JP4040141B2 - 車体のトーボード構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室のフロア面から斜め前方に立上るトーボード面を構成する車体のトーボード構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トーボードは、一般に、車体のフロアパネルの前端から斜め前方に立上る一枚の板部材で構成されており、該板部材の車室側の内表面をトーボード面として、これに乗員の足を載せられるようにしている。
【0003】
ところで、正面衝突時にトーボードがその下端を中心にして後方に回転変位することがある。これによればトーボード面が起立して、乗員の足とすねとの成す角度が減少させられる。
【0004】
また、従来、ドイツ特許2408548号明細書により、トーボードを、車室側の内表面をトーボード面とする内板部と、内板部の外表面との間に閉空間を形成する、水平部分と水平部分の前端の立上り部分とを有する外板部とから成る内外2重構造に構成し、トーボードの剛性を高めたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如くトーボードを内外2重構造に構成しても、衝突エネルギーが大きいとトーボード全体が後方に回転変位し、トーボード面が起立して、乗員の足とすねとの成す角度が減少させられる。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、衝突時のトーボード面の起立を抑制し得るようにすることを課題としている。
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、車室のフロア面から斜め前方に立上るトーボード面を構成するトーボードの構造であって、車室側の内表面をトーボード面とする内板部と、内板部の外表面との間に閉空間を形成する、水平部分と水平部分の前端の立上り部分とを有する外板部とでトーボードを構成するものにおいて、
外板部の水平部分に、該水平部分の前後方向の座屈強度を弱くする弱化部を形成するとともに、内板部と外板部との間の閉空間に、前方に凸に折曲され両端が外板部の水平部分と立上がり部分とに固定された棒材からなる衝撃吸収部材を配置している。
【0008】
本発明によれば、正面衝突時にトーボードに作用する前後方向の荷重で外板部の水平部分が座屈し、外板部がその上端を中心にして後方に回転変位するように変形する。そして、外板部のこのような変形で衝突エネルギーが吸収され、内板部、即ち、トーボード面の起立が抑制される。この場合、内板部と外板部との間の閉空間に衝撃吸収部材を配置しておけば、衝突エネルギーをより効果的に吸収でき、有利である。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は自動車の車室のフロア面1aを構成するフロアパネルであり、フロアパネル1の前部に、フロア面1aから斜め前方に立上るトーボード面2aを構成するトーボード2を設けると共に、トーボード2の上端から上方にのびるダッシュボード3を設け、これらトーボード2とダッシュボード3とで車室の前下部の隔壁を構成している。図中1bはフロアパネル1に形成したセンタートンネル部である。
【0010】
トーボード2は、車室側の内表面をトーボード面2aとする内板部20と、内板部20の外表面との間に閉空間を形成する外板部21とから成る内外2重構造に構成されている。外板部21は、水平部分22と水平部分22の前端の立上り部23とを有している。図示のものでは、外板部21をダッシュボード3と一体に成形し、内板部20を別体の板材で構成して、その上縁を外板部21の立上り部分23の上縁に溶接等で結合すると共に、その下縁を外板部21の水平部分22の後端に溶接等で結合している。
【0011】
尚、内板部20をダッシュボード3と一体に成形し、外板部21を別体の板材で構成しても良い。
【0012】
外板部21の水平部分22には、水平部分22の前後方向の座屈強度を弱くする弱化部24が形成されている。図1に示す第1参考技術では、弱化部24を横方向に長手の三角ビードで構成しているが、図2に示す第2参考技術のように、水平部分22に明けた穴で弱化部24を構成してもよい。
【0013】
上記の如くトーボード2を構成すると、正面衝突時にトーボード2に作用する前後方向の荷重で外板部21の水平部分22が座屈し、外板部21がその上端を中心にして図1(B)に示す状態から後方に回転変位して図1(C)に示す状態に変形する。そして、この変形により衝突エネルギーが吸収される。ここで、外板部21の水平部分22に弱化部24が形成されていないと、外板部21がその下端を中心にして後方に回転変位するように形成し、この変形に伴って内板部20が前上りの傾斜姿勢から起立する。然し、上記のものでは外板部21がその上端を中心にして後方に回転変位するように変形するから、内板部20の起立が抑制される。そのため、内板部20のトーボード面2aに載せる乗員の足aとすねとの成す角度が衝突時に減少させられることを抑制できる。
【0014】
図3は第3参考技術を示しており、このものでは、内板部20と外板部21との間の閉空間に衝撃吸収部材25を配置して、衝突エネルギーを効果的に吸収できるようにしている。尚、図3に示すものでは、衝撃吸収部材25を、内板部20と外板部21の立上り部分23との間に介設した板ばねで構成しているが、ゴム等の弾性体で構成しても良い。ここで本実施形態では図4に示すように、外板部21の水平部分22と立上り部分23とに両端を固定した棒材で衝撃吸収部材25を構成し、外板部21の変形で棒材が破断されるようにし
【0015】
また、上記参考技術および実施形態では、内板部20をその上端が外板部21の上端に達するような長さに形成しているが、図5に示す第4参考技術のように、内板部20の長さを短くして、内板部20の上端を外板部21の立上り部分23の中間部に結合し、立上り部分23の上半部に足aのつま先部分を載せられるようにしても良い。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、衝突時におけるトーボード面の起立を抑制でき、乗員の足とすねとの成す角度が衝突時に減少させられることを効果的に防止でき、更に、衝撃吸収部材により衝突エネルギーを効果的に吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)第1参考技術の斜視図、(B)その通常時の状態を示す裁断側面図、(C)その衝突時の状態を示す裁断側面図
【図2】 第2参考技術の斜視図
【図3】 第3参考技術の裁断側面図
【図4】 本実施形態の裁断側面図
【図5】 第4参考技術の裁断側面図
【符号の説明】
1a フロア面 2 トーボード
2a トーボード面 20 内板部
21 外板部 22 水平部分
23 立上り部分 24 弱化部
25 衝撃吸収部材

Claims (1)

  1. 車室のフロア面から斜め前方に立上るトーボード面を構成するトーボードの構造であって、
    車室側の内表面をトーボード面とする内板部と、内板部の外表面との間に閉空間を形成する、水平部分と水平部分の前端の立上り部分とを有する外板部とでトーボードを構成するものにおいて、
    外板部の水平部分に、該水平部分の前後方向の座屈強度を弱くする弱化部を形成するとともに、内板部と外板部との間の閉空間に、前方に凸に折曲され両端が外板部の水平部分と立上がり部分とに固定された棒材からなる衝撃吸収部材を配置することを特徴とする車体のトーボード構造。
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