JP2001338412A - 磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法

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JP2001338412A
JP2001338412A JP2000153444A JP2000153444A JP2001338412A JP 2001338412 A JP2001338412 A JP 2001338412A JP 2000153444 A JP2000153444 A JP 2000153444A JP 2000153444 A JP2000153444 A JP 2000153444A JP 2001338412 A JP2001338412 A JP 2001338412A
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resin
polyurethane resin
binder
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Toshitsugu Ono
敏嗣 小野
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気的特性に優れ、地球環境に配慮した磁気
記録媒体を作製する。 【解決手段】 塗布型の磁気記録媒体であって、磁性層
形成のための結合剤は、ポリビニルアセタール樹脂と、
ポリウレタン樹脂から成るものとし、ポリウレタン樹脂
は、下記〔化1〕により表される化合物を原料として含
み、ポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度は、ポリウ
レタン樹脂1〔t〕当たり4000〜5600当量とす
る。 【化1】 (但し、R1 、R2 のうちいずれか一方は炭素数が2〜
6個のアルキル基であり、他の一方は、炭素数1〜6個
のアルキル基あるいは水素であるものとする。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体と磁
気記録媒体の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンVTRやデジタルV
TRに代表される高性能化に伴い、磁気記録媒体の特性
向上の要求が高まってきている。
【0003】いわゆる塗布型の磁気記録媒体は、強磁性
粉末、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤等を有機溶剤中
に混練分散させて作製される磁性塗料を非磁性支持体上
に塗布して磁性層の形成がなされるものであるが、近年
においては、高密度記録の大容量化を目指して、より記
録波長の短波長化が進んでいることから、磁気記録媒体
の磁性層を作製するために使用する磁性粉の大きさにつ
いて微粒子化が図られている。
【0004】このような状況の中で、非磁性支持体上に
塗布する磁性塗料の調製に用いられる結合剤には、強磁
性粉末の分散性が良好であることや、調製した磁性塗料
を一定時間静置した場合においても強磁性粉末の分散性
の劣化が少ないこと、また、潤滑剤や架橋剤を添加した
後も強磁性粉末の分散性が劣化しないこと、すなわち分
散安定性が良好であること等の特性が要求されている。
【0005】従来、磁気記録媒体作製用の結合剤樹脂と
して、一般的に用いられているものとしては、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル・ブタ
ジエン共重合体、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂等があり、これらを単独であるいは適宜混合
して使用されている。
【0006】上記の結合剤樹脂のうち、分散性、強靱
性、耐磨耗性の諸特性に優れたポリエステルポリウレタ
ン樹脂と、磁気記録媒体の磁性層に所望の塗膜強度を与
えることのできる塩化ビニル系樹脂やニトロセルロース
を組み合わせたものが、従来主に使用されてきた。
【0007】特に、強磁性粉末への樹脂の吸着性や、強
磁性粉末の結合剤中での分散性を向上させるために、所
定の割合で、樹脂の分子構造中に親水性の極性基を導入
したポリエステルポリウレタン樹脂がしばしば用いられ
てきた。従来適用されてきたポリエステルポリウレタン
樹脂としては、例えば、東洋紡績社製 UR−8200
が挙げられる。このポリエステルポリウレタン樹脂は、
ポリエステルポリオール部分を、テレフタル酸、イソフ
タル酸、エチレングリコール等の成分を用いて形成した
ものである。
【0008】また、磁気記録媒体を構成する磁性層に所
望の強度を持たせるために、結合剤樹脂としては、分子
構造中に親水性基を導入するとともに、剛性の高い樹脂
を開発したりしている。従来の結合剤樹脂としては、上
記東洋紡績社製のUR−8200や、日本ゼオン社製M
R−110が、比較的高いガラス転移温度(約70℃程
度)を有することから、主要に用いられ、特にUR−8
200は、その分子構造や平均分子量などから、MR−
110など、同程度のガラス転移温度を持つビニル系樹
脂と比較して高い柔軟性、耐磨耗性を有することから、
重用されてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年に
おいて、磁性層の薄膜化に伴う短波長記録に対応するた
めに強磁性粉末の微粒子化への要望が高まってきてお
り、このような微細化した強磁性粉末を結合剤中で充分
に分散させるために、新たな結合剤樹脂が要求されてき
た。このような状況下において、結合剤塗料として、ニ
トロセルロースでは所望の分散性が得られず、また、塩
化ビニル系樹脂では分散性は得られるが、樹脂中に塩素
原子を有するため、燃焼時に塩素ガスやダイオキシン等
の有毒ガスを発生おするおそれがあるため、地球環境保
護の面から望ましくない。
【0010】このため、ニトロセルロースや塩化ビニル
系樹脂の代わりに、ポリビニルアセタール樹脂を用いる
ことが検討されてきた。このポリビニルアセタール樹脂
は、塗膜強度、強磁性粉末の分散性、磁性層の電磁変換
特性や、上述したような環境保護の観点からは、優れた
樹脂である。しかしながら、ガラス転移温度が比較的高
いため、磁気記録媒体の使用環境下においては、硬く脆
いので単独で結合剤樹脂として用いることは実用的では
なく、磁気記録媒体に、柔軟性や耐磨耗性を持たせるた
めに他の樹脂と適宜混合して用いることが必要である。
【0011】柔軟性や耐磨耗性を向上させるためには、
従来においてポリエステルポリウレタン樹脂を適用する
が、他方において、ポリエステルポリウレタン樹脂は、
ポリビニルアセタール樹脂との組み合わせにおいて、一
般的に相溶性が悪く、そのため磁性塗料を調製した際
に、強磁性粉末への樹脂の吸着性や強磁性粉末の分散性
について満足な結果が得られなかった。このため、ポリ
エステルポリウレタン樹脂とポリビニルアセタール樹脂
とを組み合わせたものにおいては、磁性塗料を静置保存
したときや、攪拌しながら潤滑剤や架橋剤を添加したと
きに、分散性が著しく劣化してしまい、分散安定性に劣
る塗料となってしまっていた。
【0012】上述のような、分散安定性に劣る樹脂によ
り磁性塗料を作製し、これにより磁気記録媒体の磁性層
を形成すると、充分な静磁気特性、電磁変換特性が得ら
れず、磁気記録媒体の表面性についても満足な値が得ら
れなかった。
【0013】また、近年、磁気記録媒体の磁性層表面と
記録再生用の磁気ヘッドとは、記録再生時におけるこれ
らの相対速度が徐々に増大化しており、このような状況
下においては、磁気記録媒体としては、より強度の高い
ものが要求されるようになり、従来適用されてきたポリ
エステルポリウレタン樹脂だけでは、高い分散性を保持
しつつ、磁性層表面に所定の強度を付与することが困難
になってきた。
【0014】そこで、本発明者は、塗布型の磁気記録媒
体を構成する磁性層形成に用いる結合剤について、ポリ
ビニルアルコール樹脂との相溶性が良好で、かつ分散性
が安定であり、かつガラス転移温度が高く強度の高い樹
脂を提供するものとし、磁気記録媒体の静磁気特性、電
磁変換特性の向上を図り、かつ記録再生時の走行安定性
を確保し、地球環境にも配慮した磁気記録媒体を提供す
ることとした。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に、磁性塗料の塗布により形成され
た磁性層を有する磁気記録媒体であるものとし、磁性層
を形成する磁性塗料は、強磁性粉末と、結合剤とにより
構成され、この結合剤は、ポリビニルアセタール樹脂
と、ポリウレタン樹脂から成るものとする。ここで、結
合剤に用いるポリウレタン樹脂は、下記〔化2〕により
表される化合物を原料として用いるものとし、ポリウレ
タン樹脂中のウレタン基の濃度は、ポリウレタン樹脂1
〔t〕当たり4000〜5600当量であるものとす
る。
【化2】 (但し、R1 、R2 のうち、いずれか一方は炭素数が2
〜6個のアルキル基であり、他の一方は炭素数1〜6個
のアルキル基あるいは水素であるものとする。)
【0016】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性支持体上に、磁性塗料の塗布により磁性層の形成を行
う磁気記録媒体の製造方法であるものとし、強磁性粉末
と結合剤とを混合して、第1の磁性塗料を調製する第1
の工程と、この第1の磁性塗料を、非磁性支持体上に塗
布、乾燥させて磁性層を形成して磁性層の光沢度を測定
する第2の工程と、第1の磁性塗料に架橋剤を添加し
て、第2の磁性塗料を調製する第3の工程と、この第2
の磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥させて磁性
層を形成して、磁性層の光沢度を測定する第4の工程と
を有するものであって、第2の工程により測定された光
沢度と、第4の工程により測定された光沢度とを比較
し、光沢度の劣化を5〔%〕以下に選定するものであ
る。
【0017】本発明によれば、磁性塗料の結合剤原料で
あるポリウレタン樹脂の原料であるジオールの構造を、
上記〔化2〕のように規定し、かつポリウレタン樹脂中
のウレタン基の濃度を、ポリウレタン樹脂1〔t〕当た
り4000〜5600当量であるものとしたので、同じ
く結合剤原料であるポリビニルアセタール樹脂との相溶
性を良好にし、結合剤中への強磁性粉末の分散性を良好
にし、調製した磁性塗料を静置保存した後においても、
また、潤滑剤や架橋剤を添加した後においても分散性が
劣化せず分散安定性に優れ、かつガラス転移温度の高い
結合剤により磁性層を形成した磁気記録媒体が得られ
た。
【0018】本発明の磁気記録媒体の製造方法によれ
ば、架橋剤の添加工程に前後における磁性塗料、すなわ
ち第1の磁性塗料および第2の磁性塗料を用いて、それ
ぞれ磁性層を形成し、これらの光沢度の劣化度を5
〔%〕以下に選定したことによって、架橋剤の添加後も
分散性が劣化せず分散安定性に優れ、かつガラス転移温
度の高い結合剤により磁性層を形成させることができ、
磁性層強度の向上、および走行耐久性の向上が図られ
た。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、非磁性
支持体上に、磁性塗料の塗布により形成された磁性層を
有する磁気記録媒体であるものとし、磁性層を形成する
磁性塗料は、強磁性粉末と、結合剤とにより構成され、
この結合剤は、ポリビニルアセタール樹脂と、ポリウレ
タン樹脂から成るものとする。ここで、結合剤に用いる
ポリウレタン樹脂は、特に、下記〔化3〕により表され
る化合物を原料として用いるものとし、得られたポリウ
レタン樹脂中のウレタン基の濃度は、ポリウレタン樹脂
1〔t〕当たり4000〜5600当量であるものとす
る。
【化3】 (但し、R1 、R2 のうち、少なくともいずれか一方は
炭素数が2〜6個のアルキル基であり、R1 、R2 のう
ちの一方のみが炭素数2〜6個のアルキル基であるとき
には、他の一方は炭素数1〜6個のアルキル基あるいは
水素であるものとする。)
【0020】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性支持体上に、磁性塗料の塗布により磁性層の形成を行
う磁気記録媒体の製造方法であるものとし、強磁性粉末
と結合剤とを混合して、第1の磁性塗料を調製する第1
の工程と、この第1の磁性塗料を、非磁性支持体上に塗
布、乾燥させて磁性層を形成して磁性層の光沢度を測定
する第2の工程と、第1の磁性塗料に架橋剤を添加し
て、第2の磁性塗料を調製する第3の工程と、この第2
の磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥させて磁性
層を形成して、磁性層の光沢度を測定する第4の工程と
を有するものであって、第2の工程により測定された光
沢度と、第4の工程により測定された光沢度とを比較
し、光沢度の劣化を5〔%〕以下に選定するものであ
る。
【0021】以下、図1に本発明の磁気記録媒体の一例
の概略構造を示して、本発明の磁気記録媒体およびその
製造方法について説明するが、本発明は以下に示す例に
限定されるものではない。
【0022】図1に示す磁気記録媒体10を構成する非
磁性支持体1は、例えば長尺状(テープ状)のプラスチ
ックフィルムよりなり、一例としてポリエチレンテレフ
タレートのフィルムを適用することができるが、本発明
の磁気記録媒体は、このような形状に限定されるもので
はなく、シート状、ドラム状等の各種形状のものに適用
することができる。
【0023】また、ポリエチレンテレフタレートの他、
各種の材料の支持体の適用が可能である。すなわち、ポ
リエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロー
ストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリ
カーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、その他
のプラスチック、アルミニウム、銅等の金属、アルミニ
ウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結
晶シリコン等についても、同様に適用することができ
る。
【0024】次に、非磁性支持体1上に形成する磁性層
2について説明する。磁性層2は、以下において詳述す
る磁性粉、結合剤(バインダー)、研磨剤、帯電防止
剤、防錆剤、架橋剤、有機溶剤等を用いて、これらを従
来公知の方法により、混合することにより磁性塗料を調
製し、この磁性塗料を非磁性支持体1上に所定の厚さに
塗布することによって形成する。
【0025】磁性塗料の調製は、公知の方法により行う
ことができるが、例えば、ロールミル、ボールミル、サ
ンドミル、トロンミル、高速ストーンミル、バスケット
ミル、ディスパー、ホモミキサー、ニーダー、連続ニー
ダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、および超音
波分散機等を用いて、混練、調製することができる。な
お、磁性塗料を非磁性支持体1上に塗布する場合におい
ては、非磁性支持体1上に直接塗布することもできる。
【0026】また、非磁性支持体層1上に適宜、接着剤
層等の下塗り層や、非磁性層等の中間層を形成したり、
非磁性支持体1の表面に微細な凹凸形状を形成したり、
表面に、コロナ放電処理や電子線照射処理等の、前処理
を施したりしてもよい。
【0027】非磁性支持体1上に、磁性塗料を塗布し、
磁性層2を形成する手法としては、エアードクターコー
ト、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、
エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバ
ースロールコート、グラビアコート、トランスファーロ
ールコート、キャストコート等の従来公知の方法をいず
れも適用することができ、押し出しコートによる同時重
層構造に形成してもよい。すなわち、磁性層1は、単層
構造でもよいし、複数構造であってもよい。
【0028】次に、本発明の磁気記録媒体10の磁性層
2を構成する材料について、詳細に説明する。
【0029】先ず、磁性層2を形成するために用いる強
磁性粉末は、従来公知のものをいずれも使用することが
できる。すなわち、強磁性酸化鉄系粒子、強磁性二酸化
クロム粒子、六角板状の六方晶フェライト粒子、強磁性
金属系粒子等いずれも適用することができる。また、還
元時の焼結防止の目的のためや、あるいは形状維持のた
めに、上記の強磁性粉末の他に、Al、Si、P、B等
の軽金属元素が適宜含有されていてもよく、これらを2
種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0030】なお、本発明の磁気記録媒体10を作製す
るために有用な強磁性粉末は、高密度記録化を図るため
に、BET法による比表面積を大きなものを使用するこ
とが望ましい。
【0031】次に、本発明の磁気記録媒体10を構成す
る磁性層2を形成するために用いる結合剤(バインダ
ー)について説明する。本発明の磁気記録媒体用の結合
剤は、ポリビニルアセタール樹脂と、ポリウレタン樹脂
から成るものとし、ポリウレタン樹脂は、上記〔化3〕
により表される化合物を原料として用いるものとし、得
られるポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度は、ポリ
ウレタン樹脂1〔t〕当たり4000〜5600当量で
あるものとする。
【0032】先ず、ポリビニルアセタール樹脂について
説明する。ポリビニルアセタール樹脂は、下記〔化4〕
に示す化学構造を有するものである。
【0033】
【化4】
【0034】ここで、本発明の磁気記録媒体10の適用
するポリビニルアセタール樹脂は、重合度が200〜6
00であり、各モノマーの成分の構成比(モル%)、
k,l,m,pは、k+l+m+p=100、65≦k
≦85、1≦l≦20、5≦m≦30、1≦p≦2であ
るものとする。この場合、kが65未満であると、磁性
層を塗布形成した場合に塗膜の強度が不足してしまい、
磁気記録媒体の耐久性を充分に確保することができなく
なってしまい、一方において、kが85よりも大きいポ
リビニルアルコール樹脂は、合成により作製することは
困難であり、実際上入手が不可能である。また、〔化
4〕中のlの値は、他の樹脂との溶解性、耐久性、軟化
性等の諸特性に影響を与えるものであり、これらの特性
を結合剤樹脂として、良好なものにするためには、1以
上20以下であることが好適である。また、〔化4〕中
のmの値は、他の樹脂との相溶性、耐水性、イソシアネ
ート樹脂との反応性等の諸特性に影響を与えるものであ
り、これらの特性を結合剤樹脂として良好なものにする
ためには、5以上30以下であることが好適である。ま
た、〔化4〕中のpの値は、分散性に影響を与えるもの
であり、この特性を結合剤樹脂として、良好なものにす
るためには、1以上2以下であることが好適である。
【0035】〔化4〕中のRは、Cn 2n+1(n=0、
1、2、3、4、5、6)で表される。
【0036】また、Xは−SO3 Na、−SO3 K、−
SO3 H、−OSO3 K、−COOH、−OPO(O
H)2 、−OPO(OLi)2 、−OPO(ON
a)2 、−OPO(OK)2 、−PO(OH)2 、−P
O(OLi)2 、−PO(ONa)2、−PO(OK)
2 、−NR2 、−NR3 Br、−NR3 I等を例として
挙げられる。
【0037】なお、上記ポリビニルアセタール樹脂は、
所定の重合度のポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニル
アルコールとし、このポリビニルアルコールと所定のア
ルデヒドを反応させることにより合成することができ
る。
【0038】次に、本発明の磁気記録媒体10を構成す
る磁性層を形成するための結合剤の成分であるポリウレ
タン樹脂について、詳細に説明する。
【0039】一般的に、ポリウレタン樹脂は、結合剤樹
脂の分子構造において、鎖延長剤であり、分子中にウレ
タン結合を多数有する樹脂である。本発明において用い
るポリウレタン樹脂は、特に、ウレタン基の濃度は、ポ
リウレタン樹脂1〔t〕当たり4000〜5600当量
であるものとする。ウレタン基濃度を4000以上とす
ることにより、溶剤相溶性を良好にすることができ、ポ
リビニルアセタール樹脂との相溶性も良好とすることが
でき、架橋剤を添加しても、ポリウレタン樹脂・ポリビ
ニルアセタール樹脂の吸着状態が変化しないで、分散性
が劣化しないようにすることができるため、結果とし
て、磁性層形成後の静磁気特性、電磁変換特性、走行耐
久性において、優れた磁気記録媒体を得ることができる
ようになるのである。
【0040】また、本発明においては、ポリウレタン樹
脂のガラス転移温度を100℃〜200℃に選定するも
のとする。これは、磁性層形成後において、走行耐久性
を良好にならしめるためには、100℃以上のガラス転
移温度を有するポリウレタン樹脂を用いることが必要で
あり、ガラス転移温度が200℃を越えるポリウレタン
樹脂を合成することは、工業上実用的ではないからであ
る。
【0041】本発明において用いるポリウレタン樹脂に
は、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネート
ポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂等、
いずれのポリウレタン系樹脂も用いることができる。ポ
リウレタン樹脂は、従来公知の方法により製造すること
ができる。例えば、低分子量の鎖延長剤に、必要に応じ
てポリエステルジオール等の中〜高分子量化されたジオ
ール成分を加え、これに二官能イソシアネートを用いて
結合させ、高分子量化することによって合成することが
できる。
【0042】本発明においては特に、ポリウレタン樹脂
を合成するために、上記〔化3〕に示す化合物を鎖延長
剤として用いる。一般に、ポリウレタン樹脂中のウレタ
ン基濃度を上げていくと、ウレタン基同士の凝集力が強
くなりすぎて、2−ブタノンなど汎用の有機溶剤への溶
解性が悪化することがあるが、上記〔化3〕に示す化合
物を鎖延長剤として使用することにより、炭素数2〜6
の飽和炭化水素基(アルキル基)の立体障害効果によ
り、ウレタン基同士あるいは分子間の凝集力を弱め、有
機溶剤への溶解性を良好にならしめることができ、ま
た、磁性塗料として調製すると、塗料の分散安定性を増
大ならしめることができる。
【0043】ここで、分枝した飽和炭化水素基の炭素数
が1以下では、分枝鎖長が短すぎて、立体障害効果を発
揮することができず、一方、分枝した飽和炭化水素基の
炭素数が7以上だと、分枝鎖同士が絡み合って、分枝鎖
同士の結晶化が生じてこれにより凝集が発生し分子間凝
集してしまい、溶剤溶解性を悪化させるとともに、ガラ
ス転移温度も低下させてしまうという欠点を生じる。す
なわち、本発明において鎖延長剤として〔化3〕に示す
化合物を選定したことにより、ポリウレタン樹脂のガラ
ス転移温度を、従来においては、70℃〜80℃程度で
あったものを、100℃以上にすることができ、磁性層
形成後、走行安定性に優れた磁気記録媒体を実現するこ
とが可能になる。
【0044】また、ポリウレタン樹脂を合成するための
ジオールとしては、その他、例えば、エチレングリコー
ル(EG)、1,4−ブタンジオール(BG)、ネオペ
ンチルグリコール等の低分子ジオールと、アジピン酸、
フタル酸、セバシン酸などのジカルボン酸(またはその
ジエステル)との重縮合(およびエステル交換反応)に
よって得られるポリエステルジオールや、ポリカプロラ
クトンジオールなどのポリラクトンジオール等、種々の
ものを用いることができる。
【0045】また、ポリウレタン樹脂を合成するための
ジイソシアネート化合物としては、従来公知の材料を適
宜用いることができる。例えば、2,4−トルエンジイ
ソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、キ
シレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3
−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネー
ト、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネー
ト、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソ
シアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−
4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプ
ロパンジイシスアネート、m−フェニレンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−
1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイ
ソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,
4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添加ト
リレンジイソシアネート、水添加キシレンジイソシアネ
ート、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テト
ラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシ
アネート等のジイソシアネート等がある。
【0046】本発明の磁気記録媒体および磁気記録媒体
の製造方法において適用するポリウレタン樹脂は数平均
分子量が、5000〜100000、より好ましくは、
10000〜60000であるものを適用することがで
きる。数平均分子量は、5000未満であると、磁性層
として形成後、耐久性が悪くなり、また分子量が100
000を越えると、磁性塗料の粘度が高くなりすぎて、
分散性が悪化してしまい、磁気記録媒体の電磁変換特性
が悪化する。
【0047】また、ポリウレタン樹脂には、強磁性粉末
への樹脂の吸着性や、強磁性粉末の分散性を向上させる
ために、分子中に適度な割合で、親水性基を導入するこ
ともできる。親水性基の導入方法としては、ナトリウム
−5−スルホイソフタル酸を含むポリエステルポリオー
ルを、ジオール成分の一部として使用するスルホン酸ナ
トリウム導入や、ジメチロールプロピオン酸や、N−メ
チルジエタノールアミン、3−ジエチルアミノ−1,2
−プロパンジオールをそれぞれ鎖延長剤の一部として使
用するカルボン酸導入や、三級アミン導入などの方法が
ある。
【0048】ポリウレタン樹脂を作製する装置は、従来
公知のものをいずれも使用することができる。例えば攪
拌装置を備えた反応釜や、ニーダー、一軸あるいは多軸
押し出し反応機等等の混合混練装置が挙げられる。反応
を速やかに進めるため、触媒として、ポリウレタンの製
造において通常使用される金属触媒やアミン系触媒を用
いてもよい。
【0049】また、結合剤には、その他従来公知の材料
を適宜混合して用いることができる。例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン
共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、アクリル
酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸−塩化
ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン
共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニト
リル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重
合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルム
アルデヒド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、またはこ
れらの混合物等を適宜用いることができる。
【0050】磁気記録媒体10を構成する磁性層2を形
成する際に用いられる研磨剤としては、例えば、α−ア
ルミナ、溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化
セリウム、α−酸化鉄、コランダム、ダイヤモンド、ケ
イ石、ガーネット、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化モリ
ブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、酸化チタン等
を主成分にしたものを用いることができ、モース硬度6
以上の公知の材料を、単独で、あるいは複数種類組み合
わせて適用することができる。この研磨剤としては、平
均粒径が、0.01〜2〔μm〕であることが望ましい
が、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わ
せたり、単独の研磨剤でも粒度分布を広く採ったりして
適用することができる。
【0051】磁気記録媒体10を構成する磁性層2を形
成する際に用いられる帯電防止剤としては、カーボンブ
ラックが主要に適用されるが、この他、天然界面活性
剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等、
従来公知の帯電防止剤をいずれも適用することができ
る。
【0052】カーボンブラックとしては、従来公知のい
ずれのものも適用することができる。カーボンブラック
は、製法により、アセチレンブラック、ファーネスブラ
ック等がある。
【0053】ここで、カーボンブラックには、DBP吸
油量が、30〜150〔ml/100g〕で、かつ平均
粒子径が5〜150〔nm〕、より望ましくは15〜5
0〔nm〕で、BET法による比表面積が40〜300
〔m2 /g〕、より望ましくは100〜250〔m2
g〕、であるものが有効である。また、含水率は、0.
1〜10%、タップ密度は0.1〜1〔g/cm3 〕、
pHは2.0〜10が好適である。DBP吸油量がより
多いカーボンブラックは、粘度が高くなり、分散性が著
しく悪化する。少ないカーボンブラックの場合では、分
散性が悪いため、分散工程に著しく時間がかかる。平均
粒子径がより小さいものほど分散時間がかかるが表面性
がよく、平均粒子径が大きくなるほど表面性が悪化す
る。このため、分散時間と表面性の双方を考慮すると、
平均粒子径が5〜150〔nm〕、より望ましくは15
〜50〔nm〕の範囲にあるものが好適である。
【0054】以上のような条件を満たすカーボンブラッ
クとしては、例えば、コロンビアンカーボン社製ラーベ
ン(RAVEN)1250(粒径23〔nm〕、BET
値135.0〔m2 /g〕、DBP吸油量58.0〔m
l/100g〕)、1255(粒径23〔nm〕、BE
T値125.0〔m2 /g〕、DBP吸油量58.0
〔ml/100g〕)、1020(粒径27〔nm〕、
BET値95.0〔m2/g〕、DBP吸油量60.0
〔ml/100g〕)、1080(粒径28〔nm〕、
BET値78.0〔m2 /g〕、DBP吸油量65.0
〔ml/100g〕)、ラーベン1035、ラーベン1
040、ラーベン1060、ラーベン3300、ラーベ
ン450、ラーベン780等、または、コンダクテック
(CONDUCTEX)SC(粒径20〔nm〕、BE
T値220.0〔m2 /g〕、DBP吸油量115.0
〔ml/100g〕)も同様に適用できる。また、旭カ
ーボン社製#80(粒径23〔nm〕、BET値11
7.0〔m2/g〕、DBP吸油量113.0〔ml/
100g〕)、三菱化成製#22B(粒径40〔n
m〕、BET値5.0〔m2 /g〕、DBP吸油量13
1.0〔ml/100g〕)、#20B(粒径40〔n
m〕、BET値56.0〔m2 /g〕、DBP吸油量1
15.0〔ml/100g〕)、キャボネット社製ブラ
ックパールズ(BLACK PEARLS)L(粒径2
4〔nm〕、BET値250.0〔m2 /g〕、DBP
吸油量60.0〔ml/100g〕)、ブラックパール
ズ800(粒径17.0〔nm〕、BET値240.0
〔m2 /g〕、DBP吸油量75.0〔ml/100
g〕)、ブラックパールズ1000、ブラックパールズ
1100、ブラックパールズ700、ブラックパールズ
905等も同様に適用することができる。
【0055】また、磁気記録媒体10を構成する磁性層
2の形成においては、公知のカップリング剤を使用する
こともできる。カップリング剤としては、シランカップ
リング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系
カップリング剤等が挙げられる。ここで、カップリング
剤の添加量は、磁性粉100〔重量部〕に対し、0.0
5〜10.00〔重量部〕であることが好ましく、より
好ましくは、0.1〜5.00〔重量部〕である。
【0056】シランカップリング剤としては、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン等の、ビニルシラン化合物や、β(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の
エポキシシラン化合物や、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピ
ルメチルジメキシシラン等のアミノシラン化合物や、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプ
トシラン化合物等を適用することができる。
【0057】チタネート系カップリング剤としては、テ
トラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタ
ン、ビス〔2−〔(2−アミノエチル)アミノ〕エタノ
レート〕〔2−〔(2−アミノエチル)アミノ〕エタノ
レート−O〕(2−プロパノレート)チタニウム、トリ
ス(イソオクタデカノエート−O)(2−プロパノレー
ト)チタニウム、ビス(ジトリデシルホスファイト−
O)テトラキス(2−プロパノレート)ジハイドロゼン
チタネート、ビス(ジオクチルホスファイト−O)テト
ラキス(2−プロパノレート)ジハイドロゼンチタネー
ト、トリス(ジオクチルホスファイト−O)(2−プロ
パノレート)チタニウム、ビス(ジオクチルホスファイ
ト−O)〔1,2−エタンジオレート(2−)−O,
O’〕チタニウム、トリス(ドデシルベンゼンスルフォ
ネート−O)(2−プロパノレート)チタニウム、テト
ラキス〔2,2−ビス〔(2−プロペニルオキシ)メチ
ル〕−1−ブタノレートチタネート等が挙げられ、商品
としては、味の素株式会社製、プレンアクトKR TT
S、KR 46B、KR 55、KR 41B、KR3
8S,KR 138S、KR 238S、338X、K
R 12、KR 44、KR 9SA、KR 34S等
を適用することができる。
【0058】アルミニウム系カップリング剤としては、
アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が
挙げられ、商品としては、味の素株式会社製、プレンア
クトAL−M等を適用することができる。
【0059】本発明の磁気記録媒体10を構成する磁性
層2の形成においては、より耐溶剤性を持たせるため
に、平均官能基数2以上のイソシアネート系硬化剤を含
ませてもよい。すなわち、ポリイソシアネートのポリメ
タリック体やポリイソシアネートのポリオールアダクト
等を適用することができる。
【0060】また、硬化剤として、イソシアヌレート基
を有する化合物を加えると、耐熱性や耐久性の向上を図
ることができる。ここで、イソシアヌレート基を有する
化合物としては、ポリイソシアネート化合物分子中に一
定比率のイソシアヌレート基を含むイソシアネート重合
体を好適に用いることができ、生成したポリウレタン系
成分の中にゲル化には達しない程度の分岐点を導入でき
る。
【0061】硬化剤としては、芳香族ポリイソシアネー
トおよび脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、これら
と活性水素化合物との付加体を好適に用いることができ
る。芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイ
ソシアネート(TDI)、1,3−キシレンジイソシア
ネート、1,4−キシレンジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−
フェニルジイソシアネート、m−フェニルジイソシアネ
ート、1,5−ナフチルジイソシアネート等を挙げるこ
とができる。
【0062】また、脂肪族ポリイソシアネートとして
は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)等を挙げることができる。これらと付加体を形成
する活性水素化合物としては、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメ
チロールプロパン、グリセリン等があり、平均分子量
は、100〜5000の範囲のものが好適である。
【0063】また、本発明の磁気記録媒体を構成する磁
性層形成のための磁性塗料を調製するための有機溶剤
は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン系の溶剤や、アルコール系溶剤、エステル系溶
剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭素
系溶剤、トルエン等の芳香族化合物系溶剤等、従来公知
のものをいずれも適用することができ、強磁性粉末や結
合剤(バインダー)の材料に応じて適宜選択して適用す
る。
【0064】また、本発明の磁気記録媒体10において
は、非磁性支持体1上の磁性層2と反対側の面に、非磁
性のバックコート層4を形成してもよい。バックコート
層4は、厚さ0.1〜2.0〔μm〕程度に、より好ま
しくは厚さ0.3〜1.0〔μm〕に形成する。このバ
ックコート層4には、磁気記録媒体を作製する上におい
て、通常バックコート層用の材料として通常用いられて
いる材料をいずれも適用することができ、例えば、無機
顔料等の固体粒子を結合剤中に分散させ、この結合剤の
種類に応じて選定された有機溶剤とともに混練して調製
されたバックコート層用の塗料を、非磁性支持体1上の
磁性層2形成面側とは反対側の面に、塗布形成される。
バックコート層用の無機顔料等の固体粒子は、帯電防止
効果、潤滑効果を付与するものであれば、従来公知の材
料をいずれも使用することができる。例えば、グラファ
イト、カーボンブラック、カーボンブラックグラフトポ
リマー、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、酸化
チタン等が挙げられる。これらの固体粒子は、それぞれ
一種類を用いることもでき、あるいは二種類以上適宜組
み合わせて用いることもできる。また、バックコート層
4形成用の結合剤としては、従来公知の材料をいずれも
使用することができる。すなわち、従来バックコート層
形成用に用いられているものであれば、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂のいずれも、適宜選定して使用することが
できる。なお、バックコート層4を構成する材料として
は、上述した固体粒子や結合剤の他、添加剤として、分
散剤、研磨剤、帯電防止剤等を適宜使用することもでき
る。これら分散剤、研磨剤、帯電防止剤としては、従来
使用される材料であれば、いかなるものも適用すること
ができる。
【0065】また、本発明の磁気記録媒体10において
は、磁性層2上に、必要に応じて潤滑剤や防錆剤等によ
り、トップコート層3を形成してもよい。この潤滑剤層
3は、例えば、高級脂肪酸エステル、シリコーンオイ
ル、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、ま
たはその他のフッ素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグ
リコール、アルキルリン酸エステルおよび金属塩、ポリ
フェニルエーテル、フッ化アルキルエーテル、アルキル
カルボン酸アミン塩およびフッ化アルキルカルボン酸ア
ミン塩等のアミン系潤滑剤、ならびに炭素数12〜24
のアルコール類(それぞれ分子中に不飽和結合を含んで
もよく、また、側鎖構造を含んでいてもよい。)炭素数
12〜24の高級脂肪酸等、いずれも適用することがで
きる。上記高級脂肪酸エステル成分としては、炭素数1
2〜32の高級脂肪酸エステル類(それぞれ分子中に不
飽和結合を含んでいてもよく、側鎖構造を含んでいても
よい。)であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラ
キン酸、オレイン酸、エイコ酸、エライジン酸、ヘベン
酸、リノール酸、リノレイン酸等のメチルエステル、エ
チルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステ
ル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエス
テル、ヘプチルエステル、オクチルエステル等がある。
具体的には、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチ
ル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ス
テアリン酸イソオクチル、ステアリン酸ブトキシエチ
ル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸イソオクチ
ル、パルミチン酸フチル等がある。また、潤滑剤として
用いる材料が、単独でもよく、2種類以上を混合しても
よい。
【0066】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
ついて説明する。本発明の磁気記録媒体の製造方法にお
いては、非磁性支持体上に、磁性塗料の塗布により磁性
層の形成を行う磁気記録媒体の製造方法であるものと
し、強磁性粉末と、上述した結合剤とを混合して、第1
の磁性塗料を調製する第1の工程と、この第1の磁性塗
料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥させて磁性層を形成
して磁性層の光沢度を測定する第2の工程と、第1の磁
性塗料に架橋剤を添加して、第2の磁性塗料を調製する
第3の工程と、この第2の磁性塗料を、非磁性支持体上
に塗布、乾燥させて磁性層を形成して、磁性層の光沢度
を測定する第4の工程とを有するものであって、架橋剤
を添加する前後の磁性塗料を用いてそれぞれ形成した磁
性層の光沢度、すなわち、第2の工程により測定された
光沢度と、第4の工程により測定された光沢度とを比較
し、光沢度の劣化を5〔%〕以下に選定して、磁気記録
媒体を作製するものである。
【0067】このように、架橋剤添加後においてもグロ
スの劣化が少ないものは、磁性塗料の分散性に優れ、磁
気記録媒体として作製した後においては、静磁気特性に
優れ、電磁変換特性に優れたものとすることができる。
【0068】以下に、本発明の磁気記録媒体の具体的な
〔実施例〕および〔比較例〕を挙げて説明するが、本発
明の磁気記録媒体は、以下に示す例に限定されるもので
はない。
【0069】先ず、磁性塗料の結合剤となる樹脂を合成
する。結合剤の原料に、鎖延長剤として2−ブチル−2
−エチル−1,3−プロパンジオール(DMH)を用
い、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、
上記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル(DMH)1に対して、モル比で0.98を用いて、
樹脂Aを合成した。
【0070】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として2−ブ
チル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(DM
H)を用い、さらに長鎖のジオールとして、テレフタル
酸、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、エチレン
グリコールを原料とした数平均分子量2000程度のポ
リエステルジオールAを上記2−ブチル−2−エチル−
1,3−プロパンジオール(DMH)1に対してモル比
で0.02用い、かつジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)をモル比で0.98用いて、樹脂Bを合成
した。
【0071】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として2−ブ
チル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(DM
H)を用い、さらに長鎖のジオールとして、上記ポリエ
ステルジオールAを上記DMHを1に対してモル比で
0.05用い、かつジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)をモル比で1.02用いて、樹脂Cを合成し
た。
【0072】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として2,2
−ジエチル−1,3−プロパンジオール(DMP)を用
い、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、
上記2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(D
MP)1に対して、モル比で0.98を用いて、樹脂D
を合成した。
【0073】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として2−ブ
チル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(DM
H)を用い、さらに長鎖のジオールとして、上記ポリエ
ステルジオールAを上記DMHを1に対してモル比で
0.08用い、かつジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)をモル比で1.05用いて、樹脂Eを合成し
た。
【0074】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として2−ブ
チル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(DM
H)を用い、さらに長鎖のジオールとして、上記ポリエ
ステルジオールAを上記DMHを1に対してモル比で1
用い、かつジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)をモル比で1.89用いて、樹脂Fを合成した。
【0075】結合剤樹脂原料に、鎖延長剤として、ネオ
ペンチルグリコール(NPG)を用い、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート(MDI)を、上記ネオペンチルグ
リコール(NPG)1に対してモル比で0.98用い
て、樹脂Gを合成した。
【0076】上記結合剤樹脂A〜Gについて、各樹脂の
ウレタン基濃度〔eq/t〕(ポリウレタン樹脂1
〔t〕当たりのウレタン基当量)、各樹脂の数平均分子
量、およびガラス転移温度〔℃〕を下記〔表1〕に示
す。
【0077】
【表1】
【0078】ここで、各樹脂の数平均分子量は、GPC
(Gel Permeation Chromatography)分析により求め、ガ
ラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calor
imetry) によって求めた。
【0079】次に、上記樹脂A〜樹脂Gを用いて、下記
に示す配合比により混練、混合して従来公知に方法によ
り、磁性塗料を調製した。
【0080】 Feメタル粉(比表面積55m2 /g): 100重量部 ポリビニルアセタール樹脂: 10重量部 (重合度300、アセタール化度72モル%、水酸基として20モル%、 官能基としてSO3 Naを0.1モル%) 〔表1〕に示す各ポリウレタン樹脂A〜G: 10重量部 アルミナ(平均粒径0.3μm): 5重量部 カーボン(平均粒径0.15μm): 1重量部 ステアリン酸: 1重量部 ステアリン酸ブチル: 1重量部 メチルエチルケトン : 100重量部 トルエン: 100重量部 シクロヘキサノン: 100重量部
【0081】上記材料を用いて調製した磁性塗料を、架
橋剤コロネートL(日本ポリウレタン社製)を4重量部
添加した後、例えばダイコートにより、厚さ7〔μm〕
のポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥後の磁
性層の厚さが2.5〔μm〕になるように塗布し、磁場
配向を行った後、乾燥処理を施して巻き取りを行った。
これをスーパーカレンダー処理を施した後、70℃にて
所定時間硬化させて磁性層を形成した。そして、従来公
知の8mmビテオテープと同様に、バックコート層、潤
滑剤層等を形成し、得られた幅広の磁性フィルムを硬化
した後、8ミリ幅に裁断して、磁気テープとし、それぞ
れサンプルテープA〜Gを作製した。このとき、上記樹
脂Aを用いて作製した磁気テープをサンプルテープAと
し、それぞれ樹脂B〜Gを用いて作製した磁気テープ
を、それぞれサンプルテープB〜Gとする。
【0082】次に上述のようにして作製した磁気テープ
についての特性の評価を行った。評価する特性は、分散
安定性、静磁気安定性、電磁変換特性、および走行耐久
性とする。
【0083】分散安定性は、樹脂A〜G中に、架橋剤を
添加しない状態で調製した第1の磁性塗料と、架橋剤を
添加して調製した第2の磁性塗料とを、それぞれポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に、塗布し乾燥させた
後、磁性塗料塗布面の光沢度(グロス)を、日本電色工
業社製デジタル変角光沢計VG−IDにより、入射角4
5°の条件の下で測定し、これらを比較して評価した。
評価方法は、グロスの劣化度(%)とした。
【0084】静磁気特性の評価は、残留磁束密度、角形
比の測定を行った。
【0085】電磁変換特性の評価は、上述のようにして
作製した各サンプルテープA〜Gに、それぞれ5MHz
の単一周波数信号を記録し、5〔MHz〕の再生出力レ
ベルを検出する。また、Y−S/N〔dB〕について
は、テレビ信号を記録して、Y−S/Nレベルを検出す
る。なお、テープとヘッド間の相対速度は3.8〔m/
s〕として、をソニー社製の8mmレギュラー標準磁気
テープを0〔dB〕として、これらを比較した。
【0086】走行耐久性の評価としては、シャトル特性
と、粉落ち量の測定とを行った。ここで、シャトル特性
は、120分長に設定した各サンプルテープA〜Gに、
それそれ5MHzの信号を記録し、各サンプルテープを
20回走行させ、信号の初期再生出力に対するシャトル
後の再生出力劣化〔dB〕を評価した。粉落ち量は、シ
ャトル走行後のヘッドドラム、ガイドピン等への粉落ち
量を、目視により測定するものであり、粉落ち量がほと
んど確認できないものを0点、粉落ち量の非常に多いも
のを5点として評価した。なお、測定にあたっては、各
サンプルテープA〜Gを、それぞれ10本ずつ用意して
評価を行い、測定点数の平均値を算出して評価結果とし
た。
【0087】上述したサンプルテープA〜Gの、グロス
劣化度〔%〕、静磁気特性、電磁変換特性、および走行
耐久性についての評価結果を下記〔表2〕に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【0090】〔表2〕に示すように、磁性塗料の結合剤
の、ポリウレタン樹脂の原料として、2−ブチル−2−
エチル−1,3−プロパンジオール(DMH)を用い、
かつポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度が、ポリウ
レタン樹脂1〔t〕当たり4000〜5600当量の範
囲内にある樹脂A〜Cを用いて作製したサンプルテープ
A〜C、およびポリウレタン樹脂の原料として、2,2
−ジエチル−1,3−プロパンジオール(DMP)を用
い、かつポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度が、ポ
リウレタン樹脂1〔t〕当たり5200当量である樹脂
Dを用いて作製したサンプルテープDにおいては、分散
性、分散安定性、静磁気特性、電磁変換特性、および走
行安定性のすべての点において良好な結果が得られた。
これは、結合剤として用いたポリウレタン樹脂A〜Dの
溶剤溶解性が良好であり、また、使用したポリビニルア
セタール樹脂との相溶性が良好であるため、架橋剤を添
加した後においても、ポリウレタン樹脂、ポリビニルア
セタール樹脂の吸着状態が変化せず、分散性が劣化しな
いため、結果として、サンプルテープA〜Dの分散性、
静磁気特性、および電磁変換特性について優れた評価結
果が得られたためである。
【0091】また、〔表1〕に示したように、樹脂A〜
樹脂Dのガラス転移温度は、100℃以上であることか
ら、これらの樹脂を用いて作製した磁性層の強度は高
く、シャトル走行により磁気テープが摺動し、磁気テー
プの表面温度が摩擦により上昇しても、塗膜強度が低下
せずに、走行耐久性に優れているという結果が得られ
た。
【0092】〔表2〕に示すように、磁性塗料の結合剤
の、ポリウレタン樹脂の原料として、2−ブチル−2−
エチル−1,3−プロパンジオール(DMH)を用いた
ものの、ポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度が、ポ
リウレタン樹脂1〔t〕当たり、4000未満である樹
脂E、Fを用いて作製したサンプルテープE、Fにおい
ては、分散安定性、静磁気特性、電磁変換特性、走行耐
久性について、上記サンプルテープA〜Dに比較して、
良好な結果を得えられなかった。これらのサンプルテー
プE、Fにおいては、結合剤として用いたポリウレタン
樹脂中のウレタン基の濃度が低いため、ポリウレタン樹
脂の溶剤溶解性が悪く、架橋剤を添加したときにポリウ
レタン樹脂あるいはポリビニルアセタール樹脂の吸着状
態が大きく変化してしまい、架橋剤を添加する前のグロ
スは上記サンプルテープA〜Dに比較してもさほど劣っ
てはいないが、架橋剤を添加した後のグロスの劣化が大
きく、結果として、分散性、静磁気特性、電磁変換特性
の評価について、劣っている評価結果が得られた。ま
た、サンプルテープE、Fにおいては、結合剤として用
いたポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度が低いた
め、ガラス転移温度が100℃未満と充分に高くなく、
磁気テープの走行時にドラムやヘッドとの摺動により表
面温度が高温になったときに、磁気テープ表面の塗膜の
強度が充分でないため、シャトル走行後の再生出力劣化
が大きくなったり、粉落ちが多くなったりするという評
価結果が得られた。
【0093】〔表2〕に示すように、磁性塗料の結合剤
の、ポリウレタン樹脂の原料として、ネオペンチルグリ
コールを用いた樹脂Gを用いて作製したサンプルテープ
Gについては、分散安定性、静磁気特性、電磁変換特
性、および走行耐久性において、良好な評価結果が得ら
れなかった。これは、結合剤のポリウレタン樹脂の原料
のグリコールとして、ネオペンチルグリコールで、上記
〔化3〕の構造を有さないものであるため、樹脂中のウ
レタン基濃度を可能な限り上げたとしても、ガラス転移
温度が充分には上昇しないため、塗膜の強度が充分に得
られない。また、溶剤溶解性についても上記樹脂A〜D
を用いて作製したサンプルテープA〜Dの例に比較して
充分な値が得られず、結果として、サンプルテープGの
分散安定性、静磁気特性、電磁変換特性、および走行耐
久性の各評価については、良好な評価結果が得られなか
った。
【0094】上述した例においては、本発明の磁気記録
媒体の磁性層作製用の結合剤原料の上記〔化3〕に示す
ものとして、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパ
ンジオール(DMH)、および2,2−ジエチル−1,
3−プロパンジオール(DMP)を用いたが、本発明に
おいては、この例に限定されることなく、上記〔化3〕
に示す構造を有するものであれば、従来公知のいかなる
ものも適用することができる。すなわち、2−プロピル
−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチ
ル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ペン
チル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−ペ
ンチル−2−ペンチル−1,3−プロパンジオール、2
−ペンチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−
1,3−プロパンジオールを用いた結合剤によって磁性
塗料を作製し、これらにより磁気記録媒体を作製した場
合においても、上述した例と同様に、分散性、静磁気特
性、電磁変換特性、および走行耐久性のそれぞれに評価
について、良好な結果が得られることが確認された。
【0095】上述したように、本発明の磁気記録媒体に
よれば、磁性塗料の結合剤原料であるポリウレタン樹脂
の原料であるジオールの構造を、上記〔化3〕のように
規定し、かつポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度
を、ポリウレタン樹脂1〔t〕当たり4000〜560
0当量であるものとしたので、同じく結合剤原料である
ポリビニルアセタール樹脂との相溶性を良好にし、結合
剤中への強磁性粉末の分散性を良好にし、調製した磁性
塗料を静置保存した後においても、また、潤滑剤や架橋
剤を添加した後においても分散性が劣化せず分散安定性
に優れ、かつガラス転移温度の高い結合剤により磁性層
を形成した磁気記録媒体が得られた。
【0096】また、上述したように、本発明の磁気記録
媒体の製造方法によれば、架橋剤の添加工程に前後にお
ける磁性塗料、すなわち第1の磁性塗料および第2の磁
性塗料を用いて、それぞれ磁性層を形成し、これらの光
沢度の劣化度を5〔%〕以下に選定して、磁性層の形成
を行うこととしたことによって、架橋剤の添加後も分散
性が劣化せず分散安定性に優れ、かつガラス転移温度の
高い結合剤により磁性層を形成させることができ、最終
的に得られる磁気記録媒体の品質の向上を図ることがで
き、走行耐久性の向上を図ることができた。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、磁性塗料の結合剤原料
であるポリウレタン樹脂の原料であるジオールの構造
を、上記〔化3〕のように規定し、かつポリウレタン樹
脂中のウレタン基の濃度を、ポリウレタン樹脂1〔t〕
当たり4000〜5600当量であるものとしたので、
同じく結合剤原料であるポリビニルアセタール樹脂との
相溶性を良好にし、結合剤中への強磁性粉末の分散性を
良好にし、調製した磁性塗料を静置保存した後において
も、また、潤滑剤や架橋剤を添加した後においても分散
性が劣化せず分散安定性に優れ、かつガラス転移温度の
高い結合剤により磁性層を形成でき、静磁気特性、電磁
変換特性、走行安定性、走行耐久性に優れ、かつ地球環
境汚染防止にも好適な磁気磁気記録媒体が得られた。
【0098】本発明の磁気記録媒体の製造方法によれ
ば、架橋剤の添加工程に前後における光沢度の劣化度を
5〔%〕以下に選定したことによって、架橋剤の添加後
も、磁性塗料の分散性が劣化せず、分散安定性に優れ、
かつガラス転移温度の高い結合剤により磁性層を形成す
ることができ、これにより、磁性層強度を向上させるこ
とができ、走行耐久性の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の概略構成図を示す。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 トップコート層、
4 バックコート層、10 磁気記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DA011 DA012 DA052 DG051 DG111 DG121 GA02 GA03 GA08 GA11 GA13 GA14 GA16 KA12 LA03 MA06 MA07 MA13 MA14 NA11 NA12 NA14 NA22 NA27 PA19 PB11 PC02 PC03 PC08 5D006 BA11 BA15 5D112 AA05 BB13 CC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、磁性塗料の塗布によ
    り形成された磁性層を有する磁気記録媒体であって、 上記磁性塗料は、強磁性粉末と、結合剤とにより構成さ
    れ、上記結合剤は、ポリビニルアセタール樹脂と、ポリ
    ウレタン樹脂から成り、 上記ポリウレタン樹脂は、下記〔化1〕により表される
    化合物を原料として用いるものとし、 上記ポリウレタン樹脂中のウレタン基の濃度は、ポリウ
    レタン樹脂1〔t〕当たり4000〜5600当量であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。 【化1】 (但し、R1 、R2 のうち、いずれか一方は炭素数が2
    〜6個のアルキル基であり、他の一方は炭素数1〜6個
    のアルキル基あるいは水素であるものとする。)
  2. 【請求項2】 上記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度
    が、100℃〜200℃であることを特徴とする請求項
    1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、磁性塗料の塗布によ
    り磁性層の形成を行う磁気記録媒体の製造方法であっ
    て、 強磁性粉末と結合剤とを混合して、第1の磁性塗料を調
    製する第1の工程と、 上記第1の磁性塗料を、上記非磁性支持体上に塗布、乾
    燥させて磁性層を形成して該磁性層の光沢度を測定する
    第2の工程と、 上記第1の磁性塗料に架橋剤を添加して、第2の磁性塗
    料を調製する第3の工程と、 上記第2の磁性塗料を、上記非磁性支持体上に塗布、乾
    燥させて磁性層を形成して該磁性層の光沢度を測定する
    第4の工程とを有し、 上記第2の工程により測定された光沢度と、上記第4の
    工程により測定された光沢度とを比較し、光沢度の劣化
    を5〔%〕以下に選定することを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003242625A (ja) * 2002-02-18 2003-08-29 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2017191633A (ja) * 2016-02-01 2017-10-19 日立マクセル株式会社 磁気記録媒体

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