JP5463857B2 - 粉末状熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いた二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物 - Google Patents

粉末状熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いた二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物 Download PDF

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本発明は、粉末状熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いた発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物に関する。具体的には、ソフトな触感を有し、耐摩耗性、機械物性等に優れ、成形物の軽量化、低コスト化を実現する、意匠性に優れた非発泡層(発泡した後に収縮して、見かけ上、非発泡層となる層)を片面に有し、もう一方の面に発泡層(発泡した状態のまま成形される層)を有する二層構造のシート状熱可塑性樹脂成形物を得ることが可能な、粉末状熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いた二層構造を有するシート状の熱可塑性樹脂成形物に関する。
スラッシュ成形法は、ペースト状の材料を用いるドープスラッシュ法と、粉末状の材料を用いるパウダースラッシュ法に大別される。前者ではポリ塩化ビニルペースト樹脂(ゾル)が主に使用されており、凹型の金型を用いて加熱によりゾルをゲル化し、ソフトビニール人形や長靴等を成形する方法として一般に知られている。
これに対してパウダースラッシュ法では複雑形状の金型を用い、粉末状材料の優れた粉体流動性により意匠性の高い肉厚の均一な製品を効率的に成形できることから、自動車の内装材等の用途に広く利用されている。
パウダースラッシュ法の一様態として、例えば、少なくとも基材と表皮とを備えた自動車用内装品において、前記表皮が車室表面意匠表皮である第1表皮と、該第1表皮に積層した第2表皮とを有しており、前記第1表皮の組成物が無黄変ウレタンであり、第2表皮の組成物が発泡した黄変ウレタンであることを特徴とする、発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物からなる自動車用内装品を製造する方法が従来から知られている(特許文献1参照)。
またパウダースラッシュ法においては古くから粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂が用いられており、この一例として特定の可塑剤との組み合わせで粉体成形用塩化ビニル系樹脂組成物を構成し、この組成物を用いて成形品は耐熱性、耐光性、耐クラック性を有することが例示されている(特許文献2参照)。
さらにドープスラッシュ法の一様態として、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性マイクロカプセルを含むプラスチゾルを用いた発泡スラッシュ法が従来から知られている(特許文献3参照)。この方法では、マイクロカプセルの発泡温度以下でゾルを加熱して半ゲル化させることで、発泡層と非発泡層を自在に調整できると例示されている。
特開2007−253782号公報 特開平7−268159号公報 特開平8−196309号公報
パウダースラッシュ成形法において熱可塑性樹脂成形物の軽量化を図るには、熱分解型発泡剤を使用する方法が考えられるが、発泡ガスにより微細な穴(いわゆる「ピンホール」)が表面に多数発生するため、意匠性の高い製品に使用することができなかった。
微細な穴の発生を抑えながら軽量化を図るために、特許文献1のように発泡層と非発泡層とを2段階の工程にて一体成形する工法が検討されている。しかし、この工法では専用設備を必要とするためコストの負担が高く、かつ、2段階工程を要することから生産効率が低下するといった問題がある。
また、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂を用いたパウダースラッシュ成形法においても、特殊な設備を用いずに意匠性に優れた発泡成形物を得る方法は、これまで知られていない。
またドープスラッシュ成形法において成形物を軽量化できるという、特許文献3で挙げた方策では、プラスチゾルの加熱条件を熱膨張型発泡剤の発泡温度以下に厳格にコントロールする必要があるが、成形温度は季節要因等の影響を容易に受けるため、四季を通じて安定的に成形品を量産することは難しい。さらに、パウダースラッシュ法に比較すると生産効率が低いことも問題である。
本発明は、以上のような背景に基づいてなされたものである。本発明の目的は、既存設備をそのまま利用でき、単一の粉末状熱可塑性樹脂組成物から意匠性の優れる非発泡層と軽量化に寄与する発泡層を1段工程で作製することが可能な粉末状熱可塑性樹脂組成物、及び、意匠性に優れた軽量化シート状熱可塑性樹脂成形物を提供することにある。
これらの問題を解決するべく検討を重ねた結果、粉末状熱可塑性樹脂と、特定の性能を有する熱膨張性マイクロカプセルからなる粉末状熱可塑性樹脂組成物を用いることで、前記の目的が達成可能になる(本発明の課題を解決できる)ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(4)に示すものである。
(1) 粉末状熱可塑性樹脂(A1)および熱膨張性マイクロカプセル(A2)より構成される粉末状熱可塑性樹脂組成物であり、(A2)が以下の(イ)〜(ハ)の性能を有することを特徴とする、該組成物。
(イ)成形金型温度より低い、膨張開始温度。
(ロ)成形金型温度より低い、最大膨張温度。
(ハ)最大膨張温度と最大膨張時に対して70%収縮に至る温度との差が、1〜30℃の範囲内。
(2) 粉末状熱可塑性樹脂(A1)が、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)であることを特徴とする、(1)に記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物。
(3) 粉末状熱可塑性樹脂(A1)が、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物を金型表面に積層し、加熱により粉末状熱可塑性樹脂組成物を溶融及び発泡させて得られることを特徴とする、発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物。
本発明により、ソフトな触感を有し、耐摩耗性、機械物性等に優れ、成形物の軽量化を図れるのは勿論のこと、意匠性に優れた非発泡層(発泡した後に収縮して、見かけ上、非発泡層となる層)と、軽量化に資する発泡層(発泡した状態のまま成形される層)の二層構造を有するシート状成形物を単一の組成物のみにより得ることができ、また、既存設備の利用が可能となる等、大幅な低コスト化が可能な粉末状熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いた二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物を提供することが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
<粉末状熱可塑性樹脂(A1)>
本発明に用いられる粉末状熱可塑性樹脂(A1)としては、従来公知の粉末状の熱可塑性樹脂であれば特に限定なく使用することができる。本発明における粉末状熱可塑性樹脂(A1)としては、例えば、粉末状の熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂や、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
<粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)>
本発明においては、低温特性や耐摩耗性に優れるという観点から、粉末状熱可塑性樹脂(A1)として、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)を選択して用いるのが好ましい。
前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)においては,体積平均粒径が110〜300μm(より好ましくは、110〜200μm)の範囲内にある粉末状の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)であることが好ましい。体積平均粒径が過大である場合には、得られる成形物におけるアンダーカット部やコーナー部にピンホールが生じやすい可能性がある。一方、体積平均粒径が過小である場合には、流れ性や粉切れが悪化して、得られる成形物の肉厚が不均一になりやすい可能性がある。ここで、「体積平均粒径」とは、レーザー回折式粒度分析計によって測定した粒径分布(体積分布)カーブにおける50%の累積パーセントの値をいう。
前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)は、100μm未満の粒子の含有量が40質量%以下、かつ30μm未満の粒子の含有量が5質量%以下、かつ20μm未満の粒子の含有量が2質量%以下であることが肝要である。粒径がこの範囲外の場合、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂の粉体流動性が悪くなり、成形不良を引き起こしやすくなる。また、均一な厚みの発泡層の形成が困難となる。なお、粒径はレーザー回折式粒度分析計によって測定した値である。
また、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)は、安息角が35°以下であることが好ましく、更に好ましくは33°以下である。安息角が過大となる場合は、成形加工時の流れ性が悪くなり、成形不良を起こしやすい。
また、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)の耐ブロッキング性におけるパス率は50%以上が好ましい。パス率が50%以下となる場合は、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂材料を保管する場合や、熱成形時に材料に加わる熱履歴により一次粒子同士が凝集固化しブロッキングすることで、粉体流動性が悪化し、連続成形を行う際は特に成形不良を起こしやすい。
本発明において好適に用いられる粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)は、イソシアネート基末端プレポリマーから形成されるものが挙げられる。イソシアネート基末端プレポリマーとしては、高分子ポリオールと有機ポリイソシアネートと一官能活性水素基含有化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(以下、必要に応じて「イソシアネート基末端プレポリマー(1)」と略記。)や、高分子ポリオールと有機ポリイソシアネートと一官能活性水素基含有化合物と二官能活性水素基含有化合物(グリコール)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(以下、必要に応じて「イソシアネート基末端プレポリマー(2)」と略記。)を挙げることができる。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るために使用する高分子ポリオールの数平均分子量は500以上とされ、好ましくは1、000〜5、000の範囲内とされる。高分子ポリオールの種類としては特に限定されるものではなく、例えばポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等の高分子ポリオールが挙げられ、これらは単独又は併用して用いられる。本発明における高分子ポリオールは、ポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸のジアルキルエステル、酸無水物、酸ハライド等のポリカルボン酸誘導体と、(数平均)分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミンや低分子アミノ
アルコール等の低分子活性水素基含有化合物との反応により得られるものである。
前記ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。
低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール(以下、必要に応じて「1,4−BD」と略記。)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下、必要に応じて「1,6−HD」と略記。)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ターシャリーブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルプロピル−1、3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,4−トリエチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ダイマー酸ジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
数平均分子量500未満の低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレントリアミン等が挙げられる。
数平均分子量500未満の低分子アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン等が挙げられる。
また、ε−カプロラクトン、アルキル置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオール等のポリエステルポリオールも好適に使用できる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオールと上記したポリカルボン酸誘導体から製造されるポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、一般には低分子ポリオールとジエチルカーボネートの脱エタノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとジメチルカーボネートの脱メタノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られ、この低分子ポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールを得るのに用いられる低分子ポリオールが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールの具体例としては、水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
好ましい高分子ポリオールとしては、得られる成形物に良好な物性や触感等が発現できることから、数平均分子量1,000〜5,000の範囲内にある、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールであり、中でも、数平均分子量1,000〜5,000の範囲内にあるポリエステルポリオールが好ましく、酸成分として芳香族ジカルボン酸を30モル%以上60モル%以下用いたポリエステルポリオールが特に好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、必要に応じて「HDI」と略記。)、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートの他、その重合体やそのポリメリック体、ウレタン変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、更にこれらの2種以上の混合物が挙げられる。本発明では、成形物の耐候性等を考慮すると、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートが好ましく、特にHDIが好ましい。
イソシアネート基含有プレポリマーを得るために使用する高分子ポリオールと、有機ポリイソシアネートとの割合としては、前者の有する水酸基に対する後者の有するイソシアネート基モル比([NCO]/[OH])が1.05〜5.0の範囲内となる割合であることが好ましく、更に好ましくは1.3〜2.5の範囲内となる割合である。
粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)の分子量を調節するために使用する一官能活性水素基含有化合物は、活性水素基と炭素数が4〜12の炭化水素基とを有する活性水素基含有化合物である。
一官能の活性水素基含有化合物の有する「活性水素基」としては、水酸基(―OH)、イミノ基(=NH)、及びアミノ基(−NH2)を挙げることができる。
一官能の活性水素基含有化合物の有する「炭素数が4〜12の炭化水素基」としては、アルキル基及びアルケニル基を挙げることができる。また、一官能の活性水素基含有化合物の有する「炭化水素基」の炭素数は4〜12とされ、好ましくは4〜11、更に好ましくは4〜9とされる。炭素数が4未満の活性水素基含有化合物を使用する場合には、沸点が低く反応系外へ蒸発しやすいためプレポリマー化反応が不完全となり、得られる樹脂の分子量を制御することができない。一方、炭素数が12を越える活性水素基含有化合物を使用する場合には、得られる樹脂による成形物にブルーミングが発生する。
一官能の活性水素基含有化合物の具体例としては、ジ−n−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−シクロヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−ドデシルアミン等のジアルキルアミン(第二級アミン);ジ−アリルアミン等のジアルケニルアミン;ドデシルアミン等のアルキルアミン(第一級アミン);n−ブタノール、イソブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノニノール、n−デカノール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール等のモノオールを挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ジアルキルアミンが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマー(2)を得るために使用する二官能の活性水素基含有化合物としては、数平均分子量が500未満である二官能性の活性水素基含有化合物である。二官能の活性水素基含有化合物の具体例としては、高分子ポリオールであるポリエステルポリオールを得るために使用する低分子ポリオールとして例示した化合物を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、1,4−BD及び1,6−HDが好ましい。
前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)は、製造方法としては特に限定されないが、例えば、以下の方法が例示できる。
(1)公知の方法で塊状重合させて得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を冷凍粉砕して粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)の粉末を得る方法。
(2)イソシアネート基末端プレポリマーを溶解しない非水系の分散媒中に分散させて、水と反応させて鎖延長する工程を経て得られるポリウレタン樹脂を分離・乾燥して粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)を得る方法。
(3)水中に分散させたイソシアネート基末端プレポリマーを、イソシアネート基末端プレポリマーの有するイソシアネート基の残部を水の有する活性水素基と反応させる工程を経て得られるポリウレタン樹脂を分離・乾燥して粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)を得る方法。
これらのうち、樹脂の形状が球状である(2)及び(3)の方法によれば、粉体流動性が良好である。
前記(2)の方法においては、高分子ポリオールを非水系の分散媒中に分散させてから、有機ポリイソシアネートを添加・反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る方法が好ましい。また、高分子ポリオールを非水系の分散媒中に分散させる際、後述する分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、エチレン性二重結合を有するポリエステルに、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、スチレン誘導体、アクリロニトリル等をラジカル重合させて得られる重合体等が挙げられる。
高分子ポリオールを非水系の分散媒中に分散させるこの段階で、分散温度や分散時間を適宜調節することにより、最終的な粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)の体積平均粒径を調整することができる。
本発明に用いられる粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)は、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したチャートにおいて、ピーク面積が最大である主ピークに係る成分の数平均分子量(Mn)が、18,000〜50,000の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜45,000の範囲内である。数平均分子量(Mn)が過小である場合には、最終的に得られる成形物に、十分な機械的特性及び耐久性を付与することができない。一方、数平均分子量(Mn)が過大の場合には、好適な溶融成形性を発揮することができない。
なお、GPCの測定条件は、以下のとおりである。
・測定器:「HLC−8120」(東ソー(株)製)
・カラム:「TSKgel MultiporeHXL−M」(東ソー(株)製)
粒径=5μm、サイズ=7.8mmID×30cm×4本
・キャリア:テトラヒドロフラン(THF)
・検出器:視差屈折
・サンプル:THF/n−メチルピロリドン=2/1の1%溶液
・検量線:標準ポリスチレン
本発明に用いられる粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)には、必要に応じて添加剤を添加することができる。かかる添加剤としては、顔料・染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、ラジカル重合開始剤、カップリング剤、難燃剤、無機及び有機充填材、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等を挙げることができる。
粉末状着色顔料の一例としては、住化カラー製カーボンブラック分散顔料「PV−817」や、酸化チタン分散顔料「PV−7A1301」や、酸化チタン分散顔料「PV−346」等が適しており、目標とする色調に合わせて予め混合したものを用いることもできる。顔料の添加量は、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)に対して、通常5%以下とされ、好ましくは0.5〜2.0%の範囲内とされる。
更に、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)への後記する熱膨張性マイクロカプセル(A2)や前記の粉末状着色顔料の付着性を向上させ、また、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)の表面からの粉末状着色顔料の脱落を防止するために、補助剤を併用することもできる。補助剤の一例としては、可塑剤やシランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられ、好ましくはエステル基を分子内に含有する可塑剤であり、特に好ましいのはエーテル系活性水素化合物とモノ又はジ又はトリカルボン酸とをエステル化反応させ、分子内にエーテル基とエステル基を併せ持ったエーテルエステル系可塑剤である。
<粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)>
本発明においては、粉末状熱可塑性樹脂(A1)として、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)も、好適に用いることができる。
粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)としては、塩化ビニルのホモポリマーやコポリマーを用いることができる。共重合用モノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、(メタ)アクリル酸、そのエステルなどが代表的なものであるが、これに限定されるものではない。これらの共重合用モノマーは1種または2種以上を混合して使用してもよいことは勿論である。代表的なポリマー、コポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられる粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)には、トリメリテート系可塑剤を併せ用いることができる。トリメリテート系可塑剤は、トリメリット酸のエステルであり、エステル化のために用いられるアルコール成分としては、n−ヘキシルアルコール、イソヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコールなどの炭素数が5〜11のアルコールおよびこれらの混合物などが用いられている。具体的なトリメリテート類を例示すれば、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリデシルトリメリテートおよびこれらの混合物等を挙げることができる。
本発明に用いられる粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)には、ポリエステル系可塑剤を併せ用いることができる。ポリエステル系可塑剤は、アジピン酸やフタル酸などの二塩基酸と、グリコール類とのポリエステル化により得られたポリマーで、通常分子量800〜4,000程度の範囲内のものである。これらの可塑剤は分子量が大きい方がクラック抑制効果が大きいが、可塑剤吸収性と生産時の取扱い易さから、その都度最適の分子量を選択することが好ましい。
本発明においては、前記トリメリテート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤のほか、他のタイプの可塑剤を併用してもよい。
熱や光に対する安定剤として、本発明に用いられる粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)には、一般のPVC用のものやとくに粉体成形用安定剤を用いることができる。前者の例としては、ゼオライト、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、けい酸カルシウム、各種金属石鹸、有機すず系安定剤、鉛系安定剤、アンチモン系安定剤などの金属系安定剤のほか、有機ホスファイト系安定剤、エポキシ系安定剤、ポリオール系安定剤、含窒素化合物安定剤、含硫黄化合物安定剤、フェノール系抗酸化剤などを挙げることができ、後者の例としては、特開昭62−270645号公報、特開平3−66738号公報、特開平5−156106号公報、特願平5−92372号において提案されている。ハイドロタルサイト類化合物、過塩素酸導入型ハイドロタルサイト類化合物や特開平1−268745号公報、特願平5−92372号において提案されているβ−ジケトン類の併用を挙げることができる。また、これらの流動性と安定性を向上させる目的で特開平5−156106号公報と同様にゼオライトを併用することもできる。
このうち、ハイドロタルサイトは、次に示す一般式:
Mg1−X(OH)(COX/2・mH
(該一般式において、0<x≦0.5の実数、mは0または実数、RはAl、CrまたはFeである。)
で示される含水炭酸塩鉱物で六方晶系、リョウ面体三方格子で、この群に属する鉱物は互いに同形である。ジャ紋岩や他のマグネシウムを多く含む岩石中に低温の熱水作用の産物として産するが、本発明においては、このような天然物であってもよく、また合成品であってもよい。合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特開昭61−174270号公報などに記載の公知の方法を例示することができる。また、本発明においては、その結晶構造、結晶粒子径あるいは結晶水の有無およびその量などに制限されることなく使用することが可能である。また、ハイドロタルサイトは、前記ハイドロタルサイトと過塩素酸とを水中で任意の比率で反応させ、ハイドロタルサイト中のCO3の一部または全部をClO4に置換した過塩素酸一部導入型または過塩素酸導入型のものを用いてもよい。添加量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して通常0.01〜5.0重量部の範囲内が好ましい。
また、本発明においては、塩化ビニル系樹脂組成物の通常の配合成分である充填剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤、ダスティング剤、離型剤などは必要に応じて適宜使用することができる。
これらのうち、ダスティング剤(粉末流動性改良剤ともいう)としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの微粒子とくに10〜100μmの範囲内にあるような超微粒子を使用することもできるが、例えば特開昭60−90221号公報で提案されているように、粒径0.1〜10μmの範囲内にある塩化ビニル系樹脂粒子を用いることが好ましい。このような塩化ビニル系樹脂粒子の重合度は500〜3,500の範囲内、好ましくは800〜2,000の範囲内であり、添加量は通常1〜20重量部の範囲内であることが好ましい。
<熱膨張性マイクロカプセル(A2)>
本発明に用いられる熱膨張性マイクロカプセル(A2)は、膨張開始温度と最大膨張温度の双方が成形金型温度より低く、かつ、最大膨張温度と最大膨張時に対して70%収縮に至る温度との差が1〜30℃の範囲内である性能を有するものを選択して用いる必要がある。なお、膨張開始温度、最大膨張温度、並びに、最大膨張時に対して70%収縮に至る温度は、いずれも熱機械分析(TMA)により計測される温度である。
本発明の最大の特徴はこの点にある。これらの要件を満たさない熱膨張性マイクロカプセルを用いた場合、本発明の所望する性能、即ち、意匠性に優れた非発泡層と軽量化に資する発泡層の二層構造を有するシート状成形物を単一の組成物のみにより得るという効果を得ることができない。
まず、本発明に用いられる熱膨張性マイクロカプセル(A2)は、「(イ)成形金型温度より低い、膨張開始温度」を有することが必須の要件となる。この膨張開始温度が成形金型温度より高い場合、または、この膨張開始温度が成形金型温度と同じ温度である場合、いずれも本発明の所望する性能のうちの一つである軽量化に資する発泡層(発泡した状態のまま成形される層)を形成することができないといった不具合が生じる。
次に、本発明に用いられる熱膨張性マイクロカプセル(A2)は、「(ロ)成形金型温度より低い、最大膨張温度(=熱膨張性マイクロカプセルの収縮が始まる温度)」を有することも必須の要件となる。この最大膨張温度が成形金型温度より高い場合、または、この最大膨張温度が成形金型温度と同じ温度である場合、いずれも本発明の所望する性能のうちの一つである軽量化に資する発泡層(発泡した状態のまま成形される層)を形成することができない、または、発泡層が得られるとしても本発明の所望する軽量化には至らない、または、発泡するが全く収縮せずピンホールが著しく発生するといった不具合が生じる可能性がある。
さらに、本発明に用いられる熱膨張性マイクロカプセル(A2)は、「(ハ)最大膨張温度と最大膨張時に対して70%収縮に至る温度との差が、1〜30℃の範囲内」といった狭い温度範囲であることも併せて必須の要件となる。この温度差が30℃を越えるといった広い温度範囲である場合、仮に発泡層が形成されたとしても、本発明の所望する性能のうちの一つである意匠性に優れた非発泡層(発泡した後に収縮して、見かけ上、非発泡層となる層)の形成が困難になる、または、仮に非発泡層が得られるとしても本発明の所望する意匠性が得られない(意匠面にピンホールが生じる)といった不具合が生じる。
本発明において用いられる熱膨張性マイクロカプセル(A2)は、熱可塑性ポリマーセル中に低沸点炭化水素を内包した熱膨張性のマイクロスフェアーである。
前記の熱可塑性ポリマーセル中に内包される低沸点炭化水素としては、ブタン、テトラメチルメタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、トリメチルエチルメタン、ジメチルイソプロピルメタン、ジメチルプロピルメタン、メチルジエチルメタン、ノルマルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3,3−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタンやその異性体等を例示することができる。
また、熱可塑性ポリマーセル(=マイクロカプセルの殻壁)としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリロニトリルと塩化ビニリデンとの共重合物、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系樹脂とメチルメタクリレートやエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルとの共重合物、ニトリル系樹脂とメチルアクリレートやエチルアクリレート等のアクリル酸エステルとの共重合物等を例示することができる。
<粉末状熱可塑性樹脂組成物>
本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物は、粉体同士をコンパウンドすることにより得るのが好ましい。
具体的には、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌混合装置内に、前記の粉末状熱可塑性樹脂(A1)を投入し、次いで、前記の熱膨張性マイクロカプセル(A2)を添加し、200〜4,000rpmで攪拌混合して粉末状熱可塑性樹脂(A1)の粒子表面に(A2)を均一に付着させて、粉末状熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
ここで、粉末状熱可塑性樹脂組成物を着色する必要がある場合は、粉末状着色顔料を前記の粉末状熱可塑性樹脂(A1)100質量部に対して0.5〜2.0質量%の範囲内で添加し、前記と同様の高速攪拌混合装置を用いて、前記の粉末状熱可塑性樹脂(A1)と前記の熱膨張性マイクロカプセル(A2)と粉末状着色顔料を撹拌混合することで、着色粉末として粉末状熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能である。
前記の粉末状熱可塑性樹脂(A1)として、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)を用いる場合、前記の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)を製造する任意の段階で前記の粉末状着色顔料を配合して着色粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た後、前記の熱膨張性マイクロカプセル(A2)を添加し、200〜4,000rpmで攪拌混合することで、着色粉末として粉末状熱可塑性樹脂組成物を得ることも可能である。
また、前記の粉末状熱可塑性樹脂(A1)として、前記の粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)を用いる場合、前記の粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)を製造する任意の段階で前記の粉末状着色顔料を配合して着色粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂を得た後、前記の熱膨張性マイクロカプセル(A2)を添加し、200〜4,000rpmで攪拌混合することで、着色粉末として粉末状熱可塑性樹脂組成物を得ることも可能である。
なお、本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、触媒、光安定剤、可塑剤、充填材、酸化防止剤、難燃剤等の添加剤を配合して併せ用いてもよい。
<発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物>
本発明の二層構造を有するシート状ポリウレタン樹脂成形物は、本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物を金型表面に積層し、加熱により粉末状熱可塑性樹脂組成物を溶融及び発泡させて得られる、発泡層(発泡した状態のまま成形される層)と非発泡層(発泡した後に収縮して、見かけ上、非発泡層となる層)の二層構造を有するものである。
本発明の発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物は、前記のとおり、発泡層からなるシート状熱可塑性樹脂成形物と非発泡層からなるシート状熱可塑性樹脂成形物を融着等の方法により一体化させる方法(換言すれば、予め加熱した金型表面に非発泡性粉末状熱可塑性樹脂組成物を溶融させた後、その上に発泡性粉末状熱可塑性樹脂組成物を積層し、加熱により粉末樹脂を溶融及び発泡させて非発泡層と発泡層とを一体成形する方法)とは異なり、単一の粉末状熱可塑性樹脂組成物(即ち、本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物)のみを用いて、発泡層と非発泡層といった異なる層構造を1段階のみの工程によって得ることができる点に特徴がある。
本発明の発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物においては、成形物全体の厚みに対する発泡層の厚みの割合が0.3〜0.9の範囲内であることが好ましく、0.4〜0.8の範囲内であることがより好ましい。発泡層の割合が小さ過ぎる(発泡層が薄過ぎる)場合、成形物全体としての軽量化が達成されず、またソフトな触感になりにくいといった不具合が生じる場合がある。一方、発泡層の割合が大き過ぎる(発泡層が厚過ぎる)場合、表面にピンホールやボイドが出現して外観不良となり意匠性が低下する、また、成形物全体としての機械的特性及び耐久性が劣るといった不具合が生じる場合がある。
また、本発明の発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物においては、成形物の比重が0.87g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.81g/cm以下、中でも、成形物全体としての軽量化が達成でき、ソフトな触感も得られ、かつ、製造コストの削減にも寄与できるとの観点から0.75g/cm以下であることが特に好ましい。成形物の比重が大き過ぎる場合、本発明の目的の一つである軽量化が得られない。
さらに、本発明の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物における非発泡層の表面の表面硬度(HA)は、70以下であるのが好ましい。表面硬度が大き過ぎる場合、本発明の目的の一つであるソフトな触感が得られない。
このように、本発明において得られる発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物は、ソフトな触感を有し、耐摩耗性、機械物性等に優れ、成形物の軽量化、を図れるのは勿論のこと、前記のとおり、製造工程を簡素化できるという点で大幅な低コスト化を実現するものである。本発明によって得られたシート状熱可塑性樹脂成形物は、自動車内装材(インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト等)の表皮に最適なものである。
<本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物の別形態への応用>
本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物は、前記一連の記載のとおり、発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物を得るものとして好適に用いることができるが、併せて、成形条件(金型温度や脱型時間等)を変えることにより、発泡層を形成せず、非発泡層のみからなる単層構造のシート状熱可塑性樹脂成形物も得ることが可能である。
このように、本発明の粉末状熱可塑性樹脂組成物は、本発明において所望される発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物や、前記のような非発泡層のみからなる単層構造のシート状熱可塑性樹脂成形物を、成形条件(金型温度や脱型時間等)を変えることにより、いずれも得ることが可能であるという優れた効果をも奏する。
以下、本発明について、以下の実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、特段の記載がない限り、「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
<粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂調整用の分散剤溶液の調製>
調製例1−1:
攪拌機、温度計、留出塔及び窒素ガス導入管を備えた容量2Lの反応器に、アジピン酸762gと無水マレイン酸49gとエチレングリコール386gとを仕込み、窒素ガスを流しながら、150℃、常圧の条件で攪拌することによりエステル化反応させた。
縮合水が認められなくなった時点で、テトラブチルチタネート0.1gを添加し、反応系内の圧力を徐々に0.07kPaまで減圧するとともに、190℃まで徐々に昇温して反応を継続することによりポリエステルジオールを得た。得られたポリエステルジオールの数平均分子量は2、000、ヨウ素価は12.7gI/100gであった。
続いて、攪拌機、温度計、留出塔及び窒素ガス導入管を備えた容量500mLの反応器に、上記のポリエステルジオール74gと酢酸ブチル150gとを仕込み、窒素ガスを流しながら110℃まで昇温して、攪拌した。その後、2−エチルヘキシルメタクリレート75gと過酸化ベンゾイル1gとの溶解混合物を滴下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了後、130℃に昇温して更に2時間反応させることにより、固形分50%の分散剤溶液を得た。以下、これを「分散剤溶液(1)」という。
<粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂の調製>
調製例1−2:
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を備えた容量3Lの反応器に、1、4−BDとエチレングリコールとアジピン酸とから得られる数平均分子量2、600のポリエステルジオール282.6gと、1、4−BDとアジピン酸とから得られる数平均分子量1、000のポリエステルジオール201.8gと、1、6−HDとイソフタル酸とから得られる数平均分子量1、500のポリエステルジオール322.9gを80〜100℃で均一に混合した後に、前記の分散剤溶液(1)24.2gと、非水系の分散媒としてイソオクタン「キョーワゾール C−800」(協和発酵ケミカル(株)製)818.2gとを仕込み、75〜98℃で30〜150分間攪拌することにより、高分子ポリオールをイソオクタン中に分散させて、非水系の分散液を調製した。
上記分散液に、有機ポリイソシアネートとしてHDIを159.2gと、ビスマス系触媒「ネオスタン U−600」(日東化成(株)製)0.005gとを添加し、90〜95℃で3時間にわたり、HDIを高分子ポリオールと反応させることにより、「イソシアネート基末端プレポリマー(1)」の分散液を調製した。
前記「イソシアネート基末端プレポリマー(1)」の分散液に、一官能の活性水素基含有化合物であるジ−2−エチルヘキシルアミン20.3gと、二官能の活性水素基含有化合物である1、6−HD7.5gを添加し、「イソシアネート基末端プレポリマー(1)」と80〜90℃にて反応させることにより、「イソシアネート基末端プレポリマー(2)」の分散液を調製した。
前記の「イソシアネート基末端プレポリマー(2)」の分散液に、水50.7g〔「イソシアネート基末端プレポリマー(2)」のイソシアネート基(計算値)の10当量に相当〕を添加し、「イソシアネート基末端プレポリマー(2)」と水とを、65〜70℃にて、イソシアネート基が消費されるまで鎖延長反応させることにより、ポリウレタン樹脂の分散液を調製した。
上記のポリウレタン樹脂の分散液から固形分(ポリウレタン樹脂)を濾別し、これに、下記に示す添加剤(1)〜(4)を添加し乾燥した後に、打粉剤「MP−1451」(綜研化学(株)製)3.0gを添加することにより、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂「A1−1」(本発明の(A1u)に相当)を調製した。得られた樹脂の粒子は真球状(短/長=1.0)であり、数平均分子量は29、000であった。
〔添加剤〕
(1)酸化防止剤:「イルガノックス245」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、添加量=2.0g。
(2) 紫外線吸収剤:「チヌビン 213」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
)、添加量=2.0g。
(3)光安定剤:「チヌビン 765」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、添加量=2.0g。
(4)ブロッキング防止剤:「SH200−300CV」(東レ・ダウコーニング(株)製)、添加量=1.5g。
<粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の調製>
実施例1:
粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂「A1−1」を容量9Lのヘンシェルミキサーにそれぞれ1,500g仕込み、熱膨張性マイクロカプセル(A2)として、表2に示す性能を有する熱膨張性マイクロカプセル「A2−1」を0.7質量%(10.5g)追加した。次いで、以下の着色顔料「D−1」を0.8質量%(12.0g)添加し、1,000rpmで40秒間撹拌混合して粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物「PU−A1」を調製した。配合比について、表1に示す。
<着色顔料「D−1」>
住化カラー製カーボンブラック分散顔料「PV−817」667gと、同社製酸化チタン分散顔料「PV−7A1301」333gを、粉体専用リボンミキサーを用いて均一になるまで混合した。
<粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の調製>
実施例2、比較例1〜7:
表1に示す配合比に従って、実施例1と同様の方法により、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物として「PU−A1」並びに「PU−B1」〜「PU−B5」を調製した。
なお、熱膨張性マイクロカプセル(A2)の代わりに、粉末状有機系熱分解型発泡剤として体積平均粒径6μmのアゾジカルボンアミド(ADCA)粉末を用いた比較例用の粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物として「PU−B6」を、また、熱膨張性マイクロカプセル(A2)等の発泡に寄与する成分を含まない比較例用となる非発泡性粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物として「PU−B7」を、各々追加調製した。
各々の配合比について、表1に示す。
Figure 0005463857
表1における各成分の詳細は、各々、以下の表2に示すとおり。
なお、表2に記載の各々の平均粒径は、粒度分布径測定器「LA−910」(HORIBA社製)を用いて、体積平均粒子径を測定した値である。
また、表2に記載の各々の膨張開始温度「T」並びに最大膨張温度「TMAX」は、熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用いて測定した値、具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を膨張開始温度「T」、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大膨張温度「TMAX」とした値である。並びに、表2に記載の各々の最大膨張時に対して70%収縮に至る温度「T70%SHR」は、変位の最大値である最大変位量に対して70%変位量が下がった時点(最大変位量に対して100%変位量が下がった時点は前記の変位が上がり始める時点、即ち、膨張開始温度「T」における変位と同じになる)における温度をもって、最大膨張時に対して70%収縮に至る温度「T70%SHR」とした値である(図1および図2参照:狭い温度範囲において、熱膨張性マイクロカプセルの収縮する勢いが大きいことを示すうえで好適な指標となる温度として、この70%収縮に至る温度を測定した)。
Figure 0005463857
<発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物の評価>
実施例3:
250℃に加熱した金型内に、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物として、表1に記載の「PU−A1」を1,500g仕込んで10秒間保持し、金型を反転させて過剰の粉末材料を除去し、非発泡層並びに発泡層を同時に形成した。この金型を300℃の加熱炉に入れて30秒間にわたり加熱した後で、加熱炉から取り出した金型を冷却し脱型することで、非発泡層と発泡層が一体となった二層構造のシート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物を得た。得られた該成形物の諸性能について、表3に示す。
実施例4、比較例8〜14:
実施例3と同様の装置及び成形条件により、「PU−A2」並びに「PU−B1」〜「PU−B7」を各々使用して、非発泡層と発泡層が一体となった二層構造のシート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物を得た。得られた各々の成形物の諸性能について、表3に示す。
なお、シート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物において、発泡層のみしか形成されない(本発明の所望する前記の二層構造を形成しない)結果となった「PU−B1」〜「PU−B6」を用いた成形物については、表面硬度、耐摩耗性、並びに機械特性(引張強度、破断伸び)の測定は行わなかった。
Figure 0005463857
表3における各測定項目の条件、並びに、評価方法については、以下のとおり。
<ピンホールの状態>
得られた成形シートの表面(非発泡層からなる意匠面)におけるピンホールの有無及び程度をマイクロスコープにより観察し、下記の基準に従って評価した。
「5」:ピンホールが全く認められないもの。
「4」:わずかにピンホールが認められるが目立たないもの。
「3」:わずかであるがピンホールが明らかに認められるもの。
「2」:ピンホールがやや著しいもの。
「1」:ピンホールが非常に著しいもの。
<表面硬度>
JIS K6253に準じて測定した。
<耐摩耗性>
得られた成形シートについて、往復運動平面摩耗試験機を用いて、下記の条件で100往復摩耗を行い、その後の成形シートの状態を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。なお、試験は非発泡層からなる意匠面を摩耗試験の対象とした。
摩耗条件:
・ 往復運動:40回/分
・ 摩擦子 :30mm×12mm
・ 荷重 :29.4N
・ 摩耗材 :白綿かなきん3号を5枚積層
評価
「5」:損傷が全く認められないもの。
「4」:わずかに損傷が認められるが目立たないもの。
「3」:わずかであるが損傷が明らかに認められるもの。
「2」:損傷がやや著しいもの。
「1」:損傷が非常に著しいもの。
<機械特性>
得られた成形シートについて、JIS K6251、JIS K6252に準じて引張試験を行い、引張強度、破断伸びを測定した。
試験条件
サンプル:ダンベル1号形
引張速度:200mm/分
<粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂の調製>
調製例2:
ヘンシェルミキサーを用い、次の要領で調製した。先ず、塩化ビニル樹脂「ゼオン103EP(日本ゼオン(株)製、塩化ビニル単独重合体、平均重合度:1000(JIS K 6721)、平均粒径約110μm)」を1,500g、ハイドロタルサイトを15g、過塩素酸ナトリウムを7.5g、紫外線吸収剤「チヌビンP(チバガイギー社製、トリアゾール系)」を3g、ステアリン酸亜鉛を3g、および、顔料「フタロシアニンブルー、酸化チタン、カーボン混合品」を30g各々仕込み、次いで、トリメリット酸エステル可塑剤「トリメックスNSK(花王(株)製、炭素数6〜10のアルキルトリメリテート)」を750g添加して前記可塑剤が粉体に吸収された後に、ポリエステル系可塑剤「ポリサイザー W−2060(DIC(株)製、アジピン酸系ポリエステル可塑剤)」を450g添加した。ドライアップ後に50℃まで冷却した段階で粉体流動性改良剤である微粒塩化ビニル樹脂(粒度基準平均重合度850、平均粒径1μm)を150g添加して、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂「A3−1」(本発明の(A1c)に相当)を調製した。
<粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂組成物の調製>
実施例5:
粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂「A3−1」を容量9Lのヘンシェルミキサーに1,500g仕込み、熱膨張性マイクロカプセル(A2)として、表2に示す性能を有する熱膨張性マイクロカプセル「A2−1」を1.0質量%(15.0g)追加し、1,000rpmで40秒間撹拌混合して粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂組成物「PVC−A1」を調製した。配合比について、表4に示す。
比較例15〜16:
表4に示す配合比に従って、実施例1と同様の方法により、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂組成物「PVC−B1」を調製した。
なお、熱膨張性マイクロカプセル(A2)等の発泡に寄与する成分を含まない比較例用となる粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂組成物として「PVC−B2」も、追加調製した。
各々の配合比について、表4に示す。
Figure 0005463857
<発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物の評価>
実施例6:
230℃に加熱した金型内に、前記の粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂組成物「PVC−A1」を1,500g仕込んで10秒間保持し、金型を反転させて過剰の粉末材料を除去し、非発泡層並びに発泡層を同時に形成した。この金型を300℃の加熱炉に入れて30秒間にわたり加熱した後で、加熱炉から取り出した金型を冷却し脱型することで、非発泡層と発泡層が一体となった二層構造のシート状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た。得られた該成形物の諸性能について、表5に示す(前記のシート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物と同じ条件にて測定)。
比較例17〜18:
実施例6と同様の装置及び成形条件により、「PVC−B1」並びに「PVC−B2」を各々使用して、シート状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た。得られた各々の成形物の諸性能について、表5に示す(各々、前記のシート状熱可塑性ポリウレタン樹脂成形物と同じ条件にて測定)。
なお、シート状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂成形物において、発泡層のみしか形成されない(本発明の所望する前記の二層構造を形成しない)結果となった「PVC−B1」を用いた成形物については、表面硬度、耐摩耗性、並びに機械特性(引張強度、破断伸び)の測定は行わなかった。
Figure 0005463857
本発明に係る熱機械分析装置(TMA)を用いた測定方法について図示したものである。 本発明に係る熱機械分析装置(TMA)を用いた最大膨張時に対して70%収縮に至る温度「T70%SHR」等の確認方法について図示したものである。

Claims (4)

  1. 粉末状熱可塑性樹脂(A1)および熱膨張性マイクロカプセル(A2)より構成される粉末状熱可塑性樹脂組成物であり、(A2)が次の(イ)〜(ハ)の性能を有することを特徴とする、該組成物。
    (イ)成形金型温度より低い、膨張開始温度。
    (ロ)成形金型温度より低い、最大膨張温度。
    (ハ)最大膨張温度と最大膨張時に対して70%収縮に至る温度との差が、1〜30℃の範囲内。
  2. 粉末状熱可塑性樹脂(A1)が、粉末状熱可塑性ポリウレタン樹脂(A1u)であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物。
  3. 粉末状熱可塑性樹脂(A1)が、粉末状熱可塑性ポリ塩化ビニル樹脂(A1c)であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉末状熱可塑性樹脂組成物を金型表面に積層し、加熱により粉末状熱可塑性樹脂組成物を溶融及び発泡させて得られることを特徴とする、発泡層と非発泡層の二層構造を有するシート状熱可塑性樹脂成形物。


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