JP4813888B2 - 構造物の補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維シート補強材を使用して土木建築構造物等であるコンクリート構造物、或いは、鋼構造物(本願明細書では、コンクリート構造物及び鋼構造物を含めて単に「構造物」という。)の曲げに対する補強を行う補強方法に関するものであり、特に、構造物に接着された強化繊維シート補強材の端部の定着方法に特徴を有する構造物の補強方法に関するものである。
構造物の補強方法として、近年、既存或いは新設の構造物の表面に強化繊維シート補強材として1枚或いは複数枚の連続強化繊維シートを貼り付ける接着工法が開発されている。
例えば、コンクリート構造物に強化繊維シート補強材を接着させ補強する場合には、設計上補強が必要な範囲から強化繊維シート補強材の定着長を考慮して貼り付ける必要がある。
しかしながら、定着長を確保できない場合は、強化繊維シート補強材の端部を鋼材で圧着し、鋼材をアンカーでコンクリート構造物に定着することが行われている。図14に、現在行われているコンクリート梁100を強化繊維シート補強材10にて曲げ補強する場合の、強化繊維シート補強材10の定着方法の一例を示す。
図14の構成では、コンクリート梁100の長手方向に沿って、梁100の下面101に強化繊維シート補強材10が貼り付けられている。強化繊維シート補強材10は、その幅方向端部に、梁100の長手方向に沿って延在する平らな鋼板110を配置し、アンカー111のような固定具にてコンクリート梁100に定着している。このように一箇所で定着するのでアンカー111のためのアンカー孔112が多数必要となる。
また、特許文献1に記載するように、図15に示す構成では、コンクリート梁100の長手方向に沿って、梁100の下面101及び両側面102に強化繊維シート補強材10が貼り付けられている。また、強化繊維シート補強材10の幅方向端部は、梁100の長手方向に沿って設けられた円柱形の定着体113に巻き付けられ、この定着体113をアンカー111にてコンクリート梁100の天井部103に定着している。
しかしながら、本例は、コンクリート梁100の剪断補強をなす場合の補強方法であって、強化繊維シート補強材10における強化繊維2は、梁100の下面101及び両側面102に延在したU字状にされて、梁100の長手方向に沿って配列して設けられている。従って、強化繊維シート補強材10の端部は、定着体113を用いて、アンカー111にてコンクリート梁100の天井部103に固着することが必須である。
もし、強化繊維シート補強材10の積層数、即ち、強化繊維シート1の枚数が増えた場合には、円柱形定着体113を大きくし、且つ、定着体113を固着するためのアンカー孔112を大きく且つ深くし、アンカー111による定着体113の固着力を増大させることが必要となる。このように、アンカー孔112を大きく、且つ、深くすることは、コンクリート構造物の破壊を招くといった虞が生じてくる。
特開平10−298930号公報
本発明者らの研究実験の結果によれば、強化繊維シート補強材による接着工法において、特に、同じ寸法の複数枚の強化繊維シート補強材をコンクリート構造物表面に積層して接着した場合において、上記定着方法を採用した場合には、次のような問題が発生することが分かった。
(1)強化繊維シート補強材を複数枚積層して接着した場合、同一位置で各層を接着することとなるが、設計上必要な定着長を確保できない場合は、強化繊維シート補強材にかかる引張力を固定具、例えば、アンカーの剪断耐力或いは鋼板の圧着による付着力との和で負担することになる。そのために、アンカーが多数必要となる。また、鋼板の面積が大きくなる。
(2)アンカーが同一定着位置で多数になる場合は、既設コンクリートの鉄筋の配置状況により、アンカー孔の削孔が容易に行えない可能性がある。
(3)高架橋などのコンクリート構造物では、仮設の足場での作業が主であるため、定着体としての鋼板の面積が大きくなった場合は、鋼板が非常に重く施工上困難となる場合が生じる。
(4)強化繊維シート補強材の使用枚数が増え、定着体を大きくする必要が生じた場合には、定着体固着のためのアンカー孔を深くし、又、大きくして、その固着力を増大させることが必要となり、そのために、コンクリート構造物を破壊する虞が生じてくる。
従って、本発明の目的は、鋼材料の使用を軽減し、軽量な構造にて強化繊維シート補強材の定着を可能とすることにより、施工を容易とすることのできる、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を提供することである。
本発明の他の目的は、複数枚の強化繊維シート補強材を分けて定着することにより、定着に用いる固定具の位置を分散させ、固定具用削孔位置の自由度があり、施工を容易とすることのできる、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を提供することである。
本発明の他の目的は、強化繊維シート補強材の断面を欠損することのない、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を提供することである。
本発明の他の目的は、積層された複数枚の強化繊維シート補強材を使用し、曲げを受ける部材では、曲げモーメント分布に合わせて強化繊維シート補強材が必要でなくなった断面での1層毎或いは複数層毎の定着を行うことができ、効率の良い補強を達成することのできる、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を提供することである。
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法にて達成される。要約すれば、本発明の第1の態様によれば、
構造物の貼着面に、連続した強化繊維を一方向に配列した一方向配列強化繊維シートを少なくとも1枚は含む細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)前記構造物の貼着面に、n枚(n:2以上の整数)の強化繊維シート補強材を前記構造物の貼着面から外側へと重ねて積層して、樹脂にて接着し、
(b)前記各層の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された棒状定着体に巻き付けて、樹脂で接着し、
(c)前記棒状定着体は、前記構造物の貼着面に貼付した最内層の第1層目の強化繊維シート補強材から最外層に貼付したn層目の強化繊維シート補強材へと、順次内方に位置して、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着される、
ことを特徴とする構造物の補強方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
構造物の貼着面に、連続した強化繊維を一方向に配列した一方向配列強化繊維シートを少なくとも1枚は含む細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)前記構造物の貼着面に第1層目の強化繊維シート補強材を樹脂にて接着する工程、
(b)前記第1層目の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記第1層目の強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された第1の棒状定着体に巻き付け、樹脂で接着する工程、
(c)前記第1の棒状定着体を、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着する工程、
(d)前記構造物の貼着面に接着された前記第1層目の強化繊維シート補強材に積層して第2層目の強化繊維シート補強材を貼付する工程、
(e)前記第1層目の強化繊維シート補強材の両端部を定着する二つの前記第1の棒状定着体より内方の領域にて、前記第2層目の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記第2層目の強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された第2の棒状定着体に巻き付け、樹脂で接着する工程、
(f)前記第2の棒状定着体を、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着する工程、
を少なくとも有することを特徴とする構造物の補強方法が提供される。
上記本発明にて一実施態様によれば、前記棒状定着体は、前記強化繊維シートが存在しない領域にて前記構造物に固定具にて固着される。
本発明の他の実施態様によれば、前記棒状定着体は、強化繊維シート補強材の長手方向に直交した長手方向軸線を有した細長部材であって、横断面形状が、円形、楕円形、長円形、或いは、隅角部が円弧状とされた多角形とされる。
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維シート補強材は、強化繊維で形成したシート状織物を含むことができる
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用される。
本発明の他の実施態様によれば、前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂である。
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維シート補強材は、前記構造体に貼着する前においては、樹脂未含浸シートであるか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートである。
本発明の他の実施態様によれば、前記構造物は、コンクリート構造物或いは鋼構造物である。
本発明によれば、
(1)定着体1個当たりの鋼材量の使用を軽減し、軽量な構造にて強化繊維シート補強材の定着を可能とすることにより、施工を容易とすることができる。
(2)複数枚の強化繊維シート補強材を分けて定着することにより、定着に用いる固定具の位置を分散させ、固定具用削孔位置の自由度があり、施工を容易とすることができる。
(3)固定具の取付を変えることによって、強化繊維シート補強材の断面を欠損することのない、コンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を提供することができる。
(4)積層された複数枚の強化繊維シート補強材を使用し、曲げを受ける部材では、曲げモーメント分布に合わせて強化繊維シート補強材が必要でなくなった断面での1層毎或いは複数層毎の定着を行うことができ、効率の良い補強を達成することができる。
以下、本発明に係るコンクリート構造物或いは鋼構造物のような構造物の補強方法を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明の構造物の補強方法は、梁又は桁部材、更には、壁、柱部材、床版などのスラブ部材など、建築或いは土木構造物などであるコンクリート構造物或いは鋼構造物の補強、特に曲げ補強に際して広く適用し得るが、本実施例では、コンクリート梁の曲げ補強に適用した場合について説明する。
本発明は、構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法に関するものであるが、図12に、本発明にて使用する強化繊維シート補強材10を構成する強化繊維シート1の一実施例を示す。
強化繊維シート1は、連続した強化繊維2を一様に引き揃え、一方向に配列した、所定の単位重量を有するものである。強化繊維シート1は、長さ(L0)が幅(W0)より大きくされた、即ち、本実施例では、繊維長さ方向に沿った長さ(L0)が、繊維長さ方向に対して直交する幅(W0)より大きくされた、所謂、細長形状とされる。強化繊維シート1の長さ(L0)及び幅(W0)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定される。
強化繊維2としては、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
又、強化繊維シート1は、取り扱いを容易とするために、図12に示すように、強化繊維2を一方向に配列した強化繊維層4の片面、或いは、両面を、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製したメッシュ状の支持体シート3により支持した構成とすることもできる。
メッシュ状支持体シート3にて強化繊維層4を保持する方法としては、例えば、メッシュ状支持体シート3を構成する縦糸6及び横糸7の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3を強化繊維層4の両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸6及び横糸7の部分を強化繊維層4に溶着する。
別法として、図13に示すように、強化繊維シート1は、一方向に配列された強化繊維2に対して直交して、繊維2のバラケ止めとして繊維5を横糸として一定の間隔にて打ち込み、所謂、織物(クロス)のような構造のシートとすることも可能である。繊維5としては、上述と同様に、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或は有機繊維が使用可能であるが、ガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維は、繊維束のバラケ防止効果が大きく、好ましく用いられる。この方法での、横糸の打ち込み間隔(p)に特に制限はないが、作製されたシートの取り扱い性を考慮して、通常1〜15mm間隔の範囲で選定される。
更に、図示してはいないが、強化繊維シート1は、強化繊維2を使用して織成された、繊維の主軸が2軸、3軸、4軸とされるシート状の織物とすることができる。例えば、織物としては、強化繊維2を二方向に配向させた平織物、綾織物、朱子織物や、強化繊維2を三方向、四方向に配向させた3軸、4軸織物などを使用することができる。
また、強化繊維シート補強材10は、1枚の強化繊維シート1で構成することもでき、又は、同じ構成の、或いは、異なる構成の複数枚の強化繊維シート1を積層して構成しても良い。
本発明の補強方法を実施する際に強化繊維シート補強材10に含浸されるマトリクス樹脂(即ち、接着剤)は、熱硬化性樹脂とすることができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂を好適に使用し得る。又、樹脂含浸量、即ち、樹脂の強化繊維シート補強材10に対する塗布量は、強化繊維シート補強材10の繊維目付が150〜600g/m2の範囲では、標準塗布量として0.6〜1.2kg/m2とされる。
本発明の補強方法の一実施例について説明する。本実施例ではコンクリート梁100を曲げ補強するものとする。
尚、本実施例では、強化繊維シート1は、繊維径7〜10μm程度のモノフィラメントを、例えば、約6000〜24000本収束した繊維束、即ち、炭素繊維2を使用し、この炭素繊維を均一に引き揃え、一方向に配列した炭素繊維シートであった。炭素繊維シートの厚さは0.083〜0.333mm(繊維目付150〜600g/m2)であった。また、樹脂としてはエポキシ樹脂を使用した。
本実施例に従って強化繊維シート補強材10による接着工法を実施するに際し、先ず、図1(a)〜図1(e)に示すように、強化繊維シート1が1枚、或いは、複数枚積層されて構成される強化繊維シート補強材10が複数枚、本実施例では、第1及び第2の強化繊維シート補強材10a1、10a2の2枚が準備される。
尚、上記強化繊維シート補強材10は、構造物100の貼着面101に貼着されるが、本明細書にて、「内側」とは、コンクリート梁100のような構造物のシート貼着面101側を意味し、「外側」とはこのシート貼着面101より離れる方向を意味する。又、強化繊維シート補強材10がシート貼着面101に接着され補強に供される際の、強化繊維シート補強材10の両端部から中央部に向かう方向を「内方」とし、その両端部側を「外方」と呼ぶ。
本実施例では、図1及び図2に示すように、コンクリート梁100のシート貼着面101には、内側層の第1層目を形成する第1の強化繊維シート補強材10a1と、その上に積層される外側層の第2層目を形成する第2の強化繊維シート補強材10a2とが貼着されるものとして説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、補強に使用する強化繊維シート補強材10は、3枚以上積層することも可能である。
また、上述のように、強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)は、各々、強化繊維シート1が1枚で構成することもでき、又は、同じ構成の、或いは、異なる構成の複数枚の強化繊維シート1を積層して構成しても良い。
本実施例によれば、図1(a)及び図1(b)に示すように、準備された第1の強化繊維シート補強材10a1を、接着剤が下塗りされたコンクリート梁シート貼着面101に貼り付ける。次いで、脱泡ローラ30を使用して脱泡・含浸させる。更に、必要に応じて、強化繊維シート補強材10a1に接着剤、即ち、マトリクス樹脂を塗布(上塗り)し、強化繊維シート補強材10a1にマトリクス樹脂を十分に含浸させ、強化繊維シート補強材10a1をコンクリート梁シート貼着面101に接着する。
次に、図1(c)及び図2(a)、(b)、(c)を参照して、強化繊維シート補強材10a1の定着方法について説明する。
図2(a)、(b)、(c)には、コンクリート梁100及び強化繊維シート補強材10aの一方端部(即ち、図面上左側端部)のみを示すが、同様の構成がコンクリート梁100及び強化繊維シート補強材10a1の他方端部にも適用される。
先ず、図1(c)及び図2(a)、(b)、(c)に示すように、強化繊維シート補強材10a1の端部を第1の定着体20a1に1回又は複数回巻き付ける。
定着体20a1は、軸線方向に延在する部材であって、軸線方向の長さ(Lx)(図2(b)参照)は、第1の強化繊維シート補強材10a1の幅(W0)と同じか、或いは幾分大きくされている。
また、定着体20a1は、本実施例では断面形状が円形とされる円柱形とされるが、これに限定されるものではない。定着体20a1は、強化繊維シート補強材10a1を巻き付けられる構造であれば、任意の形状とすることができる。例えば、図3(a)〜(f)に示すように、断面形状が円形状とされる定着体(図3(a))のほかに、正方形(図3(b))、3角形(図3(c))、長方形(図3(d))、などとされる隅角部が円弧状とされた多角形の定着体、また、断面形状が長円形(トラック形)のもの(図3(e))、断面形状が楕円形などとされる周面が曲面とされる定着体(図3(f))、など種々の断面形状をした柱状体であるか、或いは、図示してはいないが中空形状の円筒体とされる棒状の定着体20を使用することができる。
第1の強化繊維シート補強材10a1は、既にマトリクス樹脂が含浸されており、従って、定着体周面に樹脂にて接着される。必要に応じて、定着体周面に、更に樹脂(接着剤)を塗布しても良い。
次に、強化繊維シート補強材10a1が巻き付けられた定着体20a1は、図2(c)に最も分かり易く図示されるように、円柱状定着体20a1の直径方向に形成された貫通穴21a1を利用して、固定具、例えばアンカー22a1によりコンクリート構造物100に取り付けられる。このとき、定着体20a1により、強化繊維シート補強材10a1をコンクリート構造物表面101に圧着することは必須ではない。又、この状態で、樹脂が硬化されると、第1の強化繊維シート補強材10a1がコンクリート構造物100に定着されることとなる。
次に、図1(d)に示すように、上述の様にしてコンクリート構造物100の表面に貼着され、そして、端部が定着された第1の強化繊維シート補強材10a1が硬化した後に、或いは、未だ未硬化状態において、この第1の強化繊維シート補強材10a1に積層して、第2の強化繊維シート補強材10a2が樹脂により貼着される。
図1(d)に示すように、本実施例では、第2の強化繊維シート補強材10a2は、第1の強化繊維シート補強材10a1の両端定着部より内方に位置して貼着される。
次いで、図1(e)及び図2(a)、(b)、(c)に図示するように、第2の強化繊維シート補強材10a2の両端部は、第1の強化繊維シート補強材10a1と同様にして、その両端部が、第1の定着体20a1より距離P1だけ内方の位置にて第2の定着体20a2に1回又は複数回巻き付けられる。
第2の強化繊維シート補強材10a2は、既にマトリクス樹脂が含浸されており、第2の定着体周面に樹脂にて接着される。必要に応じて、定着体周面に更に樹脂を塗布しても良い。
次に、強化繊維シート補強材10a2が巻き付けられた定着体20a2は、円柱状定着体20a2の直径方向に形成された貫通穴21a2を利用して、アンカー22a2によりコンクリート構造物100に取り付けられる。このとき、定着体20a2により、強化繊維シート補強材10をコンクリート構造物表面101に圧着することは必須ではない。又、この状態で、樹脂が硬化され、第2の強化繊維シート補強材10a2がコンクリート構造物100に定着される。
上記第1及び第2の定着体20a1、20a2は同じ形状寸法とすることもでき、又、異なる形状寸法とすることもできる。
本実施例によれば、上記第1及び第2定着体20a1、20a2を用いて、炭素繊維シート補強材10(10a1、10a2)がコンクリート構造物100に定着される。
上記実施例においては、強化繊維シート補強材10は、第1及び第2の強化繊維シート補強材10a1、10a2にて構成され、第1及び第2の定着体20a1、20a2にてコンクリート構造物100に定着されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図4に示すように、強化繊維シート補強材10が第1、第2及び第3の強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)にて構成される場合には、第1、第2及び第3の定着体20a1、20a2、20a3にてコンクリート構造物100に定着することができる。
また、複数枚の強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)を使用した場合に、各強化繊維シート補強材10a1、10a2、10a3は、必ずしも同じ層数の強化繊維シート1にて構成する必要はなく、従って、この場合には、各定着体20a1、20a2、20a3には、異なる層数の強化繊維シート1を巻き付け、定着されることとなる。
次に、図5を参照して、例えば第1、第2及び第3の定着体20a1、20a2、20a3にて強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の端部を定着する場合の、第1、第2及び第3の定着体20a1、20a2、20a3の定着位置と、曲げモーメントとの関係について説明する。
図5の(A)の定着方法は、曲げモーメントに依存して各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の定着位置を決定する場合であって、曲げモーメント分布曲線から、設計上必要とされた各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の定着位置が決定される。
また、この場合には、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の端部の定着長、即ち、巻き量は、後述するように、数十cm程度となるように選定される。また、第1、第2及び第3の定着体20a1、20a2、20a3の間の距離P1、P2は、数m程度、例えば2m程度の範囲内において自由に選定される。
つまり、上記定着方法によれば、上述のように、曲げを受ける部材の補強に際して、積層された複数枚の強化繊維シート補強材10を使用し、且つ、各定着体20の距離Pを変更することにより、曲げモーメント分布に合わせて強化繊維シートが必要でなくなった断面での1層毎或いは複数層毎の定着を行うことができ、効率の良い補強を達成することができる。
一方、図5の(B)の定着方法は、曲げモーメントに依存しないで各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の定着位置を決定する場合であって、曲げモーメント分布曲線から、曲げモーメントがゼロとされる位置よりも外側領域に各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の定着位置が決定される。
この場合には、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の端部の定着長、即ち、巻き量は、上記の場合と同様に、数十cm程度となるように選定され、また、第1、第2及び第3の定着体20a1、20a2、20a3の間の距離P1、P2は、数十cm程度でよく、定着体20a1、20a2、20a3が互いに密着していても良い。
この定着方法によれば、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の端部の定着は、曲げモーメントがゼロの領域にて実施されるので、安全性が大きいという利点がある。ただ、この定着方法は、図5の(A)の定着方法に比較すると、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)は、より長くすることが必要となり、経済性の点では、図5の(A)の定着方法に比較すると劣る。
また、いずれの定着方法を採用した場合においても、本実施例によれば、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)の端部を定着体20(20a1、20a2、20a3)に巻き付けることで、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)にかかる引張力を負担し、余分に定着長を取らないで済む。従って、また、定着体自体小型化することができ、定着体1個当たりの鋼材量を低減することとなる。
更に、本実施例でによれば、各強化繊維シート補強材10(10a1、10a2、10a3)は、1層毎に定着するために、アンカー削孔位置の自由度が一箇所で纏めて定着する場合に比べて高くなる。
つまり、既設のコンクリート橋などにおいては、鉄筋が図面通りに配置されていない場合があり、従来のように、一箇所で各強化繊維シート補強材10を定着することとされる場合には、アンカー削孔が多数となるため、容易に施工できない場合がある。
本発明者らは、定着体20の形状と、強化繊維シート1の巻き付け回数との関連について検討した。次に、その検討結果について説明する。
(試験1)
図6に、本検討に使用した試験装置200の概略構成を示す。
図示するように、定着体20としては、断面が円形とされる長さ(Lx)が6.8cmの円柱体を使用した。定着体20は、両端面に一体に形成した取付部20Fを固定治具201の上に載置し、取付具202にて回転しないようにして固定した。定着体20の直径(D)は、下記表1に示すように、20mm、40mm、60mmのものを用意した。
強化繊維シート補強材10としては、図12に示す構成の、強化繊維として炭素繊維を一方向に引き揃えて作製された炭素繊維シート1を使用した。本検討で使用した炭素繊維シート1は、日鉄コンポジット株式会社製の高強度型の炭素繊維シートFTS−C1−30(公称引張強度3400N/mm2)を用いた。炭素繊維シート1の幅(W0)は、12.5mmであった。
炭素繊維シート1は、その一方の端部を、図示するように、円形断面を有する定着体20に巻き付け、定着体20の周面にエポキシ樹脂で固定した。
一方、炭素繊維シート1の他方の端部(タブ付け部)1Fは、定着体20から上方へと垂直に持ち上げ、引張試験装置(図示せず)に取り付けた。炭素繊維シート1の上端タブ付け部1Fの長さ(L1)は60mm、タブ付け部1Fから定着体20に対する巻き付け開始部までの長さ(L2)は250mmであった。
実験変数は、定着体20の円柱断面の直径(D)と巻き付け回数とした。
炭素繊維シート試験片1は、7体とし、また、予め、炭素繊維シート1の物性を調べるために通常の連続繊維シートの引張試験を行った。
試験結果として、引張強度の平均値を、表1及び図7に示す。この試験結果から、直径が20mmの円形断面を持つ定着体に巻くことにより、炭素繊維シートが破断に至ることが確認された。又、定着体を用いた試験片は、定着体の径と、定着体への試験片の巻き数とが大きいほど強度がでることが分かった。
Figure 0004813888
定着体20の直径(D)が40mm、60mmで、2周巻きの試験片では、公称引張強度(3400N/mm2)を上回る。
破断位置は、いずれの試験体も定着体近傍の破断が主であった。巻き付け位置において繊維方向が変化するため、応力集中が定着体近傍で起こっていると考えられる。
定着体20の直径(D)が大きいほど応力集中が小さくなるため、直径(D)が40mm以上で且つ2周以上巻き付けることが好ましいと考えられる。
(試験2)
試験1とは異なる炭素繊維シート1を使用し、定着体20の直径(D)としては、下記表2に示すように、40mm、60mmのものを使用した以外は、試験1と同じ試験装置200を使用し、同様の試験片を作製し、同様の方法にて、試験を行った。
この試験2で使用した炭素繊維シート1は、図12に示す構成の、強化繊維として炭素繊維を一方向に引き揃えて作製された、日鉄コンポジット株式会社製の高強度型の炭素繊維シートFTS−C1−60(公称引張強度3400N/mm2)を用いた。炭素繊維シート1の幅(W0)は、試験1の場合と同様に、12.5mmであった。
試験結果として、引張強度の平均値を、表2及び図8に示す。この試験結果から、直径が20mmの円形断面を持つ定着体に巻くことにより、炭素繊維シートが破断に至ることが確認された。又、定着体を用いた試験片は、定着体の径と、定着体への試験片の巻き数とが大きいほど強度がでることが分かった。
Figure 0004813888
定着体20の直径(D)が40mm、60mmで、2周巻きの試験片では、公称引張強度(3400N/mm2)を上回る。
破断位置は、いずれの試験体も定着体近傍の破断が主であった。巻き付け位置において繊維方向が変化するため、応力集中が定着体近傍で起こっていると考えられる。
定着体20の直径(D)が大きいほど応力集中が小さくなるため、直径(D)が40mm以上で且つ2周以上巻き付けることが好ましいと考えられる。
上記実施例の説明では、図1(a)〜(e)及び図2(a)〜(c)に示すように、コンクリート梁100のシート貼着面101には、内層の第1層目を形成する第1の強化繊維シート補強材10a1と、その上に積層される外層の第2層目を形成する第2の強化繊維シート補強材10a2とが貼着されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
即ち、補強に使用する強化繊維シート補強材10は、n枚(nは2以上の整数であり、通常nは2〜10)だけ積層することも可能である。
従って、本実施例の構造物の補強方法は、構造物の貼着面に細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物100の貼着面101に、n枚(n:2以上の整数)の強化繊維シート補強材10を構造物100の貼着面101から外側へと重ねて積層し、樹脂にて接着し、
(b)各層の強化繊維シート補強材10の長手方向両端部を各々、強化繊維シート補強材10の長手方向に直交して配置された棒状定着体20に巻き付け、樹脂で接着し、
(c)棒状定着体20は、構造物の貼着面に貼付した最内層の第1層目の強化繊維シートから最外層に貼付したn層目の強化繊維シートへと、順次内方に位置して構造物100に固定具22にて固着する、
構成に特徴を有している。
従って、本実施例によれば、鋼材料の使用を軽減し、軽量な構造にて強化繊維シート補強材の定着が可能とされ、従って、施工が容易である。
また、強化繊維シート補強材を分けて定着することにより、定着に用いる固定具、例えば、アンカーの位置を分散させ、アンカー削孔位置の自由度があり、施工が容易である。
更に、積層された複数枚の強化繊維シート補強材を使用し、曲げを受ける部材では、曲げモーメント分布に合わせて強化繊維シート補強材が必要でなくなった断面での1層毎或いは複数層毎のの定着を行うことができ、効率の良い補強を達成することができる。
実施例2
図9(a)、(b)に、本発明の他の実施例を示す。
実施例1では、図2(a)、(b)、(c)に示すように、強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)が巻き付けられた定着体20(20a1、20a2)は、円柱状定着体20(20a1、20a2)の直径方向に形成された貫通穴21(21a1、21a2)を利用して、アンカー22(22a、22b)によりコンクリート構造物100に取り付けられた。
このような構成では、定着体20に巻き付けられた強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)に欠損部分が生じる。
本実施例によれば、定着された強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)に欠損部分が生じない定着方法に特徴を有している。
つまり、本実施例の補強方法は、図1に関連して実施例1で説明したと同様の構成とされる。従って、全体の補強方法については、実施例1の説明を援用し、再度の説明を省略する。以下、本実施例の特徴をなす強化繊維シート補強材の定着方法について説明する。
本実施例によると、図9(a)、(b)に示すように、定着体20(20a1、20a2)には、実施例1と同様に、アンカー22(22a1、22a2)を挿通するための貫通穴21(21a1、21a2)が直径方向に形成されているが、この貫通穴21(21a1、21a2)は、強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)が巻き付けられた領域ではない位置、即ち、定着体20の軸線方向において、強化繊維シート補強材10が巻き付けられた領域よりも軸線方向外方の位置に形成されている。
従って、本実施例の定着方法によれば、定着体20に巻き付けられた強化繊維シート補強材10a1、10a2に欠損部分は生じない。
図9(a)、(b)には、強化繊維シート補強材10が2枚使用される態様を示すが、本実施例の原理は、実施例1の場合と同様に、n枚(nは2以上の整数)とされる場合にも同様に適用される。
本実施例の構造物の補強方法によれば、実施例1の場合と同様の作用効果を達成し得ると共に、強化繊維シート1の断面を欠損することがない。
実施例3
図10に、本発明の他の実施例を示す。
実施例2では、図9(b)に示すように、コンクリート梁100の下面領域101の幅(Wh)が、貼付される強化繊維シート補強材10の幅(W0)より大きく、梁100の下面部101にアンカー22のための削孔が可能な場合には、好適に採用し得る。
本実施例は、図10(b)に示すように、コンクリート梁100の下面領域101の幅(Wh)が、貼付される強化繊維シート補強材10の幅(W0)と実質的に同じ大きさとされるか、或いは、梁100の下面部101にアンカー22のための削孔が極めて困難な場合に、好適に採用される。
また、本実施例の補強方法は、図1に関連して実施例1で説明したと同様の構成とされる。従って、全体の補強方法については、実施例1の説明を援用し、再度の説明を省略する。以下、本実施例の特徴をなす強化繊維シート補強材の定着方法について説明する。
つまり、本実施例によると、図10(a)、(b)に示すように、定着体20(20a1、20a2)は、その軸線方向長さ(Lx)が、強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)の幅(W0)と実質的に同じか或いは若干長くされ、その両端面に一体に支持板23(23a1、23a2)の一端が取り付けられている。支持板23(23a1、23a2)は、他端がコンクリート梁100の側面部202へと延在しており、また、支持板23にはアンカー22(22a1、22a2)を挿通させるための貫通穴(図示せず)が形成されている。
従って、強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)の端部が巻き付けられた定着体20(20a1、20a2)は、支持板23(23a1、23a2)の貫通穴を利用して、アンカー22(22a1、22a2)によりコンクリート構造物100の側面部102に取り付けられる。
従って、本実施例の定着方法によれば、実施例2の場合と同様に、定着体20(20a1、20a2)に巻き付けられた強化繊維シート補強材10(10a1、10a2)に欠損部分は生じない。
図10(a)、(b)には、強化繊維シート補強材10が2枚使用される態様を示すが、本実施例の原理は、実施例1、2の場合と同様に、n枚(nは2以上の整数)とされる場合にも同様に適用される。
本実施例の構造物の補強方法によれば、実施例1の場合と同様の作用効果を達成し得ると共に、強化繊維シートの断面を欠損することがなく、定着方法としてはより優れている。
実施例4
図11(a)、(b)、(c)に、本発明の構造物の補強方法の他の実施例を示す。本実施例では、例えば床版のように、実施例1などで説明した梁よりは、曲げ補強が必要な面積が大とされる構造物100の曲げ補強をする場合に好適に適用される補強方法について説明する。
先ず、図11(a)を参照して説明すると、この実施例では、強化繊維シート補強材10による接着工法を実施するに当たり、先ず、強化繊維シート1が1枚、或いは、複数枚積層されて構成される強化繊維シート補強材10が複数枚、本実施例では、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1の4枚が準備される。
本実施例にて、各強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1は、全てを同じものとすることもでき、また、特定の補強材は、同じ強化繊維を使用した異なる枚数の強化繊維シートにて構成することもできる。更には、必要に応じて、強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1の特定のものは強化繊維自体が異なるもので構成することもできる。
本実施例では、図11(a)に示すように、コンクリート梁100のシート貼着面101には、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1が互いに平行に配置して、シート貼着面101に接着される。この工程は、実施例1にて、図1(a)〜(c)を参照して説明した工程と同じである。
つまり、準備された第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1を、接着剤が下塗りされたコンクリート床版シート貼着面101に貼り付ける。次いで、脱泡ローラを使用して脱泡・含浸させる。更に、必要に応じて、強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1に接着剤、即ち、マトリクス樹脂を塗布(上塗り)し、強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1にマトリクス樹脂を十分に含浸させ、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1をコンクリート床版シート貼着面101に接着する。
次に、実施例1にて、図1(c)及び図2(a)、(b)、(c)を参照して説明したと同様にして、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1の端部を第1、第2、第3及び第4の定着体20a1、20b1、20c1、20d1に1回又は複数回巻き付ける。
第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1は、既にマトリクス樹脂が含浸されており、従って、定着体周面に接着剤にて接着される。必要に応じて、更に定着体周面に接着剤を塗布しても良い。
次に、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1が巻き付けられた第1、第2、第3及び第4の定着体20a1、20b1、20c1、20d1は、実施例1にて図2(c)を参照して説明したと同様に、各円柱状定着体20a1、20b1、20c1、20d1の直径方向に形成された貫通穴(図11(a)には図示せず)を利用して、固定具、例えばアンカー22a1、22b1、22c1、22d1によりコンクリート構造物100に取り付けられる。このとき、定着体20a1、20b1、20c1、20d1により、強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1をコンクリート構造物表面101に圧着することは必須ではない。又、この状態で、樹脂が硬化されると、第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1がコンクリート構造物100に定着されることとなる。
定着体20は、実施例1の場合と同様に、強化繊維シートを巻き付けられる構造であれば、任意の形状とすることができ、例えば、図3に示すように、隅角部が円弧状とされた、断面形状が3角形、正方形、長方形、楕円形、長円形などの柱状体或いは円筒体などを使用することができる。
本実施例にて、互いに隣接する各強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1の間には、間隙Gを設けても良く、また、密接して、即ち、間隙Gが略々ゼロとなるように、配置しても良い。
図11(a)には、強化繊維シート補強材10が4枚使用される態様を示すが、本実施例の原理は、4枚に限定されるものではなく、n枚(n:2以上の整数)、通常n=2〜10程度、とされる場合にも同様に適用される。
以上説明したように、上記構成の本実施例の補給方法は、構造物100の貼着面101に細長形状の強化繊維シート補強材10を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
(a)構造物100の貼着面101に、n枚(n:2以上の整数)の強化繊維シート補強材10を、互いに隣接して且つ平行に樹脂にて接着し、
(b)n枚の強化繊維シート補強材10の長手方向両端部を各々、強化繊維シート補強材10の長手方向に直交して配置された棒状定着体20に巻き付け、樹脂で接着し、
(c)棒状定着体20を前記構造物100に固定具22にて固着する、
構成に特徴を有している。
図11(b)に、上記実施例の変更実施例を示す。
この変更実施例では、上記実施例における第1、第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1の少なくともいずれかの強化繊維シート補強材に対して、即ち、本実施例では、図11(b)に示すように、第1の強化繊維シート補強材10a1に対して、実施例1と同様に、更に、他の強化繊維シート補強材10a2を積層しても良い。勿論、上記第2、第3及び第4の強化繊維シート補強材10b1、10c1、10d1の全てに対して同じように他の強化繊維シート補強材10を積層しても良い。
また、積層される強化繊維シート補強材10の積層枚数は、2枚に限定されるものではなく、実施例1で説明したように、n枚(n:2以上の整数)、通常n=2〜10程度積層しても良い。
更に、図11(c)に本実施例の変更実施例を示す。
この変更実施例では、図11(a)にて説明したと同様にして、上記第1、第2、第3、第4及び第5の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1、10e1が構造物100の貼着面101に貼着され、定着体20a1、20b1、20c1、20d1、20eにて定着される。
この第1、第2、第3、第4及び第5の強化繊維シート補強材10a1、10b1、10c1、10d1、10e1に対して、直交するようにして、他のシート補強材10f1、10g1、10h1、10i1、10j1、10k1、10l1が積層される。積層枚数は5枚に限定されるものではなく、n枚(n:2以上の整数)、通常n=2〜10程度、積層しても良い。
つまり、上記変更実施例によれば、更に、上記本実施例にて説明した、上記工程(a)〜(c)に記載する工程に加えて、更に、
(d)構造物100の貼着面101に接着されたn枚の強化繊維シート補強材10に直交して少なくとも1枚の直交強化繊維シート補強材10を貼付し、
(e)直交強化繊維シート補強材10の長手方向両端部を各々、前記直交強化繊維シート補強材10の長手方向に直交して配置された棒状定着体20に巻き付け、樹脂で接着し、
(f)棒状定着体20を前記構造物100に固定具にて固着する、
構成に特徴を有している。
又、上記実施例及び変更実施例では、図11(a)、(b)、(c)に示すように、定着体20には、実施例1と同様に、アンカー22を挿通するための貫通穴21が直径方向に形成されているが、この貫通穴21は、実施例2で説明したように、強化繊維シート補強材10が巻き付けられた領域ではない位置、即ち、定着体20の軸線方向において、強化繊維シート補強材10が巻き付けられた領域よりも軸線方向外方の位置に形成することもできる。
本実施例及び変更実施例においても、実施例1、実施例2の場合と同様の作用効果を達成し得る。
実施例5
上記実施例1〜4では、樹脂が未だ含浸されていない強化繊維シート1、即ち、強化繊維シート補強材10を使用し、コンクリート構造物表面に貼着するに際して、樹脂を強化繊維シート補強材10に含浸させ、コンクリート構造物表面101に接着するものとしたが、既に樹脂が含浸されたプリプレグの形態とされる強化繊維シート補強材10を使用することもできる。
つまり、予めマトリクス樹脂を含浸し、プリプレグの形態とされる樹脂含浸強化繊維シート補強材10、即ち、プリプレグシートを接着剤にてコンクリート構造物などの貼着面101に接着することも可能である。
本実施例においても、マトリクス樹脂は、実施例1で説明したと同様に、熱硬化性樹脂とすることができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂を好適に使用し得る。
また、プリプレグ形態とされた樹脂含浸強化繊維シート補強材10をコンクリート梁、床版などの表面101に接着する接着樹脂としてはマトリクス樹脂と同じ或いは同系の樹脂を使用することができる。
プリプレグ形態とされた樹脂含浸強化繊維シート補強材10の端部の定着方法は、実施例1、2で説明したと同じであるので、再度の説明は省略する。
上記実施例1〜5では、コンクリート構造物の補強に関して説明したが、本発明は、鋼構造物の補強に際しても同様に適用することができ、同様の作用効果を達成し得る。
本発明に従った構造物の補強方法の一実施例の工程を説明するための図である。 本発明に従った構造物の補強方法の一実施例を説明するための図である。 定着体の構成を示す断面図である。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 定着体の定着位置と曲げモーメントとの関係を説明する図である。 本発明に従った構造物の補強方法の効果を検討するための試験装置の概略構成図である。 定着体の直径と巻き数と、引張強度との関係を示すグラフである。 定着体の直径と巻き数と、引張強度との関係を示すグラフである。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明に従った構造物の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 本発明にて使用することのできる強化繊維シートの一実施例を示す斜視図である。 本発明にて使用することのできる強化繊維シートの他の実施例を示す斜視図である。 従来の構造物の補強方法における強化繊維シートの定着方法を説明するための図である。 従来の構造物の補強方法における強化繊維シートの定着方法を説明するための図である。
符号の説明
1 強化繊維シート
2 強化繊維
3 支持体
4 強化繊維層
5 バラケ止め繊維
10 強化繊維シート補強材
20 定着体
21 定着体貫通穴
22 アンカー(固定具)
23 支持板
100 構造物
101 構造物貼着面
102 構造物側面

Claims (9)

  1. 構造物の貼着面に、連続した強化繊維を一方向に配列した一方向配列強化繊維シートを少なくとも1枚は含む細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
    (a)前記構造物の貼着面に、n枚(n:2以上の整数)の強化繊維シート補強材を前記構造物の貼着面から外側へと重ねて積層して、樹脂にて接着し、
    (b)前記各層の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された棒状定着体に巻き付けて、樹脂で接着し、
    (c)前記棒状定着体は、前記構造物の貼着面に貼付した最内層の第1層目の強化繊維シート補強材から最外層に貼付したn層目の強化繊維シート補強材へと、順次内方に位置して、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着される、
    ことを特徴とする構造物の補強方法。
  2. 構造物の貼着面に、連続した強化繊維を一方向に配列した一方向配列強化繊維シートを少なくとも1枚は含む細長形状の強化繊維シート補強材を複数枚樹脂で接着することにより構造物を補強する補強方法において、
    (a)前記構造物の貼着面に第1層目の強化繊維シート補強材を樹脂にて接着する工程、
    (b)前記第1層目の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記第1層目の強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された第1の棒状定着体に巻き付け、樹脂で接着する工程、
    (c)前記第1の棒状定着体を、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着する工程、
    (d)前記構造物の貼着面に接着された前記第1層目の強化繊維シート補強材に積層して第2層目の強化繊維シート補強材を貼付する工程、
    (e)前記第1層目の強化繊維シート補強材の両端部を定着する二つの前記第1の棒状定着体より内方の領域にて、前記第2層目の強化繊維シート補強材の長手方向両端部を各々、前記第2層目の強化繊維シート補強材の長手方向に直交して前記強化繊維シート補強材の幅方向に配置された第2の棒状定着体に巻き付け、樹脂で接着する工程、
    (f)前記第2の棒状定着体を、前記一方向配列強化繊維シートの前記強化繊維の長さ方向に対して直交するようにして前記構造体に取り付けられる固定具により前記構造物に固着する工程、
    を少なくとも有することを特徴とする構造物の補強方法。
  3. 前記棒状定着体は、強化繊維シート補強材が存在しない領域にて前記構造物に固定具にて固着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の補強方法。
  4. 前記棒状定着体は、強化繊維シート補強材の長手方向に直交した長手方向軸線を有した細長部材であって、横断面形状が、円形、楕円形、長円形、或いは、隅角部が円弧状とされた多角形とされることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  5. 前記強化繊維シート補強材は、強化繊維で形成したシート状織物を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  6. 前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  7. 前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  8. 前記強化繊維シート補強材は、前記構造物に貼着する前においては、樹脂未含浸シートであるか、又は、樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシートであることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  9. 前記構造物は、コンクリート構造物或いは鋼構造物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
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