JP4031871B2 - 車両用サスペンション - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用サスペンションの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用サスペンションとしては、例えば、▲1▼特公平6−69779号公報「自動車のサスペンション装置」が知られている。
上記技術▲1▼は、トーションバーに対するサスペンションアームの支持構造に工夫を加えて、乗心地性を向上させることを目的としたものであり、同公報の第1図に示される通り、サブフレーム16にスイング可能に取付けたサスペンションアーム30と、このサスペンションアーム30に回転可能に取付けた車輪18と、サブフレーム16に固定したアウターチューブ25と、このアウターチューブ25内に収納するとともに、アウターチューブ25端部に一端を固定したトーションバー26と、このトーションバー26の他端に取付けるとともに、先端を上記サスペンションアーム30にスライド自在に連結したアンカーアーム33とを備える。
【0003】
また、例えば、車体のコーナリング時に車体が傾く、即ち車体前後軸(長手軸)廻りに車体がロールするのを抑えるには、左右のサスペンションアームにスタビライザを取付ける技術▲2▼がある。
この技術▲2▼を上記技術▲1▼に適用した場合を以下で説明する。
図8は従来のスタビライザを用いた自動車のサスペンション装置を示す平面図である。
サスペンション装置100は、上記技術▲1▼で説明したサブフレーム101、サスペンションアーム102、車輪103、アウターチューブ104、トーションバー105、アンカーアーム106に、左右のサスペンションアーム102,102間に連結したスタビライザ107を加えたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図において、サスペンションアーム102の前方にアンカーアーム106を配置したため、サスペンションアーム102を延ばし、スタビライザ107をアンカーアーム106と車輪103との間のサスペンションアーム102に取付けたので、サブフレーム101へのサスペンションアーム102取付け部、車輪103間のスペースSが大きくなり、車両全体が大きくなるという不都合がある。
そこで、本発明の目的は、スペースを有効に利用してスタビライザ機能を備えた車両用サスペンションを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、左外筒に左トーションバーを収納し、これらの右端同士を固定し、左外筒の左端をレバーを介して左車輪に連結し、左トーションバーの左端を車体側に取付け、同様に、右外筒、右トーションバーを右車輪と車体との間に介設した車両用サスペンションにおいて、左・右外筒を同軸上に直列に配置し、且つ左外筒の右端と右外筒の左端とを直接若しくは間接的に結合し、左・右外筒を車幅方向に配置するとともに、体に取付けられるブラケットと、このブラケットに一端が第1ラバーブッシュを介して軸支され、他端が車両後方に延びるトレーリングアームと、を左右それぞれに備え、レバーが左右外筒との連結部と反対側の端部でリンク部材を介してトレーリングアームに取付けられ、トレーリングアームの支持軸から離間してトーションバーがブラケットに取付けられ、トーションバーのブラケットへの取付け部の車幅方向内側かつレバーの外筒との連結部の車幅方向外側で、外筒とトーションバーとが第2ラバーブッシュを介して連結される。
【0006】
左外筒の右端と右外筒の左端とを結合したことで、左・右外筒の一方、又は左・右トーションバーの一方をねじった時に他方との間にねじりが発生し、スタビライザの機能を発揮する。
また、従来のスタビライザを別に設けるよりもスペースの有効利用が図れる。
【0007】
更に、例えば、従来のようなトーションバーを左右に独立して配置した場合に対して、トーションバーを車体に取付けるための取付け部材が少なくなる。
更にまた、左外筒の左端と左トーションバーの左端との片方並びに右外筒の右端と右トーションバーの右端との片方の取付けが、車体外側の高剛性部で行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下の説明で、車両の左右に一対で設ける構成については、左側の構成の符号にLを付け、右側の構成の符号にRを付ける。但し、構成の細部については、この限りではない。
【0009】
図1は本発明に係る車両用サスペンションの斜視図であり、懸架ばねとしてトーションバーを用いたリヤサスペンションを示す。
車両用サスペンションとしてのリヤサスペンション1は、車体に取付ける左右の取付けブラケット2L,2Rと、これらの取付けブラケット2L,2Rに取付けた支軸2a,2aと、この支軸2a,2aにスイング可能に取付けた左右のトレーリングアーム3L,3Rと、これらのトレーリングアーム3L,3Rの後部に回転可能に取付けた左・右車輪4L,4Rと、トレーリングアーム3L,3Rに掛け渡したクロスビーム5と、後述する減衰機構であるショックアブソーバ(不図示)と、懸架ばねの機能を有するトーションバー機構10とからなる。
【0010】
図2は本発明に係るリヤサスペンションの平面図であり、図の左側が車両前方である。
トーションバー機構10は、取付けブラケット2L,2R間に取付けたトーションバー本体11と、このトーションバー本体11の両端部から後方(図右方)へ延ばした左右のレバー12L,12Rとを備える。
ここで、6は車体、7,7は車体6とトレーリングアーム3L,3Rとの間に介設したショックアブソーバ、8はトランクルームに収納したスペアタイヤである。
【0011】
図3は本発明に係るリヤサスペンションのトーションバー機構の要部断面図であり、車体中心に対して左右対称なトーションバー機構の左側半分を示し、右側半分は省略する。
トーションバー機構10のトーションバー本体11は、外筒21Lと、この外筒21L内に収納したトーションバー22Lと、これら外筒21L及びトーションバー22L間に介設したラバーブッシュ23Lと、外筒21Lの右側端部に固定した連結部24とからなる。
【0012】
外筒21Lは、一端の内面に形成したセレーション穴部21aと、他端に形成したレバー12Lを固定するためのレバー取付け部21bと、大径部21cとを備える。
トーションバー22Lは、一端から他端へ順に形成した外筒21Lのセレーション穴部21aに嵌合する第1セレーション軸部22aと、ストレート部22bと、大径部22cと、取付けブラケット2Lに形成したセレーション穴部2bに嵌合する第2セレーション軸部22dとからなる。
【0013】
ラバーブッシュ23Lは、外筒部材23aと、内筒部材23bと、これらの外筒部材23a、内筒部材23b間に加硫接着したラバー23cとからなり、外筒21Lの大径部21c内面とトーションバー22の大径部22c外面とに圧入したものである。
【0014】
以上説明したように、外筒21L,21R同士を連結部24で結合したことにより、例えば、従来のようなトーションバーを左右に独立して配置した場合に、トーションバーの車体への取付け部材を一つのトーションバーについて少なくとも2個、二つのトーションバーで合計4個必要となるが、本発明では、トーションバー機構10を車体6(図2参照)に取付けるのに少なくとも2個で済むため、取付け部材を少なくすることができ、コストを抑えることができる。
【0015】
図4は図2の4矢視図であり、取付けブラケット2Lの支軸2aに取付けたトレーリングアーム3Lを略水平に延ばし、一方、前記支軸2aから所定距離D1だけ下げた箇所で取付けブラケット2Lにトーションバー本体11の左端を取付け、このトーションバー本体11から後方(図左下)へレバー12Lを延ばす。
【0016】
そして、トレーリングアーム3Lの途中に設けたサブブラケット3aへ、レバー12Lの後端をリンク部材13Lで連結したことを示す。
図において、トーションバー機構10を、取付けブラケット2L,2R(2Rは図2参照)を介して車体6外側に設けたリヤサイドメンバ等の高剛性部に取付けることができ、この結果、トーションバー機構10は大きく振動したり、音を発生することがない。
【0017】
図5は図2の5−5線断面図であり、取付けブラケット2Lの支軸2aにラバーブッシュ31Lを介してトレーリングアーム3Lをスイング可能に取付けたことを示す。また、トーションバー本体11の外筒21Lにレバー12Lを固定した状態を示す。
3bはラバーブッシュ31Lを取付けるためのブッシュ取付け穴である。
【0018】
ラバーブッシュ31Lは、外筒部材31aと、内筒部材31bと、これらの外筒部材31a、内筒部材31b間に加硫接着したラバー31cとからなり、トレーリングアーム3Lのブッシュ取付け穴3bにラバーブッシュ31Lの外筒31aを圧入し、ラバーブッシュ31Lの内筒31b内面に支軸2aをすきまばめにて挿入したものである。
【0019】
以上に述べたトーションバー機構10の作用を次に説明する。
図6(a)〜(c)は本発明に係るトーションバー機構の作用を説明する模式図である。
(a)は、平坦な地面Eの上に車輪4L,4Rが載っている状態を示す。
トレーリングアーム3L,3Rはほぼ水平で、トーションバー機構10の外筒21L,21R及び内蔵したトーションバーは、車両重量が作用することによりレバー12L,12Rによって、同一角度ねじれる。
この状態では、連結部24にはねじりが発生しない。
【0020】
(b)において、例えば、走行中に車輪4L,4Rが地面Eの凸部Pに乗り上げ、車輪4L,4Rが同じ高さだけ上昇した場合、トレーリングアーム3L,3Rは、同じ角度に反時計方向にスイングし、即ち、後ろ上がりとなる。
トレーリングアーム3L,3Rの上昇により、リンク部材13L,13Rも上昇し、レバー12L,12Rも反時計方向にスイングする。この結果、外筒21L,21Rが矢印方向に回転し、内蔵のトーションバーも矢印方向にねじれる。
しかし、左右のトーションバーのねじり方向、量が同じであるから、連結部24にねじりは発生しない。
【0021】
(c)において、例えば、走行中に車輪4Rだけが地面Eの凸部Qに乗り上げた場合、トレーリングアーム3Rは、後ろ上がりとなり、レバー12Rは、リンク部材13Rを介して外筒21R及び内蔵のトーションバーを矢印のようにねじる。
一方、車輪4Lの高さは変化しないので、外筒21L及び内蔵のトーションバーのねじり角度は変化しない。
【0022】
従って、外筒21R及び内蔵のトーションバーをねじることにより、連結部24にねじりが発生する。
これによって、連結部24のねじり力が左右のトーションバーのねじり量の差を抑えるように作用する。
これが、車両に取付けられたスタビライザの機能である。
以上のように、トーションバー機構10にスタビライザ機能を備えることで、従来のスタビライザを別に設けるよりもスペースを有効に利用することができる。
【0023】
スタビライザの機能を更に以下で説明する。
図7(a),(b)は本発明に係るトーションバー機構のスタビライザ機能を説明する模式図である。
(a)は車両の正面図であり、車体6に取付けたトーションバー機構10を車輪4L,4Rに連結したことを示す。
(b)において、例えば、コーナリング時には、車体6に遠心力が作用して、想像線で示した車体6は実線で示した車体6のように傾く。
【0024】
これによって、車体6の車輪4R側が沈み込み、これに伴って車輪4R側のトレーリングアーム及びレバーが前下がりに傾き、結果的に、図6(c)に示した状態と同じになる。
これによって、外筒21R及び内蔵のトーションバーにねじりが生じる。
【0025】
尚、本発明の車両用サスペンションは、リヤサスペンションに限らず、フロントサスペンションにも適用できる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の車両用サスペンションは、左外筒の右端と右外筒の左端とを直接若しくは間接的に結合したので、左・右外筒の一方、又は左・右トーションバーの一方をねじった時に他方との間にねじり力が発生し、スタビライザの機能を発揮することができる。
また、従来のスタビライザを別に設けるよりもスペースを有効に利用することができる。
【0027】
更に、例えば、従来のようなトーションバーを左右に独立して配置した場合に対して、トーションバーを車体に取付ける部材を少なくすることができ、コストを抑えることができる。
更にまた、左外筒の左端と左トーションバーの左端との片方並びに右外筒の右端と右トーションバーの右端との片方の取付けを車体外側の高剛性部で行うことができ、左・右外筒及び左・右トーションバーは大きく振動したり、音を発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用サスペンションの斜視図
【図2】本発明に係るリヤサスペンションの平面図
【図3】本発明に係るリヤサスペンションのトーションバー機構の要部断面図
【図4】図2の4矢視図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】本発明に係るトーションバー機構の作用を説明する模式図
【図7】本発明に係るトーションバー機構のスタビライザ機能を説明する模式図
【図8】従来のスタビライザを用いた自動車のサスペンション装置を示す平面図
【符号の説明】
1…車両用サスペンション(リヤサスペンション)、2a…トレーリングアームの支持軸(支軸)、2L,2R…ブラケット(取付けブラケット)、3a…サブブラケット、3L,3R…トレーリングアーム、4L,4R…車輪、6…車体、12L,12R…レバー、13L,13R…リンク部材、21L,21R…外筒、22L,22R…トーションバー、23L…第2ラバーブッシュ(ラバーブッシュ)、31L…第1ラバーブッシュ(ラバーブッシュ)

Claims (1)

  1. 左外筒に左トーションバーを収納し、これらの右端同士を固定し、左外筒の左端をレバーを介して左車輪に連結し、左トーションバーの左端を車体側に取付け、同様に、右外筒、右トーションバーを右車輪と車体との間に介設した車両用サスペンションにおいて、
    前記左・右外筒を同軸上に直列に配置し、且つ前記左外筒の右端と右外筒の左端とを直接若しくは間接的に結合し、左・右外筒を車幅方向に配置するとともに、
    体に取付けられるブラケットと
    のブラケットに一端が第1ラバーブッシュを介して軸支され、他端が車両後方に延びるトレーリングアームと
    左右それぞれに備え、
    記レバーが前記左右外筒との連結部と反対側の端部でリンク部材を介して前記トレーリングアームに取付けられ
    前記トレーリングアームの支持軸から離間して前記トーションバーが前記ブラケットに取付けられ、
    前記トーションバーの前記ブラケットへの取付け部の車幅方向内側かつ前記レバーの外筒との連結部の車幅方向外側で、前記外筒と前記トーションバーとが第2ラバーブッシュを介して連結されることを特徴とする車両用サスペンション。
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