JP6528268B2 - 鉄筋コンクリート構造体の補強構造及び鉄筋コンクリート構造体の補強方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート構造体の補強構造及び鉄筋コンクリート構造体の補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート構造体の補強構造及び鉄筋コンクリート構造体の補強方法にかかり、特に、既存の鉄筋コンクリート造の梁や柱に開口が設けられたときに、その開口が設けられた梁や柱の補強構造及び補強方法に関する。
従来から、鉄筋コンクリート構造物、あるいは鉄骨鉄筋コンクリート構造物の梁には、設備配管等の機器類を通すための貫通孔や、機器類を収容するための貫通していない窪み、すなわち穴が設けられることがある。なお、本発明では、上述の貫通孔や穴を含めて「開口」とし、また、鉄骨鉄筋コンクリート構造物を含めて「鉄筋コンクリート構造物」と称している。
新築の鉄筋コンクリート造の梁に開口を設ける場合は、開口を設けることによる強度不足や剛性不足を補うために、開口を設けない場合よりも多くの鉄筋が配筋されている。したがって、新築の鉄筋コンクリート造の梁では、開口が設けられていることによる強度不足や剛性不足が生じることはない。
ところで、既設の鉄筋コンクリート造の梁に開口を設ける場合は、開口を設けることで強度不足や剛性不足が生じることがある。この場合は、強度不足や剛性不足を補うために、後から補強を行う必要がある。この補強として鉄筋量を増やす場合は、既設のコンクリートを大きくはつらなければならない。したがって、施工時の騒音が大きくなったり、粉塵が多く飛散してしまったり、工期が長くなってしまったりするという欠点がある。
このような欠点を解決するために、コンクリートのはつり作業を伴わない補強構造が提案されている。特許文献1では、開口の周囲に鋼板を設ける補強構造の例が示されている。すなわち、この特許文献1には、補強板としての一対の鋼板を梁の両面に固定して補強するようにしている。この鋼板は、本体部と屈曲部とからなるL型の断面形状を有しており、梁の両側面から下面に沿うように接着剤で貼り付けられる。そして、鋼板の本体部の上端部は、ボルトにより梁に定着されるように構成されている。
また、上述の鋼板に変えて炭素繊維シート等からなる補強シートを用いる補強方法も提案されている。この補強シートを用いる補強方法としては、コンクリート躯体の開口の周囲に補強シートを貼着したり、あるいは、その貼着した補強シートをボルトにより梁に定着したりして補強する方法が知られている。
特開2005−83047号公報
上記補強シートを用いる補強方法は、特許文献1に記載されるような鋼板からなる補強板をコンクリート躯体に設ける場合と比べて、薄くて高強度のシートをコンクリート躯体に貼着するため、空間的な制約を受けることがなく、軽量でハンドリング性に優れ、作業能率・作業安全性の向上が図れるという特長を有している。
しかしながら、補強シートを用いる補強方法において、単にコンクリート躯体における開口の周囲に補強シートを貼着する場合は、開口が設けられる梁の耐力低下を補強する効果が低く、また、貼着した補強シートをボルトにより梁に定着する場合は、小さい径の開口のときはある程度の耐力低下の補強効果が期待できるが、その径が大きいときは耐力低下の補強効果が期待できないという課題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためなされたものであって、既設の鉄筋コンクリート造の梁や柱に大きい径の開口が設けられる場合でも、補強シートを用いて十分な耐力の補強効果を得ることのできる鉄筋コンクリート構造体の補強構造及び鉄筋コンクリート構造体の補強方法を提供することにある。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造は、上記目的を達成するために、開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体における開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側にそれぞれ貼着される第1、第2帯状補強シートと、記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第3、第4帯状補強シートと、前記開口側の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って貼着される第1幅広補強シート、及び前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って貼着される第2幅広補強シートと、前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体にそれぞれ定着する定着手段と、を備え、前記第3、第4帯状補強シートは、それぞれX字状に配置されることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、開口が設けられている鉄筋コンクリート構造体の補強として、第1〜第4帯状補強シート、第1,第2幅広補強シート及び定着手段が用いられる。よって、第1幅広補強シートは、第1、第2、第3帯状補強シートの定着力を強化し、また、第2幅広補強シートは、第1、第2、第4帯状補強シートの定着力を強化することができる。
また、第3帯状補強シート及び第4帯状補強シートがそれぞれX字状にして帯状補強シートの傾きを二方向としている。よって、地震などの鉛直方向と水平方向との両方向の荷重が作用する場合には、第1帯状補強シートと第2帯状補強シートとを二方向で接続して、効果的に補強することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造は、前記第1、第2幅広補強シートは、前記鉄筋コンクリート構造体における前記開口側の面から該開口側の面と反対側の面にわたって、前記鉄筋コンクリート構造体を巻回するように貼着されていることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造物の補強構造では、鉄筋コンクリート構造体における開口側の面から反対側の面にわたって、鉄筋コンクリート構造体を巻回するように第1、第2幅広補強シートが貼着されている。これにより、開口が鉄筋コンクリート構造体を貫通するような貫通孔であっても、鉄筋コンクリート構造体を巻回して開口側の面から反対側の面まで一体的に、第1、第2、第3、第4帯状補強シートの定着力を強化することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造は、定着手段はCFアンカーであることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、定着手段はCFアンカーであるため、汎用の定着手段を採用することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造は、前記定着手段は、アングル部材と、取付ボルト・ナットとを有する定着金物であることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、定着手段はアングル部材と、取付ボルト・ナットとを有する定着金物であるため、汎用の定着手段を採用することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、鉄筋コンクリート構造体が梁であって、前記CFアンカーが、第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第5帯状補強シートを介して前記梁の一方側に設けられる柱に定着されるとともに、前記第1、第2帯状補強シートに接続して貼着される第6帯状補強シートを介して前記柱と反対側で梁に定着されることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、開口が設けられている梁に隣接して柱が存在していても、容易に対処することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造は、第1、第2、第3及び第4帯状補強シートは、前記梁の前記開口側の面から該梁の底面に沿って折り曲げて貼着されていることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、第1、第2、第3及び第4帯状補強シートのうち、梁の下端側に位置する部分は、梁の開口側の面から底面に沿って折り曲げられているので、開口が梁の底面に近く設けられていても補強効果を得ることができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造は、梁の下部には、垂れ壁が設けられ、第1、第2幅広補強シートは前記CFアンカーを介して前記垂れ壁に固定されることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、梁の下部に垂れ壁が設けられていても、容易に対処することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造は、帯状補強シート及び幅広補強シートは炭素繊維シートからなることを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造体の補強構造では、帯状補強シート及び幅広補強シートが炭素繊維シートからなるので、補強効果を高めることができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、上記目的を達成するために、開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体の開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側に第1、第2帯状補強シートをそれぞれ貼着し、前記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して第3、第4帯状補強シートをそれぞれX字状に配置して貼着し、前記開口の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って第1幅広補強シートを貼着するとともに、前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って第2幅広補強シートを貼着し、前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体に定着手段を用いてそれぞれ定着する、ことを特徴としている。
上記構成の鉄筋コンクリート構造物の補強方法では、開口が設けられる鉄筋コンクリート構造体の補強として、第1、第2、第3及び第4帯状補強シート、第1,第2幅広補強シート及び定着手段を用いられる。よって、第1幅広補強シートは、第1、第2、第3帯状補強シートの定着力を強化し、また、第2幅広補強シートは、第1、第2、第4帯状補強シートの定着力を強化することができる。
また、第3帯状補強シート及び第4帯状補強シートがそれぞれX字状にして帯状補強シートの傾きを二方向としている。よって、地震などの鉛直方向と水平方向との両方向の荷重が作用する場合には、第1帯状補強シートと第2帯状補強シートとを二方向で接続して、効果的に補強することができる。
本発明によれば、鉄筋コンクリート構造体の補強は、第1〜第4帯状補強シート、第1,第2幅広補強シート及び定着手段により構成されるので、第1幅広補強シートは、第1、第2、第3帯状補強シートの定着力を強化することができ、また、第2幅広補強シートは、第1、第2、第4帯状補強シートの定着力を強化することができる。したがって、鉄筋コンクリート造の梁や柱の構造物に後に開口が設けられても、その構造物の耐力を大きく向上させることができる。
(a),(c),(e)は、本発明の第1の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造の施工工程を示す正面図、(b),(d),()はそれぞれのX−X線断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造の正面図、(b)は、(a)のX−X線断面図である。 (a)は、本発明の第3の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造の正面図、(b)は、(a)のX−X線断面図である。 (a)は、本発明の第4の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造の正面図、(b)は、(a)のX−X線断面図である。 (a)は、本発明の第5の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造の正面図、(b)は、(a)のX−X線断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、この実施の形態により限定されるものではなく、また、下記の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一ものも含まれる。
本発明の第1の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造体の補強構造は、その補強対象物は鉄筋コンクリート造の梁1として示されている。この梁1は、水平方向(第1方向)に延び、図示しない鉄筋コンクリート造の建物の梁の一部分を示していて、その梁1の上面は、周知の鉄筋コンクリート造の建物と同様に、スラブ2と一体化されている。
この梁1の上下方向(第1方向)の中央部には開口3が設けられている。この開口3は鉄筋コンクリート構造物の完成後に設けられている。つまり、開口3は、既設の鉄筋コンクリート造の梁1に設けられたものである。この開口3は、軸心方向が梁1の長手方向と直交し、かつ、スラブ2の面方向と同方向とされ、所定の径を有している。図示の開口3の大きさは、梁1の高さに対して比較的大きな割合を占める貫通孔として示されている。なお、図1では、梁1及びスラブ2内に設けられている配筋は省略されている。後述する図2〜図5でも同様である。
さて、第1の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の梁1の補強構造は、梁1における開口3が形成される面(開口側の面)1A,1Bに設けられている。梁1の補強構造は、第1〜第4帯状補強シート10〜13と、第1,第2幅広補強シート20,21と、CFアンカー30と、を備えている。第1〜第4帯状補強シート10〜13は、炭素繊維シートからなり、所定幅の帯状(テープ状)に形成されている。第1,第2幅広補強シート20,21も炭素繊維シートからなり、第1〜第4帯状補強シート10〜13よりも幅広に作られている。また、CFアンカー30は、周知のCFアンカーと同様に、炭素繊維シートの原材料である炭素繊維ストランドの端部を扇形に成形加工したものである。すなわち、このCFアンカー30は、多数本の炭素繊維等の強化繊維からなり、扇形の要に当たる基端部30A側が束ねられ、その基端部30Aと反対側の先端30B側は扇形に広げられるように構成されている。
以下、図1(a)〜(f)を用いて補強構造の施工順に説明する。
(第1帯状補強シートの貼着)
図1(a),(b)に示すように、第1帯状補強シート10は、梁1の面1Aにおいて、開口3の上方に接着剤を用いて貼着される。すなわち、第1帯状補強シート10は、開口3の上方で水平方向に沿うように梁1に貼着される。この第1帯状補強シート10は、梁1における面1Aとは反対側の面1Bにも同様に貼着される。なお、接着剤は、炭素繊維シート用として周知のエポキシ樹脂系やMMA(メタクリル酸メチル)樹脂等の接着剤が用いられる。以下の貼着においても同様の接着剤が用いられる。
(第2帯状補強シートの貼着)
第2帯状補強シート11は、梁1の面1Aにおいて、開口3の下方に接着剤を用いて貼着される。すなわち、第2帯状補強シート11は、開口3の下方で水平方向に沿うように梁1に貼着される。この第2帯状補強シート11は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
(第3帯状補強シートの貼着)
図1(c),(d)に示すように、第3帯状補強シート12は、梁1の面1Aにおいて、一方の第3帯状補強シート12a及び他方の第3帯状補強シート12bからなる一対の帯状補強シートをX字状に配置して構成されている。そして、この第3帯状補強シート12は、開口3を中心にして左側に配置されている。また、第3帯状補強シート12は、上端側で第1帯状補強シート10に接続するとともに、下端側で前記第2帯状補強シート11に接続して梁1に貼着される。この第3帯状補強シート12は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
(第4帯状補強シートの貼着)
第4帯状補強シート13は、梁1の面1Aにおいて、第3帯状補強シート12と同様に、一方の第4帯状補強シート13a及び他方の第4帯状補強シート13bからなる一対の帯状補強シートをX字状に配置して構成されている。そして、この第4帯状補強シート13は、開口3を中心にして右側に配置されている。また、第4帯状補強シート13は、上端側で第1帯状補強シート10に接続するとともに、下端側で前記第2帯状補強シート11に接続して梁1に貼着される。この第4帯状補強シート13は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
X字状に配置される第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13は、左右に位置するX字の一部が重なり合うようにして貼着される。本実施形態には、一方の第3帯状補強シート12aの下部と他方の第4帯状補強シート13bの下部とが重なり合うようにして貼着される。また、他方の第3帯状補強シート12bの上部と一方の第4帯状補強シート13aの上部とが重なり合うようにして貼着される。また、第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13の各帯状補強シートの重畳位置は、開口3の中心を通る鉛直線上に位置している。
(第1幅広補強シートの貼着)
図1(e),(f)に示すように、第1幅広補強シート20は、開口3を中心にして梁1の左側に貼着されるとともに、第1、第2及び第3帯状補強シート10,11,12を接続するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20は、梁1の底面1Cを支えるように貼着される。すなわち、この第1幅広補強シート20は、梁1の面1Aの第1帯状補強シート10から梁1の底面1Cを経由して梁1の面1Bの第1帯状補強シート10に達し、梁1を巻回するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20の幅は、X字状に配置される第3帯状補強シート12のほぼ全面を覆うように決められている。
(第2幅広補強シートの貼着)
第2幅広補強シート21は、開口3を中心にして梁1の右側に貼着されるとともに、第1、第2及び第4帯状補強シート10,11,13を接続するように貼着されている。また、第2幅広補強シート21は、梁1の底面1Cを支えるように貼着される。すなわち、この第2幅広補強シート21は、梁1の面1Aの第1帯状補強シート10から梁1の底面1Cを経由して梁1の面1Bの第1帯状補強シート10に達するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20の幅は、X字状に配置される第4帯状補強シート13のほぼ全面を覆うように決められている。
(CFアンカーの貼着)
CFアンカー30は、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の幅方向に所定の間隔を保って複数個設けられている。また、CFアンカー30は、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の第1帯状補強シート10側を梁1の上面側に位置するスラブ2にそれぞれ固定するように設けられる。すなわち、CFアンカー30は、その扇面側が第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21にそれぞれ貼着され、基部部分がスラブ2に開けられた穴にそれぞれ挿入されて貼着される。これらCFアンカー30の貼着により、鉄筋コンクリート造の梁1に開口3が設けられたときのその梁1を補強する補強構造が完成される。
上記構成からなる補強構造は、第1〜第4帯状補強シート10〜13と、第1,第2幅広補強シート20,21と、CFアンカー30と、を備えている。よって、第1幅広補強シート20は、第1、第2、第3帯状補強シート10,11,12の定着力を強化することができ、また、第2幅広補強シート21は、第1、第2、第4帯状補強シート10,11,13の定着力を強化することができる。したがって、鉄筋コンクリート造の梁1に開口3が設けられてもその梁1の耐力を大きく向上させることができる。しかも、この補強構造は炭素繊維シートの貼着により得られるので、材料が軽量で施工性に優れていて工期を短くでき、火気や水気を使用せずに工事を行うことができる等の特長がある。
また、上記構成からなる補強構造においては、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21が、梁1の面1A、底面1C及び面1Bに沿って断面視U字状に、梁1を巻回するように貼着されている。よって、梁1の面1A側から面1B側まで一体的に、第1〜第4帯状補強シート10〜13の定着力を強化して、梁1の耐力を得ることができる。
また、上記構成からなる補強構造においては、第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11の貼着の後に第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13を貼着したが、先に第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13を貼着した後に第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11を貼着してもよい。
また、上記構成からなる補強構造においては、梁1の面1A,1Bにも第1帯状補強シート10〜第4帯状補強シート13を貼着したが、開口3が面1Aから面1Bに達しない非貫通の穴の場合等には、その面1B側の第1帯状補強シート10〜第4帯状補強シート13を省略することもできる。
また、上記構成からなる補強構造においては、梁1の面1A,1Bに加えて、底面1Cにも第1,第2幅広補強シート20,21を貼着したが、底面1Cへの第1,第2幅広補強シート20,21の貼着を省略することもできる。
また、上記構成からなる補強構造においては、第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13は、開口3の上側及び下側でそれぞれ重なり合うようにして貼着されているが、重ならないように貼着してもよい。
また、上記構成からなる補強構造においては、第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13をそれぞれX字状とした。これにより、上述のように、第3帯状補強シート12及び第4帯状補強シート13をそれぞれX字状にして帯状補強シートの傾きを両方向とした場合は、地震などの両方向の荷重に対して効果的に対処することができる。
その一方で、一方の第3帯状補強シート12a及び一方の第4帯状補強シート13a、又は、他方の第3帯状補強シート12b及び他方の第4帯状補強シート13bのみの、帯状補強シートの傾きが一方向とすることもできる。例えば、開口3の両側に鉛直状の一本の帯状補強シートをそれぞれ貼着するようにしてもよい。この場合でも、それら鉛直状の一本の帯状補強シートと第1、第2帯状補強シート10,11とは、第1、第2幅広補強シート20、21でそれぞれ定着力が強化されるので、鉄筋コンクリート造の梁1に開口3が設けられてもその梁1の耐力を大きく向上させることができる。
図2(a),(b)は、本発明の第2の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の梁1の補強構造を示している。
以下の実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この補強構造は、上記第1の実施形態に係る補強構造のCFアンカー30の定着手段に変えてアングル部材40及び取付ボルト・ナット41からなる定着金物が用いられている。この補強構造においては、第1,第2幅広補強シート20,21がアングル部材40及び取付ボルト・ナット41を介してスラブ2にそれぞれ固定されるので、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を大きく向上させる等の効果を得ることができる。
また、定着手段は、上記以外にも、補強シートを固定できるものであれば、鋼材を加工した部材等適宜採用可能である。
図3(a),(b)は、本発明の第3の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の梁1の補強構造を示している。この補強構造は、開口3の近くに梁1及びスラブ2に接続される柱4が設けられていて、CFアンカー30の数が上記第1の実施形態に係る補強構造より多く設置されている。
この補強構造では、梁1の面1Aには、柱4に沿って第5帯状補強シート14が貼着されている。また、梁1の面1Aには、柱4と反対側に、第6帯状補強シート15が貼着されている。これら第5帯状補強シート14及び第6帯状補強シート15の上に、第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11が、端部を重ねるように貼着されている。
そして、CFアンカー30が第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11に接続し、かつ、柱4側に貼着される第5帯状補強シート14を介して柱に固定されている。また、CFアンカー30はその柱4の位置と反対側で第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11に接続して貼着される第6帯状補強シート15を介して梁1に固定されている。この補強構造においても、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を大きく向上させる等の効果を得ることができる。
図4(a),(b)は、本発明の第4の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の梁1の補強構造を示している。
この補強構造は、上記第1の実施形態に係る補強構造の第2帯状補強シート11、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の下端側に位置する部分は、梁1の面1Aから底面1C沿って折り曲げられて貼着されている。この補強構造においては、開口3が梁1の底面1Cに近く設けられていても、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を得ることができる。
図5(a),(b)は、本発明の第5の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の梁1の補強構造を示している。この補強構造は、梁1の底面1Cに梁1に沿って延びる垂れ壁5が梁1に一体的に設けられている場合に、CFアンカー30が垂れ壁5を貫通して設けられている。
この補強構造では、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21のうち、垂れ壁5にあたる部分がそれぞれ切り欠かれている。そして、その切り欠かれている第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21は、垂れ壁5を貫通して設けられるCFアンカー30を用いてそれぞれ貼着されている。この補強構造においては、垂れ壁5が設けられていても、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、梁1の面1A側から面1B側まで一体的に、第1〜第4帯状補強シート10〜13の定着力を強化して、梁1の耐力を得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、補強シートは連続繊維で構成されていることが好ましい。また、上記の例では、炭素繊維シートを用いたが、アラミド繊維やガラス繊維、ポリエステル繊維等の他の材質の補強シートを用いることもできる。また、形状は、幅広に形成されたシート状のものや、幅の狭いテープ状のもの等がある。
また、上述の例では、補強対象物は鉄筋コンクリート造の梁として示したが、鉄筋コンクリート造の柱を補強対象物としてもよい。
また、上記に示す実施形態において、開口3は梁1の上下方向の中央部に一つ設けられているが、本発明はこれに限られない。開口は、梁1の上部や下部等その位置は適宜設定可能である。また、複数の開口が設けられ、これら複数の開口をまとめて一の開口群として補強するように、開口群を挟んで第2方向の両側に第1,第2帯状補強シートを貼着し、開口群を挟んで第1方向の両側に第3,4帯状補強シートを貼着するように構成されていてもよい。
1……梁
2……スラブ
3……開口
4……柱
5……垂れ壁
10……第1帯状補強シート
11……第2帯状補強シート
12……第3帯状補強シート
12a……一方の第3帯状補強シート
12b……他方の第3帯状補強シート
13……第4帯状補強シート
13a……一方の第4帯状補強シート
13b……他方の第4帯状補強シート
14……第5帯状補強シート
15……第6帯状補強シート
20……第1幅広補強シート
21……第2幅広補強シート
30……CFアンカー(定着手段)
40……アングル部材(定着金物,定着手段)
41……取付ボルト・ナット(定着金物,定着手段)

Claims (9)

  1. 開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体における開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側にそれぞれ貼着される第1、第2帯状補強シートと、
    前記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第3、第4帯状補強シートと、
    前記開口側の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って貼着される第1幅広補強シート、及び前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って貼着される第2幅広補強シートと、
    前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体にそれぞれ定着する定着手段と、
    を備え
    前記第3、第4帯状補強シートは、それぞれX字状に配置されることを特徴とする鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  2. 前記第1、第2幅広補強シートは、前記鉄筋コンクリート構造体における前記開口側の面から該開口側の面と反対側の面にわたって、前記鉄筋コンクリート構造体を巻回するように貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  3. 前記定着手段は、CFアンカーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  4. 前記定着手段は、アングル部材と、取付ボルト・ナットとを有する定着金物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  5. 前記鉄筋コンクリート構造体が梁であって、
    前記CFアンカーが、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第5帯状補強シートを介して前記梁の一方側に設けられる柱に定着されるとともに、前記第1、第2帯状補強シートに接続して貼着される第6帯状補強シートを介して前記柱と反対側で梁に定着されることを特徴とする請求項に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  6. 前記第1、第2、第3及び第4帯状補強シートは、前記梁の前記開口側の面から該梁の底面に沿って折り曲げて貼着されていることを特徴とする請求項に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  7. 前記梁の下部には、垂れ壁が設けられ、
    前記第1、第2幅広補強シートは前記CFアンカーを介して前記垂れ壁に固定されることを特徴とする請求項又はに記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  8. 前記帯状補強シート及び前記幅広補強シートは、炭素繊維シートからなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
  9. 開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体の開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側に第1、第2帯状補強シートをそれぞれ貼着し、
    前記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して第3、第4帯状補強シートをそれぞれX字状に配置して貼着し、
    前記開口の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って第1幅広補強シートを貼着するとともに、前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って第2幅広補強シートを貼着し、
    前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体に定着手段を用いてそれぞれ定着する、
    ことを特徴とする鉄筋コンクリート構造体の補強方法。
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