JP2010133205A - 繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート補強構造1は、柱2の壁3を除く部分の外周面に繊維シート4が貼り付けられ、第1の壁3A、第2の壁3B、第3の壁3Cのそれぞれに柱2の柱軸線方向Yに間隔をあけて壁3の厚さ方向を貫通する複数の貫通孔5、5、…が形成され、それら貫通孔5、5、…のそれぞれに繊維アンカー6が通過されるとともに、各繊維アンカー6の両端の定着部6a、6bが繊維シート4の表面に固着されている。隣り合う一方の第1の壁3A、或いは第3の壁3Cに設けられる他方の貫通孔5と、他方の第2の壁3Bに設けられる他方の貫通孔5とを柱軸線方向Yにずれた位置に互い違いに配列するようにした。
【選択図】図1
Description
特許文献2には、対向する2面に壁が付いたコンクリート柱面に強化繊維シートを貼り付けるとともに、壁にコンクリート柱の柱軸線方向に間隔をあけて複数の貫通孔を形成し、各貫通孔を通して、強化繊維シートの上に強化繊維ストランドの束を巻き付けて、その束の扇状に広げて形成した両端部を強化繊維シートに定着させて補強する方法について開示されている。
すなわち、壁付きの四角形断面のコンクリート柱において、その外周4面のうち3面或いは4面に壁が連設された構造がある。この場合、柱の外周面のうち壁を除いた部分の面積が狭くなるため、主に対向する2面に壁が付いたコンクリート柱を補強対象とする特許文献1、2の補強方法を適用すると、強化繊維アンカー、或いは強化繊維ストランドの束の端部(定着端)同士が干渉することになり、その場合、いずれか一方の定着端の強化繊維シートに対する接着面積が小さくなり、所望の定着強度が十分に得られず、コンクリート柱の補強強度が低下するといった問題があった。
また、その補強時の施工に際しても、軽量な繊維アンカーを壁状コンクリート部材の貫通孔に挿通させるだけでよく、重量の大きな鋼材を取り扱う必要がなくなることから、施工が容易となる利点がある。
図1は本発明の第1の実施の形態によるコンクリート補強構造の概略構成を示す斜視図、図2は図1に示すコンクリート補強構造を第2の壁側からみた側面図、図3は図1に示すA−A線断面図、図4は図1に示すB−B線断面図、図5は貫通孔に挿通される繊維アンカーの状態を示す斜視図、図6は柱の各側面を平面上に配置した展開図である。
そして、図5に示すように、隣り合う一方の壁3(ここでは、第1の壁3A、或いは第3の壁3Cとする)に設けられる一方の貫通孔5(符号5A、5C)と、他方の壁3(ここでは、第2の壁3Bとする)に設けられる他方の貫通孔5(符号5B)とが柱軸線方向Yにずれた位置に互い違いに配列されている。ここで、この貫通孔5の位置のずれは、本実施の形態において、一方の貫通孔5A(5C)の位置が柱軸線方向Yに配列される隣接した他方の貫通孔5B、5B同士の間の略中央の位置となっている。
なお、図3において第2の壁3Bに形成される貫通孔5B及び繊維アンカー6Bを二点鎖線で示し、図4において第1の壁3Aと第3の壁3Cのそれぞれに形成される貫通孔5A、5C及び繊維アンカー6A、6Cを二点鎖線で示している。
図1、図2、及び図5に示すように、先ず壁3の所定位置において内部の鉄筋を避けて柱軸線方向Yに沿って複数の貫通孔5、5、…を削孔し、次いで柱2の側面に繊維シート4を貼り付け、それら貫通孔5、5、…に接着剤、樹脂類を含浸させた繊維アンカー6の束部6c(図5)を挿通させる。このとき、第1の壁3Aの貫通孔5C(繊維アンカー6A)と第3の壁3Cの貫通孔5C(繊維アンカー6C)とが柱軸線方向Yにおける略同位置に配置され、これに対して第2の壁3Bに設けられる貫通孔5B(繊維アンカー6B)は柱軸線方向Y(図1参照)に半ピッチだけずれた位置(上記、貫通孔5A、5Cの間の略中間となる位置)に配置される。
そして、第2の壁3Bと第3の壁3Cとの間の第2繊維シート部4Bにおいては、第2の壁3Bの貫通孔5Bに挿通された繊維アンカー6Bの他方の定着部6bを扇状に広げて柱2の第2角部2bに巻き付かせるようにして繊維シート4Bの表面に接着剤により定着させた後、第3の壁3Cの貫通孔5Cに挿通された繊維アンカー6Cの一方の定着部6aを同じく扇状に広げて柱2の第2角部2bに巻き付かせるようにして繊維シート4Bの表面に定着させる。
また、第1の壁3Aと第3の壁3Cとの間の第3繊維シート部4Cにおいては、第1の壁3Aの貫通孔5Aに挿通された繊維アンカー6Aの他方の定着部6bを扇状に広げて柱2の第3角部2cに巻き付かせるようにして繊維シート4Cの表面に接着剤により定着させた後、第3の壁3Cの貫通孔5Cに挿通された繊維アンカー6Cの他方の定着部6bを同じく扇状に広げて柱2の第4角部2dに巻き付かせるようにして繊維シート4Bの表面に定着させる。
したがって、個々の定着部6a、6bにおける繊維シート4に対する定着面積を十分に確保することが可能となり、繊維シート4の剥がれ等の不具合を防止することができ、柱2のせん断に対する補強効果を確実に発揮することが可能となる。
さらにまた、その補強時の施工に際しても、軽量な繊維アンカー6を壁3の貫通孔5に挿通させるだけでよく、重量の大きな鋼材を取り扱う必要がなくなることから、施工が容易となる利点がある。
しかも、重量の大きな鋼材を用いることなく、軽量な繊維シート4と繊維アンカー6とを用いて補強工事が行えるので、重量物を取り扱うことによる作業手間がなくなり、作業効率の向上を図ることができる。
図7は本発明の第2の実施の形態によるコンクリート補強構造の概略構成を示す水平断面図であって、図3に対応する図、図8は図7に示す柱の各側面を平面上に配置した展開図であって、図6に対応する図である。
図7及び図8に示すように、第2の実施の形態のコンクリート補強構造7は、4側面のそれぞれに第1の壁3A〜第4の壁3Dを連接させた柱8に適用したものである。すなわち、第4の壁3D(3)には、柱2を挟んで反対側に位置する第2の壁3Bと同じ柱軸線方向の位置に複数の貫通孔5、5、…が設けられている。つまり、これら貫通孔5Dに挿通される繊維アンカー6Dは、隣り合う一方の壁3(ここでは第1の壁3A)に設けられる一方の繊維アンカー6Aと、他方の壁3(ここでは第3の壁3C)に設けられる他方の繊維アンカー6Cとに対して柱軸線方向Y(図8)にずれた位置に配列されている。
例えば、本コンクリート補強構造の適用対象となる柱2の断面形状、柱2に対する壁3の連設数量、壁3の厚さ寸法等は、とくに制限されることはない。例えば、本実施の形態では柱2の形状を四角形断面の角柱としているが、円柱、或いは5角形断面などの柱であってもかまわない。とくに、柱状コンクリート部材に対して複数の壁状コンクリート部材が設けられていて、壁状コンクリート部材同士の間の表面積が狭く、繊維アンカーの両端の定着部同士が干渉するような場合に補強効果を発揮することができる。
2 柱(柱状コンクリート部材)
3 壁(壁状コンクリート部材)
3A〜3E 第1〜第4の壁
4 繊維シート
4A 第1繊維シート部
4B 第2繊維シート部
4C 第3繊維シート部
4D 第4繊維シート部
4E 第5繊維シート部
5 貫通孔
6 繊維アンカー
6a、6b 定着部
6c 束部
Claims (2)
- 複数の壁状コンクリート部材が一体に設けられた柱状コンクリート部材の補強構造であって、
前記柱状コンクリート部材の外周面に繊維シートが貼り付けられ、
前記壁状コンクリート部材のそれぞれに前記柱状コンクリート部材の柱軸線方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成され、
それら貫通孔のそれぞれに繊維アンカーが通過されるとともに、該各繊維アンカーの両端の定着部が前記繊維シートの表面に固着され、
隣り合う一方の壁状コンクリート部材に設けられる一方の貫通孔と、他方の壁状コンクリート部材に設けられる他方の貫通孔とが柱軸線方向にずれた位置に互い違いに配列された構成であることを特徴とする繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強構造。 - 隣り合う壁状コンクリート部材の一方の貫通孔の前記柱軸線方向の位置は、前記柱軸線方向に配列される隣接した他方の貫通孔同士の間の略中央の位置であることを特徴とする請求項1に記載の繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強構造。
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