JPH11152406A - 熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物

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JPH11152406A
JPH11152406A JP9336289A JP33628997A JPH11152406A JP H11152406 A JPH11152406 A JP H11152406A JP 9336289 A JP9336289 A JP 9336289A JP 33628997 A JP33628997 A JP 33628997A JP H11152406 A JPH11152406 A JP H11152406A
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Satokichi Baba
馬場聡吉
Masayuki Fujii
藤井雅行
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とくにスラッシュ成形材料に用いたときに、
白化現象が無く外観に優れ、ピンホール等の欠陥のない
強靱なシートが得られる熱架橋性ポリウレタン樹脂組成
物を提供すること。 【解決手段】 (メタ)アクロイル基、ビニルフェニル
基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビ
ニルエーテル基から選ばれる官能基を分子中に1個以上
有する熱可塑性ポリウレタン樹脂と、有機銅(II)化
合物とからなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱架橋性ポリウレタ
ン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、スラッシュ成
形用材料に用いた場合、成形シートの外観、耐溶剤性、
耐光性、平滑性、樹脂強度等に優れる熱架橋性ポリウレ
タン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スラッシュ成形法は、複雑な形状(アン
ダーカット、深絞り等)の製品が容易に成形できるこ
と、肉厚が均一にできること、材料の歩留まり率が良い
ことから、近年、自動車の内装材等を中心にした用途に
広く利用されており、主に軟質のポリ塩化ビニル(以下
PVCという)粉末がこのような用途に使用されてい
る。しかし、軟質化されたPVCは低分子の可塑剤を多
量に含有するため、長期間の使用において、可塑剤の揮
発により車両のフロントガラス等に油膜を形成(フォギ
ング)して運転者の視認性を阻害したり、成形物表面へ
の可塑剤の移行による艶消し効果やソフト感の消失、さ
らにはPVCの経時的劣化による黄変の問題があった。
【0003】このような問題点を改善するものとして、
ポリウレタン樹脂を使って所望の物性のものを得ようと
する試みも行われている(例えば特開平2−38453
号、特開平3−97712号公報)。特に自動車の内装
材等は、耐溶剤性および耐光性が要求されており、これ
らの要求性能を満たすものとして、ウレタン樹脂をブロ
ックドイソシアネートで後架橋するポリウレタン粉末が
提案されている(特開平5−230163号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ウレタ
ン樹脂をブロックドイソシアネートで架橋するものは、
成形時樹脂の溶融と同時に架橋による樹脂粘度の上昇が
起こるため、樹脂中に気泡がかみ込み、成形シートの強
度低下、外観不良(白化)、アンダーカット部やエッジ
部にピンホールが発生する等の問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち本発明は、(メタ)アクロイル基、ビニルフェニ
ル基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基および
ビニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を分子中
に1個以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と、
有機銅(II)化合物(B)とからなることを特徴とす
る熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物;並びに、該組成物
と、可塑剤(C)および顔料(D)とを主成分として含
有してなるスラッシュ成形用材料である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる熱可塑
性ポリウレタン樹脂(A)は、活性水素成分(a)とポ
リイソシアネート(b)とを反応させてポリウレタンを
製造するにあたり、活性水素成分(a)の少なくとも一
部として、(メタ)アクロイル基、ビニルフェニル基、
プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビニル
エーテル基から選ばれる重合性基(e)を有する活性水
素含有化合物(a1)を用いてなり、該重合性基(e)
を分子中に通常1個以上、好ましくは2〜6個またはそ
れ以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
【0007】上記重合性基(e)を有する活性水素含有
化合物(a1)としては、該(e)と活性水素含有基
(水酸基および/または1級もしくは2級アミノ基な
ど)を有する化合物、例えば、該(e)を有するモノも
しくはジオール(a1−1)、該(e)を有するアルキ
レン基の炭素数1〜6のジアルキレントリアミン誘導体
のケチミン化物(a1−2)および該(e)を有するモ
ノアミン(a1−3)が挙げられる。
【0008】上記重合性基(e)を有するモノもしくは
ジオール(a1−1)としては、例えば、(メタ)アク
ロイル基を有するモノおよびジオール[2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート等];ビニルフェニル基を有する
モノおよびジオール[4−ビニルフェノール、2−ヒド
ロキシエチル−4−ビニルフェニルエーテル、(2−ヒ
ドロキシプロピル)−4−ビニルフェニルエーテル、
(2,3−ジヒドロキシプロピル)−4−ビニルフェニ
ルエーテル、4−(2−ヒドロキシエチル)スチレン
等];プロペニルエーテル基を有するモノおよびジオー
ル[プロペニルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロ
ペニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルプロペニルエ
ーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルプロペニルエー
テル等];アリルエーテル基を有するモノおよびジオー
ル[アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエ
ーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2,
3−ジヒドロキシプロピルアリルエーテル等];ビニル
エーテル基を有するモノおよびジオール[2−ヒドロキ
シエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニ
ルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルビニルエー
テル等];これらのアルキレンオキサイド(エチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3
−、2,3−もしくは1,4−ブチレンオキサイド、ス
チレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用)付加
物(分子量5,000以下);およびこれら2種以上の
混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは(メ
タ)アクロイル基を有するモノおよびジオールであり、
特に好ましものは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
および2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、およびこれらのエチレンオキサイドおよび/また
はプロピレンオキサイド付加物である。
【0009】該重合性基(e)を有するアルキレン基の
炭素数1〜6のジアルキレントリアミン誘導体のケチミ
ン化物(a1−2)としては、該(e)を有するグリシ
ジル化合物[グリシジル(メタ)アクリレート、4−ビ
ニルフェニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジ
ルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシ
ジルエーテル等]と、アルキレン基の炭素数1〜6のジ
アルキレントリアミン(ジエチレントリアミン、ジプロ
ピレントリアミン、ジブチレントリアミン等)とケトン
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等)からのジケチミン化物との1/1モル付加反応
物が挙げられ、好ましいものはグリシジル(メタ)アク
リレートとジエチレントリアミンのジアセチミン化物と
の1/1モル付加反応物である。
【0010】該重合性基(e)を有するモノアミン(a
3−6)としては、1級モノアミン[アルキル基の炭素
数1〜8のモノアルキルアミン(メチルアミン、エチル
アミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等)、モノ
アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソ
プロパノールアミン等)]と、該(e)を有するグリシ
ジル化合物(グリシジル(メタ)アクリレート、4−ビ
ニルフェニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジ
ルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシ
ジルエーテル等)との1/1モル付加反応物が挙げら
れ、好ましいものはn−ブチルアミンとグリシジル(メ
タ)アクリレートとの1/1モル付加反応物である。
【0011】(A)を構成する活性水素成分(a)のう
ちの上記(a1)以外の活性水素含有化合物としては、
高分子ポリオール(a2)および必要により低分子活性
水素含有化合物(a3)が用いられる。
【0012】上記高分子ポリオール(a2)としては、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリ
オール、ポリマーポリオールおよびこれら2種以上の混
合物が挙げられる。該(a2)の数平均分子量は通常5
00〜5,000、好ましくは700〜3,000であ
る。
【0013】ポリエーテルポリオールとしては、2個の
活性水素原子を有する化合物(たとえば2価アルコール
類、2価フェノール類など)にアルキレンオキサイドが
付加した構造の化合物およびそれらの2種以上の混合物
が挙げられる。
【0014】上記2価アルコール類としてはエチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアル
キレングリコール;環状基を有する2価アルコール(例
えば特公昭45−1474号公報明細書に記載のもの:
1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m
−またはp−キシリレングリコールなど)などが挙げら
れる。また、2価フェノール類としてはピロガロール、
ハイドロキノン、フロログルシンなどの単環多価フェノ
ール;ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェ
ノールFなどのビスフェノール類などが挙げられる。こ
れらのうち好ましいものは2価アルコール類である。
【0015】上記アルキレンオキサイドとしては、エチ
レンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサ
イド(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4
−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキ
サイドおよびこれらの2種以上の併用(ブロックまたは
ランダム付加)が挙げられる。これらのうち好ましいも
のはPO単独およびEOとPOの併用である。
【0016】ポリエステルポリオールとしては、例えば
前記2価アルコールの1種以上とポリカルボン酸もし
くはそのエステル形成性誘導体の1種以上との縮合重合
による縮合ポリエステルポリオール;前記2価アルコ
ールを開始剤とするラクトンの開環重合によるポリラク
トンポリオール;およびこれらの2種以上の混合物が挙
げられる。
【0017】上記のポリカルボン酸の具体例として
は、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマ
ル酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソ
フタル酸など)、これらのジカルボン酸のエステル形成
性誘導体(酸無水物、アルキル基の炭素数が1〜4の低
級アルキルエステル等)およびこれらの2種以上の併用
が挙げられる。
【0018】上記のラクトンとしてはγ−ブチロラク
トン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンおよび
これらの2種以上の併用が挙げられる。
【0019】ポリエーテルエステルポリオールとして
は、例えば、前記ポリエーテルポリオールの1種以上と
前記ポリエステルポリオールの原料として例示したポリ
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以
上とをエステル化反応して得られるもの、前記ポリエー
テルポリオールの1種以上にラクトンの1種以上を開環
付加させて得られるものなどが挙げられる。
【0020】ポリカーボネートポリオールとしては、例
えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリテ
トラメチレンカーボネートジオールおよびこれらの2種
以上の併用が挙げられる。
【0021】ポリマーポリオールとしては、上記で挙げ
た高分子ポリオール中でビニル単量体(例えばスチレ
ン、アクリロニトリルなど)をラジカル重合開始剤の存
在下で重合し分散安定化させてなるポリオール(例えば
重合体含量5〜30重量%)が挙げられる。
【0022】上記高分子ポリオール(a2)のうち好ま
しいものは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポ
リオールおよびポリカーボネートポリオールである。
【0023】低分子活性水素含有化合物(a3)として
は低分子ポリオール(a3−1)、ポリアミン類もしく
はこれらのケチミン化合物(a3−2)、ならびに、重
合停止剤としてのモノアミン(a3−3)および1価ア
ルコール(a3−4)が挙げられる。
【0024】低分子ポリオール(a3−1)としては、
例えば脂肪族低分子ジオール類[エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、3
−メチル−1,5−ペンタンジオールなど]、環状基を
有する低分子ジオール類[例えば特公昭45−1474
号公報明細書に記載のもの:1,4−ビス(ヒドロキシ
メチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレング
リコールなど]、これらのアルキレンオキサイド低モル
付加物(分子量500未満);ビスフェノール類のアル
キレンオキサイド低モル付加物(分子量500未満);
およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0025】ポリアミン類もしくはこれらのケチミン化
合物(a3−3)としては、ポリアミン、ポリアミドポ
リアミンなどのアミン類およびこれらのケチミン化合物
が挙げられる。
【0026】上記ポリアミンとしては、芳香族ジアミン
[フェニレンジアミン、トルエンジアミン、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、m−またはp−キシリレン
ジアミン、ジエチルトルエンジアミン、2,4−または
2,6−ジメチルチオトルエンジアミン等];脂環式ジ
アミン[イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシ
クロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−
ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ
−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシク
ロヘキサン等];脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、
1,6−ヘキサメチレンジアミン等];アルカノールア
ミン誘導体[N−(2−アミノエチル)エタノールアミ
ン等];ヒドラジンもしくはその誘導体[アジピン酸ジ
ヒドラジド等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げ
られる。
【0027】ポリアミドポリアミンとしては、例えば、
ダイマー酸(重合脂肪酸)と過剰当量のエチレンジアミ
ンとの縮合反応物などが挙げられる。
【0028】ケチミン化合物としては上記ポリアミンと
ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等)との反応物が挙げられる。
【0029】これらのうち好ましいものは、脂肪族ジア
ミンのアセトンとのケチミン(アセチミン)化物および
脂環式ジアミンのアセチミン化物である。
【0030】重合停止剤として必要により用いられるモ
ノアミン(a3−3)としては、アルキル基の炭素数1
〜8のアルキルアミン(エチルアミン、ブチルアミン、
ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等)、アルカノ
ールアミン(モノエタノールアミン、ジプロパノールア
ミン、ジエタノールアミン等)などが挙げられる。
【0031】また、1価のアルコール(a3−4)とし
てはメタノール、エタノール、n−ブタノール、セロソ
ルブ、これらのアルキレンオキサイド付加物(分子量3
00未満)、1価フェノール類のアルキレンオキサイド
付加物(分子量400未満)等が挙げられる。
【0032】ポリイソシアネート(b)としては、炭素
数(NCO基中の炭素を除く)2〜12の脂肪族ポリイ
ソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−ト
リメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシア
ネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート
等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)4〜15の脂
環式ポリイソシアート[イソホロンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキ
シレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイ
ソシアネート等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)
8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート[キシリレンジ
イソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキ
シリレンジイソシアネート等];芳香族ジイソシアネー
ト[トリレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイ
ソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、
ナフチレンジイソシアネート等];これらのジイソシア
ネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、
イソシアヌレート基、ビュレット基等を含有する変性
物);およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0033】これら(b)として例示したもののうち好
ましいものは、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジ
イソシアネートであり、特に好ましいものはヘキサメチ
レンジイソシアネート(以下HDIと略記)、イソホロ
ンジイソシアネート(以下IPDIと略記)およびジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0034】熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の製造方
法としては、例えば、下記〜の方法が例示できる
が、これらに限定されるものではない。 無溶剤下または溶剤(トルエン、キシレン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、ジメチルフォルムアミド、アセトン、
メチルエチルケトン等)の存在下で、ポリイソシアネー
ト(b)と、高分子ポリオール(a2)と、重合性基
(e)を有するモノもしくはポリオール(a1−1)お
よび/または低分子ポリオール(a3−1)と必要によ
り1価アルコール(a3−4)とを、NCO/OH当量
比が通常0.8〜1、好ましくは0.85〜0.98で
一括に重合反応させて(A)を得る方法。 無溶剤下または溶剤の存在下で、過剰の(b)に、
(a2)と(a1−1)および/または(a3−1)と
を反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマ
ー(b1)とし、該(b1)に、鎖伸長剤(a1−2)
および/または(a3−2)と、必要により重合停止剤
(a1−3)および/または(a3−3)とを加え、鎖
伸長反応させて(A)を得る方法。 無溶剤下または溶剤の存在下で得られたウレタンプレ
ポリマー(b1)を分散安定剤を含む水中に分散し、こ
の分散体に(a1−2)および/または(a3−2)
と、必要により(a1−3)および/または(a3−
3)とを加え、鎖伸長反応させて(A)を得る方法。 無溶剤下または溶剤の存在下で得られたウレタンプレ
ポリマー(b1)を分散安定剤を含む非水系分散媒(ヘ
キサン、ヘプタン等)中に分散し、この非水分散体に
(a1−2)および/または(a3−2)と、必要によ
り(a1−3)および/または(a3−3)とを加え、
鎖伸長反応させて(A)を得る方法。 上記方法のうちでは、分子量制御が容易で溶剤の使用量
も少なく、しかも所望の粒子径の樹脂粉体が直接得られ
る点からの方法が特に好ましい。
【0035】(A)は、その分子末端および/または分
子側鎖に、(メタ)アクロイル基、ビニルフェノキシ
基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビ
ニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を通常1個
以上、好ましくは2〜6個またはそれ以上有する。該
(A)の分子中に重合性基(e)を導入する方法は特に
限定されないが、例えば下記の方法が例示できる。 (1)上記の方法で、(a1−1)を用いることによ
り重合性基(e)を分子側鎖および/または分子末端に
有する(A)が得られる。 (2)上記〜の方法で、(b1)の構成成分として
(a1−1)を用いることにより重合性基(e)を分子
側鎖に有する(A)が得られる。 (3)上記〜の方法で、鎖伸長剤として(a1−
2)を用いることにより重合性基(e)を分子側鎖に有
する(A)が得られる。 (4)上記〜の方法で、重合停止剤として(a3−
3)を用いることにより重合性基(e)を分子末端に有
する(A)が得られる。 (5)上記〜の方法で、(b1)の構成成分として
(a1−1)を用い、重合停止剤として(a1−3)を
用いることにより分子側鎖と分子末端とに重合性基
(e)を有する(A)が得られる。 (6)上記〜の方法で、鎖伸長剤として(a1−
2)を用い、重合停止剤として(a1−3)を用いるこ
とにより、分子側鎖と分子末端とに重合性基(a)を有
する(A)が得られる。
【0036】前記〜の方法においてウレタン化反応
を行う際に、必要によりポリウレタンに通常用いられる
触媒を使用できる。該触媒の具体例としては、例えば有
機金属化合物[ジブチルスズジラウレート、ジオクチル
スズラウレート等];アミン類[トリエチルアミン、ト
リエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン等]お
よびこれらの2種以上の併用が挙げられる。触媒の使用
量は特に限定はないが、(A)またはイソシアネート基
末端ウレタンプレポリマー(b1)100重量部当たり
通常0.001〜0.05重量部である。
【0037】前記〜の方法において、イソシアネー
ト(NCO)基末端ウレタンプレポリマー(b1)を製
造する際のNCO基とOH基の当量比[NCO/OH]
は通常1.01〜2.8、好ましくは1.3〜2.5で
ある。また、該(b1)中のNCO含量は通常1〜20
重量%、好ましくは2〜10重量%である。NCO含量
が20重量%を越えると、熱架橋性ポリウレタン樹脂組
成物から得られる成形物の柔軟性が低下する傾向とな
り、1重量%未満の場合は得られる(b1)の粘度が高
くなりすぎ、水中または非水系分散媒中への分散が困難
となる場合がある。
【0038】前記の方法において鎖伸長剤として用い
られる(a1−2)および/または(a3−2)の使用
量は、(b1)中のNCO基1当量に対し、通常0.5
〜1.5当量、好ましくは0.7〜1.2当量である。
この範囲外では接着強度および樹脂強度が不十分となる
ことがある。
【0039】また、重合停止剤としての(a1−3)お
よび/または(a3−3)の使用量は、(b1)中のN
CO基1当量に対し、通常0.5当量以下、好ましくは
0.3当量以下である。0.5当量を越えると接着強度
および樹脂強度が低下する場合がある。
【0040】本発明で用いられる熱可塑性ポリウレタン
樹脂(A)の数平均分子量は、通常5,000〜80,
000、好ましくは10,000〜50,000であ
る。5,000未満では良好な樹脂強度が得られないこ
とがあり、80,000を越えると組成物の熱溶融性が
シャープとならず、成形物の表面平滑性が不十分となる
ことがある。また、重合性基(e)1個あたりの分子量
は通常500〜10,000、好ましくは800〜8,
000、特に好ましくは1,000〜5,000であ
る。500未満では成形物の柔軟性が低下する傾向とな
り、10,000を越えると成形物の耐光性および耐溶
剤性が不十分となることがある。
【0041】該(A)中のイソシアネート基に基づくウ
レタン基(−NHCOO−)およびウレア基(−NHC
ONH−)の合計の含有量は、通常3〜20重量%、好
ましくは5〜15重量%である。3重量%未満では充分
な樹脂強度が得られないことがあり、20重量%を越え
ると架橋後の樹脂の柔軟性が低下する傾向となる。
【0042】本発明で用いられる有機銅(II)化合物
(B)としては、炭素数1〜20またはそれ以上の1〜
2価またはそれ以上の以上の脂肪族もしくは芳香族カル
ボン酸銅[酢酸銅、オクチル酸銅、オレイン酸銅、コハ
ク酸銅、フタル酸銅、グルコン酸銅、ナフテン酸銅
等];炭素数2〜20またはそれ以上の脂肪族もしくは
芳香族オキシカルボン酸銅[乳酸銅、オキシステアリン
酸銅、サリチル酸銅等];炭素数1〜20またはそれ以
上の脂肪族もしくは芳香族スルホン酸銅[p−トルエン
スルホン酸銅、ノニルベンゼンスルホン酸銅、ドデシル
ベンゼンスルホン酸銅、ナフタレンスルホン酸銅、ドデ
シルスルホン酸銅、スルホコハク酸銅−ジ−2−エチル
ヘキシルエステル等];炭素数1〜20またはそれ以上
のアルキル硫酸銅[ラウリル硫酸銅、オレイル硫酸銅
等];有機リン酸銅[n−オクチルリン酸モノエステル
銅塩、n−オクチルリン酸ジエステル銅塩等];有機銅
錯体[銅フタロシアニン、銅フタロシアニンジスルホン
酸ナトリウム等]およびこれら2種以上の混合物が挙げ
られる。これらのうち好ましいものは脂肪族モノカルボ
ン酸銅および芳香族スルホン酸銅であり、特に好ましい
ものはオレイン酸銅およびドデシルベンゼンスルホン酸
銅である。
【0043】本発明の樹脂組成物において、該(B)に
由来する銅(II)の量は、(A)と(B)の合計重量
に基づいて、通常1〜5,000ppm、好ましくは1
0〜1,000ppmである。1ppm以上で樹脂組成
物の良好な熱保存安定性が得られ、5,000ppmを
越えると(A)中の重合性基(e)の重合反応による架
橋が不十分となり耐候性や耐溶剤性に優れた成形物が得
られないことがある。該銅(II)は、樹脂組成物が一
定温度(例えば130℃)以上に加熱されるまでは
(A)中の重合性基(e)の熱重合反応(架橋)を抑制
する重合禁止剤として作用する。
【0044】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
の架橋反応発熱曲線は、従来技術のブロックドイソシア
ネート架橋に比べる極めてとシャープであり、かつ
(B)由来の銅(II)含有量で架橋反応温度をコント
ロールすることができる。したがって銅(II)含有量
を調節することにより、樹脂組成物の粉体が充分に溶融
した後に架橋反応を開始させることができ、しかも短時
間(成形時間内)に架橋反応を終了させることができ
る。その結果白化現象が無く外観に優れピンホール等の
ない強靱な成形物を得ることが可能となる。
【0045】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
は通常粉体で用いられる。該粉体の製造方法としては、
例えば下記の方法が例示できる。 該有機銅(II)化合物(B)を前記ウレタンプレポ
リマー(b1)または低分子活性水素含有化合物(a
3)のいずれかに含有させておき、分散安定剤を含有す
る水中または非水分散媒(ヘキサン、ヘプタン等)中で
分散機を用いて分散し、通常5〜60℃、好ましくは1
0〜50℃で反応させて分散体を得た後、濾過、乾燥等
の方法により、水または有機溶剤を除去する方法。 該(B)を含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)
の有機溶剤溶液を、分散安定剤を含有する水中または貧
溶剤中に通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃で分
散機を用いて分散して分散体を得た後、濾過、乾燥等の
方法により、水および有機溶剤を除去する方法。 溶融状態で熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と該
(B)とを均一に混合した樹脂混合物を冷凍粉砕して粉
体を得る方法。 粉体化した(A)と(B)とを粉体ブレンダー等で均
一に混合(ドライブレンド)する方法。 上記方法のうちで特に好ましいのはの方法であり、さ
らに好ましいのは予めウレタンプレポリマー(b1)に
(B)を含有させておく方法である。
【0046】上記またはの製造方法において使用さ
れる分散安定剤としては特に限定されず、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリネオペンチルアジペートジオー
ル(数平均分子量2,000)/IPDI/ポリエチレ
ングリコールのPOとEO(POとEOの割合は重量比
で20/80)共付加物(数平均分子量2,000)
[1/1/1モル]反応物、スチレン/メタクリル酸メ
チル/無水マレイン酸共重合体(共重合モル比35/1
5/50)のナトリウム塩、メチルセルロース、ポリエ
チレングリコール等が挙げられる。
【0047】上記またはの製造方法において用いら
れる分散機としては特に限定されず、例えば、低速せん
断型分散機、高速せん断型分散機、摩擦型分散機、高圧
ジェット型分散機、超音波型分散機、静止型分散機等が
挙げられる。これらのうち好ましいものは、高速せん断
式分散機(例えば、ヤマト科学製「ウルトラディスパー
ザー」、荏原製作所製「エバラマイルダー」等)および
静止型分散機(例えば、タクミナ製「スタティックミキ
サー」等)である。
【0048】該熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の粉体
の平均粒子径は10〜500μmであり、好ましくは2
0〜300μmである。平均粒子径が10μm未満では
粉体が帯電したり粉塵が発生し易く、500μmを越え
ると粒子の熱溶融性が悪くなり成形物の外観を損なう場
合がある。なお、ここでいう平均粒子径および粒度分布
は、例えば、プロセス用粒度分布計測システム「TSU
B−TEC300」[日本鉱業(株)製]を用いて測定
することができる。
【0049】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
の示差走査熱量計(DSC)で測定される架橋(熱重
合)反応の発熱曲線における発熱開始温度と終了温度の
差は、通常40℃以下、好ましくは35℃以下である。
該発熱開始温度と終了温度の差が40℃を越える場合
は、樹脂が充分溶融する前に架橋反応が立ち上がるた
め、スラッシュ成形に用いた場合、成形物中に気泡のか
みこみが起こり易く、シートの白化による外観および強
度が低下する傾向となる。該樹脂組成物の架橋反応の発
熱曲線は、示差走査熱量計[例えば「DSC7」(パー
キンエルマー社製)]により測定することができる。
【0050】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
の架橋反応の立ち上がり温度は、該組成物中の有機銅化
合物(B)の含有量でコントロールすることができる。
架橋反応の立ち上がり温度は、上記示差走査熱量計によ
る発熱曲線の発熱開始温度として測定することができ
る。該発熱開始温度は通常130℃以上、好ましくは1
60℃以上である。
【0051】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
の粉体と、可塑剤(C)および顔料(D)と、必要によ
りその他の添加剤(ブロッキング防止剤、離型剤等)と
からなる粉体混合物はスラッシュ成型用材料として好適
に用いられる。
【0052】上記可塑剤(C)としては、フタル酸エス
テル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル
酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];脂肪族
2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];トリメリッ
ト酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシ
ル、トリメリット酸トリオクチル等];燐酸エステル
[リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチ
ル、リン酸トリクレジール等];脂肪酸エステル[オレ
イン酸ブチル等];およびこれらの2種以上の混合物が
挙げられる。これらのうち好ましいのは、フタル酸エス
テルと燐酸エステルである。可塑剤の配合量は熱架橋性
ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、通常1〜
30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
【0053】上記顔料(D)としては特に限定されず、
公知の有機顔料および/または無機顔料を使用すること
ができる。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性ア
ゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料
等が挙げられ、無機系顔料としては、クロム酸塩、フェ
ロシアン化合物、金属酸化物、硫化物セレン化合物、金
属塩類(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉
末、カーボンブラック等が挙げられる。顔料の配合量は
熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に対し、
通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部であ
る。
【0054】上記ブロッキング防止剤としては特に限定
されず、公知の無機系ブロッキング防止剤または有機系
ブロッキング防止剤を使用することができる。無機系ブ
ロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系ブロッキング
防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(例
えば、熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂、
エポキシ系樹脂等)および粒子径10μm以下の熱可塑
性樹脂[例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ(メ
タ)アクリレート樹脂等]が挙げられる。ブロッキング
防止剤の配合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物10
0重量部に対し、通常0.05〜2重量部である。
【0055】 上記離型剤としては
公知の離型剤が使用できる。該離型剤としては、例えば
フッ素系離型剤(リン酸フルオロアルキルエステル
等)、シリコン系離型剤(ジメチルポリシロキサン、ア
ミノ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシル変性ジ
メチルポリシロキサン等)、脂肪酸エステル系離型剤
[アルカン(炭素数11〜24)酸アルケニル(炭素数
6〜24)エステル等]、リン酸エステル系離型剤(リ
ン酸トリブチルエステル)等が挙げられる。離型剤の配
合量は熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物100重量部に
対し、通常0.05〜2重量部である。
【0056】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
に上記添加物を添加する場合、あるいは前記熱架橋性ポ
リウレタン樹脂組成物の製造方法においてドライブレ
ンドするときには、公知の粉体混合装置を使用すること
ができる。該粉体混合装置の具体例としては、高速剪断
混合装置[三井鉱山(株)製「へンシェルミキサー」、
深江工業(株)製「ハイスピードミキサー」等]、低速
混合装置[ホソカワミクロン(株)製「ナウタミキサ
ー」等]などが挙げられる。なお、上記(C)、(D)
および必要によりその他の添加剤は、熱架橋性ポリウレ
タン樹脂組成物の粉体と混合するのが好ましいが、これ
らの一部または全部を予め熱可塑性ポリウレタン樹脂
(A)の製造段階または該樹脂組成物の製造段階におけ
る任意の段階で添加しておいてもよい。
【0057】さらに本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂
組成物には、必要に応じ公知の耐候性安定剤、滑剤、耐
熱安定剤、難燃剤等を添加することができる。これらの
添加方法については特に限定されず、前記分散体の製造
段階で添加してもよいし、樹脂粉体に添加してもよい。
【0058】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
は、該樹脂組成物の粉体を増粘剤を含む水性媒体に再分
散するか、あるいは前記またはの方法で得られた水
性分散体に増粘剤を加えて水系ペーストとした形態でも
用いることができる。
【0059】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物
は、耐候性、耐溶剤性、接着強度、樹脂強度等に優れる
ので、成形材料、熱溶融型接着剤、粉体塗料等の各種用
途に使用することができ、特にスラッシュ成形用材料、
接着芯地用接着剤および粉体塗料として好適に用いるこ
とができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以
下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。な
お、実施例中の平均粒子径、銅含有量、発熱開始温度お
よび発熱開始温度と終了温度の差は以下の方法で測定し
た。 平均粒子径:日本鉱業(株)製「TSUB−TEC30
0」を用いて測定した。 銅含有量:(株)日立製作所製「原子吸光光度計180
−80」で測定した。 発熱開始温度、発熱開始温度と終了温度の差:示差走査
熱量計(パーキンエルマー社製「DSC7」)を用いて
下記条件で測定した。 サンプル量;20mg 測定温度範囲;30〜250℃ 昇温速度;5℃/min. 測定雰囲気;窒素中
【0061】製造例1 撹拌棒を備えた反応容器に、ジイソデシルフタレート9
0部およびカーボンブラック(HCFグレード)10部
を仕込み、均一になるまで混合した。得られた混合物を
[着色剤1]とする。
【0062】実施例1 攪拌機および温度計を備えた反応容器に、ジエチレント
リアミンとアセトンとからのジケチミン化物183部を
投入し、80℃に昇温した。そこにメタクリル酸グリシ
ジル142部を20分で滴下し、さらに同温度で30分
反応を行った。得られた化合物を(S1)とする。上記
と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56のネオペン
チルアジペートジオール2,200部を仕込み、3mm
Hgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行っ
た。続いてIPDI488部を投入し、120℃で8時
間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタン
プレポリマーを得た。該プレポリマーのNCO含量は
3.4%であった。このプレポリマー269部に、イソ
ホロンジアミン(IPDA)とアセトンとからのジケチ
ミン化物12.5部、上記(S1)16.3部、ジ−n
−ブチルアミン2.6部、オレイン酸銅(II)(銅含
有量9%)の1%アセトン溶液16.7部および製造例
1の[着色剤1]30部を加え25℃で均一に混合した
後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶液1,200部
を添加し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を
用い、回転数6,000rpmで1分間混合した。さら
に3時間攪拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行
い、本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉
体(P1)322部を得た。該(P1)の平均粒子径は
150μm、銅含有量は46ppm、発熱開始温度は2
00℃、発熱開始温度と終了温度の差は32℃であっ
た。
【0063】実施例2 実施例1と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56の
ネオペンチルアジペートジオール1,600部を仕込
み、3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱
水を行った。続いて2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト26部およびIPDI355部を投入し、120℃で
8時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレ
タンプレポリマーを得た。該プレポリマーのNCO含量
は3.0%であった。このプレポリマー198部に、I
PDAとアセトンとからのジケチミン化物17.5部、
ドデシルベンゼンスルホン酸銅(II)(銅含有量8
%)の1%アセトン溶液12部および製造例1の[着色
剤1]22部をを加え25℃で均一に混合した後、1%
濃度ポリビニルアルコール水溶液1,000部を添加
し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を使用
し、回転数6,000rpmで1分間混合した。さらに
3時間攪拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行
い、本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉
体(P2)237部を得た。該(P2)の平均粒子径は
180μm、銅含有量は40ppm、発熱開始温度は1
95℃、発熱開始温度と終了温度の差は30℃であっ
た。
【0064】比較例1 実施例1において、オレイン酸銅(II)を使用しない
以外は実施例1と全く同様にして、比較の熱架橋性ポリ
ウレタン樹脂組成物の着色粉体(P3)322部を得
た。該(P3)の平均粒子径は160μm、発熱開始温
度は120℃、発熱開始温度と終了温度の差は48℃で
あった。
【0065】比較例2 実施例1と同様の反応容器に、ヒドロキシル価が56の
ネオペンチルアジペートジオール2,200部を仕込
み、3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱
水を行った。続いてIPDI488部を投入し、120
℃で8時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマーを得た。該プレポリマーのNC
O含量は3.4%であった。このプレポリマー195.
5部に、IPDA11.9部、ジエタノールアミン2.
1部、HDIのイソシアヌレート変性体とε−カプロラ
クタムの付加体[旭化成工業(株)製「デュラネートT
PA−100」]11.2部および製造例1の[着色剤
1]24部を加え25℃で均一に混合した後、1%濃度
ポリビニルアルコール水溶液1,200部を添加し、ウ
ルトラデスパーザー(ヤマト科学製)を使用し、回転数
6,000rpmで1分間混合した。さらに3時間攪拌
して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行い、比較の熱
架橋性ポリウレタン樹脂組成物の着色粉体(P4)24
4部を得た。該(P4)の平均粒子径は155μm、発
熱開始温度は185℃、発熱開始温度と終了温度の差は
54℃であった。
【0066】性能試験例1 上記着色粉体(P1)〜(P4)を、それぞれ220℃
に加熱した金型に3分間接触させ熱溶融後未溶融の粉末
を除去し、室温中で1分間放置した後、水冷し成形シー
トを作成した。得られた成形シートについて下記試験方
法により性能試験を行った。その結果を表1に示す。 (試験方法) 白化(外観):成形シート表面を目視評価した。 ピンホール:成形シートを光に透かして、ピンホールの
有無を目視評価した。 シート破断強度およびび破断伸び(25℃):JIS−
K6301に準じて測定した。 耐光性:成形シートをブラックパネル温度83℃のカー
ボンアークフェードメーター内で400時間処理した
後、シート表面の外観を目視評価した。 耐溶剤性:成形シート表面に0.1mlのエタノールを
スポイドで滴下し、25℃×10分、60℃×30分、
さらに25℃×24時間保持後、シート表面を水でふき
取った後、表面を観察した。無変化の状態をを5級、損
傷が著しい状態を1級とし表面状態を5段階で示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明の熱架橋性ポリウレタン樹脂組成
物は下記の効果を有する。 (1)スラッシュ成形用材料として用いた場合、架橋反
応の発熱曲線がシャープであり、樹脂が充分溶融した後
に架橋反応が立ち上がるため、白化現象が無く外観に優
れ、ピンホール等の欠陥の無い強靭なシートが得られ
る。 (2)熱溶融処理後架橋構造を形成するために、得られ
る成形物は耐光性および耐溶剤性に優れる。 (3)架橋反応の立ち上がり温度が高いため、耐熱保存
安定性に優れる。 上記効果を奏することから本発明の熱架橋性ポリウレタ
ン樹脂組成物は、自動車の内装材等のスラッシュ成形用
材料として特に有用であり、また接着芯地用接着剤等の
ホットメルト接着剤ならびに粉体塗料としても有用であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 299/06 C08F 299/06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクロイル基、ビニルフェニル
    基、プロペニルエーテル基、アリルエーテル基およびビ
    ニルエーテル基から選ばれる重合性基(e)を分子中に
    1個以上有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と、有
    機銅(II)化合物(B)とからなることを特徴とする
    熱架橋性ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)が、活性水素成分とポリイソシア
    ネートとを反応させてポリウレタンを製造するにあた
    り、活性水素成分の少なくとも一部として分子内に重合
    性基(e)を有する活性水素含有化合物を用いてなるポ
    リウレタン樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)が、カルボン酸銅、スルホン酸
    銅、有機リン酸銅および有機銅錯体から選ばれる少なく
    とも1種である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)に由来する銅(II)の含有量
    が、(A)と(B)の合計重量に基づいて1〜5,00
    0ppmである請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 示差走査熱量計で測定される架橋反応の
    発熱曲線における発熱開始温度が130℃以上であり、
    かつ発熱開始温度と終了温度の差が40℃以下である請
    求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 平均粒子径が10〜500μmの粉体で
    ある請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の組成物
    と、可塑剤(C)および顔料(D)とを主成分として含
    有してなるスラッシュ成形用材料。
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