JP4032629B2 - 帯電防止性能を有するパチンコ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機は、軽量で腐食しにくい合成樹脂によって、多くの部材が形成される。しかしながら、合成樹脂は、誘電率が低く静電気が溜まり易い性質を有しているため、滞留した静電気に起因して、合成樹脂製の遊技部材と隣接した作動内容を制御する制御装置が誤作動を起こすおそれがある。それゆえ、従来のパチンコ機の中には、静電気の滞留を防止するために、静電気の溜まり易い遊技球タンク、遊技球通路体、下皿等の各種の遊技部材を、帯電防止剤や導電性材料を含有した合成樹脂によって形成し、それらの遊技部材からアース線を引き出し、機台外部の金属に放電するように構成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如く所定の遊技部材にアース線を設けたパチンコ機は、遊技部材に溜まった静電気を十分に放電除去することができず、制御装置が誤作動してしまうことがあり、遊技球の通路となっている遊技部材においては、特に、その傾向が著しかった。
【0004】
本発明の目的は、上記従来のパチンコ機が有する課題を解消し、遊技球通路部材に静電気が溜まりにくく、遊技球通路部材に溜まった静電気に起因した制御装置の誤作動が生じないパチンコ機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明のうち、請求項1に記載された発明の構成は、周囲が外枠で覆われており、その外枠の内側に、金属製のミドル枠が設置されているとともに、そのミドル枠に、合成樹脂製の複数の遊技球通路部材が設置されたパチンコ機であって、前記遊技球通路部材の内の少なくとも一つが、帯電防止剤および/または導電性材料を含んだ合成樹脂によって、係合突起を前面に突出させた形状に形成されたものであり、前記係合突起を前記ミドル枠に接触させた状態で、ミドル枠の後側に設置されていることにある。請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、係合突起の周囲が、導電性の金属薄膜によって覆われており、その金属薄膜を介して、係合突起がミドル枠と接触していることにある。請求項3に記載された発明の構成は、請求項1、または請求項2に記載の発明において、係合突起が、先端に、接触するミドル枠に対して傾斜した平坦面を設けたものであることにある。なお、遊技球通路部材とは、遊技球タンク、遊技球通路体、遊技球払出装置等の遊技球を通過させる構造を有するすべての遊技部材のことを言う。
【0006】
本発明の帯電防止剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の種々の界面活性剤等の帯電防止剤を用いることができる。一方、導電性材料としては、カーボンブラック、炭素繊維、フェライト、各種の金属等の導電性材料を用いることができる。また、帯電防止剤や導電性材料を含有させる樹脂としては、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ゴム、およびそれらの変性物等を用いることができ、特に限定されない。なお、カーボンブラックを充填したポリカーボネート、フェライトを含有したABS樹脂、炭素繊維を充填したABS樹脂は、高い導電性を有しており、かつ衝撃強度にも優れているので、導電性材料を含んだ合成樹脂として好適に用いることができる。
【0007】
また、係合突起の周囲を、導電性の金属薄膜によって覆う方法としては、導電性粘着剤によって金属薄膜を接着する方法を採用することができる。なお、導電性粘着剤とは、上記した導電性材料を充填した粘着剤のことをいい、その粘着剤としては、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリル樹脂等の樹脂に、ロジン、クマロン樹脂等の粘着性付与剤、あるいはフタル酸エステル、ヒマシ油等の可塑剤を加えたもの等の市販の粘着剤を好適に用いることができる。また、導電性粘着剤によって係合突起の周囲を金属薄膜で覆う場合に、予め銅箔に粘着剤および剥離紙を積層させたテープ状物(たとえば、大日本インキ化学工業(株)製のシールド用粘着製品E−2100ACD,E−1100CD,E−2100CD)を使用し、そのテープ状物の剥離紙を剥がして係合突起に接着することも可能である。そのようにテープ状物を使用した場合には、係合突起への銅箔の接着が容易となる上、金属薄膜が係合突起から外れにくい、というメリットがある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパチンコ機の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1、図2は、それぞれ、パチンコ機の斜視図、背面図である。パチンコ機1は、周囲が外枠2によって覆われており、その外枠2の内側には、金属製のミドル枠3が設置されている。ミドル枠3の前面には、木製の遊技盤4が嵌め込み設置されている。また、ミドル枠3の後方には、帯電防止剤(カチオン性界面活性剤)を含有したABS樹脂によって形成された上側部材26および下側部材27からなる機構板5が設置されている。図2は、ミドル枠3および分解した機構板を示したものであり、機構板5には、遊技球タンク6、遊技球通路体7、遊技球払出装置8等の遊技球通路部材が設置されている。なお、機構板5の中央よりやや下側には、パチンコ機1の作動内容を制御する制御装置9が設置されている。
【0010】
図3は、機構板5の上側部材26を示したものであり、上側部材26は、上端際から下端際にかけて、2つの平行な壁体10a,10bが立設されている。そして、それらの壁部材10a,10bによって、凹状嵌合部11が形成されており、その凹状嵌合部11の底板12には、4つの挿通孔13,13・・が穿設されている。また、片側の壁部材10aには、2つの弾性係止片14,14が設けられており、各弾性係止片14,14の先端には、係止突起15が設けられている。
【0011】
一方、図4〜図7は、遊技球通路体7を示したものであり、遊技球通路体7は、導電性材料であるフェライトを含有したABS樹脂によって略直方体状に一体成形されており、左右両側面には、それぞれ遊技球通路16,16が刻設されている。また、後面の略中央には、鉛直方向に長尺な摘み17が突設されている。さらに、遊技球通路体7の前面の上端際および下端際には、それぞれ、係合突起18a,18aが突設されている。各係合突起18a,18aは、鉛直方向に長尺な板状の軸部19が、遊技球通路体7の前面に対して垂直に突出しており、その軸部19の先端に、軸部19と約80度の角度をなすように、当接板20が延設されている。また、各係合突起18,18の周囲には、図8の如く、導電性粘着剤21によって銅箔22が接着されており、当接板20の前面の平坦面23が銅箔22によって覆われた状態になっている。
【0012】
図9、図10は、遊技球通路体7を嵌合設置した上側部材26をミドル枠3に設置した状態を示したものであり、上側部材26は、底板12がミドル枠3の表面と平行になるように、ミドル枠3に設置されている(図10参照)。また、遊技球通路体7は、前面の上下の係合突起18a,18aを上側部材26の挿通孔13,13から突出させた状態で、上側部材26の凹状嵌合部11に押し込み設置されており、係合突起18a,18aの弾性によって、各係合突起18a,18aの当接板20の平坦面23が、ミドル枠3の表面と当接した状態になっている。なお、遊技球通路体7が上側部材26の凹状嵌合部11に押し込み設置された場合には、上側部材26の各弾性係止片14,14の係止突起15,15によって、遊技球通路体7の後面が係止され、遊技球通路体7が凹状嵌合部11内で保持される。
【0013】
一方、遊技球払出装置8は、導球部24および作動部25のケース29等が導電性材料であるフェライトを含有したABS樹脂によって形成されており、それらの導球部24およびケース29の前面にも、遊技球通路体7と同様な係合突起18a,18aが設けられている。そして、それらの導球部24およびケース29は、遊技球通路体7と同様に、前面の係合突起18a,18aを上側部材26の挿通孔13,13から突出させた状態で、上側部材26の凹状嵌合部11に押し込み設置されており、係合突起18a,18aの弾性によって、各係合突起18a,18aの当接板20の平坦面23が、ミドル枠3の表面と当接した状態になっている。
【0014】
かかるパチンコ機1においては、遊技球タンク4から流下した遊技球が、上側部材26に設置された遊技球通路体7の内部を流下して、遊技球払出装置8の内部まで流下する。そして、遊技盤4の前面に設置された入賞装置(図示せず)に遊技球が入賞した場合には、遊技球払出装置8内まで流下した遊技球が、その入賞に相当する個数だけ計数された後に、賞品球として払い出される。
【0015】
パチンコ機1は、上記の如く、遊技球通路体7、および遊技球払出装置8の導球部24、およびケース29が、フェライトを含有したABS樹脂によって、係合突起18a,18aを前面に突出させた形状に形成されたものであり、係合突起18a,18aをミドル枠3に接触させた状態で、ミドル枠3に設置されているため、遊技球通路体7、遊技球払出装置8の導球部24、ケース29から金属製のミドル枠3に静電気が流れ、機台外部まで流れるので、遊技球通路体7や遊技球払出装置8に溜まった静電気に起因したトラブルが発生しにくい。
【0016】
また、パチンコ機1は、係合突起18a,18aの周囲に、導電性粘着剤によって銅箔22が接着されており、その銅箔22を介して、係合突起18a,18aが金属製のミドル枠3と接触しているため、遊技球通路体7、遊技球払出装置8の導球部24、ケース29からミドル枠3に静電気が効率良く流れるので、静電気の滞留を防止する性能(以下、静電気滞留防止性能という)が良好であり、滞留した静電気に起因した制御装置9の誤作動が発生しない。
【0017】
さらに、パチンコ機1は、係合突起18a,18aが、先端に、接触するミドル枠3に対して傾斜した平坦面23を設けたものであり、係合突起18a,18aが広い面積でミドル枠3と接触しているため、遊技球通路体7、遊技球払出装置8の導球部24、ケース29から金属製のミドル枠3に静電気が非常に効率良く流れるので、静電気滞留防止性能が一段と良好なものとなっている。
【0018】
加えて、パチンコ機1は、上側部材26に弾性係止片14,14が設けられており、係合突起18a,18aがミドル枠3に当接した状態を保つように、遊技球通路体7が凹状嵌合部11内で保持されるため、衝撃を受けた場合でも係合突起18a,18aとミドル枠3との接触状態が解除されず、恒久的に良好な静電気滞留防止性能を発揮することができる。
【0019】
なお、本発明のパチンコ機の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、外枠、ミドル枠、遊技盤、機構板、遊技球タンク、遊技球通路体、遊技球払出装置、制御装置等の形状・構造等の構成を必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、パチンコ機は、帯電防止加工を施した遊技球通路部材(帯電防止剤、導電性材料を含んだ合成樹脂によって係合突起を前面に突出させた形状に形成し、ミドル枠と接触させた遊技球通路部材)が遊技球通路体や遊技球払出装置(導球部、および作動部のケース等)であるものに限定されず、遊技球タンク等の他の遊技球通路部材に帯電防止加工を施したものでも良い。また、遊技球通路部材の帯電防止加工は、導電性材料を含んだ合成樹脂によって係合突起を前面に突出させた形状に形成し、ミドル枠と接触させる方法に限定されず、帯電防止剤を含んだ合成樹脂によって係合突起を前面に突出させた形状に形成し、ミドル枠と接触させる方法でも良いし、帯電防止剤および導電性材料を含んだ合成樹脂によって係合突起を前面に突出させた形状に形成し、ミドル枠と接触させる方法でも良い。
【0021】
一方、係合突起を金属薄膜で覆う方法は、導電性粘着剤によって金属薄膜を接着する方法に限定されず、図11の如く、係合突起18b,18bにスリット28を設け、そのスリット28に金属薄膜22を挟持させる方法等でも良い。
【0022】
さらに、係合突起の周囲を覆う金属薄膜は、銅箔に限定されず、薄い鉄板や銀箔等の他の金属薄膜でも良い。なお、銅箔は導電性が良好であるので、銅箔を用いた場合には、パチンコ機の帯電防止性能がきわめて良好なものとなる、というメリットがある。
【0023】
また、係合突起の形状も、上記実施形態の如く、断面L字状に限定されず、柱状の軸部の先端に円盤状の当接板を連設した形状等でも良い。加えて、当接板の傾斜角度も、上記実施形態の如く、ミドル枠の表面に対して約10度の傾斜角度に限定されず、係合突起の弾性が大きい場合には、大きな傾斜角度にすることも可能である。
【0024】
加えて、ミドル枠は、全体が金属によって形成されたものに限定されず、一部が合成樹脂等によって形成されたものでも良い。なお、一部を合成樹脂等によって形成したミドル枠を用いる場合には、帯電防止加工を施した遊技部材を、ミドル枠の金属部分と接触させる必要がある。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載されたパチンコ機は、遊技球通路部材の内の少なくとも一つが、帯電防止剤および/または導電性材料を含んだ合成樹脂によって、前面に係合突起を突出させた形状に形成されたものであり、係合突起をミドル枠に接触させた状態で、ミドル枠の後側に設置されているため、遊技球通路部材から金属製のミドル枠に静電気が流れ、機台外部まで流れるので、遊技球通路部材に滞留した静電気に起因したトラブルが発生しにくい。
【0026】
請求項2に記載されたパチンコ機は、係合突起の周囲が、導電性の金属薄膜によって覆われており、その金属薄膜を介して、係合突起がミドル枠と接触しているため、遊技球通路部材から金属製のミドル枠に静電気が効率良く流れるので、静電気滞留防止性能が良好であり、滞留した静電気に起因した制御装置の誤作動が発生しない。
【0027】
請求項3に記載されたパチンコ機は、弾性係合突起が、先端に傾斜状の平坦面を設けたものであり、係合突起が広い面積で金属製のミドル枠と接触しているため、遊技球通路部材からミドル枠に静電気が非常に効率良く流れるので、静電気滞留防止性能が一段と良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ機の背面を示す説明図である。
【図2】ミドル枠、および分解した機構板を示す説明図である。
【図3】上側部材を示す説明図である。
【図4】遊技球通路体を示す説明図である((a)は前方斜視図であり、(b)は、右側面図である)。
【図5】遊技球通路体の断面(図4(b)におけるA−A線断面)を示す説明図である。
【図6】遊技球通路体(銅箔を取り外した状態)を示す説明図である。
【図7】遊技球通路体の断面(銅箔を取り外した状態の断面)を示す説明図である。
【図8】係合突起の断面を示す説明図である。
【図9】遊技球通路体、および遊技球払出装置の設置状態を示す説明図である。
【図10】遊技球通路体の設置状態(図9におけるB−B線断面)を示す説明図である。
【図11】遊技球通路体の変更例を示す説明図である((a)は金属薄膜で係合突起を覆った状態であり、(b)は、金属薄膜を取り外した状態である)。
【符号の説明】
1・・パチンコ機、2・・外枠、3・・ミドル枠、4・・遊技盤、5・・機構板、6・・遊技球タンク、7・・遊技球通路部材、8・・遊技球払出装置、9・・制御装置、10a,10b・・壁体、11・・凹状嵌合部、12・・底板、13・・挿通孔、14・・弾性係止片、15・・係止突起、16・・遊技球通路、17・・摘み、18a,18b・・係合突起、19・・軸部、20・・当接板、21・・導電性粘着剤、22・・銅箔、23・・平坦面、24・・導球部、25・・作動部、26・・上側部材、27・・下側部材、28・・スリット、29・・ケース。
Claims (3)
- 周囲が外枠で覆われており、その外枠の内側に、金属製のミドル枠が設置されているとともに、そのミドル枠に、合成樹脂製の複数の遊技球通路部材が設置されたパチンコ機であって、
前記遊技球通路部材の内の少なくとも一つが、帯電防止剤および/または導電性材料を含んだ合成樹脂によって、係合突起を前面に突出させた形状に形成されたものであり、前記係合突起を前記ミドル枠に接触させた状態で、ミドル枠に設置されていることを特徴とするパチンコ機。 - 係合突起の周囲が、導電性の金属薄膜によって覆われており、その金属薄膜を介して、係合突起がミドル枠と接触していることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
- 係合突起が、先端に、接触するミドル枠に対して傾斜した平坦面を設けたものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載のパチンコ機。
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