JP6053346B2 - 液体塗布具 - Google Patents
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Description
また、上記特許文献4及び5に記載の各塗布具のような小面積の滑らかな塗布部でもって、塗り広げようとする場合では、高粘度の液体であれば皮膚から塗布部が離れる瞬間に、いわゆる糸引きが起こりやすく、厚塗りの部分が残ってしまう可能性が大きくなり、やはり薄塗りには熟練が必要となるなどの課題がある。
(1) 軸本体に配設される収容部に、25℃において、ずり速度3.83sec−1における粘度が1Pa・sec〜100Pa・secの範囲にある塗布液を収容し、軸本体の先端部に対象部位に接して塗布液を塗付するための塗布部を有し、軸本体の後端部に押し出し機構を有しており、前記塗布部先端には塗布液を吐出させる吐出口を有する吐出口面と、吐出された塗布液を塗布する塗布面とを有し、前記塗布液を吐出させる吐出口と収容部間を繋ぐ連通路が形成され、前記押し出し機構の押し出しによって収容部内に収容した塗布液を塗布部の連通路を経由して吐出口から吐出する液体塗布具であって、前記塗布部は表面粗さRaが3〜300μmであることを特徴とする液体塗布具。
(2) 前記吐出口面と前記塗布面とは異なる角度を持つ2つの略平面となることを特徴とする上記(1)記載の液体塗布具。
(3) 前記塗布面は軸線に対して0°以上90°以下の傾きで、吐出口面は、塗布面に対して10°以上45°以下の傾きであることを特徴とする上記(2)記載の液体塗布具。
(4) 前記塗布部は、JIS K 6253−2006に規定のタイプA硬度が60以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の液体塗布具。
(5) 前記塗布液が高内水相油中水型乳化化粧料であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の液体塗布具。
図1〜図4は、本発明の液体塗布具の実施形態の一例を示すものであり、図1はその斜視図、図2はその縦断面図、図3はその平面図、図4(a)はその左側面図、(b)はその正面図である。
本実施形態に係る液体塗布具Aは、図1〜図4に示すように、軸本体10内部に配設した収容部11内に化粧料等の塗布液12を収容し、使用者の肌等の対象部位に接して塗布液12を塗布する塗布部20を軸本体10の先端部10aに固定し、軸本体10の後部に設けた押し出し機構30によって軸本体10の収容部11内に収容した化粧料等の塗布液12を塗布部20の吐出口25から吐出する形態となっている。
なお、本発明において粘度測定条件(後述する実施例等も含む)は、具体的には、収容部に収容する塗布液(化粧料等)を東機産業社製、粘度計:TVE25H、標準ローター:1rpm(ずり速度:3.83〔sec−1])、温度25℃で測定した。
この化粧料の具体的形態(剤形)としては、例えば、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、クリームチーク、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状のものが挙げられるが、これらの例示されたものに制限されるものではない。
上記油剤の他、油相の均一性を損なわない範囲でその他の油剤を勿論配合することができ、例えば、天然動・植物油、合成油のいずれも使用可能であり、また、流動パラフィン、スクワラン等の液状、ペースト状もしくは固形状の炭化水素、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、グリセライド等を配合することができる。
また、前記油相成分は、油中水型とし、使用感の面で水などによる潤い感を良好とするために、化粧料全量に対して10質量%〜50質量%未満の範囲で配合することが好ましい。
更に、上記配合成分の他に、通常、乳化化粧料に配合される任意成分、例えば、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、保香剤、増粘剤、上記有機顔料の他の着色顔料、光揮性顔料、有機粉体、疎水化処理顔料、タール色素等があり、それらを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
この高内水相油中水型乳化化粧料は、予め油相混合物を調製した後、次に、この油相混合物を高速攪拌機を用いて攪拌しながら、混合攪拌溶解した水相混合物を室温等で徐々に添加し、上記粘度範囲の化粧料を調製することができる。なお、上記粘度範囲の調製は、各配合成分、その量などを好適に組み合わせることにより調製することができる。
前記吐出された塗布液を塗布する塗布面22と、吐出口23を有する吐出口面24とは異なる角度を持つ2つの略平面(僅かな曲面)となるものである。好ましくは、前記塗布面22は、軸線に対して0°以上90°以下の傾きであり、吐出口面24は、塗布面22に対して10°以上45°以下の傾きであることが好ましく、更に、塗布面22と吐出口面24が交差する箇所は凸部となることが望ましい。本実施形態では、塗布面22は軸線に対して25°の傾きであり、吐出口面24は、塗布面に対して25°の傾き(軸線に対して50°)の傾きを持っている。これにより塗布面22と吐出口面24が交差する箇所は凸部となり、塗布時に吐出口の液が邪魔にならない構造となっており、しかも、塗布面22は、皮膚面に塗布する際に平坦な塗布面となるものであるので対象部位への接触面積が大きくなり塗布性が向上するものとなる。
なお、吐出口23、連通孔25の大きさ、開口形状等は、上記粘度、配合成分、塗布態様を勘案して好適な大きさ等に設定することができ、吐出口23、連通孔25の開口形状、孔形状としては、円形状、楕円形状等とすることができ、吐出口23の開口面積としては、1〜6mm2することが望ましい。本実施形態では、吐出口23は楕円形状で、面積3.5mm2であり、連通孔25は、φ2mm、長さ30mmである。
この塗布部20における塗布面22は、更に、高粘性の化粧料などを好適に皮膚面に良好に塗布することができるように、皮膚面の摩擦を低減し、また、塗布表面を平滑化あるいは凹凸の大きい表面状態とするために、表面粗さRaが3〜300μm、好ましくは、20〜80μmとなるように形成されている。
本実施形態では、塗布対象となる皮膚面への抵抗を緩和する点等から、塗布面22の周縁部の角を取る縁取り処理を施している。また、塗布面22の面積は、上記化粧料種、粘度、配合成分、塗布態様を勘案して好適な面積に設定することができ、好ましくは、100〜400mm2とすることが望ましい。更に、吐出面24の面積は、吐出面24に塗布液が良好に滞留することができ、かつ、塗布時に吐出口の液が邪魔にならないように設定されるものであり、好ましくは、30〜90mm2とすることが望ましい。本実施形態では、塗布面22の面積は210mm2であり、吐出口(面積3.5mm2)を含む吐出口面24の面積は60mm2であった。
ここで、上記算術平均粗さ(Ra)の数値が3μm未満となる場合には、表面粗さが足りず、塗布液がわだちを作る・塗りムラが生じることとなる。一方、上記数値が300μmを超えて上回る場合には、引っかき跡の残りが生ずることとなる。本実施形態では、塗布面22の算術平均粗さ(Ra)は30μmであった。
また、押し出し機構30は、使用者の回転操作によってその構成要素のピストン体31を軸本体10中央部の内壁に密着して液密に摺動し、これによって、前記収容部11の容積を減少・増大して塗布液12を加圧・減圧する。押し出し機構30は、主要部材として回転操作部材33、軸状部材32、この軸状部材32を出没させる固定筒状体34(これらは駆動機構に相当する)、及び上述のピストン体31を有してなる。
回転操作部材33は、互いに回転不能に接合させた内筒材35と外筒キャップ36とからなり、回転操作部材33全体は軸本体10に回転可能に設けられる。この回転操作部材33に軸状部材22は軸方向摺動可能でかつ回転方向に固定されている。この回転操作部材33は、互いに通常は相対回転不能で一定以上の回転力によって相対回転するように接合させた外筒キャップ36と内筒材(「繰り出し体」とも称する)35とからなり、回転操作部材33全体は軸本体10の後部に回転可能に設けられる。
また、固定筒状体34及び回転操作部材33(内筒材35先方外周面)同士の噛み合わせ部37はラチェットが形成されている。回転操作部材33は、固定筒状体34(それの固定された軸本体10)に対して両方向に回転可能になっており、高粘性液体化粧料となる塗布液を吐出する一方向へ回転させたときには、ラチェットによる手指にクリック感を生じさせつつ吐出させ、他方向へ回転させたときには、設定された回転力以上の入力をしたときに回転するように回転規制されている。すなわち、その他方向に一定以上の回転力が加わった時に、その規制を解除して回転可能にするトルクリミッタ機能を付与できる構造となっている。
図1〜図4に準拠する下記構成の液体塗布具を用いて、下記表1に示される処方例1〜4の高内水相油中水型乳化化粧料(クリームチーク)を収容して、使用性、塗布性能について評価した。
(液体塗布具の主構成)
軸本体10:PP(ポリプロピレン製)、ピストン体31:HDPE(高密度ポリエチレン)
塗布部20:タイプA硬度:90、材質:PP製、吐出口23の開口形状:楕円状、開口面積:3.5mm2、連通孔25:φ2mm、長さ:30mm
塗布面22の算術平均粗さ(Ra):30μm
塗布面22の面積:210mm2、吐出口(面積3.5mm2)を含む吐出口面24の面積:60mm2
塗布面22の傾き:軸線に対して25°、吐出口面24の傾き:塗布面に対して25°(軸線に対して50°)
*1:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー/シクロペンタシロキサン、信越化学工業株式会社製。
*2:(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー/ジメチコン、信越化学工業株式会社製。
*3:PEG−10ジメチコン、信越化学工業株式会社製。
*4:ジメチコン、粘度6mm2/s(25℃)、信越化学工業株式会社製。
*5:シリコーン処理パール顔料、大東化成工業社製。
*6:ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、HLB=18、日光ケミカルズ株式会社製。
*7:ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB=17、日光ケミカルズ株式会社製。
*8:ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB=15.5、日光ケミカルズ株式会社製。
*9:共通成分:フェノキシエタノール0.5%、メチルパラベン0.2%、エチルパラベン0.1%(以上、防腐剤として)、クエン酸ナトリウム(酸化防止剤)0.2%、塩化ナトリウム0.5%、エタノール5%
10 軸本体
11 塗布液の収容部
12 塗布液
20 塗布部
22 塗布面
23 吐出口
24 吐出口面
25 連通路
30 押し出し機構
31 ピストン体
32 軸状部材
33 回転操作部材
34 固定筒状体
35 内筒材
36 外筒キャップ
Claims (5)
- 軸本体に配設される収容部に、25℃において、ずり速度3.83sec−1における粘度が1Pa・sec〜100Pa・secの範囲にある塗布液を収容し、軸本体の先端部に対象部位に接して塗布液を塗付するための塗布部を有し、軸本体の後端部に押し出し機構を有しており、前記塗布部先端には塗布液を吐出させる吐出口を有する吐出口面と、吐出された塗布液を塗布する塗布面とを有し、前記塗布液を吐出させる吐出口と収容部間を繋ぐ連通路が形成され、前記押し出し機構の押し出しによって収容部内に収容した塗布液を塗布部の連通路を経由して吐出口から吐出する液体塗布具であって、前記塗布部は表面粗さRaが3〜300μmであることを特徴とする液体塗布具。
- 前記吐出口面と前記塗布面とは異なる角度を持つ2つの略平面となることを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
- 前記塗布面は軸線に対して0°以上90°以下の傾きで、吐出口面は、塗布面に対して10°以上45°以下の傾きであることを特徴とする請求項2記載の液体塗布具。
- 前記塗布部は、JIS K 6253−2006に規定のタイプA硬度が60以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の液体塗布具。
- 前記塗布液が高内水相油中水型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の液体塗布具。
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