JP4034684B2 - 弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性dnaポリメラーゼ - Google Patents

弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性dnaポリメラーゼ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ(「校正」)活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ、それらの合成方法、それらの使用方法及びそれらを含有したキットに関する。前記酵素は、多くのDNA組換技術において役に立ち、とりわけポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸の増幅に有用である。
【0002】
【従来の技術】
DNAポリメラーゼは、相補的鋳型DNA鎖とプライマーとを用いて、伸長する鎖の遊離3’-ヒドロキシル基に対してヌクレオチドを逐次的に付加することにより、デオキシヌクレオシド三リン酸(ヌクレオチド)の5’から3’への方向にDNA分子を合成する。鋳型鎖は、ワトソン−クリック(Watson-Crick)塩基対を介したヌクレオチドの付加の順序を決定する。細胞において、DNAポリメラーゼは、DNAの修復合成及びDNAの複製に関与する。例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照のこと。
【0003】
多数の分子クローニング技術及びプロトコールには、DNAポリメラーゼにより触媒されたインビトロ反応でのDNA合成を含む。例えば、35S-標識化、32P-標識化、33P-標識化又は蛍光−標識化ヌクレオチドのいずれかを用いて、DNA標識及びDNAシークエンシング反応にDNAポリメラーゼが用いられる。最も多目的でかつ最も汎用されているDNA合成技術の一つであるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されており、非特許文献3中で論じられ、参照によりそれらの全体が本明細書に取り込まれる。
【0004】
最も詳細にキャラクタライズされたDNAポリメラーゼは、大腸菌のDNAポリメラーゼI(Eco Pol I)である。Eco Pol I及びそれと相同的ないくつかのDNAポリメラーゼは、三つの酵素の機能:
i)5’−3’エキソヌクレアーゼ活性、
ii)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性、及び
iii)DNA合成活性、
を有する。後者のii)及びiii)の二つの機能は、タンパク質のカルボキシ末端の方の「クレノー」フラグメント(Eco Pol I K)内に局在する。Eco Pol Iの酵素調製物をズブチリシンで処理すると、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性のないEco Pol I Kを得ることができる。非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11を参照こと。
【0005】
Eco Pol I Kの結晶構造解析は、そのペプチド鎖が、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインである200アミノ酸残基のより小さいドメインと、DNA合成ドメインである400アミノ酸残基の他方のドメインとの二つの異なるドメインに折りたたまれていることを示す。非特許文献12を参照のこと。3’−5’エキソヌクレアーゼの活性の活性部位とDNA合成活性の活性部位とは、約30オングストローム離れている。上掲を参照のこと。3’−5’エキソヌクレアーゼの活性部位は、一本鎖DNA及びデオキシヌクレオシド一リン酸(dNMP)と結合するのに対して、DNA合成の活性部位は、一本鎖の5’伸長部分を含む二本鎖DNA及びデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)と結合する。上掲を参照のこと。保存された3’−5’エキソヌクレアーゼ活性部位の存在が多数のDNAポリメラーゼに存在することが、ベルナット(Bernat)ら(非特許文献13)、ブランコ(Blanco)ら(非特許文献14)、レーアクランツ(Reha-Krantz)(非特許文献15)によって予測された。
【0006】
Eco Pol IのDNA合成ドメインは、その3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン及び5’−3’エキソヌクレアーゼドメインとは独立してクローン化され、発現され、キャラクタライズされている。上記の通り、DNA合成ドメインは、約400アミノ酸を含む。DNA合成ドメインでのポリメラーゼ活性は、Eco Pol I Kでの活性よりも50倍低い。非特許文献16を参照のこと。
【0007】
様々な生物由来の熱安定性及び熱活性DNAポリメラーゼが、広い範囲の文献に記載されている。具体例としては、真正細菌であるサーマス(Thermus)属の様々な種由来のDNAポリメラーゼ(特許文献5を参照のこと)が挙げられ、特に、特許文献6、特許文献7及び特許文献8に記載されるサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)並びに特許文献9及び特許文献10に開示される真正細菌の種のサーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)由来のDNAポリメラーゼ(Tma DNAポリメラーゼ)が挙げられる。
【0008】
中温菌である大腸菌と、好熱菌であるT.マリティマは共に真正細菌である。大腸菌DNAポリメラーゼIのように、Tma DNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性及び3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を有する。対照的に、好熱性真正細菌でもあるサーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性のみを有する。熱安定性及び熱活性DNAポリメラーゼとそれらに随伴する活性についての総説は、非特許文献17に見出される。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く、古細菌若しくは真正細菌の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの多数の変異体は、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15に記載されている。
【0009】
Eco Pol I及びTma DNAポリメラーゼは、同じ三つの酵素活性を有し、同じ一般的なドメイン構造を有するが、これらは非常に異なる酵素である。例えば、Eco Pol IとTma DNAポリメラーゼとは、非常に異なるアミノ酸配列を有する。特に、これらの配列にギャップをいれて、これらのアラインメントの最適化を行なっても、これらの二つのタンパク質の3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、わずか33%しか一致しない。さらに、この二つの酵素は異なる比活性を示し、そして化学的な変性条件下に対して異なる耐性を示す。天然のインビボ環境から取り出された精製酵素において、これらの相違点が観察されるため、これらの相違点は、酵素自体のアミノ酸配列における差異によって引き起こされるのであろう。
【0010】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、合成された際に発生したDNA鎖を「校正」し、鋳型鎖とミスマッチであるヌクレオチドをそこから優先的に除去し、それにより、DNA合成の忠実度を向上させる。しかしながら、強固な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の存在は、インビトロ重合反応、特にPCRにとって問題となる可能性があり、PCRにおいて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が存在することは、複製効率の低下を招く。非特許文献18を参照のこと。
【0011】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くDNAポリメラーゼ酵素を用いることで、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の悪影響を避けるという試みがなされてきた。天然のTaqポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いている。他のDNAポリメラーゼは、遺伝子工学的に、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が除去されている。例えば、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19及び特許文献20を参照のこと。これらの酵素は、複製のより高い忠実度を必要としない応用、例えば、DNAのシークエンシング反応、サイズ解析、制限酵素解析又はプローブに基づく解析のための鋳型を増幅するために用いられるPCRにおいて作用する。
【0012】
しかしながら、他の重合反応、例えば、クローニングのためのDNAフラグメントを増幅するためのPCRでは、より高いレベルの忠実度が要求される。その利益を保持しつつ、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に関連する欠点を低減させることを目的として、二つの異なるDNAポリメラーゼの混合物が用いられている。混合物中の一方のポリメラーゼは、野生型のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。他方はこの活性を欠いている。二つのポリメラーゼの比率を操作して、DNAポリメラーゼ活性に対する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の比率を所望の比率とする。非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24を参照のこと。この混合技術を用いて所望量の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を達成することができるものの、この技術は高価であり、時間を要し、逐次処理を基準として最適化される必要がある。前記の二つのポリメラーゼを、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のDNAポリメラーゼ活性に対する所望の比率が得られる正確な量で混合できるように、それぞれの酵素調製物のDNAポリメラーゼ活性及び3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を慎重に較正する必要がある。したがって、所望のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、DNAポリメラーゼ活性に対する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の所望の比率を有するDNAポリメラーゼ試薬を製造するための迅速かつ経済的な方法が、求められている。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第4,683,202号
【特許文献2】
米国特許4,683,195号
【特許文献3】
米国特許第4,800,159号
【特許文献4】
米国特許第4,965,188号
【特許文献5】
米国特許第5,466,591号
【特許文献6】
米国特許第4,889,818号
【特許文献7】
米国特許第5,352,600号
【特許文献8】
米国特許第5,079,352号
【特許文献9】
米国特許第5,374,553号
【特許文献10】
米国特許第5,420,029号
【特許文献11】
米国特許第6,015,668号
【特許文献12】
米国特許第5,939,301号
【特許文献13】
米国特許第5,988,614号
【特許文献14】
米国特許第5,882,904号
【特許文献15】
米国特許第5,489,523号
【特許文献16】
米国特許第6,015,668号
【特許文献17】
米国特許第5,939,301号
【特許文献18】
米国特許第5,988,614号
【特許文献19】
米国特許第5,882,904号
【特許文献20】
米国特許第5,489,523号
【特許文献21】
米国特許第5,512,462号
【特許文献22】
米国特許第5,436,149号
【特許文献23】
米国特許第5,556,772号
【特許文献24】
国際出願公開第94/26766号パンフレット
【非特許文献1】
コーンバーグ(Kornberg)ら、1992、DNA Synthesis、ダブリュー.エイチ.フリーマン(W. H. Freeman)、ニューヨーク
【非特許文献2】
アルバーツ(Alberts)ら、1994、Molecular Biology of the Cell、第3版、ガーランド・プレス(Garland Press)社、ニューヨーク
【非特許文献3】
PCR Strategies、1995、インニス(Innis)ら(編)、アカデミック・プレス社(Academic Press, Inc.)
【非特許文献4】
ブラウン(Brown)ら、1982、J. Biol. Chem. 257: 1965-72
【非特許文献5】
ジョイス(Joyce)ら、1982、J. Biol. Chem. 257: 1958-64;
【非特許文献6】
ジョイスら、1983、Proc Natl Acad Sci USA 80: 1830-34
【非特許文献7】
クレノー(Klenow)ら、1970、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 65: 168-75
【非特許文献8】
コーンバーグ、1974;
【非特許文献9】
セットロウ.ピー(Setlow, P.)ら、1972、J. Biol. Chem. 247: 224-31
【非特許文献10】
セットロウら、1972、J. Biol. Chem. 247: 232-40;
【非特許文献11】
スタイツ(Steitz)ら、1987、Protein Engineering、第20章、第227-35頁、オクセンダー(Oxender)ら編、アラン・アール・リス(Alan R. Liss)社、ニューヨーク
【非特許文献12】
オルリス(Ollis)ら、1985、Nature 313: 762-66
【非特許文献13】
ベルナット(Bernat)ら、1989、Cell 59: 219-28
【非特許文献14】
ブランコ(Blanco)ら、1992、Gene 112: 139-44
【非特許文献15】
レーアクランツ(Reha-Krantz)、1992、Gene 112: 133-37
【非特許文献16】
ダービーシャー(Derbyshire)ら、1993、Nucleic Acids Res. 21: 5439-48を参照のこと。
【非特許文献17】
エイブラムソン(Abramson)、1995、PCR Strategies、インニスら(編)、アカデミック・プレス社
【非特許文献18】
バーンズ(Barnes)、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2216-20
【非特許文献19】
チェン(Cheng)ら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 5695-99
【非特許文献20】
バーンズ、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:2216-20;
【非特許文献21】
チェン、1995、PCR Strategies中の「より長いPCR増幅(Longer PCR Amplification)」(インニスら編)、アカデミック・プレス社、サンディエゴ 313-24
【非特許文献22】
チェンら、1995、PCR Meth. Applic. 4:294-98
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PCR等に用いた場合、高い忠実度で、高い複製効率で、迅速かつ経済的に核酸合成を行なうことを可能にしうる弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する修飾熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ等を提供することを目的とする。本発明におけるその他の課題及び目的は、本明細書の記載により、理解されるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの驚くべく産生を説明する。弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、かかる酵素を広範囲の重合反応に用いることができる。
【0016】
一つの側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を呈する、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼである。別の態様において、この修飾された熱安定性DNAポリメラーゼは、変異型熱安定性DNAポリメラーゼである。別の態様において、この修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、対応する非修飾熱安定性又は非修飾熱活性DNAポリメラーゼの約O.1%から約65%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するものであり、ここで、エキソヌクレアーゼ活性は実施例3に記載の標準アッセイを用いて測定される。別の態様において、この修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、対応する非修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの約1%から約30%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、この修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、対応する非修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの約3%から約20%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、この修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、対応する非修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの約3%から約10%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、この修飾熱安定性又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼは、対応する非修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの約3%から約5%の間の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0017】
別の側面において、本発明は、下記実施例3に記載の標準アッセイを用いて測定すると、6.5単位(U)/pmol以下、しかし0U/pmolを超える3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、修飾された熱安定性DNAポリメラーゼ又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼは、約0.4から3.0U/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、修飾された熱安定性DNAポリメラーゼ又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼは、約0.4から1.6U/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0018】
別の側面において、本発明は、5’−3’DNAポリメラーゼ活性及び3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、エキソヌクレアーゼ活性に対するポリメラーゼ活性の比率は1より高い、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが有する、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率は、約3.0から50である。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの有する、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率は約6.0から25.0である。
【0019】
別の側面において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、修飾された熱安定性DNAポリメラーゼ又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼである。別の態様において、この修飾された熱安定性DNAポリメラーゼは、変異型熱安定性DNAポリメラーゼである。
【0020】
他の側面において、本発明は、ssDNA又はdsDNA3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のいずれか一方が選択的に弱化されている、修飾された熱安定性又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、修飾された熱安定性DNAポリメラーゼは、変異型熱安定性DNAポリメラーゼである。
【0021】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、サーモトガ属に属する好熱性真正細菌に由来する。さらに別の側面において、好熱性真正細菌は、サーモトガ・マリティマ(Tma)である。別の側面において、好熱性真正細菌は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)である。
【0022】
一つの側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、サーモシフォ(Thermosipho)属に属する好熱性真正細菌に由来する。一つの態様において、この好熱性真正細菌はサーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)である
【0023】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、アクイフェックス(Aquifex)属に属する好熱性真正細菌に由来する。一つの態様において、好熱性真正細菌は、アクイフェックス・ピロフィルス(Aquifex pyrophilus)である。別の態様において、好熱性真正細菌は、アクイフェックス・アエオリエウス(Aquifex aeolieus)である。
【0024】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、サーモコッカス(Thermococcus)属に属する好熱性古細菌に由来する。一つの態様において、好熱性古細菌は、サーモコッカス・バロッシ(Thermococcus barossi)である。別の態様において、好熱性古細菌は、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)である。別の態様において、好熱性古細菌は、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)(「Tgo」)である。
【0025】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼはパイロコッカス(Pyrococcus)属に属する好熱性古細菌に由来する。一つの態様において、この好熱性古細菌はパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)である。別の態様において、この好熱性古細菌はパイロコッカス・スピーシーズGB-Dである。別の態様において、この好熱性古細菌はパイロコッカス・ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)である。別の態様において、この好熱性古細菌はパイロコッカス・アビッシ(Pyrococcus abyssi)である。
【0026】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、ピロディクティウム(Pyrodictium)属に属する好熱性古細菌に由来する。一つの態様において、この好熱性古細菌はピロディクティウム・アビッシ(Pyrodictium abyssi)である。別の態様において、好熱性古細菌は、ピロディクティウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)である。
【0027】
別の側面において、本発明は、配列モチーフ:
(a)式DX1EX2X3SX4
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2は任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4は任意のアミノ酸残基である)
を有するEXO Iモチーフ、又は
(b)式X5X6X7X8X9X10X11X12X13X14(配列番号:1)
(式中、X5は任意のアミノ酸残基であり、
X6は任意のアミノ酸残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8は任意のアミノ酸残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、そして
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である)
を有するEXO IIモチーフ、又は
(c)式DX15X16X17X18X19YX20X21X22X23(配列番号:2)
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X15はプロリン残基、アラニン残基、ロイシン残基若しくはスレオニン残基であり、
X16はロイシン残基若しくはメチオニン残基であり、
X17はロイシン残基若しくはイソロイシン残基であり、
X18は任意のアミノ酸残基であり、
Xl9はアラニン残基若しくはセリン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
X20はロイシン残基、イソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X21はロイシン残基若しくはトリプトファン残基であり、
X22はアスパラギン酸残基、アスパラギン残基、グルタミン酸残基若しくはグルタミン残基であり、
X23はプロリン残基若しくはセリン残基である)
を有するEXO IIaモチーフ、又は
(d)式X24X25X26X27X28X29X30X31X32X33X34X35X36(配列番号:3)
(式中、X24はプロリン残基若しくはアラニン残基であり、
X25は任意のアミノ酸残基であり、
X26はグルタミン酸残基、アスパラギン酸残基若しくはプロリン残基であり、
X27はリジン残基、アルギニン残基若しくはグルタミン酸残基であり、
X28は任意のアミノ酸残基であり、
X29は任意のアミノ酸残基であり、
X30はグルタミン酸残基、アルギニン残基若しくはアスパラギン酸残基であり、
X31は任意のアミノ酸残基であり、
X32はセリン残基、アラニン残基若しくはシステイン残基であり、
X33は任意のアミノ酸残基であり、
X34はグルタミン酸残基若しくはスレオニン残基であり、
X35は任意のアミノ酸残基であり、
X36はアラニン残基である)
を有するEXO IIIモチーフ、
を含有する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、かつ実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、6.5単位/ピコモル以下であるが、0単位/ピコモルより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を呈示す、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。
【0028】
別の側面において、本発明は、
配列モチーフ:
(a)式DX1EX2X3SX4
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2は任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、そして
X4は任意のアミノ酸残基である)
を有するEXO Iモチーフ、又は
(b)式X5X6X7X8X9X10X11X12X13X14(配列番号:1)
(式中、X5は任意のアミノ酸残基であり、
X6は任意のアミノ酸残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8は任意のアミノ酸残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である)
を有するEXO IIモチーフ、又は
(c)式DX15X16X17X18X19YX20X21X22X23(配列番号:2):
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X15はプロリン残基、アラニン残基、ロイシン残基若しくはスレオニン残基であり、
X16はロイシン残基若しくはメチオニン残基であり、
X17はロイシン残基若しくはイソロイシン残基であり、
X18は任意のアミノ酸残基であり、
Xl9はアラニン残基若しくはセリン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
X20はロイシン残基、イソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X21はロイシン残基若しくはトリプトファン残基であり、
X22はアスパラギン酸残基、アスパラギン残基、グルタミン酸残基若しくはグルタミン残基であり、
X23はプロリン残基若しくはセリン残基である)
を有するEXO IIaモチーフ、又は
(d)式X24X25X26X27X28X29X30X31X32X33X34X35X36(配列番号:3)
(式中、X24はプロリン残基若しくはアラニン残基であり、
X25は任意のアミノ酸残基であり、
X26はグルタミン酸残基、アスパラギン酸残基若しくはプロリン残基であり、
X27はリジン残基、アルギニン残基若しくはグルタミン酸残基であり、
X28は任意のアミノ酸残基であり、
X29は任意のアミノ酸残基であり、
X30はグルタミン酸残基、アルギニン残基若しくはアスパラギン酸残基であり、
X31は任意のアミノ酸残基であり、
X32はセリン残基、アラニン残基若しくはシステイン残基であり、
X33は任意のアミノ酸残基であり、
X34はグルタミン酸残基若しくはスレオニン残基であり、
X35は任意のアミノ酸残基であり、
X36はアラニン残基である)
の式を有するEXO IIIモチーフ、
を含有する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、かつ5’−3’ポリメラーゼ活性と、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とを有し、実施例3に記載の標準アッセイを用いて測定される該3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(U/pmol)に対して、実施例3に記載のポリメラーゼ評価法を用いて測定される該5’−3’ポリメラーゼ活性(U/pmol)の比率が、約1から100である、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。
【0029】
さらに別の側面において、本発明は、配列モチーフ:
(a)式DX1EX2X3SX4
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2は任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、そして
X4は任意のアミノ酸残基である)
を有するEXO Iモチーフ、又は
(b)式X5X6X7X8X9X10X11X12X13X14(配列番号:1)
(式中、X5は任意のアミノ酸残基であり、
X6は任意のアミノ酸残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8は任意のアミノ酸残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である)
を有するEXO IIモチーフ、又は
(c)式DX15X16X17X18X19YX20X21X22X23(配列番号:2)
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X15はプロリン残基、アラニン残基、ロイシン残基若しくはスレオニン残基であり、
X16はロイシン残基若しくはメチオニン残基であり、
X17はロイシン残基若しくはイソロイシン残基であり、
X18は任意のアミノ酸残基であり、
Xl9はアラニン残基若しくはセリン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
X20はロイシン残基、イソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X21はロイシン残基若しくはトリプトファン残基であり、
X22はアスパラギン酸残基、アスパラギン残基、グルタミン酸残基若しくはグルタミン残基であり、
X23はプロリン残基若しくはセリン残基である)
を有するEXO IIaモチーフ、又は
(d)式X24X25X26X27X28X29X30X31X32X33X34X35X36(配列番号:3)
(式中、X24はプロリン残基若しくはアラニン残基であり、
X25は任意のアミノ酸残基であり、
X26はグルタミン酸残基、アスパラギン酸残基若しくはプロリン残基であり、
X27はリジン残基、アルギニン残基若しくはグルタミン酸残基であり、
X28は任意のアミノ酸残基であり、
X29は任意のアミノ酸残基であり、
X30はグルタミン酸残基、アルギニン残基若しくはアスパラギン酸残基であり、
X31は任意のアミノ酸残基であり、
X32はセリン残基、アラニン残基若しくはシステイン残基であり、
X33は任意のアミノ酸残基であり、
X34はグルタミン酸残基若しくはスレオニン残基であり、
X35は任意のアミノ酸残基であり、そして
X36はアラニン残基である)
を有するEXO IIIモチーフ、
を含有した3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、かつ修飾前の熱安定性DNAポリメラーゼの約0.1%から65%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。
【0030】
一つの側面において、本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、上記の式と一致する特定のアミノ酸残基の任意の組み合わせを有するEXO I、EXO II、EXO IIa又はEXO IIIドメインを含有する。
【0031】
別の側面において、本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、当該配列モチーフ(a)、(b)、(c)及び(d)の少なくとも2つ、3つ又はそれぞれを、アミノ末端からカルボキシ末端への順で含有する。
【0032】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼは、Figure 1A(配列番号:85)中の下線が付与されている3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが、0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を呈示すものである。
【0033】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが、0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものであり、Figure 1Aの配列(配列番号:85)に対して、約80%を超えるが100%には満たない配列同一性を有する。
【0034】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが、0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものであり、非修飾Tne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。一つの態様において、非修飾Tne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 2に示される配列(配列番号:88)を含有する。
【0035】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものであり、非修飾Tne DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対して、約80%より高いが100%未満である配列同一性を有する。非修飾Tne DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,948,614号で提供されたTneポリメラーゼのアミノ酸配列を含有しうる。
【0036】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものである。一つの態様において、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 3に示される配列(配列番号:89)を含有する。
【0037】
別の側面において、本発明の修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものであり、非修飾Taf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対して、約80%を超えるが100%には満たない配列同一性を有する。非修飾Taf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,968,799号に提供されたTaf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を含有することができる。
【0038】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO Iモチーフ:
式DX1EX2X3SX4
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2はスレオニン残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4は任意のアミノ酸残基である)(配列番号:4)、
又は
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2はスレオニン残基であり、
X3はスレオニン残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4はロイシン残基である)(配列番号:5)、
又は、
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2はスレオニン残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4はロイシン残基である)(配列番号:6)、
又は
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2は任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4はロイシン残基である)(配列番号:7)、
又は
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1は任意のアミノ酸残基か又は残基なしであり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2は任意のアミノ酸残基であり、
X3はスレオニン残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4はロイシン残基である)(配列番号:8)、
又は
(式中、Dはアスパラギン酸残基であり、
X1はロイシン残基であり、
Eはグルタミン酸残基であり、
X2はスレオニン残基であり、
X3はセリン残基であり、
Sはセリン残基であり、
X4はロイシン残基である)(配列番号:9)
を含有する。
【0039】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5は任意のアミノ酸残基であり、
X6は任意のアミノ酸残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8は任意のアミノ酸残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:10)、
又は
X5は非荷電極性残基であり、
X6は任意のアミノ酸残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:11)、
又は
X5は非荷電極性残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は任意のアミノ酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:12)、
又は
X5は非荷電極性残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:13)、
又は
X5は非荷電極性残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:14)、
又は
X5はグルタミン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:15)、
又は
X5はグルタミン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11はチロシン残基であり、
X12はリジン残基であり、
X13はバリン残基であり、
X14はロイシン残基である (配列番号:16)、
を含有する。
【0040】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、該モチーフ中、X5は、アラニン残基などの非極性残基である。一つの態様において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、該モチーフ中、X8は、リジン残基である。別の態様において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、該モチーフ中、X5は、非極性残基であり、X8はリジン残基である。
【0041】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5は非極性残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:17)、
又は
X5はアラニン残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:18)、
又は
X5はアラニン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である(配列番号:19)
を含有する。
【0042】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5はアラニン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11はチロシン残基であり、
X12はリジン残基であり、
X13はバリン残基であり、
X14はロイシン残基である(配列番号:20)
を含有する。
【0043】
一つの態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Figure 4Aに示されるQ384A変異によって修飾された3’−5’エキソヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列(配列番号:96)を含有する。別の態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Q384A変異によって修飾されたFigure 4Aのアミノ酸配列(配列番号:97)を含有する。
【0044】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、ここで、該モチーフ中、X6は非極性アミノ酸残基である。
【0045】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5は非荷電極性残基であり、
X6は非極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:21)、
又は
X5はグルタミン残基であり、
X6はアラニン残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である (配列番号:22)
を含有する。
【0046】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中
X5はグルタミン残基であり、
X6はアラニン残基であり、
X7はロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11はチロシン残基であり、
X12はリジン残基であり、
X13はバリン残基であり、
X14はロイシン残基である (配列番号:23)
を含有する。
【0047】
一つの態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Figure 4Aに示されるN385A変異によって修飾された3’−5’エキソヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列(配列番号:98)を含有する。別の態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、N385A変異によって修飾されたFigure 4Aのアミノ酸配列(配列番号:99)を含有する。
【0048】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、ここで、該モチーフ中、X10はグルタミン酸残基である。
【0049】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5は非荷電極性残基であり、
X6は非荷電極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はグルタミン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:24)、
又は
X5はグルタミン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はグルタミン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である (配列番号:25)
を含有する。
【0050】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIモチーフを含み、ここで、
X5はグルタミン残基であり、
X6はアスパラギン残基であり、
X7はロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基であり、
X10はグルタミン酸残基であり、
X11はチロシン残基であり、
X12はリジン残基であり、
X13はバリン残基であり、そして
X14はロイシン残基である(配列番号:26)。
【0051】
一つの態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Figure 4Aに示されるD389E変異によって修飾された3’−5’エキソヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列(配列番号:159)を含有する。別の態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、D389E変異によって修飾されたFigure 4Aのアミノ酸配列(配列番号:175)を含有する。
【0052】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIモチーフを含有し、ここで、該モチーフ中、X10はグルタミン酸残基である。
【0053】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフを含有し、ここで、該モチーフ中、X5は非極性残基であり、X6は非極性残基である。
【0054】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5は非極性残基であり、
X6は非極性残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10は酸性残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン若しくはフェニルアラニンのアミノ酸残基である (配列番号:27)、
又は
X5はアラニン残基であり、
X6はアラニン残基であり、
X7はシステイン残基若しくはロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基若しくはチロシン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11は任意のアミノ酸残基であり、
X12は任意のアミノ酸残基であり、
X13はイソロイシン残基若しくはバリン残基であり、
X14はロイシン残基若しくはフェニルアラニン残基である (配列番号:28)
を含有する。
【0055】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X5はアラニン残基であり、
X6はアラニン残基であり、
X7はロイシン残基であり、
X8はリジン残基であり、
X9はフェニルアラニン残基であり、
X10はアスパラギン酸残基であり、
X11はチロシン残基であり、
X12はリジン残基であり、
X13はバリン残基であり、
X14はロイシン残基である (配列番号:29)
を含有する。
【0056】
一つの態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Figure 4Aに示されるQ384AとN385Aとの二重変異によって修飾された3’−5’エキソヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列(配列番号:100)を含有する。別の態様において、このような熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Q384AとN385Aとの二重変異によって修飾されたFigure 4Aのアミノ酸配列(配列番号:101)を含有する。
【0057】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIAモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
Dはアスパラギン酸残基であり、
X15はスレオニン残基であり、
X16はメチオニン残基であり、
X17はイソロイシン残基であり、
X18はアラニン残基であり、
Xl9はアラニン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
X20はロイシン残基であり、
X21はロイシン残基であり、
X22はグルタミン残基であり、
X23はプロリン残基である (配列番号:30)
を含有する。
【0058】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは上記のEXO IIIモチーフを含有し、ここで、該モチーフ中、X35が酸性アミノ酸残基である。
【0059】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X24はプロリン残基であり、
X25はバリン残基、ロイシン残基若しくはイソロイシン残基であり、
X26はグルタミン酸残基、アスパラギン酸残基若しくはプロリン残基であり、
X27はリジン残基若しくはアルギニン残基であり、
X28はアラニン残基若しくはバリン残基であり、
X29はアラニン残基若しくはバリン残基であり、
X30はグルタミン酸残基若しくはアスパラギン残基であり、
X31は非荷電極性のアミノ酸残基であり、
X32はセリン残基若しくはシステイン残基であり、
X33はシステイン残基若しくはグリシン残基であり、
X34はグルタミン酸残基若しくはスレオニン残基であり、
X35はアスパラギン酸残基であり、
X36はアラニン残基である (配列番号:31)、
又は、
X24はプロリン残基であり、
X25はバリン残基であり、
X26はグルタミン酸残基であり、
X27はリジン残基であり、
X28はアラニン残基であり、
X29はアラニン残基であり、
X30はアスパラギン残基であり、
X31はチロシン残基であり、
X32はセリン残基であり、
X33はシステイン残基であり、
X34はグルタミン酸残基であり、
X35はアスパラギン酸残基であり、
X36はアラニン残基である (配列番号:32)
を含有する。
【0060】
別の側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIIモチーフを含有し、該モチーフ中、X31が非極性残基である。一つの態様において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、EXO IIIモチーフを含有し、該モチーフ中、X31が非極性残基であり、X35が酸性残基である。
【0061】
一つの側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X24はプロリン残基であり、
X25はバリン残基、ロイシン残基若しくはイソロイシン残基であり、
X26はグルタミン酸残基、アスパラギン酸残基若しくはプロリン残基であり、
X27はリジン残基若しくはアルギニン残基であり、
X28はアラニン残基若しくはバリン残基であり、
X29はアラニン残基若しくはバリン残基であり、
X30はグルタミン酸残基若しくはアスパラギン残基であり、
X31は非極性残基であり、
X32はセリン残基若しくはシステイン残基であり、
X33はシステイン残基若しくはグリシン残基であり、
X34はグルタミン酸残基若しくはスレオニン残基であり、
X35はアスパラギン酸残基であり、
X36はアラニン残基である (配列番号:33)
を含有する。
【0062】
一つの側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはEXO IIIモチーフ:
ここで、該モチーフ中、
X24はプロリン残基であり、
X25はバリン残基であり、
X26はグルタミン酸残基であり、
X27はリジン残基であり、
X28はアラニン残基であり、
X29はアラニン残基であり、
X30はアスパラギン残基であり、
X31はアラニン残基であり、
X32はセリン残基であり、
X33はシステイン残基であり、
X34はグルタミン酸残基であり、
X35はアスパラギン酸残基であり、
X36はアラニン残基である(配列番号:34)
を含有する。
【0063】
別の側面において、本発明は、アミノ末端部分とカルボキシ末端部分とを含有し、該アミノ末端部分が、第一のDNAポリメラーゼのアミノ末端部分に由来し、該カルボキシ末端部分が、第二のDNAポリメラーゼに由来する、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼは、第一の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼのアミノ末端部分に由来するアミノ末端部分と、第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに由来するカルボキシ末端部分とを含有し、該第二のポリメラーゼは、好ましくは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものである。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分は、サーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分又は別の部分は、サーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来し、他の末端部分又は別の部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する;例えば、一つの態様において、該アミノ末端部分は、サーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来し、該カルボキシ末端部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分は、サーマス・スピーシーズに由来し、かつ5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、カルボキシ末端部分は、サーモトガ・スピーシーズに由来し、かつ3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン及びポリメラーゼドメインを含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分は、サーマス・スピーシーズに由来し、5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、サーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼの対応するアミノ末端部分に対して約80%より高い配列同一性を有し、カルボキシ末端部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼの対応するカルボキシ末端部分に対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。別の態様において、サーマス・スピーシーズは、サーマス・スピーシーズZ05であり、サーモトガ・スピーシーズは、サーモトガ・マリティマである。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、図中で示される一つ以上の変異によって修飾される、Figure 4(配列番号:90)のアミノ酸配列を含有する。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、図中で示される一つ以上の変異によって修飾される、Figure 5(配列番号:107)のアミノ酸配列を含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、アミノ末端部分と、中央部分と、カルボキシ末端部分とを含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分は、5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、中央部分は、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、カルボキシ末端部分は、ポリメラーゼドメインを含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する当該キメラDNAポリメラーゼにおいて、カルボキシ末端部分とアミノ末端部分とは、サーマス・スピーシーズ由来のポリメラーゼに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分は、サーマス・スピーシーズ由来のポリメラーゼの対応するアミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分に対して、80%より高い配列同一性を有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼ中の中央部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来のポリメラーゼに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼ中の中央部分は、サーモトガ・スピーシーズ由来の対応するポリメラーゼに対して、80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼ中のアミノ部分及びカルボキシ部分は、サーマス・スピーシーズ由来のポリメラーゼに由来し、中央部分は、サーモトガ・スピーシーズに由来する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、サーマス・スピーシーズは、サーマス・エスピーZ05であり、サーモトガ・スピーシーズは、サーモトガ・マリティマである。別の態様において、熱安定性キメラ又は熱活性キメラDNAポリメラーゼは、図中で示される一つ以上の変異によって修飾される、Figure 6のアミノ酸配列(配列番号:130)を含有する。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、図中で示される一つ以上の変異によって修飾されるFigure 7(配列番号:148)のアミノ酸配列を含有する。
【0064】
別の側面において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼは、非修飾Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。一つの態様において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、非修飾Tma DNAポリメラーゼに対して、約80%を超えるが100%には満たない配列同一性を有する。非修飾Tma DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、Figure 1Aのアミノ酸配列(配列番号:85)を含有しうる。
【0065】
別の側面において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、非修飾Tne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。一つの態様において、非修飾Tne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 2において示される配列(配列番号:88)を含有する。別の態様において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、非修飾Tne DNAポリメラーゼに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。非修飾Tne DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,948,614号に提供されたTneポリメラーゼのアミノ酸配列を含有しうる。
【0066】
別の側面において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼは、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。一つの態様において、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 3に示される配列(配列番号:89)を含有する。別の態様において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’活性を示す本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、非修飾Taf DNAポリメラーゼに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。非修飾Taf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,968,799号に提供されるTaf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を含有しうる。
【0067】
別の側面において、本発明は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が、両方の酵素活性を下記実施例3に記載のように測定すると、約1から100であり、そして、この3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、非修飾Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する、弱化3’−5’活性を示す3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを有する、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、本発明は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が、両方の酵素活性を、下記実施例3に記載にように測定すると、約1から100である、非修飾Tma DNAポリメラーゼに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。非修飾Tma DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、Figure 1Aのアミノ酸配列(配列番号:85)を含有しうる。
【0068】
別の側面において、本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを有し、弱化3’−5’活性を示すものであり、ここで、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が、両方の酵素活性を、下記実施例3に記載のように測定すると、約1から100であり、該3’−5’エキソヌクレアーゼドメインが、非修飾T ne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有するものである。一つの態様において、非修飾Tne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 2(配列番号:88)に示される配列を含有する。別の態様において、本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは弱化3’−5’活性を示すものであり、ここで、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率は、実施例3に記載の評価法を用いて測定すると、約1から100であり、該ポリメラーゼは、非修飾Tne DNAポリメラーゼに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。非修飾Tne DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,948,614号に提供されたTneポリメラーゼのアミノ酸配列を含有しうる。
【0069】
別の側面において、本発明の単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを有し、弱化3’−5’活性を示すものであり、ここで、実施例3に記載の評価法を用いて測定すると、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が、約1から100であり、該3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。一つの態様において、非修飾Taf DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、Figure 3に示される配列(配列番号:89)を含有する。別の態様において、単離された本発明の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼは、弱化3’−5’活性を示すものであり、ここで、下記実施例3で記載される評価法を用いて測定すると、5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する比率は、1から100であり、該ポリメラーゼは、米国特許第5,968,799号に提供されるTaf DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を含有した非修飾Taf DNAポリメラーゼに対して、約80%より高いが100%未満の配列同一性を有する。
【0070】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示す本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを含有した熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼの混合物を提供する。一つの態様において、このような混合物は、下記実施例3に記載される標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、下記実施例3に記載される評価法を用いて測定すると、かかる混合物における3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が約1から100である。
【0071】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼをコードする配列を含有した核酸を提供する。一つの態様において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼをコードする配列を含有したプラスミドを提供する。別の態様において、前記プラスミドは、発現ベクターである。別の態様において、前記発現ベクターは、微生物中において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを発現させうる。別の態様において、前記微生物は、細菌である。別の態様において、前記細菌は、大腸菌である。
【0072】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼをコードする配列を含有した核酸を含む及び/又は発現するように操作された細胞を提供する。一つの態様において、前記細胞は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼをコードする配列を含有したプラスミドを含有する。別の態様において、前記プラスミドは、前記細胞中において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを発現させうる発現ベクターである。別の態様において、前記細胞は、微生物である。別の態様において、前記微生物は、大腸菌などの細菌である。
【0073】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱活性DNAポリメラーゼの発現が可能な条件下、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱活性 DNAポリメラーゼをコードする核酸を発現する能力を有する細胞をインキュベートする工程、及び前記細胞から弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱活性DNAポリメラーゼを分離する工程を含む、本発明の弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼの生産方法を提供する。一つの態様において、前記細胞は、微生物である。別の態様において、前記微生物は、細菌である。別の態様において、前記細菌は、大腸菌である。別の態様において、前記細胞は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱活性 DNAポリメラーゼを含有した発現ベクターを含有する。
【0074】
別の側面において、本発明は、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに、DNA分子を複製させうる条件下、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼとともに、DNA分子をインキュベートする工程を含む、DNA分子の複製方法を提供する。前記DNA分子は、あらゆる種類のDNA分子、例えば、cDNA分子、ゲノムDNA分子、一本鎖DNA分子又は二本鎖DNAなどであってもよい。一つの態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱活性 DNAポリメラーゼを用いて、例えば、PCRを介してDNA分子を増幅する。別の態様において、特定の適用条件、例えば、金属イオンのタイプ及び濃度、塩のタイプ及び濃度、標的核酸の長さ及び/又は標的分子が例えば一本鎖DNA、二本鎖DNA若しくはRNAであるかどうかに適合するように、所望のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を伴う熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを選択する。
【0075】
別の側面において、本発明は、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を評価する工程、及び弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを選択する工程を含む、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの選択方法を提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、修飾された熱安定性DNAポリメラーゼ又は修飾された熱活性DNAポリメラーゼである。別の態様において、この修飾された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼである。別の態様において、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定し、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、参照のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のレベルの約0.1%から約65%のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、選択される。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、参照のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のレベルの約1.0%から約30%のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、選択される。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、参照のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のレベルの約3.0%から約20%のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、選択される。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、参照のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のレベルの約3.0%から約10%のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、選択される。別の態様において熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、参照のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のレベルの約3.0%から約5%のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、選択される。別の態様において、熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼが、実施例3の標準アッセイで用いて測定して、6.5U/pmol以下であるが0U/pmolより高いレベルの活性を有する場合、選択される。別の態様において、酵素活性を下記実施例3に記載された評価法を用いて測定して、前記変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率が約1から100の間の比率を有する場合、選択される。
【0076】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの少なくとも一つを含有するキットを提供する。一つの態様において、前記キットは、DNA分子を複製するのに有用な試薬をさらに含有する。別の態様において、前記試薬は、PCR増幅において、DNA分子を複製するのに有用である。別の態様において、前記試薬は、緩衝液である。別の態様において、この試薬はプライマーである。別の態様において、この試薬はデオキシリボヌクレオチドである。別の態様において、前記試薬は、ジデオキシリボヌクレオチドである。
【0077】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する第一の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼと、第二の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼとを含有するDNAポリメラーゼの混合物を提供する。一つの態様において、第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、第一の熱安定性又は熱活性 DNAポリメラーゼよりもさらに弱い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、本質的に3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有さない。別の態様において、前記第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、第一の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼよりも高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、この混合物は、下記実施例3の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolよりも高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0078】
別の側面において、本発明は、DNAポリメラーゼによるDNA分子の複製が可能となる条件下で、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する第一のポリメラーゼと、第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼと一緒にDNA分子をインキュベートする工程を含む、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの混合物を用いるDNA分子の複製方法を提供する。一つの態様において、DNAは、PCR増幅においてポリメラーゼの混合物を用いることにより複製される。
【0079】
本発明の組成物及び方法は、以前より利用可能な組成物及び方法に、いくつかの利点を提供する。本発明のポリメラーゼは、より高い忠実度での鋳型DNA配列の複製及び増幅を可能にするため、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性がない熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼよりも優れている。本発明のポリメラーゼは、意図とは逆の結果を招く「アイドリング」反応の発生を減少させることによって、複製対象の鋳型のより少ない分解、プライマーのより少ない変性及び/又はdNTP及び他の反応成分のより有効な使用を可能にするため、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、強力な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼよりも優れている。本発明のポリメラーゼは、取り扱いが容易で較正の必要がほとんどないので、より効率的にかつより低いコストで生産し使用できるため、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたない熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの混合物よりも優れている。また、驚くべきことに、PCRでは、以前より用いられていた酵素の混合物よりも本発明のポリメラーゼの方がより少量でPCRの要求を満たすということが見出された。本発明の混合物は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する鋳型依存性5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率のよりよい制御を可能にし、一本鎖DNAエキソヌクレアーゼ活性のレベルと二本鎖DNAエキソヌクレアーゼ活性のレベルとが独立して調節される混合物を生成することが可能となるため、本発明の熱安定性又は熱活性酵素の混合物は、以前より利用可能な混合物よりも優れている。
【0080】
【発明の実施の形態】
本発明の理解を容易にするために、多数の用語を以下に定義する。
【0081】
用語「細胞」、「セルライン」及び「細胞培養」は、互いに交換して用いられることができ、このようなすべての表示は、子孫も含める。したがって、「形質転換体」又は「形質転換細胞」の語は、伝達の数に関わりなく、一次形質転換細胞及び該細胞に由来する培養物を含む。意図的な又は偶発的な変異のせいで、すべての子孫のDNA含量は、正確に同一ではなくてもよい。元の形質転換細胞において選別された同一の機能を有する変異体の子孫は、形質転換体の定義中に含まれる。前記細胞は原核細胞でもよく、真核細胞でもよい。
【0082】
「制御配列」という用語は、特定の宿主生物において、作動可能に連結されているコード配列が発現するのに必要なDNA配列を指す。原核生物に適する制御配列には、例えば、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列、リボゾーム結合部位、陽性レトロ制御要素(参照により本明細書に取り込まれる米国特許第4,666,848号を参照のこと)、及び他の可能な配列が含まれる。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0083】
「発現クローン」の語は、作動可能な連結で、所望のコード配列と制御配列とを含み、これらの配列で形質転換された宿主が、コードされたタンパク質を生産する能力を有するものであるDNA配列をいう。「発現系」という用語は、発現クローンで形質転換された宿主を指す。形質転換を行なうために、発現クローンをベクター上に含めてもよい。しかしながら、関連するDNAも宿主染色体内に取り込まれるかもしれない。
【0084】
「遺伝子」という用語は、タンパク質、ポリペプチド又は前駆体の生産に必要な制御配列とコード配列とを含むDNA配列をいう。
【0085】
「作動可能に連結される(operably linked)」という用語は、制御配列が機能してコード配列によりコードされたタンパク質の発現を制御するようなコード配列の配置を指す。従って、コード配列が制御配列に「作動可能に連結される」とは、制御配列の方向にコード配列が発現できるという配置を指す。
【0086】
本明細書で用いられる用語「オリゴヌクレオチド」は、2以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含有した分子として定義される。正確なサイズは多くの因子に依存するであろうし、ついで、オリゴヌクレオチドの最終的な機能又は使用に依存する。オリゴヌクレオチドは、あらゆる適切な方法、例えば、適切な配列のクローニング及び制限、並びにナラング(Narang)らのホスホトリエステル法、1979, Meth. Enzymol. 68:90-99;ブラウン(Browm)らのホスホジエステル法、1979, Meth. Enzymol. 68: 109-151;ビューケイジ(Beaucage)らのジエチルホスホロアミダイト法、1981, Tetrahedron Lett. 22: 1859-1862及び米国特許第4,458,066号の固体担体法などの方法による直接化学合成により調製されうる。なお、前記文献のそれぞれは参照により本明細書に取り込まれる。合成法の総説は、グッドチャイルド(Goodchild)、1990, Bioconjugate Chemistry 1(3): 165-187において提供され、参照により本明細書に取り込まれる。
【0087】
本明細書で用いられる用語「プライマー」は、プライマー伸長が開始される条件下に置かれた場合、合成の開始点としてはたらくことができるオリゴヌクレオチドをいう。適切な緩衝液中の適切な温度にて、必要な四つの異なるヌクレオシド三リン酸と、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼとの存在下で、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成を開始する。「緩衝液」には、コファクター(二価の金属イオンなど)及び(適切なイオン強度を提供するための)塩が含まれ、所望のpHに調整される。
【0088】
遺伝子配列の(コード鎖のサブシークエンスと同等である)非コード鎖とハイブリッド形成するプライマーは、本明細書では「上流」又は「フォワード」プライマーと称される。遺伝子配列のコード鎖とハイブリッド形成するプライマーは「下流」又は「リバース」プライマーと称される。
【0089】
「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」という用語は、特定のヌクレオチド配列の位置か又は近傍で二本鎖DNAを切断する、通常は細菌起源の酵素である。
【0090】
類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは本明細書で定義される。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アルパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アルパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、グリシン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。
【0091】
「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、熱に安定で、熱に耐性を示し、二本鎖の核酸の変性に必要な時間、温度を上昇させた後、続くプライマー伸長反応を行なうのに十分な活性を保持する酵素を指す。核酸の変性に必要な加熱条件は技術的に十分に知られており、参照により本明細書に取り込まれる米国特許第4,965,188号及び米国特許第4,889,818号に例示されている。本明細書で用いられるように、熱安定性ポリメラーゼはPCRなどの温度サイクリング反応に用いる際に適する。
【0092】
「熱活性ポリメラーゼ」という用語は、特異的プライミングとプライマー伸長とを確保するに必要な高い温度(例えば、55〜80℃)で活性である酵素を指す。
【0093】
「プルーフリーディング活性」という用語は、5’−3’DNA重合活性をも有する分子が有する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を指す。
【0094】
DNAポリメラーゼ活性について、「酵素活性」とは、ヌクレオチドを適切な様式で組み合わせて、鋳型核酸鎖と相補的なプライマー伸長産物を形成する触媒作用を指す。DNAポリメラーゼ活性は、下記実施例3に教示されるポリメラーゼアッセイを用いて測定して、単位/ピコモルとして表される。ポリメラーゼ活性の一単位は、下記実施例3で提供されるポリメラーゼアッセイの条件を用いて、30分間に合計で10nmolのdNMPがTCA沈殿DNA産物に取り込まれるのに要する酵素活性の量として定義される。
【0095】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性について、「酵素活性」とは、核酸鎖、ポリヌクレオチド又はオリゴマーの最も3’側のヌクレオチド残基を、ホスホジエステル結合の加水分解の触媒により順次除去することを指す。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の一単位は、下記実施例3で教示される標準アッセイの条件下で、15分間に50pmolの一本鎖NJS40オリゴヌクレオチドをより短い長さのオリゴヌクレオチドに変換することを触媒する。
【0096】
5’−3’エキソヌクレアーゼ活性について、「酵素活性」とは、核酸鎖、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの最も5’側のヌクレオチド残基を、ホスホジエステル結合の加水分解の触媒により順次除去することを指す。5’−3’エキソヌクレアーゼ活性の一単位は、米国特許第5,795,762号に定義されており、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を測定するアッセイが提供されている。
【0097】
本明細書で用いられるように、アミノ酸配列における「点変異」とは、1つのアミノ酸の置換、1つのアミノ酸の挿入又は1つのアミノ酸の欠失のいずれかを指す。好ましい点変異は、コードするDNAにおける適切なコドン変化により、アミノ酸配列が導入される。配列中の個々のアミノ酸を、本明細書ではANで表し、ここで、Aは配列中のアミノ酸の標準的な一文字記号であり、Nは配列中の位置である。アミノ酸配列の変異を、本明細書ではA1NA2として表し、ここで、A1は、変異がないタンパク質配列中のアミノ酸の標準的な一文字記号であり、A2は、変異タンパク質配列中のアミノ酸の標準的な一文字記号であり、Nはアミノ酸配列中の位置である。例えば、G46D変異とは、46位のアミノ酸におけるグリシン残基のアスパラギン酸残基への変化を意味する。タンパク質に由来するドメイン中の変異について言及する場合、変異を包含する領域の起源であるタンパク質の全長配列に基づいて、アミノ酸配列の位置に番号が付与される。それゆえに、本発明において、Tma DNAポリメラーゼ配列の全長に基づいて、Tma DNAポリメラーゼに由来する領域中の変異に番号が付与されるのに対して、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ配列の全長により、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来するタンパク質の領域中の変異に番号が付与される。DNA配列中のヌクレオチド及びポイントミューテーションの説明は同様である。しかしながら、キメラタンパク質又はキメラタンパク質をコードする核酸に言及する場合、アミノ酸残基又は核酸は次に続けて番号が付される。
【0098】
「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互いに交換可能に用いられる。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互いに交換可能に用いられる。別段の指示がない限り、アミノ酸配列は、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて書かれる。別段の指示がない限り、一本鎖核酸配列は、5’から3’に向けて書かれる。別段の指示がない限り、二本鎖核酸配列の上側の鎖は、5’から3’に向けて書かれ、下側の鎖は、3’から5’に向けて書かれる。
【0099】
本明細書で用いられるように、「キメラ」タンパク質とは、アミノ酸配列が、少なくとも二つの別個のタンパク質のアミノ酸配列のサブシークエンスの融合産物を示すタンパク質を指す。好ましいキメラタンパク質は、アミノ酸配列の直接的な操作によって生産されるものではなく、キメラアミノ酸配列をコードする「キメラ」遺伝子から発現される。本発明の一つの態様において、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来するアミノ末端(N-末端)領域と、Tma DNAポリメラーゼに由来するカルボキシ末端(C-末端)領域とからなるキメラタンパク質が、提供される。N-末端領域とは、N-末端(1位のアミノ酸)から内部アミノ酸まで広がる領域を指す。同様に、C-末端領域とは、内部アミノ酸からC-末端まで広がる領域を指す。
【0100】
別段の明記されない限り、アミノ酸配列同一性は、アルツール(Altschul)ら、J. Mol. Biol. 215、403-410、(1990)及びカーリン(Karlin)ら、PNAS USA 90:5873-5787 (1993)に記載されるBLASTアルゴリズムを用いて決定される。特に有用なBLASTプログラムは、アルツールら、Methods in Enzymology, 266:460-480 (1996)に記載されるWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2では、ほとんどがデフォルト値で設定されるいくつかの検索パラメータが用いられる。調整可能なパラメータは、次の値:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワードしきい値(T)=11で設定される。HSP S及びHSP S2パラメータは、動的な値であり、特定の配列の組成及びどの対象配列が検索されるかに対する特定のデータベースの組成に依存して、プログラムそれ自体によって確立される;しかしながら、前記値を調整して感度を高めてもよい。アミノ酸配列の同一性のパーセントの値は、適合する同一の残基の数を、アラインメントされた領域中の「より長い」配列の残基の総数で割ることで決定される。「より長い」配列は、アラインメントされた領域中の最も実際に存在する配列である(アラインメントスコアを最大化するために、WU-Blast-2により導入されるギャップは無視される)。アミノ酸配列の相同性のパーセントは、アミノ酸残基の総数に対する相同的なアミノ酸残基の数に基づいて決定される。
【0101】
核酸配列同一性のパーセント(%)は、配列のヌクレオチド残基と同じである候補配列におけるヌクレオチド残基のパーセントとして定義される。別段の明記がない限り、核酸配列同一性のパーセントは、WU-BLAST-2セットのBLASTNモジュールを用いて、オーバーラップスパンとオーバーラップフラクションを1及び0.125にそれぞれ設定した状態で、初期設定のパラメータで計算される。アラインメントは、アラインメント対象の配列中におけるギャップの導入を含んでもよい。核酸配列相同性のパーセントは、ヌクレオシドの総数に対する相同的なヌクレオシドの数に基づいて決定される。核酸配列及びアミノ酸配列の両者についての「相同性%」及び「配列相同性%」は、「類似性%」及び「配列類似性%」と交換可能に用いられる。
【0102】
本明細書で用いられるように、100%未満であるが、下記実施例3に記載の標準アッセイを用いて、いまだ測定可能である場合、活性は「弱化」されている。完全に機能的な酵素の活性の0.1%未満の活性である場合、活性は「失活」するか又は「本質的に失活」する。
【0103】
本発明の熱安定性及び熱活性DNAポリメラーゼ
本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼからなる新規組成物を提供する。本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、例えば、クローニングのためのDNAフラグメントのPCRに基づく増幅などのPCRに基づく増幅方法における使用において、従来の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼよりも適切であり、かつ望ましい。本発明の改良されたPCR増幅方法には、これらの熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの使用が包含される。プルーフリーディング活性を有する弱化熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの製造方法、これらをコードするDNA配列及びこれらを発現させるためのベクターも提供される。
【0104】
1.弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ
一つの側面において、本発明は、減弱した3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、前記ポリメラーゼは、好熱性真正細菌に由来する。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、サーモトガ(Thermotoga)属の種である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima: Tma)である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、サーモシフォ(Thermosipho)属の種である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、アクイフェクス(Aquifex)属の種である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、アクイフェクス・ピロフィラス(Aquifex pyrophilus)である。別の態様において、前記好熱性真正細菌は、アクイフェクス・アエオリエウス(Aquifex aeolieus)である。
【0105】
別の側面において、前記ポリメラーゼは、好熱性古細菌に由来する。一つの態様において、前記好熱性古細菌は、サーモコッカス(Thermococcus)属の種である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、サーモコッカス・バロッシ(Thermococcus barossi)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)である。さらに別の態様において、前記好熱性古細菌は、パイロコッカス(Pyrococcus)属の種である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、パイロコッカス・スピーシーズGB-D株(Pyrococcus sp. GB-D)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、パイロコッカス・ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、パイロコッカス・アビッシ(Pyrococcus abyssi)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、ピロディクティウム(Pyrodictium)属の種である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、ピロディクティウム・アビッシ(Pyrodictium abyssi)である。別の態様において、前記好熱性古細菌は、ピロディクティウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)である。
【0106】
別の側面において、本発明は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を低下させる一つ以上の点変異(1個のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失変異)を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、実施例3記載の標準アッセイを用いて測定すると、野生型DNAポリメラーゼの約0.1%から約65%である。別の態様において、変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約1.0%から約30%である。別の態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約3.0%から約20%である。別の態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約3.0%から約10%である。別の態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約3.0%から約5.0%である。
【0107】
別の側面において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、実施例4に記載した二本鎖DNA基質及び第一変形アッセイ(First Variant Assay)を用いて測定すると、野生型DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の50%以下であるが、0%よりは高い。一つの態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約4%から約35%である。別の態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約4%から約17%である。
【0108】
別の側面において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、実施例4に記載したミスマッチ含有二本鎖DNA基質及び第二変形アッセイ(Second Variant Assay)を用いて測定すると、野生型DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の約0.1%から約70%である。一つの態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約10%から約50%である。別の態様において、変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、野生型DNAポリメラーゼの約10%から約30%である。
【0109】
別の側面において、本発明は、実施例3記載の標準アッセイを用いて測定すると、約6.5U/pmol以下であるが0U/pmolよりは高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約0.4から約3.0ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約0.4から約1.6ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0110】
別の側面において、本発明は、実施例4に記載した二本鎖DNA基質及び第一変形アッセイ(First Variant Assay)を用いて測定すると、約5.5U/pmol以下であるが、0U/pmolよりは高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約0.5から約3.6ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約0.5から約1.9ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0111】
別の側面において、本発明は、実施例4に記載したミスマッチ含有二本鎖DNA基質及び第二変形アッセイ(Second Variant Assay)を用いて測定すると、約0.01から12.0U/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約1.0から約7.0ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、約1.5から約5.0ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0112】
別の側面において、本発明は、ポリメラーゼ活性及び3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を実施例3に記載した通りに測定すると、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率が約1から100である熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は約3.0から50である。別の態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は約6.0から25.0である。
【0113】
別の側面において、本発明は、ポリメラーゼ活性を実施例3に記載した通りに測定し、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を実施例4に記載した二本鎖DNA基質及び第一変形アッセイ(First Variant Assay)を用いて測定すると、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率が約1から100である熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は、約2.0から50である。一つの態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は、約5.0から25.0である。
【0114】
別の側面において、本発明は、ポリメラーゼ活性を実施例3に記載した通りに測定し、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を実施例4に記載したミスマッチ含有二本鎖DNA基質及び第二変形アッセイ(Second Variant Assay)を用いて測定すると、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率が約0.75から10である熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は約1.2から5.0である。別の態様において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する5’−3’鋳型依存的DNAポリメラーゼ活性の比率は約2.0から4.5である。
【0115】
本発明の別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Tma DNAポリメラーゼに由来する。本発明の一態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Tmaの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含む、サーマス(Thermus)/サーモトガ(Thermotoga)のキメラDNAポリメラーゼに由来する。Tma DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性で熱活性のDNAポリメラーゼである。米国特許第5,624,833号及び第5,374,553号参照。Figure 1に示したTma DNAポリメラーゼの約292番目から484番目までのアミノ酸残基が3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含む。別の態様において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインに一個以上の変異を有する。別の態様において、変異型Tma DNAポリメラーゼは、L329に変異を有する。別の態様において、前記変異は、L329Aである。別の態様において、変異型Tma DNAポリメラーゼはD389に変異を有する。別の態様において、前記変異は、D38 9Eである。別の態様において、変異型Tma DNAポリメラーゼは、Q384に変異を有する。別の態様において、前記変異は、Q384Aである。別の態様において、変異型Tma DNAポリメラーゼはN385に変異を有する。別の態様において、前記変異は、N385Aである。別の態様において、変異型Tma DNAポリメラーゼは、Q384及びN385に変異を有する。別の態様において、前記変異は、Q384A N385Aである。
【0116】
弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたらすこれらのアミノ酸位置又は別のアミノ酸位置における他の変異も、本明細書に記載した常法及びエキソヌクレアーゼ活性アッセイ法を用いて変異体を作出し、試験することによって同定されうる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下したTma DNAポリメラーゼを作製する方法の一つは、アミノ酸残基を一個以上欠失させるか、又は、別の化学的性質を有するアミノ酸に変異させることである。例えば、アスパラギン酸などの酸性側鎖を有するアミノ酸残基を、塩基性側鎖、非荷電極性側鎖、非極性側鎖、β分枝側鎖、又は芳香族性側鎖に変えることができる。例えば、アスパラギン酸残基をグルタミン酸残基に変えるなど、アミノ酸の荷電性を保存する置換変異も3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を弱化することができる。
【0117】
変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを作出する別の方法は、ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に影響することが分かっているか、あるいは推定されている残基の近傍でポリメラーゼに変化を加えることである。例えば、ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン内の重要な残基に隣接して、一個以上のアミノ酸残基を挿入、欠失、又は置換することができる。又は、タンパク質の一次配列では重要な残基に隣接していないが、ポリメラーゼの立体構造では中心的な残基に隣接する一個以上の残基に挿入、欠失、又は置換を行なうことができる。この方法は、重要な残基自体の変異によって、ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が必要以上に低下してしまう場合や、ポリメラーゼの誤った折り畳みなどの問題を引き起こす場合に特に好都合である。
【0118】
上記の部位特異的変異導入技術に代わるものとして、よりランダムな変異導入技術を用いて、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを作出することができる。例えば、挿入、欠失、及び/又は置換による変異を、上述した中心的な残基であるか、又は、タンパク質のドメイン構造部であるかに関係なく、いずれかの位置に導入することができる。一つの態様において、Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン全体にわたり、変異をランダムに導入する。別の態様において、変異を、DNAポリメラーゼ分子全体にランダムに導入する。ついで、実施例に記載したようにして、変異した各ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定することができ、次には、所望のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異型ポリメラーゼを選択することができる。
【0119】
また、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Tma DNAポリメラーゼに一つ以上の変異を導入することによって作出することができる。例えば、2個以上の変異のそれぞれが、それだけでは変異型ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を十分に低下させることはなくても、これらを一つのポリメラーゼの中で組み合わせることによって、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を所望の範囲内に低下させることができる。又は、ssDNA基質に対するTma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を選択的に低下させる一個以上の変異を、dsDNA基質に対するTma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を選択的に低下させる変異を一個以上有するポリメラーゼ分子の中に併合させることができる。
【0120】
また、変異型DNAポリメラーゼが弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する場合には、隣接する複数の残基を欠失、挿入、置換、又は再配列することによって、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを作出することができる。
【0121】
Tma DNAポリメラーゼのすべてのアミノ酸における変異がすべて、所望のレベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼをもたらす訳ではない。変異の中には、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を十分に低下させないものもあれば、低下させすぎるものもあろう。例えば、米国特許第6,015,668号、第5,939,301号、及び第5,948,614号には、Tma DNAポリメラーゼ及びTne DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの金属結合アスパラギン酸をアラニン残基に変異させることが記載されている。これらの変異は、これらの酵素の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を検出可能なレベルよりも低いレベルに低下させるため、本発明には含まれない。同様に、米国特許第5,882,904号には、サーモコッカス・バロッシにおけるアスパラギン酸からアラニンへの類似変異が記載されており、また、米国特許第5,489,523号は、パイロコッカス・ヴェッセイのDNAポリメラーゼのD141A E143A二重変異を開示す。これら2つの変異型ポリメラーゼはいずれも、実際に検出可能な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたない。したがって、当業者には、変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼをアッセイして、その3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定する必要があることが分かるはずである。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定する方法は後述する。別の方法が、当該技術分野で周知である。例えば、Freemontら、1986、Proteins 1:66; Derbyshireら、1991, EMBO J. 16:17、及びDerbyshireら、1995、Methods in Enzymology 262:363-85を参照のこと。
【0122】
別の側面において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、かつTma DNAポリメラーゼの一つ以上の性質に影響を与える一つ以上の変異を含有した変異型Tma DNAポリメラーゼを提供する。これらの性質の例としては、特に限定されないが、Tma DNAポリメラーゼがdNTPとdNTPアナログ又は誘導体とを区別できるという性質、例えば、米国特許第5,939,292号及び第5,614,365号参照、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性、例えば、米国特許第6,228,628号、第5,466,591号及び第5,420,029号参照、熱安定性、低温安定性、例えば、米国特許第6,214,557号参照、製造の容易さ又は費用、加工性、重合速度などが挙げられる。
【0123】
アミノ酸配列の変異は、遺伝子をコードする配列の中に適切な変異を組み込むことによって達成される。DNA配列におけるかかる変異は、後に詳述するように、当該技術分野において周知の技術を用いて実施する。
【0124】
別の側面において、本発明は、化学的に修飾された、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。例えば、米国特許第6,183,998号を参照のこと。一つの態様において、化学的修飾は翻訳後修飾である。別の態様において、修飾されたアミノ酸残基は、本明細書において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性にとって重要又は不可欠であると同定された残基である。翻訳後修飾は、インビトロ又はインビボで行なうことができる。翻訳後修飾の例としては、限定されないが、プロテアーゼによるプロセッシング、及びアミノ酸残基のリン酸化、グリコシル化及びアシル化などが挙げられる。例えば、Molecular Biology of the Cell、1994, (Albertsら編)、第3版、ニューヨークにあるガーランドパブリシング社(Garland Publishing, New York)を参照のこと。
【0125】
Tma DNAポリメラーゼに関して上述した各タイプの変異及び修飾を他の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに導入して、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを作出することができる。DNAポリメラーゼは、アミノ酸配列のアラインメントに基づいて、大腸菌(E. coli)のDNAポリメラーゼI、II、及びIIIとの相同性によってA、B、及びCと名付けられたファミリーに分類されている。例えば、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Itoら、Nucl. Acids Res., 19:4045-47参照。サーモトガ属及びサーマス属の種のDNAポリメラーゼは、ファミリーAのDNAポリメラーゼに属し、このファミリーは、大腸菌DNAポリメラーゼIも含んでいる。ファミリーAのDNAポリメラーゼで保存されているアミノ酸が同定されている。Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの領域のアミノ酸配列と他のファミリーAのDNAポリメラーゼのアミノ酸配列とのアラインメントをFigure 8(配列番号:172〜187)に示す。ファミリーAのDNAポリメラーゼの間でアミノ酸が保存されているため、大腸菌DNAポリメラーゼIやTma DNAポリメラーゼなど一つのDNAポリメラーゼにおける3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に影響を与えるアミノ酸を同定し、本明細書が提供する開示内容と併せることによって、配列アラインメントに基づいて、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に影響を与えるアミノ酸を他のファミリーA DNAポリメラーゼで同定することが可能になる。保存されている配列モチーフ、Exo I、Exo II、Exo IIa、及びExo IIIをFigure 8に示す。したがって、一つの態様において、本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異型熱安定性又は熱活性ファミリーAのDNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、Exo I、Exo II、Exo IIa、又はExo IIIに変異を有する。別の態様において、この変異はExo I、Exo II、又はExo IIIに存する。
【0126】
本発明に従って弱化することができる3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを有する多数の好熱性生物種が同定されている。代表的な真正細菌種として以下のものがある。サーモトガ・マリティマ、サーモトガ・ネアポリティナ(Thermotoga neapolitina)、例えば、米国特許第6,077,664号、第6,015,668号、第6,001,645号、及び第5,912,155号参照;サーモシフォ・アフリカヌス、例えば、米国特許第5,968,799号参照;ホットスプリングファミリーA(Hot Spring family A)。
【0127】
これらのDNAポリメラーゼにおける対応アミノ酸及び領域は、それらのアミノ酸配列をアラインメントすることによって同定されうる。対応は、配列間で同一の(保存されている)アミノ酸と、同一でないアミノ酸の両方であって、全体的な配列類似性を最大にするようアラインメントされたアミノ酸を意味する。
【0128】
当業者は、このようなアラインメントを用いて、ファミリーAの熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼのどの残基が、上記Tma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性ドメイン又は重要な残基に対応するかを判定することができる。このように、一つの態様において、本発明は、TmaのL329残基に対応する残基における変異を含有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、TmaのL329残基に対応する残基はアラニンに変異する。別の態様において、本発明は、TmaのD389残基に対応する残基における変異を含有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、TmaのD389残基に対応する残基はグルタミン酸に変異する。別の態様において、本発明は、TmaのQ384残基に対応する残基における変異を含有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、TmaのQ384残基に対応する残基はアラニンに変異する。別の態様において、本発明は、TmaのN385残基に対応する残基における変異を含有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、TmaのN385残基に対応する残基はアラニンに変異する。別の態様において、本発明は、TmaのQ384及びN385残基に対応する残基における変異を含有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。別の態様において、TmaのQ384及びN385残基に対応する各残基はアラニンに変異する。
【0129】
さらに別の好熱性真正細菌種が同定されており、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection (ATCC、バージニア州20110-2209、マナッサス、ブールバード大学10801(10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209))、及びドイツ微生物コレクション(DSM、ドイツ、ブラウンシュバイクD-38124、マヘロデルベクIb(Macheroder Weg Ib, D-38124 Braunschveig, Germany))などの寄託機関から入手可能である。後述するように、DNAポリメラーゼ、及びそれらをコードする遺伝子は、寄託されている菌株から回収可能であり、通常の方法で配列決定することができる。例えば、GAPプログラム(アクセルリス社(Accelrys)、ウィスコンシン州マディソン(Madison, WI))を用いて、好熱性真正細菌のファミリーA DNAポリメラーゼのアミノ酸配列とTma DNAポリメラーゼのアミノ酸配列とを普通に配列アラインメントすると、好熱性真正細菌のDNAポリメラーゼ配列を本発明の変異型DNAポリメラーゼにおいて利用することが可能になる。
【0130】
本発明の別の側面において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼで購入可能なものを用いて、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを作製する。実質的な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼで購入可能なものの例としては、登録商標VENTR及び登録商標DEEP VENTR DNAポリメラーゼ(マサチューセッツ州ビバリー(Beverly, MA)にあるニューイングランド・バイオラボズ社(New England Biolabs))及びPfu DNAポリメラーゼ(カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego, CA))にあるストラタジーン社(Stratagene))などがある。
【0131】
別の側面において、本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、中温性生物に天然に存するDNAポリメラーゼであって、熱安定性又は熱活性酵素に変異又は作製されたDNAポリメラーゼに由来する。例えば、Sanchez-Ruizら、2001、Trends Biotechnol. 19:132-35; Fontana, 1991, Curr. Opin. Biotechnol. 2:551-60; Nosohら、1990、Trends Biotechnol. 8:16-20; Pace, 1990, Trends Biotechnol. 8:93-98、及びPeters, 1998, Science 281:368-69を参照のこと。一つの態様において、このポリメラーゼはファミリーA DNAポリメラーゼである。別の態様において、中温性生物は中温性真正細菌である。別の態様において、中温性真正細菌は大腸菌である。Villbrandtら、2000, Protein Eng. 9:645-54参照。
【0132】
2.本発明のキメラタンパク質
別の側面において、本発明は、第一のDNAポリメラーゼのアミノ末端部分に由来するアミノ末端部分と第二のDNAポリメラーゼに由来するカルボキシ末端部分とを含有した、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供する。一つの態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼは、第一の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼのアミノ末端部分に由来するアミノ末端部分と第二の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに由来するカルボキシ末端部分とを含有し、該第二のポリメラーゼは、好ましくは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すものである。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、該アミノ末端及び/又はカルボキシ末端部分がサーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、該アミノ末端及び/又はカルボキシ末端部分がサーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端部分がサーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来し、もう一方の末端部分がサーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する;例えば、一つの態様において、アミノ末端部分がサーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来し、カルボキシ末端部分がサーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分が、サーマス・スピーシーズ由来で、5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、カルボキシ末端部分が、サーモトガ・スピーシーズ由来で、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインとポリメラーゼドメインとを含有する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分が、サーマス・スピーシーズ由来で5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、サーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼの対応するアミノ末端部分と約80%よりも高い配列同一性を示し、カルボキシ末端部分が、サーモトガ・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼの対応するカルボキシ末端部分と約80%よりも高い配列同一性を示す。別の態様において、該サーマス・スピーシーズはサーマス・スピーシーズZ05株(Thermus sp. Z05)であり、該サーモトガ・スピーシーズはサーモトガ・マリティマである。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、図に示した一個以上の変異によって改変されたFigure 4のアミノ酸配列を含有する。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、図に示した一個以上の変異によって改変されたFigure 5のアミノ酸配列を含有する。別の態様において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、アミノ末端部分、中央部分、及びカルボキシ末端部分を含む。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分が5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、中央部分が3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、カルボキシ末端部分が3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分が、サーマス・スピーシーズ由来のポリメラーゼの対応するアミノ末端部分及び/又はカルボキシ末端部分に対し80%よりも高い配列同一性を示す。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、中央部分がサーモトガ・スピーシーズ由来のポリメラーゼに由来する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、中央部分が、サーモトガ・スピーシーズ由来の対応するポリメラーゼに、80%よりも高いが100%未満の低い配列一致率を示す。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、アミノ末端部分及びカルボキシ末端部分がサーマス・スピーシーズ由来のDNAポリメラーゼに由来し、中央部分がサーモトガ・スピーシーズに由来する。別の態様では、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼにおいて、該サーマス・スピーシーズがサーマス・スピーシーズZ05株であり、該サーモトガ・スピーシーズがサーモトガ・マリティマである。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、図に示した一個以上の変異によって改変されたFigure 6のアミノ酸配列を含有する。別の態様において、キメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼが、図に示した一個以上の変異によって改変されたFigure 7のアミノ酸配列を含有する。
【0133】
別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラDNAポリメラーゼは、2種類以上の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに由来する配列を含有する。一つの態様において、キメラポリメラーゼは、そのN-末端に、第一の種由来のDNAポリメラーゼに由来する5’−3’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、そのC-末端に、第二の種由来のDNAポリメラーゼに由来する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有する。別の態様において、第一の種及び第二の種は細菌種である。別の態様において、第一の種及び第二の種は好熱性の種である。別の態様において、第一の種はサーマス・スピーシーズである。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus; Taq)である。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・フラブス(Thermus flavus; Tfl)である。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus; Tth)である。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・スピーシーズZ05株(TZ05)である。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・スピーシーズl7株(Tspsl7)である。別の態様において、サーマス・スピーシーズはサーマス・カルドフィルス(Thermus caldofilus; Tca)である。別の態様において、第二の種はサーモトガ・スピーシーズである。別の態様において、サーモトガ・スピーシーズはサーモトガ・マリティマ(Tma)である。別の態様において、第一の種がTZ05であり、第二の種がTmaである。
【0134】
本発明の別の側面において、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの配列と、キメラタンパク質に有利な性質を付与する別のタンパク質の配列とを含有する。一つの態様において、この有利な性質は、キメラタンパク質の発現、精製、安定性、半減期、プロテアーゼ感受性、翻訳後修飾、酵素活性、又は熱安定性に影響を与える。
【0135】
サーマス属の種に由来するDNAポリメラーゼとTma DNAポリメラーゼとは、全体的な構造が似ている。これらのDNAポリメラーゼにおいて、酵素の5’-ヌクレアーゼ活性及びDNAポリメラーゼ活性は、タンパク質の別々の領域(活性ドメイン)中に存在する。代表的なサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、及びTma DNAポリメラーゼのおおよその活性ドメインを表1に示す。さらに、米国特許第5,420,029号も参照のこと。Tma DNAポリメラーゼにおいて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をコードする領域とTaq DNAポリメラーゼの対応領域における長さの違いは、Taq DNAポリメラーゼには3’−5’エキソヌクレアーゼ活性がないことに寄与するか、それと関連する。
【0136】
【表1】
Figure 0004034684
【0137】
サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼとTma DNAポリメラーゼの間には有意なアミノ酸配列類似性が存在する。例えば、GAPコンピュータプログラム〔アクセルリス社(Accelrys)、Madison, WI〕を用いて、代表的なサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、及びTma DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の比較は、これらのアミノ酸配列全体にわたり約44%一致し、66%類似することを示す。
【0138】
Tma DNAポリメラーゼとサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼには全体的な構造及び配列における類似性があるため、Tma DNAポリメラーゼに存在する全体構造と活性ドメインとを保存するTma/サーマスのキメラ酵素を構築することができる。一つの態様において、キメラ酵素は、Tma DNAポリメラーゼのC-末端領域とサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼのN-末端領域を含む。別の態様において、本発明のキメラ酵素は、5’−3’エキソヌクレアーゼドメインをサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼの対応するドメインで置換した変異型Tma DNAポリメラーゼに相当する。本明細書において、「対応するドメイン」とは、米国特許第6,228,628号により提供されているアミノ酸配列アラインメントによって定義される。
【0139】
本発明の別の側面において、Tma DNAポリメラーゼに由来する領域の最初のアミノ酸は、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ配列の最後のアミノ酸に対応するアミノ酸につづくアミノ酸から始まり、残りのTma DNAポリメラーゼ配列(893番目のアミノ酸まで)を含有する。全長Tma DNAポリメラーゼのアミノ酸配列をFigure 1Aに示す(配列番号:85)。好ましくは、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来するアミノ酸配列は、Tma DNAポリメラーゼに由来するアミノ酸配列に、この二つのアミノ酸配列が一致又は類似するアミノ酸配列の位置で結合する。例えば、一つの態様は、Taq DNAポリメラーゼの1〜190番目のアミノ酸、及びTma DNAポリメラーゼの191〜893番目のアミノ酸からなる。Tma DNAポリメラーゼの190番目のアミノ酸はTaq DNAポリメラーゼ190番目のアミノ酸に対応し、キメラ酵素のTma DNAポリメラーゼ部分は、次のアミノ酸である191番目のアミノ酸から始まる。
【0140】
二つのDNAポリメラーゼが一致する領域において、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来する最後のアミノ酸をその領域内で任意に同定することができる。例えば、191番目と192番目のアミノ酸は、Taq DNAポリメラーゼ及びTma DNAポリメラーゼで同じである(また、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼで保存されている)ため、Taq DNAポリメラーゼの1〜190番目のアミノ酸を含むキメラタンパク質は、Taq DNAポリメラーゼの1〜191番目又は1〜192番目のアミノ酸を含むキメラタンパク質と区別することができない。実施例に記載されている本発明の実施態様は、この酵素の本来の由来に鑑みて、Taq DNAポリメラーゼの1〜190番目のアミノ酸を含むものとして参照される。
【0141】
本発明の一つの側面において、キメラDNAポリメラーゼは、全長Tma DNAポリメラーゼ遺伝子における133〜137番目のコドン付近に存在する選択的リボゾーム結合部位を少なくとも介し、好ましくは、140番目のメチオニン開始コドンを介するTma DNAポリメラーゼ配列をコードする領域が、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ由来の対応する領域をコードする遺伝子配列に置換されているキメラ遺伝子によってコードされる。全長Tma DNAポリメラーゼ遺伝子におけるこの選択的リボゾーム結合部位と開始コドンが存在する結果、140番目のアミノ酸から開始する切形型Tma DNAポリメラーゼが優先的に発現することになる。後述するように、Tma DNAポリメラーゼ遺伝子のこの領域を置換すると、全長のキメラタンパク質を効率的に発現させるのに有用である。このように、本発明のキメラDNAポリメラーゼの一態様において、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来するN-末端領域は、少なくとも137番目のアミノ酸を経由して含み、好ましくは、140番目のアミノ酸を介して含むTma DNAポリメラーゼの領域に置換する。
【0142】
Tma DNAポリメラーゼの1〜137番目のアミノ酸に対応する、各サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼの領域は、米国特許第6,228,628号に提供されたアミノ酸配列アラインメントから得られる。例えば、Tma DNAポリメラーゼの1〜137番目のアミノ酸に対応するTaq DNAポリメラーゼの領域は1〜142番目のアミノ酸であり、Tma DNAポリメラーゼのM140に対するTaq DNAポリメラーゼのアミノ酸はL145である。したがって、N-末端領域がTaq DNAポリメラーゼに由来する態様は、Taq DNAポリメラーゼの少なくとも1〜142番目のアミノ酸、好ましくは1〜145番目のアミノ酸を含有する。同様に、N-末端領域が他のサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来する態様としては、Tma DNAポリメラーゼの1〜137番目、及び140番目のアミノ酸に対応するサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼの領域を、米国特許第6,228,628号に提供されたアミノ酸配列アラインメントから得る。
【0143】
当業者は、酵素の機能的性質を変化させない微小な変異、挿入、又は欠失をDNAポリメラーゼに導入することができ、そのような変異型酵素は、どの点から見ても、非変異型酵素と同等であると認めるはずである。例えば、Taq DNAポリメラーゼにおいて、N-末端側アミノ酸のいくつかを欠失させても、酵素の機能的性質を変えないことが知られている。同様に、アミノ酸位置の多くを置換変異しても、本質的には何の効果もないように見える。本発明の目的にとって、酵素の機能的性質を変えない微小変異を含むDNAポリメラーゼは非変異型酵素と同等であると考えられる。
【0144】
3.熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの混合物
別の側面において、本発明は、少なくとも一つのポリメラーゼが、上記したように、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、複数種の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを含有した混合物を提供する。
【0145】
一つの側面において、混合物は、下記の実施例3に記載されている標準アッセイを用いて測定すると約6.5ユニット/pmol以下で0ユニット/pmolよりも高い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。一つの態様において、前記混合物は、約0.4から3.0ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、前記混合物は、約0.4〜1.6ユニット/pmolの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0146】
別の側面において、ポリメラーゼ活性を下記の実施例3に記載されているポリメラーゼアッセイ法を用いて測定し、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を下記の実施例3に記載されている標準アッセイを用いて測定すると、前記混合物は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する鋳型非依存的5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率が約1から100である。一つの態様において、この混合物で3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する鋳型非依存的5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率が、約3.0から50である。別の態様において、混合物は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対する鋳型非依存的5’−3’DNAポリメラーゼ活性の比率が、約6.0から25.0である。
【0147】
4.本発明のDNAポリメラーゼの長所
本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、文献に記載されている熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼに対して、顕著な向上を示す。特に、本発明のDNAポリメラーゼは、以下の性質の組み合わせ:
(1)野生型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼと比較してプライマーの分解が抑えられる;
(2)野生型の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼと比較して、dNTPをより効率的に利用し、非生産的な「アイドリング」反応を抑制する;
(3)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたない変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼと比較して、複製の忠実度が向上する;
(4)熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの混合物と比較して、手間と費用が低減する;
(5)DNAポリメラーゼを組換発現系において容易かつ効率的に高レベル発現させることができ、それにより、この酵素の商業生産が容易になる;及び、
(6)本発明のDNAポリメラーゼは、熱安定性古細菌由来のプルーフリーディングDNAポリメラーゼとは対照的に、ヌクレオシド三リン酸の類似化合物を簡単に取り込む、
を提供する。
【0148】
本発明のDNAポリメラーゼが有する性質を組み合わせることは、PCRにおいて特に有用であり、かなり改善された結果が得られる。
【0149】
(1)プライマー分解の低下
強いssDNA 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを用いるインビトロでの適用において、該ポリメラーゼはプライマーを分解する。このことは、2つの様式で反応に影響する。第一に、反応液中のプライマー濃度を低下させることである。第二に、さまざまな長さの部分分解されたプライマーを生成することである。プライマーの標的に対する特異性は、プライマーの配列及び長さによって直接特定されるため、短くなったプライマーでは、標的配列に対する特異性が低下する可能性がある。これは、所望の配列の複製の減少と、偽又は目的外の配列の複製増加とを同時煮引き起こしうる。加熱してDNA鎖を分離させ、二本鎖を変性させる際に、ssDNA 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性があると、後続の重合過程で鋳型として働く、合成された鎖の末端の長さが短くなる可能性もある。プライマーはこれらの末端に結合するため、それらの長さが短くなると、それらのプライマーに対する結合強度が低下する。これによって、所望のPCR産物量の低下と、偽のPCR産物量の増加とを引き起こしうる。これらの効果は、増幅された偽配列に対する増幅された標的配列の割合が増加すると、反応の特異性が低下し、それによって標的検出の感度が低下する可能性があるため、PCRにとって特に厄介である。
【0150】
本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、弱化レベルの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有することにより、この問題を克服する。
【0151】
(2)アイドリング反応の低下
熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼのdsDNAエキソヌクレアーゼ活性は、ポリメラーゼが直鎖状鋳型の末端に到達したときに「アイドリング」する原因となることがある。すなわち、重合の繰り返しサイクルにより、鋳型の末端に至り、合成が完了した鎖の末端にある残基を加水分解する。この重合と加水分解とのサイクルは、反応混合物中のdNTP濃度を低下させ、ピロリン酸濃度を上昇させるため、その後のサイクルの反応効率が低下する。その結果、生成物の収率を低下させうる。
【0152】
本発明の変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、弱化dsDNA 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有することにより、この問題を克服する。一つの態様において、本発明の変異型ポリメラーゼは、一本鎖DNA基質と実施例3記載の標準アッセイを用いて測定すると、野生型酵素の活性の約0.1%から約65%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、本発明の変異型ポリメラーゼは、野生型酵素の活性の約1%から約30%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、本発明の変異型ポリメラーゼは、野生型酵素の活性の約3%から約20%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、本発明の変異型ポリメラーゼは、野生型酵素の活性の約3%から約10%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。別の態様において、本発明の変異型ポリメラーゼは、野生型酵素の活性の約3%から約5%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
【0153】
(3)高度の忠実性
熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の有害作用を克服するための以前の試みは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたないか、本質的にもたない変異型ポリメラーゼ又はこの活性を本来もたないポリメラーゼを用いてきたが、この方法にはそれ自体問題を生じる可能性がある。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたないポリメラーゼは、この活性を有するポリメラーゼよりもエラー率が高い。PCRのある応用例として、例えば、増幅した配列をクローン化する場合、エラー率を低く保つことが重要である。さらに、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の存在は、ヌクレオチドの誤った取り込みが訂正されうるため、より長い標的に対する増幅及び/又は逆転写酵素の効率を上昇させる。従って、プルーフリーディング活性を全くもたない熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、これらの適用では、あまり適切でない場合がある。
【0154】
本発明は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを提供することによって、この問題を克服する。目下、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性レベルが、誤って挿入されたdNTPの効率的な除去によって長い鋳型のPCR効率を向上させるには充分であり、長鎖PCR及びRT-PCRを容易にすると判断されている。
【0155】
(4)操作の軽減
強い3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に伴う問題を克服するために用いられている別のアプローチは、野生型レベルのプルーフリーディング活性を有するポリメラーゼと、本質的にプルーフリーディング活性をもたないポリメラーゼとを混合することである。混合物中におけるこれら二種類のポリメラーゼの比率を操作することで、ポリメラーゼ活性に対して、プルーフリーディング活性を所望の比率にすることができる。かかるアプローチは、うまく使用されてきたが、その欠点もある。各酵素の調製物毎に両酵素の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とポリメラーゼ活性とを正確に測定しなければならず、また、各反応で、各酵素量を正確に加えなければならない。また、このアプローチでは、両酵素とも同じような保存安定性を有することは要求される。したがって、酵素混合物を使用する反応はより多くの操作を必要とするため、費用を増加させるとともに効率を低下させる。
【0156】
本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、一つの態様において、ポリメラーゼ活性に対して、プルーフリーディング活性を、所望の比率である単一のポリメラーゼを提供することによって、これらの問題を克服する。各反応には一種類の酵素を加えるだけである。予想外にも、酵素混合物の代わりに本発明のポリメラーゼを用いる場合、より少ない全酵素量しか必要とされないことも発見された。
【0157】
(5)発現効率
上記したとおり、一つの側面において、本発明は、5’−ヌクレアーゼドメインがサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ由来の対応するドメインで置換されている変異型Tma DNAポリメラーゼに相当するキメラ酵素を提供する。前記酵素は、5’−ヌクレアーゼドメインをコードする遺伝子の領域がサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子の対応領で置換されている変異型Tma DNAポリメラーゼ遺伝子に対応するキメラ遺伝子から発現される。前記キメラ遺伝子の重要な長所は、組換発現系において、Tma DNAポリメラーゼ遺伝子よりもずっと効率的に全長DNAポリメラーゼを発現させることができることである。
【0158】
全長天然型Tma DNAポリメラーゼ遺伝子を含む組換発現系から全長DNAポリメラーゼの発現は、このタンパク質の切形型が優先的に発現されるため問題となる。米国特許第5,420,029号を参照のこと。Met140 Tmaという切形型タンパク質は、全長タンパク質のアミノ酸番号140〜893からなり、翻訳が140位のメチオニンから開始される翻訳に起因すると考えられる。さらに、コドン133〜137に推定リボゾーム結合部位が存在することは、切形型タンパク質が内部メチオニンから開始される翻訳に起因することを示唆する。Met140 Tma切形型タンパク質の優先的発現は、全長Tma DNAポリメラーゼの発現及び精製にかなりの困難が伴うことを示す。
【0159】
本発明の一つの態様において、キメラDNAポリメラーゼ遺伝子は、全長Tma DNAポリメラーゼ遺伝子における133〜137番目のコドン付近に存在する選択的リボゾーム結合部位を少なくとも介し、好ましくは、140番目のメチオニン開始コドンを介して対応する領域にサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子の配列を含む。したがって、リボゾーム結合部位と、好ましくは、Met140 Tmaの翻訳に応答する開始コドンを含む領域にわたる、Tma DNAポリメラーゼ遺伝子の配列が、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子の対応する領域で置換されている。サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子の対応する領域は、望ましくない内部開始による切形型タンパク質を生じさせない。その結果、キメラDNAポリメラーゼを含む組換発現系は、専ら全長キメラDNAポリメラーゼを発現させる。
【0160】
(6)ヌクレオシド三リン酸アナログの取り込み
一つの側面において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、熱安定性古細菌のプルーフリーディングDNAポリメラーゼ(VENTTM、DEEP VENTTM、Pfu、Pwo、Poc、Pab、Tgoなど)とは対照的に、dUTP、dITPなどのヌクレオシド三リン酸類似化合物を受け入れ簡単に取り込むことができる。すなわち、これらのポリメラーゼは、dUTP若しくはdITPの存在又は鋳型鎖におけるdUMP若しくはdIMPの存在によって阻害されない。これに対して、前記熱安定性古細菌の校正機能を有するDNAポリメラーゼ、又は校正機能を有する古細菌DNAポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼ混合物は、dUTP若しくはdITPの存在又は、鋳型鎖におけるdUMP若しくはdIMPの存在によって阻害される。したがって、dTTPとともに、若しくはdTTPの代わりに、dUTPを使用すること、又はdGTPとともに、若しくはdGTPの代わりに、dITPを使用することの多くの利点は、本発明の酵素では、実現されるであろうが、古細菌の熱安定性DNAポリメラーゼでは、実現されないであろう。例えば、「PCR Applications: Protocols for Functional Genomics」、1999, Innisら(編)、アカデミックプレス社(Academic Press), San Diegoの第4、5、142及び143頁参照。このように、既報の古細菌のDNAポリメラーゼ、又は古細菌のDNAポリメラーゼを含む混合物は、dUTP又はdITPを用いて、プライマー伸長反応又はPCR増幅を行なうことはできないが、一つの態様において、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、これらのアナログを使用することに適合する。
【0161】
5.本発明のDNAポリメラーゼの調製
Tma DNAポリメラーゼをコードする遺伝子が米国特許第5,420,029号及び第5,466,591号に記載されている。Tma DNAポリメラーゼ遺伝子の塩基配列、及び、コードされる全アミノ酸配列もそれらに記載されている。’029号特許の実施例5は、pTma01(1990年11月7日に寄託され、1998年5月22日にATCC番号98764として再寄託されたATCC番号68471)、及びpTma04(1990年11月7日に寄託され、1998年5月22日にATCC番号98765として再寄託されたATCC番号68472)から始めて、全長Tma DNAポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミドpTma12-1及びpTma13などの種々のプラスミドを構築することを記載する。これら発現ベクターのいずれもTma DNAポリメラーゼ遺伝子の供給源として適する。
【0162】
本発明のポリメラーゼを作製するために変異させることができる、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する他の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼとしては、限定されないが、米国特許第6,077,664号、米国特許第6,015,668号、米国特許第6,001,645号、及び米国特許第5,912,155号(サーモトガ・ネアポリティナ)、米国特許第6,066,483号、米国特許第5,874,282号、米国特許第5,834,253号、米国特許第5,747,298号、米国特許第6,013,451号、米国特許第5,830,714号、米国特許第5,882,904号、及び米国特許第5,602,011号(サーモコッカス・バロッシ)、米国特許第5,322,785号及び米国特許第5,210,036号(サーモコッカス・リトラリス)、米国特許第5,948,663号及び米国特許第5,866,395号;Dabrowskiら、1998, Protein Expr. Purif. 14:131-38(パイロコッカス・フリオサス)に記載されているものが挙げられる。例えば、米国特許第5,834,285号(パイロコッカスGB-D株)、及びDabrowskiら(1998)(パイロコッカス・ヴェッセイ)を参照。
【0163】
一つの側面において、本発明のDNAポリメラーゼは、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来する部分と、Tma DNAポリメラーゼに由来する部分を含むキメラ酵素である。一つの態様において、本発明のDNAポリメラーゼは、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼに由来する部分と、Tma DNAポリメラーゼに由来する部分からなるキメラ酵素である。前記キメラ酵素は、キメラ遺伝子、すなわち、キメラ酵素をコードし、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子に由来する部分、及びTma DNAポリメラーゼ遺伝子に由来する部分からなるDNAから調製される。キメラ遺伝子は、下記に詳述するように、分子生物学分野において周知の標準的遺伝子操作技術を用いて、サーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子とTma DNAポリメラーゼ遺伝子とから作製される。
【0164】
DNAポリメラーゼ遺伝子の塩基配列、及びそれにコードされるアミノ酸配列など、いくつかのサーマス・スピーシーズに由来するDNAポリメラーゼをコードする遺伝子が記載されている。これらの遺伝子のいくつかは、公開されているプラスミドから得ることができる。さらに別のサーマス・スピーシーズに由来する遺伝子は、参照により本明細書に取り込まれる米国特許第5,079,352号、第5,618,711号、第5,455,170号、第5,405,774号、及び第5,466,591号に記載されている方法を用いて、宿主生物から得ることができる。
【0165】
Taq DNAポリメラーゼをコードする遺伝子は、米国特許第5,079,352号及び第5,466,591号に記載されている。Taq DNAポリメラーゼ遺伝子の塩基配列及びコードされる全アミノ酸配列は、それらの文献に記載される。米国特許5,079,352号の実施例V〜VIIには、プラスミドpFC83(1987年5月29日に寄託され、1998年5月22日にATCC番号98763として再寄託されたATCC番号67422)、及びpFC85(1987年5月29日に寄託され、1998年5月22日にATCC番号98762として再寄託されたATCC番号67421)から始めて、プラスミドpLSG1、pLSG2、pSYC1578、pLSG5、pLSG6など、全長Taq DNAポリメラーゼ遺伝子を含むさまざまな発現プラスミドを構築することについて記載している。これらの発現ベクターのいずれもTaq DNAポリメラーゼ遺伝子の供給源として適する。
【0166】
Tth DNAポリメラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を取得する方法、及び該遺伝子を含む発現プラスミドは、米国特許第5,618,711号及び第5,466,591号に記載される。
【0167】
TZ05 DNAポリメラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を取得する方法、及び該遺伝子を含む発現プラスミドは、米国特許第5,455,170号及び米国特許第5,466,591号に記載される。
【0168】
Tspsl7 DNAポリメラーゼをコードする遺伝子、この遺伝子を取得する方法、及びこの遺伝子を含む発現プラスミドは、米国特許第5,405,774号及び第5,466,591号に記載されている。
【0169】
Tfl DNAポリメラーゼ遺伝子は、Akhmetzjanovら、1992、Nucleic Acids Reserch 20:5839に記載されており、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0170】
Tfl DNAポリメラーゼ遺伝子は、参照された特許文献に記載された方法を用いて、ATCC 43280から回収されうる。1984, FEMS Microbiol. Lett. 22:149-53も参照のこと。
【0171】
Tca DNAポリメラーゼ遺伝子は、Kwon, 1997, Mol. Cells 7:264-71に記載されており、塩基配列はEMBL/GenBankアクセッション番号U62584として入手することができる。
【0172】
さらに別のサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子を、上記引用特許文献に記載されている技術を用いて、以下のATCC寄託物から回収することができる。ATCC43814及びATCC43815、Alfredsson, 1986, Appl. Environ. Microbiol. 52:1313-16;ATCC27978、Ramley, 1970, J. Bacteriol. 114:556-62;同上、103:527-528;ATCC31674、米国特許第4,442,214号及び米国特許第4,480,036号;ATCC 35948号〔T.ルバー(T. ruber)、Loginova, 1984, Int. J. Syst. Bacteriol. 34:498-99〕から回収することができる。すべての参考文献は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0173】
さらに別のサーマス・スピーシーズのDNAポリメラーゼ遺伝子を、上記引用特許文献に記載されている技術を用いて、以下のドイツ微生物コレクション(DSM)寄託物から回収することができる。DSM: 1279 (NUM: 2244)、Loginovaら、1975、Izv. Akad. Nauk SSSR Ser. Biol.: 304-07参照;DSM: 579; DSM: 625 (NUM: 2248)、Degryseら、1978、Arch. Microbiol. 189:196参照;DSM: 1279 (NUM: 3844)、Loginova, 1984, Int. J. Syst. Bacteriol. :498-99参照;及びDSM: 625 (NUM: 1002)、Brockら、1969, J. Bacteriol.: 289-97参照から回収することができる。すべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0174】
記載されているその他のサーマス・スピーシーズには、T.オーシマイ(T. oshimai)、Williamsら、1996、Int. J. Syst. Bacteriol. 46:403-08参照;T.シルバヌス(T. silvanus)及びT.クリアロフィルス(T. chliarophilus)、Tenreiroら、1995、Int. J. Syst. Bacteriol. 45:633-39参照;T.スコトダクタス(T. scotoductus)、Tenreiroら、1995、Res. Microbiol. 146:315-24参照;及びT.ルバー、Shandrinaら、1982、Mikrobiologiia 51:611-15;これらはすべて、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0175】
当業者は、本明細書に提示された手引きに従い、周知技術のみを用いて、DNAポリメラーゼ遺伝子から、多様な宿主系のいずれかで、本発明のキメラDNAポリメラーゼを発現するのに適したキメラ遺伝子を含む多数の発現ベクターを調製することが可能である。
【0176】
一つの側面において、本発明のキメラ酵素は、随伴する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下するよう適切に変異させた、Z05 DNAポリメラーゼに由来する1〜291番目のアミノ酸とTma DNAポリメラーゼに由来する292〜893番目のアミノ酸を含む。一つの態様において、本発明のキメラ酵素は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下するよう適切に変異させた、Z05 DNAポリメラーゼに由来するアミノ酸番号1〜291とTma DNAポリメラーゼに由来するアミノ酸番号292〜893からなる。これらの態様は、上記の寄託されたプラスミドから取得するか、又は宿主生物から回収されるZ05 DNAポリメラーゼ遺伝子とTma DNAポリメラーゼ遺伝子とから直接構築することができる。
【0177】
遺伝子コードに重複があるため、一般的には、多数のDNA配列が所定のアミノ酸配列をコードし、この意味で、それらは同等である。後述するように、発現ベクターが挿入されるであろう宿主細胞の選択的なコドン使用頻度に基づいて、発現ベクターで用いる同等なDNA配列のいずれかを選択することが望ましい。本発明は、このキメラ酵素をコードするDNA配列のすべてを包含することを意図する。従って、本発明のキメラ遺伝子は、野生型サーマス・スピーシーズ及びTma DNAポリメラーゼ遺伝子に由来する配列のみを含むものに限定されるものではなく、本発明のキメラDNAポリメラーゼをコードするDNA配列のいかなるものも含むことができる。
【0178】
本発明の酵素の製造は、組換発現クローンを用いて実施することができる。組換発現クローンの構築、発現クローンによる宿主細胞の形質転換、及び、発現を促進する条件下での形質転換細胞の培養を、当該技術分野において十分に理解されている分子生物学的技術を用いて、さまざまな方法で実施することができる。これらのステップのそれぞれに対する方法について、以下に、一般的に記載し、実施例に、具体的には記載する。
【0179】
発現ベクターにおいて、適切な制御配列と作動可能に結合するようコード配列を配置させることによって、作動可能な発現クローンを構築する。このベクターは、宿主細胞の中で自律複製するように、又は宿主細胞の染色体DNAの中に組み込まれるように設計されうる。得られたクローンを用いて適切な宿主を形質転換し、形質転換された宿主をコード配列の発現に適した条件下で培養する。発現したタンパク質を培地又は細胞から単離するが、場合によっては、タンパク質の回収及び精製は必要でない場合もある。
【0180】
コード配列と適切な制御配列とを含む適切なクローンの構築には、当該技術分野において十分に理解されている標準的なライゲーション技術と制限酵素技術を使用する。一般的には、単離されたプラスミド、DNA配列、又は合成されたオリゴヌクレオチドを所望の形態で切断、修飾、及び再連結する。適切な制限酵素部位は、普通に利用できない場合、発現クローンの構築を容易にするように、コード配列の末端に付加されうる。
【0181】
当該技術分野において一般的に理解されており、市販されている制限酵素の製造業者が特定する条件下において、適切な制限酵素(又は複数の酵素)で処理して、部位特異的DNA切断を行なう。例えば、アマーシャム社(Amersham、Arlington Heights、IL)、ロシュ・モレキュラーバイオケミカルズ社(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)、及びニューイングランド・バイオラボズ社(New England Biolabs、Beverly、MA)の製品カタログを参照のこと。通常、約1μgのプラスミド又は他のDNAを、約20μlの緩衝液中、1ユニットの酵素で切断する;下記の実施例においては、一般的に、過剰量の制限酵素を用いて、確実にDNAが完全消化されるようにする。それぞれの酵素に最適な温度で約1時間から2時間のインキュベートするのが一般的である。各インキュベーション後、フェノール及びクロロホルムで抽出してタンパク質を除去する;この抽出の後、エーテル抽出を行ない、エタノール沈殿によって水性画分からDNAを回収することができる。所望であれば、標準的技術を用いたポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲル電気泳動によって、切断した断片のサイズ分離を行なうことができる。例えば、Maxamら、1980、Methods in Enzymology 65:499-560を参照のこと。
【0182】
一本鎖「突出」末端を有する制限酵素切断DNA断片は、50mM Tris, pH 7.6, 50mM NaCl, 10mM MgCl2, 10mM DTT, 及び5〜10μM dNTPsの中、20℃〜25℃で約15〜25分間のインキュベーション時間で、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下大腸菌DNAポリメラーゼIのラージフラグメント(クレノウ)で処理することによって、一本鎖「突出」末端を有する制限酵素切断DNA断片を平滑末端(二本鎖末端)化されうる。クレノウフラグメントは5’突出末端を充填(フィルイン)するが、たとえ4種類のdNTPが存在していても、突出した3’側一本鎖は削り取る。所望により、1種類以上の選択したdNTPを補充することによって、突出末端の性質による限度内で選択的な修復を行なうことができる。クレノウで処理した後、前記混合物をフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させる。適切な条件下でS1ヌクレアーゼによる処理は、核酸の一本鎖部分で加水分解をもたらすため、S1ヌクレアーゼを用いても同様の結果を得ることができる。
【0183】
15〜30μlの容量中、以下の標準的条件及び温度: 20mM Tris-Cl, pH 7.5, 10mM MgCl2, 10mM DTT, 33μg/ml BSA, 10〜50mM NaCl、並びに40μM ATP及び(相補的一本鎖末端を有する断片のライゲーションについて)0.01〜0.02〔ワイス(Weiss)〕ユニットのT4 DNAリガーゼで0℃か、又は(「平滑末端」ライゲーションについて)1mM ATP及び0.3〜0.6ユニットのT4 DNAリガーゼで14℃で、ライゲーションを行なう。。相補末端を有する断片の分子間ライゲーションは、通常、33〜100μg/ml全DNA濃度(5〜100nM全末端濃度)で行なわれる。分子間での平滑末端のライゲーションは、(通常、任意に20〜30倍の過剰なリンカーのモル濃度を用いて)1μM全末端濃度で行なう。
【0184】
ベクター構築において、一般的に、ベクター断片を細菌又は子牛小腸のアルカリホスファターゼ(BAP又はCIAP)で処理して5’リン酸を除去し、ベクターの再連結と再構築を防止する。BAP及びCIAPによる消化条件は、当該技術分野において周知であり、発表されたプロトコールは、市販のBAP酵素及びCIAP酵素に通常添付される。核酸断片を回収するためには、調製物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させて、ホスファターゼを除去しDNAを精製する。又は、適切な制限酵素部位を利用することができれば、ライゲーション前又は後に、制限酵素消化することによって不必要なベクター断片の再連結を防止できる。
【0185】
当該技術分野において公知の適切な方法を用いて、プラスミド構築物のライゲーションを確認することができる。以下に示す構築法においては、プラスミド構築物の正しいライゲーションは、まず、大腸菌DG101株(ATCC47043)や大腸菌DG116株(ATCC53606)など、適切な宿主をライゲーション混合物で形質転換して確認する。当該技術分野において理解されているように、プラスミド構築の形態に応じて、成功した形質転換体をアンピシリン、テトラサイクリン、又は他の抗生物質耐性又は感受性によって選択するか、あるいは別のマーカーを用いて選択する。そして、Clewellら、1969、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 62:1159の方法に従って、形質転換体から得られたプラスミドを調製し、その後、任意にクロラムフェニコール増幅を行なう。Clewell, 1972, J. Bacteriol. 110:67参照。又は、ベセスダ・リサーチラボラトリーズ(Bethesda Research Laboratories)の刊行物であるFocus 5(2)の第11頁の「Base-Acid」抽出法を用いてプラスミドDNAを調製することができ、プロトコールのステップ12から17までを、DNAのCsCl/エチジウムブロミド超遠心分離で置換することによって、非常に純粋なプラスミドDNAを得ることができる。もう一つの代替法として、市販のプラスミドDNA分離キット、例えば、HISPEEDTM、QIAFILTERTM、及び登録商標QIAGEN、プラスミドDNA分離キット〔キアゲン社(Qiagen)、Valencia, CA〕などを、製造供給業者から配布されるプロトコールに従って使用することができる。単離したDNAは、制限酵素消化によって解析、及び/又は、Sangerら、1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463のジデオキシ法によって、さらにMessingら、1981, Nuc. Acids Res. 9:309に記載されたようにして、若しくは、Maxamら、1980, Methods in Enzymology 65:499の方法によって配列決定する。
【0186】
制御配列、発現ベクター、及び形質転換法は、遺伝子を発現させるために使用する宿主細胞の種類によって決まる。一般的には、原核生物、酵母、昆虫、又は哺乳動物の細胞が宿主として使用される。原核生物宿主は、一般的に、最も効率的であり、組換タンパク質の生産にとって都合がよいため、タンパク質を発現させるのに好適である。
【0187】
組換タンパク質を発現させるために最もよく使用される原核生物は大腸菌である。しかし、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、シュードモナス(Pseudomonas)属及びサルモネラ(Salmonella)属のさまざまな種、及びその他の細菌株など、大腸菌の他の微生物系統も、タンパク質の組換発現に使用することができる。このような原核生物系において、宿主、又は宿主と和合性のある種に由来する複製部位と制御配列とを含むプラスミドベクターが一般的に使用される。
【0188】
ほとんどの細菌のプロモーターによる制御下で構築物を発現させるために、大腸菌遺伝子保存センター(E.coli Gnenetic Stock Center)からGCSC 6135として入手できる大腸菌K12系統MM294株を宿主として用いることができる。PLNRBS又はPLT7RBSの制御配列を有する発現ベクターには、大腸菌K12系統MC1000株ラムダ溶原菌、N7N53cI857SusP80、ATCC 39531などを使用することができる。1987年4月7日にATCCに寄託された大腸菌DG116(ATCC53606)、及び1985年3月29日にATCCに寄託された大腸菌KB2(ATCC53075)も有用な宿主細胞である。M13ファージ組換体には、大腸菌K12系統DG98(ATCC39768)など、ファージ感染に感受性の大腸菌系統が使用される。DG98株は、1984年7月13日にATCCに寄託された。
【0189】
例えば、大腸菌は、一般的には、Bolivarら、1977、Gene 2:95によって記載さているpBR322誘導体を用いて形質転換する。プラスミドpBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子を含む。これらの薬剤耐性マーカーは、所望のベクターを構築するときに残されうるか、破壊されうるため、所望の組換体の存在を検出するのに有用である。広く使用されている原核生物の制御配列、すなわち、リボゾーム結合部位とともに、任意にオペレーターを有する転写開始用プロモーターとしては、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラクトース(lac)プロモーター系(Changら、1977、Nature 198:1056参照)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、1980, Nuc. Acids Res. 8:4057参照)、及びラムダ由来PLプロモーター(Shimatakeら、1981, Nature 292:128参照)、並びに遺伝子Nリボゾーム結合部位(NRBS)などが挙げられる。1987年12月8日に発行された米国特許第4,711,845号には、移動可能な調節システムカセットが記載されている。このカセットは、NRBSに作動可能に結合したPLプロモーターであって、さらに、NRBS配列の3’側6塩基対の中で切断可能な少なくとも一つの制限酵素部位を有する第三のDNA配列の上流に位置するものを含有する。また、1986年10月8日に発行された欧州特許公開第196,864号においてChangらによって記載されたホスファターゼA(phoA)システムも有用である。しかしながら、原核生物に和合する任意の利用可能なプロモーター系では、本発明の発現ベクターを構築するために使用することができる。
【0190】
細菌以外に、酵母などの真核微生物も組換宿主細胞として使用することができる。パン酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の研究用菌株が最もよく使用されるが、それ以外の菌株のいくつかも広く利用可能である。2-ミクロン(two micron)複製開始点を利用するベクターが一般的である(Broach, 1983, Meth. Enz. 101:307)が、酵母での発現に適した他のプラスミドベクターが知られている。例えば、Stinchcombら、1979, Nature 282:39;Tschempeら、1980、Gene 10:157;及びClarkeら、1983, Meth. Enz. 101:300を参照のこと。酵母ベクター用の制御配列には、解糖系酵素を合成するためのプロモーターが含まれる。Hessら、1968, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149;Hollandら、1978, Biotechnology 17:4900;及びHollandら、1981, J. Biol. Chem. 256:1385を参照。当該技術分野において既知のさらに別のプロモーターには、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター(Hitzemanら、1980、J. Biol. Chem. 255:2073)、並びにグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼなどの解糖系酵素に対するプロモーターなどがある。増殖条件によって調節される転写というさらなる長所を有する他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関係する分解酵素、及び、マルトース及びガラクトースの利用に関係する酵素に対するプロモーター領域である(Holland、前掲)。
【0191】
また、ターミネーター配列は、コード配列の3’末端に配置した場合、発現を促進するために使用されうる。このようなターミネーターは、酵母に由来する遺伝子のコード配列の後ろにある3’側非翻訳領域に見られる。酵母和合性プロモーターと、複製開始点と、他の制御配列とを含むベクターは、酵母発現ベクターの構築に使用するのに適する。
【0192】
コード配列は、多細胞生物に由来する真核宿主細胞培養液中で発現されうる。例えば、Cell & Tissue Culture: Laboratory Procedures、Wiley, Doyleら編(1993)を参照のこと。有用な宿主細胞系としては、COS-7、COS-A2、CV-1、マウスミエローマN51及びVEROなどのマウス細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などがある。このような細胞での発現ベクターとしては、通常、例えば、広く使用されているサルウイルス40(SV40)由来の早期プロモーター及び後期プロモーター(Fiersら、1978、Nature 273:113参照)、又は、他のウイルスプロモーター、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス(BPV)、又はトリ肉腫ウイルスに由来するプロモーターなど、又は、免疫グロブリンプロモーター及びヒートショックプロモーターなど、真核生物細胞に適合するプロモーター及び制御配列が挙げられる。BPVベクター系を用いた、哺乳動物系でDNAを発現させるためのシステムが米国特許第4,419,446号に開示されている。このシステムの改変については米国特許第4,601,978号に記載されている。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的側面については、米国特許第4,399,216号でAxelによって説明されている。「エンハンサー」領域も、発現を最適化するのに重要である;これらは、一般的に、プロモーター領域の上流に見られる配列である。必要ならば、複製開始点もウイルス供給源から得ることができる。しかし、染色体への組み込みは、真核生物におけるDNA複製に共通のメカニズムである。
【0193】
植物細胞も宿主として使用することができ、ノパリン合成酵素のプロモーターやポリアデニル化シグナル配列など、植物細胞に和合する制御配列(Depickerら、1982、J. Mol. Appl. Gen. 1:561)も利用することができる。バキュロウイルスベクターによって提供される制御系を利用する、昆虫細胞を用いた発現系も説明されている。プレナムパブリッシング社(Prenum Publishing)刊、Stelowら編、Genetic Engineering(1986)の第8巻、第277〜97頁、Millerら参照。昆虫細胞を利用する発現は、スポドプテラ・フルギペイダ(Spodoptera frugipeida)において行なわれる。これらのシステムも組換酵素を産生する上で好都合である。
【0194】
使用する宿主細胞に応じて、その細胞に適した標準的技術を用いて形質転換を行なう。Cohen, 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110に記載されている、塩化カルシウムを用いたカルシウム処理法が、原核生物細胞又は実質的な細胞壁バリアーを含む他の細胞に用いられる。アクロバクテリウム・チュメファシエンスによるインフェクション(Shaw et al., 1983, Gene, 23:315を参照のこと)は、特定の植物細胞に用いられる。哺乳動物細胞には、Grahamら、1978, Virology 52:546のリン酸カルシウム沈殿法が好適である。酵母への形質転換は、Van Solingenら、1977, J. Bact. 130:946、及びHsiaoら、1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:3829の方法に従って行なう。
【0195】
本発明の酵素をコードするDNAの配列を改変して、コードされているタンパク質のアミノ酸配列を変更することなく、例えば、宿主細胞のコドン使用頻度により適合した配列を提供することが望ましいであろう。最初の5〜6コドンに対するこのような改変は、発現効率を向上させるであろう。発現効率を向上させるために改変されているが、同一のアミノ酸配列をコードするDNA配列は同等であると考えられ、本発明に包含される。
【0196】
部位特異的プライマーに特異的なさまざまな変異導入法が利用可能であり、当該技術分野において周知である。例えば、参照により本明細書に取り込まれるSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、1989、第2版、第15.51章、「Oligonucleotide-mediated mutagenesis」を参照。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、部位特異的変異導入を行なうことができる。当該技術分野において、現在標準的な別の技術では、所望の変異をコードする合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して、pBSM13+誘導体など、変異を生じさせるプライマーの伸長産物を構築するための鋳型として使用される一本鎖ベクターに含まれる相補的核酸配列の合成を行なう。変異したDNAを宿主細菌に形質転換し、形質転換された細菌の培養物をプレーティングして同定する。改変されたベクターの同定法は、選択した形質転換体のDNAをニトロセルロースフィルター又は別の膜に転写すること、及び、抽出物のハイブリダイゼーションが改変された配列に適合させるが、本来の非変異ストランドとのハイブリダイゼーションを生じさせない温度で、リン酸化された合成変異原プライマーとハイブリダイズする「リフト(lifts)」を含むことがある。次に、プローブとハイブリダイズするDNAを含む形質転換体を培養し(このDNAの配列は、通常、配列解析によって確認される)、改変DNAの貯蔵庫として利用する。
【0197】
組換宿主細胞でタンパク質が発現されると、タンパク質を精製することが望ましいであろう。さまざまな精製手順を使用して、本発明の組換型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを精製することができる。例としては、米国特許第4,889,818号、第5,352,600号、及び第5,079,352号に記載されたTaq DNAポリメラーゼ精製法、米国特許第5,618,711号及び第5,310,652号に記載されたサーマス・サーモフィルス(Tth)由来のDNAポリメラーゼの精製法、米国特許第5.374,553号及び第5,420,029号に記載されたTma DNAポリメラーゼの精製法などが挙げられる。これらのDNAポリメラーゼを精製する方法は、米国特許第5,466,591号にも記載されている。上記の特許文献のすべては、参照により本明細書に取り込まれる。
【0198】
本発明の一側面では、中温性細菌宿主細胞である大腸菌においてDNAポリメラーゼの発現を行なう。ほとんどの大腸菌宿主タンパク質は熱感受性であるため、熱でクルードライゼートを不活性化することによって、実質的に組換型の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを集積させることができる。このステップを十分な量の塩(一般的には、0.2〜0.4M硫酸アンモニウム)存在下で行なって、DNAポリメラーゼと他の細胞ライゼート中のタンパク質とのイオン性相互作用を低下させる。一つの態様において、下記実施例3に記載された方法を用いて、精製されたDNAポリメラーゼの活性をアッセイする。
【0199】
長期安定性のため、精製DNAポリメラーゼ酵素を、1種類以上の非イオン性ポリマー性界面活性剤を含む緩衝液の中で保存すべきである。このような界面活性剤は、通常、約100〜250,000、好ましくは約4,000〜200,000ダルトンの分子量をもち、約3.5〜約9.5、好ましくは、約4〜8.5のpHで酵素を安定化させるものである。このような界面活性剤の例としては、その全体が参照により本明細書に取り込まれるMcCutcheon Division of MC Publising Co., 175 Rock Road, Glen Rock, NJ(USA)によって出版されたMcCutcheon’s「Emulsifiers & Detergents」、北米版(1983)の第295〜298頁に具体的に記載されているものが挙げられる。一つの態様において、界面活性剤は、エトキシル化された脂肪族アルコールエーテル及びラウリルエーテル、エトキシル化アルキルフェノール、オクチルフェノキシ・ポリエトキシエタノール化合物、修飾オキシエチル化及び/又はオキシプロピル化直鎖アルコール、ポリエチレングリコール・モノオレイン酸化合物、ポリソルベート化合物、及びフェノール性脂肪属アルコールエーテルを含む群から選択される。別の態様において、界面活性剤は、ICIアメリカンズ社(ICI Americans Inc.), Wilmington, DE)のポリオキシエチル化(20)ソルビタンモノラウリル酸であるTween 20TM、及び、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp., Parsippany, NJ)から発売されているエトキシル化アルキルフェノール(nonyl)である登録商標IconolTM NP-40を含む群から選択される。
【0200】
6.本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの使用
本発明の熱安定性又は熱活性酵素は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼを必要又は所望される目的のために使用することができる。一つの態様において、前記酵素は、PCRに使用される。PCRを用いた応用の例としては、例えば、ゲノムDNA又はcDNAからの直接的クローニング、DNAのインビトロでの変異導入及び改造、法医学試料の遺伝子フィンガープリンティング、感染性病原体の測定、遺伝子疾患の出生前診断、アレル配列バリエーションの解析、RNA転写物の構造解析、ゲノムフットプリンティング、並びにゲノムDNA及びcDNAの直接塩基配列決定などが挙げられる。例えば、その全体が参照により本明細書に取り込まれるCurrent Protocols in Molecular Biology、2001、Ausubelら(編)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons)の第15章、及びPCR Strategies、1995、Innisら(編)、アカデミックプレス社(Academic Press, Inc.)を参照のこと。
【0201】
7.キット
本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼは、キットを作製するのに適する。本発明の変異型DNAポリメラーゼを含有したキットは、キットの組成に応じて、周知技術によるDNA分子の検出用標識、DNAシークエンス、又はDNA分子の増幅に用いられるであろう。このようなキットは、密閉して収納するように隔離されたバイアル、試験管などの1個以上の容器に入れて渡すよう区分化されている運搬手段を含有してもよい。このような容器のそれぞれは、DNAシークエンス、DNA標識、又はDNA増幅を行なうのに必要な成分又は成分混合物を含む。
【0202】
DNAシークエンス用キットは、いくつかの容器を含有してもよい。第一の容器は、例えば、本発明の熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの実質的に精製された試料を含んでもよい。第二の容器には、DNA鋳型に相補的なDNA分子を合成するのに必要な1種類以上のヌクレオチドを含んでもよい。第三の容器は、1種類以上の種々のタイプのジデオキシヌクレオチド三リン酸を含んでもよい。上記の容器の他に、1種類以上のDNAプライマーを含むさらに別の容器がキットに含まれているかもしれない。
【0203】
DNA増幅に用いるキットは、例えば、実質的に純粋な本発明の変異型DNAポリメラーゼを含む第一の容器と、単一の種類のヌクレオチド、又はヌクレオチドの混合物を含む別の一つ以上の容器とを含有してもよい。DNA増幅用キットには、種々のプライマーを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0204】
所望であれば、本発明のキットは、DNA分子を合成又はシークエンスする際、使用してもよい検出可能に標識したヌクレオチドを含む容器を含んでもよい。このようなヌクレオチドを検出するために多数の標識のうちの一つを用いることができる。例示的な標識としては、限定されないが、放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、及び酵素標識など、又は、直接的又は間接的にヌクレオチド若しくは核酸を標識するための他の標識が挙げられる。
【0205】
【実施例】
下記実施例は、本発明を限定するものではなく、実施例中のパーセンテージは、特段の記載がない限り、固体については重量により、液体であれば容量による。
【0206】
実施例1:pCS6及びpCS5の変異導入
本実施例では、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの部位特異的変異導入について説明する。
【0207】
第1ラウンドの変異導入では、部位特異的変異導入アプローチを用いて熱安定性DNAポリメラーゼ内の残基であって、クレノウフラグメントのプルーフリーディングドメインの活性部位に二価金属カチオンを配位させるのに重要なことが知られている相同的残基か、相同的残基の間にある残基を変更した。その全体が参照により本明細書に取り込まれるDerbyshireら、1995、Methods in Enzymology 262:363-85を参照のこと。変異型キメラ熱安定性DNAポリメラーゼCS6をコードするプラスミドpCS6を用いた。Figure 5参照。CS6は、キメラ熱安定性DNAポリメラーゼCS5の変異型である。Figure 4参照。CS5のN-末端部分は、サーマス・スピーシーズZ05に由来するDNAポリメラーゼのN-末端側291個の残基であって、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性をコードする部分である。米国特許第6,228,628号参照。CS5の残部は、Tma DNAポリメラーゼに由来するC-末端側602残基であり、その3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とそのDNAポリメラーゼ活性とを含有する。CS6は、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインにおいて、D323A及びE325A変異(別段の記載がない限り、野生型Tma酵素の残基番号を終始に使用する)を有する以外はCS5と同一である。本明細書に示すように、これらの変異によって、CS6は検出可能な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を持たなくなった。
【0208】
323位と325位の酸性残基と324位のロイシン残基を標的とした。同一の基本的方法を用いて、各変異(後に説明するように、D323E変異以外の変異)を作出した。表2に示すように、縮重オリゴヌクレオチドペアを合成した。各ペアの縮重オリゴヌクレオチドの一つは11重合体であり、もう一方は17マーであった。縮重したヌクレオチド以外に、11マーの各オリゴヌクレオチドペアは、17マーのペアの11ヌクレオチドのサブシークエンスに完全に相補的であった。D323E変異では、表2に示すように、相補オリゴヌクレオチドの非縮重ペアを設計した。それらの縮重位置で互いに完全に相補的なオリゴヌクレオチドがアニールして、表2に示すように、一方の末端で3’-TA突出部に隣接し、他方の末端で5’-CTAG突出部に近接する11マーのdsDNA鎖を形成させるように、各ペアの縮重オリゴヌクレオチドをアニーリング条件下で混合した。これらの末端は、それぞれ制限酵素SgfI及びSpeIによって作出された末端と適合する。したがって、各アニーリング反応は、表2に示すような完全に相補的でアニールしたオリゴヌクレオチドペアの混合物を生成した。
【0209】
次に、5μgのpCS6を、15ユニットの制限酵素SpeIと、50mM Tris-HCl、10mM MgCl2、10mM NaCl、pH 7.5とを含有した25μlの反応液中、37℃で2.5時間消化した。75℃で10分間加熱してこの酵素を不活性化し、ついで、室温まで冷却した。そして、15ユニットの制限酵素SgfIを加えて、さらに37℃で2時間インキュベーションを続けた。さらに、反応液を25℃に一晩置いた。これらのステップでpCS6を直鎖状にし、323位と325位との2個の酸性残基(pCS6で変異する残基)と324位のロイシンを除去した。また、アニールした縮重プライマーのペアの末端に適合する末端も残った。
【0210】
別の反応において、各0.5pmolのアニールしたオリゴヌクレオチドペアの混合物を、供給された緩衝液の中で0.1pmolの直鎖化pCS6、及び0.5ユニットのT4 DNAリガーゼ〔アマーシャム・ファルマシアバイオテックAB社(Amersham Pharmacia Biotech AB), Uppsala, Sweden)〕と混合し、4℃で一晩インキュベートした。
【0211】
次に、各ライゲーション混合物1μl(20ng)を用い、GENE PULSERTM(ジーンパルサー)エレクトロポレーター〔バイオラッド社(Bio-Rad), Hercules CA〕を本質的に製造業者の指示どおりに用いて大腸菌DG116株を形質転換した。電気穿孔された細胞を1mlのSOC培地で希釈し、30℃で1時間攪拌させながらインキュベートした。形質転換細胞を選抜するために、100μg/mlのアンピシリンを添加したLBプレート上で、再懸濁した細胞の50又は100μlの等量液を培養し、一晩インキュベートした。
【0212】
形質転換毎に、5個のコロニーを選んでPCR増幅と制限解析とを行ない、もしあれば、それらが、どの変異型pCS6プラスミドを含むかを判定した。各コロニーを、PCR緩衝液II〔PE-アプライドバイオシステムズ社(PE-Applied BioSystems), Redwood City, CA〕、40μMのdNTP混合物と各20pmolのプライマーCS4及びCS1Aとを含む50μlのマスター混合物に懸濁した。
【0213】
CS1A: GTATGTAGTACGCTTCCTTTGGTTTGAA (配列番号:35)
CS4: TGGCTTTGGGAGAAGTACGGCCT (配列番号:36)
【0214】
各コロニーの増幅DNAが合成オリゴヌクレオチドを正確に取り込んでいるか、また、取り込んでいるとすればどの変異配列を取り込んでいるかを判定するために、表3に示すように、判断のための一連の制限酵素で各コロニーの増幅DNAを消化した。ついで、正しい制限酵素部位のパターンを有するクローンについて、挿入断片の領域をシークエンスして、さらに使用するために選択した各プラスミドが、所望の変異のみを取り込んでいることを確認した。
【0215】
【表2】
Figure 0004034684
【0216】
【表3】
Figure 0004034684
【0217】
第二ラウンドの変異導入においては、PCRを利用した部位特異的変異導入法を用いて、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の基質の結合に寄与することが知られているか、寄与すると推定されている残基を標的とした。表4に示すように、変異導入毎にプライマーのペアを設計した。各プライマーペアによって、pCS5のポリメラーゼをコードする遺伝子の部分の増幅が可能になった。一つのプライマーペアだけをL329A変異のために使用した。前記変異では、前記ペアの一方のプライマーがアンプリコンに変異を導入し、両方のプライマーも、その末端に制限酵素部位を含み、同じ酵素で切断されたpCS5にサブクロニーングでき、L329A変異を有するZ05-TmaハイブリッドDNAポリメラーゼをコードする発現プラスミドが生成する。第二ラウンドの変異導入において、残りの変異のそれぞれを、二組のプライマーペアを用いて創出した。それぞれの変異について、各ペアの一つのプライマーが所望の変異を含むが、他の点では、pCS5に相補的あった。各ペアの他方のプライマーは、pCS5の部分に完全に相補的であった。pCS5を鋳型として用いたPCRを各プライマーペア毎に別々に行なった。これらの反応は、約35ヌクレオチドがオーバーラップするアンプリコンを生じた。このアンプリコンのオーバーラップ部分は所望の変異を含んだ。次に、二種類の部分的に重複するアンプリコンを混合し、各ペアの隣接配列プライマー(すなわち、変異配列を含有し、それぞれペアからの各増幅プライマー)を使用して、もう一度PCR増幅を行なった。この反応は、初期のPCRで生成した二種類の部分的に重複するアンプリコンからなる一つの大きなアンプリコンを生じた。隣接配列プライマーは、クローニングに有利な制限酵素部位を有するポリメラーゼをコードする遺伝子の部分に相補的であるよう設計された。ついで、それらの制限酵素でアンプリコンとpCS5とを消化し、混合し、ライゲーションして、所望の変異を含む発現プラスミドを作製した。ライゲーション産物を用いて、上記したようにして大腸菌を形質転換した。変異導入が成功したことを、表5に列挙した制限酵素部位を上記したように用いて確認した。
【0218】
【表4】
Figure 0004034684
【0219】
【表5】
Figure 0004034684
【0220】
実施例2:変異型熱安定性DNAポリメラーゼの製造及び精製
前記ライゲーション反応から得られたプラスミドは、λPLプロモーターの制御下にポリメラーゼ遺伝子を含む。cI857(熱不安定性)λリプレッサーを含む宿主細胞(DG116、ATCC53606)をプラスミドで形質転換した。野生型又は変異させたポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミドで形質転換されたDG116細胞を用いて、アンピシリン(100μg/ml)を含有した10mlの標準的フラスコ培地(SFM; グルコース、ビタミンB1、カザミノ酸、及び最少培地を含む)に植菌し、30℃、250rpmで生育させた。一晩培養した液のうち5mlを用いて450mlのSFM+アンピシリンに植菌し、培養液のOD600が0.6〜0.8になるまで30℃、250rpmで振とうした。ついで、培養液を37℃に移して、250rpmで一晩生育させて、温度誘導によるポリメラーゼ発現を行なった。例えば、米国特許第5,079,352号、第5,420,029号、及び第5,618,711号を参照。一晩培養したものを3,000×gで15分間沈殿させた。
【0221】
ペレットを、30mlの溶解用緩衝液(50mM Tris-HCl, pH 7.5, 10mM EDTA, 1mM DTT, 1mM Pefabloc, 1μg/mlロイペプチン, 0.2mM TLCK)に再懸濁し、細胞をフレンチプレスによって16,000 psiで溶解させた。この溶解細胞懸濁液を0.2M (NH4)2SO4に入れ、75℃で15分間加熱して、大腸菌の宿主タンパク質を不活性化し変性させた。加熱した抽出物を0℃で15分間冷却し、0.6%ポリエチレンアミンになるよう調整して、宿主DNAを沈殿させ、6,000×gで30分間遠心分離した。清澄になった抽出物を、50mM Tris-HCl、pH7.5、10mM EDTA、1mM DTT、0.2M (NH4)2SO4、で事前に平衡させておいた2mlのフェニル-セファロースカラムに負荷した。前記カラムを6mlの平衡化用緩衝液で洗浄し、2mlの50mM Tris-HCl、pH7.5、10mM EDTA、1mM DTTで洗浄し、最後に2mlの50mM Tris-HCl、pH7.5、10mM EDTA、1mM DTT、20%エチレングリコールで洗浄した。このタンパク質を50mM Tris-HCl、pH7.5、10mM EDTA、1mM DTT、2.5M尿素で溶出した。溶出液を100mM KClになるよう調整し、25mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA、1mM DTT、100mM KClで事前に平衡化させておいた2mlのヘパリン−セファロースカラムに負荷した。このカラムを6mlの平衡化用緩衝液で洗浄してから、6mlの25mM Tris-HCl、pH 7.5、1mM EDTA、1mM DTT、400mM KClで溶出させた。透析と希釈とによって最終溶出物を20mM Tris-HCl、pH8.0、0.1mM EDTA、100mM KCl、1mM DTT、0.2% TWEEN 20、50% v/vグリセロールになるように、調整し、−20℃で保存した。
【0222】
実施例3:3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の標準アッセイ
下記実施例は、熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定するための標準アッセイと、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のユニットの定義を提供する。
【0223】
CS5の変異型派生体の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を比較するために、カルボキシフルオレセイン(FAM)-標識した一本鎖オリゴヌクレオチド基質NJS40の分解を測定した。
【0224】
NJS40: FAM GCGCTAGGGCGCTGGCAAGTGTAGCGGTCAC (配列番号:80)
【0225】
標準アッセイ(40μl)は、50mMトリシン、pH8.3、25mM KOAc、5% w/v DMSO、0.5mM Mn(OAc)2及び酵素保存緩衝液から5% (v/v)の寄与(contributions)(反応液中:1mM Tris、pH8.0、5mM KCl、0.005mM EDTA、0.025% TWEEN-20、0.05mM DTT、2.5% グリセロール)の中、4pmol(100nM)のFAM−標識一本鎖NJS40オリゴヌクレオチドを含んだ。NJS40とMn(OAc)2との添加により反応を開始させ、63℃で15分間インキュベートした。40μlの50mM EDTAを加えて反応を停止させた。酵素濃度と反応時間を、線形性が達成されるよう調整した。反応は、0.5〜10ミリユニットの酵素に対応して、最初のオリゴヌクレオチドの短い産物への変換率が約1〜20%にわたる範囲で直線状になる;酵素濃度は、基質濃度よりも常に低くなった。停止反応溶液をホルムアミドで0.1 nMオリゴヌクレオチドになるよう希釈し、キャピラリー電気泳動〔ABI 3100、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)、Foster City CA〕によって解析した。GENESCANTM(ジーンスキャン)ソフトウエア〔アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)、Foster City CA〕を用いて、出発サイズと分解されたオリゴヌクレオチドのピークの高さを測定した。短いオリゴヌクレオチド産物に変換されたオリゴヌクレオチドのpmol量は、
{1-(15分後に残っているPnの相対量)}×(反応開始時におけるPnのpmol)
〔式中、Pnは、最初の長さnの基質オリゴヌクレオチド(NJS40)である〕
に等しい。15分後に残存するPnの相対量は、最初のサイズのオリゴヌクレオチドに対応するピークの高さを測定し、それを、すべてのピークの高さを合計したもので割ることにより決定した。そのため、このアッセイは、オリゴヌクレオチドNJS40から3’末端ヌクレオチドを解離させる速度を測定する。1ユニットの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、標準アッセイ条件下で15分間に50pmolの一本鎖NJS40オリゴヌクレオチドを短い長さのオリゴヌクレオチドに変化するのを触媒する。
【0226】
上記したようにして作製された変異型ポリメラーゼの特徴について、標準アッセイを用いて調べた。これらのアッセイの結果を表6の「ssDNA」と表示された欄に示す。
【0227】
米国特許第4,889,818号に記載されているアッセイ法を用いて、各変異型酵素のポリメラーゼ活性を測定した。すなわち、保存用緩衝液(20mM Tris, 100mM KCl, 0.1mM EDTA, 0.5% TWEEN-20,1mM DTT, 50% グリセロール)での酵素保存液のある量を酵素希釈液(25mM Tris-HCl, pH8.0, 50mM KCl, 1mM β-メルカプトエタノール、0.5% TWEEN-20, 0.5% NP40, 100μg/mlゼラチン)で希釈して、各アッセイ当たり約0.02から0.1ユニットのポリメラーゼ活性が得られた。5mlの希釈した酵素液を45μlの反応緩衝液(25mM TAPS, pH 9,4, 50mM KCl, 2mM MgCl2, 1mM β-メルカプトエタノール、200μM d(GTA)TP, 100μM α-33P-dCTP, 30μgの活性化サケ精子DNA(「活性化」DNAとは、DNAの5%が酸可溶性画分に移行するまでDNase Iで部分加水分解した後の天然型DNA調製物である)に加えた。反応液を74℃で10分間インキュベートし、ついで、10μlの60mM EDTAで停止させた。50μg/mlのキャリアDNA(21ゲージの注射針に通して剪断したサケ精子DNA)を含む2mM EDTA, pH8.0 1mlを含む試験管に、各停止反応液から50μlを添加した。1mlの20%トリクロロ酢酸(TCA)と2%ピロリン酸ナトリウムとを添加し、ボルテックス攪拌器(vortex agitator)を用いて試験管をゆっくりと攪拌させた。前記試験管を10〜20分間氷上でインキュベートし、DNAを完全に沈殿させた。沈殿DNAを、真空濾過用マニホールド上のGF/Cフィルター上に集めた。このフィルターを、5% TCA, 1% ピロリン酸ナトリウムで、次に20% TCAで、最後に95%エタノールで3回洗浄した。機器のバックグランドを測定するために2枚のブランクフィルターを同じように処理した。登録商標OMNIFLUOR〔パッカードバイオサイエンスB.V.社(Packard BioScience B.V.), Groningen, The Netherlands〕とLS6000ICTMシンチレーションカウンター(カリフォルニア州フラートン(Fullerton CA)にあるベックマン・コールター社(Beckman Coulter))を用いて、沈殿したDNAに取り込まれた放射活性を定量した。1ユニットのポリメラーゼ活性は、上記に示されたアッセイ条件を用いて、全部で10 nmoleのdNMPがTCA沈殿させたDNA産物に30分間で取り込まれるのに必要な酵素量と定義される。
【0228】
実施例4:3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定するための変形アッセイ
標準アッセイの2つの変法を用いても、上記した変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の特徴を調べた。これらの変形アッセイは、それぞれが異なった基質を使用する以外は、標準アッセイと同一であった。標準アッセイの場合と同じように、各変形アッセイにおいても、オリゴヌクレオチドNJS40からの3’末端ヌクレオチドの解離速度を測定した。しかしながら、変形アッセイでは、NJS40を相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。第一変形アッセイでは、完全に一致する二本鎖DNA基質:
【0229】
Figure 0004034684
【0230】
が用いられた。
【0231】
第一変形アッセイを用いた上記変異型に関する結果を表6の「dsDNA」と表示された欄に示す。
【0232】
第二変形アッセイでは、ミスマッチを含む二本鎖DNA基質:
【0233】
Figure 0004034684
【0234】
が用いられた。
【0235】
第二変形アッセイを用いた上記変異型に関する結果を表6の「ミスマッチを有するdsDNA」と表示された欄に示す。
【0236】
【表6】
Figure 0004034684
【0237】
実施例5:変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ及び変異型大腸菌DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の比較
本実施例は、変異型熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を類似したEco DNA Pol I変異型ポリメラーゼの酵素的性質からは予測できないことを示す。表7は、第二ラウンドのポリメラーゼ変異体とそれに類似した大腸菌Pol変異体の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性との比較を示す。
【0238】
【表7】
Figure 0004034684
【0239】
表7に示した結果は、Eco DNAポリメラーゼとCS5 DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインにおける類似変異が、野生型酵素活性に較べると、しばしば酵素のプルーフリーディング活性に対して異なる影響を有することを示す。Eco Q419A変異体とCS5 Q384A変異体との比較は、これら2種類の酵素における類似変異が、これらの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に同じように影響することが分かる。しかし、いくつかの類似変異体では、酵素活性に大きな違いが見られる。いくつかの変異体ペアにおいて、この違いは、単に量的なものである。例えば、Eco Y497A変異体は、ssDNAとdsDNAの両基質に対し,CS5 Y464A変異体よりも実質的に高い残存酵素活性を有する。他の類似変異体は、さらに質的な違いを示す。例えば、Eco L361A及びD424E変異体はともに、dsDNA基質よりもssDNA基質に対して、より強い活性を示す。しかし、類似CS5変異体(それぞれL329A及びD389E)は、ssDNA及びdsDNAの両基質に対して同じような残存酵素活性を有する。
【0240】
実施例6:弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異型熱安定性DNAポリメラーゼのPCRへの利用
HIV薬剤耐性アッセイを用いて、変異型酵素Y464A、D389E、L329A、Q484A/N385A、Q384A、N385A、及びL324Qについて、逆転写酵素/PCR活性を調べた。120ユニットのCS6(検出可能な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもたない)と5ユニットのCS5(野生型3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する)との混合物を対照として使用した。1.7 kb HIVアッセイ条件〔50mM Tricine, pH8.3, 45mM KOAc, pH7.5, 0.9mM Mn(OAc)2,5% DMSO, 0.2mM d(AGC)TP, 0.3mM dUTP, 0.03mM dTTP, 0.2×SYBR Green I, G46E CS5/CS6酵素混合物(5/125ユニット)、又は各変異型酵素の60若しくは30ユニットのポリメラーゼ活性、1ユニットのUNG、及び各々0.4M(-1)2’-アミノ修飾プライマー(RN326とRN328)、及び動力学的サーモサイクリング、Myersら、2000、抗ウイルス治療(Antiviral Therapy) 5: 要約49を参照)を用いて、特異的かつ感度よくプロテアーゼ遺伝子とHIVの逆転写酵素遺伝子の最初の400コドンとを増幅した。
【0241】
RN326: GAGGGGTATTGACAAACTCCCACTCAGGAATCXA (X=2'アミノdC)
(配列番号:83)
RN328: GGGAATTTTCTTCAGAGCAGACCAGAGCCAAXA (X=2'アミノdC)
(配列番号:84)
【0242】
GENEAMPTM(ジーンアンプ)5700SDSサーモサイクラー〔PEバイオシステムズ社(PE Biosystems)、Foster City CA〕を下記サーモサイクリングプロトコール:50℃で2分間、60℃で60分間及び95℃で1分間の後、95℃で20秒間と、58℃で15秒間と、65℃で1分45秒間とを4サイクル、その後90℃で20秒間と、58℃で15秒間と、65℃で1分45秒間とを36サイクル、その後65℃で10分間保温、で用いた。PCR増幅の増加曲線をFigure 9に示す。同じプロトコールを用、さまざまな量の酵素による増幅を行ない、ゲル電気泳動を用いて解析した。PCRを行なった後、各100μlの反応液から5μlを1%アガロースゲルに負荷し、本質的には、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、1989、第2版に記載されるように泳動した。エチジウムブロマイドの1μg/ml溶液を用いてゲルを染色した。得られたゲルをFigure 10に示す。Figure 10において、レーン20、40、及び48=分子量マーカーであるBstII消化したラムダDNA〔ニューイングランド・バイオラボズ社(New England Biolabs)、Beverly, MA〕;レーン36〜38及び58〜60=陰性対照(5 UのCS5, 125UのCS6、鋳型なし);レーン33〜35及び55〜57=陽性対照(5 UのCS5, 125UのCS6);レーン1〜3=60 UのY464A CS5;レーン4〜6=30UのY464A CS5;レーン7〜9=60 UのD389E CS5;レーン10〜12=30 UのD389E CS5;レーン13〜15=60 UのL329A CS5;レーン16〜18=30 UのL329A CS5;レーン21〜23=60 UのQ384A-N385A CS5;レーン24〜26=30 UのQ384A-N385A CS5;レーン27〜29=60 UのQ384A CS5;レーン30〜32=30 UのQ384A CS5;レーン41〜43=60 UのN385A CS5;レーン44〜46=30 UのN385A CS5;レーン49〜51=60 UのL324Q CS5;レーン52〜54=30 UのL329Q CS5(ここで、すべてのユニット数はDNAポリメラーゼ活性を表す)。
【0243】
変異型酵素を、それらのCT値(Figure 9)と、それらの特異的及び非特異的増幅産物の収率とによって判断し、増幅産物のゲル解析を用いて検出した(Figure 10)。これらの結果は、(実施例3に記載した標準アッセイを用いて測定すると)野生型レベルの3%よりも高いが20%未満のプルーフリーディング活性を有する変異体が、1.7kbのHIV RNA鋳型の逆転写によるPCR増幅でうまく機能することを実証する。また、これらの変異体は、0.4〜1.6U/pmolの比活性をもち、また、実施例3に記載されたようにして酵素活性を測定すると、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対するポリメラーゼ活性の比率が6.0U pol/U exoよりも大きいが、25.0U pol/U exoよりも低く、得られたPCRの結果は、CS5とCS6との混合物で得られた結果に匹敵するものであった。Q384A CS5とN385A CS5も、それらの増幅産物をゲル解析したところうまく機能したが、それらのCT値によって判断した場合には同じようではなかった。
【0244】
実施例7:熱安定性又は熱活性ファミリーA DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を弱化するための部位特異的変異導入を行なうための標的残基の同定
本実施例は、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異体を同定するために変異・試験することのできる熱安定性又は熱活性ファミリーA DNAポリメラーゼにおける残基を同定する方法を提供する。
【0245】
XSAEプログラム(Higginsら、1992,Cabios 8, 189-91参照)の「3D>配列接触(3D>sequence contacts)」特性を用いて、3’−5’エキソヌクレアーゼ部分においてDNAと複合した大腸菌Pol IのX線構造(Brautiganら、1998、J. Mol. Biol. 277: 363-77参照)を解析して、DNA基質(1kfs.pdb, B鎖)の5A内にある選択したタンパク質(Pol I; 1kfs.pdb, A鎖)の残基すべてを同定した。この方法を用いて、表8中の残基を大腸菌Pol Iにおいて同定した。ポリメラーゼの配列アラインメントを調べることによって(例えば、Figure 8に示すようにして)、熱安定性又は熱活性ファミリーA DNAポリメラーゼにおける類似残基を同定することができる。次に、これらの候補残基を変異させてから、例えば、実施例3に記載された標準アッセイを用いて、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を調べることができる。
【0246】
【表8】
Figure 0004034684
【0247】
実施例8:弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するファミリーB DNAポリメラーゼの変異体の同定
本明細書に開示されているように、当業者は、本開示内容に従って、例えば、本明細書に記載されているTma DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの変異に対応する3’−5’エキソヌクレアーゼドメインにおける変異を作出することによって、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するファミリーAのDNAポリメラーゼの変異体を容易に作製することができる。Tma DNAポリメラーゼとファミリーBのDNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの間に有意な配列類似性のある唯一の領域は「DXE」金属結合モチーフであるため、弱化プルーフリーディング活性を有するファミリーBのDNAポリメラーゼの変異体を設計するためのかかる配列を利用したアプローチには限られた利用法しかない。しかし、X線結晶研究によって、ファミリーAポリメラーゼ及びファミリーBポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインが同じような三次元構造を有することが示されている。Zhaoら、1999,Structure Fold Des. 7:1189-99, Karamら、2000,Prog, Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 64:65-96, Hopfnerら、1999、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3600-5, Wangら、1997、Cell 89:1087-99を参照。このため、弱化校正作用を有するファミリーB DNAポリメラーゼを作出するために変異させることのできる残基を同定するための構造利用法が開発された。
【0248】
Figure 11は、ファミリーB DNAポリメラーゼである大腸菌のPol II DNAポリメラーゼを、多くの別のファミリーB DNAポリメラーゼとアラインメントした図である。これらのタンパク質の全部又は殆ど全部で保存される残基を、それらの保存がプルーフリーディング機能にとって重要であることを示すという仮定に基づいて単純に同定するのではなく、むしろバクテリオファージRB69(Shamooら、1999、Cell 99:155-66; 構造はプロテインデータバンク(Bermanら、2000、Nucleic Acids Res. 28:235-42; www.pdb.org/)からPDB識別番号1CLQとして利用可能である)から単離したファミリーB DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの三次元構造を調べて、Tmaのプルーフリーディングドメインと比較した。これらのタンパク質のそれぞれにおいて、プルーフリーディングドメインに結合した一本鎖DNA配列の3’末端ヌクレオチドと接触すると推定された残基のすべてを同定した。この情報と、Figure 11の配列アラインメントとを用いて、下記の表9に示すように他のファミリーB DNAポリメラーゼにおける類似残基を同定した。これらのデータは、これら特定の位置における変異が、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ分子をもたらすことを示す。
【0249】
【表9】
Figure 0004034684
【0250】
前記実施例は、予測的なものも実際的なものも、例示のために提示されたものにすぎず、いかなる点においても、本願発明の範囲を制限するものではない。
【0251】
本明細書において、引用された全ての文献は、それらの全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0252】
【発明の効果】
本発明の弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する修飾熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ、弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するキメラ熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼ等によれば、PCR等に用いた場合、高い忠実度で、高い複製効率で、迅速かつ経済的に核酸合成を行なうことができるというすぐれた効果を奏する。
【0253】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 Figure 1Aは、サーモトガ・マリティマ(Tma) DNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号:85)を示す。3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、およそ292から487番目のアミノ酸残基(配列番号:86)の範囲内に位置し、これらの残基には下線が付与されている。
【図2】 Figure 1B は、 Figure 1A のアミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号: 87 )を示す。
【図3】 Figure 1B は、 Figure 1A のアミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号: 87 )を示す。
【図4】 Figure 2 は、サーモトガ・ネアポリタナ (Tne) DNA ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの領域のアミノ酸配列(配列番号: 88 )を示す。
【図5】 Figure 3 は、サーモシフォ・アフリカヌス (Taf) DNA ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの領域のアミノ酸配列(配列番号: 89 )を示す。
【図6】 Figure 4A は、キメラ熱安定性 DNA ポリメラーゼ CS5 のアミノ酸配列(配列番号: 90 )を示す。3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、およそ 292 から 487 番目の残基まで広がり、これらの残基には下線が付与されている(配列番号: 91 )。 1-291 番目の残基(配列番号: 92 )は Z05 DNA ポリメラーゼに由来し、そして矢印で示される 292-893 番目の残基(配列番号: 93 )は、 Tma DNA ポリメラーゼに由来する。第二ラウンドの変異誘発の際に導入されるアミノ酸残基の置換を、置換される残基の真上に表しており、それらを太字で示す: L329A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 94 ;タンパク質全体、配列番号: 95 )、 Q384A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 96 ;タンパク質全体、配列番号: 97 )、 N385A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号 98 ;タンパク質全体、配列番号: 99 )、 Q384A N385A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 100 ;タンパク質全体、配列番号: 101 )、 D389E (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 102 ;タンパク質全体、配列番号: 103 )及び Y464A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 104 ;タンパク質全体、配列番号: 105)
【図7】 Figure 4B は、 CS5 をコードする核酸配列(配列番号: 106 )を示す。
【図8】 Figure 4B は、 CS5 をコードする核酸配列(配列番号: 106 )を示す。
【図9】 Figure 5A は、キメラ熱安定性 DNA ポリメラーゼ CS6 のアミノ酸配列(配列番号: 107 )を示す。3’−5’エキソヌクレアーゼドメインは、およそ 292 から 487 番目の残基まで広がり、これらの残基には下線が付与されている(配列番号: 108 )。 1-291 番目の残基(配列番号: 109 )は Z05 DNA ポリメラーゼに由来し、 323-325 番目の残基が既に配列 ALA で置換されていることを除いて、矢印で示される 292-893 番目の残基(配列番号: 110 )は Tma DNA ポリメラーゼに由来する。一順目の突然変異誘発の際に導入されるアミノ酸残基の置換を、置換される残基の真上に表しており、それらを太字で示す: DEE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 111 ;タンパク質全体、配列番号: 112 )、 DDE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 113 ;タンパク質全体、配列番号: 114 )、 DKE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 115 ;タンパク質全体、配列番号 :116 )、 DNE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 117 ;タンパク質全体、配列番号: 118 )、 DQE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 119 ;タンパク質全体、配列番号: 120 )、 DHE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 121 ;タンパク質全体、配列番号: 122 )、 DLD (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 123 ;タンパク質全体、配列番号: 124 )、 ELD (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 125 ;タンパク質全体、配列番号: 126 )、 ELE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 127 ;タンパク質全体、配列番号: 128 )。
【図10】 Figure 5B は、 CS6 をコードする核酸配列(配列番号: 129 )を示す。
【図11】 Figure 5B は、 CS6 をコードする核酸配列(配列番号: 129 )を示す。
【図12】 Figure 6A は、キメラ熱安定性 DNA ポリメラーゼ CS7 のアミノ酸配列(配列番号: 130 )を示す。3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはおよそ残基 292 から残基 487 程度まで広がり、これらの残基には下線が付与されている(配列番号: 131 )。 1-291 番目の残基(配列番号: 132 )及び残基 485-894 (配列番号: 133 )は Z05 DNA ポリメラーゼに由来し、そして矢印で示されるように、 292-484 番目の残基(配列番号: 134 )は Tma DNA ポリメラーゼに由来する。第二ラウンドの突然変異誘発の際に CS5 内に導入される、これらと類似するアミノ酸残基の置換を、置換される残基の上に直接現しており、それらを太字で示す: L329A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 135 ;タンパク質全体、配列番号: 136 )、 Q384A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 137 ;タンパク質全体、配列番号: 138 )、 N385A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 139 ;タンパク質全体、配列番号: 140 )、 Q384A N385A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 141 ;タンパク質全体、配列番号: 142 )、 D389E (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 143 ;タンパク質全体、配列番号: 144 )及び Y464A (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 145 ;タンパク質全体、配列番号: 146 )。
【図13】 Figure 6B は、 CS7 をコードする核酸配列(配列番号: 147 )を示す。
【図14】 Figure 6B は、 CS7 をコードする核酸配列(配列番号: 147 )を示す。
【図15】 Figure 7A は、キメラ熱安定性 DNA ポリメラーゼ CS8 のアミノ酸配列(配列番号: 148 )を示す。3’−5’エキソヌクレアーゼドメインはおよそ 292 から 487 番目の残基まで広がり、これらの残基には下線が付与されている(配列番号: 149 )。残基 1-291 (配列番号: 150 )及び残基 485-894 (配列番号: 151 )は Z05 DNA ポリメラーゼに由来し、 323-325 番目の残基が既に配列 ALA で置換されていたことを除いて、矢印で示されるように、 292-484 番目の残基(配列番号: 152 )は Tma DNA ポリメラーゼに由来する。第二ラウンドの CS5 の変異誘発の際に導入される、これらと類似するアミノ酸残基の置換を、置換される残基の真上に表しており、それらを太字で示す: DEE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 153 ;タンパク質全体、配列番号: 154 )、 DDE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 155 ;タンパク質全体、配列番号: 156 )、 DKE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 157 ;タンパク質全体、配列番号: 158 )、 DNE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 159 ;タンパク質全体、配列番号: 160 )、 DQE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 161 ;タンパク質全体、配列番号: 162 )、 DHE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 163 ;タンパク質全体、配列番号: 164 )、 DLD (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 165 ;タンパク質全体、配列番号: 166 )、 ELD (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 167 ;タンパク質全体、配列番号: 168 )、 ELE (3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン、配列番号: 169 ;タンパク質全体、配列番号: 170 )。
【図16】 Figure 7B は、 CS8 (配列番号: 171 )をコードする核酸配列を示す。
【図17】 Figure 7B は、 CS8 (配列番号: 171 )をコードする核酸配列を示す。
【図18】 Figure 8 は、 Eco DNA ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメインの領域のアミノ酸配列と、他のファミリー A DNA ポリメラーゼのそれとの配列比較を示す: Tth (配列番号: 172 )、 Tca (配列番号: 173 )、 Z05 (配列番号: 174 )、 Taq (配列番号: 175 )、 Tfl (配列番号: 176 )、 Tfi (配列番号: 177 )、 Sps17 (配列番号: 178 )、 Dra (配列番号: 179 )、 HSP-B-7 (配列番号: 180 )、 Bst (配列番号: 181 )、 Bca (配列番号: 182 )、 E. coli (配列番号: 183 )、 Tma (配列番号: 184 )、 Tne (配列番号: 185 )、 Taf (配列番号: 186 )、 HSP-A 配列番号: 187 )。 Exo I (配列番号: 203 )、 Exo II (配列番号: 188 )、 Exo IIa (配列番号: 189 )及び Exo III (配列番号: 190 )モチーフは Tma を配列中、太字で示す。
【図19】 Figure 9A は、本発明の変異型 DNA ポリメラーゼを用いた、逆転写酵素/ 1.7kb HIV の鋳型の PCR 増幅の増加曲線を示す。
【図20】 Figure 9B は、本発明の変異型 DNA ポリメラーゼを用いた、逆転写酵素/ 1.7kb HIV の鋳型の PCR 増幅の増加曲線を示す。
【図21】 Figure 10 は、 Figure 9 PCR 増幅の逆転写酵素の増幅産物の電気泳動解析の写真を示す。
【図22】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図23】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図24】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図25】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図26】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図27】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図28】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図29】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DNA ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。
【図30】 Figure 11 は、 Eco Pol II ファミリー B DNA ポリメラーゼと、他のファミリー B の多数の DN A ポリメラーゼとの配列アラインメントを示す(配列番号: 191-202 )。

Claims (3)

  1. Tma DNA ポリメラーゼのアミノ酸配列において、323〜329位が下記配列からなる、配列モチーフ:
    式 DX1EX2X3SX4
    (式中、Dは、アスパラギン酸残基であり、X1は、グルタミン残基、ヒスチジン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、リジン残基、又はアスパラギン残基であり、Eは、グルタミン酸残基であり、X2は、スレオニン残基であり、X3は、任意のアミノ酸残基であり、Sは、セリン残基であり、X4は、ロイシン又はアラニン残基である)
    を含有した3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、かつ標準アッセイを用いて測定した場合、約6.5以下であるが0U/pmolより高い弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を呈する、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ。
  2. Tma DNA ポリメラーゼのアミノ酸配列において、323〜329位が下記配列からなる、配列モチーフ:
    式 DX1EX2X3SX4
    (式中、Dは、アスパラギン酸残基であり、X1は、グルタミン残基、ヒスチジン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、リジン残基、又はアスパラギン残基であり、Eは、グルタミン酸残基であり、X2は、スレオニン残基であり、X3は、任意のアミノ酸残基であり、Sは、セリン残基であり、X4は、ロイシン又はアラニン残基である)
    を含有した3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、5’−3’ポリメラーゼ活性と弱化3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とを有し、実施例3記載のように酵素活性を測定した場合、該3’−5’エキソヌクレアーゼ活性 U/pmolに対する該5’−3’ポリメラーゼ活性 U/pmolの比率が、約100から1である、単離された熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ。
  3. Tma DNA ポリメラーゼのアミノ酸配列において、323〜329位が下記配列からなる、配列モチーフ:
    式 DX1EX2X3SX4
    (式中、Dは、アスパラギン酸残基であり、X1は、グルタミン残基、ヒスチジン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、リジン残基、又はアスパラギン残基であり、Eは、グルタミン酸残基であり、X2は、スレオニン残基であり、X3は、任意のアミノ酸残基であり、Sは、セリン残基であり、X4は、ロイシン又はアラニン残基である)
    を含有した3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含有し、標準アッセイを用いて測定した場合、修飾前の熱安定性DNAポリメラーゼの約0.1から65%の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、単離された修飾熱安定性又は熱活性DNAポリメラーゼ。
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