JP4042148B2 - スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物及びスラッシュ成形方法 - Google Patents

スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物及びスラッシュ成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物及びスラッシュ成形方法に関する。更に詳細には、熱により自己架橋性を有するスラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物、及びそれを用いた物性の優れた成形物が得られるスラッシュ成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スラッシュ成形法は、複雑な形状(アンダーカット、深絞り等)の製品が容易に成形できること、肉厚が均一にできること、材料の歩留まり率が良いことから、近年、自動車の内装材等の用途に広く利用されており、主に軟質のポリ塩化ビニル(以下PVCという)系粉末樹脂がこのような用途に使用されている(例えば特開平5−279485号公報)。しかし、軟質化されたPVCは低分子量の可塑剤を多量に含有するため、可塑剤の凝固点以下ではソフト感が消失してしまう問題があった。また、長期間の使用において、可塑剤の揮発により車両のフロントガラス等に油膜を形成してガラスに曇り(フォギング)を生じたり、成形物表面への可塑剤の移行による艶消し効果やソフト感の消失、更にはPVCの経時的劣化による黄変の問題があった。上記問題点を解決し、低分子量可塑剤を用いずにソフト感を与えるものとして、PVCに柔軟性のある熱可塑性ポリウレタン樹脂を配合して変性したものが提案されている(例えば特公昭53−29705号、特公昭59−39464号、特公昭60−30688号各公報)。しかし、これらのいずれにおいても主体樹脂がPVCであるため、成形物のガラス曇り(フォギング)の問題は依然として解決されず、また可塑剤の樹脂に対する相溶性が不十分なため顔料の分散性が悪く淡色では色ムラが発生し易いという問題点があった。
【0003】
このような問題を解決するために、柔軟性に優れた粉末状の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物をスラッシュ成形材料に用いることが提案されている。しかしながら、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるスラッシュ成形用材料は、ソフト感、長期耐久性等は良好なものの、架橋構造を有していないため、所望の物性が発現しない場合があった。そこで、スラッシュ成型時における架橋システムの検討がなされ、例えば特開平11−49948号では、ブロックイソシアネートを用いて粉末ポリウレタン樹脂成形物に架橋構造を導入することが示されている。また、特開平11−116796号公報では、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートを導入した粉末ポリウレタン樹脂が示されている。特開2000−265054号公報では、分子主鎖にラジカル重合性不飽和基を有する粉末ポリウレタン樹脂が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブロックイソシアネートを用いる場合は、架橋反応時に発生するブロック剤が成形物中に留まって物性が低下する場合や、当該ブロック剤の揮発によって成形物にピンホールが発生する場合や成形時の環境が悪化する場合がある。ウレトジオン基を粉末ポリウレタン樹脂に導入する場合は、ウレトジオン基が解離しやすいため、長期貯蔵後に成形した場合、成形物の物性が低下する場合がある。ラジカル重合性不飽和基が分子主鎖にある場合は、反応基の自由度が小さく、また立体障害の影響が大きいため、架橋反応に寄与するものが少なくなる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、成形時に副生成物を生じることがないスラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物、及び物性に優れたスラッシュ成形物を得ることが可能なスラッシュ成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に示されるものである。
(1) 脂肪族ジイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和結合含有モノオール(a2)から得られる、実質的に2官能性のエチレン性不飽和結合含有アロファネート変性イソシアネート(A1)を含有する有機ポリイソシアネート(A)、及び活性水素基含有化合物(B)を反応させて得られることを特徴とする、エチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
【0007】
(2) 脂肪族ジイソシアネート(a1)がヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、前記(1)のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
【0008】
(3) 形状が真球状であることを特徴とする、前記(1)、(2)のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
【0009】
(4) 前記(1)〜(3)のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物を加熱した金型に入れた後、余剰の樹脂を除去してから溶融成形することを特徴とする、スラッシュ成形方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物は、実質的に2官能性のアロファネート変性イソシアネート(A1)を含有する有機ポリイソシアネート(A)、及び活性水素基含有化合物(B)を反応させて得られることを特徴とする。通常、ポリウレタン樹脂骨格にエチレン性不飽和結合を導入する場合、ポリオールの一成分として、後述する2−ヒドロキシエチルアクリレート(以後HEAと略称する)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以後HEMAと略称する)のようなエチレン性不飽和結合含有モノオールをそのまま用いる方法がある。しかし、エチレン性不飽和結合含有モノオールには、水酸基が1個しかないため、エチレン性不飽和結合の導入量は、ポリウレタン樹脂の数平均分子量によってかなり制限されることになる。一方、本発明は、イソシアネート成分によってエチレン性不飽和結合を導入しているため、エチレン性不飽和結合導入量はポリウレタン樹脂の数平均分子量に影響されることなく決定できる。このため、成形物の架橋密度の調整が容易となる。また、無水マレイン酸のようなエチレン性不飽和結合含有ジカルボン酸を用いたポリエステルポリオールを用いる方法は、エチレン性不飽和結合導入量の自由度は比較的大きいが、このようなエチレン性不飽和結合は、反応基としての自由度が小さく、また立体障害の影響が大きいため、架橋反応が効率よく進行しにくい。一方、本発明では、エチレン性不飽和結合は、ポリウレタン分子骨格の主鎖ではなく側鎖に存在していることになるので、反応基としての自由度が大きく、また立体障害の影響も小さくなるため、架橋反応に寄与するものが多くなり、架橋反応が効率よく行われることになる。
【0011】
有機ポリイソシアネート(A)は、実質的に2官能性のエチレン性不飽和結合含有アロファネート変性イソシアネート(A1)を含有するものである。
【0012】
(A1)が「実質的に2官能」であることが必要であるのは、粉末ポリウレタン樹脂組成物が熱溶融性を示すことが必要であるからであり、(A1)が実質的に2官能を越えると、得られる粉末ポリウレタン樹脂組成物が熱溶融しにくくなる。なお「実質的に2官能」とは、設定数平均分子量を1万以上にしてウレタン化反応して得られた粉末ポリウレタン樹脂組成物が、熱溶融性を示すということである。
【0013】
実質的に2官能性のエチレン性不飽和結合含有アロファネート変性イソシアネート(A1)は、脂肪族ジイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和結合含有モノオール(a2)から得られる。ここで、脂肪族ジイソシアネート(a1)としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以後HDIと略称する)、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。本発明では、得られるアロファネート変性イソシアネート(A1)の性状等を考慮するとHDIが好ましい。
【0014】
エチレン性不飽和結合含有モノオール(a2)としては、HEA、HEMA、ビニルベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、これらを開始剤としてアルキレンオキサイド等の環状エーテルや、ε−カプロラクトン等の環状エステル等を付加させたポリエーテルやポリエステル等が挙げられる。本発明では、得られるアロファネート変性イソシアネート(A1)の性状等を考慮するとHEA、HEMAが好ましい。
【0015】
実質的に2官能性のアロファネート変性イソシアネート(A1)の製造方法は、特に制限はなく、前記(a1)と(a2)とを反応器に仕込み、イソシアネート基過剰の条件でウレタン化し、次いでアロファネート化触媒を添加してアロファネート化を行い、触媒毒を添加して反応を停止する方法、前記(a1)と(a2)とを反応器に仕込み、次いでアロファネート化触媒を添加してウレタン化とアロファネート化を同時に行い、触媒毒を添加して反応を停止する方法、等が挙げられる。反応停止後、未反応の脂肪族ジイソシアネートを除去してもよいが、後ほど活性水素基含有化合物(B)と反応させること、除去時又は後の問題(有機溶剤を用いる方法では、精製物中の残存溶剤の問題、加熱操作が必要な方法では、エチレン性不飽和結合の熱安定性の問題)が起こる場合があるので、未反応の脂肪族ジイソシアネートの除去はしないほうが好ましい。
【0016】
アロファネート化触媒としては、有機カルボン酸の金属塩が挙げられる。この有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和脂環族カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上記したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。また上記カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム等の遷移金属、アルミニウム等のホウ素族、スズ、鉛等の炭素族の金属が挙げられる。これらのなかでは、イソシアヌレート化反応等の副反応の少ない、実質的に2官能のアロファネート変性イソシアネート(A1)が得られるアルキルカルボン酸のジルコニウム、亜鉛、鉛等の金属塩が好ましく、特にアルキルカルボン酸のジルコニウム塩が最も副反応が少ないので好ましい。
【0017】
アロファネート化の反応温度は70〜150℃であり、好ましくは80〜130℃である。反応温度が低すぎる場合は反応時間が長くなり、得られるポリイソシアネート中のイソシアヌレート基が多くなり、高粘度となりやすい。また、反応温度が高すぎる場合は、得られるポリイソシアネートの着色が大きくなりやすい。
【0018】
本発明では(A1)以外の有機ポリイソシアネートを併用できる。この(A1)以外の有機ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以後IPDIと略称する)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート(以後H6 XDIと略称する)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(以後H12MDIと略称する)、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート(以後H6 −TMXDIと略称する)等の脂環族ジイソシアネートの他、その重合体やそのポリメリック体、ウレタン変性体、アロファネート変性体((A1)以外)、ウレア変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、更にこれらの2種以上の混合物が挙げられる。本発明では、スラッシュ成形物の耐候性等を考慮すると、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートが好ましく、特にHDI、IPDI、H12MDI、H6XDI、H6−TMXDIが好ましい。
【0019】
本発明に用いられる活性水素基含有化合物(B)は、高分子ポリオール、鎖延長剤、反応停止剤等に大別される。
【0020】
ここで高分子ポリオールとは、数平均分子量500〜10,000、好ましくは1,000〜5,000のポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いられる。
【0021】
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸のジアルキルエステル、酸無水物、酸ハライド等のポリカルボン酸誘導体と、(数平均)分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールとの反応により得られるものである。
【0022】
ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。
【0023】
(数平均)分子量500未満の低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ターシャリーブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,4−トリエチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ダイマー酸ジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0024】
(数平均)分子量500未満の低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレントリアミン等が挙げられる。
【0025】
(数平均)分子量500未満の低分子アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン等が挙げられる。
また、ε−カプロラクトン、アルキル置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオール等のポリエステルポリオールも好適に使用できる。
【0026】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等が挙げられる。
【0027】
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオールと上記したポリカルボン酸誘導体から製造されるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0028】
ポリカーボネートポリオールとしては、一般には低分子ポリオールとジエチルカーボネートの脱エタノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られ、この低分子ポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールを得るのに用いられる低分子ポリオールが挙げられる。
【0029】
ポリオレフィンポリオールの具体例としては、水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0030】
鎖延長剤としては、前述の(数平均)分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いられる。
【0031】
反応停止剤としては、前述の(数平均)分子量500未満の低分子アミノアルコール等が挙げられ、更に前述の(b2)の開始剤に用いられる低分子モノオール類、エチルアミン、ジエチルアミン等の1級又は2級モノアミン類等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いられる。
【0032】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の形状は、粉末樹脂組成物の流動性(成形加工時の流れ性)等を考慮すると真球状であることが好ましい。また、本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の安息角は、50°以下が好ましく、更に好ましくは10°〜40°である。安息角が上限を越える場合は、成形加工時の流れ性が悪くなり、成形不良を起こしやすい。
【0033】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の数平均分子量は5,000〜100,000が好ましく、10,000〜50,000が特に好ましい。数平均分子量が小さすぎる場合は、成形物の機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。数平均分子量が大きすぎる場合は、成形性が不十分となりやすい。
【0034】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の平均粒径は1,000μm以下であり、好ましくは10〜500μm、特に好ましくは100〜200μmである。平均粒径が大きい場合はアンダーカットやコーナー部でピンホールが生じやすい。また小さい場合は流れ性や粉切れが悪化して、成形物の肉厚が不均一になりやすい。この「平均粒径」とは、レーザー式粒度分析計にて測定した粒径分布カーブにおける50%の累積パーセントの値である。
【0035】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物のエチレン性不飽和結合含有量は、0.01〜1mmol/gが好ましく、特に0.15〜0.95mmol/gが好ましい。エチレン性不飽和結合含有量が少ない場合は、架橋密度が低いため成形物の物性が不十分となる場合がある。また、多すぎる場合は、架橋密度が高いため成形物の柔軟性が不十分となる場合がある。
【0036】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物のアロファネート基含有量は、0.01〜1mmol/gが好ましく、特に0.15〜0.95mmol/gが好ましい。本発明において、粉末ポリウレタン樹脂中のエチレン性不飽和結合は、アロファネート基を介して導入されている。このため、アロファネート基含有量が少ない場合は、必然的にエチレン性不飽和結合含有量も少なくなり、成形物の物性が不十分となる場合がある。また、多すぎる場合は、成形物の柔軟性が不十分となる場合がある。
【0037】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は、既に製造されている樹脂を粉砕する方法、樹脂溶液から樹脂を沈澱させる方法、水系エマルジョンを製造し、このエマルジョンを凝固させて樹脂粉末を製造する方法、非水分散重合による方法等が挙げられる。本発明においては、粒径分布が小さく、形状も真球状のものが得られる非水分散重合法が好ましい。
【0038】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物の好ましい製造方法である非水分散重合法について詳細に述べる。
【0039】
粉末ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は、(1)プレポリマー法、(2)ワンショット法、が挙げられる。
【0040】
(1)プレポリマー法とは、以下に示す工程を含む製造方法である。
第一工程:ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤中に、高分子ポリオールを含む活性水素基含有化合物(B)を均一に溶解又は分散させる工程。
第二工程:有機ポリイソシアネート(A)を、第一工程で得られた溶解液又は分散液に仕込んで反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーの溶解液又は分散液を得る工程。
第三工程:鎖延長剤及び/又は反応停止剤を、第二工程で得られたイソシアネート基末端プレポリマーの溶解液又は分散液に仕込んで反応させて、粉末ポリウレタン樹脂組成物の分散液を得る工程。
第四工程:第三工程で得られた粉末ポリウレタン樹脂組成物の分散液から、粉末ポリウレタン樹脂組成物を分離、乾燥させる工程。
【0041】
(2)ワンショット法とは、以下に示す工程を含む製造方法である。
第一工程:ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤中に、活性水素基含有化合物(B)を均一に溶解又は分散させる工程。
第二工程:有機ポリイソシアネート(A)を、第一工程で得られた溶解液又は分散液に仕込んで反応させて、粉末ポリウレタン樹脂組成物の分散液を得る工程。
第三工程:第二工程で得られた粉末ポリウレタン樹脂組成物の分散液から、粉末ポリウレタン樹脂組成物を分離、乾燥させる工程。
【0042】
プレポリマー法における第一工程は、ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤中に、高分子ポリオールを含む活性水素基含有化合物(B)を均一に溶解又は分散させる工程である。また、ワンショット法における第一工程は、ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤中に、活性水素基含有化合物(B)を均一に溶解又は分散させる工程である。
【0043】
「ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤」とは、分散媒とも言われるものであり、前記活性水素基含有化合物がポリエステル、ポリエーテルのような極性を待ったものが主成分の場合には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、パラフィン系溶媒等の脂肪族有機媒体、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のような脂環族有機媒体、ジオクチルフタレート等のような可塑剤として用いられる有機媒体等のような非極性及び/又は低極性の有機媒体が挙げられ、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有水素添加ポリブタジエンのような非極性のものが主成分の場合には、アセトン、メチルエチルケトン等のような極性の有機媒体が挙げられる。
【0044】
また、生成する粉末ポリウレタン樹脂の平均粒径は、非極性及び/又は低極性の分散媒と、極性の分散媒を併用することで調節可能である。
【0045】
分散媒以外の原料からなる分散相の総和量と分散媒からなる連続相との質量比は、生産効率、製造コストを考慮すると、分散相/連続相=10/90〜80/20となる範囲が好ましく、40/60〜80/20が更に好ましい。
【0046】
なお、ポリウレタン樹脂を実質的に溶解しない有機溶剤中に、高分子ポリオールを均一に溶解又は分散させる場合は、以下に示す分散剤を用いることが好ましい。
【0047】
この分散剤には、分子内に活性水素基を含有しているもの(F1)と含有していないもの(F2)とがあり、本発明における粉末ポリウレタン樹脂(A)の構成成分の活性水素基含有化合物を細分化し、分散媒中に均一に分散させるため、活性水素基含有化合物との親和性の高い部分と分散媒との親和性の高い部分が一つの分子中に存在する構造である。
【0048】
この活性水素基を含有する分散剤(F1)としては、活性水素基含有で不飽和結合を有する有機オリゴマーと、炭素数6以上の側鎖をもつエチレン性不飽和単量体との反応生成物が好適である。
【0049】
活性水素基を含有しない分散剤(F2)としては、(1)活性水素基非含有で不飽和結合を有する有機オリゴマーと、炭素数6以上の側鎖をもつエチレン性不飽和単量体との反応生成物、(2)前記の活性水素基含有分散剤の活性水素基にフェニルイソシアネート等のモノイソシアネート、モノカルボン酸等の活性水素基マスク剤を反応させて得られる反応生成物が好適である。
【0050】
この活性水素基含有で不飽和結合を有する有機オリゴマーとしては、例えば、グリコール類や二塩基酸類の一部に不飽和結合含有グリコールあるいは不飽和結合含有ジカルボン酸を用いて製造したポリエステルポリオール、不飽和結合含有グリコールを出発物質に用いて製造したポリエーテルポリオール、数平均分子量2,000以下の水酸基末端のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等と不飽和結合含有ジカルボン酸とのエステル化反応によって得られるポリオール等の他に、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。この不飽和結合含有グリコールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。また、不飽和結合含有ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0051】
活性水素基非含有で不飽和結合を有する有機オリゴマーとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの原料のポリオールとモノオールからなるOH成分と、前述のポリエステルポリオールの原料の二塩基酸とマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和結合含有ジカルボン酸を用いたCOOH成分からなるポリエステル、ポリエーテルモノオールと不飽和結合含有ジカルボン酸との脱水反応物や、ポリブタジエン、ポリイソプレンのようなジエンモノマーの重合体等が挙げられる。
【0052】
これらの有機オリゴマーの数平均分子量は500〜10,000、特に500〜9,000が好ましい。また、不飽和結合濃度は有機オリゴマー1分子当たり平均10モル以下が好ましい。
【0053】
炭素数6以上の側鎖をもつエチレン性不飽和単量体としては、例えば、1−オクテン、1−又は2−ノネン、1−又は2−デセン、1−又は2−ヘプタデセン、2−メチル−1−ノネン、2−メチル−1−デセン、2−メチル−1−ドデセン、2−メチル−1−ヘキサデセン、2−メチル−1−ヘプタデセン等のビニル、プロペニル又はイソプロペニル基含有脂肪族直鎖型不飽和炭化水素、アクリル酸又はメタクリル酸と2−エチルヘキシルアルコール、ヘキシルアルコール等の炭素数6以上の脂肪族アルコール又はシクロヘキサノール、ノルボナール、アダマンタノール等の炭素数6以上の脂環族アルコールとのエステル等の他、アクリル酸とポリカプロラクトンジオールとの反応物、例えば、ダイセル化学工業社製のプラクセル(登録商標)FA−4等が挙げられる。
【0054】
不飽和結合含有有機オリゴマーとエチレン性不飽和単量体との反応においては制限は特にはないが、通常、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合反応における公知の反応開始剤や、酢酸エチル、シクロヘキサン等の溶剤を用いることができる。
【0055】
更に不飽和結合を有する有機オリゴマーと炭素数6以上のエチレン性不飽和単量体との比率は、有機オリゴマー/エチレン性不飽和単量体=100/20〜100/400(質量比)が好ましい。有機オリゴマー100質量部に対するエチレン性不飽和単量体の比率が少なすぎる場合は、分散剤として十分な性能が得られない。また多すぎる場合は、非水分散重合の際、反応系における原料分散のバランスが失われて、分散剤としての効果が十分に発揮できない。
【0056】
プレポリマー法、ワンショット法共に、ウレタン化反応における反応温度は、60〜140℃、反応時間は1〜10時間程度である。また、更に必要に応じて、触媒を用いることができる。触媒としては、通常のウレタン化触媒、アロファネート化触媒等が用いられ、例えば、トリエチレンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸鉛、ナフテン酸鉄、オクテン酸銅等を挙げることができる。
【0057】
プレポリマー化反応における、活性水素基とイソシアネート基の仕込みの際のモル比は、活性水素基/イソシアネート基=1.05〜5.0が好ましく、活性水素基/イソシアネート基=1.1〜2.0が特に好ましい。
【0058】
ワンショット法におけるウレタン化反応の、活性水素基とイソシアネート基の仕込みの際のモル比は、活性水素基/イソシアネート基=0.8〜1.1が好ましく、活性水素基/イソシアネート基=0.85〜1.05が特に好ましい。
【0059】
プレポリマー法では、更に鎖延長剤及び/又は反応停止剤を仕込んで反応させる。(第三工程)この際、プレポリマーのイソシアネート基の量より、同量又は過剰量の活性水素基となる鎖延長剤及び/又は反応停止剤を仕込み、イソシアネート基が消失するまで反応させる。この時の反応温度は40〜100℃が好ましい。
【0060】
プレポリマー法の第四工程、ワンショット法の第三工程は、粉末ポリウレタン樹脂組成物の分散液から、粉末ポリウレタン樹脂組成物を取り出す工程である。具体的操作は、反応後、濾過又はデカンテーションし、次いで、常圧又は減圧して、常温又は加温して乾燥することによって、分散液から粉末ポリウレタン樹脂組成物を回収する操作である。
【0061】
本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物は、必要に応じて添加剤、例えば顔料・染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、ラジカル重合開始剤、カップリング剤、難燃剤、無機及び有機充填剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等を添加することができる。
【0062】
特に有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては、クロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、金属塩類(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末、カーボンブラック等が挙げられる。顔料の添加量は、粉末ポリウレタン樹脂組成物に対して、通常は0〜5質量%であり、好ましくは1〜3質量%である。
【0063】
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール等]、ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、リン系[トリフェニルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト等]及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、サリチル酸系[フェニルサリシレート等]、ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。酸化防止剤、紫外線吸収剤の添加量は、粉末ポリウレタン樹脂組成物に対して、通常は0〜5質量%であり、好ましくは0.01〜3質量%である。
【0064】
ブロッキング防止剤としては特に限定されず、公知の無機系ブロッキング防止剤又は有機系ブロッキング防止剤があり、無機系ブロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系ブロッキング防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂等)及び粒子径10μm以下の熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂等)が挙げられる。これらのうち好ましいものは無機系ブロッキング防止剤であり、特に好ましいものはシリカである。該ブロッキング防止剤の添加量は、粉末ポリウレタン樹脂組成物に対して、通常は0〜3質量%であり、好ましくは0.1〜2質量%である。
【0065】
本発明のスラッシュ成形方法の具体的手順の一例を示せば以下の通りである。最初にモールド(金型)に離型剤を60℃以下でエアースプレー、刷毛塗り等の方法で塗布し、この金型を熱砂加熱、オイル加熱等により150〜300℃好ましくは180〜280℃に加熱する。次に金型内に本発明のスラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物を仕込み、15〜45秒間保持(粉付け)した後、余剰の該粉末樹脂を除去し、更に通常20〜300秒、好ましくは30〜120秒間、200〜400℃の加熱オーブンに入れて材料の溶融を完結させた後、金型を水冷法等により冷却、脱型することによりスラッシュ成形物(通常0.7〜2mmの厚さのシート)が得られる。また、該シートを取り出すことなく同じ金型内に更にポリウレタンフォーム原液を導入し、発泡させてコア材を形成させた後に脱型することで該スラッシュ成形物からなる表皮層を有する部材(例えば自動車のインストルメントバネル、コンソールボックス、アームレスト等)を製造することができる。ポリウレタンフォームとしては密度が0.02〜0.5g/cm3 の軟質フォーム及び半硬質フォームが挙げられる。
【0066】
溶融成形時に、樹脂中のエチレン性不飽和結合が反応して、成形物中に架橋構造の導入が可能となる。このため、本発明によって得られたスラッシュ成形物は、従来の熱可塑性の粉末ポリウレタン樹脂を用いて得られたスラッシュ成形物より、機械的強度、耐薬品性、耐水性等優れる。また、ブロックイソシアネートによる架橋のように副生成物を発生させることなく架橋構造を導入できるので、ピンホールの発生や不純物の存在による物性低下が起きにくい。更にエチレン性不飽和結合は常温下では経時でもほとんど反応することがないため、成形前の貯蔵安定性にも優れるものである。
【0067】
本発明によって得られたスラッシュ成形物は、特に自動車の内装材として好適であり、またソファー等の室内家具の材料としても有用である。
【0068】
【実施例】
本発明について、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例及び比較例において、「%」は「質量%」を意味する。
【0069】
〔分散剤溶液の合成〕
合成例1
攪拌機、温度計、留出塔及び窒素ガス導入管のついた容量:2,000mlの反応器に、アジピン酸762g、無水マレイン酸49g、エチレングリコール386gを仕込み、窒素ガスを流し攪拌しながら、150℃、常圧でエステル化反応させた。縮合水が出なくなったら、テトラブチルチタネートを0.1g仕込み、反応系内の圧力を徐々に0.07kPaまで減圧し、また、反応温度を190℃まで徐々に加温し、反応を続けた。得られたポリエステルの数平均分子量は2,000、ヨウ素価は12.7gI/100gであった。続いて、上記と同様な容量:500mlの反応器に、上記のポリエステル74g、酢酸ブチル150g仕込んだ。窒素ガスを流しながら110℃になるまで加熱、攪拌した。その後、2−エチルヘキシルメタクリレート75gと過酸化ベンゾイル1gの溶解混合物を滴下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を130℃に加温して更に2時間反応させて、分散剤溶液D−1を得た。分散剤溶液D−1の固形分は50%であった。
【0070】
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの製造〕
合成例2
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネートを920g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを80g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃で2時間反応を行った。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行って、アロファネート変性ポリイソシアネート含有ポリイソシアネートNCO−1を得た。NCO−1のイソシアネート含量は40.2%、エチレン性不飽和結合含有量(理論値)は0.69mmol/gであった。また、NCO−1をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、イソシアネート基、アロファネート基、エチレン性不飽和結合の存在が確認された。
【0071】
合成例3
合成例2と同様な反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネートを910g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを90g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃で2時間反応を行った。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行って、アロファネート変性ポリイソシアネート含有ポリイソシアネートNCO−3を得た。NCO−2のイソシアネート含量は39.7%、エチレン性不飽和結合含有量(理論値)は0.69mmol/gであった。また、NCO−3をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、イソシアネート基、アロファネート基、エチレン性不飽和結合の存在が確認された。
【0072】
合成例4
合成例2と同様な反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネートを750g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを250g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃で2時間反応を行った。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行って、アロファネート変性ポリイソシアネート含有ポリイソシアネートNCO−4を得た。NCO−4のイソシアネート含量は19.4%、エチレン性不飽和結合含有量(理論値)は2.2mmol/gであった。また、NCO−4をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、イソシアネート基、アロファネート基、エチレン性不飽和結合の存在が確認された。
【0073】
〔粉末ポリウレタン樹脂組成物の合成〕
実施例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ポリオールAを325.3g、分散剤溶液D−1を32.5g、分散媒としてシェルゾール71を484g仕込み、40℃にて均一に攪拌・分散させた。次いでNCO−1を129.1g、DOTDLを0.1g仕込み、90℃にて3時間反応させた。次に1,4−BDを29.3g仕込み、イソシアネート基が消失するまで反応させた。その後、濾過、乾燥させて、粉末ポリウレタン樹脂組成物Pow−1を得た。Pow−1の平均粒径は120μであった。
【0074】
実施例2
実施例1と同様な反応器に、ポリオールBを365.3g、1,4−BDを24.7g、分散剤溶液D−1を36.5g、分散媒としてシェルゾール71を482g仕込み、40℃にて均一に攪拌・分散させた。次いでNCO−2を91.8g、DOTDLを0.1g仕込み、90℃にてイソシアネート基が消失するまで反応させた。その後、濾過、乾燥させて、粉末ポリウレタン樹脂組成物Pow−2を得た。Pow−2の平均粒径は100μであった。
【0075】
実施例3〜4、比較例1〜2
実施例3及び比較例1は表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な手順で合成して、粉末ポリウレタン樹脂組成物Pow−3、5を得た。実施例4は、実施例2と同様な手順で合成して、粉末ポリウレタン樹脂組成物Pow−4を得た。
【0076】
【表1】
Figure 0004042148
【0077】
実施例1〜4、比較例1、表1において
Figure 0004042148
【0078】
物性測定
実施例1〜4、比較例1で得たPow−1〜5、及びPow−6(後述)を、それぞれ220℃に加熱した金型に10秒間接触させ熱溶融後、未溶融の粉末を除去し、350℃のオーブン中で1分間放置した後、水冷して厚さ1mmの成形シートを作成した。得られた成形シートについて下記試験方法により性能試験を行った。その結果を表2に示す。なお、比較例2の粉末ポリウレタン樹脂組成物Pow−6は、Pow−5にブロックイソシアネート(コロネート2503)を粉末樹脂組成物に対して10質量%添加・混合したものである。
※コロネート:日本ポリウレタン工業株式会社の登録商標
【0079】
Figure 0004042148
【0080】
【表2】
Figure 0004042148
【0081】
表2より、本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物を用いたスラッシュ成形物は、従来のものより外観や耐久性に優れたものであることが分かる。これは、成形時において、副生成物を発生させることなく架橋構造が導入されたためと考えられる。
【0082】
【発明の効果】
本発明のスラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物から得られる成形体は、インパネをはじめ自動車の各種内装材として極めて有用である。また、表皮付きソファー等のインテリア家具等他の成形品への応用可能である。更に本発明の粉末ポリウレタン樹脂組成物は、スラッシュ成形用のみならず、粉体塗料、接着芯地用等にも応用可能である。

Claims (4)

  1. 脂肪族ジイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和結合含有モノオール(a2)から得られる、実質的に2官能性のエチレン性不飽和結合含有アロファネート変性イソシアネート(A1)を含有する有機ポリイソシアネート(A)、及び活性水素基含有化合物(B)を反応させて得られることを特徴とする、エチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 脂肪族ジイソシアネート(a1)がヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1記載のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 形状が真球状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のエチレン性不飽和結合含有スラッシュ成形用粉末ポリウレタン樹脂組成物を加熱した金型に入れた後、余剰の樹脂を除去してから溶融成形することを特徴とする、スラッシュ成形方法。
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