JP2002329313A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002329313A
JP2002329313A JP2001315288A JP2001315288A JP2002329313A JP 2002329313 A JP2002329313 A JP 2002329313A JP 2001315288 A JP2001315288 A JP 2001315288A JP 2001315288 A JP2001315288 A JP 2001315288A JP 2002329313 A JP2002329313 A JP 2002329313A
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JP2001315288A
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Katsuhiko Meguro
克彦 目黒
Hiroshi Hashimoto
博司 橋本
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】下層で使用される非磁性粉体または磁性層の強
磁性粉末の分散性が高く、ひいては磁性層表面の平滑
性、電磁変換特性に優れ、磁性層表面の削れや、ヘッド
汚れが少なく、走行耐久性に優れ、更に、高温高湿下で
の保存性に優れた磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む下
層を設け、その上に磁性層を設けた磁気記録媒体におい
て、前記下層はベンゼン環を有する(メタ)アクリレー
ト単位、窒素原子を含むラジカル重合性単量体単位から
成るモノマー単位を少なくとも含み、かつ親水性極性基
を有するアクリル系樹脂を含むことを特徴とする磁気記
録媒体。支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体におい
て、磁性層はアルキル(メタ)アクリレート単位、窒素
を含むラジカル重合性単量体から成るモノマー単位を少
なくとも含み、かつ親水性極性基を有するアクリル系樹
脂と、特定のポリウレタン樹脂とを併用したことを特徴
とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極めて優れた電磁
変換特性、走行耐久性を持つ磁気記録媒体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気記録媒体として、非磁性支持
体上に強磁性粉体を結合剤中に分散させた磁性層を設け
た磁気記録媒体が用いられている。近年、磁気記録分野
では従来のアナログ記録から記録の劣化が少ないデジタ
ル記録の実用化が進展しているが、一般的にデジタル記
録ではアナログ記録に比べ多くの信号の記録が必要とな
る上、使用される記録再生装置および記録媒体には高画
質・高音質であると同時に小型化・省スペース化が求め
られるためにより一層の高密度記録化が要求される。
【0003】高密度記録を達成するために記録信号の短
波長化や記録軌跡の狭トラック化が行われ、記録媒体に
はより一層の電磁変換特性の向上が必要とされ、強磁性
粉末の磁気特性の向上、微粒子化、高充填化、媒体表面
の超平滑化等、種々の方法が提案されているが、近年の
高密度化に対しては充分なものではない。また、ノイズ
を低減するには磁性体のサイズを小さくすることが特に
重要で、最近の磁性体では0.1μm以下の強磁性金属
粉末や板径40nm以下の強磁性六方晶フェライト微粉
末が使用されており、このような強磁性微粉末の分散は
これまでの強磁性微粉末の分散に比べ困難になってい
る。
【0004】また、記録波長を短くした場合、磁性層厚
みが厚いと記録時の自己減磁損失、再生時の厚味損失の
問題が大きくなっている。さらに、再生ヘッドの飽和回
避のため、磁性層厚みを薄くすることが行われている
が、磁性層を約0.5μm以下に薄くすると磁性層の表
面に支持体の影響が現れやすくなり、電磁変換特性やエ
ラーレートの増加傾向が見られる。このため支持体表面
に非磁性の下層を設けてから磁性層を上層として設ける
ようにすれば前記の支持体の表面粗さの影響は解消する
ことができるが、磁性層の厚みは約0.5μm以下と下
層非磁性層の約2μmに比べ非常に薄いため、直接記録
再生ヘッドと接触する磁性層の表面性は下層非磁性層の
表面性が大きく反映され、下層非磁性層の表面粗さによ
る上層磁性層の表面粗さの影響は解決されない。分散性
を向上させる目的で磁性層に親水性極性基を持ったアク
リル系樹脂を結合剤として用いることが提案されてお
り、平滑性向上にはそれなりの効果が見られている。例
えば、支持体上に磁性層を設け、磁性層の結合剤として
(メタ)アクリレート系共重合体を含む磁気記録媒体と
して、次のようなものが公知である。
【0005】特開平4−176016号公報には、磁性
層用樹脂バインダーとして極性基を有する分子量100
0〜10000のアクリル酸樹脂とポリウレタン樹脂と
を含む磁気記録媒体が開示されており、極性基としては
水酸基とスルホン酸(塩基)等、アクリル酸樹脂の骨格
形成モノマーとしては(メタ)アクリル酸の飽和脂肪族
エステル、エーテル結合を主体とするオリゴエステル、
ポリウレタン、エポキシ樹脂の骨格を有するエステルが
記載されている。特開平4−176016号公報には、
骨格形成用のモノマーが例示されているが、具体的な骨
格・組成の記載がされていない。分散性に対し分子量、
極性基種・量のみに着目し、骨格の及ぼす影響には考慮
されておらず、最近の磁気記録媒体で使用される超微粒
子磁性体に対する分散性が不充分と考えざるを得ない。
【0006】特開平6−111279号公報には、磁性
塗膜用結合剤としてポリメタクリル酸樹脂とポリウレタ
ン樹脂との混合物を含む磁気記録媒体が開示されてお
り、ポリメタクリル酸樹脂はメタクリル酸エステル、−
R−OH基を有する不飽和単量体、−(O)SO3X基
を有する単量体および共重合可能な不飽和単量体との共
重合によって合成できると記載され、窒素を含むラジカ
ル重合性単位としては−R−OH基を有する不飽和単量
体の例としてN−メチロールアクリルアミドのみが記載
されているだけである。また、メタクリル酸エステルと
してはメタクリル酸と炭素数1〜5の飽和脂肪族アルコ
ールからなるエステルが挙げられている。また、共重合
可能な不飽和単量体の具体例が挙げられているが、その
中にはメタクリル酸エステルは記載されていない。しか
しながら、メタクリル酸と炭素数1〜5の飽和脂肪族ア
ルコールからなるメタクリル酸エステル、−R−OH
基、−(O)SO3X基を有する単量体との共重合によ
って得られるポリメタクリル酸樹脂では最近の磁気録媒
体で使用される下層粉体においては分散性が不充分であ
る。ポリウレタン樹脂としてはウレタン基濃度が2.5
mmol/g以上のポリエステルポリウレタン樹脂もし
くはポリカーボネートポリウレタンが好ましいと記載さ
れており、鎖延長剤としては炭素数2以上の分岐鎖を持
つものの記載は無い。特開平6−111279号公報に
おいて、メタクリル酸と炭素数1〜5の飽和脂肪族アル
コールからなるメタクリル酸エステル、−R−OH基を
有する不飽和単量体、−(O)SO3X基を有する単量
体およびメタクリル酸エステル以外の共重合可能な不飽
和単量体との共重合によって得られるポリメタクリル酸
樹脂と鎖延長剤として炭素数2以上の分岐鎖を持たない
ウレタン基濃度が2.5mmol/g以上のポリエステ
ルポリウレタンもしくはポリカーボネートポリウレタン
との併用では、最近のMRヘッドに対応した塗布型超薄
層磁気記録媒体で使用される長軸長0.1μm以下の微
細な強磁性金属粉末や40nm以下の強磁性六方晶フェ
ライト粉末の分散性に必要な電磁変換特性や媒体の表面
性が確保できない。
【0007】特開平7−220263号公報には、磁性
層用結合剤としてエーテル化合物系単量体、極性基含有
単量体、アクリル系単量体からなるアクリル系共重合体
を主剤とする磁気記録媒体が開示されている。該アクリ
ル系共重合体は、アクリル酸エステルは必須成分では無
い上に、実施例で挙げられているアクリル系共重合体に
は芳香族環および窒素を含むアクリル系単量体は使用さ
れておらず、芳香族環を含有する共重合可能な単量体と
してはスチレンのみであり、スチレンでは効果が不充分
である。
【0008】特開平8−67855号公報には、磁性層
用結合剤として酸基を有するビニル単量体、スチレン系
単量体および/または(メタ)アクリル酸エステルから
なる共重合体を含む磁気記録媒体が開示されている。特
開平8−67855号公報に例示されている(メタ)ア
クリル酸エステルには窒素を含有するものは挙げられて
いるが、芳香族環を含むものは例示されておらず、分散
性などの効果は不充分である。
【0009】特開平8−180366号公報には、環中
に酸素と窒素とを含む複素環基を有するラジカル重合性
単量体、水酸基、スルホン酸基等をそれぞれ含むラジカ
ル重合性単量体を共重合してなる(メタ)アクリル系共
重合体を含む磁気記録媒体が開示されており、使用でき
る(メタ)アクリル系単量体中にはベンゼン環、窒素を
含む単量体が挙げられている。しかしながら、実施例中
で使用されている磁性粉末はコバルト−γ−酸化鉄であ
り、最近の塗布型超薄層磁気記録媒体で使用される微細
な強磁性金属粉末や強磁性強磁性六方晶フェライト粉末
の分散性には必須成分として記載されているスチレンで
は、芳香族環を含むものの効果が不充分であり、必要な
電磁変換特性や媒体の表面性が確保できない。また、特
開平8−180366号公報において、アクリル系共重
合体と併用されているポリウレタン樹脂の具体例につい
て明細書本文中には特に記載が無く、実施例中において
N−2304(日本ポリウレタン工業製)が使用されて
いるのみである。N−2304にはエーテル基、炭素数
3以上の鎖延長剤および環状構造及び長鎖アルキル鎖を
有するジオ−ル化合物は使用されていない。
【0010】また、以上の特開平4−176016号公
報、同6−111279号公報及び同8−180366
号公報のいずれも最近のMRヘッドに対応した塗布型超
薄層磁気記録媒体に使用される長軸長0.1μm以下の
微細な強磁性金属粉末や40nm以下の強磁性六方晶フ
ェライト粉末の分散性には効果が不十分であり、必要な
電磁変換特性や媒体の表面性が確保できないと推定され
る。特開平9−69222号公報、同11−39639
号公報及び同11−96539号公報は磁性層に特定構
造を持ったウレタン樹脂を含む磁気記録媒体に関するも
のである。特開平9−69222号公報は、ポリエ−テ
ルポリオ−ル10質量%〜50質量%、環構造を有する
短鎖ジオ−ル15質量%〜40質量%、Mw500〜5
000の極性基含有ポリオ−ルからなるウレタン樹脂を
含むことを特徴としている。特開平11−39639号
公報は、脂肪族ポリエステルポリオ−ルと分岐脂肪族ジ
オ−ルの鎖延長剤からなるウレタン基3〜6mmol/
gのウレタンを含むことを特徴としている。特開平11
−96539号公報は、環状構造及び長鎖アルキル鎖を
有するジオ−ルを用いたウレタン樹脂を含むことを特徴
としている。
【0011】上記特開平4−176016号公報、同6
−111279号公報及び同8−180366号公報の
いずれにおいてもポリウレタン樹脂と併用され得る樹脂
として種々のものが挙げられているが、実施例で使用さ
れているのは塩化ビニル系の樹脂のみである。塩化ビニ
ル系樹脂は経時により、微量ながら塩素、塩化水素ガス
が発生し磁気記録媒体で使用されているメタル系強磁性
体およびヘッドの腐食を生じさせひいては電磁変換特性
の低下が起きる問題がある。よって、最近のMRヘッド
に対応した塗布型超薄層磁気記録媒体で使用される長軸
長0.1μm以下の微細な強磁性金属粉末を用いた媒体
では経時安定性に問題が生じると推定される。また、該
塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂との併用では、最
近のMRヘッドに対応した塗布型超薄層磁気記録媒体に
使用される長軸長0.1μm以下の微細な強磁性金属粉
末や40nm以下の強磁性六方晶フェライト粉末の分散
性には効果が不十分であり、必要な電磁変換特性や媒体
の表面性が確保できないと推定される。
【0012】また、以上いずれの文献にもその明細書中
に該樹脂の下層非磁性層(粉体)への使用については記
載されておらず、該樹脂は磁性層での使用のみに限定し
たものである。アクリル樹脂はポリウレタン樹脂に比べ
ると分子間相互作用が少ないことに起因し柔軟性に欠け
る性質が見られ、ポリウレタン樹脂との併用等が種々検
討されているが不充分と言わざるを得ない。具体的に
は、単層磁性層からなる記録媒体では、アクリル樹脂を
使用するとその柔軟性に欠ける性質が災いし、ヘッド当
たりが悪くスペーシングロスが生じ、結果的に電磁変換
特性に悪影響を与える。また、上層に薄層磁性層、下層
に非磁性層を持った重層磁気録媒体でもアクリル樹脂を
直接記録再生ヘッドと接触する上層磁性層において使用
すると、ヘッド当たりが不良となったり、ヘッドによる
繰り返しの摺動で磁性層表面が削れドロップアウト、ヘ
ッド汚れの原因となる等の問題があることがわかった。
特に、高密度記録用の機器では記録信号の短波長化が行
われ、記録媒体への書き込み速度や呼び込み速度の短縮
化が必要でシリンダー回転数や磁気テープの搬送速度の
向上等が行われ、テープを繰返し走行させている内に、
磁気ヘッド上に汚れが付着して再生出力が低下し、エラ
ーレートの増大が生じ、データの記録、再生に対する信
頼性の低下が著しく生じてくる。これはポリウレタン樹
脂や塩化ビニル系樹脂に比べ、アルリル系樹脂は分子間
相互作用が小さいために、靱性に乏しく繰り返しの摺動
で磁性層表面および/またはエッジ端面が削られるため
と推定される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、極めて優れた電磁変換特性および走行耐久性を
持つ塗布型磁気記録媒体を提供することにある。
【0014】詳しくは、本発明の目的とするところは、
高出力を保ち、かつ平滑でエラーレートの低い磁気記録
媒体を提供することにある。
【0015】具体的には、次の様な磁気記録媒体を提供
することにある。 下層で使用される非磁性粉体または磁性層で使用され
る強磁性粉末の分散性が高く、電磁変換特性に優れた磁
気記録媒体。 磁性層の平滑性・電磁変換特性に優れた磁気記録媒
体。 磁性層表面の削れや、ヘッド汚れが少なく、走行耐久
性に優れた磁気記録媒体。 高温高湿下での保存性に優れた磁気記録媒体。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の通りで
ある。 1.支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む下層を設
け、その上に強磁性粉末と結合剤とを含む少なくとも一
層以上の磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記下
層は結合剤としてベンゼン環を有する(メタ)アクリレ
ート単位を5質量%〜45質量%、窒素原子を含むラジ
カル重合性単量体単位を1質量%〜45質量%から成る
総計100質量%となるモノマー単位を少なくとも含
み、かつ親水性極性基を有するアクリル系樹脂を含むこ
とを特徴とする磁気記録媒体。 2.支持体上に強磁性粉末と結合剤を分散した少なくと
も一層以上の磁性層を設けた磁気記録媒体において、磁
性層は結合剤としてアルキル(メタ)アクリレート単位
15質量%〜75質量%、窒素を含むラジカル重合性単
量体単位を1質量%〜45質量%から成る総計100質
量%となるモノマー単位を少なくとも含み、かつ親水性
極性基を有するアクリル系樹脂と、環状構造およびアル
キレンオキサイド鎖を有する分子量500〜5000の
ポリエーテルポリオールと鎖延長剤として環状構造を有
する分子量200〜500のポリオールと有機ジイソシ
アネ−トを反応させかつ親水性極性基を有するポリウレ
タン樹脂(A)、もしくは脂肪族二塩基酸と分岐アルキ
ル側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールから
なるポリエステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が
3以上の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機
ジイソシアネート化合物を反応させかつ親水性極性基を
有するポリウレタン樹脂(B)、もしくは環状構造及び
長鎖アルキル鎖を有するポリオ−ル化合物と有機ジイソ
シアネ−トを反応させかつ親水性極性基を有するポリウ
レタン樹脂(C)とを併用したことを特徴とする磁気記
録媒体。 3.支持体と磁性層の間に非磁性粉末と結合剤を含む下
層を設けたことを特徴とする上記2記載の磁気記録媒
体。 4.上記3記載の下層が上記2記載の磁性層に含まれる
結合剤と同義の結合剤を含むことを特徴とする上記3記
載の磁気記録媒体。 5.該強磁性粉末は平均長軸長0.01μm〜0.10
μmで結晶子サイズが80Å〜180Å以下の強磁性金
属粉末または、平均板径が5nm〜40nmの強磁性六
方晶フェライト粉末であることを特徴とする上記1〜4
のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 6.該磁性層の厚みは0.01〜0.5μmであること
を特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の磁気記
録媒体。 7.該強磁性金属粉末はFeを主成分とし、Feに対し
てCoが、10〜40原子%、Alが2〜20原子%、
Yが1〜15原子%含まれ、抗磁力が2000〜300
0エルステッド(Oe)(160〜240kA/m)
で、飽和磁化σsが80〜170mTであることを特徴
とする上記1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒
体。 8.該強磁性六方晶フェライト粉末の抗磁力は2000
〜3000Oe(160〜240kA/m)で、飽和磁
化σsが40〜80mTである六方晶バリウムフェライ
トであることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に
記載の磁気記録媒体。 9.該磁気記録媒体がMR再生ヘッド搭載の記録再生シ
ステムに適用されるデジタル信号記録用磁気ディスクま
たは磁気テ−プであることを特徴とする上記1〜8のい
ずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成要素を順次説
明する。 I.結合剤 まず、請求項1に記載のアクリル系樹脂について述べ
る。本発明の磁気録媒体は、下層を形成するための結合
剤として、特定のアクリル系樹脂を含むことを特徴とす
る。アクリル系樹脂は、単量体単位としてベンゼン環を
持った(メタ)アクリレート(以下、単量体aともい
う)単位5質量%〜45質量%及び窒素を含むラジカル
重合性単量体(以下、単量体bともいう)単位1質量%
〜45質量%から成る総計100重量%となるモノマー
単位を少なくとも含み、かつ親水性極性基を有するもの
を使用する。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレ
ートとメタクリレートの総称である。アクリル系樹脂を
構成する単量体は、単量体a、単量体b及び他の単量体
(以下、単量体cともいう)の各々の単位からなる。該
他の単量体cは、1種でも2種以上でもよい。また、単
量体cはラジカル重合性が好ましい。
【0018】本発明で使用する単量体aとしては、ベン
ジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイ
ド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好
ましい単量体aは、ベンジル(メタ)アクリレート、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレートである。単量体a
単位は、アクリル系樹脂に5質量%〜45質量%、好ま
しくは10質量%〜40質量%含む。5質量%未満では
下層、ひいては磁性層の十分な平滑性(光沢)や耐久性
が得られない等、非磁性粉末の分散性を改良する効果が
ない。一方、45質量%を超えると非磁性塗料粘度が高
くなる。
【0019】本発明で使用する単量体bとしては、(メ
タ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルア
ミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メ
トキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリ
レート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモ
ルホリン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、N
−ビニルオキサゾリドン、N−ビニル−2−ピロリド
ン、N−ビニルカルバゾール、2−ビニル−4,6−ジ
アミノ−5−トリアジン、2−ビニルピリジン、4−ビ
ニルピリジン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、
アクリロニトリル等が挙げられる。単量体b単位は、ア
クリル系樹脂中に1質量%〜45質量%、好ましくは2
質量%〜40質量%含む。1質量%未満では非磁性粉末
の分散性を改良する効果がない。また、45質量%を越
えるとポリウレタン樹脂と併用した場合、ポリウレタン
樹脂との相溶性及び溶剤溶解性が悪くなる。
【0020】アクリル系樹脂において、単量体a並びに
単量体bと共重合可能な他の共重合性単量体(単量体
c)としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリル
グリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチル
ビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、
n−オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテ
ル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル
などのアルキルビニルエーテル類、メトキシエチル(メ
タ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレー
トなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、
グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、(無水)マレイン酸、アクリロニトリ
ル、塩化ビニリデン、等を挙げることができる。中でも
アルキル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエー
テルが好ましい。
【0021】アルキル(メタ)アクリレートの具体例と
しては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)
アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これ
らの単量体は1種類のみ用いても2種類以上を併用して
もよい。アクリル系樹脂において、アルキル(メタ)ア
クリレートまたはアリルグリシジルエーテルからなる単
量体(以下、単量体c1という)の単位の総量は、好ま
しくは15質量%〜75質量%、更に好ましくは20質
量%〜70質量%の範囲である。15質量%未満ではア
クリル系樹脂のケトン類、エステル類等の有機溶剤への
溶解性を妨げる場合がある。75質量%を超えると得ら
れるアクリル系樹脂の塗膜の強度を低下させる場合があ
る。また、アクリル系樹脂に含まれる上記単量体c1以
外の単量体cとしては、アクリル系樹脂100質量%中
に26質量%以下とすることが好ましい。この範囲を超
えると共重合体の力学物性・分散性などが低下する。
【0022】アクリル系樹脂は、親水性極性基を有す
る。親水性極性基は、非磁性粉末の分散性を向上させる
機能を有するものであれば特に制限はない。親水性極性
基としては、−SO3M、−PO(OM)2、−COOM
(Mは水素原子、アルカリ金属あるいはアンモニウムを
表す)、アミノ基、4級アンモニウム塩基が好ましく、
中でも−SO3Mが特に分散性に優れ好ましい。好まし
い親水性極性基含有量は、1×10-6〜50×10-5
q/g、更に好ましくは5×10-6〜20×10 -5eq
/g−結合剤である。1×10-6eq/g未満では効果
が得られず、50×10-5eq/gを超えると塗料粘度
が高くなって作業性が著しく悪くなり、取扱が困難とな
る。また、アクリル系樹脂は、親水性極性基を、2種類
以上でも良く、例えば、−SO3Mの他に−COOMを
有していても良い。
【0023】アクリル系樹脂に親水性極性基を導入する
方法としては、例えば単量体a単位、単量体b単位及び
単量体c単位から成る、親水性極性基を含有しない(メ
タ)アクリレート系共重合体に親水性極性基を有する化
合物を反応により付加して導入する方法を挙げることが
できる。具体的には−SO3Mを該(メタ)アクリレー
ト系共重合体に導入する方法として、まず、単量体a、
単量体b及び単量体cとしてグリシジル基をもつ共重合
可能な単量体を少なくとも含ませたものを用いて共重合
させ、共重合と同時あるいは共重合体を得た後に、−S
3Mを有し、且つグリシジル基と反応する化合物と反
応させる方法を挙げることができる。グリシジル基をも
つ共重合可能な単量体としては、グリシジル(メタ)ア
クリレート、アリルグリシジルエーテル等を挙げること
ができ、これらは単独あるいは2種類以上を同時に併用
しても良い。また、−SO3Mを有し、グリシジル基と
反応する化合物としては、亜硫酸および亜硫酸ナトリウ
ム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アン
モニウム等の亜硫酸塩類、硫酸および硫酸水素ナトリウ
ム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム等の硫酸
水素塩類、タウリン、タウリンナトリウム、タウリンカ
リウム、タウリンアンモニウム、スルファミン酸、スル
ファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スル
ファミン酸アンモニウム、スルファニル酸、スルファニ
ル酸ナトリウム、スルファニル酸カリウム、スルファニ
ル酸アンモニウム等のアミノスルホン酸類等があげられ
る。
【0024】また、アクリル系樹脂の製造は単量体cと
して親水性極性基を有するものを少なくとも用いて、当
該単量体cを単量体a及び単量体bとともに共重合させ
ても良い。共重合可能な親水性極性基含有単量体の内
で、例えば−SO3Mを導入するために使用される共重
合可能な単量体としては、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)
アクリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等の不飽
和炭化水素スルホン酸およびこれらの塩、(メタ)アク
リル酸スルホエチルエステル、(メタ)アクリル酸スル
ホプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸のスルホア
ルキルエステル類およびこれらの塩などをあげることが
できる。−SO3Mの他に−COOMの導入が必要な場
合には−COOMを含む共重合可能な単量体、具体的に
は(メタ)アクリル酸、マレイン酸やこれらの塩類を使
用することができる。
【0025】さらに、上記親水性極性基は、(メタ)ア
クリレート系共重合体の製造に際して、親水性極性基含
有ラジカル重合開始剤を用いて単量体混合物を共重合さ
せる方法、片末端に親水性極性基を有する連鎖移動剤の
存在下に単量体混合物を共重合させる方法により、(メ
タ)アクリレート系共重合体に導入してもよい。
【0026】親水性極性基含有ラジカル重合開始剤とし
ては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのラジカル重
合開始剤の使用量は単量体の合計量に対し、1質量%〜
10質量%とすればよいが、好ましくは1質量%〜5質
量%である。
【0027】片末端に親水性極性基を有する連鎖移動剤
としては、重合反応において連鎖移動が可能で且つ片末
端に親水性極性基を有するものであれば特に制限されな
いが、片末端に親水性極性基を有するハロゲン化化合
物、メルカプト化合物やジフェニルピクリルヒドラジン
等が挙げられる。ハロゲン化化合物の具体例としては、
2−クロロエタンスルホン酸、2−クロロエタンスルホ
ン酸ナトリウム、4−クロロフェニルスルホキシド、4
−クロロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼン
スルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、4−(ブ
ロモメチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが例示
されるが、2−クロロエタンスルホン酸ナトリウム、p
−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。メ
ルカプト化合物としては、好ましくは2−メルカプトエ
タンスルホン酸(塩)(ここで、「(塩)」とは、当該
化合物が、塩の形態を含むことを意味する。)、3−メ
ルカプト−1,2プロパンジオール、メルカプト酢酸
(塩)、2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールスル
ホン酸(塩)、3−メルカプト−2−ブタノール、2−
メルカプトブタノール、3−メルカプト−2−プロパノ
ール、N(2−メルカプトプロピル)グリシン、チオグ
ルコール酸アンモニウム又はβ−メルカプトエチルアミ
ン塩酸塩が用いられる。これらの片末端に親水性極性基
を有する連鎖移動剤は、一種または二種以上を組み合わ
せて用いることができる。特に好ましく用いられる片末
端に親水性極性基を有する連鎖移動剤は、極性の強い2
−メルカプトエタンスルホン酸(塩)である。これらの
連鎖移動剤の使用量は単量体の合計量に対し、0.1〜
10質量%とすればよいが、好ましくは0.2〜5質量
%である。
【0028】また、本発明の親水性極性基として−SO
3M等とともに共重合可能な水酸基含有単量体を単量体
cとして共重合させて水酸基を持たせることも好まし
い。尚、本発明では親水性極性基が単量体aやbに導入
されたものを用いることも可能である。共重合可能な水
酸基含有単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メ
タ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブ
チルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシ
エチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピ
ルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ
(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ
(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリ
ルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、
(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。また、酢酸
ビニルを共重合し、溶媒中で苛性アルカリによってケン
化反応することによりビニルアルコールに基づく水酸基
を導入することもできる。水酸基を有する単量体の量
は、全単量体中の1〜30質量%とすることが好まし
い。
【0029】アクリル系樹脂の数平均分子量は、100
0〜200000が好ましい。更に好ましくは1000
0〜100000である。1000未満では得られる磁
気記録媒体の物理的強度が低下し、耐久性にも影響を与
える。200000を超えると所定濃度における塗料粘
度が高くなって作業性が著しく悪くなり取扱が困難とな
る。
【0030】上記重合可能な単量体類、連鎖移動剤を含
む重合反応系を重合させるには、公知の重合方法、例え
ば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等を用いることがで
きる。これらの重合方法のうち、得られたアクリル系樹
脂を保存安定性の高い固形状体で容易に保存できる点か
ら、乾燥作業性のよい懸濁重合や乳化重合を用いること
が好ましく、特に乳化重合を用いることが好ましい。重
合条件は、用いる重合可能な単量体類や重合開始剤、連
鎖移動剤の種類等により異なるが、一般にオートクレー
ブ中にて、温度は50〜80℃程度、ゲージ圧力は4.
0〜1.0MPa程度、時間は5〜30時間程度である
ことが好ましい。重合は、反応に不活性な気体の雰囲気
下で行うことが反応制御のしやすさの点で好ましい。そ
のような気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙
げられ、好ましくは経済性の点から窒素が用いられる。
重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に他
の成分を添加してもよい。そのような成分としては、例
えば乳化剤、電解質、高分子保護コロイド等が挙げられ
る。
【0031】本発明に於いては、必要に応じて結合剤と
してポリウレタン樹脂を併用することができる。併用す
るポリウレタン樹脂は前記親水性極性基を有することが
好ましい。ポリウレタン樹脂に親水性極性基を導入する
には、親水性極性基を有するポリエステルポリオール、
ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール
などの親水性極性基含有ポリオールと、親水性極性基を
有しないポリエステルポリオール、ポリカーボネートポ
リオール、ポリエーテルポリオールなどの親水性極性基
を有しないポリオールと、ジイソシアネートとから製造
することができる。親水性極性基含有ポリオールは、ポ
リオールの主鎖または側鎖に前記親水性極性基を有する
ものである。親水性極性基含有ポリオールは、例えば、
以下に示す2価アルコール或いは2塩基酸の一部を親水
性極性基含有ジオールあるいは親水性極性基含有2塩基
酸に変えて製造することができる。親水性極性基含有ジ
オールとしては、例えばスルホ(イソまたはテレ)フタ
ル酸(Na又はK塩でもよい)のEO(エチレンオキシ
ド)付加物、PO(プロピレンオキシド)付加物、アミ
ノエタンスルホン酸等のスルファミン酸類のEO付加
物、PO付加物等を例示することができる。親水性極性
基含有2塩基酸としては、例えば5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−
スルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル
酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、2−スルホテレ
フタル酸等を挙げることができる。
【0032】上記ポリエステルポリオールは、例えば、
2価のアルコールと2塩基酸との重縮合によって得たも
の、ラクトン類、例えば、カプロラクトンの開環重合な
どによって得たものが挙げられる。代表的な2価のアル
コールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール等のグリコール類を例示する
ことができる。また、代表的な2塩基酸としてはアジピ
ン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル
酸、テレフタル酸等を例示することができる。
【0033】また、ポリカーボネートポリオールは、多
価アルコールとホスゲン、クロルギ酸エステル、ジアル
キルカーボネートまたはジアリルカーボネートとの縮合
またはエステル交換により合成される分子量300〜2
0000、水酸基価200〜300のポリカーボネート
ポリオールあるいは該ポリカーボネートポリオールと2
価カルボン酸との縮合により得られる分子量400〜3
0000、水酸基価5〜300のポリカーボネートポリ
エステルポリオールである。
【0034】さらに、ポリエーテルポリオールとして
は、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビス
フェノールS、ビスフェノールP等のポリエチレンオキ
シドおよびまたはポリプロピレンオキシド付加物、ポリ
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール等の分子量500〜5000
のポリエーテルポリオールが使用できる。ポリエーテル
ポリオールとしては、ビスフェノールA、水素化ビスフ
ェノールA及びこれらのエチレンオキシド、プロピレン
オキシド付加物でエーテル基を25質量%〜45質量
%、さらには30質量%〜40質量%の範囲含有するポ
リエーテルポリオールが好ましい。25質量%未満では
溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下する。45
質量%を越えると塗膜強度が低下するので耐久性が低下
する。上記ポリオールにその他のポリオールを上記ポリ
オールの90質量%まで配合して併用しても良い。
【0035】上記ポリオールと反応させてポリウレタン
を形成するために用いられるポリイソシアネートとして
は、特に制限はなく通常に使用されているものを用いる
ことができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4
−キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソ
シアネート、トルイジンジイソシアネート、2,4−ト
リレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、3,3−ジメチルフェニレンジイソシアネート等を
挙げることができる。
【0036】また、鎖延長剤としては、それ自体公知の
物質、多価アルコール、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリ
アミン、芳香族ポリアミン等が使用できる。なかでも分
子量50〜500の多価アルコールが好ましい。50未
満では塗膜が脆くなるので耐久性が低下する。500以
上では塗膜のTgが低下し、軟らかくなるので耐久性が
低下する。多価アルコールとしてはビスフェノールA、
水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェ
ノールP及びこれらのエチレンオキシド、プロピレンキ
シド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキ
サンジオール、ハイドロキノン、ビス(2−ヒドロキシ
エチル)テトラブロモビスフェノ−ルA、ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)テトラブロモビスフェノ−ルS、ビス
(2−ヒドロキシエチル)テトラメチルビスフェノ−ル
S、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジフェニルビスフェ
ノ−ルS、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジフェニルビ
フェノ−ル、ビス(2−ヒドロキシエチル)チオジフェ
ノ−ル、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビスフェノ−ル
F、ビフェノ−ル、ビスフェノ−ルフルオレン、ビスフ
ェノ−ルフルオレンジヒドロキシエチルエ−テル等の環
状構造を有する短鎖ジオールが好ましい。さらに好まし
いものは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノール
A、ビスフェノールS、ビスフェノールP及びこれらの
エチレンオキシド、プロピレンキシド付加物、シクロヘ
キサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の芳香
族、脂環族ジオールが好ましい。
【0037】本発明で使用される親水性極性基含有ポリ
ウレタン系樹脂の平均分子量は、5000〜10000
0が好ましい。更には10000〜50000が好まし
い。5000未満では、得られる塗膜が脆くなるなど物
理的強度が低下し、磁気記録媒体の耐久性に影響を与え
る場合がある。分子量が100000を超えると、溶剤
への溶解性が低下し、分散性が低下し易くなる。また、
所定濃度における塗料粘度が高くなって作業性が著しく
悪くなり、取扱が困難となる。
【0038】本発明で使用される親水性極性基含有ポリ
ウレタン系樹脂のOH基としては、分岐OH基を有する
ことが硬化性、耐久性の面から好ましく、1分子当たり
2個〜40個が好ましく、さらに好ましくは1分子当た
り3個〜20個である。
【0039】本発明に於いて、下層を形成するための結
合剤として親水性極性基含有ポリウレタン系樹脂を併用
する場合には、アクリル系樹脂100質量部に対して5
〜900質量部とすることが好ましい。
【0040】結合剤にはさらに架橋剤としてポリイソシ
アネートを使用することも可能である。架橋剤として使
用し得るポリイソシアネートとしては、トリレンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネー
ト、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート
等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート
類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート
類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用
することができる。これらのイソシアネート類の市販さ
れている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロ
ネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロ
ネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMT
L、武田薬品社製、タケネートD−102、タケネート
D−110N、タケネートD−200、タケネートD−
202、住友バイエル社製、デスモジュ−ルL、デスモ
ジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL
等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して
二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることが
できる。
【0041】本発明は下層で使用される結合剤として、
アクリル系樹脂及び極性基含有ポリウレタン系樹脂の他
に更に他の樹脂を併用することができる。併用される樹
脂は通常、それらの合計量の等量以下の量であり、親水
性極性基を持つ樹脂が好ましい。併用できるその他樹脂
としては特に制限はなく、従来から結合剤として使用さ
れている公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂およびこれらの混合物を使用することができる。熱可
塑性樹脂としてはガラス転移温度が−100〜150
℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましく
は10000〜100000ものである。具体的には、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチ
レン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニ
ルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む
重合体、共重合体、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬
化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、
フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデ
ヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの
混合物等が挙げられる。本請求項1において、アクリル
系樹脂は磁性層に添加されてもよい。磁性層に用いる結
合剤としては、請求項2記載のアクリル系樹脂や従来公
知の結合剤が用いられ、前記下層に用いられる極性基含
有ポリウレタン系樹脂やその他アクリル系樹脂以外の併
用可能樹脂として例示した公知の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用するこ
とができる。
【0042】次に請求項2記載の結合剤について説明す
る。本発明の磁気録媒体においては、磁性層の結合剤と
しては特定のアクリル系樹脂と特定のポリウレタン樹脂
を併用する。この結合剤は下層を形成するために用いる
ことも好ましい。 a.アクリル系樹脂 アクリル系樹脂はアルキル(メタ)アクリレート単位1
5重量%〜75重量%、及び窒素を含むラジカル重合性
単量体単位1重量%〜45重量%から成る総計100重
量%となるモノマー単位を少なくとも含み、かつ親水性
極性基を有するものを使用する。この請求項2に記載の
アクリル系樹脂の基本構造は、請求項1に記載のアクリ
ル系樹脂と同様であるが、ただし必須モノマー単位を異
にするものである。即ち、請求項1では、ベンゼン環を
持った(メタ)アクリレート単位が必須であるに対して
請求項2では、それに代えてアルキル(メタ)アクリレ
ート単位が必須となるものである。そして、共重合可能
な他の共重合性単量体としても上記アクリル系樹脂と同
様であるが、ベンゼン環を持った(メタ)アクリレート
が好ましい。
【0043】本発明で使用するアルキル(メタ)アクリ
レート、窒素を含むラジカル重合性単量体及びベンゼン
環を持った(メタ)アクリレートの具体例としては、上
記アクリル系樹脂と同様のものが挙げられる。また、こ
れら単量体成分の配合割合の好ましい範囲は、上記と同
様である。また、親水性極性基の種類、量も上記アクリ
ル系樹脂と同様の範囲のものである。
【0044】b.ポリウレタン樹脂 併用するポリウレタン樹脂は環状構造およびアルキレン
オキサイド鎖を有する分子量500〜5000のポリエ
ーテルポリオールと鎖延長剤として環状構造を有する分
子量200〜500のポリオールと有機ジイソシアネ−
トを反応させかつ親水性極性基を有するポリウレタン樹
脂(A)、もしくは脂肪族二塩基酸と分岐アルキル側鎖
を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなるポ
リエステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が3以上
の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機ジイソ
シアネート化合物を反応させかつ親水性極性基を有する
ポリウレタン樹脂(B)、もしくは環状構造及び長鎖ア
ルキル鎖を有するポリオ−ル化合物と有機ジイソシアネ
−トを反応させかつ親水性極性基を有するポリウレタン
樹脂(C)である。本発明はアクリル系樹脂及び上記ポ
リウレタン樹脂(A)、(B)または(C)の何れか1
種または2種以上の組み合わせと併用することで、磁気
特性、磁気録媒体表面の平滑性ひいては電磁変換特性・
耐久性・保存性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0045】ポリウレタン樹脂(A)について詳述す
る。 環状構造およびアルキレンオキサイド鎖を有する分子
量500〜5000のポリエーテルポリオール 以下の環状構造を有するジオ−ルにエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを
付加したものを用いることができる。環状構造を有する
ジオ−ルとしては、ビスフェノールA、水素化ビスフェ
ノールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノール
S、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP、トリ
シクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオール、5,5’−(1−メチル
エチリデン)ビス−(1,1’−ビシクロヘキシル)2
−オール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス−
2メチルシクロヘキサノール、5,5’−(1,1’−
シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシ
ル)2−オール、5,5’−(1,1’−シクロヘキル
メチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2−オ
ール、水添テルペンジフェノール、ジフェニルビスフェ
ノールA、ジフェニルビスフェノールS、ジフェニルビ
スフェノールP、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン、4,4’−(3−メチルエチリデ
ン)ビス(2−シクロヘキシル−5−メチルフェノー
ル)、4,4’−(3−メチルエチリデン(ビス(2−
フェニル−5メチルシクロヘキサノール)、4,4’−
(1−フェニルエチリデン)ビス(2−フェノール)、
4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノ
ール)、テルペンジフェノール等が挙げられる。
【0046】のポリエーテルポリオールとしては、好
ましくは水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノ
ールAのポリプロピレンオキサイド付加物で分子量が5
00〜5000のものが好ましい。500以下ではウレ
タン基濃度が高くなるので溶剤溶解性が低下し、500
0以上では塗膜強度が低下し耐久性が低下する場合があ
る。 環状構造を有する分子量200〜500のポリオール 上記で記載した環状構造を有するジオ−ルまたはそれ
らと分子量200〜500の範囲でエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを
付加したものを用いることができる。環状構造を有する
分子量200〜500のポリオールとしては、好ましく
は水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノールA
のプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0047】ポリウレタン樹脂(B)について詳述す
る。 脂肪族二塩基酸 ポリエステルポリオール成分形成に用いることのできる
脂肪族二塩基酸としてはコハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン
酸、スベリン酸等の脂肪族二塩基酸が使用できる。中で
も好ましいものはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸で
ある。ポリウレタン樹脂(B)のポリエステルポリオー
ル成分は、脂肪族二塩基酸の他に芳香族二塩基酸などを
包含してもよいが、ポリエステルポリオールの全二塩基
酸成分のうち脂肪族二塩基酸の含量が70モル%以上が
好ましい。70モル%よりも少ないと実質的に芳香族二
塩基酸などの環状構造を有する二塩基酸成分が増えるの
で溶剤溶解性が低下し、分散性が低下する場合がある。
【0048】分岐アルキル側鎖を有する環状構造を持
たない脂肪族ジオール ポリエステルポリオール成分形成に用いることのでき
る、分岐アルキル側鎖を有する環状構造を持たない脂肪
族ジオールとしては2,2−ジメチル−1,3−プロパ
ンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ
ール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジ
オール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタン
ジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパン
ジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタン
ジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオー
ル、3,3−ジエチル−1、5−ペンタンジオール、2
−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3
−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2
−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、
3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオー
ル、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、
3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2
−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジ
プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2
−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−
3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル
−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−
プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオ
ール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プ
ロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,
5−ペンタンジオール、3−オクチル−1、5−ペンタ
ンジオール、3−ミリスチル−1、5−ペンタンジオー
ル、3−ステアリル−1、5−ペンタンジオール、2−
エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−
1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキ
サンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、
5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−
1,9−ノナンジオール等が使用できる。なかでも、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エ
チル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2
−ジエチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。
【0049】ポリウレタン樹脂(B)のポリエステルポ
リオール成分は、上記ジオールの他に他のポリオールを
包含してもよいが、全ポリオール中の上記ジオールの含
量は、50〜100mol%が好ましい。更には70〜
100mol%が好ましい。 鎖延長剤である、炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖
をもつ脂肪族ジオール この鎖延長剤であるジオ−ルとしては2−メチル−2−
エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−
エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−
プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3
−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−
3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−
1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−
1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル
−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピ
ル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プ
ロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタ
ンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロ
パンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペ
ンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5
−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタン
ジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3
−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチ
ル−1−,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−
1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキ
サンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオー
ル、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチ
ル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−
ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール
等が使用できる。なかでも2−エチル−2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3
−プロパンジオールが好ましい。ポリウレタン樹脂
(B)中の含有量は5〜30質量%が好ましい。更には
10〜20質量%好ましい。
【0050】ポリウレタン樹脂(C) 環状構造及び長鎖アルキル鎖を有するポリオ−ル化合
物 環状構造及び長鎖アルキル鎖を有するポリオール化合物
は、ジオ−ルが好ましく、分子量は500〜1000が
好ましい。500未満であると実質的にジイソシアネ−
ト含量が増加し、ウレタン基濃度が増えるので溶剤溶解
性が低下する場合がある。1000を越えると塗膜強度
が低下する場合がある。環状構造及び長鎖アルキル鎖を
有するポリオ−ル化合物としてはダイマ−酸を水添、還
元することで得られる下式の構造で表されるダイマ−ジ
オ−ルが好ましい。
【0051】
【化1】
【0052】環状構造及び長鎖アルキル鎖を有するポリ
オ−ル化合物の含有量としてはポリウレタン樹脂中に5
質量%以上含まれるのが好ましく、更には10〜40w
t%好ましい。上記ポリウレタン樹脂(A)、(B)及
び(C)(これら3者を総称する場合には、本発明用ポ
リウレタン樹脂という)の各ポリオールと反応させてポ
リウレタン樹脂を形成するために用いられるポリイソシ
アネートとしては、特に制限はなく通常に使用されてい
るものを用いることができる。例えば、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシア
ネート、1,4−キシリレンジイソシアネートシクロヘ
キサンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m
−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジ
イソシアネート、3,3−ジメチルフェニレンジイソシ
アネート等を挙げることができる。
【0053】本発明用ポリウレタン樹脂は上記アクリル
系樹脂と同様の極性基を有することが好ましい。本発明
用ポリウレタン樹脂に極性基を導入するには、極性基を
有するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル等の極性基含有化合物と、上記ポリオール等とジイソ
シアネートとから製造することができる。極性基含有化
合物は、例えば、2価アルコール或いは2塩基酸の一部
を極性基含有ジオールあるいは極性基含有2塩基酸に変
えて製造できる。
【0054】また、ポリウレタン樹脂(C)は鎖延長剤
を用いることができる。このような鎖延長剤としては、
それ自体公知の物質、多価アルコール、脂肪族ポリアミ
ン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等が使用でき
る。なかでも分子量50〜500の多価アルコールが好
ましい。50未満では塗膜が脆くなり、耐久性が低下す
る傾向がある。500以上では塗膜のTgが低下し、軟
らかくなるので耐久性が低下する傾向がある。多価アル
コールとしてはビスフェノールA、水素化ビスフェノー
ルA、ビスフェノールS、ビスフェノールP及びこれら
のエチレンオキド、プロピレンキシド付加物、シクロヘ
キサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ハイド
ロキノン、ビス(2-ヒドロキシエチル)テトラブロモ
ビスフェノ−ルA、ビス(2-ヒドロキシエチル)テト
ラブロモビスフェノ−ルS、ビス(2-ヒドキシエチ
ル)テトラメチルビスフェノ−ルS、ビス(2-ヒドロ
キシエチル)ジフェニルビスフェノ−ルS、ビス(2-
ヒドロキシエチル)ジフェニルビフェノ−ル、ビス(2
-ヒドロキシエチル)チオジフェノ−ル、ビス(2-ヒド
ロキシエチル)ビスフェノ−ルF、ビフェノ−ル、ビス
フェノ−ルフルオレン、ビスフェノ−ルフルオレンジヒ
ドロキシエチルエ−テル等の環状構造を有する短鎖ジオ
ールが好ましい。さらに好ましいものは、ビスフェノー
ルA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビ
スフェノールP及びこれらのエチレンオキド、プロピレ
ンキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロ
ヘキサンジオール等の芳香族、脂環族を有するジオール
が好ましい。
【0055】また、ポリウレタン樹脂(A)及び(C)
も必須の鎖延長剤以外の鎖延長剤を上記鎖延長剤の中か
ら選択して用いることができる。本発明用ポリウレタン
樹脂の平均分子量は5000〜100000が好まし
い。更には10000〜50000が好ましい。500
0未満では得られる磁性塗膜が脆くなり得られる磁性塗
膜が脆くなるなど物理的強度が低下し磁気記録媒体の耐
久性に影響を与える傾向がある。分子量が100000
を超えると溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する
傾向がある。また、所定濃度における塗料粘度が高くな
って作業性が著しく悪くなり取扱が困難となる傾向があ
る。本発明用ポリウレタン樹脂は、分岐OH基を有する
ことが硬化性、耐久性の面から好ましく、1分子当たり
2個〜40個が好ましく、さらに好ましくは1分子当た
り3個〜20個である。
【0056】本発明では、前記アクリル系樹脂及び本発
明用ポリウレタン樹脂の合計量の等量以下の量で、その
他の極性基を持つ結合剤を併用しても良い。併用できる
その他樹脂としては特に制限はなく、従来から結合剤と
して使用されている公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することが
できる。熱可塑性樹脂としてはガラス転移温度が−10
0〜150℃、数平均分子量が1000〜20000
0、好ましくは10000〜100000ものである。
具体的には、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチ
ラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単
位として含む重合体、共重合体、各種ゴム系樹脂があ
る。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェ
ノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹
脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ
−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネート
プレポリマーの混合物等が挙げられる。
【0057】II.強磁性粉末 本発明で用いる強磁性粉末としては、特に制限はない
が、強磁性金属粉末及び六方晶フェライト粉末が好まし
い。 [強磁性金属粉末]本発明に使用される強磁性金属粉末
としては、Feを主成分とするもの(合金も含む)であ
れば、特に限定されないが、α−Feを主成分とする強
磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性金属粉末には
所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、
V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、
Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、P
b、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、
Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわな
い。Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、
Ni、Bの少なくとも1つがα−Fe以外に含まれるも
のが好ましく、特に、Co,Al,Yが含まれるのが好
ましい。さらに具体的には、CoがFeに対して10〜
40原子%、Alが2〜20原子%、Yが1〜15原子
%含まれるのが好ましい。
【0058】これらの強磁性金属粉末にはあとで述べる
分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前
にあらかじめ処理を行ってもかまわない。また、強磁性
金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むもの
などであってもよい。強磁性金属粉末の含水率は0.0
1〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強
磁性金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。
【0059】強磁性金属粉末の結晶子サイズは、80〜
180Åが好ましく、100〜180Åが更に好まし
く、特に120〜160Åが好ましい。結晶子サイズ
は、X線回折装置(理学電機製 RINT2000シリ
ーズ)を使用し、線源CuKα1、管電圧50kV、管
電流300mAの条件で回折ピークの半値幅からSch
errer法により求めた平均値を用いた。
【0060】強磁性金属粉末の平均長軸長は、好ましく
は0.01〜0.10μmであり、更に好ましくは0.
03〜0.09μmであり、特に好ましくは0.05〜
0.08μmである。平均長軸長が0.01μm未満で
は熱揺らぎのため安定な磁化が得られず、また平均長軸
長が0.10μmを越えるとノイズが大きくなり、何れ
も不適当である。平均長軸長は、透過型電子顕微鏡写真
を撮影し、その写真から強磁性金属粉末の短軸長と長軸
長とを直接読みとる方法より求められる。
【0061】本発明の磁性層に使用される強磁性金属粉
末のBET法による比表面積(SBE T)は、30m2/g
以上50m2/g未満が好ましい。さらには38〜48
2/gが好ましい。これにより、良好な表面性と低い
ノイズの両立が可能となる。
【0062】強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤と
の組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は
通常、4〜12であるが、好ましくは7〜10である。
強磁性金属粉末は、必要に応じ、Al、Si、Pまたは
これらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。
その量は、強磁性金属粉末に対し0.1〜10%であ
り、表面処理を施すと、脂肪酸などの潤滑剤の吸着が1
00mg/m2以下になり、好ましい。強磁性金属粉末
には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機
イオンを含む場合があるが、200ppm以下であれば
特に特性に影響を与える事は少ない。また、本発明に用
いられる強磁性金属粉末は、空孔が少ないほうが好まし
く、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量
%以下である。
【0063】また、形状については先に示した粒子サイ
ズについての特性を満足すれば、針状、粒状、米粒状あ
るいは板状いずれでもかまわないが、特に針状の強磁性
金属粉末を使用することが好ましい。針状強磁性金属粉
末の場合、平均針状比(針状比(長軸長/短軸長)の算
術平均)は、4以上12以下が好ましく、更に好ましく
は5以上12以下である。
【0064】強磁性金属粉末の抗磁力Hcは、好ましく
は2000〜3000Oe(160〜240kA/m)
であり、更に好ましくは2100〜2900Oe(17
0〜230kA/m)で、σsは、好ましくは80〜1
70A・m2/kg、更に好ましくは90〜150A・
2/kgである。
【0065】[強磁性六方晶フェライト粉末]特にトラ
ック密度を上げるため磁気抵抗ヘッドで再生する場合、
低ノイズにする必要があり、本発明に使用される強磁性
六方晶フェライト粉末の平均板径は、5〜40nmとす
ることが好ましく、平均板径が5nm未満では熱揺らぎ
のため安定な磁化が望めない。平均板径の更に好ましい
範囲は、10nm〜35nmであり、平均板径のより好
ましい範囲は、15nm〜30nmである。
【0066】平均板状比{板状比(板径/板厚)の算術
平均}は、1〜15が望ましい。より好ましくは1〜7
である。平均板状比が小さいと磁性層中の充填性は高く
なり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より
大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくな
る。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は、
10〜200m2/gを示す。比表面積は、概ね粒子板
径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚
の分布は、通常狭いほど好ましい粒子板径・板厚は、粒
子TEM写真より500粒子を測定する。分布は正規分
布でない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標
準偏差で表すと、σ/平均サイズ=0.1〜2.0であ
る。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応
系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布
改良処理を施すことも行われている。たとえば、酸溶液
中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られてい
る。
【0067】磁性体で測定される抗磁力Hcは、500
〜5000Oe(40kA/m〜400kA/m)程度
まで作成できる。Hcは、高い方が高密度記録に有利で
あるが、記録ヘッドの能力で制限される。本発明でHc
は、好ましくは2000〜3000Oe(160〜24
0kA/m)程度であるが、より好ましくは2200〜
2800Oe(175〜220kA/m)である。ヘッ
ドの飽和磁化が1.4Tを越える場合は、2000Oe
(160kA/m)以上にすることが好ましい。Hc
は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、
元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御でき
る。飽和磁化σsは、40A・m2/kg〜80A・m2
/kgとすることが好ましい。σsは、高い方が好まし
いが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改
良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフ
ェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選
択こと等が良く知られている。またW型六方晶フェライ
トを用いることも可能である。
【0068】磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分
散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われて
いる。表面処理材は、無機化合物、有機化合物が使用さ
れる。主な化合物としてはSi、Al、P、等の化合
物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリン
グ剤が代表例である。量は磁性体に対して0.1〜10
%である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜
12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒
体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択され
る。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、
ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%
が選ばれる。
【0069】強磁性六方晶フェライト粉末の製法として
は、 酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガ
ラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組
成になるように混合した後、溶融し、急冷して非晶質体
とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウ
ムフェライト結晶粉末を得るガラス結晶化法。 バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後、100℃以上で液相加熱し
た後、洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉
末を得る水熱反応法。 バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後、乾燥し、1100℃以下で
処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉末を得る共
沈法。 等があり、本発明では強磁性六方晶バリウムフェライト
粉末が特に好ましい。
【0070】III.非磁性粉末 支持体と磁性層の間に設けられる下層に含まれる非磁性
粉末について詳述する。
【0071】下層に使用できる非磁性粉末は、無機物質
でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使
用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等が挙げられる。具体的には二酸化チタ
ン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タ
ングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α
化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ
−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒
化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホ
ウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaC
3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭
化チタン等が単独あるいは2種類以上の組み合わせで使
用される。好ましいのは、α−酸化鉄、酸化チタンであ
る。
【0072】非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体
状、板状のいずれでも良い。非磁性粉末の結晶子サイズ
は、0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm
〜0.1μmが更に好ましい。0.004μmより小さ
いと、分散が困難となる傾向がある。また1μmより大
きいと、表面粗さが大きくなる傾向がある。
【0073】これら非磁性粉末の平均粒径は、0.00
5〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異な
る非磁性粉末を組合せたり、単独の非磁性粉末でも粒径
分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。と
りわけ好ましいのは0.01〜0.2μmである。0.
005μmより小さいと、分散が困難となる傾向があ
り、また2μmより大きいと、表面粗さが大きくなる傾
向がある。
【0074】非磁性粉末の比表面積は、1〜100m2
/gであり、好ましくは5〜70m2/gである。そし
て更に好ましくは10〜65m2/gである。1m2/g
より小さいと、表面粗さが大きくなる傾向があり、また
100m2/gより大きいと、所望の結合剤量で分散が
できない等分散が困難となる傾向がある。
【0075】ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸
油量は、5〜100ml/100g、好ましくは10〜
80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/
100gである。比重は、1〜12、好ましくは3〜6
である。
【0076】タップ密度は、0.05〜2g/ml、好
ましくは0.2〜1.5g/mlである。0.05g/
mlよりも小さいと、飛散する粒子が多く操作が困難と
なる傾向がある。2g/mlよりも大きいと、装置に固
着し易くなり操作が困難となる傾向がある。
【0077】非磁性粉末のpHは、2〜11であること
が好ましいが、pHは6〜9の間が特に好ましい。pH
が2より小さいと、高温、高湿下での摩擦係数が大きく
なる傾向がある。またpHが11より大きいと、脂肪酸
の遊離量が減少し、摩擦係数が大きくなる傾向がある。
【0078】非磁性粉末の含水率は、0.1〜5質量
%、好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.
3〜1.5質量%である。0.1質量%よりも小さい
と、分散が困難となる傾向がある。5質量%よりも大き
いと、分散後の塗料粘度が不安定となる傾向がある。
【0079】強熱減量は、20質量%以下であることが
好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
【0080】また、非磁性粉末が無機粉末である場合に
は、モース硬度は、4以上、10以下のものが好まし
い。モース硬度が4より小さいと耐久性が確保できなく
なる傾向がある。
【0081】非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、1〜
20μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol
/m2である。
【0082】非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、
200erg/cm2〜600erg/cm2(200〜
600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。ま
た、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができ
る。100〜400℃での表面の水分子の量は、1〜1
0個/100Åが適当である。水中での等電点のpH
は、3〜9の間にあることが好ましい。
【0083】これらの非磁性粉末の表面は表面処理する
ことによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、S
nO2、Sb23、ZnOを存在させることが好まし
い。特に分散性に好ましいのはAl23、SiO2、T
iO2、ZrO2であるが、更に好ましいのはAl23
SiO2、ZrO2である。これらは組合せて使用しても
良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じ
て共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミ
ナを存在させた後に、その表層にシリカを存在させる方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、
均質で密である方が一般には好ましい。
【0084】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−2
50、DPN−250BX、DPN−245、DPN−
270BX、DPB−550BX、DPN−550R
X、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−5
5A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55
S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸
化鉄E270、E271、E300、チタン工業製ST
T−4D、STT−30D、STT−30、STT−6
5C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT
−150W、MT−500B、MT−600B、MT−
100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−2
5、BF−1、BF−10、BF−20,ST−M、同
和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロ
ジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100
A、500A、チタン工業製Y−LOP及びそれを焼成
したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸
化チタンとα−酸化鉄である。
【0085】下層には、非磁性粉末と共にカ−ボンブラ
ックを混合し、表面電気抵抗(Rs)を下げることがで
き、光透過率を小さくすることができるとともに所望の
マイクロビッカース硬度を得る事ができる。
【0086】下層のマイクロビッカース硬度は、通常、
25〜60Kg/mm2(245〜588MPa)、好
ましくはヘッドあたりを調整するために、30〜50K
g/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度
計(日本電気製 HMA−400)を用いて、稜角80
度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧
子先端に用いて測定することができる。光透過率は、一
般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、た
とえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であること
が規格化されている。このためにはゴム用ファ−ネス、
ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブラッ
ク等を用いることができる。
【0087】本発明の下層に用いられるカーボンブラッ
クの比表面積は、通常、100〜500m2/g、好ま
しくは150〜400m2/g、DBP吸油量は、通
常、20〜400ml/100g、好ましくは30〜2
00ml/100gである。カ−ボンブラックの平均粒
子径は、5〜80nm、好ましく10〜50nm、さら
に好ましくは10〜40nmである。カ−ボンブラック
のpHは、2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ
密度は、0.1〜1g/mlが好ましい。
【0088】本発明に用いられるカ−ボンブラックの具
体的な例としては、キャボット社製BLACKPEAR
LS 2000、1300、1000、900、80
0、880、700、VULCAN XC−72、三菱
化成工業社製#3050B、3150B、3250B、
#3750B、#3950B、#950、#650B、
#970B、#850B、MA−600、コロンビアカ
−ボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 8
800、8000、7000、5750、5250、3
500、2100、2000、1800、1500、1
255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックE
Cなどがあげられる。カ−ボンブラックを分散剤などで
表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表
面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわ
ない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあ
らかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカー
ボンブラックは、上記無機粉末(カーボンブラックは除
く)に対して50質量%を越えない範囲、下層総質量の
40%を越えない範囲で使用できる。これらのカ−ボン
ブラックは、単独、または組合せで使用することができ
る。本発明の下層で使用できるカーボンブラックは例え
ば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を
参考にすることができる。
【0089】また、下層には有機質粉末を目的に応じ
て、添加することもできる。例えば、アクリル・スチレ
ン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系
樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリ
オレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリ
アミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化
エチレン樹脂も使用することができる。
【0090】上記アクリル系樹脂及び本発明用ポリウレ
タン樹脂の配合割合は、質量比で、前者100部に対し
て後者が5〜2000部であることが好ましい。また、
両者の合計は、強磁性粉末100質量部あるいは更に下
層に含まれる非磁性粉末に対して40〜200質量部の
範囲内が好ましい。特に、その含有量を50〜180質
量部の範囲内に設定することにより磁性層あるいは更に
非磁性層表面の光沢度が高くなる等の現象が表れ、強磁
性粉末あるいは更に該非磁性粉末の分散状態が良好であ
ることがわかる。さらにその含有量を70〜160質量
部の範囲内に設定することによって電磁変換特性が著し
く改善される。含有量が40質量部よりも少ないと、強
磁性粉末あるいは更に該非磁性粉末が結合されず粉落ち
等が発生し、また200質量部よりも多く配合しても強
磁性粉末あるいは更に該非磁性粉末の分散状態がそれ以
上向上せず、磁性層では強磁性粉末の充填度が低下し電
磁変換特性が低下することがある。
【0091】IV.その他添加剤 本発明の磁気記録媒体において磁性層あるいは下層には
分散効果、潤滑効果、帯電防止効果、可塑効果などを付
与するための添加剤を使用しても良い。これら添加剤と
しては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラ
ファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイ
ル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、
フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素
含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリ
フェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホス
ホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホ
スホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジ
フェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベ
ンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、ト
ルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニ
ルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニル
ホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェ
ニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニル
フェニルホスホン酸等のベンゼン環含有有機ホスホン酸
およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−
エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、
(イソ)ノニルホスホン酸、(イソ)デシルホスホン
酸、(イソ)ウンデシルホスホン酸、(イソ)ドデシル
ホスホン酸、(イソ)ヘキサデシルホスホン酸、(イ
ソ)オクタデシルホスホン酸、(イソ)エイコシルホス
ホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属
塩、燐酸フェニル、燐酸ベンジル、燐酸フェネチル、燐
酸α−メチルベンジル、燐酸1−メチル−1−フェネチ
ル、燐酸ジフェニルメチル、燐酸ビフェニル、燐酸ベン
ジルフェニル、燐酸α−クミル、燐酸トルイル、燐酸キ
シリル、燐酸エチルフェニル、燐酸クメニル、燐酸プロ
ピルフェニル、燐酸ブチルフェニル、燐酸ヘプチルフェ
ニル、燐酸オクチルフェニル、燐酸ノニルフェニル等の
芳香族燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、燐酸オ
クチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸イソオクチル、
燐酸(イソ)ノニル、燐酸(イソ)デシル、燐酸(イ
ソ)ウンデシル、燐酸(イソ)ドデシル、燐酸(イソ)
ヘキサデシル、燐酸(イソ)オクタデシル、燐酸(イ
ソ)エイコシル等の燐酸アルキルエステルおよびそのア
ルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびその
アルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよ
びそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブ
チル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジ
ン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含
んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれら
の金属塩、または、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸
オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオク
チル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステ
アリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノス
テアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、ア
ンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜
24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基
性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分
岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜2
2の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキ
シアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノ
アルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸
エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステ
ル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の
脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基
以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CC
3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外
の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基
をもつものでも良い。
【0092】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオ
キサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、
エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイ
ン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム
類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン
酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性
剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコー
ルの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型
等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性
剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社
発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電
防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、
未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含ま
れても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好
ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0093】これらの具体例としては日本油脂社製:N
AA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カ
チオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−20
8、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−
205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエル
ブOL、信越化学社製:TA−3,ライオンアーマー社
製:アーマイドP、ライオン社製、デュオミンTDO、
日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフア
ン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS
−400等があげられる。
【0094】本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑
剤、界面活性剤は、下層、磁性層でその種類、量を必要
に応じ使い分けることができる。例えば、無論ここに示
した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基
で吸着もしくは結合する性質を有しており、磁性層にお
いては主に強磁性粉末の表面に、下層においては主に非
磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着もしくは結合し、
一度吸着した分散剤は金属あるいは金属化合物等の表面
から脱着しがたいと推察される。従って、本発明の強磁
性粉末表面あるいは非磁性粉末表面は、アルキル基、芳
香族基等で被覆されたような状態になるので、強磁性粉
末あるいは非磁性粉末の結合剤樹脂成分に対する親和性
が向上し、さらに強磁性粉末あるいは非磁性粉末の分散
安定性も改善される。また、潤滑剤としては遊離の状態
で存在するため下層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用
い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なる
エステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面
活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、
潤滑剤の添加量を下層で多くして潤滑効果を向上させる
などが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のす
べてまたはその一部は、磁性層あるいは下層用の塗布液
の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混
練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結
合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で
添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加
する場合などがある。
【0095】V.支持体 以上の材料により調製した塗布液を支持体上に塗布して
下層あるいは磁性層を形成する。本発明に用いることの
できる支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミ
ド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用で
きる。好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これら
の支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易
接着処理、熱処理などを行っても良い。また本発明に用
いることのできる支持体は、Mirau法による中心面
平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.
1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優
れた平滑性を有する表面であることが好ましい。また、
これらの支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでな
く、1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。
【0096】得られた支持体の算術平均粗さは、(R
a)の値[JIS B0660−1998、ISO 4
287−1997]で0.1μm以下であることが、得
られた磁気記録媒体のノイズが小さくなるので好まし
い。
【0097】本発明の磁気記録媒体における支持体の好
ましい厚みは、3〜80μmとすることが好ましい。
【0098】VI.バックコート層、下塗り層 本発明で用いる支持体の磁性層が設けられていない面に
バックコート層(バッキング層)が設けられていてもよ
い。バックコート層は、支持体の磁性層が設けられてい
ない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤
とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布
して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔
料やカーボンブラックを使用することができ、また結合
剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビ
ニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれら
を混合して使用することができる。本発明の支持体の磁
性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤
層が設けられいてもよい。
【0099】また、本発明の磁気記録媒体においては、
下塗り層を設けても良い。下塗り層を設けることによっ
て支持体と磁性層又は下層との接着力を向上させること
ができる。下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエ
ステル樹脂が使用される。下塗り層は厚さとして0.5
μm以下のものが用いられる。
【0100】VII.製造方法 本発明の磁気記録媒体は、例えば、走行下にある支持体
の表面に下層塗布液、磁性層塗布液を所定の膜厚となる
ように塗布することによって製造する。ここで複数の磁
性層塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよく、
下層塗布液と磁性層塗布液とを逐次あるいは同時に重層
塗布してもよい。上記磁性層塗布液もしくは下層塗布液
を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブ
レードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイ
フコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロー
ルコート、トランスファーロールコート、グラビヤコー
ト、キスコート、キャストコート、スプレイコート、ス
ピンコート等が利用できる。これらについては例えば株
式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技
術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0101】本発明の磁気記録媒体に適用する場合、塗
布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。 (1) 磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラ
ビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布
装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態の
うちに特公平1−46186号公報、特開昭60−23
8179号公報、特開平2−265672号公報等に開
示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗
布装置により、上層を塗布する。 (2) 特開昭63−88080号公報、特開平2−1
7971号公報、特開平2−265672号公報に開示
されているような塗布液通液スリットを2個有する一つ
の塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。 (3) 特開平2−174965号公報に開示されてい
るようなバックアップロール付きのエクストルージョン
塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0102】本発明に係わる磁気記録媒体の磁性層の厚
みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、
記録信号の帯域により最適化され、0.01〜0.5μ
mであることが好ましく、該磁性層が強磁性金属粉末を
含む場合、磁性層の厚みは0.01〜0.1μmである
ことが好ましく、該磁性層が強磁性六方晶フェライト粉
末を含む場合、磁性層の厚みは0.01〜0.2μmで
あることが好ましい。磁性層を異なる磁気特性を有する
2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関
する構成が適用できる。磁性層を複数設けた場合、磁性
層厚みは、個々の磁性層の厚みとする。
【0103】この極薄層の磁性層を安定的に塗布するに
は、支持体上に無機粉末を含有する下層を介在させて、
その上に磁性層をウエット・オン・ウエットで塗布する
ことが望ましい。
【0104】磁性層塗布液の塗布層には、磁気テープの
場合、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末に
コバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に磁場配向
処理を施す。デイスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置する、ソレノイドで交流
磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いるこ
とが好ましい。等方的な配向とは、強磁性金属微粉末の
場合は、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、
垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもでき
る。強磁性六方晶フェライト粉末の場合は、一般的に面
内および垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面
内2次元ランダムとすることも可能である。また、異極
対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで
円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。
特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。ま
た、スピンコートを用い円周配向してもよい。
【0105】乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御する
ことで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ま
しく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風
の温度は60℃以上が好ましい。また、磁石ゾ−ンに入
る前に適度の予備乾燥を行なうこともできる。
【0106】乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を
施す。表面平滑化処理には、例えばスーパーカレンダー
ロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことに
より、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅
し、磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電
磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カ
レンダー処理ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、
ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチック
ロールを使用することができる。また金属ロールで処理
することもできる。本発明の磁気記録媒体は、表面の中
心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて
0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極
めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。
その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉
末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処
理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件とし
ては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範
囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは
80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500K
g/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、好ま
しくは200〜450Kg/cm(196〜441kN
/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400K
g/cm(294〜392kN/m)の範囲である。得
られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大
きさに裁断して使用することができる。
【0107】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお実施例中の「部」の表示は特に断らない限り
「質量部」を示す。
【0108】[合成例1] アクリル系樹脂Aの合成 撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水360部、開始剤として過
硫酸カリウム5部、炭酸ソーダ1.6部を仕込み、窒素
置換後57℃に昇温した。一方、あらかじめ脱イオン水
390部、メチルメタクリレート350部、ベンジルメ
タクリレート120部、N−ビニルピロリドン20部、
2−ヒドロキシメチルメタクリレート10部、ラウリル
硫酸ナトリウム10部をホモミキサーで混合乳化したも
のを上記重合容器中へ8時間を要して均一に滴下させ、
さらに57℃で2時間反応させ重合を完結した後、メタ
ノール500部、硫酸ナトリウム50部を添加しポリマ
ーを析出させた。析出したポリマーをメタノール500
0部で2回、次いで脱イオン水5000部で4回洗浄
し、ろ過、乾燥してアクリル系樹脂Aを得た。スルホン
酸ナトリウム基含有量は6.2×10-5eq/g、水酸
基含有量は12.9×10-5eq/gであった。
【0109】[合成例2〜16] アクリル系樹脂B〜S、比較用樹脂g〜jの合成 合成例1と同様にして表1、表2に示される単量体の種
類・量比(質量%)で共重合し、同様の方法で処理して
アクリル系樹脂B〜S、比較用樹脂g〜jを得た。
【0110】[合成例17] アクリル系樹脂Tの合成 撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水360部、t−ブチルヒド
ロパーオキサイド2部、親水性極性基導入のための亜硫
酸ナトリウム1部を仕込み、窒素置換後57℃に昇温し
た。一方、あらかじめ脱イオン水390部、メチルメタ
クリレート315部、ベンジルメタクリレート125
部、N−ビニルピロリドン40部、ヒドロキシエチルメ
タクリレート10部、アリルグリシジルエーテル10
部、ラウリル硫酸ナトリウム10部をホモミキサーで混
合乳化したものを上記重合容器中へ8時間を要して均一
に滴下させ、さらに57℃で2時間反応させ重合を完結
した後、亜硫酸ナトリウム50部、テトラブチルアンモ
ニウムブロマイド25部、エチレングリコールジメチル
エーテル50部を滴下させ、70℃で6時間攪拌し反応
させた。反応終了後、脱イオン水5000部で4回洗浄
し、ろ過、乾燥して(メタ)アクリレート系共重合体T
を得た。スルホン酸ナトリウム基含有量は7.6×10
-5eq/g、水酸基含有量は12.7×10-5eq/g
であった。
【0111】[合成例18] アクリル系樹脂Uの合成 撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水360部、過硫酸カリウム
5部、炭酸ソーダ1.6部を仕込み、窒素置換後57℃
に昇温した。一方、あらかじめ脱イオン水390部、メ
チルメタクリレート320部、ベンジルメタクリレート
125部、N−ビニルピロリドン40部、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート10部、ビニルスルホン酸5
部、ラウリル硫酸ナトリウム10部をホモミキサーで混
合乳化したものを上記重合容器中へ8時間を要して均一
に滴下させ、さらに57℃で2時間反応させ重合を完結
した後、メタノール500部、硫酸ナトリウム50部を
添加しポリマーを析出させた。析出したポリマーをメタ
ノール5000部で2回、次いで脱イオン水5000部
で4回洗浄し、ろ過、乾燥して(メタ)アクリレート系
共重合体Uを得た。スルホン酸ナトリウム基含有量は
6.4×10-5eq/g、水酸基含有量は12.7×1
-5eq/gであった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】尚、表中「→」は、同左を意味する。 [実施例1] 磁性層塗布液の調製 強磁性針状金属粉末 100部 組成:Fe/Co/Al/Y=68/20/7/5(原子比), 表面処理層:Al23,Y23, Hc:2500Oe(200kA/m), 結晶子サイズ:140Å,平均長軸長:0.08μm,平均針状比:6, BET比表面積:46m2/g,σs:150A・m2/kg ポリウレタン樹脂 18部 (UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂) フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 2部 カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 2部 シクロヘキサノン 110部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0115】 下層塗布液の調製 非磁性無機質粉末:α−酸化鉄 85部 表面処理層:Al23,SiO2,平均長軸長:0.15μm, タップ密度:0.8,平均針状比:7, BET比表面積:52m2/g, pH8,DBP吸油量:33ml/100g カーボンブラック 20部 DBP吸油量:120ml/100g,pH:8, BET比表面積:250m2/g,揮発分:1.5% アクリル系樹脂A 12部 ポリウレタン樹脂 6部 (UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂) フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒径0.2μm) 1部 シクロヘキサノン 140部 メチルエチルケトン 170部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0116】上記磁性層塗布液および下層塗布液組成物
のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60
分間混練した後、サンドミルで120分間分散した。得
られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化
合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)を6部
加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液
および下層塗布液を調製した。
【0117】厚さ6μmで中心面平均表面粗さが5nm
のポリエチレンテレフタレート支持体上に、上記下層塗
布液を乾燥後の厚さが1.8μmになるように塗布し、
さらにその直後に磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.0
8μmになるように同時重層塗布した。両層が未乾燥の
状態で300mTの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾
燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダー
で速度100m/min、線圧300Kg/cm(29
4kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行なった
後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い、3.8mm
幅にスリットし磁気テープを作成した。
【0118】[実施例2〜14]実施例1において、下
層塗布液のアクリル系樹脂Aを表3に示したように変更
し、実施例1と同様の方法で実施例2〜14の磁気テー
プを作成した。
【0119】[比較例1〜4]実施例1において、下層
塗布液のアクリル系樹脂Aを表3に示したように変更
し、実施例1と同様の方法で比較例1〜4の磁気テープ
を作成した。
【0120】[実施例15]磁性体を以下に示したよう
に変更し、実施例15のフロッピーディスクを作成し
た。 磁性層塗布液の調製 強磁性板状六方晶フェライト粉末 100部 組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9.1/0.2/0.8 , Hc:2450Oe(195kA/m), 平均板径:26nm,平均板状比:4, BET比表面積:50m2/g,σs:60A・m2/kg ポリウレタン樹脂 18部 (UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂) フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 2部 カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 2部 シクロヘキサノン 110部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0121】上記磁性層塗布液の各成分を用い実施例1
と同様の方法で磁性層塗布液を調製した。
【0122】厚さ62μmで中心面平均表面粗さが5n
mのポリエチレンテレフタレート支持体上に、実施例1
と同様の下層塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmになる
ように塗布し、さらにその直後に上記磁性層塗布液を乾
燥後の厚さが0.12μmになるように同時重層塗布を
おこない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに周波数50
Hz、磁場強度25mT及び周波数50Hz、12mT
の2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通過させてラ
ンダム配向処理をおこない、乾燥後、7段のカレンダで
温度90℃、線圧300Kg/cm(294kN/m)
にて処理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処理を
施した後、ライナーが内側に設置済の3.7吋のZip
−diskカートリッジに入れ、所定の機構部品を付加
し、3.7吋フロッピー(登録商標)ディスクを得た。
【0123】[実施例16〜20、比較例5]実施例1
5において、下層塗布液のアクリル系樹脂Aを表3に示
したように変更し、実施例15と同様の方法で実施例1
6〜20、比較例5のフロッピーディスクを作成した。
得られた試料を下記により評価し、結果を表3、4に示
した。
【0124】〔測定方法〕 磁気特性(Hc):振動試料型磁束計(東英工業社製)
を用い、Hm10kOe(800kA/m)で測定し
た。
【0125】磁性層厚み:磁気記録媒体を長手方向に渡
ってダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り
出し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍〜1000
00倍、好ましくは20000倍〜50000倍で観察
し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA
4〜A5である。その後、磁性層表面および磁性層、下
層の強磁性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を
目視判断して黒く縁どった。その後、Zeiss社製画
像処理装置IBAS2にて渕どりした線の長さを測定し
た。試料写真の長さが21cmの場合、測定を85〜3
00回行った。その際の測定値の平均値を磁性層厚みと
した。
【0126】エラーレート(初期、保存後):信号を2
3℃,50%RHにおいて、テープ状媒体では8−10
変換PR1等化方式でテープに記録しDDSドライブを
用いて測定し、ディスク状媒体では(2,7)RLL変
調方式でディスクに記録し測定した。さらに50℃、8
0%RHにおいて1週間保存し同様にエラーレートを測
定した。
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】表3及び表4から明らかなように、本請求
項1に係わる磁気記録媒体は、安定した低いエラーレー
トを有している。次に本請求項2に係る磁気記録媒体の
実施例を説明する。
【0130】[合成例AC−1] アクリル系樹脂AC−1の合成 撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水360部、過硫酸カリウム
5部、炭酸ソーダ1.6部を仕込み、窒素置換後57℃
に昇温した。一方、あらかじめ脱イオン水390部、メ
チルメタクリレート350部、ベンジルメタクリレート
120部、N−ビニルピロリドン20部、2−ヒドロキ
シメチルメタクリレート10部、ラウリル硫酸ナトリウ
ム10部をホモミキサーで混合乳化したものを上記重合
容器中へ8時間を要して均一に滴下させ、さらに57℃
で2時間反応させ重合を完結した後、メタノール500
部、硫酸ナトリウム50部を添加しポリマーを析出させ
た。析出したポリマーをメタノール5000部で2回、
次いで脱イオン水5000部で4回洗浄し、ろ過、乾燥
してアクリル系樹脂AC−1を得た。スルホン酸ナトリ
ウム基含有量は6.2×10-5eq/g、水酸基含有量
は12.9×10-5eq/gであった。
【0131】[合成例AC−2〜6、ac−7〜8(比
較)] アクリル系樹脂AC−2〜6、ac−7〜8(比較)の
合成 合成例AC−1と同様にして表5に示される単量体の種
類・量比(質量%)で共重合し、同様の方法で処理して
アクリル系樹脂AC−2〜6、ac−7〜8を得た。 [合成例AC−9] アクリル共重合体AC−9の合成 撹拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、シクロヘキサノン500部を仕込み窒
素置換後80℃に昇温した。その中にメチルメタクリレ
ート320部、ベンジルメタクリレート125部、N−
ビニルピロリドン40部、2−ヒドロキシメチルメタク
リレート10部及びアクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸10部を添加し、さらに57℃で8時間反
応させ重合を完結させアクリル系樹脂AC−9を得た。
【0132】
【表5】
【0133】[合成例PUA−1] ポリウレタン樹脂(A)PUA−1の合成 温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備し予め窒素置換し
た容器に、表6に示した組成のポリエ−テルポリオ−ル
と鎖延長剤のジオ−ルをシクロヘキサノン30%溶液に
窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒としてジブチ
ルスズジラウレート60ppmを加え更に15分間溶解
した。更に表6に示した有機ジイソシアネ−トを加え6
時間加熱反応し、ポリウレタン樹脂(A)PUA−1を
得た。 [合成例PUA−2,3,a−4,PUC−1,2] ポリウレタン樹脂(A)PUA−2,3,PUa−4
(比較),ポリウレタン樹脂(c)PUC−1,2の合
成 合成例PUA−1と同様にして、表6に示される鎖延長
剤、有機ジイソシアネートを用い標記ポリウレタン樹脂
を得た。 [合成例PUB−1] ポリウレタン樹脂(B)PUB−1の合成 ポリエステルポリオ−ルAの合成 温度計、撹拌機、還流式冷却器を取り付けた反応容器に
アジピン酸365部、ネオペンチルグリコール260部
を仕込み、触媒として酢酸亜鉛2質量%、酢酸ナトリウ
ム3質量%を仕込み180℃〜220℃で3時間エステ
ル交換反応を行い、220℃〜280℃で1〜10mm
Hgの減圧下で2時間重縮合反応を行った。このように
してポリエステルポリオ−ルAを得た。 ポリウレタン樹脂(B)PUB−1の合成 次いで、上記で得られたポリエステルポリオールAを用
い合成例PUA−1と同様にして表6に示される鎖延長
剤、有機ジイソシアネートを用いポリウレタン樹脂
(B)PUB−1を得た。 [合成例PUb−2〜4] ポリウレタン樹脂PUb−2〜4(比較)の合成 合成例PUB−1と同様にして、表6に示されるポリエ
ステルポリオールA,b、鎖延長剤、有機ジイソシアネ
ートを用い標記のポリウレタン樹脂を得た。
【0134】
【表6】
【0135】 [実施例21] 磁性層塗布液の調製 強磁性針状金属粉末 100部 組成:Fe/Co/Al/Y=68/20/7/5, 表面処理層:Al23,Y23, Hc:2500Oe(200kA/m), 結晶子サイズ:14nm,平均長軸長:0.08μm,平均針状比:6, BET比表面積:46m2/g,σs:150A・m2/kg アクリル系樹脂AC−1(表5に記載) 6部 ポリウレタン樹脂(A)PUA−1(表6に記載) 12部 フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 2部 カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 2部 シクロヘキサノン 110部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0136】 下層塗布液の調製 非磁性無機質粉末 85部 α−酸化鉄 表面処理層:Al23,SiO2,平均長軸長:0.15μm, タップ密度:0.8,平均針状比:7, BET比表面積:52m2/g, pH8,DBP吸油量:33ml/100g カーボンブラック 20部 DBP吸油量:120ml/100g,pH:8, BET比表面積:250m2/g,揮発分:1.5% アクリル系樹脂AC−1(表5に記載) 6部 ポリウレタン樹脂(A)PUA−1(表6に記載) 12部 フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒径0.2μm) 1部 シクロヘキサノン 140部 メチルエチルケトン 170部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0137】上記磁性層塗布液および下層塗布液組成物
のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60
分間混練した後、サンドミルで120分間分散した。得
られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化
合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)を6部
加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液
および下層塗布液を調製した。
【0138】厚さ6μmで中心面平均表面粗さが5nm
のポリエチレンテレフタレート支持体上に、上記下層塗
布液を乾燥後の厚さが1.8μmになるように塗布し、
さらにその直後に磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.0
8μmになるように同時重層塗布した。両層が未乾燥の
状態で300mTの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾
燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダー
で速度100m/min、線圧300kg/cm(29
4kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行なった
後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い、3.8mm
幅にスリットし磁気テープを作成した。
【0139】[実施例22〜32]アクリル系樹脂及び
ポリウレタン樹脂を表7に示したように変更し、実施例
21と同様の方法で実施例22〜32の磁気テープを作
成した。
【0140】[比較例6〜13]アクリル系樹脂及びポ
リウレタン樹脂を表7に示したように変更し、実施例2
1と同様の方法で比較例6〜13の磁気テープを作成し
た。
【0141】[実施例33]磁性体を以下に示したよう
に変更し、実施例35のフロッピーディスクを作成し
た。 磁性層塗布液の調製 強磁性板状六方晶フェライト粉末 100部 組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9.1/0.2/0.8 , Hc:2450Oe(195kA/m), 平均板径:26nm,平均板状比:4, BET比表面積:50m2/g,σs:60A・m2/kg アクリル系樹脂AC−2(表5に記載) 6部 ポリウレタン樹脂(A)PUA−1(表6に記載) 12部 フェニルホスホン酸 3部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 2部 カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 2部 シクロヘキサノン 110部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部
【0142】上記磁性層塗布液の各成分を用い実施例2
1と同様の方法で磁性層塗布液を調製した。
【0143】厚さ62μmで中心面平均表面粗さが5n
mのポリエチレンテレフタレート支持体上に、実施例2
1と同様の下層塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmにな
るように塗布し、さらにその直後に上記磁性層塗布液を
乾燥後の厚さが0.12μmになるように同時重層塗布
をおこない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに周波数5
0Hz、磁場強度25mT及び周波数50Hz、12m
Tの2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通過させて
ランダム配向処理をおこない、乾燥後、7段のカレンダ
で温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/
m)にて処理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処
理を施した後、ライナーが内側に設置済の3.7吋のZ
ip−diskカートリッジに入れ、所定の機構部品を
付加し、3.7吋フロッピーディスクを得た。
【0144】[実施例34〜38]アクリル系樹脂及び
ポリウレタン樹脂を表8に示したように変更し、実施例
33と同様の方法で実施例34〜38のフロッピーディ
スクを作成した。
【0145】[比較例14〜15]アクリル系樹脂及び
ポリウレタン樹脂を表8に示したように変更し、実施例
33と同様の方法で比較例14〜15のフロッピーディ
スクを作成した。なお、表8中のMR110、N−23
04はそれぞれ市販の極性基含有塩化ビニル系樹脂(日
本ゼオン製)、極性基含有ポリウレタン樹脂(日本ポリ
ウレタン製)を示す。得られた各試料を下記により評価
し、結果を表7及び8に示した。 〔測定方法〕 磁気特性(Hc):振動試料型磁束計(東英工業社製)
を用い、Hm10kOe(800kA/m)で測定し
た。
【0146】磁性層厚み:磁気記録媒体を長手方向に渡
ってダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り
出し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍〜1000
00倍、好ましくは20000倍〜50000倍で観察
し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA
4〜A5である。その後、磁性層表面および磁性層、下
層の強磁性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を
目視判断して黒く縁どった。その後、Zeiss社製画
像処理装置IBAS2にて渕どりした線の長さを測定し
た。試料写真の長さが21cmの場合、測定を85〜3
00回行った。その際の測定値の平均値を磁性層厚みと
した。
【0147】エラーレート(初期、保存後):信号を2
3℃,50%RHにおいて、テープ状媒体では8−10
変換PR1等化方式でテープに記録しDDSドライブを
用いて測定し、ディスク状媒体では(2,7)RLL変
調方式でディスクに記録し測定した。さらに50℃、8
0%RHにおいて1週間保存し同様にエラーレートを測
定した。
【0148】
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】表7及び表8から明らかなように、本発明
に係わる磁気記録媒体は、安定した低いエラーレートを
有している。
【0151】
【発明の効果】本発明は、支持体上に非磁性粉末と結合
剤とを含む下層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤と
を含む少なくとも一層以上の磁性層を設けた磁気記録媒
体において、前記下層は結合剤としてベンゼン環を有す
る(メタ)アクリレート単位を5質量%〜45質量%、
窒素原子を含むラジカル重合性単量体単位を1質量%〜
45質量%から成る総計100質量%となるモノマー単
位を少なくとも含み、かつ親水性極性基を有するアクリ
ル系樹脂を使用することによって、または支持体上に強
磁性粉末と結合剤を分散した少なくとも一層以上の磁性
層を設けた磁気記録媒体において、前記磁性層の結合剤
としてアルキル(メタ)アクリレート単位15質量%〜
75質量%、窒素を含むラジカル重合性単量体単位を1
質量%〜45質量%から成る総計100質量%となるモ
ノマー単位を少なくとも含み、かつ親水性極性基を有す
るアクリル系樹脂と、環状構造およびアルキレンオキサ
イド鎖を有する分子量500〜5000のポリエーテル
ポリオールと鎖延長剤として環状構造を有する分子量2
00〜500のポリオールと有機ジイソシアネ−トを反
応させかつ親水性極性基を有するポリウレタン樹脂
(A)、もしくは脂肪族二塩基酸と分岐アルキル側鎖を
有する環状構造を持たない脂肪族ジオールからなるポリ
エステルポリオールと鎖延長剤として炭素数が3以上の
分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオールと有機ジイソシ
アネート化合物を反応させかつ親水性極性基を有するポ
リウレタン樹脂(B)、もしくは環状構造及び長鎖アル
キル鎖を有するポリオ−ル化合物と有機ジイソシアネ−
トを反応させかつ親水性極性基を有するポリウレタン樹
脂(C)とを併用したことにより、塗膜の平滑性が向上
し電磁変換特性が向上し、磁性層表面が削れ難くなりヘ
ッド汚れが少なくなり、保存性も大きく改善されエラー
レートの増加も少なく走行耐久性に優れるとともに磁気
記録媒体の表面平滑性が優れることにより安定して低い
エラーレートが得られる磁気記録媒体を提供できること
から、従来方法に比較し顕著な効果が認められる。ま
た、本発明では、塩素系樹脂を用いずに結合剤を構成す
ることができるので、環境保全に寄与することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/714 G11B 5/714 (72)発明者 村山 裕一郎 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB01B AB01C AB02B AB02C AH01B AH03B AK25B AK25C AK25J AK25K AK51B AK51C AK51J AL01C AL06B AR00C AS00B AS00C AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C DE01B DE01C GB41 JA11B JA11C JB05B JB05C JG06B JG06C JG10 JK14 JK15 JL00 JL06 5D006 BA04 BA06 BA08 BA17 BA19 CA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む
    下層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤とを含む少な
    くとも一層以上の磁性層を設けた磁気記録媒体におい
    て、前記下層は結合剤としてベンゼン環を有する(メ
    タ)アクリレート単位を5質量%〜45質量%、窒素原
    子を含むラジカル重合性単量体単位を1質量%〜45質
    量%から成る総計100質量%となるモノマー単位を少
    なくとも含み、かつ親水性極性基を有するアクリル系樹
    脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体上に強磁性粉末と結合剤を分散し
    た少なくとも一層以上の磁性層を設けた磁気記録媒体に
    おいて、磁性層は結合剤としてアルキル(メタ)アクリ
    レート単位15質量%〜75質量%、窒素を含むラジカ
    ル重合性単量体単位を1質量%〜45質量%から成る総
    計100質量%となるモノマー単位を少なくとも含み、
    かつ親水性極性基を有するアクリル系樹脂と、環状構造
    およびアルキレンオキサイド鎖を有する分子量500〜
    5000のポリエーテルポリオールと鎖延長剤として環
    状構造を有する分子量200〜500のポリオールと有
    機ジイソシアネ−トを反応させかつ親水性極性基を有す
    るポリウレタン樹脂(A)、もしくは脂肪族二塩基酸と
    分岐アルキル側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジ
    オールからなるポリエステルポリオールと鎖延長剤とし
    て炭素数が3以上の分岐アルキル側鎖をもつ脂肪族ジオ
    ールと有機ジイソシアネート化合物を反応させかつ親水
    性極性基を有するポリウレタン樹脂(B)、もしくは環
    状構造及び長鎖アルキル鎖を有するポリオ−ル化合物と
    有機ジイソシアネ−トを反応させかつ親水性極性基を有
    するポリウレタン樹脂(C)とを併用したことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 支持体と磁性層の間に非磁性粉末と結合
    剤を含む下層を設けたことを特徴とする請求項2記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の下層が請求項2記載の磁
    性層に含まれる結合剤と同義の結合剤を含むことを特徴
    とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 該強磁性粉末は平均長軸長0.01μm
    〜0.10μmで結晶子サイズが80Å〜180Å以下
    の強磁性金属粉末または、平均板径が5nm〜40nm
    の強磁性六方晶フェライト粉末であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 該磁性層の厚みは0.01〜0.5μm
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 該強磁性金属粉末はFeを主成分とし、
    Feに対してCoが、10〜40原子%、Alが2〜2
    0原子%、Yが1〜15原子%含まれ、抗磁力が200
    0〜3000エルステッド(Oe)(160〜240k
    A/m)で、飽和磁化σsが80〜170mTであるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 該強磁性六方晶フェライト粉末の抗磁力
    は2000〜3000Oe(160〜240kA/m)
    で、飽和磁化σsが40〜80mTである六方晶バリウ
    ムフェライトであることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 該磁気記録媒体がMR再生ヘッド搭載の
    記録再生システムに適用されるデジタル信号記録用磁気
    ディスクまたは磁気テ−プであることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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