JP3822344B2 - 熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、スラッシュ成形用材料に用いた場合、成形シートの外観、耐溶剤性、耐光性、平滑性、樹脂強度等に優れる熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スラッシュ成形法は、複雑な形状(アンダーカット、深絞り等)の製品が容易に成形できること、肉厚が均一にできること、材料の歩留まり率が良いことから、近年、自動車の内装材等を中心にした用途に広く利用されており、主に軟質のポリ塩化ビニル(以下PVCという)粉末がこのような用途に使用されている。
しかし、軟質化されたPVCは低分子の可塑剤を多量に含有するため、長期間の使用において、可塑剤の揮発により車両のフロントガラス等に油膜を形成(フォギング)して運転者の視認性を阻害したり、成形物表面への可塑剤の移行による艶消し効果やソフト感の消失、さらにはPVCの経時的劣化による黄変の問題があった。
【0003】
このような問題点を改善するものとして、ポリウレタン樹脂を使って所望の物性のものを得ようとする試みも行われている(例えば特開平2−38453号、特開平3−97712号公報)。特に自動車の内装材等は、耐溶剤性および耐光性が要求されており、これらの要求性能を満たすものとして、ウレタン樹脂をブロックドイソシアネートで後架橋するポリウレタン粉末が提案されている(特開平5−230163号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ウレタン樹脂をブロックドイソシアネートで架橋するものは、成形時樹脂の溶融と同時に架橋による樹脂粘度の上昇が起こるため、樹脂中に気泡がかみ込み、成形シートの強度低下、外観不良(白化)、アンダーカット部やエッジ部にピンホールが発生する等の問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、(メタ)アクロイル基、ビニルフェニル基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を分子中に1個以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と、有機銅(II)化合物(B)とからなることを特徴とする熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物;並びに、該組成物と、可塑剤(C)および顔料(D)とを主成分として含有してなるスラッシュ成形用材料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)は、活性水素成分(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させてポリウレタンを製造するにあたり、活性水素成分(a)の少なくとも一部として、(メタ)アクロイル基、ビニルフェニル基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を有する活性水素含有化合物(a1)を用いてなり、該重合性基(e)を分子中に通常1個以上、好ましくは2〜6個またはそれ以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
【0007】
上記重合性基(e)を有する活性水素含有化合物(a1)としては、該(e)と活性水素含有基(水酸基および/または1級もしくは2級アミノ基など)を有する化合物、例えば、該(e)を有するモノもしくはジオール(a1−1)、該(e)を有するアルキレン基の炭素数1〜6のジアルキレントリアミン誘導体のケチミン化物(a1−2)および該(e)を有するモノアミン(a1−3)が挙げられる。
【0008】
上記重合性基(e)を有するモノもしくはジオール(a1−1)としては、例えば、(メタ)アクロイル基を有するモノおよびジオール[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等];ビニルフェニル基を有するモノおよびジオール[4−ビニルフェノール、2−ヒドロキシエチル−4−ビニルフェニルエーテル、(2−ヒドロキシプロピル)−4−ビニルフェニルエーテル、(2,3−ジヒドロキシプロピル)−4−ビニルフェニルエーテル、4−(2−ヒドロキシエチル)スチレン等];プロペニルエーテル基を有するモノおよびジオール[プロペニルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルプロペニルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルプロペニルエーテル等];アリルエーテル基を有するモノおよびジオール[アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルアリルエーテル等];ビニルエーテル基を有するモノおよびジオール[2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルビニルエーテル等];これらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−、2,3−もしくは1,4−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用)付加物(分子量5,000以下);およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは(メタ)アクロイル基を有するモノおよびジオールであり、特に好ましものは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびこれらのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物である。
【0009】
該重合性基(e)を有するアルキレン基の炭素数1〜6のジアルキレントリアミン誘導体のケチミン化物(a1−2)としては、該(e)を有するグリシジル化合物[グリシジル(メタ)アクリレート、4−ビニルフェニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等]と、アルキレン基の炭素数1〜6のジアルキレントリアミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン等)とケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)からのジケチミン化物との1/1モル付加反応物が挙げられ、好ましいものはグリシジル(メタ)アクリレートとジエチレントリアミンのジアセチミン化物との1/1モル付加反応物である。
【0010】
該重合性基(e)を有するモノアミン(a3−6)としては、1級モノアミン[アルキル基の炭素数1〜8のモノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等)、モノアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等)]と、該(e)を有するグリシジル化合物(グリシジル(メタ)アクリレート、4−ビニルフェニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等)との1/1モル付加反応物が挙げられ、好ましいものはn−ブチルアミンとグリシジル(メタ)アクリレートとの1/1モル付加反応物である。
【0011】
(A)を構成する活性水素成分(a)のうちの上記(a1)以外の活性水素含有化合物としては、高分子ポリオール(a2)および必要により低分子活性水素含有化合物(a3)が用いられる。
【0012】
上記高分子ポリオール(a2)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオールおよびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
該(a2)の数平均分子量は通常500〜5,000、好ましくは700〜3,000である。
【0013】
ポリエーテルポリオールとしては、2個の活性水素原子を有する化合物(たとえば2価アルコール類、2価フェノール類など)にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0014】
上記2価アルコール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;環状基を有する2価アルコール(例えば特公昭45−1474号公報明細書に記載のもの:1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコールなど)などが挙げられる。また、2価フェノール類としてはピロガロール、ハイドロキノン、フロログルシンなどの単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール類などが挙げられる。これらのうち好ましいものは2価アルコール類である。
【0015】
上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。これらのうち好ましいものはPO単独およびEOとPOの併用である。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、例えば▲1▼前記2価アルコールの1種以上とポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以上との縮合重合による縮合ポリエステルポリオール;▲2▼前記2価アルコールを開始剤とするラクトンの開環重合によるポリラクトンポリオール;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0017】
上記▲1▼のポリカルボン酸の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)、これらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体(酸無水物、アルキル基の炭素数が1〜4の低級アルキルエステル等)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0018】
上記▲2▼のラクトンとしてはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、前記ポリエーテルポリオールの1種以上と前記ポリエステルポリオールの原料として例示したポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以上とをエステル化反応して得られるもの、前記ポリエーテルポリオールの1種以上にラクトンの1種以上を開環付加させて得られるものなどが挙げられる。
【0020】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオールおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0021】
ポリマーポリオールとしては、上記で挙げた高分子ポリオール中でビニル単量体(例えばスチレン、アクリロニトリルなど)をラジカル重合開始剤の存在下で重合し分散安定化させてなるポリオール(例えば重合体含量5〜30重量%)が挙げられる。
【0022】
上記高分子ポリオール(a2)のうち好ましいものは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールである。
【0023】
低分子活性水素含有化合物(a3)としては低分子ポリオール(a3−1)、ポリアミン類もしくはこれらのケチミン化合物(a3−2)、ならびに、重合停止剤としてのモノアミン(a3−3)および1価アルコール(a3−4)が挙げられる。
【0024】
低分子ポリオール(a3−1)としては、例えば脂肪族低分子ジオール類[エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなど]、環状基を有する低分子ジオール類[例えば特公昭45−1474号公報明細書に記載のもの:1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコールなど]、これらのアルキレンオキサイド低モル付加物(分子量500未満);ビスフェノール類のアルキレンオキサイド低モル付加物(分子量500未満);およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0025】
ポリアミン類もしくはこれらのケチミン化合物(a3−3)としては、ポリアミン、ポリアミドポリアミンなどのアミン類およびこれらのケチミン化合物が挙げられる。
【0026】
上記ポリアミンとしては、芳香族ジアミン[フェニレンジアミン、トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−またはp−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、2,4−または2,6−ジメチルチオトルエンジアミン等];脂環式ジアミン[イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン等];脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等];アルカノールアミン誘導体[N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等];ヒドラジンもしくはその誘導体[アジピン酸ジヒドラジド等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0027】
ポリアミドポリアミンとしては、例えば、ダイマー酸(重合脂肪酸)と過剰当量のエチレンジアミンとの縮合反応物などが挙げられる。
【0028】
ケチミン化合物としては上記ポリアミンとケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)との反応物が挙げられる。
【0029】
これらのうち好ましいものは、脂肪族ジアミンのアセトンとのケチミン(アセチミン)化物および脂環式ジアミンのアセチミン化物である。
【0030】
重合停止剤として必要により用いられるモノアミン(a3−3)としては、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルアミン(エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジエタノールアミン等)などが挙げられる。
【0031】
また、1価のアルコール(a3−4)としてはメタノール、エタノール、n−ブタノール、セロソルブ、これらのアルキレンオキサイド付加物(分子量300未満)、1価フェノール類のアルキレンオキサイド付加物(分子量400未満)等が挙げられる。
【0032】
ポリイソシアネート(b)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く)2〜12の脂肪族ポリイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)4〜15の脂環式ポリイソシアート[イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート[キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等];芳香族ジイソシアネート[トリレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、 ナフチレンジイソシアネート等];これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、ビュレット基等を含有する変性物);およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0033】
これら(b)として例示したもののうち好ましいものは、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略記)、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略記)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0034】
熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、下記▲1▼〜▲4▼の方法が例示できるが、これらに限定されるものではない。
▲1▼無溶剤下または溶剤(トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルフォルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン等)の存在下で、ポリイソシアネート(b)と、高分子ポリオール(a2)と、重合性基(e)を有するモノもしくはポリオール(a1−1)および/または低分子ポリオール(a3−1)と必要により1価アルコール(a3−4)とを、NCO/OH当量比が通常0.8〜1、好ましくは0.85〜0.98で一括に重合反応させて(A)を得る方法。
▲2▼無溶剤下または溶剤の存在下で、過剰の(b)に、(a2)と(a1−1)および/または(a3−1)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b1)とし、該(b1)に、鎖伸長剤(a1−2)および/または(a3−2)と、必要により重合停止剤(a1−3)および/または(a3−3)とを加え、鎖伸長反応させて(A)を得る方法。
▲3▼無溶剤下または溶剤の存在下で得られたウレタンプレポリマー(b1)を分散安定剤を含む水中に分散し、この分散体に(a1−2)および/または(a3−2)と、必要により(a1−3)および/または(a3−3)とを加え、鎖伸長反応させて(A)を得る方法。
▲4▼無溶剤下または溶剤の存在下で得られたウレタンプレポリマー(b1)を分散安定剤を含む非水系分散媒(ヘキサン、ヘプタン等)中に分散し、この非水分散体に(a1−2)および/または(a3−2)と、必要により(a1−3)および/または(a3−3)とを加え、鎖伸長反応させて(A)を得る方法。
上記方法のうちでは、分子量制御が容易で溶剤の使用量も少なく、しかも所望の粒子径の樹脂粉体が直接得られる点から▲3▼の方法が特に好ましい。
【0035】
(A)は、その分子末端および/または分子側鎖に、(メタ)アクロイル基、ビニルフェノキシ基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を通常1個以上、好ましくは2〜6個またはそれ以上有する。該(A)の分子中に重合性基(e)を導入する方法は特に限定されないが、例えば下記の方法が例示できる。
(1)上記▲1▼の方法で、(a1−1)を用いることにより重合性基(e)を分子側鎖および/または分子末端に有する(A)が得られる。
(2)上記▲2▼〜▲4▼の方法で、(b1)の構成成分として(a1−1)を用いることにより重合性基(e)を分子側鎖に有する(A)が得られる。
(3)上記▲2▼〜▲4▼の方法で、鎖伸長剤として(a1−2)を用いることにより重合性基(e)を分子側鎖に有する(A)が得られる。
(4)上記▲2▼〜▲4▼の方法で、重合停止剤として(a3−3)を用いることにより重合性基(e)を分子末端に有する(A)が得られる。
(5)上記▲2▼〜▲4▼の方法で、(b1)の構成成分として(a1−1)を用い、重合停止剤として(a1−3)を用いることにより分子側鎖と分子末端とに重合性基(e)を有する(A)が得られる。
(6)上記▲2▼〜▲4▼の方法で、鎖伸長剤として(a1−2)を用い、重合停止剤として(a1−3)を用いることにより、分子側鎖と分子末端とに重合性基(a)を有する(A)が得られる。
【0036】
前記▲1▼〜▲4▼の方法においてウレタン化反応を行う際に、必要によりポリウレタンに通常用いられる触媒を使用できる。
該触媒の具体例としては、例えば有機金属化合物[ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート等];アミン類[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン等]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。触媒の使用量は特に限定はないが、(A)またはイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b1)100重量部当たり通常0.001〜0.05重量部である。
【0037】
前記▲2▼〜▲4▼の方法において、イソシアネート(NCO)基末端ウレタンプレポリマー(b1)を製造する際のNCO基とOH基の当量比[NCO/OH]は通常1.01〜2.8、好ましくは1.3〜2.5である。
また、該(b1)中のNCO含量は通常1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。NCO含量が20重量%を越えると、熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物から得られる成形物の柔軟性が低下する傾向となり、1重量%未満の場合は得られる(b1)の粘度が高くなりすぎ、水中または非水系分散媒中への分散が困難となる場合がある。
【0038】
前記▲2▼の方法において鎖伸長剤として用いられる(a1−2)および/または(a3−2)の使用量は、(b1)中のNCO基1当量に対し、通常0.5〜1.5当量、好ましくは0.7〜1.2当量である。この範囲外では接着強度および樹脂強度が不十分となることがある。
【0039】
また、重合停止剤としての(a1−3)および/または(a3−3)の使用量は、(b1)中のNCO基1当量に対し、通常0.5当量以下、好ましくは0.3当量以下である。0.5当量を越えると接着強度および樹脂強度が低下する場合がある。
【0040】
本発明で用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量は、通常5,000〜80,000、好ましくは10,000〜50,000である。5,000未満では良好な樹脂強度が得られないことがあり、80,000を越えると組成物の熱溶融性がシャープとならず、成形物の表面平滑性が不十分となることがある。
また、重合性基(e)1個あたりの分子量は通常500〜10,000、好ましくは800〜8,000、特に好ましくは1,000〜5,000である。500未満では成形物の柔軟性が低下する傾向となり、10,000を越えると成形物の耐光性および耐溶剤性が不十分となることがある。
【0041】
該(A)中のイソシアネート基に基づくウレタン基(−NHCOO−)およびウレア基(−NHCONH−)の合計の含有量は、通常3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。3重量%未満では充分な樹脂強度が得られないことがあり、20重量%を越えると架橋後の樹脂の柔軟性が低下する傾向となる。
【0042】
本発明で用いられる有機銅(II)化合物(B)としては、炭素数1〜20またはそれ以上の1〜2価またはそれ以上の以上の脂肪族もしくは芳香族カルボン酸銅[酢酸銅、オクチル酸銅、オレイン酸銅、コハク酸銅、フタル酸銅、グルコン酸銅、ナフテン酸銅等];炭素数2〜20またはそれ以上の脂肪族もしくは芳香族オキシカルボン酸銅[乳酸銅、オキシステアリン酸銅、サリチル酸銅等];炭素数1〜20またはそれ以上の脂肪族もしくは芳香族スルホン酸銅[p−トルエンスルホン酸銅、ノニルベンゼンスルホン酸銅、ドデシルベンゼンスルホン酸銅、ナフタレンスルホン酸銅、ドデシルスルホン酸銅、スルホコハク酸銅−ジ−2−エチルヘキシルエステル等];炭素数1〜20またはそれ以上のアルキル硫酸銅[ラウリル硫酸銅、オレイル硫酸銅等];有機リン酸銅[n−オクチルリン酸モノエステル銅塩、n−オクチルリン酸ジエステル銅塩等];有機銅錯体[銅フタロシアニン、銅フタロシアニンジスルホン酸ナトリウム等]およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族モノカルボン酸銅および芳香族スルホン酸銅であり、特に好ましいものはオレイン酸銅およびドデシルベンゼンスルホン酸銅である。
【0043】
本発明の樹脂組成物において、該(B)に由来する銅(II)の量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常1〜5,000ppm、好ましくは10〜1,000ppmである。1ppm以上で樹脂組成物の良好な熱保存安定性が得られ、5,000ppmを越えると(A)中の重合性基(e)の重合反応による架橋が不十分となり耐候性や耐溶剤性に優れた成形物が得られないことがある。該銅(II)は、樹脂組成物が一定温度(例えば130℃)以上に加熱されるまでは(A)中の重合性基(e)の熱重合反応(架橋)を抑制する重合禁止剤として作用する。
【0044】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の架橋反応発熱曲線は、従来技術のブロックドイソシアネート架橋に比べる極めてとシャープであり、かつ(B)由来の銅(II)含有量で架橋反応温度をコントロールすることができる。したがって銅(II)含有量を調節することにより、樹脂組成物の粉体が充分に溶融した後に架橋反応を開始させることができ、しかも短時間(成形時間内)に架橋反応を終了させることができる。その結果白化現象が無く外観に優れピンホール等のない強靱な成形物を得ることが可能となる。
【0045】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物は通常粉体で用いられる。該粉体の製造方法としては、例えば下記の方法が例示できる。
▲1▼該有機銅(II)化合物(B)を前記ウレタンプレポリマー(b1)または低分子活性水素含有化合物(a3)のいずれかに含有させておき、分散安定剤を含有する水中または非水分散媒(ヘキサン、ヘプタン等)中で分散機を用いて分散し、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃で反応させて分散体を得た後、濾過、乾燥等の方法により、水または有機溶剤を除去する方法。
▲2▼該(B)を含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の有機溶剤溶液を、分散安定剤を含有する水中または貧溶剤中に通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃で分散機を用いて分散して分散体を得た後、濾過、乾燥等の方法により、水および有機溶剤を除去する方法。
▲3▼溶融状態で熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と該(B)とを均一に混合した樹脂混合物を冷凍粉砕して粉体を得る方法。
▲4▼粉体化した(A)と(B)とを粉体ブレンダー等で均一に混合(ドライブレンド)する方法。
上記方法のうちで特に好ましいのは▲1▼の方法であり、さらに好ましいのは予めウレタンプレポリマー(b1)に(B)を含有させておく方法である。
【0046】
上記▲1▼または▲2▼の製造方法において使用される分散安定剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリネオペンチルアジペートジオール(数平均分子量2,000)/IPDI/ポリエチレングリコールのPOとEO(POとEOの割合は重量比で20/80)共付加物(数平均分子量2,000)[1/1/1モル]反応物、スチレン/メタクリル酸メチル/無水マレイン酸共重合体(共重合モル比35/15/50)のナトリウム塩、メチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0047】
上記▲1▼または▲2▼の製造方法において用いられる分散機としては特に限定されず、例えば、低速せん断型分散機、高速せん断型分散機、摩擦型分散機、高圧ジェット型分散機、超音波型分散機、静止型分散機等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、高速せん断式分散機(例えば、ヤマト科学製「ウルトラディスパーザー」、荏原製作所製「エバラマイルダー」等)および静止型分散機(例えば、タクミナ製「スタティックミキサー」等)である。
【0048】
該熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の粉体の平均粒子径は10〜500μmであり、好ましくは20〜300μmである。平均粒子径が10μm未満では粉体が帯電したり粉塵が発生し易く、500μmを越えると粒子の熱溶融性が悪くなり成形物の外観を損なう場合がある。
なお、ここでいう平均粒子径および粒度分布は、例えば、プロセス用粒度分布計測システム「TSUB−TEC300」[日本鉱業(株)製]を用いて測定することができる。
【0049】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の示差走査熱量計(DSC)で測定される架橋(熱重合)反応の発熱曲線における発熱開始温度と終了温度の差は、通常40℃以下、好ましくは35℃以下である。該発熱開始温度と終了温度の差が40℃を越える場合は、樹脂が充分溶融する前に架橋反応が立ち上がるため、スラッシュ成形に用いた場合、成形物中に気泡のかみこみが起こり易く、シートの白化による外観および強度が低下する傾向となる。
該樹脂組成物の架橋反応の発熱曲線は、示差走査熱量計[例えば「DSC7」(パーキンエルマー社製)]により測定することができる。
【0050】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の架橋反応の立ち上がり温度は、該組成物中の有機銅化合物(B)の含有量でコントロールすることができる。架橋反応の立ち上がり温度は、上記示差走査熱量計による発熱曲線の発熱開始温度として測定することができる。該発熱開始温度は通常130℃以上、好ましくは160℃以上である。
【0051】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の粉体と、可塑剤(C)および顔料(D)と、必要によりその他の添加剤(ブロッキング防止剤、離型剤等)とからなる粉体混合物はスラッシュ成型用材料として好適に用いられる。
【0052】
上記可塑剤(C)としては、フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];燐酸エステル[リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジール等];脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのは、フタル酸エステルと燐酸エステルである。
可塑剤の配合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
【0053】
上記顔料(D)としては特に限定されず、公知の有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては、クロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化物セレン化合物、金属塩類(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末、カーボンブラック等が挙げられる。
顔料の配合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0054】
上記ブロッキング防止剤としては特に限定されず、公知の無機系ブロッキング防止剤または有機系ブロッキング防止剤を使用することができる。
無機系ブロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系ブロッキング防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂等)および粒子径10μm以下の熱可塑性樹脂[例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂等]が挙げられる。
ブロッキング防止剤の配合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、通常0.05〜2重量部である。
【0055】
上記離型剤としては公知の離型剤が使用できる。該離型剤としては、例えばフッ素系離型剤(リン酸フルオロアルキルエステル等)、シリコン系離型剤(ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシル変性ジメチルポリシロキサン等)、脂肪酸エステル系離型剤[アルカン(炭素数11〜24)酸アルケニル(炭素数6〜24)エステル等]、リン酸エステル系離型剤(リン酸トリブチルエステル)等が挙げられる。
離型剤の配合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、通常0.05〜2重量部である。
【0056】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物に上記添加物を添加する場合、あるいは前記熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法▲3▼においてドライブレンドするときには、公知の粉体混合装置を使用することができる。
該粉体混合装置の具体例としては、高速剪断混合装置[三井鉱山(株)製「へンシェルミキサー」、深江工業(株)製「ハイスピードミキサー」等]、低速混合装置[ホソカワミクロン(株)製「ナウタミキサー」等]などが挙げられる。
なお、上記(C)、(D)および必要によりその他の添加剤は、熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の粉体と混合するのが好ましいが、これらの一部または全部を予め熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の製造段階または該樹脂組成物の製造段階における任意の段階で添加しておいてもよい。
【0057】
さらに本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じ公知の耐候性安定剤、滑剤、耐熱安定剤、難燃剤等を添加することができる。
これらの添加方法については特に限定されず、前記分散体の製造段階で添加してもよいし、樹脂粉体に添加してもよい。
【0058】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、該樹脂組成物の粉体を増粘剤を含む水性媒体に再分散するか、あるいは前記▲1▼または▲2▼の方法で得られた水性分散体に増粘剤を加えて水系ペーストとした形態でも用いることができる。
【0059】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、耐候性、耐溶剤性、接着強度、樹脂強度等に優れるので、成形材料、熱溶融型接着剤、粉体塗料等の各種用途に使用することができ、特にスラッシュ成形用材料、接着芯地用接着剤および粉体塗料として好適に用いることができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
なお、実施例中の平均粒子径、銅含有量、発熱開始温度および発熱開始温度と終了温度の差は以下の方法で測定した。
平均粒子径:日本鉱業(株)製「TSUB−TEC300」を用いて測定した。
銅含有量:(株)日立製作所製「原子吸光光度計180−80」で測定した。
発熱開始温度、発熱開始温度と終了温度の差:示差走査熱量計(パーキンエルマー社製「DSC7」)を用いて下記条件で測定した。
サンプル量;20mg
測定温度範囲;30〜250℃
昇温速度;5℃/min.
測定雰囲気;窒素中
【0061】
製造例1
撹拌棒を備えた反応容器に、ジイソデシルフタレート90部およびカーボンブラック(HCFグレード)10部を仕込み、均一になるまで混合した。得られた混合物を[着色剤1]とする。
【0062】
実施例1
攪拌機および温度計を備えた反応容器に、ジエチレントリアミンとアセトンとからのジケチミン化物183部を投入し、80℃に昇温した。そこにメタクリル酸グリシジル142部を20分で滴下し、さらに同温度で30分反応を行った。得られた化合物を(S1)とする。
上記と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56のネオペンチルアジペートジオール2,200部を仕込み、3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI488部を投入し、120℃で8時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該プレポリマーのNCO含量は3.4%であった。このプレポリマー269部に、イソホロンジアミン(IPDA)とアセトンとからのジケチミン化物12.5部、上記(S1)16.3部、ジ−n−ブチルアミン2.6部、オレイン酸銅(II)(銅含有量9%)の1%アセトン溶液16.7部および製造例1の[着色剤1]30部を加え25℃で均一に混合した後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶液1,200部を添加し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を用い、回転数6,000rpmで1分間混合した。さらに3時間攪拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行い、本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉体(P1)322部を得た。該(P1)の平均粒子径は150μm、銅含有量は46ppm、発熱開始温度は200℃、発熱開始温度と終了温度の差は32℃であった。
【0063】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56のネオペンチルアジペートジオール1,600部を仕込み、3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いて2−ヒドロキシエチルメタクリレート26部およびIPDI355部を投入し、120℃で8時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該プレポリマーのNCO含量は3.0%であった。このプレポリマー198部に、IPDAとアセトンとからのジケチミン化物17.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸銅(II)(銅含有量8%)の1%アセトン溶液12部および製造例1の[着色剤1]22部をを加え25℃で均一に混合した後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶液1,000部を添加し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を使用し、回転数6,000rpmで1分間混合した。さらに3時間攪拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行い、本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉体(P2)237部を得た。該(P2)の平均粒子径は180μm、銅含有量は40ppm、発熱開始温度は195℃、発熱開始温度と終了温度の差は30℃であった。
【0064】
比較例1
実施例1において、オレイン酸銅(II)を使用しない以外は実施例1と全く同様にして、比較の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉体(P3)322部を得た。該(P3)の平均粒子径は160μm、発熱開始温度は120℃、発熱開始温度と終了温度の差は48℃であった。
【0065】
比較例2
実施例1と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56のネオペンチルアジペートジオール2,200部を仕込み、3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI488部を投入し、120℃で8時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該プレポリマーのNCO含量は3.4%であった。このプレポリマー195.5部に、IPDA11.9部、ジエタノールアミン2.1部、HDIのイソシアヌレート変性体とε−カプロラクタムの付加体[旭化成工業(株)製「デュラネートTPA−100」]11.2部および製造例1の[着色剤1]24部を加え25℃で均一に混合した後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶液1,200部を添加し、ウルトラデスパーザー(ヤマト科学製)を使用し、回転数6,000rpmで1分間混合した。さらに3時間攪拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行い、比較の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉体(P4)244部を得た。該(P4)の平均粒子径は155μm、発熱開始温度は185℃、発熱開始温度と終了温度の差は54℃であった。
【0066】
性能試験例1
上記着色粉体(P1)〜(P4)を、それぞれ220℃に加熱した金型に3分間接触させ熱溶融後未溶融の粉末を除去し、室温中で1分間放置した後、水冷し成形シートを作成した。得られた成形シートについて下記試験方法により性能試験を行った。その結果を表1に示す。
(試験方法)
白化(外観):成形シート表面を目視評価した。
ピンホール:成形シートを光に透かして、ピンホールの有無を目視評価した。
シート破断強度およびび破断伸び(25℃):JIS−K6301に準じて測定した。
耐光性:成形シートをブラックパネル温度83℃のカーボンアークフェードメーター内で400時間処理した後、シート表面の外観を目視評価した。
耐溶剤性:成形シート表面に0.1mlのエタノールをスポイドで滴下し、25℃×10分、60℃×30分、さらに25℃×24時間保持後、シート表面を水でふき取った後、表面を観察した。無変化の状態をを5級、損傷が著しい状態を1級とし表面状態を5段階で示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物は下記の効果を有する。
(1)スラッシュ成形用材料として用いた場合、架橋反応の発熱曲線がシャープであり、樹脂が充分溶融した後に架橋反応が立ち上がるため、白化現象が無く外観に優れ、ピンホール等の欠陥の無い強靭なシートが得られる。
(2)熱溶融処理後架橋構造を形成するために、得られる成形物は耐光性および耐溶剤性に優れる。
(3)架橋反応の立ち上がり温度が高いため、耐熱保存安定性に優れる。
上記効果を奏することから本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、自動車の内装材等のスラッシュ成形用材料として特に有用であり、また接着芯地用接着剤等のホットメルト接着剤ならびに粉体塗料としても有用である。
Claims (7)
- (メタ)アクロイル基、ビニルフェニル基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を分子中に1個以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と、有機銅(II)化合物(B)とからなることを特徴とする熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物。
- (A)が、活性水素成分とポリイソシアネートとを反応させてポリウレタンを製造するにあたり、活性水素成分の少なくとも一部として分子内に重合性基(e)を有する活性水素含有化合物を用いてなるポリウレタン樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
- (B)が、カルボン酸銅、スルホン酸銅、有機リン酸銅および有機銅錯体から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- (B)に由来する銅(II)の含有量が、(A)と(B)の合計重量に基づいて1〜5,000ppmである請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物。
- 示差走査熱量計で測定される架橋反応の発熱曲線における発熱開始温度が130℃以上であり、かつ発熱開始温度と終了温度の差が40℃以下である請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物。
- 平均粒子径が10〜500μmの粉体である請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか記載の組成物と、可塑剤(C)および顔料(D)とを主成分として含有してなるスラッシュ成形用材料。
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