JP4034575B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて優れた電磁変換特性及び走行耐久性を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用いられている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤(バインダ)中に分散された磁性層を非磁性支持体上に積層している。磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走行性能などの諸特性において高いレベルにあることが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が要求されている。また、ビデオテープについては、原画再生能力が優れているなど電磁変換特性が優れていることが要求されている。このような優れた電磁変換特性を有すると同時に、磁気記録媒体は良好な走行耐久性を持つことが要求されている。耐久性および電磁変換特性を向上させるためには、結合剤も重要な働きを担っている。結合剤としては、塩化ビニル系樹脂やポリウレタン樹脂が汎用されているが、ポリウレタン樹脂単独では、柔軟性に欠けるため、ポリウレタン樹脂と、ポリウレタン樹脂と相溶性の高い塩化ビニル系樹脂とを併用することが行われている。
【0003】
しかし、近年、廃棄後の環境対策負荷の問題から、脱塩ビの傾向が高まっている。また、塩化ビニル系樹脂は、塩酸ガスが発生し、ドライブの金属部分が腐食するという問題がある。従って、環境保全及び腐食防止の観点から、塩化ビニル系樹脂を用いないビニル系バインダーが提案されている。スチレン系共重合体や、アクリル系共重合体がその例である(特許第2616638号公報、特開平3−108122号公報等)。
【0004】
しかし、スチレン、アクリルを中心とするビニル系バインダーは、分散性が不十分であることや、脆いことが問題であった。更に、極めて平滑な磁性層を高速で記録再生ヘッドと接触させる近年の高密度記録用のデジタルビデオテープ、コンピューター用テープ、高容量フロッピーディスクでは、充分な耐久性を得ることができないという問題もあった。また、スチレン系やアクリル系共重合体は、ポリウレタンとの相溶性が不十分なため、強靭なバインダーとしてポリウレタン樹脂を併用したとしても、脆さを解決し、強靭な塗膜を形成することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、塩化ビニル系樹脂を含有しないビニル系バインダーを使用した場合であっても、分散性、塗膜強度及び耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、
支持体上に強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層1を有するか、又は非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層及び強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層2をこの順に有する磁気記録媒体であって、前記磁性層1に含まれる結合剤並びに前記非磁性層及び磁性層2に含まれる結合剤の少なくとも一方は、アミド基、−CN基、及び−(O)−SO3M、−(O)PO(OM)2、−COOM、−NR12、−NR123 +(Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれる吸着官能基を含有するビニル系ポリマーを含むことを特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持体上に磁性層1を有する磁気記録媒体と、非磁性層と磁性層2とをこの順に有する磁気記録媒体とを包含する。
磁性層1のみを有する磁気記録媒体の場合、以下に詳述するアミド基、−CN基、及び−(O)−SO3M、−(O)PO(OM)2、−COOM、−NR12、−NR123 +(Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれる吸着官能基を含有するビニル系ポリマー(以下、「ビニルポリマー」、又は「ビニル系ポリマー」ともいう)を含む結合剤は、磁性層1に含まれる。
非磁性層及び磁性層2を有する磁気記録媒体の場合、上記ビニルポリマーを含む結合剤は、非磁性層のみ、磁性層2のみ、又は非磁性層及び磁性層2、に含まれる。特に、上記ビニルポリマーを含む結合剤が、少なくとも非磁性層に含まれることが好ましい。
尚、以下において、「磁性層」とは、特に断らない限り、磁性層1及び磁性層2を意味する。
【0008】
以下、本発明の磁気記録媒体について更に詳細に説明する。
[結合剤]
本発明において、磁性層及び/又は非磁性層に含まれる結合剤は、アミド基、−CN基、及び−(O)−SO3M、−(O)PO(OM)2、−COOM、−NR12、−NR123 +(Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれる吸着官能基を含有するビニル系ポリマーを含む。上記ビニル系ポリマーは、塩素などのハロゲン元素を実質的に含まないポリマーである。従って、塩化ビニル系樹脂において問題となる環境汚染や脱塩酸ガス発生による腐食の問題がない。更に、上記ビニル系ポリマーは、ポリウレタンとの相溶性が高いため、ポリウレタン樹脂と併用することにより、極めて強靭かつ柔軟な塗膜を形成することができる。
【0009】
上記ビニル系ポリマーにおいて、アミド基、−CN基、吸着官能基は、各基を分子内に有するビニルモノマーを共重合することによって導入することができる。また、別方法として、予め重合したビニルポリマーに高分子反応によって、各基を導入することも可能である。但し、前記方法が簡便であり好ましい。
【0010】
アミド基含有のビニルモノマーとしては、アクリルアミドやその誘導体、メタクリルアミドやその誘導体が挙げられる。以下これらを(メタ)アクリルアミド誘導体と表現する。具体的化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N-secブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その他にN-ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、o-ビニルベンズアミド、m-ビニルベンズアミド、p-ビニルベンズアミド、N-メチル-p-ビニルベンズアミド、N,N-ジメチル-p-ビニルベンズアミド、N,N−ジエチル-p-ビニルベンズアミドなどを用いることもできる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドであり、更に好ましいものは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドである。
【0011】
-CN基含有のビニルモノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、又はこれらの誘導体、シアノアルキル基をもつアクリルアミド、例えばN,N−ビス(2-シアノエチル)-(メタ)アクリルアミド、 N-メチル-N-シアノエチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-シアノエチル(メタ)アクリルアミド、o-シアノスチレン、m-シアノスチレン、p-シアノスチレンなどが挙げられる。この中で好ましいものは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N,N−ビス(2-シアノエチル)-(メタ)アクリルアミドである。
【0012】
アミド基含有のビニルモノマーは、ビニルポリマー中に10〜70wt%含まれることが好ましく、20〜60wt%含まれることが更に好ましい。ポリマー中のアミド基濃度は、0.5〜3.7meq/gであることが好ましく、更に好ましくは0.8〜3.2meq/gであることが適当である。
−CN基含有のビニルモノマーは、ビニルポリマー中に5〜60wt%含まれることが好ましく、15〜40wt%含まれることが更に好ましい。ポリマー中の−CN基濃度は、0.9〜11meq/gであることが好ましく、更に好ましくは2.8〜7.5meq/gであることが適当である。
本発明において、結合剤に含まれるビニルポリマーに、上記範囲の量でアミド基および−CN基を導入すれば、塗膜の力学物性を強靭にすることができ、これらを含まないビニルポリマーに比べ、破断伸び、塗膜の降伏強度、降伏伸びを向上させ、磁気記録媒体の耐久性を向上させることができる。また、アミド基及び−CN基の含有量が上記範囲内であれば、溶剤溶解性が高く分散性も良好である。更に、アミド基及び−CN基を含むことにより、ポリウレタン樹脂を併用する場合にポリウレタン樹脂との相溶性が向上するため、さらに力学強度、耐久性を向上させることができる。
【0013】
本発明において、吸着官能基とは、強磁性粉体および非磁性粉体の表面にバインダー分子を吸着させることによって分散性を向上させる目的で結合剤に導入した、−(O)SO3M、−(O)PO(OM)2、−COOM、−NR12、−NR123 +から選ばれる親水性極性基(Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R1、R2、R3は水素原子又はアルキル基を表す)を言う。中でも−SO3M、−(O)PO(OM)2が特に分散性に優れているため好ましい。極性基含有量は0.001〜1meq/gであることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5meq/gであることが適当である。0.001meq/g以上であれば、分散性を向上させることができ、1meq/g以下であれば、塗料粘度が適当であり、分散性も良好である。また、導入する極性基は2種類以上を混合しても良い。
【0014】
吸着官能基を含有するビニルモノマーとしては例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸およびこれらの塩、(メタ)アクリル酸スルホエチルエステル、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸のスルホアルキルエステル類およびこれらの塩、(メタ)アクリル酸-2-硫酸エチル、3-アリロキシ−2−ヒドロキシプロパン硫酸、及びこれらの塩、(メタ)アクリル酸−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸プロピル、3-アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンホスホン酸、、ビニルホスホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチル、(メタ)アクリル酸、及びこれらの塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。これらの吸着官能基は、1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよい。
【0015】
上記吸着官能基を導入するためには、共重合体の製造に際して、極性基含有ラジカル重合開始剤を用いて単量体混合物を共重合させる方法、片末端に極性基を有する連鎖移動剤の存在下に単量体混合物を共重合させる方法を使用することができる。極性基含有ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の使用量は単量体の合計量に対し、1〜10質量%とすればよく、1〜5質量%とすることが好ましい。片末端に上記極性基を有する連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動が可能で且つ片末端に極性基を有するものであれば特に制限されず、例えば、片末端に極性基を有するメルカプト化合物やジフェニルピクリルヒドラジン等が挙げられる。メルカプト化合物としては、好ましくは2−メルカプトエタンスルホン酸(塩)、3−メルカプト−1,2プロパンジオール、メルカプト酢酸(塩)、2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールスルホン酸(塩)、3−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプトブタノール、3−メルカプト−2−プロパノール、N(2−メルカプトプロピル)グリシン、チオグルコール酸アンモニウム又はβ−メルカプトエチルアミン塩酸塩等を用いることができる。これらの片末端に極性基を有する連鎖移動剤は、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。片末端に極性基を有する連鎖移動剤としては、極性の強い2−メルカプトエタンスルホン酸(塩)を用いることが特に好ましい。これらの連鎖移動剤の使用量は単量体の合計量に対し、0.1〜10質量%とすればよく、0.2〜5質量%であることが好ましい。
【0016】
本発明において使用されるビニルポリマーへの吸着官能基の導入方法としては、吸着官能基を含有しないビニルポリマーに前記吸着官能基を反応により付加して合成する方法を用いることもできる。例えば具体的には、−SO3M導入する場合、まずグリシジル基を持ち共重合可能な化合物をビニルポリマーに共重合させ、共重合と同時又は共重合体を得た後に−SO3Mを有する化合物と反応させる方法を用いることができる。グリシジル基を導入するための共重合可能な化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル等が挙げられる。これらは単独又は2種類以上を同時に併用しても良い。
【0017】
本発明において、ビニルポリマーには、上記以外のモノマーを共重合しても良い。
共重合可能なモノマーとしては メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレートなど芳香族環を持った(メタ)アクリレートモノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのスチレン類、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、(無水)マレイン酸等を挙げることができる。
【0018】
本発明において、ビニルポリマーには、水酸基含有モノマーを共重合することも好ましい。水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエ ーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。
【0019】
本発明において、ビニルモノマーに水酸基を導入する方法としては、例えば、酢酸ビニルを共重合し、溶媒中で苛性アルカリによってケン化反応することにより導入する方法を用いることができる。水酸基を有する単量体の量は全単量体中の5〜30質量%とすることが好ましい。上記範囲内であれば、イソシアネート硬化剤を併用する場合の硬化性が向上し耐久性を向上させることができる。
【0020】
本発明において、ビニルポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜200000であることが好ましい。更に好ましくは10000〜100000であることが適当である。5000以上であれば、物理的強度及び耐久性の高い塗膜を得ることができ、200000以下であれば、塗料粘度が適当であり、作業性が高く取扱が容易であり、分散性も良好である。
ビニルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、50〜150℃であることが好ましい。ガラス転移温度が50℃以上であれば、耐久性が良好で、粘着故障が生じず、150℃以下であれば、カレンダー成形性が高く、磁性層表面が平滑で、電磁変換特性が良好である。
【0021】
上記重合可能な化合物類、連鎖移動剤を含む重合反応系を重合させるためには、公知の重合方法、例えば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等を用いることができる。重合条件は用いる重合可能な化合物類や重合開始剤、連鎖移動剤の種類等により異なるが、一般にオートクレーブ中にて、温度は50〜90℃程度、ゲージ圧力は4.0〜1.0MPa程度、時間は5〜30時間程度であることが好ましい。重合は、反応に不活性な気体の雰囲気下で行うことが反応制御のしやすさの点で好ましい。反応に不活性な気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられ、好ましくは経済性の点から窒素が用いられる。重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に他の成分を添加してもよい。そのような成分としては、例えば乳化剤、電解質、高分子保護コロイド等が挙げられる。
【0022】
本発明では、結合剤に、上記ビニルポリマー以外の樹脂を併用することもできる。併用可能な樹脂には、特に制限はなく、従来から結合剤として使用されている公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することができる。 熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000ものを用いることができる。具体的にはポリウレタン樹脂、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む共重合体、各種ゴム系樹脂が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物等が挙げられる。
【0023】
結合剤は、強磁性粉末又は非磁性粉末100質量部に対して5〜50質量部の範囲内の含有量で含まれることが好ましい。特に、その含有量を7〜45質量部の範囲内に設定することにより、磁性層又は非磁性層表面の光沢度が高くなる等の現象が表れ、強磁性粉末又は非磁性粉末の分散状態が良好であることがわかる。さらにその含有量を10〜40質量部の範囲内に設定することによって、電磁変換特性が著しく改善される。含有量が40質量部よりも少ないと、強磁性粉末あるいは非磁性粉末が結合されず粉落ち等が発生し、また200質量部よりも多く配合しても強磁性粉末あるいは非磁性粉末の分散状態がそれ以上向上せず、磁性層では強磁性粉末の充填度が低下し電磁変換特性が低下することがある。
【0024】
本発明において、磁性層に含まれる強磁性粉末としては、強磁性金属粉末又は強磁性六方晶フェライト粉末を使用することができる。
[強磁性金属粉末]
本発明に使用される強磁性金属粉末としては、Feを主成分とするもの(合金も含む)であれば、特に限定されないが、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つがα−Fe以外に含まれるものが好ましく、特に、Co、Al、Yが含まれるものが好ましい。さらに具体的には、CoがFeに対して10〜40原子%、Alが2〜20原子%、Yが1〜15原子%含まれるものが好ましい。
【0025】
これらの強磁性金属粉末には、あとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2%とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉末の含水率は最適化することが好ましい。
強磁性金属粉末の長軸長は好ましくは25〜200nmであり、更に好ましくは35〜100nmであることが適当である。結晶子サイズは80〜200Å、好ましくは90〜180Åであり、特に好ましくは100〜160nmであることが適当である。長軸長は、透過型電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から強磁性金属粉末の短軸長と長軸長とを直接読みとる方法と画像解析装置カールツァイス社製IBASSIで透過型電子顕微鏡写真トレースして読みとる方法を併用して求められる。また、本発明において、結晶子サイズは、X線回折装置(理学電機製 RINT2000シリーズ)を使用し、線源CuKα1、管電圧50kV、管電流300mAの条件で回折ピークの半値幅からScherrer法により求めた平均値を用いた。
【0026】
本発明において、磁性層に使用される強磁性粉末のBET法による比表面積(SBET)は30m2/g以上80m2/g未満であることが好ましい。さらには38〜55m2/gが好ましい。これにより、良好な表面性と低いノイズの両立が可能となる。強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12であり、好ましくは7〜10である。強磁性粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合があるが200ppm以下であれば特に特性に影響を与える事は少ない。また、本発明において用いられる強磁性粉末は空孔が少ないほうが好ましく、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下であることが適当である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、粒状、米粒状あるいは板状いずれでもかまわないが、特に針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。針状強磁性金属粉末の場合、針状比は4以上12以下であることが好ましく、更に好ましくは5以上12以下であることが適当である。
【0027】
強磁性金属粉末の抗磁力Hcは好ましくは159〜239kA/m(2000〜3000Oe)であり、更に好ましくは167〜231kA/m(2100〜2900Oe)であることが適当であり、飽和磁束密度は好ましくは0.1〜0.3T(1000〜3000G)であり、更に好ましくは0.16〜0.28T(1600〜2800G)であることが適当である。σsは好ましくは140〜170A・m2/kg(140〜170emu/g)、更に好ましくは145〜160A・m2/kg(145〜160emu/g)であることが適当である。
【0028】
[強磁性六方晶フェライト粉末]
本発明において、強磁性粉末として、強磁性六方晶フェライト粉末を使用することもできる。特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘッドで再生する場合、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下が好ましいが、5nm未満では熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。200nm以上ではノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向かない。板状比(板径/板厚)は1〜15であることが望ましく、好ましくは1〜7であることが適当である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は10〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
【0029】
一般に、抗磁力Hcが39.8〜398kA/m(500〜5000Oe)程度までの強磁性六方晶フェライト粉末が作成可能である。Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。本発明において用いる強磁性六方晶フェライト粉末のHcは、159〜239kA/m(2000〜3000Oe)程度であり、好ましくは175〜223kA/m(2200〜2800Oe)であることが適当である。ヘッドの飽和磁化が1.4テスラーを越える場合は、159kA/m(2000Oe)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)であることが適当である。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
【0030】
強磁性六方晶フェライト粉末を分散する際に強磁性六方晶フェライト粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理材は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の化合物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は強磁性粉末に対して0.1〜10%である。強磁性六方晶フェライト粉末のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。強磁性六方晶フェライト粉末に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
【0031】
強磁性六方晶フェライト粉末の製法としては、以下のような方法があるが、本発明は製法を選ばない。
▲1▼酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法。
▲2▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法。
▲3▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法。
【0032】
[非磁性粉末]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に直接磁性層を設けたものであることもでき、また、非磁性支持体上に結合剤と非磁性粉末からなる非磁性層を有することもできる。
非磁性層に使用できる非磁性粉体は無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタン等を、単独又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。非磁性粉体の形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。非磁性粉末の結晶子サイズは4nm〜1μmであることが好ましく、40nm〜100nmであることが更に好ましい。4nm以上であれば分散性が良好であり、1μm以下であれば、表面平滑性が良好な塗膜を得ることができる。これら非磁性粉末の平均粒径は5nm〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組合せたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましくは、100〜200nmである。5nm以上であれば分散性が良好であり、2μm以下であれば、表面平滑性の高い塗膜を得ることができる。非磁性粉末の比表面積は、1〜100m2/gであり、好ましくは5〜70m2/gであり、更に好ましくは10〜65m2/gであることが適当である。1m2/g以上であれば、表面平滑性の高い塗膜を得ることができ、100m2/g以下であれば、所望の結合剤量で良好に分散を行うことができる等、分散性が良好である。ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gであることが適当である。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることが適当である。タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlであることが適当である。タップ密度が0.05g/ml以上であれば、粒子の飛散が少なく、2g/ml以下であれば、装置への固着が起こりにくく、いずれも操作性が良好である。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間であることが特に好ましい。pHが2以上であれば、高温、高湿下での摩擦係数が小さく、11以下であれば、適当量の脂肪酸が遊離し、摩擦係数を小さくすることができる。非磁性粉末の含水率は0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%であることが適当である。0.1質量%以上であれば、分散性が良好であり、5質量%以下であれば、分散後の塗料粘度が安定する。強熱減量は20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。また、非磁性粉体が無機粉体である場合には、モース硬度は4以上、10以下のものが好ましい。モース硬度が4より小さいと耐久性が確保できなくなる傾向がある。非磁性粉体のステアリン酸吸着量は1〜20μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol/m2であることが適当である。非磁性粉体の25℃での水への湿潤熱は20〜60μJ/cm2(200erg/cm2〜600erg/cm2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åであることが適当である。水中での等電点のpHは3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOで表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいものは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、更に好ましいものは、Al23、SiO2、ZrO2である。これらは組合せて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0033】
本発明において、非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX 石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A,TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOP及びそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉体は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0034】
非磁性層では、非磁性粉体と共にカーボンブラックを混合し表面電気抵抗(Rs)を下げることができ、光透過率を小さくすることができるとともに所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は通常、25〜60kg/mm2であり、好ましくはヘッドあたりを調整するために、30〜50kg/mm2であり、薄膜硬度計(日本電気製 HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、例えばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
【0035】
本発明において、非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gであることが適当である。カーボンブラックの粒子径は、5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmであることが適当である。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。
【0036】
本発明において使用されるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製#3050B、3150B、3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B,#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機質粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
【0037】
また非磁性層には、有機質粉末を目的に応じて添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂を使用することもできる。
【0038】
[その他添加剤]
本発明の磁気記録媒体において、磁性層又は非磁性層には、分散効果、潤滑効果、帯電防止効果、可塑効果などを付与するための添加剤を含有しても良い。これら添加剤としては二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸基、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、(イソ)ノニルホスホン酸、(イソ)デシルホスホン酸、(イソ)ウンデシルホスホン酸、(イソ)ドデシルホスホン酸、(イソ)ヘキサデシルホスホン酸、(イソ)オクタデシルホスホン酸、(イソ)エイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、燐酸フェニル、燐酸ベンジル、燐酸フェネチル、燐酸α−メチルベンジル、燐酸1−メチル−1−フェネチル、燐酸ジフェニルメチル、燐酸ビフェニル、燐酸ベンジルフェニル、燐酸α−クミル、燐酸トルイル、燐酸キシリル、燐酸エチルフェニル、燐酸クメニル、燐酸プロピルフェニル、燐酸ブチルフェニル、燐酸ヘプチルフェニル、燐酸オクチルフェニル、燐酸ノニルフェニル等の芳香族燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、燐酸オクチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸イソオクチル、燐酸(イソ)ノニル、燐酸(イソ)デシル、燐酸(イソ)ウンデシル、燐酸(イソ)ドデシル、燐酸(イソ)ヘキサデシル、燐酸(イソ)オクタデシル、燐酸(イソ)エイコシル等の燐酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸、酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、または、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基をもつものでも良い。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下であることが適当である。
【0039】
これらの具体例としては、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製、デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等があげられる。
【0040】
本発明において使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着もしくは結合する性質を有しており、磁性層においては主に強磁性粉末の表面に、非磁性層においては主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着もしくは結合し、一度吸着した有機燐化合物は金属あるいは金属化合物等の表面から脱着しがたいと推察される。従って、本発明の強磁性粉末表面又は非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、強磁性粉末あるいは非磁性粉末の結合剤樹脂成分に対する親和性が向上し、さらに強磁性粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性も改善される。また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層又は非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
【0041】
[非磁性支持体]
以上の材料により調製した塗布液を非磁性支持体上に塗布して非磁性層又は磁性層を形成する。
本発明において用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが挙げられる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行っても良い。また本発明において用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた表面平滑性を有することが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく、1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。得られた支持体の算術平均粗さは(Ra)の値[JIS B0660−1998、ISO 4287−1997]で0.1μm以下であることが、得られた磁気記録媒体のノイズが小さくなるので好ましい。本発明の磁気記録媒体における非磁性支持体の好ましい厚みとしては3〜80μmである。
【0042】
[バックコート層、下塗り層]
本発明において、非磁性支持体の磁性塗布液が塗布されていない面にバックコート層(バッキング層)が設けられていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁性塗布液及び非磁性塗布液が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成用塗布液を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。また、本発明において、非磁性支持体の磁性塗布液、非磁性塗布液、又はバックコート層形成用塗布液の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
また、本発明の磁気記録媒体においては、下塗り層を設けても良い。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層又は非磁性層との接着力を向上させることができる。下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂を使用することができる。下塗り層は、厚さ0.5μm以下のものを使用することが適当である。
【0043】
[製造方法]
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性塗布液を所定の膜厚となるように塗布する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次又は同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次又は同時に重層塗布してもよい。上記磁性塗布液又は非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。本発明の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず非磁性層を塗布し、非磁性層が未乾燥の状態のうちに特公平1-46186号公報、特開昭60-238179号公報、特開平2-265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、磁性層を塗布する。
(2)特開昭63-88080号公報、特開平2-17971号公報、特開平2-265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2-174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0044】
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の厚みは用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであり、一般には0.01〜0.10μm、好ましくは0.02〜0.08μmであり、更に好ましくは0.03〜0.08μmであることが適当である。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。この極薄層の磁性層を安定的に塗布するためには、支持体上に無機粉末を含有する非磁性層を介在させて、その上に磁性層をウエット・オン・ウエットで塗布することが望ましい。磁性層塗布液の塗布層は、磁気テープの場合磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に磁場配向処理を施す。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属微粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。六方晶フェライトの場合は一般的に面内および垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向してもよい。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。乾燥させた後、塗布層に表面平滑化処理を施すことが適当である。表面平滑化処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。また金属ロールで処理することもできる。本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた表面平滑性を有することが好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cmの範囲であり、好ましくは200〜450kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cmの範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0045】
【実施例】
以下に、本発明の具体的実施例ならびに比較例を挙げるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお実施例中の「部」の表示は特に断らない限り「質量部」を示す。
[合成例1]
撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器を窒素置換後60℃に昇温し、表1に示すベンジルメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムをシクロヘキサンノンに溶解した溶液と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部をシクロヘキサノン10部に溶解した溶液を、同時に上記重合容器中へ2時間を要して均一に滴下させた。滴下終了後、さらに60℃で4時間加熱し重合を完結させビニル系バインダー1を得た。
【0046】
[合成例2〜5及び比較合成例1〜3]
合成例1と同様にして、表1に示される単量体の種類・量比(質量部)で共重合し、同様の方法で反応させビニル系バインダー2〜8を得た。得られたバインダーの物性は表1に示した。
【0047】
[実施例1]
磁性塗布液の調製
強磁性針状金属粉末 100部
組成:Fe/Co/Al/Y=62/25/5/8
表面処理剤:Al23、Y23
Hc:167kA/m(2100Oe)
結晶子サイズ:110Å
長軸長:60nm
針状比:6
BET比表面積:70m2/g
σs:110A・m2/kg(110emu/g)
ビニル系バインダー 合成例1 6部
ポリウレタン樹脂A 10部
ポリエステルポリオール(ネオペンチルグリコール/シクロヘキサンジメタノール/アジピン酸/
5-ナトリウムスルホイソフタル酸=2/3/3/1mol比、Mn1500)
鎖延長剤(3-メチルペンタンジオール)
ジイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート)
重量平均分子量 65000
Tg 85℃
ウレタン基濃度 2.8meq/g
SO3Na基濃度 0.12meq/g
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 2部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
安息香酸 3部
【0048】
非磁性塗布液の調製
非磁性無機質粉体 85部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2
長軸径:0.15μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m2/g
pH8
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 20部
DBP吸油量:120ml/100g
pH:8
BET比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
ビニル系バインダー 合成例1 6部
ポリウレタン樹脂A 10部
α−Al23(平均粒径0.2μm) 1部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
フェニルリン酸 3部
【0049】
上記磁性塗布液および非磁性塗布液組成物のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60分間混練した後、サンドミルで120分間分散した。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製 コロネート3041)を6部加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗布液および非磁性塗布液を調製した。厚さ3.8μmのアラミド支持体の表面に上記非磁性塗布液を乾燥後の厚さが1.8μmになるように塗布し、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.08μmになるように同時重層塗布した。両層が未乾燥の状態で磁場配向処理を行い、溶剤を乾燥後、7段のカレンダーで速度100m/min、線圧300kgf/cm、温度90℃の条件で行った。両層が未乾燥の状態で0.3T(3000ガウス)の磁石で磁場配向を行い、さらに乾燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い3.8mm幅にスリットし磁気テープを作製した。
【0050】
[実施例2〜5]
ビニル系バインダーを表2に示したように変更し、実施例1と同様の方法で実施例2〜5を作製した。
【0051】
[比較例1〜3]
ビニル系バインダーを表2に示したように変更し、実施例1と同様の方法で比較例1〜3を作製した。
【0052】
[比較例4]
ビニル系バインダーを塩ビ系樹脂MR110(日本ゼオン(株)製)に変更し、実施例1と同様の方法で比較例4を作製した。
【0053】
[実施例6〜10及び比較例5〜7]
実施例1〜5及び比較例1〜3の磁性塗料液の各ビニル系バインダーを添加せず、その代わりにポリウレタン樹脂Aの添加量を10部から16部に増やし、それ以外は実施例1と同様の方法で作製した。
【0054】
[実施例11及び比較例8]
実施例1及び比較例1の用非磁性塗布液の各ビニル系バインダーを添加せず、その代わりにポリウレタン樹脂Aの添加量を10部から16部に増やし、それ以外は実施例1と同様の方法で作製した。
【0055】
[実施例12]
非磁性層を設けない以外は、実施例1と同様の方法で作製した。
【0056】
[実施例13]
磁性体を以下に示したように変更し、実施例13を作製した。
磁性塗布液の調製
強磁性板状六方晶フェライト粉末 100部
組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:159kA/m(200Oe)
板径:25nm
板状比:3
BET比表面積:80m2/g
σs:50A・m2/kg(50emu/g)
ポリウレタン樹脂PUA−1(表2に記載) 15部
フェニルホスホン酸 3部
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 2部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
【0057】
上記磁性塗布液について、各成分をオープンニーダーで 60分間混練した後、サンドミルで120分間分散した。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製 コロネート3041)を6部加え、さらに20分間撹拌混合し たあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗布液を調製した。非磁性塗布液は、実施例1と同様の方法で調製した。さらに上記非磁性塗布液を、乾燥後の厚さが1.8μmになるように塗布し、さらにその直後に磁性塗布液を乾燥後の厚さが0.08μmになるように同時重層塗布した。両層が未乾燥の状態で0.3T(3000ガウス)の磁石で磁場配向を行い、さらに乾燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い3.8mm幅にスリットし磁気テープを作製した。上記磁性塗布液の各成分を実施例1と同様の方法で処理し、磁性塗布液を調製した。
【0058】
[実施例14〜17]
ビニル系バインダーを表3に示したように変更し、実施例13と同様の方法で実施例14〜17を作製した。
【0059】
[実施例18]
非磁性層を設けない以外は、実施例13と同様の方法で作製した。
【0060】
[比較例9〜12]
ビニル系バインダーを表3に示したように変更し、実施例13と同様の方法で比較例8〜11を作製した。
【0061】
〔測定方法〕
▲1▼塗膜力学強度:テープサンプルを引張試験機で初期長50mm、延伸速度50mm/minで測定した。テープサンプルの塗膜をTHFを含浸させたガーゼでふき取りベースフィルムのみにして同様の条件で引張試験を行った。テープサンプルのSS(Stress−Strain)カーブとベースのSSカーブから、引っ張り応力の加成性を仮定して塗膜のSSカーブを求めた。得られた塗膜のSSカーブから降伏伸び(%)と降伏強度(MPa)を求めた。
▲2▼テープエッジ(磁性層)のクラック:スリット後のテープエッジ部の磁性層面を顕微鏡で観察しクラックが観察されたものをX、観察されなかったものを○とした。
▲3▼磁性層表面粗さRa:デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を用いたる光干渉法により、カットオフ0.25mmの条件で中心線平均粗さをRaとした。
▲4▼500パス走行後ヘッド汚れ:DDSドライブでサンプルテープを全長500パス繰り返し走行させ、走行後のヘッド汚れを観察した。汚れが見られたものをX、見られなかったものを○とした。更にテープサンプルを60℃dry雰囲気下に7日間保存した後同じ評価をした。
【0062】
【表1】
Figure 0004034575
【0063】
【表2】
Figure 0004034575
【0064】
【表3】
Figure 0004034575
【0065】
評価結果
アミド基、−CN基及び吸着官能基を含有するビニル系ポリマーを、非磁性層及び/又は磁性層に含む、磁性層及び非磁性層を有する実施例1〜11及び実施例13〜17は、降伏伸び及び降伏強度が高く、塗膜力学強度に優れていた。これは、上記ビニル系ポリマーが、ポリウレタンとの相溶性が高いためであると考えられる。また、これら実施例では、テープエッジのクラックが発生せず、塗膜強度も良好であった。また、吸着官能基を有し、分散性に優れるため、磁性層の表面粗さが低く、表面平滑性に優れていた。更に、500パス走行後ヘッド汚れもなく、走行耐久性も良好であった。
磁性層のみを有する実施例12及び18は、非磁性層を有さないため、磁性層粗さは非磁性層を有する実施例より大きいが、降伏伸び及び降伏強度が高く、塗膜力学強度に優れていた。また、テープエッジのクラックが発生せず、塗膜強度も良好であった。さらに、500パス走行後ヘッド汚れもなく、走行耐久性も良好であった。
−CN基を含まない比較合成例1のビニル系ポリマーを使用した比較例1、5、8及び9、並びに、アミド基を含まない比較合成例2のビニル系ポリマーを使用した比較例2、6及び10は、降伏伸び、降伏強度とも、実施例よりも劣っていた。また、塗膜が脆く、テープエッジのクラックが観察された。更に、磁性層の表面粗さが高く、500パス走行後、初期、保存後のいずれにおいても、ヘッド汚れが観察された。
吸着官能基を含まない比較合成例3のビニル系ポリマーを使用した比較例3、7及び11は、テープエッジのクラックは観察されなかったが、降伏伸び、降伏強度とも、実施例よりも劣っており、特に、磁性層表面は極めて粗く、表面平滑性に劣っていた。また、500パス走行後、初期、保存後のいずれにおいても、ヘッド汚れが観察された。
磁性層、非磁性層のいずれにも、塩ビ系樹脂MR110を使用した比較例4及び12は、降伏伸び、降伏強度、磁性層表面粗さはいずれも、実施例よりも劣っていた。また、テープエッジのクラックは観察されなかったが、500パス走行後、保存後に、ヘッド汚れが観察された。これは、塩ビ系樹脂を使用したため、塩酸ガスが発生したことによるものであると考えられる。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、強磁性粉末又は非磁性粉末の分散性が高く、電磁変換特性に優れ、かつ力学強度が高く走行耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。また、本発明により、保存性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (4)

  1. 支持体上に強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層1を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層1に含まれる結合剤は、−(O)−SO 3 M、−(O)PO(OM) 2 、−COOM、−NR 1 2 及び−NR 1 2 3 + (Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R 1 、R 2 、R 3 はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれる1種又は2種以上の吸着官能基、アミド基並びに−CN基を含有し、かつハロゲン元素を含有しないビニル系ポリマーを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 支持体上に非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層及び強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層2をこの順に有する磁気記録媒体であって、前記非磁性層及び磁性層2に含まれる結合剤の少なくとも一方は、−(O)−SO 3 M、−(O)PO(OM) 2 、−COOM、−NR 1 2 及び−NR 1 2 3 + (Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム塩を表し、R 1 、R 2 、R 3 はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれる1種又は2種以上の吸着官能基、アミド基並びに−CN基を含有し、かつハロゲン元素を含有しないビニル系ポリマーを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記非磁性層及び磁性層2に含まれる結合剤は、前記ビニル系ポリマーを含む請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記強磁性粉末は、25〜200nmの範囲の長軸長を有する強磁性金属粉末又は5〜40nmの範囲の板径を有する強磁性六方晶フェライト粉末である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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