JP4040219B2 - 磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置 - Google Patents
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- Rotational Drive Of Disk (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置に関し、例えばハードディスク、光ディスク、光カード等の情報記録再生媒体や半導体ウエハ等の媒体をシャフトに対して位置決め固定し、軸振れ量を少なくしつつ、高速回転する装置に好適なものである。
【０００２】
【従来の技術】
図７は従来の媒体支持装置の要部断面図である。図７に示す媒体支持装置は磁気ディスクより成る媒体１０１をシャフト１０３に複数枚積層する際に、媒体１０１と媒体１０１の間にリング状のスペーサ１０２を配置し、各媒体の平行度を保つようにクランパ１０４にて固定している。これによってシャフト１０３の回転時の媒体１０１の面振れを抑える事を主な目的としている。また、媒体１０１を交互にシャフト１０３に押し付けて各媒体の穴１０１ａとシャフト１０３との隙間を任意の仮想軸に配分し、固定する事で媒体１０１の穴１０１ａとシャフト１０３との僅かな隙間によって生じる動的な重量バランスの乱れを抑えていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
近年、情報記録装置には大容量の情報記録が要望されており、装置内の記録媒体の高密度化、高速回転化が進んでいる。高密度・高速化にあたり、狭トラックピッチ化、厳しいトラックピッチ誤差の要求がされており、この要求に答えるためには駆動軸７の同期振れ、及び非同期振れを抑えることはもちろん、各媒体１０１と駆動軸７との偏芯を抑える事が必要となってくる。しかしながら、要求されるトラックピッチ精度と比較すると媒体１０１が規格によって持つ中心部の開口１０１ａ穴径公差は非常に大きく、この公差によって生じる駆動軸７、またはシャフト１０３と媒体１０１との偏芯はトラックピッチ精度の向上を困難なものにしている。
【０００４】
また媒体１０１を回転させるにあたり、前記媒体１０１を含む媒体支持装置の動的な重心バランスのずれは振動を発生させる要因となり、高速回転下にあっては駆動軸７の振動だけではなく、モータ（不図示）を固定している架台を介し磁気ヘッド等の磁気記録変換器を振動させ、これらの高精度な位置決めを疎外するものとなる。さらに多数枚の媒体１０１の積層は各媒体とシャフト１０３との偏芯修正を難しくし、媒体支持装置の動的な重量バランスのずれを増大させることになる。
【０００５】
上記に示したように従来の媒体支持装置の主な目的は、媒体１０１の水平方向に対する面振れを抑えるものであり、各媒体の偏芯及び媒体支持装置の動的な重量バランスを修正する機能は付加されていない。このため、媒体１０１を交互にシャフト１０３に押し付け各媒体１０１の穴１０１ａとシャフト１０３の隙間を任意の仮想軸に配分し、動的な重量バランスの乱れを抑えていた。しかし、これは各媒体１０１とシャフト１０３との隙間を最大にするものであり、偏芯の値としては媒体１０１の穴１０１ａの穴径の有する公差寸法の１／２倍となってしまう。このため、各媒体の偏芯を修正することで動的な重量バランスを取り、位置決め固定できる媒体支持装置が必要となってきた。
【０００６】
本発明はシャフトに磁気ディスク等の媒体を１つまたは複数枚位置決め固定するとき、媒体の駆動軸に対する軸振れ量を少なくし、例えば回転時に高速でしかも高精度に回転駆動させることができる磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置の提供を目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明の磁気ディスクの固定方法は、円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、前記磁気ディスクの孔に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、を有することを特徴としている。
【０００８】
請求項２の発明の磁気ディスクの固定方法は、円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、
前記磁気ディスクの孔に前記シャフトを挿入する工程、
前記磁気ディスクの外周面側に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、と、を有することを特徴としている。
【０００９】
請求項３の発明の磁気ディスク支持装置は、磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの孔に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴としている。
【００１０】
請求項４の発明の磁気ディスク支持装置は、磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの外周面側に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴としている。
【００１１】
【００１２】
【００１３】
【００１４】
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気ディスク支持装置（媒体支持装置）の実施形態１を図面１〜３に基づき説明する。
【００１６】
図１に媒体（磁気ディスク）１をシャフト３に積層する前の状態を示す。図２は図１において磁気ディスクから成る媒体１を複数個、シャフト３に積層した状態の概略図、図３は図２のシャフト３にスピンドルモータ６を固定したときの概略図である。
【００１７】
このシャフト３は下方中心部に嵌合穴３ａを持つ。シャフト３にはベアリング（不図示）を介してスピンドルモータ６で回転可能となっている。この嵌合穴３ａは、スピンドルモータ６の軸６ａに対し偏芯が無い状態で位置決め固定するためのものである。更に媒体１の偏芯修正を行う際の空気等の流体注入にも用いられるため、シャフト３側面より複数個の横穴３ｂがこの嵌合穴３ａに向かい貫通している。この横穴３ｂを覆うようにして、ガイド部材を構成する流体噴出口としての多孔質材料５がシャフト３の外周側面部に圧入されている。この多孔質材料５を基準に各媒体１及びスペーサ２の位置決めを行うため、多孔質材料５はシャフト３の下方部の嵌合穴３ａに対して偏芯が無い状態で固定される。
【００１８】
図２に示すように、複数枚の媒体１を積層する際には、各媒体１の間にリング状のスペーサ２を配置し、各媒体の間隔を取る。媒体１同士の平行度はスペーサ２によって保たれ、駆動軸７に対する直角度はシャフト３の下部のつば３Ｃにより決められる。媒体１の中心部の円形の孔１ａの穴径（開口部）が有する公差によって、この時点での媒体１の孔１ ａと多孔質材料５との僅かな隙間は均一になっている保証はない。クランパ４をシャフト３にはめこみ、その重量によって、媒体１がシャフト３上方へ浮上する事をある程度制限した上で、シャフト３の内部孔３ａと横穴３ｂを介して下方より不図示の流体膜形成手段で空気等の流体を一定の圧力で注入する。注入された流体は多孔質材料５により放出され、媒体１の孔１ａ及びスペーサ２とシャフト３の側面部との隙間に流体膜を形成する。これによって媒体１の孔１ａが流体によりガイドされ、媒体１の孔１ａとシャフト３の隙間が全周で均一化される。更に、隙間を均一に保ちながら、クランパ４により媒体１及びスペーサ２をシャフト３に固定手段でねじ止め、あるいは他部材による押え付け等により固定する。以上により各媒体１の平行度及び各媒体１とシャフト３との偏芯を抑えて積層固定する事を可能としている。
【００１９】
図３にはこの媒体支持装置により実際にスピンドルモータ６に複数の磁気ディスク１を積層し、固定した状態を示している。図３では媒体支持装置の持つ嵌合穴３ａによってスピンドルモータ６の駆動軸６ａに対し偏芯が無い状態で位置決め固定されている。媒体支持装置をスピンドルモータ６に固定する手段（固定手段）としては、モータ軸６ａへのネジ８による取付け、またはスピンドルモータ接地面６ｂよりの真空吸着がある。
【００２０】
以上のように本実施例の媒体支持装置は、媒体１を複数枚シャフトに積層して固定するとき、媒体１の中心部の孔（穴）１ａに挿入するシャフト３の側面部に多孔質材料５を配し、シャフト３の内部孔３ａ，横穴３ｂより空気を挿入し、多孔質材料５より空気等の流体を放出することによって媒体１の中心部の孔（穴）１ａとシャフト３の間に流体膜を形成し、媒体１の中心部の孔（穴）１ａとシャフト３の隙間を均一に位置決めを行い、前記孔１ａを基準となるシャフト３に偏芯が無い状態で位置決め固定を行っている。また１つの媒体１だけでなく、媒体を複数枚積層する際、使用するスペーサ２とシャフト３の隙間をも同様に位置決め固定を行い、媒体支持装置全体の回転に対する動的な重量バランスを取っている。図４に計算により求めた、多孔質材料５からの距離に対する流体の反発力と媒体の摩擦力の関係を示す。これは媒体１の孔１ａと多孔質材料５の僅かな隙間量を６〜５５μｍと想定し算出したものであるが、図４より隙間量約４５μｍまでは流体の反発力が媒体の摩擦力を上回ることが分かる。よって隙間量がこの数値以下であるならば、計算上媒体の偏芯調整が可能となる。
【００２１】
図５は本発明の媒体支持装置において、複数の磁気ディスクをシャフトに積層固定し、種々な回転数で回転させたときの軸振れ量の測定結果を示している。参考として図７に示す従来の媒体支持装置における同様の測定結果も示している。本発明によれば従来に比べて軸振れ量が大幅に減少している。
【００２２】
図６は本発明の実施形態２の要部断面図である。本実施形態は先の実施形態１に比べて略中心部に円形の孔（穴）１ａを有する円盤状の媒体１を１枚または複数枚を積層して媒体１の孔１ａの開口部にシャフト３を挿入し、シャフト３に媒体１を固定するとともに、媒体１の外径と略同一の開口部を有する円筒状の多孔質からなるガイド部材としての多孔質材料５ａを配し、多孔質材料５ａの内側面と媒体１の外周部との間に空気等の気体を用いて流体膜を形成し、媒体１の外周部と多孔質媒体５ａの内周面との隙間を均一に位置決めしている点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、シャフトに磁気ディスク等の媒体を１つまたは複数枚位置決め固定するとき、媒体の駆動軸に対する軸振れ量を少なくすることができ、例えば回転させる際に、高速でしかも高精度に回転駆動させることができる磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の媒体支持装置の実施形態１の一部分の要部断面図
【図２】本発明の媒体支持装置の実施形態１の一部分の要部断面図
【図３】本発明の媒体支持装置の実施形態２の要部断面図
【図４】本発明の媒体支持装置における隙間と発生力の関係の説明図
【図５】従来の媒体支持装置における重量バランスと軸振れ量の関係の説明図
【図６】本発明の媒体支持装置の実施形態２の要部断面図
【図７】従来の媒体支持装置の要部断面図
【符号の説明】
１、１０１ 媒体、ディスク
２、１０２ スぺーサ
３、１０３ シャフト
４、１０４ クランパ
５ 多孔質材料
６ スピンドルモータ
７ 駆動軸（回転軸）
８ モータへの取付ネジ
９ 多孔質材料留め具
１ａ 媒体ディスク中心部の穴
１ｂ 媒体ディスク内周面
３ａ シャフト下方部嵌合穴
３ｂ シャフト側面貫通穴
５ａ ガイド
６ａ モータ軸
６ｂ 真空吸着面
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置に関し、例えばハードディスク、光ディスク、光カード等の情報記録再生媒体や半導体ウエハ等の媒体をシャフトに対して位置決め固定し、軸振れ量を少なくしつつ、高速回転する装置に好適なものである。
【０００２】
【従来の技術】
図７は従来の媒体支持装置の要部断面図である。図７に示す媒体支持装置は磁気ディスクより成る媒体１０１をシャフト１０３に複数枚積層する際に、媒体１０１と媒体１０１の間にリング状のスペーサ１０２を配置し、各媒体の平行度を保つようにクランパ１０４にて固定している。これによってシャフト１０３の回転時の媒体１０１の面振れを抑える事を主な目的としている。また、媒体１０１を交互にシャフト１０３に押し付けて各媒体の穴１０１ａとシャフト１０３との隙間を任意の仮想軸に配分し、固定する事で媒体１０１の穴１０１ａとシャフト１０３との僅かな隙間によって生じる動的な重量バランスの乱れを抑えていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
近年、情報記録装置には大容量の情報記録が要望されており、装置内の記録媒体の高密度化、高速回転化が進んでいる。高密度・高速化にあたり、狭トラックピッチ化、厳しいトラックピッチ誤差の要求がされており、この要求に答えるためには駆動軸７の同期振れ、及び非同期振れを抑えることはもちろん、各媒体１０１と駆動軸７との偏芯を抑える事が必要となってくる。しかしながら、要求されるトラックピッチ精度と比較すると媒体１０１が規格によって持つ中心部の開口１０１ａ穴径公差は非常に大きく、この公差によって生じる駆動軸７、またはシャフト１０３と媒体１０１との偏芯はトラックピッチ精度の向上を困難なものにしている。
【０００４】
また媒体１０１を回転させるにあたり、前記媒体１０１を含む媒体支持装置の動的な重心バランスのずれは振動を発生させる要因となり、高速回転下にあっては駆動軸７の振動だけではなく、モータ（不図示）を固定している架台を介し磁気ヘッド等の磁気記録変換器を振動させ、これらの高精度な位置決めを疎外するものとなる。さらに多数枚の媒体１０１の積層は各媒体とシャフト１０３との偏芯修正を難しくし、媒体支持装置の動的な重量バランスのずれを増大させることになる。
【０００５】
上記に示したように従来の媒体支持装置の主な目的は、媒体１０１の水平方向に対する面振れを抑えるものであり、各媒体の偏芯及び媒体支持装置の動的な重量バランスを修正する機能は付加されていない。このため、媒体１０１を交互にシャフト１０３に押し付け各媒体１０１の穴１０１ａとシャフト１０３の隙間を任意の仮想軸に配分し、動的な重量バランスの乱れを抑えていた。しかし、これは各媒体１０１とシャフト１０３との隙間を最大にするものであり、偏芯の値としては媒体１０１の穴１０１ａの穴径の有する公差寸法の１／２倍となってしまう。このため、各媒体の偏芯を修正することで動的な重量バランスを取り、位置決め固定できる媒体支持装置が必要となってきた。
【０００６】
本発明はシャフトに磁気ディスク等の媒体を１つまたは複数枚位置決め固定するとき、媒体の駆動軸に対する軸振れ量を少なくし、例えば回転時に高速でしかも高精度に回転駆動させることができる磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置の提供を目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明の磁気ディスクの固定方法は、円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、前記磁気ディスクの孔に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、を有することを特徴としている。
【０００８】
請求項２の発明の磁気ディスクの固定方法は、円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、
前記磁気ディスクの孔に前記シャフトを挿入する工程、
前記磁気ディスクの外周面側に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、と、を有することを特徴としている。
【０００９】
請求項３の発明の磁気ディスク支持装置は、磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの孔に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴としている。
【００１０】
請求項４の発明の磁気ディスク支持装置は、磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの外周面側に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴としている。
【００１１】
【００１２】
【００１３】
【００１４】
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気ディスク支持装置（媒体支持装置）の実施形態１を図面１〜３に基づき説明する。
【００１６】
図１に媒体（磁気ディスク）１をシャフト３に積層する前の状態を示す。図２は図１において磁気ディスクから成る媒体１を複数個、シャフト３に積層した状態の概略図、図３は図２のシャフト３にスピンドルモータ６を固定したときの概略図である。
【００１７】
このシャフト３は下方中心部に嵌合穴３ａを持つ。シャフト３にはベアリング（不図示）を介してスピンドルモータ６で回転可能となっている。この嵌合穴３ａは、スピンドルモータ６の軸６ａに対し偏芯が無い状態で位置決め固定するためのものである。更に媒体１の偏芯修正を行う際の空気等の流体注入にも用いられるため、シャフト３側面より複数個の横穴３ｂがこの嵌合穴３ａに向かい貫通している。この横穴３ｂを覆うようにして、ガイド部材を構成する流体噴出口としての多孔質材料５がシャフト３の外周側面部に圧入されている。この多孔質材料５を基準に各媒体１及びスペーサ２の位置決めを行うため、多孔質材料５はシャフト３の下方部の嵌合穴３ａに対して偏芯が無い状態で固定される。
【００１８】
図２に示すように、複数枚の媒体１を積層する際には、各媒体１の間にリング状のスペーサ２を配置し、各媒体の間隔を取る。媒体１同士の平行度はスペーサ２によって保たれ、駆動軸７に対する直角度はシャフト３の下部のつば３Ｃにより決められる。媒体１の中心部の円形の孔１ａの穴径（開口部）が有する公差によって、この時点での媒体１の孔１ ａと多孔質材料５との僅かな隙間は均一になっている保証はない。クランパ４をシャフト３にはめこみ、その重量によって、媒体１がシャフト３上方へ浮上する事をある程度制限した上で、シャフト３の内部孔３ａと横穴３ｂを介して下方より不図示の流体膜形成手段で空気等の流体を一定の圧力で注入する。注入された流体は多孔質材料５により放出され、媒体１の孔１ａ及びスペーサ２とシャフト３の側面部との隙間に流体膜を形成する。これによって媒体１の孔１ａが流体によりガイドされ、媒体１の孔１ａとシャフト３の隙間が全周で均一化される。更に、隙間を均一に保ちながら、クランパ４により媒体１及びスペーサ２をシャフト３に固定手段でねじ止め、あるいは他部材による押え付け等により固定する。以上により各媒体１の平行度及び各媒体１とシャフト３との偏芯を抑えて積層固定する事を可能としている。
【００１９】
図３にはこの媒体支持装置により実際にスピンドルモータ６に複数の磁気ディスク１を積層し、固定した状態を示している。図３では媒体支持装置の持つ嵌合穴３ａによってスピンドルモータ６の駆動軸６ａに対し偏芯が無い状態で位置決め固定されている。媒体支持装置をスピンドルモータ６に固定する手段（固定手段）としては、モータ軸６ａへのネジ８による取付け、またはスピンドルモータ接地面６ｂよりの真空吸着がある。
【００２０】
以上のように本実施例の媒体支持装置は、媒体１を複数枚シャフトに積層して固定するとき、媒体１の中心部の孔（穴）１ａに挿入するシャフト３の側面部に多孔質材料５を配し、シャフト３の内部孔３ａ，横穴３ｂより空気を挿入し、多孔質材料５より空気等の流体を放出することによって媒体１の中心部の孔（穴）１ａとシャフト３の間に流体膜を形成し、媒体１の中心部の孔（穴）１ａとシャフト３の隙間を均一に位置決めを行い、前記孔１ａを基準となるシャフト３に偏芯が無い状態で位置決め固定を行っている。また１つの媒体１だけでなく、媒体を複数枚積層する際、使用するスペーサ２とシャフト３の隙間をも同様に位置決め固定を行い、媒体支持装置全体の回転に対する動的な重量バランスを取っている。図４に計算により求めた、多孔質材料５からの距離に対する流体の反発力と媒体の摩擦力の関係を示す。これは媒体１の孔１ａと多孔質材料５の僅かな隙間量を６〜５５μｍと想定し算出したものであるが、図４より隙間量約４５μｍまでは流体の反発力が媒体の摩擦力を上回ることが分かる。よって隙間量がこの数値以下であるならば、計算上媒体の偏芯調整が可能となる。
【００２１】
図５は本発明の媒体支持装置において、複数の磁気ディスクをシャフトに積層固定し、種々な回転数で回転させたときの軸振れ量の測定結果を示している。参考として図７に示す従来の媒体支持装置における同様の測定結果も示している。本発明によれば従来に比べて軸振れ量が大幅に減少している。
【００２２】
図６は本発明の実施形態２の要部断面図である。本実施形態は先の実施形態１に比べて略中心部に円形の孔（穴）１ａを有する円盤状の媒体１を１枚または複数枚を積層して媒体１の孔１ａの開口部にシャフト３を挿入し、シャフト３に媒体１を固定するとともに、媒体１の外径と略同一の開口部を有する円筒状の多孔質からなるガイド部材としての多孔質材料５ａを配し、多孔質材料５ａの内側面と媒体１の外周部との間に空気等の気体を用いて流体膜を形成し、媒体１の外周部と多孔質媒体５ａの内周面との隙間を均一に位置決めしている点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、シャフトに磁気ディスク等の媒体を１つまたは複数枚位置決め固定するとき、媒体の駆動軸に対する軸振れ量を少なくすることができ、例えば回転させる際に、高速でしかも高精度に回転駆動させることができる磁気ディスク固定方法及び磁気ディスク支持装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の媒体支持装置の実施形態１の一部分の要部断面図
【図２】本発明の媒体支持装置の実施形態１の一部分の要部断面図
【図３】本発明の媒体支持装置の実施形態２の要部断面図
【図４】本発明の媒体支持装置における隙間と発生力の関係の説明図
【図５】従来の媒体支持装置における重量バランスと軸振れ量の関係の説明図
【図６】本発明の媒体支持装置の実施形態２の要部断面図
【図７】従来の媒体支持装置の要部断面図
【符号の説明】
１、１０１ 媒体、ディスク
２、１０２ スぺーサ
３、１０３ シャフト
４、１０４ クランパ
５ 多孔質材料
６ スピンドルモータ
７ 駆動軸（回転軸）
８ モータへの取付ネジ
９ 多孔質材料留め具
１ａ 媒体ディスク中心部の穴
１ｂ 媒体ディスク内周面
３ａ シャフト下方部嵌合穴
３ｂ シャフト側面貫通穴
５ａ ガイド
６ａ モータ軸
６ｂ 真空吸着面
Claims (4)
- 円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、前記磁気ディスクの孔に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、を有することを特徴とする磁気ディスク固定方法。 - 円形の孔を有する磁気ディスクをシャフトに対する偏芯調節を行い固定するための磁気ディスク固定方法であって、
前記磁気ディスクの孔に前記シャフトを挿入する工程、
前記磁気ディスクの外周面側に円筒状の多孔質材料を有するガイド部材を配置する工程、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に流体膜を形成し、前記磁気ディスクと前記シャフトの位置調整を行う工程、
前記磁気ディスクと前記シャフトを固定する工程、と、を有することを特徴とする磁気ディスク固定方法。 - 磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの孔に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの孔との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴とする磁気ディスク支持装置。 - 磁気ディスクの円形の孔に挿入するシャフトと、
前記磁気ディスクの外周面側に配置された円筒状の多孔質材料を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の多孔質材料から流体を放出することにより、前記ガイド部材と前記磁気ディスクの外周面との間に、流体膜を形成するための流体膜形成手段と、
前記流体膜形成手段により前記磁気ディスクが前記シャフトに対して位置決めされた後、前記磁気ディスクを前記シャフトに固定するための固定手段を有することを特徴とする磁気ディスク支持装置。
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