JP4194266B2 - 磁気記録媒体の製造方法および磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録媒体に関する。特に、薄層磁性層を有する高密度記録用の磁気記録媒体の製造方法およびその方法で得られる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ用(ディスク、テープ)等の磁気記録媒体として、非磁性支持体上に強磁性粉体を結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体が広く用いられている。近年、磁気記録分野では従来のアナログ記録から記録の劣化が少ないデジタル記録の実用化が進展しているが、一般的にデジタル記録ではアナログ記録に比べ多くの信号の記録が必要となる上、使用される記録再生装置及び記録媒体には高画質・高音質であると同時に小型化・省スペース化が求められるためにより一層の高密度記録化が要求される。
【0003】
高密度記録を達成するために記録信号の短波長化や記録軌跡の狭トラック化が行われ、記録媒体にはより一層の電磁変換特性の向上が必要とされる。電磁変換特性向上のためには、強磁性粉末の磁気特性の向上、微粒子化、高充填化、媒体表面の超平滑化等種々の方法が提案されている。しかし、これらの技術は、近年の高密度化に対しては充分なものではなかった。
【0004】
一方、記録波長を更に短くした場合、磁性層厚みが厚いと記録時の自己減磁損失、再生時の厚み損失の問題が大きくなっている。また、再生ヘッドの飽和回避のため、磁性層厚みを薄くすることが行われているが、磁性層を約0.1μm以下に薄くすると磁性層の表面に非磁性支持体の影響が現れやすくなり、電磁変換特性やエラーレートの増加傾向が見られる。
【0005】
ノイズを低減するには磁性体のサイズを小さくすることが重要であり、長軸長80μm以下の強磁性金属粉末や板径40nm以下の強磁性六方晶フェライト微粉末が用いられている。しかし、このような微粒子状の強磁性粉末は容易に凝集するため、これまで用いられていた比較的大きな強磁性粉末に比べ、良好な分散性を得ることは極めて困難であった。また、強磁性粉末の分散性が悪いと、強磁性粉末が凝集し磁性層表面に微小な突起が生じやすく、MRヘッドを用いた場合、この微小突起が原因となり発生するサーマルアスペリティも問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電磁変換特性に優れ、かつサーマルアスペリティの発生が抑制され、高密度記録に適した磁気記録媒体の製造方法および磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成の磁気記録媒体の製造方法及びそれにより得られる磁気記録媒体により達成される。
1.少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、環状構造およびアルキレンオキサイド鎖を有する分子量500〜5000のポリオールと鎖延長剤として環状構造を有する分子量200〜500のポリオールと有機ジイソシアネートを反応させ得らたものであるポリウレタン樹脂(A)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
2.少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO 3 M、−OSO 3 M、−PO(OM) 2 、−OPO(OM) 2 、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR 1 R 2 、−NR 1 R 2 、および−N + R 1 R 2 R 3 (R 1 、R 2 、およびR 3 は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、脂肪族二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなるポリエステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機ジイソシアネート化合物を反応させ得られるポリウレタン樹脂(B)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
3.少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO 3 M、−OSO 3 M、−PO(OM) 2 、−OPO(OM) 2 、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR 1 R 2 、−NR 1 R 2 、および−N + R 1 R 2 R 3 (R 1 、R 2 、およびR 3 は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するポリオール化合物と有機ジイソシアネートを反応させ得られるポリウレタン樹脂(C)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
4.上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法により得られることを特徴とする磁気記録媒体。
5.MRヘッド再生用であることを特徴とする上記4に記載の磁気記録媒体。
【0010】
磁気記録媒体の高容量化にはトラック密度を高めることが必須となるが、トラック幅が狭くなるにつれてMRヘッドの採用が必要となる。MRヘッドは高感度であるが、媒体ノイズの影響を受けやすく、磁性体の分散状態の不均一性がノイズ源となる。また、MRヘッドの場合、サーマルアスペリティの発生が問題となり、磁性層表面の微小な突起がその原因となる。本発明では、磁性体の含水率と結合剤の親水性極性基の量を適切に選択することで、磁性体への結合剤の吸着量を増大させ、分散レベルを大幅に向上させた。分散性向上により、媒体ノイズは低減され、サーマルアスペリティの原因となる微小突起も削減され、MRヘッドとの組み合わせにおいて、大幅な記録密度向上が達成できた。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0012】
[製造方法]
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を非磁性支持体の表面に所定の膜厚となるように塗布することで、少なくとも一層の磁性層を設ける。ここで複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。
ここで、磁性塗料は、
(イ)−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、および−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、
(ロ)−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、
の内の少なくともいずれかの結合剤と、
平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%である強磁性六方晶フェライト粉末と、
を分散して得られたものである。
結合剤に含有される極性基の種類と量、および磁性粉末の含水率を上記範囲にすることで、結合剤と磁性粉末との分散性が大幅に向上し、両者の分散により得られた磁性塗料を塗布し磁性層を設けた磁気記録媒体では、媒体ノイズが低減され、サーマルアスペリティの原因となる微小突起も減少して、大幅な記録密度向上が達成できる。
【0013】
上記磁性塗布液または非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。本発明の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1-46186号公報、特開昭60-238179号公報、特開平2-265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63-88080号公報、特開平2-17971号公報、特開平2-265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2-174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0014】
本発明の磁気記録媒体の磁性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁束密度やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.10μmであり、好ましくは0.02μm〜0.08μmであり、更に好ましくは0.03〜0.08μmであることが適当である。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。この極薄層の磁性層を安定的に塗布するには支持体上に無機粉末を含有する下層非磁性層を介在させて、その上に磁性層をウエット・オン・ウエット又はウェット・オン・ドライで塗布することが望ましい。磁性層塗布液の塗布層は、磁気テープの場合、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に磁場配向処理を施す。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加する等公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは、六方晶フェライトの場合、一般的に面内および垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石等公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向してもよい。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
【0015】
乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施すことができる。表面平滑化処理には、例えばスーパーカレンダーロール等が利用することができる。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。また金属ロールで処理することもできる。本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cmの範囲であり、好ましくは200〜450kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cmの範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。得られた磁気記録媒体は、裁断機等を使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造においては、磁性層に用いられる磁性体の粒子サイズが極めて小さいこと、および結合剤が親水性極性基を極めて多く含み、磁性体の含水率と最適化されていることにより、磁性体表面の吸着水、塗布液溶剤中の微量の水分を保持し易い。このため、磁性層乾燥後も結合剤が塑性流動し易く、カレンダー工程での成形性が向上するものと考えられる。
【0016】
以下、本発明により得られる磁気記録媒体の構成要素について、詳細に説明する。
[結合剤]
本発明の少なくとも一層以上の磁性層に用いられる結合剤は、
(イ)−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、および−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、
(ロ)−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、
の内の少なくともいずれかの結合剤である。即ち、上記結合剤(イ)または(ロ)が用いられ、しかも両者を併用してもよい。
ここで、アルキル基は好ましくは炭素数1〜18のアルキル基であり、直鎖構造であっても分岐構造であっても構わない。
上記結合剤(イ)の極性基の含有量は、0.2〜0.7meq/gであり、好ましくは0.25〜0.6meq/g、更に好ましくは0.3〜0.5meq/gである。
また、上記結合剤(ロ)の極性基の含有量は、0.5〜5meq/gであり、好ましくは1〜4meq/g、更に好ましくは1.5〜3.5meq/gである。
上記極性基の含有量が上記範囲外であると、微粒子の磁性体を良好に分散させることができない。
【0017】
[ポリウレタン樹脂]
本発明では結合剤としてポリウレタン樹脂を用いることができる。用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、
▲1▼環状構造およびアルキレンオキサイド鎖を有する分子量500〜5000のポリオールと鎖延長剤として環状構造を有する分子量200〜500のポリオールと有機ジイソシアネートを反応させて得られたものであり、かつ上記結合剤(イ)および(ロ)の少なくともいずれかに属するポリウレタン樹脂(A)、
▲2▼脂肪族二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなるポリエステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機ジイソシアネート化合物を反応させ得られたものであり、かつ上記結合剤(イ)および(ロ)の少なくともいずれかに属するポリウレタン樹脂(B)、および
▲3▼環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するポリオール化合物と有機ジイソシアネートを反応させ得られたものであり、かつ上記結合剤(イ)および(ロ)の少なくともいずれかに属するポリウレタン樹脂(C)
が挙げられる。
【0018】
(ポリウレタン樹脂(A))
ポリウレタン樹脂(A)の原料となる環状構造およびアルキレンオキサイド鎖を有するポリオールとしては、環状構造を有するジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したものを用いることができる。具体的には、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP、トリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、5,5’−(1−メチルエチリデン)ビス−(1,1’−ビシクロヘキシル)2−オール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス−2−メチルシクロヘキサノール、5,5’−(1,1’−シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’−ビシクロヘキシル)2−オール、5,5’−(1,1’−シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’−ビシクロヘキシル)2−オール、水添テルペンジフェノール、ジフェニルビスフェノールA、ジフェニルビスフェノールS、ジフェニルビスフェノールP、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−(3−メチルエチリデン)ビス(2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール)、4,4’−(3−メチルエチリデン(ビス(2−フェニル−5メチルシクロヘキサノール)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス(2−フェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、テルペンジフェノール等のジオールを用いることができる。中でも、水素化ビスフェノールAおよび水素化ビスフェノールAのポリプロピレンオキサイド付加物が好ましい。上記ポリオールの分子量は、500〜5000であることが好ましい。500以上であるとウレタン基濃度が低いため溶剤溶解性が高く、5000以下であると塗膜強度が良好で耐久性が高く好ましい。
【0019】
鎖延長剤として用いる環状構造を有するポリオールとしては、上記の環状構造を有するジオールおよび分子量200〜500の範囲でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したものを用いることができる。好ましくは水素化ビスフェノールAおよび水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0020】
(ポリウレタン樹脂(B))
ポリウレタン樹脂(B)の原料となるポリエステルポリオールは、脂肪族二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなる。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸等の脂肪族二塩基酸を使用することができる。中でも好ましいものはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸である。ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分のうち、脂肪族二塩基酸の含量が70モル%以上であることが好ましい。70モル%以上であると、実質的に環状構造を有する二塩基酸濃度が低いため溶剤溶解性が高く、良好な分散性向上効果を得ることができる。
【0021】
ポリエステルポリオールに用いることのできるアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ポリオールとしては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等の分岐脂肪族ジオールを使用することができる。中でも、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。ポリエステルポリオールに用いるポリオール中の分岐側鎖を有するポリオールの含量は、50〜100mol%が好ましく、更に好ましくは70〜100mol%であることが適当である。上記範囲内であれば、溶剤溶解性が高く、良好な分散性を得ることができる。
【0022】
ポリウレタン樹脂(B)では、鎖延長剤として炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖を持つ脂肪族ジオールを用いることができる。炭素数が3以上であり、かつ分岐アルキル側鎖を有することで、溶剤溶解性が向上し、良好な分散性を得ることができる。
炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖を持つ脂肪族ジオールとしては、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を使用することができる。中でも2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。ポリウレタン樹脂中の含有量は5〜30質量%が好ましく、更に好ましくは10〜20質量%であることが適当である。上記範囲内であると、溶剤溶解性が高く、良好な分散性を得ることができる。
【0023】
(ポリウレタン樹脂(C))
ポリウレタン樹脂(C)の原料となる環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するポリオール化合物は、分子量500〜1000のジオールであることが好ましい。ジオールであると、ポリウレタン重合時の架橋によるゲル化が発生せず、好ましい。また、上記ジオールが有するアルキル鎖の炭素数が2以上であると、溶剤溶解性が高く、分散性が良好である。分子量が500以上であると、ウレタン基濃度が低いため溶剤溶解性が高く、1000以下であると塗膜強度が良好である。環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するポリオールとしては、ダイマー酸を水添、還元することで得られる下式の構造で表されるダイマージオールが好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】
環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するジオールは、ポリウレタン樹脂中に5〜60質量%含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜40質量%含まれることが適当である。環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するジオールの含有量が上記範囲内であれば、溶剤溶解性が高く分散性が良好であり、かつ耐久性が高く好ましい。
【0026】
本発明において、上記ポリオールと反応させてポリウレタン樹脂を形成するために用いられる有機ジイソシアネートは、特に制限はなく、通常使用されているものを用いることができる。具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートシクロヘキサンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチルフェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0027】
極性基を導入した原料モノマーからポリウレタン樹脂を製造することにより、極性基を有するポリウレタン樹脂を製造することができる。例えば、▲1▼極性基を有するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の極性基含有ポリオールと、極性基を持たないポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールとジイソシアネートとから製造する、▲2▼二価アルコールまたは二塩基酸の一部を極性基含有ジオールまたは極性基含有二塩基酸に変えて製造する等の方法を用いることができる。極性基含有ポリオールまたは極性基含有二塩基酸は、例えば前記ポリオールまたは二塩基酸の主鎖または側鎖に−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す。)、−CONR1R2、−NR1R2、または−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を含有するものである。
【0028】
本発明で使用される極性基含有ポリウレタン系樹脂の平均分子量は、5000〜100000であることが好ましく、更に好ましくは10000〜50000であることが適当である。5000以上であると得られる磁性塗膜が高い等物理的強度が高く、磁気記録媒体の耐久性が良好である。分子量が100000以下であると溶剤への溶解性が高く、分散性が向上する。また、所定濃度における塗料粘度が適当であり作業性が良好で取扱いが容易になる。
本発明で使用される極性基含有ポリウレタン系樹脂は、分岐OH基を有することが、硬化性、耐久性の面から好ましく、1分子当たり2個〜40個が好ましく、更に好ましくは1分子当たり3個〜20個であることが適当である。
【0029】
本発明では、上記ポリウレタン樹脂以外のポリウレタン樹脂を併用することもできる。
併用するポリウレタン樹脂は、上記ポリウレタン樹脂と同様の極性基を有することが好ましい。また、鎖延長剤としては、それ自体公知の物質、多価アルコール、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等が使用できる。中でも分子量50〜500の多価アルコールが好ましい。50以上であると塗膜強度が高く耐久性が良好である。500以下では塗膜のTgが高く、塗膜が硬くなるため耐久性が良好である。多価アルコールとしては、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールPおよびこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、ビス(2-ヒドロキシエチル)テトラブロモビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシエチル)テトラブロモビスフェノールS、ビス(2-ヒドロキシエチル)テトラメチルビスフェノールS、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジフェニルビスフェノールS、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジフェニルビフェノール、ビス(2-ヒドロキシエチル)チオジフェノール、ビス(2-ヒドロキシエチル)ビスフェノールF、ビフェノール、ビスフェノールフルオレン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル等の環状構造を有する短鎖ジオールが好ましい。更に好ましいものは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールPおよびこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の芳香族、脂環族を有するジオールが好ましい
【0030】
[塩化ビニル系樹脂]
本発明の結合剤としては、塩ビ系樹脂を用いることもできる。塩ビ系樹脂としては塩ビモノマーに種々のモノマーと共重合したものが用いられる。
共重合モノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアクリレート、メタクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル等のアルキルアリルエーテル類、その他スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド、更に官能基をもつ共重合モノマーとしてビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、およびこれらのNa塩、K塩等が用いられる。
塩ビ系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成は、75〜95質量%であれば、力学強度が高く、かつ溶剤溶解性が良好で磁性体分散性が高く好ましい。
【0031】
[アクリル系樹脂]
本発明の結合剤としては、窒素を含むラジカル重合性単量体単位1質量%〜75質量%、芳香族環を含むラジカル重合性単量体単位1質量%〜75質量%およびその他のラジカル重合性単量体単位で総計100質量%となり、かつ−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム塩を表す。)、−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を有するアクリル系共重合体を使用することができる。
なお、(メタ)アクリルアミドとはアクリルアミドとメタアクリルアミドの総称、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0032】
本発明で使用する窒素を含むラジカル重合性単量体単位としては、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾール、2−ビニル−4,6−ジアミノ−5−トリアジン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル等のビニル化合物が挙げられる。特に好ましい窒素を含むラジカル重合性単量単位はN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドである。窒素を含むラジカル重合性単量単位の組成としては、1〜75質量%が好ましく、更に好ましくは5〜60質量%であることが適当である。上記範囲内であると、非磁性粉体および磁性粉体の分散性を向上することができる。
【0033】
本発明で使用する芳香族環を含むラジカル重合性単量体としては、芳香族環を含む(メタ)アクリレート単位を用いることができる。芳香族環を含む(メタ)アクリレート単位としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましい芳香族環を含む(メタ)アクリレート単位は、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートである。芳香族環を含む(メタ)アクリレート単位の組成としては、1〜75質量%が好ましく、更に好ましくは5〜60質量%が適当である。1質量%以上であると、非磁性粉体または磁性粉体の分散性を向上することができ、塗膜の十分な平滑性(光沢)や耐久性を得ることができる。一方、75質量%以下であると塗料粘度が適当である。
【0034】
窒素を含むラジカル重合性単量体単位、芳香族環を含むラジカル重合性単量体単位と共重合可能なその他の共重合性単量単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(無水)マレイン酸、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等を挙げることができる。これらの単量体は1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよい。
【0035】
前記アクリル系樹脂の数平均分子量は1000〜200000が好ましく、更に好ましくは10000〜100000であることが適当である。1000以上であると、磁性塗膜の物理的強度が高く、磁気テープ等の耐久性も良好である。200000以下であると、塗膜粘度が低く作業性が良好で取扱いが容易である。
【0036】
本発明で使用する上記極性基を有する塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂への極性基導入方法としては、以下の方法を用いることができる。
塩化ビニル系単量体単位、または窒素を含むラジカル重合性単量体単位および芳香族環を含むラジカル重合性単量体単位からなり、−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム塩を表す。)、−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)で示される極性基を含有しない塩化ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂に、上記極性基の少なくとも一種を反応により付加して合成することができる。具体的には、例えば−SO3Mを塩化ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂に導入する場合、まず、塩化ビニル系単量体、または窒素を含むラジカル重合性単量体および芳香族環を含むラジカル重合性単量体と、グリシジル基を持ち共重合可能な化合物、および必要に応じてこれらと共重合可能な他の化合物を共重合させ、共重合と同時または共重合体を得た後に、−SO3Mを有する化合物と反応させることにより、極性基を導入することができる。グリシジル基を導入するための共重合可能な化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を同時に併用しても良い。
【0037】
共重合可能な極性基含有化合物を、塩化ビニル系単量体、または窒素を含むラジカル重合性単量体および芳香族環を含むラジカル重合性単量体混合物、その他共重合可能な化合物と共に共重合しても良い。
共重合可能な極性基含有化合物としては、−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す。)、−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を含む共重合可能な化合物を用いることができ、例えば−SO3Mを導入するための共重合可能な化合物としては2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸およびこれらの塩、(メタ)アクリル酸スルホエチルエステル、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸のスルホアルキルエステル類およびこれらの塩等を挙げることができる。前記親水性極性基は1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよく、−SO3Mの他に−NR2 の導入が必要な場合には−NR2を含む共重合可能な化合物、具体的にはN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等を使用することができる。
【0038】
極性基を導入するためには、共重合体の製造に際して、極性基含有ラジカル重合開始剤を用いて単量体混合物を共重合させる方法、片末端に極性基を有する連鎖移動剤の存在下に単量体混合物を共重合させる方法を使用しても良い。
極性基含有ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の使用量は単量体の合計量に対し、1〜10質量%とすればよく、好ましくは1〜5質量%である。片末端に上記極性基を有する連鎖移動剤としては重合反応において連鎖移動が可能で且つ片末端に極性基を有するものであれば特に制限はなく、片末端に極性基を有するハロゲン化化合物、メルカプト化合物やジフェニルピクリルヒドラジン等が挙げられる。ハロゲン化化合物の具体例としては、2−クロロエタンスルホン酸、2−クロロエタンスルホン酸ナトリウム、4−クロロフェニルスルホキシド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、4−(ブロモメチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム等が例示され、2−クロロエタンスルホン酸ナトリウム、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。メルカプト化合物としては、好ましくは2−メルカプトエタンスルホン酸(塩)、3−メルカプト−1,2プロパンジオール、メルカプト酢酸(塩)、2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールスルホン酸(塩)、3−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプトブタノール、3−メルカプト−2−プロパノール、N(2−メルカプトプロピル)グリシン、チオグルコール酸アンモニウムまたはβ−メルカプトエチルアミン塩酸塩を用いることができる。これらの片末端に極性基を有する連鎖移動剤は一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい片末端に極性基を有する連鎖移動剤は、極性の強い2−メルカプトエタンスルホン酸(塩)である。これらの連鎖移動剤の使用量は単量体の合計量に対し、0.1〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.2〜5質量%であることが適当である。
【0039】
また、−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)、−CONR1R2、−NR1R2、または−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は独立に水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基と共に水酸基を持たせることも好ましい。共重合可能な水酸基含有単位の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。ビニルアルコール単位については酢酸ビニルを共重合し、溶媒中で苛性アルカリによってケン化反応することにより導入できる。水酸基を有する単量体の量は全単量体中の5〜30質量%とすることが好ましい。
【0040】
上記重合可能な化合物類、連鎖移動剤を含む重合反応系を重合させるには、公知の重合方法、例えば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等を用いることができる。これらの重合方法のうち、得られたアクリル系共重合体を保存安定性の高い固形状体で容易に保存できる点から、乾燥作業性のよい懸濁重合や乳化重合を用いることが好ましく、特に乳化重合を用いることが好ましい。重合条件は、用いる重合可能な化合物類や重合開始剤、連鎖移動剤の種類等により異なるが、一般にオートクレーブ中にて、温度は50〜80℃程度、ゲージ圧力は4.0〜1.0MPa程度、時間は5〜30時間程度であることが好ましい。重合は、反応に不活性な気体の雰囲気下で行うことが反応制御のしやすさの点で好ましい。そのような気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられ、好ましくは経済性の点から窒素が用いられる。重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に他の成分を添加してもよい。そのような成分としては、例えば乳化剤、電解質、高分子保護コロイド等が挙げられる。
【0041】
本発明では、前述のポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、およびアクリル系樹脂を併用することもでき、また、更にこれらの合計量の等量以下の量で、その他の極性基を持つ結合剤を併用しても良い。
併用できるその他樹脂としては特に制限はなく、従来から結合剤として使用されている公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂としてはガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000のものを用いることができる。具体的には、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体、共重合体、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物等が挙げられる。
【0042】
上記結合剤は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して5〜50質量部の範囲内の含有量で用いることができる。特に、その含有量を7〜45質量部の範囲内に設定することにより磁性層あるいは非磁性層表面の光沢度が高くなる等の現象が表れ、強磁性粉末または非磁性粉末の分散状態が良好であることがわかる。更にその含有量を10〜40質量部の範囲内に設定することによって電磁変換特性が著しく改善される。含有量が40質量部よりも少ないと、強磁性粉末あるいは非磁性粉末が結合されず粉落ち等が発生し、また200質量部よりも多く配合しても強磁性粉末あるいは非磁性粉末の分散状態がそれ以上向上せず、磁性層では強磁性粉末の充填度が低下し電磁変換特性が低下することがある。
【0043】
[強磁性粉末]
本発明の少なくとも一層以上の磁性層に使用する強磁性粉末は、平均板径が10〜40nmの強磁性六方晶フェライト粉末である。微粒子状の磁性体を使用することにより、表面平滑性が高く電磁変換特性が良好な磁気記録媒体を得ることができる。
【0044】
本発明で用いる強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径は、10〜40nmであり、好ましくは10〜35nmであり、更に好ましくは15〜30nmである。特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘッド(MRヘッド)で再生する場合、低ノイズにする必要があり、板径は10nm未満では熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。40nmを超えるとノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向かない。
強磁性六方晶フェライト粉末の板状比(板径/板厚)は1〜15が望ましく、好ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は10〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
【0045】
また、本発明の磁気記録媒体を製造の際、磁性塗料に分散時での強磁性六方晶フェライト粉末の含水率は、0.3〜3質量%、好ましくは0.5〜1.5質量%である。含水率が上記範囲であることにより、請求の範囲に記載されている極性基を含有する結合剤の磁性体への吸着が最適化され、分散性が向上し、作成された記録媒体は高いS/Nを示す。含水率が0.3質量%に満たないと、結合剤が十分に吸着せず、分散性が低下して好ましくない。含水率が3質量%を越えると、磁性塗料中のポリイソシアネートとの反応が進み、磁性塗料の粘度上昇が発生して好ましくない。
含水率の調整は、磁性体作成後に乾燥、加湿によって行うことができる。
なお、含水率の測定は、以下のようなカールフィッシャー法で行われる。三菱化学(株)製の気化装置(VA-05)付き微量水分計(CA-05)を用い、気化装置温度を120℃とし、キャリアガス(N2)を300ml/minの流量で流し、試料約300mgを精秤し、所定の操作によって得られる絶対水分量から試料の水分を次式により算出する。
含水率(%)=A/(10×S)
但し、A:水分量(μg)、S:試料量(mg)。
【0046】
強磁性六方晶フェライト粉末は、その抗磁力Hcが39.8〜398kA/m(500Oe〜5000Oe)程度までのものが製造することができる。Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。本発明ではHcは159〜239kA/m(2000〜3000Oe)程度であり、好ましくは175〜223kA/m(2200〜2800Oe)である。ヘッドの飽和磁束密度が1.4テスラーを越える場合は、159kA/m(2000Oe)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)である。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
【0047】
強磁性六方晶フェライト粉末の製法としては、以下のような方法があるが、本発明は製法を選ばない。
▲1▼酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法。
▲2▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法。
▲3▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法。
【0048】
強磁性六方晶フェライト粉末を分散する際に粒子表面を分散媒、結合剤に合った物質で処理することも行われている。表面処理材は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の化合物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は磁性体に対して0.1〜10%であることが適当である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。
【0049】
[研磨剤]
本発明の磁気記録媒体では、研磨剤として、ダイヤモンドが好ましく用いられる。ダイヤモンドの少量の使用で耐久性が確保でき、磁性体凝集、他の磁性層欠陥への悪影響が極端に少なくなる。結果的にノイズを格段に改良でき、更に出力も若干増加し、優れた高密度記録と走行耐久性を両立する磁気記録媒体を得ることができる。
【0050】
研磨剤として使用するダイヤモンドは、平均粒径が0.03〜0.5μmであり、好ましくは0.05〜0.30μmである。平均粒径が0.03μm未満では添加量に対する耐久性向上の効果が低くなる。0.5μmより大きいと耐久性は優れるもののノイズが高くなる。本発明においては、各ダイヤモンド粒子の最大径をもって粒径とし、平均粒径とは電子顕微鏡から無作為に抽出される500ケの粒子の測定値の平均値を指す。
【0051】
ダイヤモンドの添加量は、強磁性六方晶フェライト粉末に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.03〜3.00質量%の範囲である。0.01質量%未満では、耐久性の確保が困難になり、5質量%を越えるとダイヤモンド添加によるノイズ低減効果が少なくなる。ノイズ、耐久性の観点からダイヤモンドの添加量及び平均粒径は、上記範囲が好ましいが、ノイズの観点からは、ダイヤモンドの添加量はできるだけ少ない方が好ましく、本発明の磁気記録媒体は、磁気記録再生装置にあったダイヤモンドの添加量、その平均粒径を上記範囲から適宜選定することが好ましい。
【0052】
また、ダイヤモンドの粒度分布としては、粒径が平均粒径の200%以上の粒子個数がダイヤモンド全個数中の5%以下であり、粒径が平均粒径の50%以下の粒子個数がダイヤモンド全個数中の20%以下であることが好ましい。本発明に使用されるダイヤモンドの粒径の最大値は、通常、3.00μm、好ましくは2.00μm程度であり、その最小径は通常、0.01μm、好ましくは0.02μm程度である。
【0053】
粒度分布の測定は、上記の粒子径の測定の際に平均粒径を基準にその個数を計数して求める。ダイヤモンドは、その粒度分布も耐久性とノイズに影響する。粒度分布が上記範囲より広いと前述の平均粒径に相当する効果がずれる。即ち、粒径が大きすぎるものが多いとノイズを増大させたり、ヘッドを傷つけたりする。また、微小なものが多いと研磨効果が不充分となる。また、極端に粒度分布の狭いものはダイヤモンドの価格が高くなり、上記範囲とすることがコスト的にも有利である。ダイヤモンド粒子は、高硬度であり、且つ粒度分布がシャープで微粒子のダイヤモンド粒子を使用すると従来の研磨剤よりも含有量が少なくて同じ程度の研磨効果を期待できるので、ノイズの観点から有利である。
【0054】
更に、本発明ではダイヤモンドに、従来使用されている研磨剤、例えば、アルミナ、SiC等の研磨剤を併用することもできるが、併用する場合ダイヤモンドに対して500質量%以下とすることが好ましい。耐久性とSN比への効果は、少量のダイヤモンドのみの方が良好だが、コスト他の理由でアルミナ、SiC等のダイヤモンド以外の研磨剤を加えてもよい。この場合もダイヤモンドを含むためにアルミナ単独で耐久性に必要な添加量よりもかなり減量することができ、耐久性の確保及びノイズの低減の観点からも好ましい。
【0055】
本発明に用いられるダイヤモンドとしては、天然ダイヤモンドは高価であり通常人工ダイヤモンドが使用される。ダイヤモンドの製法としては、黒鉛と鉄、Co、Ni等を介し高温高圧下で生成する方法、黒鉛またはフラン樹脂炭素を高温高圧下で反応させる静的合成法と呼ばれるものの他、動的合成法、気相合成法等がある。本発明はダイヤモンドの製法を選ばない。
工業的には切削、研磨として使用したダイヤモンドを不純物を弁別洗浄したものを用い、2次使用することも可能である。本発明はダイヤモンド粒子の分布が上記範囲であることが好ましい。ダイヤモンド粒子を分級する方法としては分散液から遠心力を用いる方法、特殊なメッシュフィルターを用いる方法等がある。
【0056】
ダイヤモンドは、上述したように他の研磨剤を組み合わすこともできる。他の研磨剤として、上記アルミナ研磨剤、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、その他、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料が単独または組み合わせで使用される。さらに他の研磨剤はダイヤモンドと併用せずに単独で用いてもよい。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/g、が好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60、HIT70、HIT80、HIT100、レイノルズ社製、ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製、WA10000、上村工業社製、UB20、日本化学工業社製、G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製、TF100、TF140、イビデン社製、ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製、B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきである。
【0057】
[非磁性層]
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の下層として、非磁性支持体上に結合剤と非磁性粉末からなる非磁性層を有することもできる。
非磁性層に使用できる非磁性粉体は無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr2O3、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタン等が単独あるいは2種類以上の組み合わせで使用することができる。中でも、α−酸化鉄、酸化チタンが好ましい。非磁性粉体の形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。非磁性粉末の結晶子サイズは4nm〜1μmが好ましく、40nm〜100nmが更に好ましい。4nm以上であると分散性が良好であり。1μm以下であると表面平滑性が良好である。これら非磁性粉末の平均粒径は5nm〜2μmが好ましく、更に好ましくは、100〜200nmであり、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。5nm以上であると分散性が良好であり2μm以下であると表面平滑性が良好である
【0058】
非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/gであることが好ましく、更に好ましくは5〜70m2/gであり、特に好ましくは10〜65m2/gであることが適当である。1m2/g以上であると表面平滑性が高く、100m2/g以下であると所望の結合剤量で分散が可能である等、分散性が良好である
ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gであることが適当である。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることが適当であり、タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlであることが適当である。0.05g/ml以上であると飛散する粒子が少なく、2g/ml以下であると装置に固着せずいずれも操作性が良好である。
非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間が特に好ましい。pHが2以上であると高温、高湿下での摩擦係数が小さく、pHが11以下であると脂肪酸の遊離量が増加し、摩擦係数が小さくなる傾向がある。
【0059】
非磁性粉末の含水率は0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%であることが適当である。0.1質量%以上であると分散性が良好であり、5質量%以下であると分散後の塗料粘度が安定する傾向がある。強熱減量は20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。また、非磁性粉体が無機粉体である場合にはモース硬度は4以上、10以下のものが好ましい。モース硬度が4より小さいと耐久性が確保できなくなる傾向がある。非磁性粉体のステアリン酸吸着量は1〜20μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol/m2であることが適当である。非磁性粉体の25℃での水への湿潤熱は20〜60μJ/cm2(200〜600erg/cm2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは3〜9の間にあることが好ましい。
【0060】
これらの非磁性粉末の表面にはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnOで表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であり、更に好ましいものはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0061】
本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX 石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A,500A、チタン工業製Y−LOPおよびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉体は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0062】
非磁性層には、非磁性粉体と共にカーボンブラックを混合し表面電気抵抗(Rs)を下げることができ、光透過率を小さくすることができると共に所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。下層非磁性層のマイクロビッカース硬度は通常、25〜60kg/mm2、好ましくはヘッドあたりを調整するために、30〜50kg/mm2であり、薄膜硬度計(日本電気製 HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
【0063】
本発明の非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gであることが適当である。カーボンブラックの粒子径は5〜80nm、好ましく10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmであることが適当である。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製#3050B、3150B、3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックEC等が挙げられる。カーボンブラックを分散剤等で表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機質粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合わせで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)」を参考にすることができる。
【0064】
また非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。
【0065】
[その他の添加剤]
本発明の磁気記録媒体において磁性層または下層非磁性層には、分散効果、潤滑効果、帯電防止効果、可塑効果等を付与するための添加剤を含有しても良い。これら添加剤としては二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸基、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、(イソ)ノニルホスホン酸、(イソ)デシルホスホン酸、(イソ)ウンデシルホスホン酸、(イソ)ドデシルホスホン酸、(イソ)ヘキサデシルホスホン酸、(イソ)オクタデシルホスホン酸、(イソ)エイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、燐酸フェニル、燐酸ベンジル、燐酸フェネチル、燐酸α−メチルベンジル、燐酸1−メチル−1−フェネチル、燐酸ジフェニルメチル、燐酸ビフェニル、燐酸ベンジルフェニル、燐酸α−クミル、燐酸トルイル、燐酸キシリル、燐酸エチルフェニル、燐酸クメニル、燐酸プロピルフェニル、燐酸ブチルフェニル、燐酸ヘプチルフェニル、燐酸オクチルフェニル、燐酸ノニルフェニル等の芳香族燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、燐酸オクチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸イソオクチル、燐酸(イソ)ノニル、燐酸(イソ)デシル、燐酸(イソ)ウンデシル、燐酸(イソ)ドデシル、燐酸(イソ)ヘキサデシル、燐酸(イソ)オクタデシル、燐酸(イソ)エイコシル等の燐酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、または、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン等が使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基をもつものでも良い。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸」類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、更に好ましくは10質量%以下である。
【0066】
これらの具体例としては、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製、デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E,ニューポールPE61,イオネットMS−400等が挙げられる。
【0067】
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着もしくは結合する性質を有しており、磁性層においては主に強磁性粉末の表面に、非磁性層においては主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着もしくは結合し、一度吸着した有機燐化合物は金属あるいは金属化合物等の表面から脱着しがたいと推察される。従って、本発明の強磁性粉末表面または非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、強磁性粉末または非磁性粉末の結合剤樹脂成分に対する親和性が向上し、更に強磁性粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性も改善される。また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させる等が考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層あるいは下層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合等がある。
以上の材料により調製した塗布液を非磁性支持体上に塗布して非磁性層または磁性層を形成する。
【0068】
[非磁性支持体]
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理等を行っても良い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。
得られた支持体の算術平均粗さは(Ra)の値[JIS B0660−1998、ISO 4287−1997]で0.1μm以下であることが、得られた磁気記録媒体のノイズが小さくなるので好ましい。本発明の磁気記録媒体における非磁性支持体の厚みは、3〜80μmであることが好ましい。
【0069】
[バックコート層、下塗り層]
本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面にバックコート層(バッキング層)が設けられていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤等の粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。本発明の非磁性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
また、本発明の磁気記録媒体においては、下塗り層を設けても良い。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層または下層非磁性層との接着力を向上させることができる。下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂が使用される。下塗り層は、例えば厚さ0.5μm以下のものを用いることができる。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」の表示は特に断らない限り「質量部」を示す。
【0071】
〔結合剤の合成〕
合成例PUA−1(ポリウレタン樹脂PUA−1の合成)
温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備し予め窒素置換した容器に、表1に示した組成のポリエーテルポリオールと環状構造を有する短鎖ジオールをシクロヘキサノン30%溶液に窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒としてジブチルスズジラウレート60ppmを加え更に15分間溶解した。更に表1に示した有機ジイソシアネート化合物を加え6時間加熱反応し、ポリウレタン樹脂PUA−1を得た。得られたポリウレタン樹脂PUA−1の親水性極性基(−SO3Na)含有量は0.287meq/gであった。
【0072】
合成例PUA−2、PUa−3、PUC−1、PUc−2(ポリウレタン樹脂PUA−2、PUa−3、PUC−1、PUc−2の合成)
合成例PUA−1と同様にして、表1に示される鎖延長剤、有機ジイソシアネート化合物を用い、ポリウレタン樹脂PUA−2、PUa−3、PUC−1、PUc−2を得た。得られたポリウレタン樹脂PUA−2、PUa−3、PUC−1、PUc−2の親水性極性基(−SO3Na)含有量を表1に示す。
【0073】
合成例PUB−1(ポリウレタン樹脂PUB−1の合成)
▲1▼ポリエステルポリオールAの合成
温度計、撹拌機、還流式冷却器を取り付けた反応容器にアジピン酸365部、ネオペンチルグリコール260部を仕込み、触媒として酢酸亜鉛2質量%、酢酸ナトリウム3質量%を仕込み180℃〜220℃で3時間エステル交換反応を行い、220℃〜280℃で1〜10mmHgの減圧下で2時間重縮合反応を行った。このようにしてポリエステルポリオールAを得た。
▲2▼ポリウレタン樹脂PUB−1の合成
次いで、上記で得られたポリエステルポリオールを用い実施例PUA−1と同様にして表1に示した鎖延長剤、有機ジイソシアネート化合物を用いポリウレタン樹脂PUB−1を得た。得られたポリウレタン樹脂PUB−1の親水性極性基(−SO3Na)含有量は0.339eq/gであった。
【0074】
合成例PUB−2、PUB−3、PUb−4(ポリウレタン樹脂PUB−2、PUB−3、PUb−4の合成)
合成例PUB−1と同様にして、表1に示されるポリエステルA、鎖延長剤、有機ジイソシアネート化合物を用い、ポリウレタン樹脂PUB−2、PUB−3、PUb−4を得た。得られたポリウレタン樹脂PUB−2、PUB−3、PUb−4の親水性極性基(−SO3Na)含有量を表1に示す。
【0075】
合成例PVC−1(塩化ビニル系樹脂PVC−1の合成)
重合反応容器に脱イオン水130部、メタノール117部、メチルセルロース0.6部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル化物0.2部、トリクロルエチレン0.52部を仕込んで系内を減圧脱気後、表2に示した塩化ビニル単量体、グリシジルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを仕込み60#Cで撹伴した。その後、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド0.42部を仕込み重合を開始すると同時に、メタノール40部に溶解させたp−スチレンスルホン酸ナトリウム8部を8時間で全量消費されるよう一定速度で連続的に仕込んだ。反応時間12時間後、重合反応容器の圧力が3kg/cm2になった時点で冷却し、塩化ビニル系樹脂PVC−1を得た。得られた塩化ビニル系樹脂PVC−1の親水性極性基(−SO3Na)含有量は0.336meq/gであった。
【0076】
合成例PVC−2、PVc−3(塩化ビニル系樹脂PVC−2、PVc−3の合成)
合成例PVC−1と同様にして、表2に示した塩化ビニル単量体、その他のラジカル重合性単量体単位を用い塩化ビニル系樹脂PVC−2、PVc−3を得た。得られた塩化ビニル系樹脂PVC−2、PVc−3の親水性極性基(−SO3Na)含有量を表2に示す。
【0077】
合成例AC−1(アクリル系樹脂AC−1の合成)
撹拌機、コンデンサー、温度計および窒素ガス導入口を備えた重合容器を窒素置換後60℃に昇温し、表3に示すベンジルメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートをシクロヘキサノン100部に溶解した溶液と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部をシクロヘキサノン10部に溶解した溶液を、同時に上記重合容器中へ2時間を要して均一に滴下させた。滴下終了後、更に60℃で4時間加熱し重合を完結させアクリル系樹脂AC−1を得た。親水性極性基(アミド基)含有量は0.50meq/gであった。
【0078】
合成例AC−2〜7、Ac−8、AC9〜10(アクリル系樹脂AC−2〜7、Ac−8、AC9〜10の合成)
合成例AC−1と同様にして表3に示した単量体の種類・量比(質量部)で共重合し、同様の方法で反応させアクリル系樹脂AC−2〜7、Ac−8、AC−9〜10を得た。得られたアクリル系樹脂AC−2〜7、Ac−8、AC−9〜10の親水性極性基(−SO3Na、アミド基、アミノ基、PO(OH)2、COONa)含有量を表3に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
〔磁気記録媒体サンプルの作成〕
サンプル1(比較)
下記磁性塗料Aと非磁性塗料aそれぞれについて、各成分をニーダで混練したのち、サンドミルをもちいて分散させた。得られた磁性液Aと非磁性塗料の分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗布液には13部、磁性塗料Aの塗布液には4部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調整した。
得られた非磁性層塗布液を、厚さ62μmで中心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンテレフタレート支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥後に、磁性層の厚さが0.1μmになるように重層塗布をおこない、乾燥後、7段のカレンダーで温度90℃、線圧300kg/cmにて処理を行い、3.7吋に打ち抜き表面研磨処理施した。
【0083】
サンプル2(比較)
磁性塗料Aの強磁性六方晶フェライト粉体を加湿して、水分量を1.0%に変更した以外はサンプル1と同様な方法でサンプル2を作成した。
【0084】
サンプル3(本発明)
磁性塗料Aを磁性塗料Bに、非磁性塗料aを非磁性塗料bに変更した以外はサンプル2と同様の方法でサンプル3を作成した。
【0085】
サンプル4〜5、16〜20、23、26〜37
磁性塗料及び非磁性塗料中に添加する結合剤を表4、5に示すように変更し、サンプル3と同様な方法でサンプル4〜5、16〜20、23、26〜37を作成した。サンプル5、18、20、32、および37は、比較サンプルである。サンプル23、26〜31、および33〜36は、参考サンプルである。残りは本発明のサンプルである。
【0086】
サンプル6〜15
磁性塗料に添加する六方晶バリウムフェライトの平均粒径及び含水率を表4に示すように変更し、サンプル3と同様な方法でサンプル6〜15を作成した。サンプル6、11、12、および15は、比較サンプルであり、残りは本発明のサンプルである。
【0087】
サンプル21(比較)、22(参考)、24(参考)、25(比較)
磁性塗料に添加する六方晶バリウムフェライトの平均粒径及び含水率を表5に示すように変更し、サンプル23と同様な方法でサンプル21、22、24、25を作成した。
【0088】
サンプル38(本発明)
磁性塗料Aを磁性塗料Bに変更した以外は、サンプル2と同様な方法でサンプル38を作成した。
【0089】
サンプル39、40(本発明)
非磁性塗料の結合剤を表5に示すように変更した以外は、サンプル8と同様な方法でサンプル39、40を作成した。
【0090】
(磁性塗料A)
六方晶バリウムフェライト 100部
表面処理:Al2O3 5質量%、SiO2 2質量%
Hc:2500Oe
板径:30nm
板状比:3
σs:56emu/g
塩化ビニル共重合体 7部
MR110(日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 3部
UR8200(東洋紡社製)
α−アルミナ 4部
HIT60(住友化学社製)
ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部
カーボンブラック 1部
#50(旭カーボン社製)
イソセチルステアレート 5部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
【0091】
(磁性塗料B)
六方晶バリウムフェライト 100部
表面処理:Al2O3 5質量%、SiO2 2質量%
Hc:2500Oe
板径:30nm
板状比:3
σs:56emu/g
ポリウレタン樹脂PUA−1 10部
α−アルミナ
HIT60(住友化学社製) 4部
ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部
カーボンブラック 1部
#50(旭カーボン社製)
イソセチルステアレート 5部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
【0092】
(非磁性塗料a)
α−Fe2O3 ヘマタイト 100部
長軸長 0.07μm、短軸長 0.014μm
BET法による比表面積 55m2/g
pH9、表面処理剤Al2O3 8質量%
カーボンブラック(平均粒径20nm) 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 15部
MR104(日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 7部
UR5500(東洋紡社製)
フェニルホスホン酸 4部
イソセチルステアレート 6部
オレイン酸 1.3部
ステアリン酸 1.3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部
【0093】
(非磁性塗料b)
α−Fe2O3 ヘマタイト 100部
長軸長 0.07μm、短軸長 0.014μm
BET法による比表面積 55m2/g
pH9、表面処理剤Al2O3 8質量%
カーボンブラック 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂PUA−1 22部
フェニルホスホン酸 4部
イソセチルステアレート 6部
オレイン酸 1.3部
ステアリン酸 1.3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部
【0094】
以上で作成した磁気記録媒体のサンプル1〜40について、下記する方法で、(1)S/Nの測定および(2)サーマルアスペリティの測定を行った。結果を表4および表5に示した。
【0095】
(1)S/Nの測定
米国GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90にて、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタルインギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置において線記録密度100KFCIの信号を書き込み、トラック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、その再生出力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベルを測定し、S/N値を求めた。
【0096】
(2)サーマルアスペリティの測定方法
米国GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90にて、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタルインギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置においてDCイレーズ信号を書き込み、トラック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、ノイズレベルの3dB以上の変動をサーマルアスペリティとしてカウントし、1トラック当たりの発生回数を求めた。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
表4および表5に示される結果より、本発明に係わる磁気記録媒体のサンプルは、S/N特性に優れ、サーマルアスペリティの発生が少ないが分かる。
一方、結合剤の極性基、磁性体の平均板径や含水率が本発明から外れる比較サンプルは、S/N特性およびサーマルアスペリティの発生の少なくともいずれかにおいて劣ることが分かる。
【0100】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られた磁気記録媒体では、磁性層における磁性体の含水率と結合剤の親水性極性基の量を適切に選択することにより、磁性体への結合剤の吸着量を増大して分散性を大幅に向上し、その結果、媒体ノイズが低減され、サーマルアスペリティの原因となる微小突起も削減されるので、MRヘッドとの組み合わせにおいて、大幅な記録密度向上を達成できる。
即ち、本発明の製造方法により得られた磁気記録媒体は、優れたS/N特性を有し、サーマルアスペリティの発生が少なく、高密度記録用として好適である。
Claims (5)
- 少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO3M、−OSO3M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR1R2、−NR1R2、および−N+R1R2R3(R1、R2、およびR3は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、環状構造およびアルキレンオキサイド鎖を有する分子量500〜5000のポリオールと鎖延長剤として環状構造を有する分子量200〜500のポリオールと有機ジイソシアネートを反応させ得らたものであるポリウレタン樹脂(A)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO 3 M、−OSO 3 M、−PO(OM) 2 、−OPO(OM) 2 、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR 1 R 2 、−NR 1 R 2 、および−N + R 1 R 2 R 3 (R 1 、R 2 、およびR 3 は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、脂肪族二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなるポリエステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機ジイソシアネート化合物を反応させ得られるポリウレタン樹脂(B)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 少なくとも結合剤と強磁性六方晶フェライト粉末を分散して得られた磁性塗料を塗布して磁性層を少なくとも一層設ける磁気記録媒体の製造方法において、前記結合剤は、(イ)−SO 3 M、−OSO 3 M、−PO(OM) 2 、−OPO(OM) 2 、および−COOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムを表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.2〜0.7meq/g含有する結合剤と、(ロ)−CONR 1 R 2 、−NR 1 R 2 、および−N + R 1 R 2 R 3 (R 1 、R 2 、およびR 3 は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す)から選ばれる少なくとも一種の極性基を0.5〜5meq/g含有する結合剤と、の内の少なくともいずれかであり、かつ前記結合剤は、環状構造および炭素数2以上のアルキル鎖を有するポリオール化合物と有機ジイソシアネートを反応させ得られるポリウレタン樹脂(C)であり、かつ前記分散に供される強磁性六方晶フェライト粉末が、平均板径が10〜40nmで、含水率が0.3〜3質量%のものである、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法により得られることを特徴とする磁気記録媒体。
- MRヘッド再生用であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
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