JP4040139B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写界(ファインダー視野)を複数の領域に分割して測光するカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被写界を複数の領域に分割し、それぞれの領域毎の輝度信号を用いて撮影画面に適正露出を与えるようにしたカメラが種々提案されている。例えば、特開平3−223825号公報には、複数の測光領域毎の輝度を検出する一方、それぞれ独立に焦点検出が可能な複数の焦点検出領域から少なくとも1つの領域を選択し、複数の測光領域を選択された焦点検出領域を中心とした同心円状にグループ化してこれらグループ化された測光領域の平均輝度に対する重み付けを変えて被写界全体の測光値を演算するカメラが提案されている。
【0003】
また、特開平5−53169号公報においては、被写界における被写体位置が撮影者の視線位置の検出等によって入力され、測光用のCCDイメージセンサの多数の画素が前記被写体位置に対応して柔軟に変化する分割パターンに従って、複数のパターンにグループ化され、これら各グループの平均輝度に重み付けを行って測光値を求めるカメラが提案されている。
【0004】
ところで、撮影被写界を最適な露光量で撮影するために、被写界から多くの輝度情報を得るべく測光センサは多分割化の傾向にある。例えば、上記特開平5−53169号公報にて提案のカメラのように、CCDのようなエリアセンサを用いることで、被写体に対して最適な分割測光パターンを得ることが可能である。しかしながら、エリアセンサは電荷蓄積型センサであるために低輝度時での応答性の問題があり、またその価格が高価であることからも、通常はフォトダイオードタイプの測光センサが広く用いられている。
【0005】
一方、このフォトダイオードタイプのセンサにとって、センサ部の分割数を多くするということは、分割された各領域の受光面積が少なくなり、結果的に測光センサの低輝度での測光能力の低下を招くことを意味している。
【0006】
従って、1画素が微小な大きさのセンサの集合体からなるエリアセンサを任意の多数の細かい分割パターンを形成できる測光センサとして用いるよりも、ある程度の大きさと数を持った分割センサを用いる方が低輝度測光能力、さらには測光演算処理能力的見地から一般的に使い易いセンサと言うことができる。
【0007】
また、撮影被写体に対し撮影レンズのピントを合わせるためにカメラでは焦点検出動作を行っている。この焦点検出を行うセンサも多分割の傾向にあり、例えば2つのエリアセンサを用い、これらエリアセンサの画素を分割して各々相関をとることで公知の位相差検出方式によって撮影画面内の多くの領域の焦点検出を行うことが可能となる。
【0008】
これまでに測光領域と測距領域の関係について提案されてきた内容は、上記特開平3−223825号公報にて提案のカメラをはじめ、いずれも測光領域数に対して焦点検出領域数がかなり少ないために、焦点検出領域を、これら焦点検出領域を包括した測光領域のほぼ重心位置に配置することが可能であり、従って焦点検出動作がなされるべき焦点検出領域に対応した測光領域が主被写体位置に対応した領域であるという仮定のもとに重み付け演算等の測光演算を行えばほぼ適正な露出を得ることができた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焦点検出領域の数が測光領域に対し遜色ない数、あるいは測光領域数以上にまで構成できるようになると、主被写体に対する合焦動作を行うべき焦点検出領域を測光領域のほぼ重心位置に配置することが困難となり、測光演算を行う基準となる主被写体位置に対応する測光領域が1つに確定できなくなる。このため、撮影被写体に対し正確な露出を決定できなくなる。
【0010】
このような焦点検出領域と測光領域のパララックスとも言うべき光学的不一致は、焦点検出センサと測光センサ自身のセンサレイアウト形状の差、あるいは光学的構成上の問題から生じる。上記の現象を具体的に示すと、図3のように、複数の焦点検出領域70〜78のうち一部の焦点検出領域71,73,75,77が複数の測光領域S0〜S4の境界上に配置された場合がこれに該当する。
【0011】
そこで、本発明は、ファインダ光学的に主被写体の焦点検出動作を行うべき焦点検出領域が測光領域内に配置されていなくとも、できるだけ少ない測光領域数で主被写体を中心に被写界全体を考慮した最適な測光を行えるカメラを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、複数の測光領域を有し、これら測光領域の境界上及び測光領域内の複数箇所に焦点検出領域を設けたカメラにおいて、複数の焦点検出領域の中から撮影レンズの合焦動作を行うべき対象となる特定領域を選択する焦点検出領域選択手段と、上記特定領域が上記境界上に位置する焦点検出領域であるときに、特定領域が位置する境界を形成する複数の測光領域のうち、特定領域で検出されたデフォーカス量と特定領域の近傍であって測光領域内に位置する焦点検出領域で検出されたデフォーカス量との差の絶対値が最小となる焦点検出領域を含む測光領域を、測光出力に最大の重み付けをかける測光領域として選択する領域決定手段とを設ける。
【0013】
特定領域の近傍であって測光領域内に位置する焦点検出領域のうち、特定領域とのデフォーカス量の差(絶対値)が最小となる焦点検出領域は特定領域と同じ被写体(主被写体)に対する焦点検出を行っていると考えられるので、特定領域の近傍に位置する焦点検出領域を含む測光領域を上記最大の重み付けをかける測光領域として決定することにより、比較的少ない測光領域の設定でも主被写体の適正な測光演算を可能としているとともに、主被写体を中心とした被写界全体の最適な測光演算を可能としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図6には、本発明の第1実施形態である一眼レフカメラを示している。図1において、1は撮影レンズである。なお、図には2枚のレンズ1a,1bのみを示したが、実際はさらに多数のレンズを有している。2は主ミラーで、ファインダ系観察状態と撮影状態とに応じて撮影光路に対し斜設されたり退避されたりする。3はサブミラーで、主ミラー2を透過した光束をカメラボディの下方へ向けて反射する。
【0016】
4はシャッタである。5は感光部材で、銀塩フィルム又はCCDやMOS型等の固体撮像素子やビディコン等の撮像管より成る。6は焦点検出部であり、結像面近傍に配置されたフィールドレンズ6a,反射ミラー6b,6c,2次結像レンズ6e,絞り6dおよび複数のCCDからなるラインセンサ6f等から構成されている。
【0017】
ここで、本実施形態における焦点検出部6は周知の位相差方式の焦点検出を行うものであり、図3のファインダ視野図に示すように、被写界内の複数の焦点検出領域70〜78にて焦点調節動作が可能に構成されている。
【0018】
7は撮影レンズ1の予定結像面に配置されたピント板、8はファインダ光路変更用のペンタプリズムである。
【0019】
9,10はそれぞれ、被写界内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサで、結像レンズ9はペンタプリズム8内の反射光路を介してピント板7と測光センサ10を共役に関係付けている。
【0020】
ここで測光センサ10は、図3に示すように、被写界内を19個の測光領域S0〜S18に分割して、各々の領域の輝度を検出することが可能な19個の領域センサ(図2に示すブロック図上のSPC−0〜SPC−18)からなる19分割センサである。また、図3に示すように、上記焦点検出領域70〜78のうち焦点検出領域70,72,74,76,78はそれぞれ測光領域S3,S1,S0,S2,S4のほぼ重心に配置され、また焦点検出領域71,73,75,77はそれぞれ2つの測光領域S3とS1,S1とS0,S0とS2,S2とS4の領域境界上に配置されている。なお、図3に示したファインダ視野内の各測光領域の境界線は測光センサ10の分割状態をファインダ上に投影して示した仮想線であって、実際のファインダではこれらの線は見ることはできない。
【0021】
11はペンタプリズム8の射出面後方に配設された接眼レンズ11であり、撮影者の眼によるピント板7の観察に使用される。そして、主ミラー2、ピント板7、ペンタプリズム8、接眼レンズ11によってファインダ光学系が構成されている。
【0022】
21は明るい被写体の中でも視認できる高輝度LED(以下、SI−LEDと記す)で、中心波長680ナノメータの赤色光を発光する。さらに、22は前記9個の焦点検出領域70〜78の位置をパターン化したLCD(以下、SI−LCDと記す)であり、後述する焦点検出領域選択がなされた位置に相当するLCDのパターンのみを透過状態とする。LCD後方のSI−LED21から発せられた光は、SI−LCD22の前記透過パターンのみを通過し、投光レンズ23、ダイクロイックミラ−24を介し接眼レンズ11を通って撮影者の眼球に到達する。これにより、撮影者はファインダー画面上で焦点検出領域表示パターンを目視することができる。つまり、図3に示したファインダ視野図から分かるように、焦点検出領域70〜78に対応するパターンの少なくとも1つがファインダ視野内で光り、選択がなされた焦点検出領域を表示させることができる。
【0023】
ここで、ダイクロイックミラー24は波長680ナノメータ以上の光を反射する特性を有しており、SI−LED21の光を効率良く観察者の眼に導くとともに、撮影レンズ1からの光をほとんど光量落ちなしにファインダー被写界像として撮影者に観察させることができる。
【0024】
25はファインダ視野外に撮影情報を表示するためのファインダ内LCD(以下、F−LCDと記す)で、照明用LED26によって照明される。照明用LED26にて発光した光は、F−LCD25を透過し三角プリズム27によって図3に示すようにファインダ視野外に導かれる。これにより、撮影者は各種の撮影情報を知ることができる。ここで、28はシャッタ速度表示、29は絞り値表示、30は撮影レンズ1の合焦状態を示す合焦マークである。
【0025】
また、図1に示す31は撮影レンズ1内に設けられた絞り、32は後述する絞り駆動回路111を含む絞り駆動装置、33はレンズ駆動用モータ、34は駆動ギヤ等からなるレンズ駆動部材である。
【0026】
35はフォトカプラで、レンズ駆動部材34に連動するパルス板36の回転を検知してレンズ焦点調節回路110に伝える。焦点調節回路110は、この回転検知情報とカメラ側からのレンズ駆動量の情報とに基づいてレンズ駆動用モータ33を所定量駆動させ、撮影レンズ1を合焦位置に移動させる。37は公知のカメラとレンズとのインターフェイスとなるマウント接点である。
【0027】
図2には、本実施形態のカメラの電気的構成を示している。100はカメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータの中央処理装置(以下、CPUと記す)であり、このCPU100には、視線検出回路101、測光回路102、自動焦点検出回路103、信号入力回路104、LCD駆動回路105、LED駆動回路106、シャッター制御回路108およびモータ制御回路109が接続されている。また、CPU100は、撮影レンズ1内に配置された焦点調節回路110、絞り駆動回路111とは図1で示したマウント接点37を介して信号の伝達を行う。
【0028】
CPU100にはEEPROM100aが付随しており、このEEPROM100aは各種調整データを記憶する記憶機能を有している。
【0029】
測光回路102は、測光センサ10から送られてくる19個の領域センサSPC−0〜SPC−18の輝度信号を増幅後、対数圧縮、A/D変換し、各センサの輝度情報としてCPU100に送信する。
【0030】
ラインセンサ6fは、ファインダ画面内の9個の焦点検出領域70〜78に対応した9組のラインセンサCCD−0〜CCD−8によって構成される公知のCCDラインセンサである。自動焦点検出回路103は、これらラインセンサ6fから得た電圧をA/D変換し、CPU100に送る。
【0031】
SW−1(12)はレリーズボタンの第1ストロークでONし、測光、AF、視線検出動作を開始させる測光スイッチであり、SW−2(13)はレリーズボタンの第2ストロークでONするレリーズスイッチである。SW−DIAL1とSW−DIAL2(15)は、不図示の電子ダイヤル内に設けられたダイヤルスイッチで、このスイッチからの信号は信号入力回路104のアップダウンカウンターに入力され、アップダウンカウンターは電子ダイヤルの回転クリック量をカウントする。そして、これらスイッチの信号は信号入力回路104に入力された後、データバスによってCPU100に送信される。
【0032】
105は液晶表示素子LCDを表示駆動させるための公知のLCD駆動回路で、CPU100からの信号に従って絞り値、シャッタ秒時、設定した撮影モード等の表示を外部モニタ用LCD20とF−LCD25とスーパーインポーズ用のSI−LCD22とを同時に制御し、情報を表示させる。LED駆動回路106は、F−LED26とSI−LED21を点灯・点滅制御する。
【0033】
シャッタ制御回路108は、通電されると先幕を走行させるマグネットMGー1と、後幕を走行させるマグネットMG−2とを制御し、感光部材に所定光量を露光させる。モータ制御回路109は、フィルムの巻上げ、巻戻しを行なうモータM1と主ミラー2およびシャッタ4のチャージを行なうモータM2とを制御する。シャッタ制御回路108およびモータ制御回路109によって一連のカメラのレリーズシーケンスが制御される。
【0034】
次に、本実施形態のカメラの動作を図4のフローチャートに従って説明する。カメラを不作動状態から所定の撮影モードに設定すると(本実施形態では、シャッター優先AEに設定された場合について説明する)、カメラの電源がONされ(ステップ#200)、カメラはレリーズボタンが押し込まれてスイッチSW1(12)がONされるまで待機する(ステップ#201)。
【0035】
レリーズボタンが押し込まれスイッチSW1がONされたことを信号入力回路104が検知すると、CPU100はカメラに装着されたレンズとの間で相互通信を行い、カメラが測光やAFを実行するのに必要なレンズ情報、例えば撮影レンズ1の開放Fナンバー、ベストピント位置等の情報がカメラのメモリに転送される(ステップ#202)。
【0036】
次に、9組のラインセンサCCD−0〜CCD−8は被写界光の蓄積動作を開始し、現時点での撮影画面に対応したセンサ各々のデフォーカス量(像ズレ量)DEF0〜DEF8を算出する(ステップ#203)。このデフォーカス量を求める過程は公知であり、ここでは説明を省略する。
【0037】
次に焦点検出を行うために、焦点検出領域選択スイッチ(SW−AF)14が自動モードになっているか手動モードになっているかの設定確認を行う(ステップ#204)。ここで焦点検出領域選択が自動モードに設定されていたならば、前記9個の焦点検出領域70〜78におけるデフォーカス量DEF0〜DEF8を基に、焦点検出領域自動選択サブルーチン(ステップ#205)によって特定の焦点検出領域を選択する。
【0038】
焦点検出領域自動選択のアルゴリズムとしてはいくつかの方法が考えられるが、多点AFカメラでは公知となっている中央焦点検出領域に重み付けを置いた近点優先アルゴリズムが有効である。なお、焦点検出領域選択スイッチ14をONすることにより焦点検出領域選択手動モードに入る。このモードでは、撮影者がスイッチダイヤル15の操作を通じて9個の焦点検出領域70〜78のうちの1個を選択する任意選択が可能である(ステップ#206)。
【0039】
こうして自動又は手動により焦点検出領域が確定すると(ステップ#207)次に確定した焦点検出領域において自動焦点検出回路103に焦点検出演算を行わせ、この領域で焦点検出可能であるか否かを判定する(ステップ#208)。焦点検出不可能であれば、CPU100はLCD駆動回路105に信号を送ってF−LCD25の合焦マーク30を点滅させ、焦点検出が不可能であることを撮影者に警告する。一方、焦点検出可能であり、所定のアルゴリズムで選択された焦点検出領域の焦点検出状態(デフォーカス量)が合焦状態でなければ、CPU100はレンズ焦点調節回路110に信号を送って所定量撮影レンズ1を駆動させる(ステップ#209)。
【0040】
レンズ駆動後、撮影レンズ1が合焦しているか否かの判定を行う(ステップ#210)。選択された焦点検出領域において撮影レンズ1が合焦していたならば、CPU100はLCD駆動回路105に信号を送ってF−LCD25の合焦マーク30を点灯させるとともに、LED駆動回路106にも信号を送って合焦している焦点検出領域に対応したSI−LED21を点灯させ、この焦点検出領域に対応するセグメントを光らせることで合焦表示させる。また、同時にCPU100は測光回路102に信号を送信して測光を行なわせる(ステップ#211)。このとき、合焦した焦点検出領域に対応した測光領域に重み付けを行なった測光演算を行うが、測光演算の詳細は後述する。そして、演算結果をセグメントと小数点を用いて撮影レンズ絞り値(例えば、F5.6)29を表示する。
【0041】
次に、撮影者が該焦点検出領域でのピント状態と測光値を容認しているか否かの判定をSW1のON,OFFで判定し(ステップ#212)、さらにレリーズボタンが押し込まれてスイッチSW2がONされているかどうかの判定を行なって、スイッチSW2がOFF状態であれば再びスイッチSW1の状態の確認を行なう(ステップ#213)。
【0042】
スイッチSW2がONされたときは、CPU100はシャッター制御回路108、モータ制御回路109および絞り駆動回路111にそれぞれ信号を送信する。シャッター制御回路108はモータM2に通電して主ミラー2をアップ(退避)させ、絞り駆動回路111により絞り31が絞り込まれた後、マグネットMG1に通電してシャッター4の先幕を開放する。絞り31の絞り値およびシャッター4のシャッタースピードは、測光回路102にて検知された測光値とフィルム5の感度とから決定される。
【0043】
そして、所定のシャッター秒時(1/125秒)経過後、シャッター制御回路108はマグネットMG2に通電し、シャッター4の後幕を閉じる。こうしてフィルム5への露光が終了すると、シャッター制御回路108はマグネットM2に再度通電し、ミラーダウン、シャッターチャージを行なうとともにモータ制御回路109がモータM1に通電し、フィルムのコマ送りを行ない、一連のシャッターレリーズシーケンスの動作を終了する(ステップ#214)。
【0044】
この後、カメラは再びスイッチSW1がONされるまで待機する(ステップ#201から#200にリターンする)。
【0045】
次に、上記測光演算(ステップ#211)について図5のフローチャートを用いて詳しく説明する。CPU100は測光演算を実行するのに、まず最初に測光センサ10の測光回路102から送られてくる前記19個の分割センサの出力(被写体輝度信号)を取り込んで、出力のAD変換を行う(ステップ#300)。
【0046】
次に、ステップ#202のレンズ通信で得られた撮影レンズ1のレンズ情報である開放Fナンバー、周辺光量落ち等のデータを用いて、AD変換された分割センサ出力に対する補正を行い、撮影被写体の正しい輝度信号に変換する(ステップ#301)。以下、これら各測光領域S0〜S18の補正後の輝度信号をe0〜e18として説明する。
【0047】
このとき、ステップ#207にて焦点調節動作(撮影レンズの合焦動作)を行うべき1つの焦点検出領域(請求の範囲にいう特定領域)が確定しているので、この確定領域に応じて行うべき測光演算を決定するために、確定領域が測光領域の重心位置にあるか測光領域の境界上にあるのかの判定を行う(ステップ#302)。具体的には、確定領域が測光領域の重心位置に存在する70,72,74,76,78のいずれかである場合には、そのままステップ#304に進んでその確定領域を含む測光領域を測光演算の中心領域として決定し、確定領域が測光領域の境界上にある71,73,75,77のいずれかであればステップ#303に進む。
【0048】
ステップ#303では、確定領域のデフォーカス量(焦点検出状態)とこの確定領域の両側(近傍)にある焦点検出領域の各デフォーカス量を比較し、両側の焦点検出領域のうち確定領域とのデフォーカス量の差が少ない方の焦点検出領域を含む測光領域を測光演算の中心領域(請求の範囲にいう特定の重み付けをかける領域)として決定する(ステップ#304)。
【0049】
例えば、ステップ#207で焦点検出領域73が焦点調節動作を行うための領域として確定したとすれば、ステップ#303では、
|DEF72−DEF73|と|DEF74−DEF73|との比較(但し、DEF72,DEF73,DEF74はそれぞれ焦点検出領域72,73,74のデフォーカス量)を行い、例えば、
|DEF72−DEF73|<|DEF74−DEF73|という結果を得た場合には、本来焦点調節動作が行われるべき焦点検出領域73に対してデフォーカス量のズレが相対的に少ない焦点検出領域72を含む測光領域S1を測光演算の中心領域として決定する。
【0050】
なお、測光演算の中心領域が確定領域の隣の焦点検出領域を含む測光領域に決定しても、撮影のための焦点調節動作はあくまでステップ#207で確定した焦点検出領域にて行われる。
【0051】
こうしてステップ#304で測光演算中心領域が決定すると、ステップ#305およびステップ#306に進んで、決定した中心領域に対して最も大きな重みを付けた重み付け測光演算を以下の方法で行う。なお、この測光演算にて用いる演算式は、上記ステップ#304において測光領域S0〜S4の5つのうちの1つが決定されることから、結果的に5つに分類することができる。また、ここでは、測光領域S1が中心領域として決定した場合について説明し、他の領域S0,S2,S3,S4に決定した場合については最終的な演算式のみを示す。
【0052】
ステップ#305では、測光領域S0〜S18を、測光領域S1を中心とした同心円状にA,B,Cの3つのグループに分ける。すなわち、測光領域S1のみをAグループとし、測光領域S1を取り囲む測光領域S0,S3,S7,S8をBグループとする。そして他の測光領域S2,S4,S5,S6,S9〜S18をCグループとする。
【0053】
次に、ステップ#306ではまず、各測光領域の面積を考慮して、上記A,B,Cの各グループの重み付けを行う。各測光領域の概略面積比は以下の通りである。 (S0〜S4):(S5〜S10):(S11〜S14):(S15〜S18)=3:2:4:12
これより上記各グループの平均輝度:EA1,EB1,EC1は以下のように求めることができる(e0〜e18はそれぞれ測光領域S0〜S18に対応した測光出力(輝度)である)。
【0054】
EA1= e1 …▲1▼
EB1={3(e0+e3)+2(e7+e8)}/10 …▲2▼
EC1={3(e2+e4)+2(e5+e6+e9+e10)+4(e11+e12+e13+e14)+12(e15+e16+e17+e18)}/78 …▲3▼
さらに、主被写体位置がAグループにあると考えられるため、Aを最重視した重み付けをA:B:C=3:2:1とすることで、主被写体を最重視した測光を行うことができる。
【0055】
以上のことより、主被写体を最重視した測光値(露出値)Eを以下の式で得ることができる(ステップ#306)。
【0056】
E=(3EA+2EB+EC)/6 (単位:BV) …▲4▼
以上の測光演算を図6に示すファインダ視野状態の場合について説明すると、まず主被写体の顔の中心位置に相当する焦点検出領域73がカメラの焦点検出領域の自動選択によって選択され、カメラの撮影レンズの焦点調節動作はこの焦点検出領域73に対して行われる。
【0057】
このとき、焦点検出領域73のデフォーカス量に対する焦点検出領域73に隣接する焦点検出領域72,74のデフォーカス量の差をそれぞれ比較する。図6から明らかなように、焦点検出領域72は焦点検出領域73と同様、ほぼ主被写体の顔の位置に対してデフォーカス量を算出するが、焦点検出領域74は主被写体の背景に対してデフォーカス量を算出することになり、測光中心領域は焦点検出領域73と極めて近い焦点検出領域72をその領域内に持つ測光領域S1に決定される。従って、上記▲1▼〜▲4▼の演算を実行することで主被写体の顔の輝度に重みをおいた測光演算値を得ることが可能となる。
【0058】
以上の▲1▼〜▲4▼の測光演算式は、ステップ#304により測光領域S0〜S4のうちのいずれが中心領域に決定された場合でも同様に適用することができる。以下にその演算式を示す。なお、いずれの測光領域が決定されても▲4▼式は共通である。
【0059】
中心領域がS0の場合
EA0= e0
EB0={3(e1+e2)+2(e5+e6)}/10
EC0={3(e3+e4)+2(e7+e8+e9+e10)+4(e11+e12+e13+e14)+12(e15+e16+e17+e18)}/78
中心領域がS2の場合
EA2= e2
EB2={3(e0+e4)+2(e9+e10)}/10
EC2={3(e1+e3)+2(e5+e6+e7+e8)+4(e11+e12+e13+e14)+12(e15+e16+e17+e18)} /78
中心領域がS3の場合
EA3= e3
EB3={3e1+4(e11+e12)}/11
EC3={3(e0+e2+e4)+2( e5+e6+e7+e8+e9+e10)+4(e13+e14)+12(e15+e16+e17+e18)}/77
中心領域がS4の場合
EA4= e4
EB4={3e2+4(e13+e14)}/11
EC4={3(e0+e1+e3)+2( e5+e6+e7+e8+e9+e10)+4(e11+e12)+12(e15+e16+e17+e18)}/77
また、仮にステップ#303のデフォーカス量比較において、
|DEF72−DEF73|=|DEF74−DEF73|
という結果が得られた場合は、撮影主被写体が比較的大きいと判断し、ステップ#304の測光中心領域は、S0,S1の両者として以下の式にてEA,EB,ECを求め、最終的には▲4▼式で測光値を求める。
【0060】
EA0= (e0 +e1) /2
EB0={3(e2+e3)+2(e5+e6+e7+e8)}/14
EC0={3e4 +2(e9+e10)+4(e11+e12+e13+e14)+12(e15+e16+e17+e18)}/71
(第2実施形態)
図7には、本発明の第2実施形態であるカメラのファインダ視野内を示している。この図において、焦点検出領域は第1実施形態の9領域(70〜78)に対し、その外周方向に10領域(79〜88)を追加した計19領域設けられている。なお、第2実施形態のカメラの基本構成およびカメラ全体の動作シーケンスは第1実施形態と同じであり、測光演算式のみが異なる。
【0061】
焦点検出領域が19個に拡大したことで、撮影者のカメラの焦点調節における操作性は向上したが、カメラの構成上、測光センサ10として第1実施形態のものと同じ9分割センサを用いているために、焦点検出領域80,82,85,87はそれぞれ4つの測光領域の境界近傍上に配置される。このため、カメラの焦点検出領域としてこれら領域80,82,85,87のいずれかが選択されたときの主被写体に対する適正な測光をどのように行うかが問題となる。 そこで、この場合の測光演算手法を、焦点検出領域80がカメラの合焦動作を行うべき焦点検出領域として選択された場合を例にとって説明する。
【0062】
まず焦点検出領域80の近傍で、焦点検出領域をほぼ重心位置に有し、主被写体を正しく測光可能な測光領域はS1,S3,S11の3つであるので、それぞれの領域が有する焦点検出領域のデフォーカス量をそれぞれDEF70,DEF72,DEF79とし、さらに焦点検出領域80のデフォーカス量をDEF80として、DEF80に対するそれぞれのデフォーカス量の差を算出する。
【0063】
この結果、例えば、|DEF72−DEF80|が、|DEF70−DEF80|および|DEF79−DEF80|に対して最も小さい値となれば、測光領域S1を重み付けの中心とした第1実施形態中の測光演算▲1▼〜▲4▼を実行すればよい。
【0064】
また、|DEF70−DEF80|が最も小さければ測光領域S3を重み付けの中心とし、|DEF79−DEF80|が最も小さければ測光領域S11を重み付けの中心とした測光演算を行えば、主被写体を重視した測光が可能となる。
なお、本発明におけるファインダ視野内における焦点検出領域の配置は、第1および第2実施形態にて示したものに限られるものではない。
【0065】
また、上記各実施形態では、本発明を一眼レフカメラに適用した場合について説明したが、本発明は一眼レフカメラ以外のカメラにも適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、選択された焦点検出領域(特定領域)が複数の測光領域の境界上にあるときには、この境界を形成する複数の測光領域のうち、特定領域のデフォーカス量とこの特定領域の近傍であって測光領域内に位置する焦点検出領域のデフォーカス量との差(絶対値)が最小となる焦点検出領域を含む測光領域を、測光出力に最大の重み付けをかける測光領域として選択するようにしているので、比較的少ない測光領域の設定でも主被写体の適正な測光演算を行うことができるとともに、主被写体を中心とした被写界全体の最適な測光演算を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である一眼レフカメラの概略図である。
【図2】上記カメラの電気回路のブロック図である。
【図3】上記カメラのファインダ視野図である。
【図4】上記カメラの動作制御用フローチャートである。
【図5】上記カメラの測光演算用フローチャートである。
【図6】上記カメラの使用状態説明図(ファインダ視野図)である。
【図7】本発明の第2実施形態であるカメラのファインダ視野図である。
【符号の説明】
1:撮影レンズ
6:焦点検出装置
6f:イメージセンサ
7:ピント板
10:測光センサ
11:接眼レンズ
50〜68:測光小領域
70〜78,79〜88:焦点検出領域
100:CPU
102:測光回路
103:焦点検出回路
Claims (3)
- 複数の測光領域を有し、これら測光領域の境界上及び測光領域内の複数箇所に焦点検出領域を設けたカメラにおいて、
前記複数の焦点検出領域の中から撮影レンズの合焦動作を行うべき対象となる特定領域を選択する焦点検出領域選択手段と、
前記特定領域が前記境界上に位置する焦点検出領域であるときに、前記特定領域が位置する前記境界を形成する複数の測光領域のうち、前記特定領域で検出されたデフォーカス量と前記特定領域の近傍であって測光領域内に位置する焦点検出領域で検出されたデフォーカス量との差の絶対値が最小となる焦点検出領域を含む測光領域を、測光出力に最大の重み付けをかける測光領域として選択する領域決定手段とを有することを特徴とするカメラ。 - 前記領域決定手段は、前記特定領域とのデフォーカス量の差の絶対値が最小となる焦点検出領域を含む測光領域が複数あるときは、これらの測光領域を、測光出力に最大の重み付けをかける測光領域として選択することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記特定領域が前記境界上に位置する焦点検出領域である場合において、前記特定領域の近傍であって測光領域内に位置する焦点検出領域が、前記測光領域の重心位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
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