JP6528268B2 - 鉄筋コンクリート構造体の補強構造及び鉄筋コンクリート構造体の補強方法 - Google Patents
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また、第3帯状補強シート及び第4帯状補強シートがそれぞれX字状にして帯状補強シートの傾きを二方向としている。よって、地震などの鉛直方向と水平方向との両方向の荷重が作用する場合には、第1帯状補強シートと第2帯状補強シートとを二方向で接続して、効果的に補強することができる。
また、第3帯状補強シート及び第4帯状補強シートがそれぞれX字状にして帯状補強シートの傾きを二方向としている。よって、地震などの鉛直方向と水平方向との両方向の荷重が作用する場合には、第1帯状補強シートと第2帯状補強シートとを二方向で接続して、効果的に補強することができる。
(第1帯状補強シートの貼着)
図1(a),(b)に示すように、第1帯状補強シート10は、梁1の面1Aにおいて、開口3の上方に接着剤を用いて貼着される。すなわち、第1帯状補強シート10は、開口3の上方で水平方向に沿うように梁1に貼着される。この第1帯状補強シート10は、梁1における面1Aとは反対側の面1Bにも同様に貼着される。なお、接着剤は、炭素繊維シート用として周知のエポキシ樹脂系やMMA(メタクリル酸メチル)樹脂等の接着剤が用いられる。以下の貼着においても同様の接着剤が用いられる。
第2帯状補強シート11は、梁1の面1Aにおいて、開口3の下方に接着剤を用いて貼着される。すなわち、第2帯状補強シート11は、開口3の下方で水平方向に沿うように梁1に貼着される。この第2帯状補強シート11は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
図1(c),(d)に示すように、第3帯状補強シート12は、梁1の面1Aにおいて、一方の第3帯状補強シート12a及び他方の第3帯状補強シート12bからなる一対の帯状補強シートをX字状に配置して構成されている。そして、この第3帯状補強シート12は、開口3を中心にして左側に配置されている。また、第3帯状補強シート12は、上端側で第1帯状補強シート10に接続するとともに、下端側で前記第2帯状補強シート11に接続して梁1に貼着される。この第3帯状補強シート12は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
第4帯状補強シート13は、梁1の面1Aにおいて、第3帯状補強シート12と同様に、一方の第4帯状補強シート13a及び他方の第4帯状補強シート13bからなる一対の帯状補強シートをX字状に配置して構成されている。そして、この第4帯状補強シート13は、開口3を中心にして右側に配置されている。また、第4帯状補強シート13は、上端側で第1帯状補強シート10に接続するとともに、下端側で前記第2帯状補強シート11に接続して梁1に貼着される。この第4帯状補強シート13は、梁1の面1Bにも同様に貼着される。
図1(e),(f)に示すように、第1幅広補強シート20は、開口3を中心にして梁1の左側に貼着されるとともに、第1、第2及び第3帯状補強シート10,11,12を接続するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20は、梁1の底面1Cを支えるように貼着される。すなわち、この第1幅広補強シート20は、梁1の面1Aの第1帯状補強シート10から梁1の底面1Cを経由して梁1の面1Bの第1帯状補強シート10に達し、梁1を巻回するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20の幅は、X字状に配置される第3帯状補強シート12のほぼ全面を覆うように決められている。
第2幅広補強シート21は、開口3を中心にして梁1の右側に貼着されるとともに、第1、第2及び第4帯状補強シート10,11,13を接続するように貼着されている。また、第2幅広補強シート21は、梁1の底面1Cを支えるように貼着される。すなわち、この第2幅広補強シート21は、梁1の面1Aの第1帯状補強シート10から梁1の底面1Cを経由して梁1の面1Bの第1帯状補強シート10に達するように貼着されている。また、第1幅広補強シート20の幅は、X字状に配置される第4帯状補強シート13のほぼ全面を覆うように決められている。
CFアンカー30は、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の幅方向に所定の間隔を保って複数個設けられている。また、CFアンカー30は、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の第1帯状補強シート10側を梁1の上面側に位置するスラブ2にそれぞれ固定するように設けられる。すなわち、CFアンカー30は、その扇面側が第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21にそれぞれ貼着され、基部部分がスラブ2に開けられた穴にそれぞれ挿入されて貼着される。これらCFアンカー30の貼着により、鉄筋コンクリート造の梁1に開口3が設けられたときのその梁1を補強する補強構造が完成される。
その一方で、一方の第3帯状補強シート12a及び一方の第4帯状補強シート13a、又は、他方の第3帯状補強シート12b及び他方の第4帯状補強シート13bのみの、帯状補強シートの傾きが一方向とすることもできる。例えば、開口3の両側に鉛直状の一本の帯状補強シートをそれぞれ貼着するようにしてもよい。この場合でも、それら鉛直状の一本の帯状補強シートと第1、第2帯状補強シート10,11とは、第1、第2幅広補強シート20、21でそれぞれ定着力が強化されるので、鉄筋コンクリート造の梁1に開口3が設けられてもその梁1の耐力を大きく向上させることができる。
以下の実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この補強構造は、上記第1の実施形態に係る補強構造のCFアンカー30の定着手段に変えてアングル部材40及び取付ボルト・ナット41からなる定着金物が用いられている。この補強構造においては、第1,第2幅広補強シート20,21がアングル部材40及び取付ボルト・ナット41を介してスラブ2にそれぞれ固定されるので、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を大きく向上させる等の効果を得ることができる。
また、定着手段は、上記以外にも、補強シートを固定できるものであれば、鋼材を加工した部材等適宜採用可能である。
そして、CFアンカー30が第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11に接続し、かつ、柱4側に貼着される第5帯状補強シート14を介して柱に固定されている。また、CFアンカー30はその柱4の位置と反対側で第1帯状補強シート10及び第2帯状補強シート11に接続して貼着される第6帯状補強シート15を介して梁1に固定されている。この補強構造においても、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を大きく向上させる等の効果を得ることができる。
この補強構造は、上記第1の実施形態に係る補強構造の第2帯状補強シート11、第1幅広補強シート20及び第2幅広補強シート21の下端側に位置する部分は、梁1の面1Aから底面1C沿って折り曲げられて貼着されている。この補強構造においては、開口3が梁1の底面1Cに近く設けられていても、上記第1の実施形態に係る補強構造と同様に、開口3が設けられる梁1の耐力を得ることができる。
また、上述の例では、補強対象物は鉄筋コンクリート造の梁として示したが、鉄筋コンクリート造の柱を補強対象物としてもよい。
2……スラブ
3……開口
4……柱
5……垂れ壁
10……第1帯状補強シート
11……第2帯状補強シート
12……第3帯状補強シート
12a……一方の第3帯状補強シート
12b……他方の第3帯状補強シート
13……第4帯状補強シート
13a……一方の第4帯状補強シート
13b……他方の第4帯状補強シート
14……第5帯状補強シート
15……第6帯状補強シート
20……第1幅広補強シート
21……第2幅広補強シート
30……CFアンカー(定着手段)
40……アングル部材(定着金物,定着手段)
41……取付ボルト・ナット(定着金物,定着手段)
Claims (9)
- 開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体における開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側にそれぞれ貼着される第1、第2帯状補強シートと、
前記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第3、第4帯状補強シートと、
前記開口側の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って貼着される第1幅広補強シート、及び前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って貼着される第2幅広補強シートと、
前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体にそれぞれ定着する定着手段と、
を備え、
前記第3、第4帯状補強シートは、それぞれX字状に配置されることを特徴とする鉄筋コンクリート構造体の補強構造。 - 前記第1、第2幅広補強シートは、前記鉄筋コンクリート構造体における前記開口側の面から該開口側の面と反対側の面にわたって、前記鉄筋コンクリート構造体を巻回するように貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
- 前記定着手段は、CFアンカーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
- 前記定着手段は、アングル部材と、取付ボルト・ナットとを有する定着金物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
- 前記鉄筋コンクリート構造体が梁であって、
前記CFアンカーが、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して貼着される第5帯状補強シートを介して前記梁の一方側に設けられる柱に定着されるとともに、前記第1、第2帯状補強シートに接続して貼着される第6帯状補強シートを介して前記柱と反対側で梁に定着されることを特徴とする請求項3に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。 - 前記第1、第2、第3及び第4帯状補強シートは、前記梁の前記開口側の面から該梁の底面に沿って折り曲げて貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
- 前記梁の下部には、垂れ壁が設けられ、
前記第1、第2幅広補強シートは前記CFアンカーを介して前記垂れ壁に固定されることを特徴とする請求項5又は6に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。 - 前記帯状補強シート及び前記幅広補強シートは、炭素繊維シートからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の鉄筋コンクリート構造体の補強構造。
- 開口が設けられた鉄筋コンクリート構造体の開口側の面で、該鉄筋コンクリート構造体が延びる第1方向と交差する第2方向において、前記開口を挟んで両側に第1、第2帯状補強シートをそれぞれ貼着し、
前記開口側の面で、前記第1方向において、前記開口を挟んで両側に、前記第1、第2帯状補強シートにそれぞれ接続して第3、第4帯状補強シートをそれぞれX字状に配置して貼着し、
前記開口の前記第1方向の一方側で前記第1、第2、第3帯状補強シートを覆って第1幅広補強シートを貼着するとともに、前記開口の前記第1方向の他方側で前記第1、第2、第4帯状補強シートを覆って第2幅広補強シートを貼着し、
前記第1、第2幅広補強シートの端部を前記鉄筋コンクリート構造体の躯体に定着手段を用いてそれぞれ定着する、
ことを特徴とする鉄筋コンクリート構造体の補強方法。
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JP4836618B2 (ja) * | 2006-03-14 | 2011-12-14 | 独立行政法人建築研究所 | 連続繊維シート固定部材及びこれを用いた構造物補強工法 |
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