JP4036560B2 - 液体化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体化粧料、特に水性液体化粧料に関するものであり、更に詳しくは、本発明は塗布手段として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具に適した液体化粧料であり、特にアイメイクアップに好適な液体メイクアップ化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特公平2−12924号公報において、大豆リン脂質、又は卵黄リン脂質のレシチン及びこれらの水添物と非イオン界面活性剤、及び無機顔料を含む、25℃における粘度が3〜300cpsの液体アイメイク化粧料を開示している。着色剤については特に限定されていない。
【0003】
本出願人はまた、特開平10−231233号公報において、着色剤として従来、磁性のために分散が難しかった黒酸化鉄や、発がん性が危惧されるカーボンブラックを使用しないで、チタンブラックを使用し、描線濃度が十分で、拭き取りも良好なアイメイクアップ化粧料を開示しているが、パール顔料については何も言及していない。そしてレシチン又はその水添物とHLB値が10以上の非イオン性界面活性剤を含んで成るアイメイクアップ化粧料を開示している。
【0004】
特開平6−57290号公報では、(A)炭素数8〜22のアシル基を有するN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩と、(B)水とを重量比(A)/(B)=5/95〜30/70の範囲で含む組成物から得られるチクソトロピーを有するゲル状化粧料を提供し、塗布し易く、使用感が良く、さらに皮膚に対する刺戟性が低く、容易に多量の油成分を含有させることが出来る洗顔クリーム、クレンジングクリーム等の化粧料を提供している。
【0005】
特開平9−175924号公報では、低粘度の液状化粧料の場合、無機顔料の微細化によって沈降を抑制することは可能になるが、一方隠蔽性の低下を生じたり、良好な色調が得られない問題がある。又無機顔料の沈降防止のため、増粘剤を添加する場合、その種類によっては、電解質により期待する増粘効果が得られなかったり、ゲル化により流動性が失われたり、経時安定性に問題があったが、これを多糖類で分散した無機顔料と粘土鉱物と水溶性有機溶剤と水とを配合して解決した液状化粧料が提供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
メイクアップ化粧料、特にアイメイクアップ化粧料で鮮かで華やかな仕上がりを得るためには、パール顔料を配合することが好適である。ところが低粘度の水系分散液においては、パール顔料は通常の有機・無機顔料と較べて粒子が粗大であるので沈降が早く、また粒子形状が扁平であるため一度沈降した顔料はハードケイクを形成しやすく、使用する際に撹拌しても容易に再分散できなかった。
【0007】
この理由により、塗布体として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具において、水性液体化粧料としてパール顔料を配合し、華やかな発色が得られるもので、経常的に満足できる品質を保持したものは無かった。
本発明は、経時沈降安定性に優れ、また仮に顔料が沈降しても撹拌することで容易に再分散可能であり、塗布体として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具に好適なパール顔料配合の水性液体化粧料を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、塗布体として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具用として好適な水性液体化粧料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、少なくともマイカ又は雲母チタンからなるパール顔料と、構造粘性付与剤としてアニオン性高分子化合物を配合し、かつ特定の非ニュートン粘性指数(n)と、所定のずり速度において、特定の粘度の範囲を保たせることにより、前記の課題を達成できることを見いだし、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は少なくともマイカ又は雲母チタンからなるパール顔料を5〜25重量%とアニオン性高分子化合物とを含有し、かつ非ニュートン粘性指数(n)が、0.16≦n≦0.28の範囲にあり、EMD型粘度計による温度25℃での粘度測定において粘度が以下の条件(A)を満足する事を特徴とする液体化粧料である。
(A) ずり速度(S-1) 粘 度(mpa・S)
3.83 1500〜2500
19.20 500〜700
38.30 300〜450
76.80 150〜250
383.00 50〜100
【0010】
好ましくは、前記水性液体化粧料のパール顔料が酸化鉄により表面処理されたものであり、
【0011】
更に好ましくは、前記水性液体化粧料のアニオン性高分子化合物がキサンタンガムであり、
【0012】
に、これら水性液体化粧料は、塗布体として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具を用いたものであり、その効果を充分に発揮するものである。
【0013】
本発明の化粧料において、用いられるパール顔料は、人体に対する安全性が高いものであり、具体例としては、マイカ、雲母チタン、カルミン被膜雲母チタン、カルミン・紺青被膜雲母チタン、黒酸化鉄被膜雲母チタン、黒酸化鉄・カルミン被膜雲母チタン、黒酸化鉄・紺青被膜雲母チタン、青被膜雲母チタン、ベンガラ被膜雲母、ベンガラ被膜雲母チタン、ベンガラ・カルミン被膜雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被膜雲母チタン、ベンガラ・紺青被膜雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄・紺青被膜雲母チタンなどが挙げられるが、これらのパール顔料はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パール顔料の配合量は、良好な描線、塗布性能、使用特性を得る為には5〜25重量%配合が好ましい。
【0014】
また、パール顔料と無機顔料は組み合わせて用いてもよく、無機顔料として、例えば黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタンイエロー、ベンガラなどが挙げられる。
無機顔料の配合量については特に制限はなく、本発明の化粧料の粘度範囲で任意の量を適宜配合できる。
なお、前記パール顔料と無機顔料の他に、必要に応じて、前記指定外のパール顔料(魚鱗箔、N′−ラウロイル−L−リジン被膜タルク)、無機顔料、有機顔料、もしくは種々の染料を用いる事も出来る。
【0015】
本発明の化粧料において、前記パール顔料の分散剤として、アニオン性高分子化合物が用いられる。このアニオン性高分子化合物としては、例えば、トラガントガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、アラビアゴム、カラヤゴム、クインシード、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸樹脂などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アニオン性高分子化合物の配合量は、得られる化粧料の粘度が所定の範囲内になるように選ばれる。
【0016】
その他、分散安定剤として加えられるリン脂質としては、大豆リン脂質、卵黄リン脂質などの各種レシチン又はこれらの水素添加生成物等が挙げられ、キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、及びそれらの一ナトリウム塩、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩等が挙げられる。
【0017】
防腐剤として加えられるパラベンは、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル等が挙げられる。
【0018】
保湿剤として加えられる多価アルコールは、1,3ブチレングリコール、1,4ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0019】
分散剤として界面活性剤が加えられる。界面活性剤は、飽和又は不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩等が挙げられる。また、後述する表1に示すように、分散剤としてアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンが加えられる。
【0020】
さらに、本発明の化粧料においては、前記の成分の他に、他の顔料粒子分散剤、あるいは粘度調整、固着性、耐水性、耐油性、耐汗性、乾燥性、防腐性などを付与する目的で用いられる添加剤などで、分散系に支障をもたらさないものであれば、任意のものを所望に応じ配合することができる。ただし、該化粧品が非ニュートン粘性指数(n)が0.16≦n≦0.28であり、条件(A)の範囲にあるように配合を調整することが必要である。
【0021】
以下に実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。
実施例1,2,3及び比較例1,2を次記の試験法によりテストした。その結果を、成分表と共に表1に示した。
【0022】
(使用性テスト):
実施例1〜3、比較例1,2を筆ペンタイプの化粧容器に充填し、手の甲に幅1〜2mm、長さ約5cmの線を5本引き、描き具合、描線濃度を評価した。
○:描きやすく、充分な濃度がある。
△:多少のかすれ、滲みがあるが、実用域と判断される。
×:かすれ、滲みがあり、不満と感じる。
【0023】
(沈降安定性テスト):
実施例1〜3、比較例1,2をねじ口試験管に取り、密栓して1ケ月静置し、液の分離の有無を観察し、評価した。
◎:変化なし
○:1mm前後の上澄みが生じる。
△:色別れなど、多少の分離あり。
×:明らかな分離あり。
【0024】
(再分散性テスト):
実施例1〜3、比較例1,2をねじ口試験管にとり、その中に液を撹拌させるボールを入れ、50℃1ケ月静置させる。これを手で振り、撹拌ボールの動きを観察し、評価する。
○:1,2回の振りですぐ撹拌ボールが動く。
△:3〜9回の振りで撹拌ボールが動く。
×:撹拌ボールが動くまで10回以上振らなければいけない。
【0025】
【表1】
Figure 0004036560
【0026】
【発明の効果】
本発明の水性化粧料は少なくともマイカ又は雲母チタンもしくは、その表面処理物からなる基本的に無機物からなるパール顔料と、構造粘性付与剤としてアニオン性高分子化合物を配合し、かつ特定の非ニュートン粘性指数(n)と、所定のずり速度において、特定の粘度の範囲を有するパール顔料を色剤とし、アニオン性高分子化合物の作用により、水中に安定に分散させ、所定の物性を有するように調整してあるので、粒子径が大きく、比重が大きく、通常沈降しやすいパール顔料であるのにも拘わらず、ゲル化することにより、顔料分の沈降があってもハードケイクを生じ難く、保存安定性に優れており、また剪断減粘性を有するので、塗布時には粘度が下がり、容易に塗布ができ、加えて塗布後には優れた描線が得られると共に、塗布後には被塗布体上で粘度が上昇し、滲みが少ないなど、塗布性能が極めて優れた水性化粧料とすることができた。
また、従来の液体化粧料においては、塗布体として筆穂を用いる液体化粧料塗布具においては、塗布体が筆穂であるということで、塗布体への化粧料の含み量が多く、携帯時における衝撃や振動により、塗布体周辺の先軸や、キャップ内部を汚染してしまい、ユーザーの使用時に手指等の環境を汚染するという弊害があった、しかしながら、本発明の液体化粧料であれば剪断減粘性を有するため、使用状態にない静置状態であれば、化粧料は比較的高い粘性のゲル状であり、塗布体である筆穂に含まれた状態であっても、携帯時における衝撃や振動により、塗布体周辺の先軸やキャップ内部を汚染してしまうという弊害が生じにくい。
本発明の液体化粧料は、アイメイクアップ化粧料として好適であるが、狭く、そのに限定されるものではなく、口紅、ファンデーション等広く液体化粧料全般に適用可能である。

Claims (4)

  1. 筆穂に用いる液体化粧料塗不具に内蔵され、
    少なくとも、界面活性剤と、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンと、マイカ又は雲母チタンからなる扁平なパール顔料を5〜25重量%とを含み液体化粧料であって、
    0.2〜2.0重量%のアニオン性高分子化合物によって、
    非ニュートン粘性指数(n)が、0.16≦n≦0.28の範囲にあり、
    EMD型粘度計による温度25℃での粘度測定において粘度が以下の条件(A)を満足する事と共に更に保湿剤及び防腐剤を含むことを特徴とする液体化粧料。
    (A)ずり速度(S-1) 粘度(mpa・S)
    3.83 1500〜5000
    19.20 500〜1500
    38.30 300〜700
    76.80 150〜400
    383.00 50〜100
  2. パール顔料が酸化鉄により表面処理され、更にキレート剤を加えた請求項1記載の液体化粧料。
  3. アニオン性高分子化合物がキサンタンガムである請求項1、請求項2何れかに記載の液体化粧料。
  4. 更に分散安定剤を加えた請求項1に記載の液体化粧料。
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