第1の定着用強化繊維シート補強材を前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第1の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定する、
ことを特徴とする構造物の補強方法が提供される。
第3の本発明の一実施態様によれば、
(c)更に、前記両第1の定着具の間の領域において、前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して、第2の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、
(d)前記両第1の定着具の間の領域において、前記(a)工程にて接着された前記第1の補強用強化繊維シート補強材に重なるようにして上記構成の定着具である第2の定着具を配置し、前記第2の定着具から延在した第2の定着用強化繊維シート補強材を前記第2の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第2の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
(e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す。
第2及び第3の本発明にて、他の一実施態様によれば、前記補強用強化繊維シート補強材は、前記構造物に貼着する前においては、樹脂未含浸シートであるか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートである。
第2及び第3の本発明において、他の実施態様によれば、前記構造物は、コンクリート構造物或いは鋼構造物である。
2及び第3の本発明にて、一実施態様によれば、前記補強用強化繊維シート補強材は、強化繊維を一方向に配列した少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、強化繊維で形成したシート状織物である少なくとも1枚の強化繊維シートにて構成される。
第1、第2及び第3の本発明にて、他の実施態様によれば、前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用される。
第1、第2及び第3の本発明にて、他の実施態様によれば、前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂である。
本発明によれば、作業性が良く、また、強化繊維シート補強材の断面を欠損することがないか、或いは、最小限として、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強を施工することができる。
以下、本発明に係るコンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法及び定着具を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明の構造物の補強方法は、梁又は桁部材、更には、壁、柱部材、床版などのスラブ部材など、建築或いは土木構造物などであるコンクリート構造物或いは鋼構造物の補強、特に曲げ補強に際して広く適用し得るが、本実施例では、コンクリート梁の曲げ補強に適用した場合について説明する。
本発明は、構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法に関するものであるが、図1に示すように、本発明の補強方法によれば、補強用の強化繊維シート補強材10の長手方向両端部は、各々、この補強用強化繊維シート補強材10とは別体として準備された定着具20、20を用いて構造物貼着面101に定着される。
先ず、本発明にて使用する補強用強化繊維シート補強材10を構成する強化繊維シートについて説明する。
(強化繊維シート)
10に、強化繊維シート1の一実施例を示す。
強化繊維シート1は、連続した強化繊維2を一様に引き揃え、一方向に配列した、所定の単位重量を有するものである。強化繊維シート1は、本実施例では、繊維長さ方向に沿った長さ(L0)が、繊維長さ方向に対して直交する幅(W0)より大きくされた、所謂、細長形状とされる。強化繊維シート1の長さ(L0)及び幅(W0)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定される。
強化繊維2としては、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
又、強化繊維シート1は、取り扱いを容易とするために、図10に示すように、強化繊維2を一方向に配列した強化繊維層4の片面、或いは、両面を、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製したメッシュ状の支持体シート3により支持した構成とすることもできる。
メッシュ状支持体シート3にて強化繊維層4を保持する方法としては、例えば、メッシュ状支持体シート3を構成する縦糸6及び横糸7の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3を強化繊維層4の両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸6及び横糸7の部分を強化繊維層4に溶着する。
別法として、図11に示すように、強化繊維シート1は、一方向に配列された強化繊維2に対して直交して、繊維2のバラケ止めとして繊維5を横糸として一定の間隔にて打ち込み、所謂、織物(クロス)のような構造のシートとすることも可能である。繊維5としては、上述と同様に、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或は有機繊維が使用可能であるが、ガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維は、繊維束のバラケ防止効果が大きく、好ましく用いられる。この方法での、横糸の打ち込み間隔(p)に特に制限はないが、作製されたシートの取り扱い性を考慮して、通常25〜100mm間隔の範囲で選定される。
更に、図示してはいないが、強化繊維シート1は、強化繊維2を使用して織成された、繊維の主軸が2軸、3軸、4軸とされるシート状の織物とすることができる。例えば、織物としては、強化繊維2を二方向に配向させた平織物、綾織物、朱子織物や、強化繊維2を三方向、四方向に配向させた3軸、4軸織物などを使用することができる。
また、強化繊維シート補強材10は、1枚の強化繊維シート1で構成することもでき、又は、同じ構成の、或いは、異なる構成の複数枚の強化繊維シート1を積層して構成しても良い。
本発明の補強方法を実施する際に強化繊維シート補強材10に含浸されるマトリクス樹脂(即ち、接着剤)は、熱硬化性樹脂とすることができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂を好適に使用し得る。又、樹脂含浸量、即ち、樹脂の強化繊維シート補強材10に対する塗布量は、強化繊維シート補強材10の繊維目付が150〜600g/m2の範囲では、標準塗布量として0.6〜1.2kg/m2とされる。
(定着具)
図2(a)、(b)を参照して、本発明の補強方法にて使用する定着具20について説明する。
図2(a)、(b)に示すように、定着具20は、定着体21と、定着用強化繊維シート補強材30とを有し、定着用強化繊維シート補強材30は、その一端31が定着体21の周面に1回又は複数回巻き付けられ、樹脂(接着剤)にて定着体21の周面に接着固定される。
一方、定着用強化繊維シート補強材30の他端32は、定着体21の周面に接着されることなく、延在し、自由端とされる。定着用強化繊維シート補強材30の幅(Wx)は、補強用強化繊維シート補強材10と積層して互いに接合されるので、通常、補強用強化繊維シート補強材10の幅、即ち、強化繊維シート1の幅(W0)と同じとされる。
定着用強化繊維シート補強材30の前記自由端32の長さLfは、詳しくは、図1に関連して後述するように、補強用強化繊維シート補強材10との継手部領域40の長さLjをどの程度必要とするかによって決定されるものである。定着体21の中央部から自由端先端までの長さをLfとすれば、Lfは100mm以上、通常、Lfは100〜500mmとされる。
先ず、定着体21について説明する。定着体21は、軸線方向に延在する、所謂、棒状の部材であって、軸線方向の長さ(Lx)は、定着用強化繊維シート補強材30の幅(W0)と同じか、或いは幾分大きくされている。
また、定着体21は、本実施例では断面形状が長円形(トラック形)とされる柱状体とされる。即ち、本実施例にて、定着体21は、横断面形状にて、平行な平面部22a、22bと、この平面部22a、22bに連接して形成される湾曲部23a、23bにて形成される。
しかし、定着体21は、上記形状に限定されるものではなく、定着用強化繊維シート補強材30が巻き付けられる構造であれば、任意の形状とすることができる。例えば、図(a)〜(f)に示すように、断面形状が長円形(トラック形)とされる定着体(図(a))のほかに、円形の定着体(図(b))、更に、長方形(図(c))、正方形(図(d))、三角形(図(e))などとされる隅角部が円弧状とされた多角形の定着体、また、断面形状が楕円形などとされる周面が曲面とされる定着体(図(f))、など種々の断面形状をした柱状体であるか、或いは、図示してはいないが中空形状の円筒体とされる棒状の定着体21を使用することができる。
定着用強化繊維シート補強材30は、上記補強用強化繊維シート補強材10と同じ構成とすることができる。
つまり、定着用強化繊維シート補強材30は、上述した強化繊維シート1を使用することができる。また、同じ構成の強化繊維シート1を複数枚、或いは、異なる構成の複数枚の強化繊維シート1を積層して構成しても良い。
定着用強化繊維シート補強材30は、定着用強化繊維シート補強材30の一端部31を定着体21の周面に巻き付け、樹脂にて接着固定される。例えば、定着用強化繊維シート補強材30の一端部31に樹脂を含浸させ、定着体21の周面に巻き付け、接着固定することができる。必要に応じて、予め、定着体周面に樹脂(接着剤)を塗布しておいても良い。
なお、樹脂は、定着用強化繊維シート補強材30の全体に含浸して、硬化することもできるが、定着用強化繊維シート補強材30の定着体21に巻き付けた部分のみに塗布(含浸)して、硬化し、定着体21の周面に巻き付けられていない部分には、樹脂を含浸させないのが好ましい。もし、定着用強化繊維シート補強材30として、樹脂が含浸され、半硬化状態とされたプリプレグシートを使用した場合には、定着用強化繊維シート補強材30は、定着体21に巻き付けた部分のみを硬化し、その他の領域は、樹脂を硬化させないのが好ましい。それは、定着具20をコンクリート構造物の被補強面、即ち、貼着面101に接着する際、定着用強化繊維シート補強材30が構造物の補強面の凹凸に追従して有効に接着するようにするためである。
使用する樹脂(接着剤)は、上述した補強用強化繊維シート補強材10に含浸されるマトリクス樹脂と同じとすることができ、熱硬化性樹脂が好ましく、上記種々の熱硬化性樹脂を使用することができる。
また、詳しくは、後述するように、定着具20は、例えばアンカーのような固定具25によりコンクリート構造物100に取り付けられる。従って、定着用強化繊維シート補強材30が巻き付けられた定着体21には、図2(b)に図示するように、定着体21の軸線方向に所定の間隔Pxにて、複数の、本実施例では、2個の貫通孔、即ち、アンカー孔24が穿設される。
このとき、貫通孔の周囲の定着用強化繊維シート補強材30は、アンカー孔24を避けるように、両側に寄せ、アンカー孔24を穿設することにより、切断されることがないようにするのが好ましい。
本発明者らは、定着具20における定着体21の形状と、強化繊維シート1の巻き付け回数との関連について検討した。次に、その検討結果について説明する。
(試験1)
に、本検討に使用した試験装置200の概略構成を示す。
図示するように、定着体21としては、断面が円形とされる長さ(Lx)が6.8cmの円柱体を使用した。定着体21は、両端面に一体に形成した取付部20Fを固定治具201の上に載置し、取付具202にて回転しないようにして固定した。定着体21の直径(D)は、下記表1に示すように、20mm、40mm、60mmのものを用意した。
定着用強化繊維シート補強材30としては、図10に示す構成の、強化繊維として炭素繊維を一方向に引き揃えて作製された炭素繊維シート1を使用した。本検討で使用した炭素繊維シート1は、日鉄コンポジット株式会社製の高強度型の炭素繊維シートFTS−C1−30(公称引張強度3400N/mm2)を用いた。炭素繊維シート1の幅(W0)は、12.5mmであった。
炭素繊維シート1は、その一方の端部を、図示するように、円形断面を有する定着体21に巻き付け、定着体21の周面にエポキシ樹脂で固定した。
一方、炭素繊維シート1の他方の端部(タブ付け部)1Fは、定着体21から上方へと垂直に持ち上げ、引張試験装置(図示せず)に取り付けた。炭素繊維シート1の上端タブ付け部1Fの長さ(L1)は60mm、タブ付け部1Fから定着体21に対する巻き付け開始部までの長さ(L2)は250mmであった。
実験変数は、定着体21の円柱断面の直径(D)と巻き付け回数とした。
炭素繊維シート試験片1は、7体とし、また、予め、炭素繊維シート1の物性を調べるために通常の連続繊維シートの引張試験を行った。
試験結果として、引張強度の平均値を、表1及び図に示す。この試験結果から、直径が20mmの円形断面を持つ定着体21に巻くことにより、炭素繊維シート1が破断に至ることが確認された。又、定着体21を用いた試験片は、定着体21の径と、定着体21への試験片の巻き数とが大きいほど強度がでることが分かった。
Figure 0004870537
定着体21の直径(D)が40mm、60mmで、2周巻きの試験片では、公称引張強度(3400N/mm2)を上回る。
破断位置は、いずれの試験体も定着体近傍の破断が主であった。巻き付け位置において繊維方向が変化するため、応力集中が定着体近傍で起こっていると考えられる。
定着体21の直径(D)が大きいほど応力集中が小さくなるため、直径(D)が40mm以上で且つ2周以上巻き付けることが好ましいと考えられる。
(試験2)
試験1とは異なる炭素繊維シート1を使用し、定着体21の直径(D)としては、下記表2に示すように、40mm、60mmのものを使用した以外は、試験1と同じ試験装置200を使用し、同様の試験片を作製し、同様の方法にて、試験を行った。
この試験2で使用した炭素繊維シート1は、図10に示す構成の、強化繊維として炭素繊維を一方向に引き揃えて作製された、日鉄コンポジット株式会社製の高強度型の炭素繊維シートFTS−C1−60(公称引張強度3400N/mm2)を用いた。炭素繊維シート1の幅(W0)は、試験1の場合と同様に、12.5mmであった。
試験結果として、引張強度の平均値を、表2及び図に示す。この試験結果から、直径(D)が20mmの円形断面を持つ定着体21に巻くことにより、炭素繊維シート1が破断に至ることが確認された。又、定着体21を用いた試験片は、定着体21の径と、定着体21への試験片の巻き数とが大きいほど強度がでることが分かった。
Figure 0004870537
定着体21の直径(D)が40mm、60mmで、2周巻きの試験片では、公称引張強度(3400N/mm2)を上回る。
破断位置は、いずれの試験体も定着体近傍の破断が主であった。巻き付け位置において繊維方向が変化するため、応力集中が定着体近傍で起こっていると考えられる。
定着体21の直径(D)が大きいほど応力集中が小さくなるため、直径(D)が40mm以上で且つ2周以上巻き付けることが好ましいと考えられる。
(補強方法)
次に、図1及び図2を参照して、本発明の補強方法の一実施例について説明する。本実施例ではコンクリート梁100を曲げ補強するものとする。
尚、本実施例では、強化繊維シート1は、繊維径7〜10μm程度のモノフィラメントを、例えば、約6000〜24000本収束した繊維束、即ち、炭素繊維2を使用し、この炭素繊維を均一に引き揃え、一方向に配列した炭素繊維シートであった。炭素繊維シートの厚さは0.083〜0.333mm(繊維目付150〜600g/m2)であった。
本実施例に従って補強用強化繊維シート補強材10及び定着用強化繊維シート補強材30は、上記強化繊維シート1を1枚、或いは、複数枚積層して作製することができる。
補強用強化繊維シート補強材10は、補強すべき貼着面の幅及び長さに適合する寸法とされる。本実施例では、幅(W0)400mm、長さ(L0)2500mmとした。また、定着用強化繊維シート補強材30は、補強用強化繊維シート補強材10と同じ構成とした。
定着具20としては、本実施例では、図2(a)、(b)に示すように、両端湾曲部23a、23bと上下の平面部22a、22bとにて形成される断面形状が長円形(トラック形)の柱状体を使用した。具体的には、定着体21は鋼材にて作製し、両端円弧状部の半径Rは、20mm、幅Lyは、94mm、軸線方向の長さLxは、定着用強化繊維シート補強材30の幅W0と同じ400mmとした。
上記定着体21に、定着用強化繊維シート補強材30の一端31を、1.5〜2回巻き付け、エポキシ樹脂にて定着体21の周面に接着して硬化した。残余部分32には樹脂含浸はしなかった。樹脂未含浸の長さLfは、347mmであった。定着用強化繊維シート補強材30の定着体21の周面に接着された樹脂含浸部31と未含浸部32と連接部は、本実施例のように、断面形状が長円形(トラック形)とされる柱状体を使用した場合には、平面部22aの中央部近傍にて連続するのが好ましい。
定着体21には、互いに平行な平面部22a、22bを貫くようにして、長手方向に対称配置にて間隔(Px)220mmにて、直径31mmのアンカー孔24を形成した。
本実施例では、アンカー孔24を形成するに際して強化繊維を切断しないように、定着用強化繊維シート補強材30は、定着体21に巻き付け、樹脂接着後、硬化する前に、アンカー孔周辺の強化繊維は、アンカー孔24の両側にずらし、強化繊維が存在しないアンカー孔形成領域Sを設けた。
尚、補強用強化繊維シート補強材10は、構造物100の貼着面101に貼着されるが、本明細書にて、「内側」とは、コンクリート梁100のような構造物のシート貼着面101側を意味し、「外側」とはこのシート貼着面101より離れる方向を意味する。又、強化繊維シート補強材10がシート貼着面101に接着され補強に供される際の、強化繊維シート補強材10の両端部から中央部に向かう方向を「内方」とし、その両端部側を「外方」と呼ぶ。
本実施例では、図1(a)、(b)に示すように、補強すべきコンクリート梁100の被補強面、即ち、シート貼着面101には、その両端領域に位置して、定着具20、20が配置される。本実施例のように、定着体21の断面形状が長円形とされる場合には、定着用強化繊維シート補強材30の未含浸部分32が位置する定着体21の平面部22aがシート貼着面101に接合するようにして配置される。定着体21の平面部22a及び定着用繊維強化シート補強材30の自由端部32と、シート貼着面101との間には、接着剤を下塗りしておくのが好ましい。
次に、定着具20は、定着体21に形成されたアンカー孔24を利用して、固定具としてのアンカー25によりコンクリート構造物100に取り付けられる。この状態で、定着具20の定着用強化繊維シート補強材30とシート貼着面101との間に塗布された樹脂が硬化され、定着具20がコンクリート構造物100に固着される。
その後、本実施例によれば、図1(a)、(b)に示すように、両定着具20、20の間のコンクリート梁シート貼着面101に接着剤を下塗りし、そして、準備された補強用強化繊維シート補強材10をコンクリート梁シート貼着面101に貼り付ける。
このとき、補強用強化繊維シート補強材10と定着用強化繊維シート補強材30とは、長手方向にて所定長さLjだけ重なり合う継手部40を形成するように積層して接合される。本発明者らの研究実験の結果によると、この継手部40の長さLjは、補強用強化繊維シート補強材10の端部を定着するには、50〜500mm程度とすることにより良好な結果を達成し得ることが分かった。本実施例では、200mmとした。
次いで、コンクリート梁シート貼着面101に貼着した補強用強化繊維シート補強材10に対して、脱泡ローラ(図示せず)を使用して脱泡・含浸させる。更に、必要に応じて、補強用強化繊維シート補強材10に接着剤、即ち、マトリクス樹脂を塗布(上塗り)し、強化繊維シート補強材10にマトリクス樹脂を十分に含浸させ、強化繊維シート補強材10をコンクリート梁シート貼着面101に接着する。そして、硬化させる。
上記実施例では、図1(a)、(b)に示すように、コンクリート梁100のシート貼着面101には、補強用強化繊維シート補強材10と、その両端に配置された定着具20、20とにて構成される補強層が一層だけ貼着されるものとして説明した。
つまり、上記構成の本実施例の補強方法は、構造物100の貼着面101に細長形状の補強用強化繊維シート補強材10を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物100の貼着面101の両端領域に位置して、上記構成の定着具20を配置し、少なくとも、定着具20から延在した定着用強化繊維シート補強材32を貼着面101に樹脂にて接着し、且つ、定着具20の定着体21を固定具25にて構造物100に固定し、
(b)両定着具20、20の間の構造物100の貼着面101に、両端継手領域40が、両定着具20、20の定着用強化繊維シート補強材32と接合するようにして、補強用強化繊維シート補強材10を樹脂にて接着する、
構成とされる。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図に示すように、更に、追加の補強層を積層することも可能である。
の実施例によれば、図1(a)、(b)に示すと同様にして、コンクリート梁100のシート貼着面101に、第1の定着具20Aと第1の補強用強化繊維シート補強材10Aとを貼着して第1の補強層を形成する。
更に、本実施例によると、第1の定着具20Aと第1の補強用強化繊維シート補強材10Aとにて形成された第1の補強層の上に、第2の定着具20Bと第2の補強用強化繊維シート補強材10Bとを、同様の方法により、貼着し、第2の補強層を形成する。
勿論、必要に応じて、更に、第3層、第4層、といった補強層を形成することも可能である。
つまり、本実施例によれば、図にて、
(c)更に、上記第1層の補強層を構成する両第1の定着具20A、20Aの間の領域において、既に接着された第1の補強用強化繊維シート補強材10Aに重なるようにして上記構成の定着具である第2の定着具20B、20Bを配置し、少なくとも、第2の定着具20Bから延在した第2の定着用強化繊維シート補強材32Bを第1の補強用強化繊維シート補強材10Aに積層して樹脂にて接着し、且つ、第2の定着具20Bの定着体21Bを固定具24にて構造物100に固定し、
(d)両第2の定着具20B、20Bの間の領域において、第1の補強用強化繊維シート補強材10Aに積層して、両端継手領域40が、両第2の定着具20B、20Bの第2の定着用強化繊維シート補強材32Bと接合するようにして、第2の補強用強化繊維シート補強材10Bを樹脂にて接着し、
(e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す、
ことが可能である。
尚、複数の補強層を積層する場合には、外層の定着具は、内層の定着力を損なわないように、図に示すように、内層の定着用及び補強用強化繊維シート補強材が積層された継手部40の領域は避けて、補強用強化繊維シート補強材10のみとされる領域に位置するように配置するのが好ましい。
本実施例によれば、作業性が良く、また、強化繊維シート補強材の断面を欠損することがないか、或いは、最小限として、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強を施工することができる。
実施例2
上記実施例1では、先ず、定着具20を構造物100の貼着面101に接着して固定し、その後、補強用強化繊維シート補強材10を、その両端部が、両定着具20、20の定着用強化繊維シート補強材32と積層し、継手部40を形成するようにして、樹脂にて接着し、固定する、構成とした。
これに対して、本実施例では、図(a)、(b)に示すように、先ず、補強用強化繊維シート補強材10を、構造物100の貼着面101に接着して固定し、その後、その両端部領域に両定着具20、20を配置し、両定着具20、20の定着用強化繊維シート補強材32が、補強用強化繊維シート補強材10の両端部に積層し、継手部40を形成するようにして、樹脂にて接着し、固定する、構成とすることも可能である。
つまり、本実施例によれば、構造物100の貼着面101に細長形状の強化繊維シート補強材10を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物100の貼着面101に補強用強化繊維シート補強材10を樹脂にて接着し、
(b)補強用強化繊維シート補強材10の両端領域に位置して、上記構成の定着具20を配置し、少なくとも、定着具20から延在した定着用強化繊維シート補強材32を補強用強化繊維シート補強材10の両端継手領域40に積層して樹脂にて接着し、且つ、定着具20の定着体21を固定具25にて構造物100に固定する、
構成とされる。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図に示すように、更に、追加の補強層を積層することも可能である。
の実施例によれば、図(a)、(b)に示すと同様にして、コンクリート梁100のシート貼着面101に、第1の定着具20Aと第1の補強用強化繊維シート補強材10Aとを貼着して第1の補強層を形成する。
更に、本実施例によると、第1の定着具20Aと第1の補強用強化繊維シート補強材10Aとにて形成された第1の補強層の上に、第2の定着具20Bと第2の補強用強化繊維シート補強材10Bとを、同様の方法により、貼着し、第2の補強層を形成する。
勿論、必要に応じて、更に、第3層、第4層、といった補強層を形成することも可能である。
つまり、本実施例によれば、図にて、
(c)更に、両第1の定着具20Aの間の領域において、第1の補強用強化繊維シート補強材10Aに積層して、第2の補強用強化繊維シート補強材10Bを樹脂にて接着し、
(d)両第1の定着具20A、20Aの間の領域において、前記(a)工程にて接着された第1の補強用強化繊維シート補強材10Aに重なるようにして上記構成の第2の定着具20Bを配置し、第2の定着具20Bから延在した第2の定着用強化繊維シート補強材32Bを第2の補強用強化繊維シート補強材10Bの両端継手領域40に積層して樹脂にて接着し、且つ、第2の定着具20Bの定着体21Bを固定具25にて構造物100に固定し、
(e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す、
ことが可能である。
尚、複数の補強層を積層する場合には、外層の定着具は、内層の定着力を損なわないように、図に示すように、内層の定着用及び補強用強化繊維シート補強材が積層された継手部40の領域は避けて、補強用強化繊維シート補強材10のみとされる領域に位置するように配置するのが好ましい。
本実施例においても、実施例1と同様に、作業性が良く、また、強化繊維シート補強材の断面を欠損することがないか、或いは、最小限として、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強を施工することができる。
実施例3
上記実施例1、2では、樹脂が未だ含浸されていない強化繊維シート1、即ち、補強用強化繊維シート補強材10を使用し、コンクリート構造物表面に貼着するに際して、樹脂を強化繊維シート補強材10に含浸させ、コンクリート構造物表面101に接着するものとしたが、既に樹脂が含浸されたプリプレグの形態とされる強化繊維シート補強材10を使用することもできる。
つまり、予めマトリクス樹脂を含浸し、プリプレグの形態とされる樹脂含浸強化繊維シート補強材10、即ち、プリプレグシートを接着剤にてコンクリート構造物などの貼着面101に接着することも可能である。
また、同様に、定着具においては、定着体に巻き付け固定された部分以外の定着用強化繊維シート補強材32も又、コンクリート構造物表面に貼着するに際して、樹脂を強化繊維シート補強材10に含浸させ、コンクリート構造物表面101に接着するものとしたが、定着用強化繊維シート補強材30として、既に樹脂が含浸されたプリプレグの形態とされる定着用強化繊維シート補強材30を使用することもできる。この場合には、上述したように、定着体21に巻き付けた部分のみが硬化されているのが好ましい。
本実施例においても、マトリクス樹脂は、実施例1で説明したと同様に、熱硬化性樹脂とすることができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂を好適に使用し得る。
本発明に従った構造物の補強方法の一実施例を説明するための図である。 本発明に従った定着具の一実施例を説明するための図である。 定着体の構成を示す断面図である。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明に従った構造物の補強方法の効果を検討するための試験装置の概略構成図である。 定着体の直径と巻き数と、引張強度との関係を示すグラフである。 定着体の直径と巻き数と、引張強度との関係を示すグラフである。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明にて使用することのできる強化繊維シートの一実施例を示す斜視図である。 本発明にて使用することのできる強化繊維シートの他の実施例を示す斜視図である。 従来の構造物の補強方法における強化繊維シートの定着方法を説明するための図である。 従来の構造物の補強方法における強化繊維シートの定着方法を説明するための図である。 先の提案に係る構造物の補強方法における強化繊維シートの定着方法を説明するための図である。
符号の説明
1 強化繊維シート
2 強化繊維
3 支持体
4 強化繊維層
5 バラケ止め繊維
10 補強用強化繊維シート補強材
20 定着具
21 定着体
24 定着体貫通孔
25 アンカー(固定具
0 定着用強化繊維シート補強材
31 定着用強化繊維シート補強材の巻付け部
32 定着用強化繊維シート補強材の自由端部
100 構造物
101 構造物貼着面
102 構造物側面

Claims (14)

  1. 固定具により構造物に固定することのできる軸線方向に延在した棒状の定着体と、
    所定の幅と長さを備えたシート状とされる強化繊維シートにて作製され、一端部領域が前記定着体の周面に巻き付けられて前記定着体の周面に樹脂にて接着固定され、残りの領域は前記定着体の周面に接着固定されることなく前記定着体から延在している定着用強化繊維シート補強材と、
    を有する定着具において、
    前記定着用強化繊維シート補強材は、
    (1)強化繊維を一方向に配列した強化繊維層の片面、或いは、両面を、メッシュ状の支持体シートにより支持した構成の少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、
    (2)一方向に配列された強化繊維に対して直交して、横糸を一定の間隔にて打ち込んで構成した少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、
    (3)強化繊維で形成したシート状織物である少なくとも1枚の強化繊維シートにて構成され、
    前記定着体は、前記定着体の軸線方向に所定の間隔にて、前記固定具のための複数のアンカー孔が穿設され、前記アンカー孔の周囲の前記定着用強化繊維シート補強材は、前記アンカー孔を避けて両側に寄せられ、前記アンカー孔を穿設することにより切断されることがない、
    ことを特徴とする定着具。
  2. 前記定着体は、軸線方向の長さが前記定着用強化繊維シート補強材の幅と同じか、或いは幾分大きくされ、横断面形状が、円形、楕円形、長円形、或いは、隅角部が円弧状とされた多角形とされる柱状体又は円筒体であることを特徴とする請求項1の定着具。
  3. 前記定着用強化繊維シート補強材において、前記定着体の周面に接着固定されることなく前記定着体から延在している領域は、樹脂が含浸されていないか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートであるか、又は、樹脂が含浸され硬化されていることを特徴とする請求項1又は2の定着具。
  4. 前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の定着具。
  5. 前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の定着具。
  6. 構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
    (a)構造物の貼着面の両端領域に位置して、請求項1〜のいずれかの項に記載の定着具である第1の定着具を配置し、少なくとも、前記第1の定着具から延在した第1の定着用強化繊維シート補強材を前記貼着面に樹脂にて接着し、且つ、前記第1の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
    (b)前記両第1の定着具の間の前記構造物の貼着面に第1の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域が、前記両第1の定着具の前記第1の定着用強化繊維シート補強材と接合するようにした、
    ことを特徴とする構造物の補強方法。
  7. (c)更に、前記両第1の定着具の間の領域において、前記(b)工程にて接着された前記第1の補強用強化繊維シート補強材に重なるようにして請求項1〜のいずれかの項に記載の定着具である第2の定着具を配置し、少なくとも、前記第2の定着具から延在した第2の定着用強化繊維シート補強材を前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第2の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
    (d)前記両第2の定着具の間の領域において、前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して、第2の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、前記第2の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域が、前記両第2の定着具の前記第2の定着用強化繊維シート補強材と接合するようにし、
    (e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す、
    ことを特徴とする請求項の構造物の補強方法。
  8. 構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
    (a)構造物の貼着面に第1の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、
    (b)前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端領域に位置して、請求項1〜のいずれかの項に記載の定着具である第1の定着具を配置し、少なくとも前記第1の定着具から延在した第1の定着用強化繊維シート補強材を前記第1の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第1の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定する、
    ことを特徴とする構造物の補強方法。
  9. (c)更に、前記両第1の定着具の間の領域において、前記第1の補強用強化繊維シート補強材に積層して、第2の補強用強化繊維シート補強材を樹脂にて接着し、
    (d)前記両第1の定着具の間の領域において、前記(a)工程にて接着された前記第1の補強用強化繊維シート補強材に重なるようにして請求項1〜のいずれかの項に記載の定着具である第2の定着具を配置し、前記第2の定着具から延在した第2の定着用強化繊維シート補強材を前記第2の補強用強化繊維シート補強材の両端継手領域に積層して樹脂にて接着し、且つ、前記第2の定着具の定着体を固定具にて構造物に固定し、
    (e)必要に応じて、前記(c)、(d)工程を繰り返す、
    ことを特徴とする請求項の構造物の補強方法。
  10. 前記補強用強化繊維シート補強材は、強化繊維を一方向に配列した少なくとも1枚の一方向配列強化繊維シートか、又は、強化繊維で形成したシート状織物である少なくとも1枚の強化繊維シートにて構成されることを特徴とする請求項のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  11. 前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用されることを特徴とする請求項10の構造物の補強方法。
  12. 前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項11のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  13. 前記補強用強化繊維シート補強材は、前記構造物に貼着する前においては、樹脂未含浸シートであるか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートであることを特徴とする請求項12のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  14. 前記構造物は、コンクリート構造物或いは鋼構造物であることを特徴とする請求項13のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
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